説明

鋼ベルトコンベアにより軽灰を抽出および運搬するためのシステム

固形燃料ボイラ内で発生した飛散(軽)灰を乾燥抽出および運搬するための運搬装置(1)であって、運搬装置(1)は、フューム除塵システム(100)に関連付けられるように構成され、運搬装置(1)は:飛散灰の層を支持して事前設定された経路に沿って運搬するように構成された、部分的に重ねられた複数のスラット(5)と、前記スラットが内側で移動する封止された金属ケーシング(3)とを有する金属ベルトコンベア(2)と;飛散灰用の閉じ込め手段であって、灰とコンベア(2)との間の相対的な動きを制限するように、飛散灰を前記スラット(5)上および前記運搬経路沿いに閉じ込めるように構成された閉じ込め手段と;を含み、かかる手段は、横方向ボード(10)、レベリング部材(7)、側方ボード(6)、および可動後部バッフル(8)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料ボイラ内で発生した軽灰を乾燥抽出および運搬するためのシステムに関し、運搬システムは、好ましくは鋼製のベルトコンベアに基づくものである。
【背景技術】
【0002】
石炭灰は、熱電気プラントにおいて化石燃料を燃焼させた後に化石燃料中に存在する鉱物不純物、とりわけシリカに生じる変換の精製物である。総じて、かかる不純物は、燃焼チャンバにおいて溶融する留分を形成し、微小な液滴を生じさせる。フュームにより同伴される液滴は、ボイラの出口において急激に冷却され、回転楕円形状のガラス状粒子の形態で固化する。次いで、塵埃除去システムがフュームを浄化し、フュームから「軽」灰または「飛散」灰と定義される灰を分離し、集塊化によりボイラの底部に直接落下する不純物のわずかな留分(「重」灰)から引き離させる。
【0003】
軽灰の前記分離を行うため、燃焼フュームを除塵するための既知のシステムは、機械的(所謂「スリーブフィルタ」におけるような)または静電気的な収集システムを活用している。軽灰は、分離システムの底部に設置された好適な蓄積ホッパに集塵される。軽灰は、次いで、重力により前記ホッパから排出され、運搬システムに供給されるのが典型的である。
【0004】
飛散灰は、10〜50ミクロンの範囲の平均粒子サイズ、低い嵩密度、および低い摩擦係数を有し、極めて高い研磨性を有することに留意すべきである。これらの特徴により、飛散灰は、除塵システムの下流に移動させることが極めて困難であり、これは、ほとんど閉じ込め不可能であることと、特にホッパのロード点およびアンロード点における、前記移動中に定まる高い埃っぽさのためとの両方のためである。その上、前記灰は、運搬機のコンポーネントを著しく摩耗させてしまう。
【0005】
既知の技術において、燃焼フュームを分離するためのシステムからの飛散灰の乾燥抽出および運搬は、典型的には空気式運搬システムにより行われ、時としてドラッグチェーンコンベアにより行われる。
【0006】
チェーンコンベア(一般に、灰を収集点に押すように構成されるとともにチェーンを移動させることのみにより駆動される羽根のシステムに基づく)は、摩耗性が非常に高い物質が搬送チェーン、スクレーパ、ケーシングの底部および壁部などのコンベア自体のコンポーネント上で相対的に動く結果、摩耗し易いという欠点を伴う。チェーンコンベアの単一の要素が予期せず故障しただけでも、運搬システムの全体が突然停止し、破損したコンポーネントのメンテナンスまたは交換に必要な時間の間、上流および下流のシステムの生産が中断してしまう。
【0007】
空気式移動システムは、一般に、上記チェーンシステムよりも信頼性が高いが、運搬空気に加え灰を移動させる必要があるため、チェーンシステムよりもはるかに大きいパワーを消費するとともに、空気式運搬に要求される高い速度のため、灰が運搬パイプ、バルブ、およびイジェクタに接するエリアにおいてはより早く摩耗してしまう。通常、かかる摩耗の影響は、通常は鋼製または特殊高マンガン鋳鉄製である運搬ダクトに沿った物質の衝撃がより大きい点において、高価なセラミック材料被覆を施すことにより、および玄武岩成分を用いることにより、遅らせられる。空気式システムは、また、末端の格納サイロまたは後続の灰処理のための他の場所への灰の運搬のために有用なヘッドを与える(grant the head)ために必要とされるパワーのため、著しいエネルギー消費を伴い、また、費された運搬空気ストリームに関連付けられた小規模な除塵システムの存在のため、複雑なシステムとなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明により設定および解決される技術的課題は、既知の技術を参照して上で述べた欠点を克服することができる飛散(軽)灰を運搬するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題は、請求項1に記載の装置と請求項22に記載の方法とにより解決される。
【0010】
本発明の好適な特徴は、その独立請求項において記載されている。
【0011】
本明細書中以下で説明する本発明およびその好適な実施形態によれば、燃焼フュームにより運搬され専用の除去システムにより燃焼フュームから分離された飛散灰は、乾燥運搬用の専ら機械的なシステムにより前記除去システムのホッパから回収され、末端の回収サイロまたは他の専用の運搬もしくは処理システムに常に機械的に運搬される。
【0012】
本発明により、いくつかの関連する利点が提供される。
【0013】
まず、システムは、運搬される灰と機械的運搬コンポーネントとの間の相対的な動きを大幅に制限または排除することにより、既知の機械的システムと空気式システムとの両方に関連付けられた上記の摩耗の課題のすべてが、著しく低減されるか完全に排除される。
【0014】
その上、既知の技術の空気式運搬システムを用いることに関連付けられたエネルギーの浪費とシステムの複雑さとが回避される。
【0015】
本発明を欧州特許第0471055号に記載のタイプの重灰用の機械的乾燥抽出システムに関連させることは、特に有益である。
【0016】
その上、好適な実施形態において、ボイラの底部から乾燥回収された重灰の圧砕、ならびに燃料の粉砕および燃焼チャンバへの供給用の既存のシステムを通じたボイラにおける重灰の再循環が提供される。かかる構成において、重灰は粒子サイズが縮小され、粉砕された化石燃料とともに燃焼チャンバを通過した後に、飛散灰の他の留分とともに燃焼フューム分離システムにより回収され燃焼フュームから乾燥抽出される軽灰に変換される。
【0017】
粉砕された重灰をボイラ内で再循環させることにより、重灰中に存在する未燃焼物質の含有量を大幅に低減させることができる。粒子サイズの低減に関連付けられるとともにフュームにより同伴され分離システムにより回収される状況に関連付けられ、このように処理された重灰中の未燃焼物質の低減により、また、その他の灰の留分に作用する希釈効果により、軽灰の未燃焼物質の総パーセントを低下させるとともに、セメントおよびコンクリートの生産において軽灰を(それらの使用についての施行中の法律に従って)好適なものにすることができ、専用の採石場から得られた受け継がれた天然資源、とりわけ石灰石およびポゾランに頼ることが回避される。
【0018】
この重灰を再循環させる態様に関して、以下に留意すべきである。石灰石およびポゾランは、他の鉱物成分に混合され、セメント工場の窯において焼成されることによりセメントクリンカが得られ、かかるセメントクリンカは、適切に摩砕されて、実際のセメントになる。1トンのクリンカの生産により、約1トンのCOが生成される。高品位、すなわち5b/w%未満の未燃焼物質を有する飛散灰を、最大30%のセメントクリンカに添加してもよい。この置換を行うことで、毎年何百万トンものCOを省くことが可能になる。
【0019】
よって、上述の構成により、ボイラ内で発生したすべての灰を軽(飛散)灰に変換し、その後、統合された運搬および格納システムに機械的に運搬することを可能にする一体化されたシステムが選択され、複雑さ、投資コスト、および吸収パワー値が劇的に低減される。
【0020】
好ましくは、上述の構成において、エコノマイザおよびその下流の空気/フューム交換器から抽出された灰の再循環ならびに任意選択的にそれらの灰の圧砕も提供される。
【0021】
一体化/統合された灰管理システムに関連付けられる利点は、ボイラにより発生する全灰の流量と、末端の格納場所への運搬距離との両方における増加により深く関連するものである。
【0022】
本発明の他の利点、特徴、および動作ステップは、限定目的でなく例示として与えられる本発明のいくつかの好適な実施形態の詳細な説明において明らかになろう。
【0023】
以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の装置の好適な実施形態の全体図である。
【図1A】図1の拡大詳細図であり、図1の変形も組み込んでいる。
【図2】図1の線A−Aに沿った図1の装置の抽出器の断面図である。
【図2A】図1Aの線B−Bに沿った図1Aの変形を参照する、図2と同様の断面図である。
【図3】図1の装置のコンベアベルトの詳細を示す斜視図である。
【図3A】図1の装置のコンベアベルトの詳細を示す斜視図である。
【図4】本明細書中で検討する本発明の好適な実施形態による装置の分離システムのホッパと抽出器との間のロード点を概略的に示す、図1から得た図である。
【図5】図1のシステムのさらなる好適な構成を示す一体化された図であり、重灰ならびにエコノマイザおよび空気/フューム交換器からの灰を抽出し、粉砕し、再循環させるためのシステムが提供されている。
【図6】集塵器からの飛散(軽)灰の抽出に関係付けられた、図6の詳細の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず図1を参照して、本発明の好適な実施形態による固形燃料ボイラ内で発生した飛散(軽)灰を乾燥運搬するための装置の全体を1で示す。
【0026】
装置1は、前記ボイラ内で生成された燃焼フュームを除塵するためのシステム(全体を100で示す)に関連付けられており、かかるシステムは、本例において、フューム自体から飛散灰を分離するために静電気の原理を用いるタイプである。
【0027】
図1において、図示の装置1およびシステム100は、それぞれフューム分離システム100の上流および下流において編成された空気/フューム交換器101およびフューム排出スタック102を想定する設備の典型的な環境に挿入されている。
【0028】
装置1は、まず、特に鋼製の金属ベルト20タイプのコンベア2を含む。ベルト20は、フューム除塵システム100から抽出された飛散灰を格納、処理、および/または処分現場に搬送するように構成され、封止された金属ケーシング3に囲まれることで、飛散灰の運搬中における飛散灰の環境への排出を防止している。
【0029】
図3および図3Aにおいてより詳細に示すように、本例示的実施形態において、コンベアベルト20は、複数の隣接したまたは部分的に重なったスラット(かかるスラットの1つを例示的に5で示す)を支持する金属メッシュベルト4を含むタイプである。スラット5は、図1に概略的に示す制御および伝送ドラム60および70により得られる環状経路に従って、メッシュベルト4と一体的に移動する。
【0030】
スラット5は、飛散灰の層を支持し、図1の矢印Fに沿って、ベルト20の上部の水平移動に実質的に対応する事前設定された経路に沿って飛散灰を運搬するように構成されている。
【0031】
飛散灰は、分離システム100により、分離システム100の多数の出口においてベルト20上に供給され、分離システム100は、運搬経路に沿って順に編成された同数のロード点を実装している。前記出口の1つを例示として104で示す。
【0032】
周期的に動作する(閉鎖する)バルブ105および/または除塵システム100の蓄積ホッパ106とコンベア2のケーシング3との間の接点において編成された同等の手段により、各出口104における供給が計量される。
【0033】
各供給バルブ105の上流および下流には、スラット5上への灰の排出を許容/防止するように構成された自動または手動の区分装置107、108が設けられている。
【0034】
本発明によれば、装置1は、飛散灰をコンベアベルト上および前記運搬経路沿いに閉じ込めるように構成された、飛散灰用の閉じ込め手段をさらに含む。好ましくは、かかる閉じ込め手段は多数設けられる。
【0035】
特に、上述の手段は、図2においてより良好に示すケーシング3と一体の固定された側方ボード6を含む。ボード6は、スラット5の両端において運搬経路に沿って編成され、スラット5に対して実質的に直交するとともに運搬方向Fに対して実質的に平行な方向に延在している。図2において概略的に示すように、ボード6の底縁61は、スラット5の進行中にスラット5をかすめる。
【0036】
ベルト20の表面をかすめるボード6自体の構造および編成により、ボード6は、運搬中の飛散灰の側方への排出を防止する。
【0037】
図3および図3Aにおいてより詳細に示すように、スラット5は、好ましくは、側方ボード6の底縁61を受けるように構成された専用の側方シート51を有し、かかるシートは、例えば、ガイド、溝、または長手方向トラックの形態で形成してもよく、やはり例示として切削により設けてもよい。
【0038】
その上、側方ボード6は、好ましくは、運搬スラット5上に設けられた側方スラット52に対して内側に編成されることで、側方スラット52とともに飛散灰用のある種のラビリンスシールを形成する。
【0039】
スラット5のシート51と、ボード6の底縁61と、スラット5の側方スラット52との間のそれら自体のかかる結合により、微細物質に対する封止が最適化され、微細物質が運搬ゾーン内に閉じ込められる。
【0040】
本実施形態の閉じ込め手段は、図2および図4においてより良好に示す、スラット5上に載置された灰層をレベリングする部材の形態の複数の層調節手段をさらに提供し、かかるレベリング部材の1つを例示的に7で示す。各レベリング部材7は、コンベア2のそれぞれのロード点104において、またはその付近に編成され、スラット5の上方においてスラット5に対して実質的に直交する方向に延在する。
【0041】
本例において、各レベリング部材7について、固定または可動のゲート実装が、ケーシング3上に搭載された状態で設けられている。
【0042】
各供給(ロード)点104について、レベリング部材7は、基準ロード点に先行する運搬セクションにおいて既に存在する微細物質に加えてその点において供給される物質の量に関連付けられた、適切な層の高さを定める。
【0043】
様々な供給(ロード)点に関連付けられるベルト上の灰の閉じ込めは、代替として、コンベアベルトの速度を周期的に動作するバルブの回転速度に関係付けることにより、または検討した2つのソリューションを組み合わせることにより、行ってもよい。
【0044】
本実施形態の閉じ込め手段は、次いで、すべてのロード点104の上流において編成されるとともに運搬方向の反対方向における灰の流れを防止するように構成された、後部阻止手段8を提供する。かかる阻止要素8は、スラット5の運搬セクションの全体に亘る横方向閉鎖バッフルの形態で作製される。好ましくは、後部バッフル8は、可動であり、抽出器2のケーシング3上にヒンジ取り付けされるとともに選択的に動作するように構成される。
【0045】
後部横方向バッフル8は、ベルト20の移動方向を支援するように構成され、側方支持体によりスラット5の運搬面から近距離に保持されている。従って、第1の運搬セクションに存在する灰であって、それ自体の物理的性質と後続のロードセクションにおいて同物質が受ける側方向推力により隣接する後部セクションに滑り込むであろう灰は、コンベアベルト20がかかる灰に動きの方向および感覚Fを与える間、前記バッフル8により保持される。
【0046】
上述のように、後部閉じ込めバッフル8は、機械的に動作させ、時間モードまたは近接センサにより上昇させてもよい。
【0047】
特に、本実施形態において、前記動作により、ベルト20上に設けられた微細物質回収スクレーパを通過させることが可能になり、かかるスクレーパの1つを図面において例示的に9で示す。
【0048】
かかる微細物質回収スクレーパは、欧州特許第1409380号の教示により作製してもよく、ベルト20上にヒンジ取り付けされるとともに、コンテナ3の底部上に堆積した微細物質をさらうことができるように復路ストロークにおいてベルト自体に対して実質的に直交する上昇構成と、往路ストロークにおける、すなわち飛散灰の運搬経路に沿った、載置構成とを呈するように構成してもよい。この2通りの構成を図1において概略的に示す。
【0049】
代替として、コンベアの底部から微細物質を回収するためのシステムは、手動、またはコンベア底部の専用の事前編成設備に接続可能な外部吸引システムを介してオペレータにより定めてもよく、その場合、何らの回収要素もコンベアベルトに関連付けられない。
【0050】
また、本実施形態の閉じ込め手段は、スラット5と一体であるとともにスラット5上で規則的な間隔で編成された複数の横方向ボード10も提供する。横方向ボード10は、運搬方向に対して実質的に直交する方向に延在し、スラット5の動きに対して反対の意味の灰の動きを防止するように構成されている。
【0051】
横方向ボード10により、ベルト20の傾斜したセクションが存在する場合にも微細物質の運搬が改善され、この場合、非水平セクションにおいて微細物質を減速させる。
【0052】
横方向ボード10は、金属レリーフの形態で作製してもよい。
【0053】
前記ボード10の高さおよび数は、運搬ゾーンにおいて予期される物質の層と、コンベア2の傾斜とにより決定される。
【0054】
また、本実施形態は、コンベア2のケーシング3内の環境における圧力を調節するためのシステムも含む。
【0055】
特に、本例において、ケーシング3内の環境は、コンベア2の1つ以上の地点を除塵システム100の環境に接続することにより大気に対してわずかな負圧に維持される。前記吸引点は、ベルト20のロードゾーン104および/またはアンロードセクションの近傍にあると有利であり得る。コンベア2内に生じる負圧を調節または任意選択的に排除するため、接続ダクトに、自動または手動の調節/区分装置を装備してもよい。コンベア2のケーシング3において定められるわずかな負圧は、後に供給(ロード)およびアンロードステップ中に塵埃の舞い上がりを生じさせるであろう、上部運搬ゾーン外部での微細物質の蓄積を最小化することを目的としている。
【0056】
図1Aおよび図2Aは、特に灰の流量が制限されている場合に有用な、これまでに説明した閉じ込め手段の構成の変形を示している。前記図面を参照して、バルブ105および区分装置108の下流において編成された飛散灰ランナ(かかるランナの1つを例示的に70で示す)は、それら自体、前述の実施形態のレベリング部材7の代わりに層レベリング器として作用し得る。この目的のため、ランナの長手方向延在を、先行するランナよりも延在させ、出口700をベルト20の運搬面のより近くに移動させてもよい。従って、前記出口700のスラット5からの距離により、得られる灰層の高さが定められる。
【0057】
この構成において、スラット5の側方スラット52は、最大の灰層についてサイズ決めされており、出口700におけるベルト20の様々なロード点は、先行するロード点により供給される灰の量が図1の部材7で得られるもののようになることを想定するように、運搬面からの高さが運搬方向Fに沿って増加するように編成されている。
【0058】
図1および図2の構成のさらなる変形(図示せず)では、閉じ込めボード6が、レベリングバッフル7に代わり、上記モードによる層レベリング器の機能を有するランナ70に関連付けられる。
【0059】
前述の構成の変形についても、自動的に周期的に閉鎖する(動作する)バルブの供給速度を、コンベアベルトの進行速度に関係付けてもよい。
【0060】
そのため、これまでに説明した閉じ込め手段は、コンベア内の環境をわずかな負圧下に維持することで、システム外へのいずれの塵埃の分散も排除し、ベルト20上で運搬される灰の実際の不安定性および移動性を閉じ込め、最後に、レベリング器7、70により灰の均一な層を形成することにより、側方の意味と運搬方向との両方において、ならびに一般に、飛散灰の移動を閉じ込めるように動作することが理解されよう。従って、ベルト20の上部運搬ゾーンにおける飛散灰の閉じ込めが最大化され、ロードステップおよび運搬ステップ自体の間に飛散灰が運搬セクションから舞い上がり得るというリスクが排除される。
【0061】
ここまでの説明で、本発明が、飛散灰の閉じ込めに関係付けられる既知の技術の課題を解決するとともに、摩耗を受けることなく、塵埃物質の分散と運搬に関連付けられるエネルギー消費との両方について環境のあらゆる点において、前記灰の機械的な運搬を可能にすることが、より良好に理解されよう。
【0062】
変形実施形態に基づいて、およびレイアウト上の必要により、上記主抽出器2に、その下流において編成され、任意選択的に同じ類型または金属バケット昇降機タイプである、1つ以上の補助的な機械的コンベアを関連付けてもよい。かかる補助コンベアは、主格納サイロまたは格納ステップに先行する軽(飛散)灰用のさらなる処理システムに軽(飛散)灰を運搬してもよい。
【0063】
図5および図6は、これまでに説明した装置1に関連する特に有利なシステム構成を示す。
【0064】
前記図面を参照して、図示の構成は、本発明による機械的運搬装置と、重灰ならびにエコノマイザおよび空気/フューム交換器からの灰を燃焼チャンバにおいて抽出し、粉砕し、再循環させるためのシステムとの組み合わせを提供している。既に述べたように、この組み合わせにより、ボイラの唯一の生成物として高品位飛散灰のみを出力する一体化された機械的運搬システムが選択される。
【0065】
さらなる詳細を説明すると、上述のシステムの全体を800で示す。
【0066】
欧州特許第0471055号に記載のものと同じタイプのベルト抽出器801により、ボイラ808のスロートから重灰が乾燥抽出される。
【0067】
図5の例において、上述の主抽出器801およびポストクーラコンベア802が設けられ、欧州特許第0471055号に記載の構成により、順に編成されるとともに圧砕段階803により隔てられている。
【0068】
さらに、ポストクーラ802は、全体を804で示す好適な手段を通じてエコノマイザゾーンと連通し、灰の一部がエコノマイザゾーンから収集され第2のコンベア802の環境に供給され得るようなっている。かかる手段804は、これまでに既に導入したタイプの乾燥抽出器816も想定している。
【0069】
手段804により供給される飛散灰に混合された第2のコンベア802上で運搬される重灰は、次いで、コンベア802自体からアンロードされ、好ましくは、さらなる圧砕段階805に供給される。
【0070】
圧砕段階805の下流において、灰は、後に用いるために1つ以上の石炭バンカ860または他の格納手段に投入され得るか、その代わりに、1つ以上の既存の粉砕ミルに806に直接計量投入され得る。ミル806内において、燃料が混合された灰は粉砕され、燃料とともに既存の供給システム807を通じて燃焼チャンバ808に投入される。
【0071】
燃焼チャンバ808の下流において、前記灰は、飛散灰に変換され、燃焼フュームにより同伴され、分離手段100により収集される。
【0072】
図5に示す例において、分離システム100の各ロード点104に、既に説明したタイプの固有の乾燥コンベア809が関連付けられ、かかる乾燥コンベア809は、代替として、図6に示すように複数のロード点104に対して設けてもよい。
【0073】
常に既に導入したタイプであるコレクタコンベア810は、個々のコンベア809の各々により供給される飛散灰を受ける。
【0074】
図5に示す変形によっても、検討されているタイプの設備において通常存在する空気/フューム交換器811(フューム側)から灰が抽出されることが理解されよう。
【0075】
かかる抽出も、ロード点104において図1の実施形態を参照して既に説明したものに類似のモードおよび手段を用いて十分に行われ、特に、抽出された灰をコレクタコンベア810上に供給する既に導入したタイプのさらなる補助コンベア812により行われる。
【0076】
コレクタコンベア810の下流において、存在し得る障害物およびシステムレイアウトに依存して、運搬シーケンスは、中間の格納サイロまたは末端の格納サイロ814のロードのための昇降機またはゴムベルト813などの機械的運搬手段を伴い、格納サイロ814からは、常に機械的運搬器815により、飛散灰を海路で運搬する場合は船に積荷を直接供給することが可能である。
【0077】
これまで、本発明をその好適な実施形態を参照して説明してきた。他の実施形態も存在し、それらはすべて、以下の請求項の保護範囲により定義される本発明の概念に該当し得ることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼フュームにより同伴されるとともに固形燃料ボイラ内で発生した飛散灰を、乾燥運搬するための運搬装置(1)であって、前記運搬装置(1)は、前記飛散灰の前記フューム自体からの分離を行うフューム除塵システム(100)に関連付けられるように構成されており、前記運搬装置(1)は:
飛散灰の層を支持して事前設定された経路に沿って運搬するように構成された、任意選択的に部分的に重ねられた、複数の隣接するスラット(5)と、前記スラットが内側で移動する封止されたケーシング(3)とを有する金属ベルト(20)コンベア(2)と;
飛散灰用の閉じ込め手段(6、7、8、10;70)であって、運搬方向(F)と運搬方向に対する横方向との両方における灰とスラット(5)との間の相対的な動きを制限するように、飛散灰を前記スラット(5)上および前記運搬経路沿いに閉じ込めるように構成された閉じ込め手段(6、7、8、10;70)と;
を含む、運搬装置(1)。
【請求項2】
前記閉じ込め手段は、前記運搬経路に対して平行に編成されるとともに前記スラット(5)に対して実質的に直交する方向に延在する一対の固定された側方ボード(6)を含み、かかる側方ボード(6)は、各々、運搬される飛散灰の側方への排出を防止するように、前記スラット(5)をかすめる底縁(61)を有する、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記スラット(5)は、前記固定された側方ボード(6)のそれぞれの底縁(61)を受けるように構成された一対の専用の側方シート(51)を有する、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記スラット(5)は、前記飛散灰用のある種のラビリンスシールが全体的に形成されるように、好ましくは前記固定された側方ボード(6)の外側に、一対の隆起した側方スラット(52)を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記閉じ込め手段は、前記スラット(5)上に載置された灰層の1つ以上のレベリング部材(7;70)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記レベリング部材(7)の各々は、前記ケーシング(3)上に搭載され、前記コンベア(2)のそれぞれのロード点(104)においてまたはその付近に編成されるように構成され、前記レベリング部材(7)の各々は、前記スラット(5)の上方において前記スラット(5)に対して実質的に直交する方向に延在する、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記または各レベリング部材(7)は、固定または可動のゲート手段を含む、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記レベリング部材(70)は、灰ランナにより形成される、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記レベリング部材(7;70)は、前記運搬経路に沿って、前記ベルト(20)の運搬面からの距離が増大するように編成されている、請求項5〜8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記閉じ込め手段は、前記コンベア(2)の単数または複数のロード点(104)の上流において前記ケーシング(3)上に搭載されるとともに、運搬方向の反対方向における灰の流れを防止するように構成された横方向阻止手段(8)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記横方向阻止手段は、可動横方向バッフル(8)を含む、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記コンベア(2)は、好ましくは一体化された微細物質回収システムに関連付けられたスクレーパの形態の、コンベア(2)自体の底部から微細物質を回収するための複数の微細物質回収要素(9)を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記可動横方向バッフル(8)は、前記微細物質回収要素(9)の通過を可能にするように選択的に動作可能である、請求項11および12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記閉じ込め手段は、前記スラット(5)と一体であるとともにスラット(5)上で事前設定された間隔で編成されている複数の横方向ボード(10)を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記閉じ込め手段は、前記ケーシング(3)内の前記コンベア(2)の環境を外部環境に対してわずかな負圧下に維持することを可能にするシステムを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記金属コンベアベルト(20)は、複数の隣接したまたは部分的に重ねられた金属スラット(5)を支持する金属メッシュ(4)を含むタイプである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項17】
燃焼フュームにより同伴されるとともに固形燃料ボイラ内で発生した飛散灰を乾燥抽出および運搬するためのシステムであって:
前記飛散灰の前記フューム自体からの分離を行うフューム除塵システム(100)と;
前記除塵システム(100)の下流において編成された、請求項1〜16のいずれか一項に記載の運搬装置(1)と;
を含む、システム。
【請求項18】
前記除塵システム(100)と前記コンベア(2)との間、好ましくは流量調節手段(105)の上流および/または下流に設けられるとともに、前記除塵システム(100)から前記運搬装置(1)への灰の排出を可能にする/防止するように構成された、灰を供給/阻止するための手段(107、108)を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
固形燃料ボイラ内で発生した灰を乾燥抽出および運搬するためのシステム(800)であって:
請求項17または18に記載の飛散灰を乾燥抽出および運搬するためのシステムと;
重灰の層を支持して事前設定された経路に沿って運搬するように構成された、任意選択的に部分的に重ねられた、複数の隣接するスラットと、前記スラットが内側で移動する封止されたケーシングとを有する金属ベルトコンベア(801)であって、かかるコンベアは、前記ボイラ(808)の底部に編成または編成されるように構成されている、コンベア(801)と;
前記コンベア(801)の下流において編成された、前記重灰を圧砕するためのシステム(803、806)と;
圧砕された灰を前記ボイラに供給するための手段(807)と
;を含み、
前記ボイラにおいて圧砕および再循環された前記重灰が、次いで、飛散灰の運搬用の前記装置(1)により運搬されるように全体的に編成されている、システム(800)。
【請求項20】
エコノマイザレベルにおいて抽出された灰を、重灰用の前記ベルトコンベア(801)に供給するための手段(804、816)をさらに含む、請求項19に記載のシステム(800)。
【請求項21】
前記ボイラ(808)の下流において編成された空気/フューム交換器(811)のレベルで抽出された灰を、前記運搬装置(1)の飛散灰用の前記ベルトコンベア(2)に供給するための手段(812)をさらに含む、請求項19または20に記載のシステム(800)。
【請求項22】
固形燃料ボイラ内で発生した灰を乾燥抽出および運搬するための方法であって:
請求項1〜16のいずれか一項に記載の運搬装置(1)によりフューム除塵システム(100)から飛散灰を抽出するステップと;
重灰の層を支持して事前設定された経路に沿って運搬するように構成された、任意選択的に部分的に重ねられた、複数の隣接するスラットと、前記スラットが内側で移動する封止されたケーシングとを有する金属ベルトコンベア(801)により重灰を乾燥抽出するステップであって、かかるコンベアは、前記ボイラ(808)の底部に編成されている、ステップと;
前記重灰を圧砕し、前記ボイラにおいて再循環するステップと;を含み、
前記ボイラにおいて圧砕および再循環された前記重灰が、次いで、飛散灰の運搬用の前記装置(1)により運搬される、方法。
【請求項23】
前記エコノマイザレベルにおいて抽出された灰を、重灰用の前記ベルトコンベア(801)に供給するステップをさらに提供する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ボイラ(808)の下流において編成された空気/フューム交換器(811)のレベルで抽出された灰を、前記運搬装置(1)の飛散灰用の前記ベルトコンベア(2)に供給するステップを含む、請求項22または23に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−505880(P2013−505880A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530376(P2012−530376)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053902
【国際公開番号】WO2011/036587
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504027277)マガルディ インダストリエ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (4)