説明

鋼板一体型太陽電池モジュールおよびその製造方法

【課題】本発明は、絶縁性、耐食性(耐候性)、加工性に優れ、かつ密着性にも優れた鋼板一体型太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】鋼板の少なくとも一方の表面に、フッ素系樹脂被覆層を有し、該フッ素系樹脂被覆層の少なくとも片面がコロナ放電処理されてなり、フッ素系樹脂被覆層とシート型太陽電池モジュールの下面部分とを接着して、鋼板一体型太陽電池モジュールとする。フッ素系樹脂被覆層の平均厚みは15〜250μmとすることが好ましい。また、シート型太陽電池モジュールの下面部分は、フッ素系樹脂製とすることが好ましく、接着剤層を介してフッ素系樹脂被覆層に接着し、一体化することが好ましい。なお、シート型太陽電池モジュールの端部(太陽電池素子のない部分)はフッ素系樹脂フィルムの熱融着による接着としてもよい。また、基材となる鋼板は、耐食性の観点から、溶融亜鉛系めっき鋼板または塗装溶融亜鉛系めっき鋼板とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性や絶縁性、耐食性、加工性、耐候性に優れた鋼板一体型太陽電池モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全の要望が強く、炭酸ガスの排出規制が強化されるようになり、自然エネルギーの利用が活発となっている。なかでも、太陽光を利用した発電が注目され、太陽電池の性能向上にも影響されて、屋根等に太陽電池を多数敷設して、太陽光発電を行うようになっている。
このような状況から、施工性の改善等を目的に、太陽電池と屋根用材料とを一体化した太陽電池一体型屋根材の開発が要望されていた。このような要望に対し、例えば、特許文献1には、ソーラー屋根材が提案されている。特許文献1に記載された技術は、主板の中間に、下方に屈曲成形された両段部を介し一段低くなる中間平坦部を形成し、主板の両側には屈曲結合部が形成された鉄系薄鋼板製の屋根板本体と、中間平坦部上に載置貼着されたソーラーと、該ソーラー上に固定されたガラス板又は硬質プラスチックからなるソーラー屋根板である。特許文献1に記載された技術では、ソーラーは、結晶系の太陽電池セルを上下でEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂で被覆されるとともに、EVA樹脂の下側に絶縁シートが、さらにその下側にEVA樹脂が設けられた構造となっている。そして、特許文献1に記載された技術では、ソーラーは、段部を介して低くなる中間平坦部のみを形成した状態の屋根板本体とともに、真空加熱され、該中間平坦部にソーラーのEVA樹脂を熱圧着して、ソーラーを屋根板本体に貼着固定し、その後に、屋根板本体の両端部に屈曲結合部を形成するとしている。これにより、強度性に優れ、施工が容易で、かつ安価な、デザイン性や耐風圧性にも優れた、ソーラー屋根板を提供できるとしている。
【0003】
また、特許文献2には、薄膜太陽電池を屋根材の前壁および上面の両面域にまたがって敷設した屋根材一体型太陽電池モジュールが提案されている。特許文献2に記載された技術では、太陽電池モジュールを、フレキシブルな基板とし、薄型太陽電池等をシート状の封止材および耐候性の表面保護材でサンドイッチ状に封止した構成として、屋根材の表面に貼り付けている。封止材としては、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂が、表面保護材としてはETFEなどのフッ素系樹フィルムが例示されている。これにより、ロール曲げ、型曲げ加工を施すことが容易になるとしている。特許文献2に記載された技術では、太陽電池モジュールの屋根材への貼り付けは、屋根材が平板状態であるときに行い、その後に曲げ加工するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−194858号公報
【特許文献2】特開2004−87769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、太陽電池モジュールに使用される太陽電池素子としては、軽量性、加工性の点から、シート型の薄膜アモルファス系太陽電池が広く使われている。このようなシート型の太陽電池素子を封止材で挟み込んだ太陽電池モジュール(ソーラー)を、特許文献1に記載された技術では、ソーラーの封止材であるEVA樹脂を熱圧着して、屋根板本体に貼着固定している。また、特許文献2に記載された技術では、シート型の太陽電池素子を封止材で挟み込んだ太陽電池モジュールを、接着剤で、屋根板本体に貼り付けている。接着剤としては、一般的に、シリコン系接着剤が使用されている。
しかしながら、引用文献1,2に記載された技術において、太陽電池モジュールで封止材として使用されているEVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)は、耐候性や耐熱性が悪く、長期間屋外で放置された場合、屋根用鋼板との密着性が不十分となるという問題があった。また、一般的に接着剤として使用されるシリコン系接着剤は、接着端面から、水等の侵入により、長期間の使用で剥離することが懸念され、接着性に問題を残していた。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、絶縁性、耐食性(耐候性)、加工性に優れ、かつ密着性にも優れた鋼板一体型太陽電池モジュールおよび鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記した目的を達成するために、鋼板一体型太陽電池モジュールの密着性、とくに太陽電池モジュールと基板である鋼板との密着性に及ぼす各種要因について、鋭意研究した。その結果、基板である鋼板の表面にフッ素系樹脂被覆層を形成し、該フッ素系樹脂被覆層の片面または両面にコロナ放電処理を施し、そのフッ素系樹脂被覆層を介して太陽電池モジュールと鋼板を接着することが、密着性向上に有効であることに想到した。
そして、上記したことに加えて、さらにシート型太陽電池モジュールとして、フッ素系樹脂フィルムで太陽電池素子をサンドイッチ状に包封したものを使用するか、あるいは少なくとも保護シートとしてフッ素系樹脂フィルムで覆われたものを使用して、太陽電池モジュールの端部を樹脂の熱融着により接着することにより、太陽電池モジュールと基板である鋼板との密着性が顕著に向上することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)鋼板の上層に、シート型太陽電池モジュールを配設してなる鋼板一体型太陽電池モジュールであって、前記鋼板の少なくとも一方の表面に、フッ素系樹脂被覆層を有し、該フッ素系樹脂被覆層の片面または両面がコロナ放電処理され、該フッ素系樹脂被覆層と前記シート型太陽電池モジュールの下面部分とを接着してなることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(2)(1)において、前記シート型太陽電池モジュールの下面部分が、前記フッ素系樹脂被覆層に、接着剤層を介して接着されてなることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(3)(1)または(2)において、前記フッ素系樹脂被覆層の平均厚みが15〜250μmであることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記シート型太陽電池モジュールが、フッ素系樹脂フィルムで該シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子をサンドイッチ状に包封したものであることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(5)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記シート型太陽電池モジュールが、該シート型太陽電池モジュールの保護シートとしてフッ素系樹脂フィルムで覆われてなることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(6)(4)または(5)において、前記フッ素系樹脂被覆層と前記シート型太陽電池モジュールの下面部分との接着が、前記太陽電池素子の存在する部分では接着剤層を介しての接着とし、前記太陽電池素子の存在しない部分では前記フッ素系樹脂フィルムの熱融着による接着とすることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(7)(1)ないし(6)のいずれかにおいて、前記鋼板が、溶融亜鉛系めっき鋼板または塗装溶融亜鉛系めっき鋼板とすることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
(8)基材である鋼板に、該鋼板の少なくとも一方の表面にフッ素系樹脂被覆層を形成し被覆鋼板とする被覆層形成工程と、該被覆鋼板のフッ素系樹脂被覆層にシート型太陽電池モジュールの下面側を接着し、シート型太陽電池モジュールと鋼板とを一体化する一体化形成工程と、を順次施す鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法であって、前記被覆層形成工程を、前記鋼板を前記フッ素系樹脂の融点以上に加熱し、該加熱された鋼板に、片面または両面にコロナ放電処理を施された前記フッ素系樹脂のフィルムを圧着し、乾燥焼付けを行ったのち、該鋼板を冷却して該鋼板表面にフッ素系樹脂被覆層を形成する工程、または、前記鋼板に接着剤を塗布し、該接着剤を塗布された鋼板に、片面または両面にコロナ放電処理を施された前記フッ素系樹脂のフィルムを圧着し、ついで該鋼板を冷却して該鋼板表面にフッ素系樹脂被覆層を形成する工程とし、前記一体化工程における接着を、前記シート型太陽電池モジュールの下面側の全面に接着剤を塗布し接着剤層を介しての接着とするか、あるいは、前記シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子が存在する領域は、シリコン系接着剤を塗布し接着剤層を介しての接着とし、太陽電池素子が存在しない領域は、前記フッ素系樹脂の熱融着を利用した接着とする、ことを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
(9)(8)において、前記シート型太陽電池モジュールが、該シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子をフッ素系樹脂フィルムでサンドイッチ状に包封したものであることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
(10)(8)において、前記シート型太陽電池モジュールが、少なくとも該シート型太陽電池モジュールの上面側がフッ素系樹脂フィルムで覆われてなるシート型太陽電池モジュールであることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
(11)(9)ないし(10)のいずれかにおいて、前記シート型太陽電池モジュールと前記鋼板との接着において使用するフッ素系樹脂フィルムに、コロナ放電処理を施すことを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
(12)(8)ないし(11)のいずれかにおいて、前記鋼板が、溶融亜鉛系めっき鋼板または塗装溶融亜鉛系めっき鋼板とすることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鋼板一体型太陽電池モジュールは、耐候性、耐食性等の耐久性に加えて、鋼板と太陽光電池モジュールとの密着性に優れた鋼板一体型太陽電池モジュールを、容易にしかも安価で、信頼性高く製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明になる鋼板一体型太陽光発電モジュールは、屋根材、外壁材、さらには高速道路等の遮音壁、などとして広く利用可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の鋼板一体型太陽光発電モジュールの断面の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明で使用する、基板である鋼板の表面にフッ素系樹脂被覆層を形成した断面状況の一例を、模式的に示す説明図である。
【図3】本発明で使用するシート型太陽電池モジュールの断面の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の鋼板一体型太陽電池モジュールは、鋼板の上層に、シート型太陽電池モジュールを配設してなるモジュールである。
基材として使用する鋼板は、特に限定する必要はないが、耐食性の観点から、鋼板表面に亜鉛系めっき層を有する亜鉛系めっき鋼板とすることが好ましい。なお、亜鉛系めっき層の上層としてさらに塗装膜を有する、塗装亜鉛系めっき鋼板としてもよい。
【0010】
亜鉛系めっき鋼板あるいは塗装亜鉛系めっき鋼板の基板としては、強度や加工性の点から、厚さ0.1〜1.6mm程度の冷延鋼板とすることが望ましい。なお、亜鉛系めっき層は、基板の少なくとも片面に形成することが好ましいが、さらに耐食性,耐端面錆性向上という観点を考慮すれば、両面に形成することが好ましい。
ここで、亜鉛系めっき層としては、電気亜鉛めっき、亜鉛−ニッケル系合金めっき、亜鉛−クロム系合金めっき、溶融亜鉛系めっき板、合金化溶融亜鉛系めっき、亜鉛−アルミニウム系合金めっき等からなるめっき層が挙げられる。なお、価格や性能等からは、溶融亜鉛系めっき層とすることが好ましい。とくに、好ましい溶融亜鉛系めっき鋼板としては、5%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルファン,GF)、55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム,GL)、等が例示される。またこれらの亜鉛及びアルミニウム−亜鉛合金中に、Mg,Mn,Si,Ti,Ni,Co,Mo,Pb,Sn,Cr,La,Ce,Y,Nb等を添加してもなんら問題はない。
また、本発明では、図2に示すように、上記した鋼板を基材2とし、さらに該基材2の少なくとも一方の表面に、フッ素系樹脂被覆層1を形成する。なお、基材とフッ素系樹脂被覆層との密着性向上という観点からは、基材表面に化成処理を施すことが好ましい。
化成処理としては、公知のリン酸塩処理、クロメート処理、クロメートフリー処理等が例示されるが、環境負荷軽減という観点からは、クロメートフリー処理とすることが好ましい。クロメートフリー処理としては、リン酸系、シリコーン系、珪酸塩系、マグネシウム系、バナジウム系等の化合物を含有した無機系処理および/または有機系処理が例示でき、本発明ではいずれも好適であるが、耐熱性の観点から無機系処理とすることが好ましい。なお、化成処理層の付着量は、コストや生産性の点から、薄膜厚とし、通常、乾燥重量で3g/m以下とすることが好ましい。
フッ素系樹脂被覆層の形成には、フッ素系樹脂フィルムを使用する。
使用するフッ素系樹脂の種類はとくに限定する必要はなく、例えばポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、エチレン−テトラフロロエチレン樹脂(ETFE)、あるいはその共重合体、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体樹脂(FEP)、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂が例示でき、いずれも適用できる。なお、接着性、耐候性などの観点からは、ETFE樹脂、あるいはその共重合体とすることが好ましい。
本発明では、上記したフッ素系樹脂のフィルムを基材表面に所望の厚さの被覆層となるように被覆して、フッ素系樹脂被覆層を形成する。なお、本発明では、使用するフッ素系樹脂のフィルムの少なくとも片面、好ましくは両面にはコロナ放電処理を施す。これにより、フッ素系樹脂層とシート型太陽電池モジュールとの接着、またはフッ素系樹脂層と基材(鋼板)との接着を強固にすることができる。なお、コロナ放電処理は、通常の、コロナ放電処理装置を用いて、フィルムの接着面に対して、所望の表面張力が保持できるように適正な処理条件で、放電加工を施すことが好ましい。
本発明で基材鋼板表面に形成するフッ素系樹脂層の平均厚みは、シート型太陽電池モジュールとの密着性や絶縁性、耐候性、耐食性の点から、15〜250μmとすることが好ましい。平均厚みが15μm未満の場合には、シート型太陽電池モジュールとの接着強度や絶縁性、耐候性、耐食性が不十分となる。一方、250μmを超えて厚くなると、ロール成形等成形時の加工性が低下するうえ、モジュールの不燃性が低下する。なお、より好ましくは20〜150μmである。
なお、フッ素系樹脂被覆層の接着強度を向上するために、本発明の目的を損なわない範囲で、フッ素系樹脂を共重合または変成しても良い。フッ素系樹脂の共重合は、例えば、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族多価カルボン酸類やエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族多価ヒドロキシ化合物等を利用することが考えられる。
また、フッ素系樹脂に、着色や防錆の目的で、本発明の目的を損なわない範囲で、防錆顔料、着色顔料を添加しても良い。防錆顔料としては、クロメート系、リン酸塩系、マグネシウム系、バナジウム系等の化合物の1種以上が例示できる。また、着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。なお、防錆顔料、着色顔料の添加量としては、フィルム製造のしやすさや、絶縁性、耐食性の観点から、フッ素系樹脂全量に対するmass%で、30%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは、20%以下である。
【0011】
また、本発明では、基材表面に形成したフッ素系樹脂被覆層に、シート型太陽電池モジュールの下面部分を接着する。
フッ素系樹脂被覆層は、耐久性に優れており、太陽電池モジュールとの優れた接着性を有する。このため、フッ素系樹脂被覆層とシート型太陽電池モジュールの下面部分(バックシート)とは、簡易な接着方法で強固に接着でき、容易に鋼板一体型太陽電池モジュールとすることができる。簡易な接着方法としては、例えば、接着剤を利用し、接着剤層を介して接着する方法がある。好ましい接着剤としては、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等が例示できるが、なかでもフッ素樹脂との接着性に優れたシリコン系接着剤とすることが好ましい。なお、太陽電池モジュールの下面部分(バックシート)が特殊な材料である場合には、下面部分(バックシート)との接着に適した接着剤を利用し、接着剤層を形成することが好ましい。
【0012】
使用する太陽電池モジュールでは、通常、太陽電池素子として、単結晶型、多結晶型、薄膜アモルファス型、球状シリコン型、有機薄膜型、色素増感型等が利用可能である。しかし、本発明の鋼板一体型太陽電池モジュールでは、一体化後に、屋根形状等に加工することが要求されるので、使用する太陽電池モジュールとしては、シート状で、かつ加工可能な薄膜アモルファス型、球状シリコン型、有機薄膜型、色素増感型とすることが好ましい。
【0013】
また、本発明で使用するシート型太陽電池モジュールは、フッ素系樹脂フィルムを利用して、例えば図3に示すように、太陽電池素子5をサンドイッチ状に包封したものとすることが好ましい。図3では、保護シート3とバックシート4ともに、同じ材料(フッ素系樹脂フィルム)としているが、これに限定する必要はない。保護シート3とバックシート4を、異なる材料で形成してもよいが、フッ素系樹脂被覆層との接着性の観点から、シート型太陽電池モジュールのバックシート(下面側)4は、フッ素系樹脂製とすることが好ましい。これにより、フッ素系樹脂被覆層とシート型太陽電池モジュールとの接着が、フッ素系樹脂同士の接着となるため、高い接着強度を確保しやすくなる。また、シート型太陽電池モジュールの上面側を、フッ素系樹脂フィルムで覆うような構造としても同じ効果が期待できる。この場合は、シート型太陽電池モジュールの保護シール、バックシールの材質を考慮することなく、上面側を覆ったフッ素系樹脂フィルムと被覆鋼板とで一体化のための接着(熱融着)を行うことができる。この場合、保護シート3及びバックシート4はポリエステル(PET)系樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂、ポリフッ化ビニル(PVF)系樹脂フィルムを使用してもよい。
【0014】
なお、図3では、太陽電池素子5をサンドイッチ状に包み込む(包封する)ように、保護シート3とバックシート4を形成して、太陽電池素子5の存在しない領域まで覆っているが、これに限定されるものではない。保護シート3やバックシート4を太陽電池素子5の大きさより大きくすることにより、図1に示すように、太陽電池素子5の存在しない部分の保護シート3の端部を利用して、保護シート3がフッ素系樹脂の場合、さらにはバックシート4がフッ素系樹脂の場合に、フッ素系樹脂の熱融着により端部に熱融着部7を形成し、シート型太陽電池モジュールとフッ素系樹脂被覆層、さらには基材との接着を強固にすることができる。また、シート型太陽電池モジュールの保護シートの端部をフッ素系樹脂の熱融着を利用して接着すれば、接着強度が増加するうえに、太陽電池モジュールの密封性も向上するという利点もある。なお、この場合、シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子5の存在する領域と被覆層との接着は、太陽電池素子の劣化を防止する観点から、接着剤による接着とすることが好ましい。
【0015】
つぎに、本発明鋼板一体型太陽電池モジュールの好ましい製造方法について説明する。
本発明では、基材である鋼板に、被覆層形成工程を施し、被覆鋼板とし、ついで、該被覆鋼板と、シート型太陽電池モジュールとを一体化する一体化形成工程と、を順次施し、鋼板一体型太陽電池モジュールとする。
被覆層形成工程では、基材である鋼板に、該鋼板の少なくとも片方の表面にフッ素系樹脂被覆層を形成する。鋼板は、溶融亜鉛系めっき鋼板あるいは塗装溶融亜鉛系めっき鋼板とすることが好ましい。また、被覆層は、フッ素系樹脂層とする。
【0016】
基材である鋼板に、フッ素系樹脂層を形成する方法は、とくに限定する必要はないが、接着剤法、あるいは熱融着法とすることが好ましい。なかでも、熱融着法とすることが経済的、および特性劣化が少ないなどの点から好ましい。接着剤法では、接着剤の経年劣化を考慮する必要がある。
まず、接着剤法について説明する。
基材である鋼板に、接着剤を、所定量塗布する。塗布方法は、ロールコーター、スプレーコーター、フローコーター、バーコーター、ダイコーター等を用いて行うことが好ましい。塗布後、乾燥・焼付けを行った後、鋼板に、フッ素系樹脂フィルムをラミネートロール等で圧着し、水や冷風で鋼板を冷却し、鋼板表面に、上記した所定厚さのフッ素系樹脂被覆層を形成する。なお、接着剤の塗布量は、固形分で3〜10 g/mとすることが好ましい。また、接着剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂の1種および/または2種以上の組合せからなる接着剤が例示できるが、なかでも、ポリウレタン系接着剤とすることが好ましい。なお、乾燥・焼付けは、最高鋼板到達温度で、140〜230℃の範囲とすることが好ましい。
つぎに、熱融着法について説明する。
基材である鋼板を、フッ素系樹脂の融点(Tm)以上の温度に加熱したのち、該鋼板にフッ素系樹脂フィルムをラミネートロールで圧着し、フッ素系樹脂を溶融させたのち、鋼板を急冷し、所定厚さのフッ素系樹脂被覆層を形成し、被覆鋼板とする。なお、好ましい加熱温度は、Tm〜(Tm+150℃)の範囲の温度であり、さらに好ましい加熱温度は、(Tm+30℃)〜(Tm+120℃)の範囲の温度である。また、フッ素系樹脂の融点は、共重合化により低下することが知られているが、本発明で使用するフッ素系樹脂をETFEとした場合には、融点は、220〜270℃のため、加熱温度は220〜420℃の範囲とすることが好ましい。なお、フッ素系樹脂被覆層形成後の鋼板(被覆鋼板)は、フッ素系樹脂の再結晶化を防止するため、水、空気、冷却ロール等を用いて急冷することが好ましい。
フッ素系樹脂被覆層形成工程を経た鋼板(被覆鋼板)には、ついで、一体化形成工程が施される。
一体化形成工程では、被覆鋼板のフッ素系樹脂被覆層にシート型太陽電池モジュールの下面側(バックシート)を接着し、シート型太陽電池モジュールと鋼板とを一体化する。
【0017】
フッ素系樹脂被覆層とシート型太陽電池モジュールの下面側(バックシート)との接着は、図1に示すようにシート型太陽電池モジュール5の下面側(バックシート)全体で接着剤層6を介した接着とすることが好ましい。接着剤層6の形成は、被接着面(シート型太陽電池モジュールの下面側(バックシート))全面に接着剤を塗布して行う。この場合、使用する接着剤としては、フッ素樹脂との接着性に優れたシリコン系接着剤とすることが好ましい。なお、接着剤の塗布量は固形分で50〜2000g/mとすることが、所望の接着強度を確保するために好ましい。50g/m未満では、所望の接着強度が確保できない。一方、2000g/mを超える塗布量では接着剤の硬化に長大な時間を要する。
また、フッ素系樹脂被覆層1とシート型太陽電池モジュールとの接着は、シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子5が存在する領域では、上記したように接着剤を塗布し接着剤層6を介しての接着とし、太陽電池素子5が存在しない領域(シート型太陽電池モジュールの端部)では、フッ素系樹脂の熱融着を利用した熱融着部7を形成する接着とすることが好ましい。フッ素系樹脂の熱融着を利用した接着は、接着剤を用いた接着に比べ、接着強度が高く、接着性の信頼度は高い。
このようなフッ素系樹脂の熱融着を利用するためには、図1、図3に示すように、シート型太陽電池モジュールの保護シート3、あるいはさらにバックシート4をフッ素系樹脂製とすることが必要である。しかも、保護シート3、あるいはさらにバックシート4を太陽電池素子5が存在しない領域まで覆う大きさとする必要がある。
熱融着では、誘導加熱装置、熱風溶接機、ヒートシーラー、工業用アイロン等の装置を使用し、被覆鋼板およびシート型太陽電池モジュールの保護シート、あるいはバックシートを、フッ素系樹脂被覆層のフッ素系樹脂の融点、あるいはシート型太陽電池モジュールの保護シート、あるいはバックシートとして使用されているフッ素系樹脂の融点のうち高い融点Tm以上、に加熱することが好ましい。また、熱融着に際しては、真空成形等の方法で、可能な限り、接着面の空気を除去しておくことが好ましい。なお好ましい加熱温度は、Tm〜(Tm+150℃)、さらに好ましくは、(Tm+30℃)〜(Tm+120℃)である。
なお、接着性向上のために、シート型太陽電池モジュールの保護シート、あるいはバックシートに、コロナ放電処理あるいは共重合化等の処理を施してもよい。
また、シート型太陽電池モジュールのバックシートがフッ素系樹脂でない場合には、シート型太陽電池モジュールの保護シートとして、フッ素系樹脂フィルムを被せ、シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子が存在する領域の下面側をバックシートに適合した接着剤で接着し、太陽電池素子が存在しない、その他の部分(端部)を、保護シートとして被せたフッ素樹脂フィルムと熱融着しても、同等の効果が得られる。
以下、実施例にて、さらに本発明について説明する。なお、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0018】
基材となる鋼板として、(a)55質量%アルミ−亜鉛合金めっき鋼板(板厚:0.50mm;AZ-150)、(b)5質量%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(板厚:0.50mm;Y25)の2種を用いた。なお、一部の鋼板(鋼板No.2)では、基材表面に、化成処理として、クロメートフリー処理(日本パーカライジング社製CT−E224)を施し、化成処理層を形成した。なお、化成処理層の付着量は、固形分で0.8g/mであった。
【0019】
これら基材表面に、表1に示すフッ素系樹脂フィルムを使用して、表1に示す平均厚さのフッ素系樹脂被覆層を形成する、被覆層形成工程を施し、被覆鋼板を得た。なお、被覆層の形成方法は熱融着法、および、一部の鋼板(被覆鋼板No.H)では、接着剤法とした。使用したフッ素系樹脂フィルムは、ETFEまたは共重合ETFEとした。共重合ETFEの共重合成分は、マレイン酸であり、含有量は10mass%である。なお、フッ素系樹脂フィルムには、その両面に、コロナ放電処理を施したのち、接着に用いた。
【0020】
フッ素系樹脂被覆層の熱融着法による形成方法はつぎのとおりとした。
まず、基材である鋼板を、熱風乾燥機で、70s後に、鋼板の最高到達温度が(Tm+80℃)となるように加熱した。なお、Tmはフッ素系樹脂フィルムの融点である。そして、フッ素系樹脂フィルムを、鋼板にラミネートロールで圧着した。なお、ラミネートロールの温度は140℃、ロール圧力は2kg/cm、ラミネートロールの速度は10m/minとした。圧着後、鋼板を水冷した。
また、フッ素系樹脂被覆層の接着剤法による形成方法はつぎのとおりとした。
鋼板表面に、バーコーターで、接着剤としてポリウレタン系塗料(旭硝子製「ALFLEX-BOND AG-9014A」)を固形分で8g/m2塗装(塗布)し、熱風乾燥機で、鋼板最高到達温度が、70秒後に220℃になるように加熱し、ラミネートロールでETFEフィルムを圧着した。圧着後、鋼板を水で冷却した。これにより、基材表面に、接着剤層を介してフッ素系樹脂被覆層を形成した。
【0021】
ついで、表2に示すように、得られた各フッ素系樹脂被覆鋼板に、シート型太陽電池モジュール(富士電機製Fwave(商品名))とを接着し、被覆鋼板と太陽電池モジュールとを一体化する一体化工程を施し、鋼板一体型太陽電池モジュールを作製した。なお、使用した太陽電池素子は、薄型アモルファス太陽電池素子とし、これら太陽電池素子の上面側および下面側を保護シート、バックシートとして、ETFE(フッ素系樹脂)フィルムで包封するように構成されている。
【0022】
シート型太陽電池モジュールの被覆鋼板への接着方法は表2に示す通りとした。
すなわち、シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子が存在する領域(中央基板領域)の下面側(バックシート)に、シリコン系接着剤(信越化学製「KE-45T」)を塗布し、ハンドローラーで被覆鋼板に圧着した。なお、接着剤層の塗布量は表2に示すとおりとした。一方、シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子が存在しない領域(端部)においては、ETFE製である保護シート上から誘導加熱装置(ブラウニー(株)製)で、ETFE製であるバックシートをも含め、加熱し、シート型太陽電池モジュールを被覆鋼板に熱融着により接着し、一体化させた。熱融着幅は表2に示すとおりとした。なお、誘導加熱時間は7s間とし、加熱温度はETFEの融点+80℃とした。
【0023】
なお、一部のモジュール(モジュールNo.13)では、バックシートがポリエステル(PET)系樹脂製であるシート型太陽電池モジュールを使用した。この場合、シート型太陽電池モジュールの上面側をETFEフィルムで覆い、上記した一体化と同様の一体化を実施した。
得られた被覆鋼板について、耐食性、不燃性、加工性、耐候性、さらに被覆層密着性を評価した。評価方法は次の通りとした。
(1)耐食性
得られた被覆鋼板から試験材(大きさ:75×150mm)を採取し、JIS Z 2371に準拠して、塩水噴霧試験を実施した。試験条件は、温度:35±1℃、試験時間:3000 hr、噴霧:連続噴霧とした。試験後、目視で、試験片の平面部における、錆やブリスターの発生の有無を観察した。錆やブリスターが少しでも発生した場合を×、それ以外を○として被覆鋼板の耐食性を評価した。
(2)不燃性
得られた被覆鋼板から試験材(大きさ:99×99mm)を採取し、ISO 5660号に準拠して、試験材をコーンカロリーメーターで20分間燃焼させた時の総発熱量を求めた。総発熱量が高いと、不燃性が劣る(燃えやすい)ため、総発熱量が8.0MJ/m2以下を不燃性良好(合格:○)とし、それ以外の場合を×として被覆鋼板の不燃性を評価した。
(3)加工性
得られた被覆鋼板から試験材(大きさ:762×900mm)を採取し、ロールフォーミング法により、折板形状に成形加工した。成形加工後の試験材表面を目視で観察し、傷発生状況を観察し、少しでも傷が発生した場合を×、それ以外を○(良好)とし、被覆鋼板の加工性を評価した。
(4)耐候性
得られた被覆鋼板から試験材(大きさ:65×150mm)を採取し、JIS A 1415に準拠した、サンシャインカーボンアーク法により、試験材に紫外線照射を行う試験を実施した。試験時間:2000 hr後に、試験材表面の色差(ΔE)、光沢保持率(GR%)を測定した。ΔEが1.0以下、GR%が80%以上である場合を○(合格)とし、それ以外を×として、耐候性を評価した。
(5)被覆層密着性
得られた被覆鋼板から試験材(大きさ:50×100mm)を採取し、JIS K5600に準拠した碁盤目テープ法により、被覆層の剥離の有無を目視で観察し、剥離無し(異常なし)の場合を○(合格)とし、それ以外を×として、被覆層の密着性を評価した。
【0024】
また、得られた鋼板一体化型太陽電池モジュールについて、密着性、絶縁性を評価した。評価方法は次の通りとした。
(6)密着性
得られた鋼板一体化型太陽電池モジュールを、3ヶ月間屋外曝露して、モジュール端面における浮きや剥離の発生状況を目視で観察し、浮きや剥離が発生しない場合(異常なし)を○、それ以外を×として、鋼板一体化型太陽電池モジュールの密着性を評価した。
(7)絶縁性
得られた鋼板一体化型太陽電池モジュールを、日光に当てて、フッ素系樹脂被覆鋼板裏面側への漏電の有無をテスターでチェックし、漏電なしを○、漏電ありを×として、鋼板一体化型太陽電池モジュールの絶縁性を評価した。
【0025】
得られた結果を表3に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
本発明例で使用したフッ素系樹脂被覆鋼板はいずれも、耐食性、不燃性、加工性、耐候性、被覆層密着性に優れ、また、これらフッ素系樹脂被覆鋼板とシート型太陽電池モジュールを一体化させた鋼板一体型太陽電池モジュール(本発明例)はいずれも、一体として所望の密着性、絶縁性を満足し、耐久性に加えて、密着性、絶縁性にも優れた鋼板一体型太陽電池モジュールとなっている。
【符号の説明】
【0030】
1 フッ素系樹脂層
2 基材(鋼板)
3 保護シート(フッ素系樹脂フィルム)
4 バックシート(フッ素系樹脂フィルム)
5 太陽電池素子
6 接着剤層
7 熱融着部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の上層に、シート型太陽電池モジュールを配設してなる鋼板一体型太陽電池モジュールであって、前記鋼板の少なくとも一方の表面に、フッ素系樹脂被覆層を有し、該フッ素系樹脂被覆層の片面または両面がコロナ放電処理され、該フッ素系樹脂被覆層と前記シート型太陽電池モジュールの下面部分とを接着してなることを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記シート型太陽電池モジュールの下面部分が、前記フッ素系樹脂被覆層に、接着剤層を介して接着されてなることを特徴とする請求項1に記載の鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記フッ素系樹脂被覆層の平均厚みが15〜250μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記シート型太陽電池モジュールが、フッ素系樹脂フィルムで該シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子をサンドイッチ状に包封したものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記シート型太陽電池モジュールが、少なくとも該シート型太陽電池モジュールの上面側がフッ素系樹脂フィルムで覆われてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記フッ素系樹脂被覆層と前記シート型太陽電池モジュールの下面部分との接着が、前記太陽電池素子の存在する部分では接着剤層を介しての接着とし、前記太陽電池素子の存在しない部分では前記フッ素系樹脂フィルムの熱融着による接着とすることを特徴とする請求項4または5に記載の鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記鋼板が、溶融亜鉛系めっき鋼板または塗装溶融亜鉛系めっき鋼板とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の鋼板一体型太陽電池モジュール。
【請求項8】
基板である鋼板に、該鋼板の少なくとも一方の表面にフッ素系樹脂被覆層を形成し被覆鋼板とする被覆層形成工程と、該被覆鋼板のフッ素系樹脂被覆層にシート型太陽電池モジュールの下面側を接着し、シート型太陽電池モジュールと被覆鋼板とを一体化する一体化形成工程と、を順次施す鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記被覆層形成工程を、前記鋼板を前記フッ素系樹脂の融点以上に加熱し、該加熱された鋼板に、片面または両面にコロナ放電処理を施された前記フッ素系樹脂のフィルムを圧着し、乾燥焼付けを行ったのち、該鋼板を冷却して該鋼板表面にフッ素系樹脂被覆層を形成する工程、または、前記鋼板に接着剤を塗布し、該接着剤を塗布された鋼板に、片面または両面にコロナ放電処理を施された前記フッ素系樹脂のフィルムを圧着し、ついで該鋼板を冷却して該鋼板表面にフッ素系樹脂被覆層を形成する工程とし、
前記一体化工程における接着を、前記シート型太陽電池モジュールの下面側の全面に接着剤を塗布し接着剤層を介しての接着とするか、あるいは、該シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子が存在する領域は、シリコン系接着剤を塗布し接着剤層を介しての接着とし、該シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子が存在しない領域は、前記フッ素系樹脂の熱融着を利用した接着とする、
ことを特徴とする鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記シート型太陽電池モジュールが、該シート型太陽電池モジュールの太陽電池素子をフッ素系樹脂フィルムでサンドイッチ状に包封したものであることを特徴とする請求項8に記載の鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記シート型太陽電池モジュールが、少なくとも該シート型太陽電池モジュールの上面側がフッ素系樹脂フィルムで覆われてなるシート型太陽電池モジュールであることを特徴とする請求項8に記載の鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記シート型太陽電池モジュールと前記被覆鋼板との接着において使用するフッ素系樹脂フィルムに、コロナ放電処理を施すことを特徴とする請求項9ないし10のいずれかに記載の鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記鋼板が、溶融亜鉛系めっき鋼板または塗装溶融亜鉛系めっき鋼板とすることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の鋼板一体型太陽電池モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−4416(P2012−4416A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139239(P2010−139239)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000200323)JFE鋼板株式会社 (77)
【Fターム(参考)】