鋼管内部防錆部材
【課題】鋼管内部の腐食を更に有効に抑制し、安全性を向上させた鋼管内部防錆部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る鋼管内部防錆部材10Aは、鋼管11の両端部の開口部12に設けられ、通気孔17を有する蓋部材13を有する。蓋部材13は、鋼管11の外側の側周面に設けられる接合筒15と、少なくとも接合筒15を閉塞し、鋼管11の両端部と所定間隔を持って設けられる蓋部16とを有する。
【解決手段】本発明に係る鋼管内部防錆部材10Aは、鋼管11の両端部の開口部12に設けられ、通気孔17を有する蓋部材13を有する。蓋部材13は、鋼管11の外側の側周面に設けられる接合筒15と、少なくとも接合筒15を閉塞し、鋼管11の両端部と所定間隔を持って設けられる蓋部16とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントなどで使用される装置、機器の鋼管の内部の腐食を防止するのに好適な鋼管内部防錆部材に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管の製作過程、搬送時、保管において、鋼管の内部が外気と触れると外気の湿度により鋼管の内部には錆が発生しやすくなる。従来、鋼管の内部に錆が発生することを防止するため、鋼管の内部に気化性防錆剤を封入して鋼管の両端にキャップを取り付けてテープでシールして外気の進入を抑制し、鋼管の内部に錆が発生することを防止する防錆方法が提案されていた(例えば、特許文献1、2、参照)。
【0003】
鋼管の内部に錆が発生するのをより有効に抑制し、鋼管の内部の腐食を防止するため、例えば、特許文献1では、気化性防錆剤を封入した金属対象物の開口部の蓋に通湿性素材で撥水加工した多孔性素材を用い、適度な通気性を確保して温度変化に起因する鋼管の内部の結露を効果的に抑制している。また、特許文献2では、鋼管の内部に炭酸アンモニウムを更に封入し、鋼管の内部に封入した気化性防錆材の長寿命化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−20232号公報
【特許文献2】特公平5−1676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、鋼管の通常の保管期間が1ヶ月〜6ヶ月あるいはそれ以上の期間の場合、期間中に外気の気温差等の影響により鋼管の内部に雨水等が進入したり結露が生じることを十分抑制できないため、気化性防錆剤の寿命が短くなり、結果的に鋼管内部の発錆を有効に防止できない、という問題があった。
【0006】
すなわち、降雨時などにおいては、鋼管の表面温度が低下すると鋼管内部の温度は低下して減圧し、鋼管の両端に取り付けたキャップをテープ等でシールしたシール部から雨水が浸入し、シール部を通して、雨水が浸入する。また、雨が上がって、鋼管の表面温度が上昇し、鋼管内部の温度が上昇すると、鋼管内の空気のみが排出され、鋼管内部に侵入した雨水は、そのまま鋼管内に留まり腐食(錆)を発生する。また、鋼管内に侵入した雨水等に対しては気化性防錆剤は殆ど効果がないため、腐食(錆)の発生を有効に抑制できない。更に、鋼管の両端に取り付けたキャップが鋼管の内側に取り付ける内蓋方式の場合、炎天下などで鋼管を保管すると、鋼管内部の気体温度の上昇に伴い、鋼管内部の圧力が上昇するため、キャップなどが鋼管から外れる虞がある。
【0007】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、鋼管内部の腐食を更に有効に抑制し、安全性を向上させた鋼管内部防錆部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、鋼管の両端の開口部に設けられ、少なくとも1つ以上の通気孔を有する蓋部材を少なくとも1つ有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記蓋部材は、前記鋼管の端部の外側または内側の側周面に設けられる接合筒と、少なくとも前記接合筒を閉塞し、前記鋼管の端部と所定間隔を持って設けられる蓋部と、を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記通気孔が前記蓋部に設けられ、前記蓋部材は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側と内側との何れか一方又は両方に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記筒状部の少なくとも一部を連続して屈曲させることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0012】
第5の発明は、第2乃至第4の何れか1つの発明において、前記接合筒の一部が、ベローズ部材であることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0013】
第6の発明は、第3又は第4の発明において、前記筒状部の一部をかぎ型に屈折させることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0014】
第7の発明は、第2乃至第6の何れか1つの発明において、前記接合筒の端部につば部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0015】
第8の発明は、第2乃至第5の何れか1つの発明において、前記接合筒の端部に前記鋼管の端部を閉塞するように設けられるかさ部を有し、前記接合筒の一部に通気孔が設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0016】
第9の発明は、第2の発明において、前記蓋部材は、前記接合筒の一部に少なくとも1つの通気孔を有し、前記接合筒に少なくとも2つの蓋部を設けると共に、前記蓋部に前記通気孔が各々設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0017】
第10の発明は、第9の発明において、前記接合部が前記鋼管の内側の側周面に設けられ、前記蓋部材は、前記鋼管の内部であって前記接合筒の端部に設けられる第1の蓋部と、前記鋼管の外部であって前記接合筒の端部に、前記鋼管の外周よりも長くして設けられる第2の蓋部とを有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0018】
第11の発明は、第9又は第10の発明において、前記蓋部は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側または内側に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0019】
第12の発明は、第1乃至第11の発明の何れか1つの発明において、前記鋼管の内側と外側との何れか一方または両方に気化性防錆剤を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鋼管内部の腐食を更に有効に抑制し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明による実施例1に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、鋼管内外への気化ガスの出入りを示す図である。
【図3】図3は、防錆剤への気化ガスの吸着を示す図である。
【図4】図4は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図5】図5は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図6】図6は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図7】図7は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図8】図8は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図9】図9は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図10】図10は、鋼管の外部に気化性防錆剤を設けた状態を示す図である。
【図11】図11は、本発明による実施例2に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明による実施例3に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明による実施例4に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図14】図14は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施例につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0023】
本発明による実施例1に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図であり、図2は、鋼管内外への気化ガスの出入りを示す図であり、図3は、防錆剤への気化ガスの吸着を示す図である。図1に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aは、鋼管11の両端の開口部12に設けられた一対の蓋部材13Aを有する。
【0024】
鋼管11は、火力発電プラントなどプラント設備において使用される装置、機器などの鋼管である。
【0025】
蓋部材13Aは、鋼管11の端部の外側の側周面に設けられる接合筒15と、少なくとも接合筒15を閉塞し、鋼管11の端部と所定間隔を持って設けられる蓋部16とを有する。蓋部材13Aは、蓋部16に通気孔17が設けられている。接合筒15は鋼管11とテープなどシール部材18を用いてシールされ、固定されている。通気孔17の断面形状は、円形、角型など任意の形状とすることができる。
【0026】
鋼管11の内部の空気19は、温度変化に伴い収縮膨張を繰り返すが、蓋部16に通気孔17を設けているため、図2に示すように、鋼管11の外内の空気19は通気孔17を通して鋼管11の外内を出入りする。これにより、鋼管11の内部が加圧状態や減圧状態となることは無いため、鋼管11の外部と内部で差圧が生じることを抑制することができる。鋼管11と蓋部材13Aとは、鋼管11の外部から雨水が浸入するのを抑制するためシール部材18が設けられているが、蓋部16に通気孔17を設けているため、降雨時等においても、鋼管11の内部が減圧になることはないため、シール部材18の隙間から雨水が吸い込まれて、シール部材18の隙間を通して雨水が鋼管11の内部に浸入することを抑制することができる。
【0027】
よって、鋼管11の内部に腐食が発生するのを抑制することができると共に、蓋部材13Aが鋼管11の内外の気圧差に起因して外れることを抑制することができる。
【0028】
また、鋼管11の内部には気化性防錆剤21が設けられている。気化性防錆剤21としては、例えば、アミン系、アンモニウム系の気化性防錆剤が挙げられるが、アンモニウム系の気化性防錆剤が好適に用いられる。気化性防錆剤としては、例えば、ジシクロヘキシルアンモニウムニトレート(DICHAN)、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)、グアニジンカーボネート、メルカプトベンゾチアゾール、シクロヘキシルアンモニウムカプリレート、ジイソプロピルアミンナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムラウレート、シクロヘキシルアンモニウムカルバメート安息香酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト(DICHAN)、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート(DICHA・SA)、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート(DICHA・BA)、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート(DIPA・BA)、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト(DIPAN)、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト(NITAN)、ジシクロヘキシルアンモニウムカプリレート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート(DICHA・CHC)、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート(DICHA・AA)、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジシクロヘキシルアンモニウムカプリレート、シクロヘキシルアンモニウムラウレート等が挙げられる。これらの中でも、特にジシクロヘキシルアンモニウムニトレート(DICHAN)、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)、グアニジンカーボネート、メルカプトベンゾチアゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。これら物質は気化性(昇華性)であり、鋼管11などの材料として用いられるSUS430等に対して優れた腐食防止の効果を発揮し、かつ安全性が高いため好ましい。また、これら物質は、一般に有機組成物に混練されることから粉末であることが望ましい。また、気化性防錆剤は、単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。特に、ジシクロヘキシルアンモニウムニトレート(DICHAN)とジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)とを組み合わせて用いると良い。ジシクロヘキシルアンモニウムニトレートは一定温度における蒸気圧がジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)に比べて小さく防錆効果が長いという利点があり、ジイソプロピルアンモニウムニトレートは初期の防錆効果が優れている。そのため、両者を組み合わせた場合、適度な防錆効果を長期間にわたって発揮することができる。
【0029】
鋼管11の内部に気化性防錆剤21を設けることで、僅かな気化反応を長期間、継続して進行させることができる。気化性防錆剤21から生じた気化ガス22は通気孔17を通して系外へ排出されるため、鋼管11の内部の気化性防錆剤21の気化ガス濃度の上昇が抑制されるため、鋼管11の内部の気化ガス22の有効濃度を維持することができ、鋼管11の安全性を高めることができる。
【0030】
また、鋼管11の内壁が結露すると、図3に示すように、鋼管11の内部に結露水23が生じるが、気化性防錆剤21から生じた気化ガス22は鋼管11の内壁に付着した結露水23に吸収されるため、鋼管11の内壁に付着した結露水23のpHが上昇し、鋼管11内に錆が発生するのを抑制することができる。
【0031】
また、鋼管11の内壁に付着した結露水23は、換気や気温の上昇に伴い、蒸発し通気孔17を通して系外へ排出される。
【0032】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aは、鋼管11の内部と外側とで差圧が生じることはなく鋼管11の内部が減圧状態になることは無いため、鋼管11の外部から雨水が浸入することを抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを抑制することができると共に、蓋部材13Aが鋼管11の内外の気圧差に起因して外れることを抑制することができる。また、気化性防錆剤21から生じる気化ガス22の鋼管11の内部における濃度が上昇するのを抑制し有効に保つことができるため、鋼管11内の安全性を確保することができる。
【0033】
また、本実施例においては、鋼管内部防錆部材10Aの蓋部材13Aは接合筒15と蓋部16とのみで構成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、鋼管11の形状や長さなどに対応して設けるようにしてもよい。蓋部材13Aの他の構成を図4〜図10に示す。
【0034】
図4に示すように、通気孔17が蓋部16に設けられている場合、蓋部材13Bは、蓋部16の通気孔17に鋼管11の外側に延設して設けられた筒状部24Aを有するようにしてもよい。筒状部24Aの断面形状は、通気孔17の孔形に応じて適宜変更でき、円形、角型などの形状とすることができる。蓋部16の通気孔17に鋼管11の外側に向かって筒状部24Aを設けることにより、鋼管11の通気孔17に結露水23が付着するのを抑制することができると共に、鋼管11の内部への空気19の進入を抑制することができる。
【0035】
また、蓋部材13Bは接合筒15の端部につば部25を設けるようにしてもよい。接合筒15の端部につば部25を設けることで、筒状部24Aを蓋部16の通気孔17から鋼管11の外部に設ける場合、外部から筒状部24Aが衝撃を受けた際に筒状部24Aが破損するのを軽減することができる。
【0036】
なお、このつば部25は接合筒15の端部に必ずしも設ける必要はなく、筒状部24Aが外部から衝撃を受ける確率が低い場合などでは、つば部25は接合筒15の端部に設けなくてもよい。
【0037】
また、蓋部材13Bは、蓋部16の外側に筒状部24を設けるようにしているが、これに限定されるものはなく、図5に示すように、蓋部材13Cは蓋部16の通気孔17に鋼管11の内側に延設して設けられた筒状部24Bを有するようにしてもよい。
【0038】
また、筒状部24A、24Bは円筒状に形成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の形状の部材を含んでいてもよい。図6は、蓋部材13Aの他の構成を示す図である。図6に示す蓋部材13Dのように、一部を連続して屈曲させた屈曲部26を有する筒状部24Cを有するようにしてもよい。屈曲部26は通気孔17から鋼管11の内部方向に向かって蛇行して形成されている。これにより、筒状部24Cの少なくとも一部に屈曲部26を設けることにより、鋼管11の内部への空気19の進入を抑制することができる。
【0039】
また、接合筒15は鋼管11の外壁に取り付けられるように円筒状に形成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の形状の部材を含んでいてもよい。図7は、蓋部材13Aの他の構成を示す図である。図7に示す蓋部材13Eのように、接合筒15の一部にベローズ部材27を含むようにしてもよい。接合筒15と蓋部16とはベローズ部材27を介して連結されている。ベローズ部材27は蛇腹状に形成されているため、蓋部材13Eが外部から衝撃を受けてもベローズ部材27により衝撃を緩衝することができるため、蓋部材13Eが破損するのを軽減することができる。
【0040】
本実施例においては、ベローズ部材27は接合筒15の端部に設け、蓋部16と連結するようにしているが、これに限定されるものではなく、接合筒15の間の一部をベローズ部材27としてもよい。
【0041】
本実施例においては、蓋部材13Eのベローズ部材27の形状は蛇腹状に形成されているが、これに限定されるものではなく、ピストン部材、弾性部材など蓋部材13Eが外部から衝撃を受けた際に緩衝できる緩衝部材であればよい。
【0042】
また、筒状部24Aは通気孔17の形状に対応して円筒状に形成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の形状の部材を含んでいてもよい。図8は、蓋部材13Aの他の構成を示す図である。図8に示す蓋部材13Fのように、一部をかぎ型に屈折させた筒状部24Dを有するようにしてもよい。筒状部24Dは蓋部16の通気孔17から鋼管11の外側方向に設けられ、端部28の向きを接合筒15およびつば部25の設けられている周方向となるように形成して設けるようにしてもよい。これにより、鋼管11の内部への空気19(図2参照)の進入を抑制することができる。
【0043】
蓋部材13Fの他の構成を図9に示す。図9に示すように、蓋部材13Gは、蓋部16の通気孔17から鋼管11の外側に設けられ、端部28の向きを接合筒15およびつば部25の設けられている周方向とし、蛇腹状に設けた筒状部24Dを有するようにしてもよい。これにより、鋼管11の内部への空気19(図2参照)の進入を更に効率よく抑制することができる。
【0044】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aにおいては、鋼管11の内部に気化性防錆剤21を設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、図10に示すように、鋼管11の外部に気化性防錆剤21を設けるようにしてもよい。
【0045】
このように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aによれば、鋼管11の形状や長さなどに対応しながら、鋼管11の端部の開口部12に蓋部材13Aを設けることができ、鋼管11の内外で気圧差が生じることを抑制することができる。このため、鋼管11の内部への雨水の浸入することを抑制し、鋼管11の内部に腐食が発生することを抑制することができると共に、蓋部材13Aが鋼管11から外れることを抑制することができる。また、鋼管11内に気化性防錆剤21を設けても気化性防錆剤21から生じる気化ガス22の鋼管11の内部における濃度有効に保つことができるため、鋼管11内の安全性を確保することができる。
【0046】
なお、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aにおいては、蓋部材13A〜13Eは鋼管11の両端に設けているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、鋼管11の一方のみが開口しているような場合には、鋼管内部防錆部材10Aは、蓋部材13A〜13Gに1つのみ設けるようにしてもよい。
【実施例2】
【0047】
本発明による実施例2に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成は、上述の図1に示す鋼管内部防錆部材の構成と同様であるため、鋼管内部防錆部材と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0048】
図11は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。図11に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bは、鋼管11の外側の側周面に設けられている接合筒15と、接合筒15に設けられる蓋部16−1、16−2とを備える蓋部材31Aを有する。蓋部16−1、16−2は鋼管11の開口部12側から外側に向かって順に蓋部16−1、16−2が設けられている。また、蓋部材31Aは、蓋部16−1、16−2の各々の通気孔17−1、17−2には鋼管11の外側に向かって延設して設けられた筒状部24A−1、24A−2を有する。また、接合筒15の一部には通気孔32が設けられている。
【0049】
鋼管11の内部の空気は通気孔17−1を通過した後、通気孔17−2、32を通過して鋼管11の外部に送給される。また、鋼管11の外部の空気は通気孔17−2、32を通過した後、通気孔17−1を通過して鋼管11の内部に送給される。
【0050】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bによれば、接合筒15に蓋部16−1、16−2を設け、空気19(図2参照)の通る通気孔が二重に構成されている。そのため、鋼管11の内部への雨水の浸入を更に効率よく抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを更に効率よく抑制することができる。
【0051】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、接合筒15に通気孔32を1つ設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、通気孔32は接合筒15に複数設けるようにしてもよい。
【0052】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、蓋部材31Aは接合筒15に蓋部を2つ設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、鋼管11の大きさ、形状などに応じて3つ以上設けるようにしてもよい。
【0053】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、蓋部材31Aは蓋部16−1、16−2に筒状部24A−1、24A−2を設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、筒状部24A−1、24A−2は蓋部16−1、16−2に設けなくてもよい。
【0054】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、筒状部24A−1、24A−2は鋼管11の外側を向くように設けられているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、筒状部24は鋼管11の内側を向くように設けるようにしてもよい。
【実施例3】
【0055】
本発明による実施例3に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成は、上述の図1に示す鋼管内部防錆部材の構成と同様であるため、鋼管内部防錆部材と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0056】
図12は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。図12に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cは、鋼管11の内側の側周面に設けられている接合筒15と、接合筒15の両端部に設けられる第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2とを有する蓋部材31Bを有する。第1の蓋部16−1は鋼管11の内部に設けられている。第2の蓋部16−2は鋼管11の開口部12より外側に設けられ、鋼管11の長さ方向に対して直交する方向における断面の大きさは鋼管11の外周よりも大きく形成されている。また、蓋部材31Bは第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2の各々の通気孔17−1、17−2に鋼管11の外側方向に延設して設けられた筒状部24A−1、24A−2を有する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cにおいては、鋼管11は垂直に設けられ、鋼管11の開口部12を下向きとしているため、筒状部24A−1、24A−2は第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2を下向きに設けている。また、第1の蓋部16−1と連結する接合筒15の端部にはつば部25が設けられている。また、接合筒15と鋼管11とは溶接33などを行い固定されている。
【0057】
鋼管11の内部の空気は通気孔17−1を通過して鋼管11内を降下した後、通気孔17−2を通過して鋼管11の外部に送給される。また、鋼管11の外部の空気は通気孔17−2を通過した後、上昇し、通気孔17−1を通過して鋼管11の内部に送給される。
【0058】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cによれば、接合筒15に第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2を設け、空気19(図2参照)の通る通気孔が二重に構成されている。そのため、鋼管11を垂直にして空気19(図2参照)の流れ方向を垂直方向となるようにして、空気19(図2参照)の排出口が下向きとなるように構成しても鋼管11の内部への雨水の浸入を更に効率よく抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを更に効率よく抑制することができる。
【0059】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cにおいては、筒状部24A−1、24A−2は第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2を下向きに設けているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、筒状部24A−1、24A−2は鋼管11の内側を向くように設けるようにしてもよい。
【実施例4】
【0060】
本発明による実施例4に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成は、上述の図1に示す鋼管内部防錆部材の構成と同様であるため、鋼管内部防錆部材と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0061】
図13は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。図13に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dは、鋼管11の内周面に設けられる接合筒15と、蓋部16と、接合筒15の端部に鋼管11の端部を閉塞するように設けられるかさ部41とを有する蓋部材42Aを有する。また、接合筒15の一部には通気孔43が設けられている。蓋部16は接合筒15の内壁の側周面の一部に設けられている。蓋部16の通気孔17にはかさ部41の方向に筒状部24Aが設けられている。通気孔43の断面形状は、円形、角型など任意の形状とすることができる。
【0062】
鋼管11の内部の空気は鋼管11内を上昇して通気孔17を通過した後、蓋部16とかさ部41との空間に侵入し、接合筒15の一部に設けた通気孔43から鋼管11の外部に排出される。また、鋼管11の外部の空気は接合筒15の一部に設けた通気孔43から蓋部16とかさ部41との空間に侵入して通気孔17を通過した後、鋼管11の内部を下降し鋼管11の内部に進入する。
【0063】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dによれば、接合筒15に蓋部16とかさ部41とを設け、蓋部16には通気孔17を設け、かさ部41には通気孔43を設け、空気19(図2参照)の通る通気孔が二重に構成されている。そのため、鋼管11を垂直にして空気19(図2参照)の流れ方向を垂直方向となるようにして空気19(図2参照)の排出口が上向きとなるように構成しても鋼管11の内部への雨水の浸入を更に効率よく抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを更に効率よく抑制することができる。
【0064】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dにおいては、接合筒15に通気孔43を1つ設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、通気孔43は接合筒15に複数設けるようにしてもよい。
【0065】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dにおいては、接合筒15は鋼管11の内周に設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、図14に示すように、接合筒15は鋼管11の外周に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10A〜10D 鋼管内部防錆部材
11 鋼管
12 開口部
13A〜13G、31A、31B、42A、42B 蓋部材
15 接合筒
16、16−1、16−2 蓋部
17、17−1、17−2、32、43 通気孔
18 シール部材
19 空気
21 気化性防錆剤
22 気化ガス
23 結露水
24A〜24E、24A−1、24A−2 筒状部
25 つば部
26 屈曲部
27 ベローズ部材
28 端部
33 溶接
41 かさ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントなどで使用される装置、機器の鋼管の内部の腐食を防止するのに好適な鋼管内部防錆部材に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管の製作過程、搬送時、保管において、鋼管の内部が外気と触れると外気の湿度により鋼管の内部には錆が発生しやすくなる。従来、鋼管の内部に錆が発生することを防止するため、鋼管の内部に気化性防錆剤を封入して鋼管の両端にキャップを取り付けてテープでシールして外気の進入を抑制し、鋼管の内部に錆が発生することを防止する防錆方法が提案されていた(例えば、特許文献1、2、参照)。
【0003】
鋼管の内部に錆が発生するのをより有効に抑制し、鋼管の内部の腐食を防止するため、例えば、特許文献1では、気化性防錆剤を封入した金属対象物の開口部の蓋に通湿性素材で撥水加工した多孔性素材を用い、適度な通気性を確保して温度変化に起因する鋼管の内部の結露を効果的に抑制している。また、特許文献2では、鋼管の内部に炭酸アンモニウムを更に封入し、鋼管の内部に封入した気化性防錆材の長寿命化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−20232号公報
【特許文献2】特公平5−1676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、鋼管の通常の保管期間が1ヶ月〜6ヶ月あるいはそれ以上の期間の場合、期間中に外気の気温差等の影響により鋼管の内部に雨水等が進入したり結露が生じることを十分抑制できないため、気化性防錆剤の寿命が短くなり、結果的に鋼管内部の発錆を有効に防止できない、という問題があった。
【0006】
すなわち、降雨時などにおいては、鋼管の表面温度が低下すると鋼管内部の温度は低下して減圧し、鋼管の両端に取り付けたキャップをテープ等でシールしたシール部から雨水が浸入し、シール部を通して、雨水が浸入する。また、雨が上がって、鋼管の表面温度が上昇し、鋼管内部の温度が上昇すると、鋼管内の空気のみが排出され、鋼管内部に侵入した雨水は、そのまま鋼管内に留まり腐食(錆)を発生する。また、鋼管内に侵入した雨水等に対しては気化性防錆剤は殆ど効果がないため、腐食(錆)の発生を有効に抑制できない。更に、鋼管の両端に取り付けたキャップが鋼管の内側に取り付ける内蓋方式の場合、炎天下などで鋼管を保管すると、鋼管内部の気体温度の上昇に伴い、鋼管内部の圧力が上昇するため、キャップなどが鋼管から外れる虞がある。
【0007】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、鋼管内部の腐食を更に有効に抑制し、安全性を向上させた鋼管内部防錆部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、鋼管の両端の開口部に設けられ、少なくとも1つ以上の通気孔を有する蓋部材を少なくとも1つ有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記蓋部材は、前記鋼管の端部の外側または内側の側周面に設けられる接合筒と、少なくとも前記接合筒を閉塞し、前記鋼管の端部と所定間隔を持って設けられる蓋部と、を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記通気孔が前記蓋部に設けられ、前記蓋部材は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側と内側との何れか一方又は両方に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記筒状部の少なくとも一部を連続して屈曲させることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0012】
第5の発明は、第2乃至第4の何れか1つの発明において、前記接合筒の一部が、ベローズ部材であることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0013】
第6の発明は、第3又は第4の発明において、前記筒状部の一部をかぎ型に屈折させることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0014】
第7の発明は、第2乃至第6の何れか1つの発明において、前記接合筒の端部につば部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0015】
第8の発明は、第2乃至第5の何れか1つの発明において、前記接合筒の端部に前記鋼管の端部を閉塞するように設けられるかさ部を有し、前記接合筒の一部に通気孔が設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0016】
第9の発明は、第2の発明において、前記蓋部材は、前記接合筒の一部に少なくとも1つの通気孔を有し、前記接合筒に少なくとも2つの蓋部を設けると共に、前記蓋部に前記通気孔が各々設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0017】
第10の発明は、第9の発明において、前記接合部が前記鋼管の内側の側周面に設けられ、前記蓋部材は、前記鋼管の内部であって前記接合筒の端部に設けられる第1の蓋部と、前記鋼管の外部であって前記接合筒の端部に、前記鋼管の外周よりも長くして設けられる第2の蓋部とを有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0018】
第11の発明は、第9又は第10の発明において、前記蓋部は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側または内側に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【0019】
第12の発明は、第1乃至第11の発明の何れか1つの発明において、前記鋼管の内側と外側との何れか一方または両方に気化性防錆剤を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鋼管内部の腐食を更に有効に抑制し、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明による実施例1に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、鋼管内外への気化ガスの出入りを示す図である。
【図3】図3は、防錆剤への気化ガスの吸着を示す図である。
【図4】図4は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図5】図5は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図6】図6は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図7】図7は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図8】図8は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図9】図9は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【図10】図10は、鋼管の外部に気化性防錆剤を設けた状態を示す図である。
【図11】図11は、本発明による実施例2に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明による実施例3に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明による実施例4に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。
【図14】図14は、蓋部材の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施例につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0023】
本発明による実施例1に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図であり、図2は、鋼管内外への気化ガスの出入りを示す図であり、図3は、防錆剤への気化ガスの吸着を示す図である。図1に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aは、鋼管11の両端の開口部12に設けられた一対の蓋部材13Aを有する。
【0024】
鋼管11は、火力発電プラントなどプラント設備において使用される装置、機器などの鋼管である。
【0025】
蓋部材13Aは、鋼管11の端部の外側の側周面に設けられる接合筒15と、少なくとも接合筒15を閉塞し、鋼管11の端部と所定間隔を持って設けられる蓋部16とを有する。蓋部材13Aは、蓋部16に通気孔17が設けられている。接合筒15は鋼管11とテープなどシール部材18を用いてシールされ、固定されている。通気孔17の断面形状は、円形、角型など任意の形状とすることができる。
【0026】
鋼管11の内部の空気19は、温度変化に伴い収縮膨張を繰り返すが、蓋部16に通気孔17を設けているため、図2に示すように、鋼管11の外内の空気19は通気孔17を通して鋼管11の外内を出入りする。これにより、鋼管11の内部が加圧状態や減圧状態となることは無いため、鋼管11の外部と内部で差圧が生じることを抑制することができる。鋼管11と蓋部材13Aとは、鋼管11の外部から雨水が浸入するのを抑制するためシール部材18が設けられているが、蓋部16に通気孔17を設けているため、降雨時等においても、鋼管11の内部が減圧になることはないため、シール部材18の隙間から雨水が吸い込まれて、シール部材18の隙間を通して雨水が鋼管11の内部に浸入することを抑制することができる。
【0027】
よって、鋼管11の内部に腐食が発生するのを抑制することができると共に、蓋部材13Aが鋼管11の内外の気圧差に起因して外れることを抑制することができる。
【0028】
また、鋼管11の内部には気化性防錆剤21が設けられている。気化性防錆剤21としては、例えば、アミン系、アンモニウム系の気化性防錆剤が挙げられるが、アンモニウム系の気化性防錆剤が好適に用いられる。気化性防錆剤としては、例えば、ジシクロヘキシルアンモニウムニトレート(DICHAN)、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)、グアニジンカーボネート、メルカプトベンゾチアゾール、シクロヘキシルアンモニウムカプリレート、ジイソプロピルアミンナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムラウレート、シクロヘキシルアンモニウムカルバメート安息香酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト(DICHAN)、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート(DICHA・SA)、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート(DICHA・BA)、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート(DIPA・BA)、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト(DIPAN)、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト(NITAN)、ジシクロヘキシルアンモニウムカプリレート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート(DICHA・CHC)、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート(DICHA・AA)、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジシクロヘキシルアンモニウムカプリレート、シクロヘキシルアンモニウムラウレート等が挙げられる。これらの中でも、特にジシクロヘキシルアンモニウムニトレート(DICHAN)、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)、グアニジンカーボネート、メルカプトベンゾチアゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。これら物質は気化性(昇華性)であり、鋼管11などの材料として用いられるSUS430等に対して優れた腐食防止の効果を発揮し、かつ安全性が高いため好ましい。また、これら物質は、一般に有機組成物に混練されることから粉末であることが望ましい。また、気化性防錆剤は、単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。特に、ジシクロヘキシルアンモニウムニトレート(DICHAN)とジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)とを組み合わせて用いると良い。ジシクロヘキシルアンモニウムニトレートは一定温度における蒸気圧がジイソプロピルアンモニウムニトレート(DIPAN)に比べて小さく防錆効果が長いという利点があり、ジイソプロピルアンモニウムニトレートは初期の防錆効果が優れている。そのため、両者を組み合わせた場合、適度な防錆効果を長期間にわたって発揮することができる。
【0029】
鋼管11の内部に気化性防錆剤21を設けることで、僅かな気化反応を長期間、継続して進行させることができる。気化性防錆剤21から生じた気化ガス22は通気孔17を通して系外へ排出されるため、鋼管11の内部の気化性防錆剤21の気化ガス濃度の上昇が抑制されるため、鋼管11の内部の気化ガス22の有効濃度を維持することができ、鋼管11の安全性を高めることができる。
【0030】
また、鋼管11の内壁が結露すると、図3に示すように、鋼管11の内部に結露水23が生じるが、気化性防錆剤21から生じた気化ガス22は鋼管11の内壁に付着した結露水23に吸収されるため、鋼管11の内壁に付着した結露水23のpHが上昇し、鋼管11内に錆が発生するのを抑制することができる。
【0031】
また、鋼管11の内壁に付着した結露水23は、換気や気温の上昇に伴い、蒸発し通気孔17を通して系外へ排出される。
【0032】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aは、鋼管11の内部と外側とで差圧が生じることはなく鋼管11の内部が減圧状態になることは無いため、鋼管11の外部から雨水が浸入することを抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを抑制することができると共に、蓋部材13Aが鋼管11の内外の気圧差に起因して外れることを抑制することができる。また、気化性防錆剤21から生じる気化ガス22の鋼管11の内部における濃度が上昇するのを抑制し有効に保つことができるため、鋼管11内の安全性を確保することができる。
【0033】
また、本実施例においては、鋼管内部防錆部材10Aの蓋部材13Aは接合筒15と蓋部16とのみで構成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、鋼管11の形状や長さなどに対応して設けるようにしてもよい。蓋部材13Aの他の構成を図4〜図10に示す。
【0034】
図4に示すように、通気孔17が蓋部16に設けられている場合、蓋部材13Bは、蓋部16の通気孔17に鋼管11の外側に延設して設けられた筒状部24Aを有するようにしてもよい。筒状部24Aの断面形状は、通気孔17の孔形に応じて適宜変更でき、円形、角型などの形状とすることができる。蓋部16の通気孔17に鋼管11の外側に向かって筒状部24Aを設けることにより、鋼管11の通気孔17に結露水23が付着するのを抑制することができると共に、鋼管11の内部への空気19の進入を抑制することができる。
【0035】
また、蓋部材13Bは接合筒15の端部につば部25を設けるようにしてもよい。接合筒15の端部につば部25を設けることで、筒状部24Aを蓋部16の通気孔17から鋼管11の外部に設ける場合、外部から筒状部24Aが衝撃を受けた際に筒状部24Aが破損するのを軽減することができる。
【0036】
なお、このつば部25は接合筒15の端部に必ずしも設ける必要はなく、筒状部24Aが外部から衝撃を受ける確率が低い場合などでは、つば部25は接合筒15の端部に設けなくてもよい。
【0037】
また、蓋部材13Bは、蓋部16の外側に筒状部24を設けるようにしているが、これに限定されるものはなく、図5に示すように、蓋部材13Cは蓋部16の通気孔17に鋼管11の内側に延設して設けられた筒状部24Bを有するようにしてもよい。
【0038】
また、筒状部24A、24Bは円筒状に形成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の形状の部材を含んでいてもよい。図6は、蓋部材13Aの他の構成を示す図である。図6に示す蓋部材13Dのように、一部を連続して屈曲させた屈曲部26を有する筒状部24Cを有するようにしてもよい。屈曲部26は通気孔17から鋼管11の内部方向に向かって蛇行して形成されている。これにより、筒状部24Cの少なくとも一部に屈曲部26を設けることにより、鋼管11の内部への空気19の進入を抑制することができる。
【0039】
また、接合筒15は鋼管11の外壁に取り付けられるように円筒状に形成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の形状の部材を含んでいてもよい。図7は、蓋部材13Aの他の構成を示す図である。図7に示す蓋部材13Eのように、接合筒15の一部にベローズ部材27を含むようにしてもよい。接合筒15と蓋部16とはベローズ部材27を介して連結されている。ベローズ部材27は蛇腹状に形成されているため、蓋部材13Eが外部から衝撃を受けてもベローズ部材27により衝撃を緩衝することができるため、蓋部材13Eが破損するのを軽減することができる。
【0040】
本実施例においては、ベローズ部材27は接合筒15の端部に設け、蓋部16と連結するようにしているが、これに限定されるものではなく、接合筒15の間の一部をベローズ部材27としてもよい。
【0041】
本実施例においては、蓋部材13Eのベローズ部材27の形状は蛇腹状に形成されているが、これに限定されるものではなく、ピストン部材、弾性部材など蓋部材13Eが外部から衝撃を受けた際に緩衝できる緩衝部材であればよい。
【0042】
また、筒状部24Aは通気孔17の形状に対応して円筒状に形成されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、他の形状の部材を含んでいてもよい。図8は、蓋部材13Aの他の構成を示す図である。図8に示す蓋部材13Fのように、一部をかぎ型に屈折させた筒状部24Dを有するようにしてもよい。筒状部24Dは蓋部16の通気孔17から鋼管11の外側方向に設けられ、端部28の向きを接合筒15およびつば部25の設けられている周方向となるように形成して設けるようにしてもよい。これにより、鋼管11の内部への空気19(図2参照)の進入を抑制することができる。
【0043】
蓋部材13Fの他の構成を図9に示す。図9に示すように、蓋部材13Gは、蓋部16の通気孔17から鋼管11の外側に設けられ、端部28の向きを接合筒15およびつば部25の設けられている周方向とし、蛇腹状に設けた筒状部24Dを有するようにしてもよい。これにより、鋼管11の内部への空気19(図2参照)の進入を更に効率よく抑制することができる。
【0044】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aにおいては、鋼管11の内部に気化性防錆剤21を設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、図10に示すように、鋼管11の外部に気化性防錆剤21を設けるようにしてもよい。
【0045】
このように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aによれば、鋼管11の形状や長さなどに対応しながら、鋼管11の端部の開口部12に蓋部材13Aを設けることができ、鋼管11の内外で気圧差が生じることを抑制することができる。このため、鋼管11の内部への雨水の浸入することを抑制し、鋼管11の内部に腐食が発生することを抑制することができると共に、蓋部材13Aが鋼管11から外れることを抑制することができる。また、鋼管11内に気化性防錆剤21を設けても気化性防錆剤21から生じる気化ガス22の鋼管11の内部における濃度有効に保つことができるため、鋼管11内の安全性を確保することができる。
【0046】
なお、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Aにおいては、蓋部材13A〜13Eは鋼管11の両端に設けているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、鋼管11の一方のみが開口しているような場合には、鋼管内部防錆部材10Aは、蓋部材13A〜13Gに1つのみ設けるようにしてもよい。
【実施例2】
【0047】
本発明による実施例2に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成は、上述の図1に示す鋼管内部防錆部材の構成と同様であるため、鋼管内部防錆部材と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0048】
図11は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。図11に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bは、鋼管11の外側の側周面に設けられている接合筒15と、接合筒15に設けられる蓋部16−1、16−2とを備える蓋部材31Aを有する。蓋部16−1、16−2は鋼管11の開口部12側から外側に向かって順に蓋部16−1、16−2が設けられている。また、蓋部材31Aは、蓋部16−1、16−2の各々の通気孔17−1、17−2には鋼管11の外側に向かって延設して設けられた筒状部24A−1、24A−2を有する。また、接合筒15の一部には通気孔32が設けられている。
【0049】
鋼管11の内部の空気は通気孔17−1を通過した後、通気孔17−2、32を通過して鋼管11の外部に送給される。また、鋼管11の外部の空気は通気孔17−2、32を通過した後、通気孔17−1を通過して鋼管11の内部に送給される。
【0050】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bによれば、接合筒15に蓋部16−1、16−2を設け、空気19(図2参照)の通る通気孔が二重に構成されている。そのため、鋼管11の内部への雨水の浸入を更に効率よく抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを更に効率よく抑制することができる。
【0051】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、接合筒15に通気孔32を1つ設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、通気孔32は接合筒15に複数設けるようにしてもよい。
【0052】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、蓋部材31Aは接合筒15に蓋部を2つ設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、鋼管11の大きさ、形状などに応じて3つ以上設けるようにしてもよい。
【0053】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、蓋部材31Aは蓋部16−1、16−2に筒状部24A−1、24A−2を設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、筒状部24A−1、24A−2は蓋部16−1、16−2に設けなくてもよい。
【0054】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Bにおいては、筒状部24A−1、24A−2は鋼管11の外側を向くように設けられているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、筒状部24は鋼管11の内側を向くように設けるようにしてもよい。
【実施例3】
【0055】
本発明による実施例3に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成は、上述の図1に示す鋼管内部防錆部材の構成と同様であるため、鋼管内部防錆部材と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0056】
図12は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。図12に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cは、鋼管11の内側の側周面に設けられている接合筒15と、接合筒15の両端部に設けられる第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2とを有する蓋部材31Bを有する。第1の蓋部16−1は鋼管11の内部に設けられている。第2の蓋部16−2は鋼管11の開口部12より外側に設けられ、鋼管11の長さ方向に対して直交する方向における断面の大きさは鋼管11の外周よりも大きく形成されている。また、蓋部材31Bは第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2の各々の通気孔17−1、17−2に鋼管11の外側方向に延設して設けられた筒状部24A−1、24A−2を有する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cにおいては、鋼管11は垂直に設けられ、鋼管11の開口部12を下向きとしているため、筒状部24A−1、24A−2は第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2を下向きに設けている。また、第1の蓋部16−1と連結する接合筒15の端部にはつば部25が設けられている。また、接合筒15と鋼管11とは溶接33などを行い固定されている。
【0057】
鋼管11の内部の空気は通気孔17−1を通過して鋼管11内を降下した後、通気孔17−2を通過して鋼管11の外部に送給される。また、鋼管11の外部の空気は通気孔17−2を通過した後、上昇し、通気孔17−1を通過して鋼管11の内部に送給される。
【0058】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cによれば、接合筒15に第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2を設け、空気19(図2参照)の通る通気孔が二重に構成されている。そのため、鋼管11を垂直にして空気19(図2参照)の流れ方向を垂直方向となるようにして、空気19(図2参照)の排出口が下向きとなるように構成しても鋼管11の内部への雨水の浸入を更に効率よく抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを更に効率よく抑制することができる。
【0059】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Cにおいては、筒状部24A−1、24A−2は第1の蓋部16−1、第2の蓋部16−2を下向きに設けているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、筒状部24A−1、24A−2は鋼管11の内側を向くように設けるようにしてもよい。
【実施例4】
【0060】
本発明による実施例4に係る鋼管内部防錆部材について、図面を参照して説明する。本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成は、上述の図1に示す鋼管内部防錆部材の構成と同様であるため、鋼管内部防錆部材と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0061】
図13は、本実施例に係る鋼管内部防錆部材の構成を示す概略図である。図13に示すように、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dは、鋼管11の内周面に設けられる接合筒15と、蓋部16と、接合筒15の端部に鋼管11の端部を閉塞するように設けられるかさ部41とを有する蓋部材42Aを有する。また、接合筒15の一部には通気孔43が設けられている。蓋部16は接合筒15の内壁の側周面の一部に設けられている。蓋部16の通気孔17にはかさ部41の方向に筒状部24Aが設けられている。通気孔43の断面形状は、円形、角型など任意の形状とすることができる。
【0062】
鋼管11の内部の空気は鋼管11内を上昇して通気孔17を通過した後、蓋部16とかさ部41との空間に侵入し、接合筒15の一部に設けた通気孔43から鋼管11の外部に排出される。また、鋼管11の外部の空気は接合筒15の一部に設けた通気孔43から蓋部16とかさ部41との空間に侵入して通気孔17を通過した後、鋼管11の内部を下降し鋼管11の内部に進入する。
【0063】
よって、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dによれば、接合筒15に蓋部16とかさ部41とを設け、蓋部16には通気孔17を設け、かさ部41には通気孔43を設け、空気19(図2参照)の通る通気孔が二重に構成されている。そのため、鋼管11を垂直にして空気19(図2参照)の流れ方向を垂直方向となるようにして空気19(図2参照)の排出口が上向きとなるように構成しても鋼管11の内部への雨水の浸入を更に効率よく抑制することができ、鋼管11の内部に腐食が発生することを更に効率よく抑制することができる。
【0064】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dにおいては、接合筒15に通気孔43を1つ設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、通気孔43は接合筒15に複数設けるようにしてもよい。
【0065】
また、本実施例に係る鋼管内部防錆部材10Dにおいては、接合筒15は鋼管11の内周に設けるようにしているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、図14に示すように、接合筒15は鋼管11の外周に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10A〜10D 鋼管内部防錆部材
11 鋼管
12 開口部
13A〜13G、31A、31B、42A、42B 蓋部材
15 接合筒
16、16−1、16−2 蓋部
17、17−1、17−2、32、43 通気孔
18 シール部材
19 空気
21 気化性防錆剤
22 気化ガス
23 結露水
24A〜24E、24A−1、24A−2 筒状部
25 つば部
26 屈曲部
27 ベローズ部材
28 端部
33 溶接
41 かさ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の両端の開口部に設けられ、少なくとも1つ以上の通気孔を有する蓋部材を少なくとも1つ有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記蓋部材は、
前記鋼管の端部の外側または内側の側周面に設けられる接合筒と、
少なくとも前記接合筒を閉塞し、前記鋼管の端部と所定間隔を持って設けられる蓋部と、
を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項3】
請求項2において、
前記通気孔が前記蓋部に設けられ、
前記蓋部材は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側と内側との何れか一方又は両方に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項4】
請求項3において、
前記筒状部の少なくとも一部を連続して屈曲させることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1つにおいて、
前記接合筒の一部が、ベローズ部材であることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項6】
請求項3又は4において、
前記筒状部の一部をかぎ型に屈折させることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか1つにおいて、
前記接合筒の端部につば部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項8】
請求項2乃至5の何れか1つにおいて、
前記接合筒の端部に前記鋼管の端部を閉塞するように設けられるかさ部を有し、
前記接合筒の一部に通気孔が設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項9】
請求項2において、
前記蓋部材は、前記接合筒の一部に少なくとも1つの通気孔を有し、
前記接合筒に少なくとも2つの蓋部を設けると共に、前記蓋部に前記通気孔が各々設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項10】
請求項9において、
前記接合部が前記鋼管の内側の側周面に設けられ、
前記蓋部材は、前記鋼管の内部であって前記接合筒の端部に設けられる第1の蓋部と、前記鋼管の外部であって前記接合筒の端部に、前記鋼管の外周よりも長くして設けられる第2の蓋部とを有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項11】
請求項9又は10において、
前記蓋部は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側または内側に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1つにおいて、
前記鋼管の内側と外側との何れか一方または両方に気化性防錆剤を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項1】
鋼管の両端の開口部に設けられ、少なくとも1つ以上の通気孔を有する蓋部材を少なくとも1つ有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記蓋部材は、
前記鋼管の端部の外側または内側の側周面に設けられる接合筒と、
少なくとも前記接合筒を閉塞し、前記鋼管の端部と所定間隔を持って設けられる蓋部と、
を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項3】
請求項2において、
前記通気孔が前記蓋部に設けられ、
前記蓋部材は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側と内側との何れか一方又は両方に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項4】
請求項3において、
前記筒状部の少なくとも一部を連続して屈曲させることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1つにおいて、
前記接合筒の一部が、ベローズ部材であることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項6】
請求項3又は4において、
前記筒状部の一部をかぎ型に屈折させることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか1つにおいて、
前記接合筒の端部につば部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項8】
請求項2乃至5の何れか1つにおいて、
前記接合筒の端部に前記鋼管の端部を閉塞するように設けられるかさ部を有し、
前記接合筒の一部に通気孔が設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項9】
請求項2において、
前記蓋部材は、前記接合筒の一部に少なくとも1つの通気孔を有し、
前記接合筒に少なくとも2つの蓋部を設けると共に、前記蓋部に前記通気孔が各々設けられることを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項10】
請求項9において、
前記接合部が前記鋼管の内側の側周面に設けられ、
前記蓋部材は、前記鋼管の内部であって前記接合筒の端部に設けられる第1の蓋部と、前記鋼管の外部であって前記接合筒の端部に、前記鋼管の外周よりも長くして設けられる第2の蓋部とを有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項11】
請求項9又は10において、
前記蓋部は、前記蓋部の前記通気孔に前記鋼管の外側または内側に延設して設けられた筒状部を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1つにおいて、
前記鋼管の内側と外側との何れか一方または両方に気化性防錆剤を有することを特徴とする鋼管内部防錆部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−233236(P2012−233236A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102965(P2011−102965)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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