説明

鋼管コンクリート複合ポール及び鋼管コンクリート複合ポールの製造方法

【課題】従来にない小径、軽量のポールで高い機械的強度と耐久性を備え、環境にも優しい低コストで設置が容易な鋼管とコンクリート部との滑り抵抗の大きな鋼管コンクリート複合ポールを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明の鋼管コンクリート複合ポール1は、所定径の鋼管3と、該鋼管3の内部に付着形成されたコンクリート部5とを備え、前記コンクリート部5は、前記鋼管3の内周面に遠心成形または振動成形により一体付着形成されており、該コンクリート部5の外周面と前記鋼管3の内周面との間には凹凸接合構造11が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管の内部にコンクリートを一体付着形成した鋼管コンクリート複合ポール及びその鋼管コンクリート複合ポールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架空電線の支持物として従来からコンクリートポール、又は鋼管の内部にコンクリートを充填した鋼管コンクリート複合ポール(以下、コンクリートポール等という)が使用されている。昨今では景観上の視点から都市部では電線類の地中化が進められているが、電線類を地中化するためには従来から行われている架空方式の約10倍以上という多額な費用がかかるためコンクリートポール等の需要は今尚、高い水準を維持している。
【0003】
コンクリートポール等の種類としては、第1の種類のコンクリートポール等として、長さ12〜17m(地中部分長さ2〜3.5mを含む)程度で地上高さ10〜14.2m程度に電力設備送配電用の電力線を空中で支持するものがある。また、第2の種類のコンクリートポール等として、長さ8〜9.5m(地中部分長さ1.4〜2.8mを含む)程度で地上高さ6.7〜7.5m程度に電話設備の信号通信用の電話線を空中で支持するものがある。
ところで、現在ではコンクリートポール等が支持する架空電線の種類が電力線、電話線、インターネット・光電話用の光ファイバー線、有線放送用のケーブル及び交通渋滞情報を送受信するための配線等、実に多岐に及んで来ているため、当該コンクリートポール等に要求される耐荷重は増大する傾向にある。
しかしながら、従来からのコンクリートポール等を使用して必要な機械的強度を得ようとすると、ポールの直径が大きくなって、重量が重くなるため、輸送コストや施工コストの増大を招き、コンクリートポール等の設置に必要な占有面積の拡大によって借地料等の管理コストも増大してしまう。
【0004】
このような背景の下、本出願人は既に下記の特許文献1に示す「鋼管及びコンクリート複合ポール」なる特許出願に及んでいる。そして、この特許出願では鋼管内にコンクリートを遠心成形により一体付着形成することで、ポール径の減少とポールの軽量化とポールの機械的強度の向上とを達成している。
また、下記特許出願では、プレストレストコンクリート(Prestressed Concrete)鉄筋(以下、「PC鉄筋」という)との併用によってポールの機械的強度が一層、向上する点についても言及している。また、下記の特許文献1では2本のポールを高さ方向に連結して長さ17m程度(地下部分含む)として、上記第1の種類のコンクリートポール等としてその地上高さ12−13mに電力線を架空し得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−240302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)しかし、上記「鋼管及びコンクリート複合ポール」が高い機械的強度を発揮するためには、鋼管と内部コンクリートが一体化されていることが条件になる。従って、鋼管と内部コンクリートの剥離や不十分な付着を防止する施策を構じることが必要になってくる。
【0007】
(2)また、上記鋼管と内部コンクリートの付着を強固にするだけではなく、コンクリートや内部鉄筋の材料をより機械的強度が優れるものに変更したり、内部コンクリートの構造をより撓み変形の少ない構造に変更することもポールの機械的強度を高めるために必要になってくる。
【0008】
(3)更に、外殻部材として鋼管を使用する場合には、地際部での鋼管の腐食が性能劣化を招く大きな要因となっている。この場合、従来は腐食防止用のタールエポキシ樹脂塗装を鋼管の地際部に施していたが、タールエポキシ樹脂中には発ガン性が疑われているコールタールが含まれており、人体に害を及ぼすことが懸念される。
また、タールエポキシ樹脂の耐酸性、耐食性、耐絶縁性等も必ずしも十分ではなく、タールエポキシ樹脂に代わる新たな腐食防止塗装材料の採用が求められている。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題を要約するが、本発明では、上記特許文献1が2本のポールを連結して高さ17mを構成していたのに比して、本発明の鋼管は上記第2の種類の鋼管及びコンクリート複合ポールとして長さ9.5mを有し、地上高さ6m程度に電話線等を架空する。
本発明の課題としては、鋼管内部にコンクリートを付着させた鋼管コンクリート複合ポールにおいて、鋼管と内部コンクリートの一体性を向上させること、機械的強度に優れる材料または構造のコンクリート及び内部鉄筋を採用すること、環境に優しく耐酸性、耐食性、耐絶縁性、耐候性に優れた腐食防止塗装を施すことによってポール直径の細径化が可能で軽量且つ機械的強度に優れた鋼管コンクリート複合ポール及び該鋼管コンクリート複合ポールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の鋼管コンクリート複合ポールは、所定径の鋼管(3)と、該鋼管の内部に付着形成されたコンクリート部(5)とを備える鋼管コンクリート複合ポールにおいて、前記コンクリート部は、前記鋼管の内周部に遠心成形または振動成形により一体付着形成されており、該コンクリート部の外周面と前記鋼管の内周面との境界には、凹凸接合構造(11)が形成されていることを特徴とする。
【0011】
そして、前記凹凸接合構造(11)は、前記鋼管(3)の内周面に施したブラスト処理による目粗し(13)、前記鋼管(3)の内周面に取り付けた凸部材(15)または前記鋼管(3)の内周面に形成した螺旋溝(17)によって構成されている。
【0012】
また、前記鋼管(3)の内周部には同心円上に所定間隔で複数本の鉄筋(19)を鋼管の長手方向に沿うように配設することが可能であり、好ましくは、前記鋼管(3)の両端の内周部にリング状の鉄筋支持部(21)を設けておき、前記鉄筋(19)を前記両端の鉄筋支持部間で所定の引張力を加えた状態で固着することにより当該鋼管(3)とコンクリート部(5)に対して所定の圧縮力を付与するようにする。従来のコンクリートポールは鉄筋両端部が外気に露出する状態であったために鉄筋端部から錆が発生する現象が生じたが、本発明によれば、鋼管コンクリート複合ポールの鋼管内部に配置する鉄筋は、鋼管内部に設けられた鉄筋支持部(21)に固着されることにより、鉄筋端部が内部充填コンクリートにより覆われて外気に露出することがないため、錆が発生しない。
【0013】
また、前記鉄筋(19)としては、繊維材料によって強化された繊維強化ロッドが使用でき、前記コンクリート部(5)としては砂、砂利を骨材とし、熱硬化性樹脂を結合材として使用するレジンコンクリートが使用可能である。
また、前記コンクリート部(5)の構造は、遠心成形によって形成される管状構造コンクリート部(7)の他、遠心成形と振動成形の組み合わせや振動成形によって形成される中実構造でもよく、前記鋼管(3)の外周面の地際部(23)には、再生ポリエチレンテレフタレート材料を使用した粉体塗装を施すことが可能である。
【0014】
また、本発明の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法は、内周面に凹凸接合構造(11)を形成した所定径の鋼管(3)を成形するステップと、前記凹凸接合構造(11)が形成された鋼管(3)の内周部に遠心成形または振動成形によりコンクリート部(5)を一体的に付着形成するステップと、を具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法は、内周面に凹凸接合構造(11)を形成した所定径の鋼管(3)を成形するステップと、前記鋼管(3)の内周部に鋼管の長手方向に沿うように複数本の鉄筋(19)を同心円上に所定間隔で配設するステップと、前記凹凸接合構造(11)が形成された鋼管(3)の内周部に遠心成形または振動成形によりコンクリート部(5)を一体的に付着形成するステップと、を具備することを特徴とする。
【0016】
また、前記所定径の鋼管(3)を成形するステップには、前記鋼管の両端の内周部にリング状の鉄筋支持部(21)を設置するステップを含めることができ、前記鉄筋(19)を配設するステップには、前記鉄筋を前記両端の鉄筋支持部(21)間で所定の引張力を加えた状態で固着することによって前記鋼管に圧縮力を付与するステップを含めることが可能である。
【0017】
また、前記所定径の鋼管(3)を成形するステップには、所定サイズの平板状の鋼材(25)を用意するステップと、前記用意された鋼材(25)の一面に凹凸接合構造(11)を形成するステップと、前記凹凸接合構造(11)が形成された面を内側にして前記鋼材(25)を幅方向に円環状に丸めて所定径の鋼管(3)に成形するステップを含めることが可能である。
【0018】
また、前記コンクリート部(5)を付着形成するステップには、前記鋼管(3)の内周面に遠心成形によって管状構造のコンクリート管部(7)を一体的に付着形成するステップを含めることが可能であり、更に、付着形成された当該コンクリート管部(7)の内部空間にコンクリート原料を再度打設してコンクリート芯部(9)を形成してコンクリート部を中実構造にするステップを含めることが可能である。
【0019】
また、前記コンクリート部(5)を付着形成するステップには、前記コンクリート管部(7)を形成するステップに代えて前記鋼管(3)の内部空間に振動成形によってコンクリート原料を充填して中実構造にするステップを含めることが可能である。
また、前記鋼管(3)の外周面の地際部(23)に対して再生ポリエチレンテレフタレート材料を使用して粉体塗装を行うステップを含めることも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の鋼管コンクリート複合ポールによれば、次に示す効果がある。
(1)先ず、コンクリート部の外周面と鋼管の内周面との間に凹凸接合構造を形成しているので、凹凸接合構造を有しない場合に比べて鋼管とコンクリート部との接合面の滑り抵抗が増加する。従って、鋼管とコンクリート部との一体性が高まるため、鋼管コンクリート複合ポールの機械的強度が向上する。
具体的には、鋼管の内部に付着形成されたコンクリート部が圧縮力を受け持つので特に鋼管の圧縮力に起因する座屈を防止してポール全体の圧縮強さを向上させる。また、捩り強さも向上するため曲げ及び捩り強度も向上する。従って、一般のコンクリートポールや鋼管柱或いは従来の鋼管コンクリート複合ポールに比べてもポールの直径を小さくでき、軽量化により設置作業を容易にする。また、設置スペースも小さくて済むから輸送コスト、施工コスト、借地料等の管理コストの削減にも寄与し得る。
また、前記凹凸接合構造を鋼管の内周面に施したブラスト処理による目粗しによって形成した場合には、鋼管の内周面に形成された微細な凹部にコンクリートが入り込むことによって強固な接合構造が形成される。また、前記凹凸接合構造を鋼管の内周面に取り付けた凸部材や鋼管の内周面に形成した螺旋溝によって構成した場合には、上記凸部材または螺旋溝とコンクリートとの係合作用によって剪断方向でのズレが効果的に防止される。
(2)また、前記鋼管の内周部に鉄筋を配設し鋼管の内周面と鉄筋の外周面とに前記コンクリート部を付着形成させ、更に上記鉄筋をPC鉄筋によって構成すれば、鋼管コンクリート複合ポールに曲げ力が作用した時、曲げ圧縮側に発生する圧縮力は、もともと圧縮力に強いコンクリート部が受け持ち、且つ曲げ引張側に発生する引張力は、上記鉄筋と圧縮力が付与された鋼管が受け持つので、全体として曲げ変形量が大いに抑制される。
更に、上記鉄筋の替わりに繊維材料によって強化された繊維強化ロッドによって構成した場合には、通常のPC鉄筋を使用した場合の1.5〜5倍の引張強さが得られるから前記圧縮力が付与された鋼管と相俟って高い引張力が発揮される。また、前記コンクリート部の材料としてレジンコンクリートを採用した場合には、通常のセメントコンクリートを使用した場合の2倍に近い圧縮強さが得られるから極めて高い圧縮力が発揮されるようになる。
また、前記コンクリート部を遠心成形により管状構造に構成した場合には、コンクリート部の鋼管内周面に対する付着力を向上し得ると共にコンクリート部の円周方向での厚さのばらつきが抑えられるから曲げ方向による曲げ強さの偏りが防止されて曲げ強さが均一になる。更に、コンクリート部を管状構造にすることにより鋼管コンクリート複合ポールの軽量化が図れ、輸送コストの削減に寄与し得る。
一方、前記コンクリート部を中実構造に構成した場合には、鋼管コンクリート複合ポールの機械的強度が向上して曲げ方向の力がかかった場合の撓み変形量が小さくなる。
(3)また、前記鋼管の外周面の地際部に再生ポリエチレンテレフタレート材料を使用した粉体塗装を施した場合には、従来の腐食防止塗装に使用されていたタールエポキシ樹脂のように発ガン性を有するとされるコールタールが含まれていないから人体に優しく、再生材料を使用することによって資源の有効利用が図れ、環境にも優しい。また、ポリエチレンテレフタレートは耐酸性、耐食性、耐絶縁性、耐候性等の面でも従来のタールエポキシ樹脂を上回る特性を有しているから鋼管コンクリート複合ポールの耐久性を向上させて長期に亘っての使用が可能になる。
そして、これらの効果が相乗的に作用することによって、従来にない小径、軽量の鋼管コンクリート複合ポールで高い機械的強度が発揮できるようになり、輸送コスト、施工コスト、管理コストを低く抑え、環境にも優しい、耐久性に優れた鋼管コンクリート複合ポールを提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す図で、鋼管コンクリート複合ポールを示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す図で、鋼管コンクリート複合ポールの末口側端面(上端面)を拡大して示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す図で、鋼管コンクリート複合ポールの元口側端面(下端面)を拡大して示す底面図である。
【図4】図1中のA−A拡大断面図である。
【図5】図2中のB−B断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す図で、凹凸接合構造を形成する3種の態様(a)(b)(c)を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す図で、遠心成形時に使用する末口用と元口用の2種のリング状端板の取付け(a)と、2種のゴム栓の取付け(b)と、遠心成形後の上蓋と底蓋の取付け(c)を示す側断面図及び正面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を示す図で、コンクリート部を中実構造に構成する2種類の態様(a)(b)を示す側断面図及び横断面図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す図で、鋼管コンクリート複合ポールの製造の流れを示すブロック図である。
【図10】本発明の鋼管コンクリート複合ポールと鋼管柱に曲げ試験を実施した時の荷重と撓みとの関係を示すグラフである。
【図11】コンクリート部にレジンコンクリートを適用し、鉄筋の替わりに繊維強化ロッドを適用した場合の効果を示す荷重とひずみとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る鋼管コンクリート複合ポール1の構造と該鋼管コンクリート複合ポール1を製造する場合に実行される本発明の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法を図示の実施の形態を例にとって具体的に説明する。
最初に図1乃至図6に基づいて本実施の形態に係る鋼管コンクリート複合ポール1の構造について説明する。
【0023】
図示の鋼管コンクリート複合ポール1は、例えば長さL=9.5mで、NTT電話線等の架空配線に使用される電柱用として設計されている。従って、電力線用の電柱(例えば長さ=17m)に比べて長さが短い。
また、地面GLに設置された時の地上高さHが約6.7m、埋設深さUが約2.8mに一例として設定されている。
【0024】
また、図1中、矢印Mで示す方向を本明細書において元口側と定義し、矢印Nで示す方向を本明細書において末口側と定義する。また、地面GL上の約500mmの位置から元口側Mの端面までの部分を本明細書において地際部23と定義する。
そして、本発明の鋼管コンクリート複合ポール1は、所定径の鋼管3と、該鋼管3の内部に付着形成されたコンクリート部5とを備えることによって基本的に構成されている。また、本実施の形態では、更に上記鋼管3の内周部に図4に示すように一例として6本の鉄筋19を同心円上に等間隔で鋼管3の長手方向Y(図1参照)に沿うように配設することによって構成されている。
【0025】
また、上記鋼管3の直径Dは約216mmで従来のテーパー鋼管柱の地際部の直径が約294mmであるのに比べてかなり細かくなっているが、鋼管コンクリート複合ポール1全体の耐荷重(曲げ強度)は約12.6kNで電話線用の電柱としては十分な機械的強度を有している。
そして、本発明の特徴的構成として図4及び図5に示すように、一例として上記コンクリート部5の外周面と上記鋼管3の内周面との間に凹凸接合構造11が形成されている。
【0026】
尚、上記凹凸接合構造11としては、図6(a)に示すような鋼管3の内周面に施したブラスト処理による目粗し13や、図6(b)に示すような鋼管3の内周面に取り付けた凸部材15、あるいは図6(c)の右端図に示すように、巻いた鋼管3の内周面に形成した螺旋溝17によるもの等が一例として採用可能である。図6(a)−(c)については後に詳述する。
また、本実施の形態では、図5に示すように鋼管3の元口側Mと末口側Nの両端の内周部には、それぞれの端面から幾分内側に入り込んだ位置にリング状の鉄筋支持部21が設けられている。
【0027】
鉄筋支持部21には、鉄筋19の元口側Mまたは末口側Nの端部を貫通状態で受け入れる一例として6個の受入れ穴27と、鋼管3の元口側Mまたは末口側Nに底蓋29または上蓋31を取り付けるための一例として4個のネジ穴35がそれぞれ異なる同心円上に位相を異ならせてそれぞれ等間隔に形成されている。
この他、鋼管3の外周面には、一例として12個所に足場座37(図1−図4)が溶接等によって取り付けられており、一例として地面GLの上方2mの位置に銘板39(図1)が取り付けられている。
【0028】
また、上記鋼管3の元口側Mの端面には、図3に示すように中心に水抜き穴41が刻設された円板状の底蓋29が宛われ、上述した4本の蓋止めボルト33を上述した鉄筋支持部21の4個のネジ穴35に螺合させることによって取り付けられている。
同様に上記鋼管3の末口側Nの端面には、図2に示すように水抜き穴41を有しない円板状の上蓋31が宛われ、上記4本の蓋止めボルト33を上記4個のネジ穴35に螺合させることによって取り付けられている。
【0029】
尚、鋼管3の材料としては、厚さ7mmの一般構造用炭素鋼鋼管が一例として使用でき、鋼管3の外周面には一例として溶融亜鉛メッキ仕上げが施されている。
また、鋼管3の外周面の地際部23には、再生ポリエスチレンテレフタレート(以下「PET」という)材料を使用した粉体塗装が施されており、鋼管3の耐酸性、耐食性、耐絶縁性及び耐候性を高めている。
【0030】
尚、PET中にはコールタール等の有害物質が含まれていないから人体に優しく、再生PETは使用済みPETボトルを粉砕して原料として使用できるから廃棄されたPETボトルのリサイクルの促進にも寄与し得る環境に優しい材料である。
また、鉄筋19としては、上記鋼管3の両端の鉄筋支持部21間で所定の引張力を加えられた状態で固着されることにより逆に当該鋼管3に対して所定の圧縮力を付与するプレストレストコンクリート用のPC鉄筋が使用でき、更に上記PC鉄筋の替わりに繊維材料によって強化した繊維強化ロッドを使用することが可能である。
【0031】
尚、上記繊維材料としては、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が使用可能である。
また、本実施の形態の鉄筋19の一例としては、炭素鋼を高周波熱処理して製造されるコンクリート部5との付着力を強化した異形PC鋼棒である「高周波熱錬株式会社」製造の直径10.7mmの登録商標「ウルボン」を使用できる。
【0032】
また、上記鉄筋19の長さは上記鋼管3の全長Lである9.5mよりも若干短くしておき、鉄筋19の元口側(下端)Mと末口側(上端)Nの端部には、上記鉄筋支持部21の受入れ穴27を貫通後、固定ナット43を使用して固着するための上記固定ナット43と螺合する雄ネジ部45が所定長さ(例えば50mm)で設けられている。
【0033】
また、コンクリート部5は、砂、砂利を骨材とし、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を結合材として使用するレジンコンクリートを材料として一例として形成されている。
尚、レジンコンクリートは、下記の表1に示すようにセメントを結合材として使用する従来からのセメントコンクリートに比べて圧縮強さ、曲げ強さ、引張り強さが格段に上回っているから本発明の鋼管コンクリート複合ポール1におけるコンクリート部5の材料として最適な材料と言える。しかしながら、もちろんコンクリート部5は従来のセメントコンクリートでもよい。
【0034】
【表1】

【0035】
また、本実施の形態では、上記コンクリ−ト部5は、上記鋼管3の内周面に遠心成形により一体付着形成された管状構造のコンクリート管部7によって構成されており、必要な機械的強度を保持した状態で鋼管コンクリート複合ポール1の軽量化に寄与し得る構造になっている。
【0036】
次に、図6、7及び図9に基づいて本発明の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法について説明する。
尚、図6は、凹凸接合構造11を形成する3種の態様を(a)(b)(c)に分けて図示しており、図7は、遠心成形時に使用する末口用と元口用の2種のリング状端板47、49の取付け(a)と、2種のゴム栓67、69の取付け(b)と、遠心成形後の上蓋31と底蓋29の取付け(c)の様子を図示している。また、図9は、鋼管コンクリート複合ポール1の製造の流れをブロック図で図示している。なお、図7及び図8中、コンクリート部5の遠心成形では鋼管3を同図に示す如く、水平方向へ寝かせて。図示しない遠心成形用回転駆動機により鋼管3を高速に回転駆動して行う。
【0037】
本発明の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法は、図9中、ステップS1で示す鋼管成形工程と、ステップS4で示すコンクリート部付着形成工程と、を具備することによって基本的に構成されている。
また、本実施の形態では上記ステップS1とステップS4との間に適宜ステップS2で示す再生PET粉体塗装工程及びステップS3で示す鉄筋配設工程が適宜のタイミングで実行される。
【0038】
以下、図9に示す鋼管コンクリート複合ポール1の製造の流れに従って上記各ステップS1〜S4について具体的に説明する。
(1)鋼管成形工程(ステップS1)
ステップS1は、内周面に凹凸接合構造11を形成した所定径の鋼管3を成形するステップである。
本ステップS1には、所定サイズの平板状の鋼材25を用意するステップS11と、前記用意された鋼材25の一面に凹凸接合構造11を形成するステップS12と、前記凹凸接合構造11が形成された面を内側にして前記鋼材25を幅方向Wに円環状に丸めて所定径の鋼管3に成形するステップS13と、前記成形された鋼管3の両端の内周部にリング状の鉄筋支持部21(図5参照)を設置するステップS14とが含まれている。
【0039】
例えば凹凸接合構造11として、ブラスト処理による目粗し13を適用する場合には、図6(a)に示すように鋼材25の一面に金属系やセラミック形の球形粒子G等を投射材として衝突させることによって目粗し13を形成する。
【0040】
また、図6(b)に示すように、凹凸接合構造11として、凸部材15を適用する場合には、鋼材25の一面に金属片等を溶接により溶着接合させることによって凸部材15を形成する。更に、凹凸接合構造11として、螺旋溝17を適用する場合には、図6(C)に示すように、鋼材25の一面に傾斜した溝51を所定ピッチで複数本形成し、ステップS13で上記鋼材25を円環状に丸める過程で連続した螺旋溝17を形成するようにする。そして、鋼材25の幅方向Wの両端面を溶接等によって接合することで鋼管3を形成する。
【0041】
また、ステップS14では、元口側Mと末口側Nとで、鉄筋支持部21を上記形成した鋼管3の内周部の所定の位置に溶接等によって取り付ける。
【0042】
(2)再生PET粉体塗装工程(ステップS2)
ステップS2は、前記鋼管3の外周面の地際部23に対して再生PET材料を使用して粉体塗装を行うステップである。
そして、ステップS2では、鋼管3を180℃程度に加熱した状態で粒状の再生PET材料71を鋼管3の地際部23に吹き付けることによって、当該地際部23に再生PET材料71を使用した塗膜73を形成する。
【0043】
(3)鉄筋配設工程(ステップS3)
ステップS3は、前記鋼管3の内周部に鋼管3の長手方向Yに沿うように複数本(本実施の形態では6本)の鉄筋19を同心円上に等間隔で配設するステップである。
【0044】
そして、本ステップS3には、前記鉄筋19の両端の雄ネジ部45を前記鉄筋支持部21に形成されている受入れ穴27に通して固定ナット43で取り付けるステップS31と、更に固定ナット43を締め付けて、前記鉄筋19を前記鋼管3の両端の鉄筋支持部21間で所定の引張力を加えた状態で固着することによって前記鋼管3に圧縮力を付与するステップS32とが含まれている。
【0045】
(4)コンクリート部付着形成工程(ステップS4)
ステップS4は、前記凹凸接合構造11が形成された鋼管3の内周部に遠心成形によりコンクリート部5を一体的に付着形成するステップである。
そして、ステップS4には、前記成形された鋼管3の内周部にコンクリート原料53を充填するための準備を行うステップS41(図7(a)も参照)と、前記鋼管3の内周面に遠心成形によって管状構造のコンクリート管部7を一体的に付着形成するステップS42(図7(b)も参照)と、前記コンクリート管部7の付着形成後、型枠55を離型するステップS43と、が含まれている。
【0046】
先ず、ステップS41では、図7(a)に示すように、末口用と元口用の2枚のリング状端板47、49をそれぞれ4本ずつの取付けボルト57を使用して鋼管3の両端部に取り付けられている2枚の鉄筋支持部21のネジ穴35に螺合させることで取り付ける。
【0047】
更に、図7(b)に示すように、末口用のリング状端板47の開口部48にはゴム栓67を取り付けておく。
【0048】
そして、上記コンクリートの漏れ止め処置を施した鋼管3を上型59と下型61によって構成されている型枠55(図9のステップS41を参照)にセットする。この場合、最初に下型61に対してスペーサ63を配置し、該スペーサ63に鋼管3の足場座37が当たらないように気を付けて上記鋼管3を水平状態にしてセットする。
続いて、上記スペーサ63と同じ位置の鋼管3上に上型59用のスペーサ65を配置し、上方から上型59を被せて上型59と下型61を図示しないボルトで固定する。
【0049】
次に、ステップS42では、図7(a)に示すように、鋼管3の元口用のリング状端板49の開口部50からコンクリート原料53を鋼管3内に所定量充填し、図7(b)に示すように、充填後元口用のリング状端板49の開口部50にゴム栓69を取り付ける。
続いて、上記鋼管3がセットされた型枠55を図示しない遠心成形用回転駆動機上に設置して、所定の回転速度(例えば500〜1600rpm)で所定時間(例えば7〜8分)回転させる。
【0050】
尚、上記コンクリート原料53は、鋼管3の回転に伴なう遠心力により鋼管3の内周側に輪環状に分布するようになり、2日程度の養生により固化が完了する。
【0051】
次に、ステップS43に移行し、コンクリート原料53の固化が完了し、図4及び図5に示すように鋼管3の内周部に凹凸接合構造11を介してコンクリート部5が付着形成されてコンクリート管部7となるので、鋼管コンクリート複合ポール1を上記型枠55を離型して外部に取り出す。
【0052】
そして、図7(b)及び(c)に示すように、取付けボルト57を緩めて上記2枚のリング状端板47、49と2個のゴム栓67、69を取り外し、鋼管3の元口側Mの端面に底蓋29、鋼管3の末口側Nの端面に上蓋31をそれぞれ4本の蓋止めボルト33を使用して取り付ける。
【0053】
次に、本発明の鋼管コンクリート複合ポール1の効果を試すために行った比較試験の内容と結果について説明する。
図10は、本発明品の鋼管コンクリート複合ポール1と、鋼管3のみの場合と、他社製品の鋼管柱と、に曲げ試験を実施した場合の荷重(kN)と撓み(mm)との関係をグラフで表示している。
【0054】
この曲げ試験では、直径Dが216.3mm、鋼管3の厚さが7mm、コンクリート部5を含めた厚さが60mm、全長Lが9500mmの鋼管コンクリート複合ポール1である本発明品75と、直径Dが216.3mm、鋼管3の厚さが7mm、全長Lが9500mmの鋼管3である比較品77と、末口側Nの直径が205mm、地面GLに埋設されている部分と地上に設けられる部分との境界の地際径が294mm、鋼管の厚さが4.5mm、長さが9500mmの他社製品の鋼管柱である従来品79と、について、末口側Nの端面から250mmの位置にA方向と、該A方向と逆方向のB方向とに曲げ荷重をかけた場合の2方向について試験を実施した。
【0055】
図10から明らかなようにA方向とB方向とで大きな差はなく、ほぼ同様の傾向を示している。また、鋼管3のみによって構成した比較品77と、本発明品75及び従来品79との間には曲げ強度に差があり、後者の方が曲げ強度が高くなっている。
更に、本発明品75と従来品79とを比較すると、従来品79の場合の方が圧縮座屈点79aにて早く座屈し、本発明品75の方が大きな曲げ荷重に耐えられることが分かる。
【0056】
従って、同一の鋼管3を使用した場合には、コンクリート部5を設けた方が曲げ強度が高くなり、従来品79の如く、鋼管の直径を大きくして曲げ強度を高くしても大きな曲げ荷重がかかると破断点79aにて早く破断してしまう。このような現象にはコンクリート部5が曲げ荷重、特に曲げ圧縮荷重を負担する(受け待つ)ので、曲げ圧縮力に対する抵抗が増大して鋼管3の座屈の発生を遅らせていることが関係しているものと考えられる。
また、試験荷重を大きくしていっても本発明品75と比較品77との間には依然として曲げ強度に差が求められることから、凹凸接合構造11の作用で鋼管3とコンクリート部5の密着性が維持されていることが分かる。
【0057】
図11は、コンクリート部5にレジンコンクリートを適用し、鉄筋19の替わりに炭素繊維強化ロッドを適用した場合の効果を試すために実施した曲げ試験での荷重(kN)とひずみとの関係をグラフで表示している。
この曲げ試験では、従来のセメントコンクリートとPC鉄筋を使用した通常品81と、従来のセメントコンクリートと炭素繊維強化ロッドを使用した一部改良品83と、レジンコンクリートと従来のPC鉄筋を使用した一部改良品85と、レジンコンクリートと炭素繊維強化ロッドを使用した最高の改良品87とについて、直径Dが241.8mm、厚さが7.7mmの鋼管3を使用した場合の曲げ圧縮方向と曲げ引張方向の荷重(kN)とひずみの関係を調べた。
【0058】
図11から明らかなように一部改良品83と一部改良品85との間ではそれほど大きな差は見られなかったが、曲げ圧縮側と曲げ引張側の両方で、通常品81よりも一部改良品83、85の方が曲げ強度が高く、一部改良品83、85よりレジンコンクリート及び炭素繊維強化ロッド使用の最高の改良品87の方が更に曲げ強度が高くなることが確認された。
更に細かく見て行くと、通常品81と一部改良品83とではひずみが曲げ引張側で2500μ、曲げ圧縮側で−2500μまでは曲げ強度にあまり差は見られないがひずみが大きくなると一部改良品83の方が曲げ強度の改善が見られる。
【0059】
また、一部改良品83と一部改良品85とを比較すると、曲げ引張側でひずみが2000μ以下の部分、曲げ圧縮側でひずみが−2500μ〜−7500μの部分で一部改良品85の曲げ強度が一部改良品83の曲げ強度よりも高くなっており、曲げ強度の改善が見られる。
従って、コンクリート部5と鉄筋19をより機械的強度の高いものに変更すれば鋼管コンクリート複合ポール1全体の機械的強度が向上し鉄筋19の機械的強度を高くすれば、ひずみが大きくなればなるほど曲げ強度の改善の効果が現れてくることが分かる。
【0060】
また、レジンコンクリートを使用して、コンクリート部5の機械的強度を高くすると、曲げ引張側ではひずみが2000μ以下の小さな時、曲げ圧縮側ではひずみが−2500μ〜−7500μの部分で曲げ強度の改善の効果が現れることが分かる。
従って、本発明の鋼管コンクリート複合ポール及び鋼管コンクリート複合ポールの製造方法によれば、従来にない小径、軽量の鋼管コンクリート複合ポールで高い機械的強度が発揮できるようになり、輸送コスト、施工コスト、管理コストを低く抑え、環境にも優しい、耐久性に優れた鋼管コンクリート複合ポール1を提供できるようになる。
【0061】
以上が本発明の基本的な実施の形態であるが、本発明の鋼管コンクリート複合ポール及び鋼管コンクリート複合ポールの製造方法は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略、あるいは当業者において周知、慣用の技術を追加することが可能である。
例えば、前記コンクリート部5は、管状構造にする他、前記鋼管3の内部空間全体にコンクリート原料53が充填された中実構造にすることも可能である。
【0062】
具体的には、図8(a)に示すように遠心成形によって前記鋼管3の内周部に付着形成されたコンクリート管部7に対して、更にその内部空間89にコンクリート原料53を再度打設してコンクリート芯部9を形成することでコンクリート部5を中実構造にしたり、図8(b)に示すように前記鋼管の内部空間91に対してコンクリート原料53を打設して振動成形によって中実構造のコンクリート部5を直接、形成することが可能である。
【0063】
また、前記凹凸接合構造11の形成は、平板状に展開した鋼材25に対して実行する他、直接、鋼管3に対して実行することが可能である。また、前記凹凸接合構造11の態様も前述した3種類の態様に限らず、旋盤様の切削機械によって切削するものや研摩材を使用するもの、あるいはエッチングによるものや鋼管3の外周側から取り付けたボルトの先端を鋼管3の内周部まで突出させることによって構成したもの等、種々の態様が可能である。
【0064】
また、鉄筋19の本数は6本に限らず、適宜増減することが可能であり、鉄筋19の直径も、適用する鋼管3の直径Dや鉄筋19の本数の多少に応じて適宜変更することが可能である。
また、本発明の鋼管コンクリート複合ポール1の全長Lと直径Dも前記実施の形態において例示したものに限らず適宜変更可能であり、全長Lの長い鋼管コンクリート複合ポール1の場合には、複数本のポールを上下につなぎ合わせる構造とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、鋼管内にコンクリート部を一体付着形成させた鋼管コンクリート複合ポールの製造、施工分野等で利用でき、特に従来にない小径、軽量のポールで高い機械的強度と耐久性を備え、鋼管とコンクリート部との滑り抵抗の大きな鋼管コンクリート複合ポールを得たい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0066】
1 鋼管コンクリート複合ポール
3 鋼管
5 コンクリート部
7 コンクリート管部
9 コンクリート芯部
11 凹凸接合構造
13 目粗し
15 凸部材
17 螺旋溝
19 鉄筋
21 鉄筋支持部
23 地際部
25 鋼材
27 受入れ穴
29 底蓋
31 上蓋
33 蓋止めボルト
35 ネジ穴
43 固定ナット
45 雄ネジ部
47 リング状端板(末口用)
48 開口部
49 リング状端板(元口用)
50 開口部
51 溝
53 コンクリート原料
55 型枠
57 取付けボルト
59 上型
61 下型
67 ゴム栓(末口用)
69 ゴム栓(元口用)
71 再生PET材料
73 塗膜
75 発明品
77 比較品
79 従来品
81 通常品
83 一部改良品
85 一部改良品
87 改良品
89 内部空間
91 内部空間
L 全長
H 地上高さ
U 埋設深さ
M 元口側
N 末口側
W 幅方向
Y 長手方向
D 直径
G 球形粒子
E 余長
S1 鋼管成形工程
S2 鉄筋配設工程
S3 コンクリート部付着形成工程
S4 再生PET粉体塗装工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定径の鋼管(3)と、該鋼管の内部に付着形成されたコンクリート部(5)とを備える鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記コンクリート部は、前記鋼管の内周部に遠心成形または振動成形により一体付着形成されており、該コンクリート部の外周面と前記鋼管の内周面との境界には、凹凸接合構造(11)が形成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項2】
請求項1記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記凹凸接合構造(11)は、前記鋼管(3)の内周面に施したブラスト処理による目粗し(13)によって形成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項3】
請求項1記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記凹凸接合構造(11)は、前記鋼管(3)の内周面に取り付けた凸部材(15)によって形成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項4】
請求項1記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記凹凸接合構造(11)は、前記鋼管(3)の内周面に形成した螺旋溝(17)によって構成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記鋼管(3)の内周部には同心円上に所定間隔で複数本の鉄筋(19)が鋼管の長手方向に沿うように配設されており、
前記コンクリート部(5)は、前記鋼管(3)の内周面と前記鉄筋(19)の外周面とに付着形成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項6】
請求項5記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記鋼管(3)の両端の内周部には、リング状の鉄筋支持部(21)が設けられており、前記鉄筋(19)は、前記両端の鉄筋支持部間で所定の引張力を加えられた状態で固着されることにより当該鋼管(3)に対して所定の圧縮力を付与するプレストレストコンクリート用のPC鉄筋であることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項7】
請求項5または6に記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記鉄筋(19)は、繊維材料によって強化された繊維強化ロッドであることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記コンクリート部(5)は、砂、砂利を骨材とし、熱硬化性樹脂を結合材として使用するレジンコンクリートを材料として形成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記コンクリート部(5)は、前記鋼管(3)の内周面に遠心成形により一体付着形成された管状構造コンクリート部(7)によって構成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記管状コンクリート部(7)の内部空間全体には更に中心コンクリート(9)が充填されて全体として中実構造によって構成されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールにおいて、
前記鋼管(3)の外周面の地際部(23)には、再生ポリエチレンテレフタレート材料を使用した粉体塗装が施されていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポール。
【請求項12】
内周面に凹凸接合構造(11)を形成した所定径の鋼管(3)を成形するステップと、
前記凹凸接合構造(11)が形成された鋼管(3)の内周部に遠心成形または振動成形によりコンクリート部(5)を一体的に付着形成するステップと、
を具備することを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項13】
内周面に凹凸接合構造(11)を形成した所定径の鋼管(3)を成形するステップと、
前記鋼管(3)の内周部に鋼管の長手方向に沿うように複数本の鉄筋(19)を同心円上に所定間隔で配設するステップと、
前記凹凸接合構造(11)が形成された鋼管(3)の内周部に遠心成形または振動成形によりコンクリート部(5)を一体的に付着形成するステップと、
を具備することを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記所定径の鋼管(3)を成形するステップには、前記鋼管の両端の内周部にリング状の鉄筋支持部(21)を設置するステップが含まれており、
前記鉄筋(19)を配設するステップには、前記鉄筋を前記鋼管の両端の鉄筋支持部(21)間で所定の引張力を加えた状態で固着することによって前記鋼管に圧縮力を付与するステップが含まれていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記凹凸接合構造(11)は、前記所定径の鋼管(3)を成形するステップには、所定サイズの平板状の鋼材(25)を用意するステップと、
前記用意された鋼材(25)の一面に凹凸接合構造(11)を形成するステップと、
前記凹凸接合構造(11)が形成された面を内側にして前記鋼材(25)を幅方向に円環状に丸めて所定径の鋼管(3)に成形するステップと、
が含まれていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項16】
請求項12乃至15の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記凹凸接合構造(11)を形成するステップは、前記鋼管(3)の内周面にブラスト処理を施して目粗し(13)を形成するか、又は前記鋼管(3)の内周面に凸部材(15)を取り付けるか、又は前記鋼管(3)の内周面に螺旋溝(17)を形成することによって行うことを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項17】
請求項12乃至16の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記コンクリート部(5)を付着形成するステップには、前記鋼管(3)の内周面に遠心成形によって管状構造のコンクリート管部(7)を一体的に付着形成するステップが含まれていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記コンクリート部(5)を付着形成するステップには、前記鋼管(3)の内周面にコンクリート管部(7)が付着形成された後、該コンクリート管部の内部空間にコンクリート原料を再度打設してコンクリート芯部(9)を形成してコンクリート部を中実構造にするステップが含まれていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項19】
請求項12乃至16の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記コンクリート部(5)を付着形成するステップには、前記鋼管(3)の内部空間に振動成形によってコンクリート原料を充填して中実構造にするステップが含まれていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。
【請求項20】
請求項12乃至19の何れかに記載の鋼管コンクリート複合ポールの製造方法において、
前記鋼管(3)の外周面の地際部(23)に対して再生ポリエチレンテレフタレート材料を使用して粉体塗装を行うステップが含まれていることを特徴とする鋼管コンクリート複合ポールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−41738(P2012−41738A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184033(P2010−184033)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(390026103)大日コンクリート工業株式会社 (7)