鋼管杭の防食施工方法
【課題】海洋構造物の鋼管杭とその外周面に形成した各層とを十分に密着させ、防食をより高度に行うことができる防食施工方法の提供。
【解決手段】海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成する工程と、耐食性金属の薄板における長孔をスタッドボルトに貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って前記薄板からなる保護層を形成する工程と、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部をリベットで連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧する工程とを備える防食施工方法。
【解決手段】海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成する工程と、耐食性金属の薄板における長孔をスタッドボルトに貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って前記薄板からなる保護層を形成する工程と、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部をリベットで連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧する工程とを備える防食施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼管杭の防食施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯や干満帯は腐食の進行が早いため、表面に防食テープを巻き、またはさらに合成樹脂等の保護シートで被覆する防食施工が行われる。
このような防食施工に関連して、例えば特許文献1には、鋼管杭の外面に防食材含浸テープを設け、その外面に耐食金属のカバーを設け、耐食金属のカバーの両端部に設けた締付部をボルトナットで締め付けてなる防食被覆体が記載されている。
また、例えば特許文献2には、鋼管杭の外周面に密着して設けた防錆層と、該防錆層の外周面を覆う発泡プラスチック層と、該発泡プラスチック層を外周から加圧しその外周面を覆うチタンまたはチタン合金の薄板製の保護カバーとを有する複数の帯状の防食帯を、鋼管杭の飛沫帯・干満帯に縦方向に並べて配することを特徴とする、鋼管杭の防食施工方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭59−9702号公報
【特許文献2】特開平9−302701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の防食被覆体の場合、締付部が、鋼管杭の長手方向であって鋼管杭から外向きに突き出るように形成される。また、上記の特許文献2に記載の防食施工方法の場合も同様に、鋼管杭の長手方向にサヤ管が設置される。このような場合、締付部やサヤ管に、漂流物や小舟が衝突し損壊し易いという問題があった。
また、上記の特許文献2に記載されたような従来の方法によれば、鋼管杭の防食施工を行うことができるものの、鋼管杭とその外周面に形成した各層との密着が不十分になり、防食も不十分となる場合があった。特に、鋼管杭が太く、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合、鋼管杭とその外周面に形成した各層とを密着させることは非常に困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(1)〜(3)である。
(1)海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、
前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、
前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、
加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程と
を備える、防食施工方法。
(2)鋼管杭の直径が1,800〜10,000mmであり、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の、前記薄板の周方向の長さが1,000〜3,000mmであり、
前記保護層形成工程において、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向における中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔をさらに有する前記薄板を用意し、この孔にスタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるように前記ナットを締め付ける、上記(1)に記載の防食施工方法。
(3)前記保護層形成工程が、鋼管杭の縦方向に100〜300mmの間隔で前記長孔を有する前記薄板を用いて前記保護層を形成する工程である、上記(1)または(2)に記載の防食施工方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、最表面の金属カバーの接合部に漂流物や小舟が衝突し難いため破損し難く、さらに、鋼管杭とその外周面に形成した各層(特に防錆層)とを十分に密着させ、防食をより高度に行うことができる防食施工方法を提供することができる。本発明によれば、特に、鋼管杭が太く、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合であっても、鋼管杭とその外周面に形成した各層(特に防錆層)とを密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯に、本発明の防食施工方法を施した状態を示す概略図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】薄板の概略正面図である。
【図4】実施例で用いた薄板を説明するための概略正面図である。
【図5】実施例で用いたスタッドボルト付き鋼帯を説明するための概略正面図である。
【図6】実施例で用いた別のスタッドボルト付き鋼帯を説明するための概略正面図である。
【図7】実施例で用いた突起付き当て板を説明するための概略正面図である。
【図8】実施例で用いた当て板を説明するための概略正面図である。
【図9】実施例において本発明を施した後の鋼管杭の外見を示す概略図(展開図)である。
【図10】図9におけるH−H線断面図である。
【図11】図9におけるJ−J線断面図である。
【図12】図9におけるK−K線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について説明する。
本発明は、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程とを備える、防食施工方法である。
【0009】
このような本発明によれば、特に、鋼管杭が太く、例えば鋼管杭の直径が1,800〜10,000mm、好ましくは3,000〜8,000mm、より好ましくは4,000〜7,000mmであって、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合でも、鋼管杭とその外周面に形成した各層(特に防錆層)とを密着させることができる。
【0010】
本発明の防食施工方法を施した後の鋼管杭(防食被覆体)の具体例を図1および図2を用いて説明する。
図1は海洋構造物の鋼管杭1の飛沫帯・干満帯に、本発明の防食施工方法を施した状態を示す概略図であり、図2は図1におけるA−A線断面図である。ただし、図の理解を容易にするために、図1および図2ではスタッドボルトに螺合するナットは記していない。なお、後述する図3以降も含め、各図における各部分の大きさ等は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
図1および図2に示すように、鋼管杭1の外周面に密着するように防錆層3が形成されている。また、この図に示す具体例の場合は、防錆層3の外周面に密着するようにプラスチック層5が形成されており、その外周面に密着するように保護層7が形成されている。
ここで保護層7を形成する薄板71および薄板72は、それぞれ周方向の端部に周方向に長い楕円形の長孔を有している。すなわち、薄板71は周方向の一方の端部に長孔711、712、713および714を縦方向(鋼管杭1の長手方向)に等間隔(例えば200mmピッチ)で有しており、周方向の他方の端部に長孔711´、712´、713´および714´を縦方向に同様の等間隔で有している。また、薄板72は周方向の一方の端部に長孔721、722、723および724を縦方向に同様の等間隔で有しており、周方向の他方の端部に長孔721´、722´、723´および724´を縦方向に同様の等間隔で有している。
【0012】
そして、薄板71の端部に形成された長孔711に、鋼管杭1の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルト801を貫通させ、その上から、薄板72の端部に形成された長孔721に貫通させている。長孔712、713および714についても同様にスタッドボルト802、803および804を貫通させ、その上から、薄板72の端部に形成された長孔722、723および724に貫通させている。そして、薄板71の端部と、薄板72の端部とを複数のリベットRで連結している。また、各スタッドボルトは鋼管杭1の表面に溶接されている。各スタッドボルトを所望の間隔で溶接した鋼帯を鋼管杭1の表面に溶接することで、各スタッドボルトを鋼管杭1の表面から外側に伸びるように固定することもできる。
図1および図2には示されていないが、スタッドボルト801、802、803および804にナットを螺合させ締め付けることで、防食層を鋼管杭の表面により密着させることができる。
【0013】
また、ここに示す具体例の場合、薄板71は、スタッドボルト811、812、813および814をその中央部分において貫通しており、これらによって、薄板71を固定し支えている。同様に薄板72は、スタッドボルト821、822、823および824をその中央部分において貫通し、これらによって薄板72を固定し支えている。
図1および図2には示されていないが、スタッドボルト811、812、813および814ならびにスタッドボルト821、822、823および824にナットを螺合させ締め付けることで、防食層を鋼管杭の表面により密着させることができる。
【0014】
防食層10の下であって鋼管杭1の干満帯よりも下方には、受け台50が設けられている。受け台50は上部にプラスチック製のプレート52を有し、下部に鋼鉄製のスリーブ51を有しており、防食層10は受け台50の上に設置されている。この場合、保護層7(薄板71、72)と鋼管杭1との間は電気的に繋がっていない。
【0015】
図1および図2に示したような、本発明の防食施工方法を施すことで得られる防食被覆体は、鋼管杭から外向きに突き出る部分が極小さいので、ここへ漂流物や小舟が衝突し難く、損壊し難いという利点を備える。
【0016】
本発明の防錆層形成工程について説明する。
本発明の防錆層形成工程では、前記鋼管杭の外周面に密着するように防錆層を形成する。
防錆層は特に限定されず、例えば従来公知のものを用いることができる。例えば市販の防錆剤(ペトロラタム、酸化重合樹脂、エポキシ樹脂など)を含浸した帯状の布を用いることができ、これを前記鋼管杭の外周面に巻き付けることで防錆層を形成することができる。また、例えばペトロラタムシートの表面にペトロラタムペーストを塗り、ペトロラタムペーストが内側になるように、ペトロラタムシートを鋼管杭の表面に張り付けることで防食層を形成することができる。
防錆層の形成に先だって、例えば鋼管杭の表面付着物を除去し、スクレーパやワイヤブラシ、機械ブラシ、グラインダーのような手工具および動力工具(例えばオートジゼル、エアーグラインダー、サンドブラスト)等で素地調整することが好ましい。
【0017】
本発明のプラスチック層形成工程について説明する。
本発明のプラスチック層形成工程では、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成する。前記防錆層の外周面上に他の層を1層以上形成し、その外周面上にプラスチック層を形成してもよいが、前記防錆層の外周面に密着するようにプラスチック層を形成することが好ましい。
プラスチック層は、例えばプラスチックからなる帯状のシートを前記防錆層の外周側に巻き付けることによって形成することができる。また、前記保護層を形成するための薄板の表面にプラスチックからなる層を形成した後、後述する工程によって、前記防錆層の外側に、このプラスチックからなる層が内側になるように前記薄板を付けることで、前記防錆層の外周側に前記プラスチック層と前記保護層とを同時に形成することもできる。
プラスチック層は、発泡プラスチック層であることが好ましい。例えば三次元の方向に連通した多数の孔を有する市販の発泡ポリエチレンからなる発泡プラスチックを用いることができる。
【0018】
本発明の保護層形成工程について説明する。
本発明の保護層形成工程では、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する。
前記プラスチック層の外周面上に他の層を1層以上形成し、その外周面上に保護層を形成してもよいが、前記プラスチック層の外周面に密着するように保護層を形成することが好ましい。
【0019】
保護層として用いる薄板について説明する。
薄板は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を端部に複数有し、例えば図3に示す態様のものが挙げられる。図3は、前述の図1および図2を用いて説明した薄板72の概略正面図である。図3において薄板72は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向の両端部に、各々、長孔を4つずつ有する。すなわち、図3に示すように左端部に長孔721、722、723および724を有し、右端部に長孔721´、722´、723´および724´を有する。
また、これらの長孔は、その周方向に長い、例えば楕円形の孔である。図3に示した具体例では、各長孔の形状は楕円形である。楕円形や長方形等の長孔であると、スタッドボルトを貫通した状態で周方向へ薄板を動かして、薄板を前記プラスチック層へ密着させることができる。長孔の短径はスタッドボルトの断面直径とほぼ等しいことが好ましい。
また、このような長孔は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の鋼管杭の縦方向(長手方向)において、好ましくは100〜300mm、より好ましくは150〜250mm、より好ましくは180〜220mm、さらに好ましくは200mm程度の間隔で形成されていることが好ましい。
【0020】
また、図3に示す具体例において、薄板72は、周方向の中央部分に別のスタッドボルトを貫通させるための孔725、726、727および728を有する。本発明の防食施工方法における保護層形成工程で用いる薄板は、このように周方向の中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔を有することが好ましい。このような孔を有すると、前記プラスチック層の外周側に設置する際、例えば図1を用いて説明した場合のように、孔725、726、727および728にスタッドボルト821、822、823および824を貫通させてナットで締め付けることで、薄板72を固定して支えることができるからである。
さらに、このような周方向の中央部分に形成された孔は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の鋼管杭の縦方向(長手方向)において、好ましくは100〜300mm、より好ましくは150〜250mm、より好ましくは180〜220mm、さらに好ましくは200mm程度の間隔で形成されていることが好ましい。
【0021】
保護層として用いる薄板は、耐食性金属からなる。耐食性金属の種類は特に限定されない。例えば耐食性金属として、チタン、チタン合金、ステンレスが挙げられ、チタンまたはチタン合金であることが好ましい。
薄板の板厚も特に限定されないが0.3〜3.0mmが好ましく、0.6〜1.5mmがより好ましく、0.6〜1.0mmがさらに好ましい。軽量であり施工時の取扱いが容易だからである。
薄板の周方向の長さも特に限定されないが1,000〜3,000mmが好ましく、1,500〜2,500mmがより好ましい。
また、薄板は周方向や鋼管杭の縦方向に2以上を接合したものであってもよい。
【0022】
本発明の防食施工方法における保護層形成工程では、上記のような薄板を複数枚用意する。図1および図2を用いて説明した具体例の場合では、図3に例示したような薄板を2枚用意する。
【0023】
本発明の防食施工方法における保護層形成工程では、上記のような薄板を鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する。
【0024】
また、図3を用いて説明したように、薄板における前記長孔を、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに貫通させる前に、前記薄板の中央部分に形成した孔にスタッドボルトを貫通させ、ナットで締め付けて、薄板71および/または薄板72を固定し支える操作を行うことが好ましい。
例えば、図1〜図3を用いて説明した具体例のように、薄板72の中央部分に形成した孔(725、726、727および728)にスタッドボルト(821、822、823および824)を貫通させ、ナットで締め付けることで薄板72を固定し、支える操作を行うことが好ましい。また、同様の方法で薄板71をスタッドボルトで固定し、支える操作を行うことが好ましい。
【0025】
ここで、スタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで、前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に(または、前記プラスチック層を前記薄板の内側へ付けたものを前記防錆層の外周側へ固定する際に)、前記プラスチック層におけるナットで締め付けている部分がやや潰れるように(すなわち前記プラスチック層の厚さがやや薄くなるように)、そのナットを締め付けることが好ましい。具体的には、前記プラスチック層における前記ナットで締め付けている部分の前記プラスチック層の厚さが、好ましくは40〜90%、より好ましくは40〜60%、より好ましくは45〜55%、さらに好ましくは50%程度となるように前記ナットを締め付けることが好ましい。全周にわたって防錆層を前記鋼管杭の表面に密着することができるからである。全周にわたって防錆層を鋼管杭の表面に密着させることは困難であるが、上記のようにプラスチック層が潰れるように(特に上記のような数値範囲の厚さとなるように)固定することで、鋼管杭の全周において防食層を前記鋼管杭の表面に密着させることができることを、本発明者は見出した。
【0026】
次に、スタッドボルト801、802、803および804に薄板71が有する長孔711、712、713および714の各々を貫通させる。そして、さらに、これらのスタッドボルトに薄板72が有する長孔721、722、723および724の各々を上から貫通させることで、薄板71の端部と薄板72の端部とを重ねる。
次に、同様の操作をもう一度行う。すなわち、図2に示されるように、スタッドボルト831、832、833および834に薄板72が有する長孔721´、722´、723´および724´の各々を貫通させる。そして、さらに、これらのスタッドボルトに薄板71が有する長孔711´、712´、713´および714´の各々を上から貫通させることで、薄板71の端部と薄板72の端部とを重ねる。
このようにして、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成することができる。
【0027】
本発明の加圧保持工程について説明する。
本発明の加圧保持工程では、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する。
【0028】
ここで加圧手段は、少なくとも一時的に、複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧した状態を保持することができる手段であれば特に限定されず、例えば荷締め機を用いた手段が挙げられる。荷締め機を用いると、複数枚の前記薄板を内側へ向かって、容易に加圧することができる。
【0029】
また、連結手段は、2枚の前記薄板を重ねた状態で繋げることができる手段であれば特に限定されない。例えば、重なった状態の2枚の薄板の端部をドリルで穴あけし、その穴に棒状または筒状の治具やリベットを打ち込んで、2枚の薄板を連結することができる。
【0030】
また、2枚の薄板の端部の長孔に貫通しているスタッドボルトにおいてナットで締め付けることでも、2枚の薄板を連結することができる。
ここで、スタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層におけるナットで締め付けている部分がやや潰れるように、そのナットを締め付けることが好ましい。具体的には、前記プラスチック層における前記ナットで締め付けている部分の前記プラスチック層の厚さが、好ましくは40〜90%、より好ましくは40〜60%、より好ましくは45〜55%、さらに好ましくは50%程度となるように前記ナットを締め付けることが好ましい。全周にわたって防錆層を前記鋼管杭の表面に密着することができるからである。全周にわたって防錆層を鋼管杭の表面に密着させることは困難であるが、上記のようにプラスチック層が潰れるように(特に上記のような数値範囲の厚さとなるように)固定することで、鋼管杭の全周において防食層を前記鋼管杭の表面に密着させることができることを、本発明者は見出した。
【0031】
本発明は、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の直径が1,800〜10,000mmであり、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向の長さが1,000〜3,000mm(好ましくは1,500〜2,500mm)であり、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向における中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔をさらに有し、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を、周方向の端部に、前記鋼管杭の縦方向に100〜300mmの間隔で複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、周方向における中央部分の前記孔にスタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるように前記ナットを締め付け、その後、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程とを備える、防食施工方法であることが好ましい。ここで前記薄板の端部の長孔を貫通しているスタッドボルトにナットに螺合させて締め付け、その締め付けている部分における前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるようにすることが好ましい。
このような防食施工方法によると、鋼管杭の全周において防食層を前記鋼管杭の表面に、より密着させることができ、その結果、防食をより高度に行うことができるからである。また、特に、鋼管杭が太く、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合であっても、鋼管杭とその外周面に形成した各層とを、より密着させることができる。さらに、最表面の金属カバーの接合部に漂流物や小舟が衝突し難いため破損し難い。
【実施例】
【0032】
海洋構造物の鋼管杭(鋼管杭100、直径:4,600mm)の飛沫帯・干満帯の外周面に、本発明の防食施工方法を施した。以下に具体的に説明する。
【0033】
初めに、図4に示す薄板2を8枚用意した。
薄板2はチタン製で、図4の左右方向(鋼管杭の外周側に設置した場合の周方向)における一方の端部および他方の端部に、各々8つの長孔(221、222、223、224、225、226、227、228、および241、242、243、244、245、246、247、248)を有し、中央部分にも同様に8つの孔(271、272、273、274、275、276、277、278)を有している。また、薄板2の周方向における長さは1,946mmであり、それに直角方向(鋼管杭の外周側に設置した場合の鋼管杭の縦方向)における長さは1,500mmであり、厚さは1mmである。また、長孔の大きさ(短径×長径)は16×30mmであり、中央部分の孔の直径は16mmであり、薄板の端部に形成された長孔および中央部分に形成された孔の、鋼管杭の縦方向における間隔は、いずれも200mmである。
【0034】
また、図5に示すスタッドボルトを溶接した鋼帯(スタッドボルト付き鋼帯4)を8つ用意した。スタッドボルト付き鋼帯4は、図4を用いて説明した薄板2における端部の長孔を貫通させるスタッドボルトを鋼管杭の表面に付けるために用いる。
図5(a)はスタッドボルト付き鋼帯4の概略正面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるB−B線断面図であり、図5(c)は、図5(a)におけるC−C線断面図である。
図5に示すように、スタッドボルト付き鋼帯4は、鋼帯40の主面上に8つのスタッドボルト(41、42、43、44、45、46、47、48)を突き立てるように溶接したものである。ここでスタッドボルトの間隔は、薄板2の端部の長孔と同じ200mmである。また、スタッドボルトの長さは40mmであり、直径は12mmである。また、鋼帯40の長さは1460mmであり、幅は50mmであり、厚さは6mmである。
また、この鋼帯40には7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)が開いている。この孔の直径は30mmである。この7つの孔の各々に、後述する突起付き当て板8の突起を嵌合させることで、プラスチック層の外周側に設置した2枚の薄板2の端部を強固に連結することができる。そして、保護層によってプラスチック層を内側へ向かって加圧した状態をより好ましく保持することができる。
【0035】
また、図6に示すスタッドボルトを溶接した鋼帯(スタッドボルト付き鋼帯6)を8つ用意した。
図6に示すスタッドボルト付き鋼帯6は、薄板2における中央部分の孔(271、272、273、274、275、276、277、278)を貫通させるスタッドボルトを鋼管杭の表面に付けるために用いる。
図6(a)はスタッドボルト付き鋼帯6の概略正面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるD−D線断面図である。
図6に示すように、スタッドボルト付き鋼帯6は、鋼帯60の主面上に8つのスタッドボルト(61、62、63、64、65、66、67、68)を突き立てるように溶接したものである。ここで、スタッドボルトの間隔は、薄板2の中央部分の8つ孔の場合と同じ200mmである。また、スタッドボルトの長さは40mmであり、直径は12mmである。また、鋼帯60の長さは1460mmであり、幅は32mmであり、厚さは6mmである。
【0036】
また、図7に示す突起付き当て板8を8つ用意した。
図7に示す突起付き当て板8は、前述のスタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)の各々に突起を嵌合させて2枚の薄板2の端部を連結するために用いる。
図7(a)は突起付き当て板8の概略正面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるE−E線断面図であり、図7(c)は、図7(a)におけるF−F線断面図である。
突起付き当て板8は、スタッドボルト付き鋼帯4が有するスタッドボルトを貫通する8つの孔(81、82、83、84、85、86、87、88)を有しており、これらの孔の直径は18mmであり、孔の間隔はスタッドボルト付き鋼帯4におけるスタッドボルトの間隔と同じ200mmである。また、7つの突起(891、892、893、894、895、896、897)は円柱状のものであり、図7(c)に示すように、鋼帯80の一方の主面において溶接され溶接部αを形成しており、他方の主面において突起部βを形成している。この突起部βが前述のスタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)の各々に嵌合する。この突起部βはスタッドボルトを貫通するための8つ孔(81、82、83、84、85、86、87、88)の各孔のほぼ中央部に形成されており、突起部βの間隔は200mmであり、直径は22mmであり、突起の長さ(鋼帯80の他方の主面からの突出の程度)は7mmである。
また、突起付き当て板8における鋼帯80の長さは1500mmであり、幅は100mmであり、厚さは5mmである。
【0037】
また、図8に示す当て板9を8つ用意した。
図8に示す当て板9は、スタッドボルト付き鋼帯6におけるスタッドボルトをナットで締め付ける際に用いるものであり、スタッドボルト付き鋼帯6が有するスタッドボルトを貫通する8つの孔(91、92、93、94、95、96、97、98)を有する。図8(a)は当て板9の概略正面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるG−G線断面図である。
当て板9における鋼帯90の長さは1500mmであり、幅は50mmであり、厚さは5mmである。また、各々の孔の直径は22mmであり、孔の間隔は200mmである。
【0038】
次に、鋼管杭の表面の付着物を、ヘラを用いてこすり落とすことで素地調整した。
【0039】
次に、素地調整後の鋼管杭100の表面における適切な位置に、8つのスタッドボルト付き鋼帯4および8つのスタッドボルト付き鋼帯6を溶接した。具体的にはスタッドボルト付き鋼帯4における鋼帯40およびスタッドボルト付き鋼帯6の鋼帯60の各々主面が鋼管杭の表面に密着するように溶接し、スタッドボルトが鋼管杭の外側へ向くようにした。
【0040】
次に、ペトロラタムシートの表面にペトロラタムペーストを塗り、ペトロラタムペーストが内側になるように、ペトロラタムシートを鋼管杭の表面に張り付けることで、防錆層30を形成した。
【0041】
次に、薄板2の表面にプラスチック層50として発泡プラスチックシートを粘着剤を用いて貼り付けた。そして、発泡プラスチックシートが内側になるように、薄板2を防錆層30の外側へ貼り付けた。すなわち、プラスチック層50と保護層(薄板2)とを同時に形成した。
【0042】
ここで、発泡プラスチックシートが付いた薄板2を防食層の外側へ貼り付ける際に、薄板2が中央部分に有する8つの孔(271、272、273、274、275、276、277、278)に、スタッドボルト付き鋼帯6が有する8つのスタッドボルト(61、62、63、64、65、66、67、68)を貫通させた。そして、さらにそれらのスタッドボルトに、当て板9における8つの孔(91、92、93、94、95、96、97、98)を貫通させた。その後、当て板9の外周側から、各スタッドボルトにナットを螺合させ締め付けて、薄板2を固定した。ナットによる締付けは、締付部分において、発泡プラスチック層の厚さが元厚(10mm)の42〜61%の厚さとなるようにした。
なお、ここでスタッドボルトをナットで締め付ける際に、ナットと突起付き当て板8との間にはプラスチック製ワッシャーとステンレス製ワッシャーとを挟んだ。また、ナットで締め付けた後、スタッドボルトを防食キャップでキャップした。また、ナットと防食キャップとの隙間には水中硬化型エポキシパテを充填した(詳細は後述する図12参照)。
【0043】
このようにして薄板2を鋼管杭100の外周側に固定した後、薄板2の長孔の各々を、鋼管杭の表面に溶接したスタッドボルト付き鋼帯4が有するスタッドボルトに貫通させた。ここで、1つの薄板2における長孔をこのスタッドボルトに貫通させた後、その隣の薄板2における長孔を、同じスタッドボルトに貫通させることで、隣り合う薄板2の端部を重ねた。
鋼管杭の全周に渡って(すなわち全8枚の薄板2について)、同様の操作を行った。
【0044】
次に、荷締め機を用いて鋼管杭の全周に渡って締め付けることで全8枚の薄板2を内側へ向かって加圧した。
そして、加圧した状態を保持したまま、隣り合う薄板2が重なった部分(各々の薄板2の端部)に突起付き当て板8を設置するための孔を開けた。すなわち、薄板2の外側から、スタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)と貫通する孔を開けた。そして、その開けた孔を通してスタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔に突起部βが嵌合するように、突起付き当て板8を設置した(詳細は後述する図11参照)。
その後、突起付き当て板8が有する8つの孔(81、82、83、84、85、86、87、88)から突き出ているスタッドボルトをナットで締め付けて、突起付き当て板8を固定した。そして、この操作を鋼管杭の全周において行うことで薄板2を鋼管杭の外周面に固定した。ここでナットによる締付けは、締付部分における発泡プラスチック層の厚さが元厚(10mm)の42〜61%の厚さとなるように締め付けた。
なお、ここでスタッドボルトをナットで締め付ける際に、ナットと突起付き当て板8との間にはプラスチック製ワッシャーとステンレス製ワッシャーとを挟んだ。また、ナットで締め付けた後、スタッドボルトを防食キャップでキャップした。また、ナットと防食キャップとの隙間には水中硬化型エポキシパテを充填した(詳細は後述する図10参照)。
このような操作によって、8つの薄板によってプラスチック層(発泡ポリエチレンシート)を内側へ向かって加圧した状態を保持した。
【0045】
このようにして海洋構造物の鋼管杭100に本発明の防食施工方法を施した。その外見の展開図を図9に示す。また、図9におけるH−H線断面図を図10に、図9におけるJ−J線断面図を図11に、図9におけるK−K線断面図を図12に示す。
【0046】
このようにして本発明を施し、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に防食層を形成した後、周方向における複数箇所において防食層の厚さを測定した。
その結果、いずれに箇所においても防食層の厚さは、元の厚さよりも薄かった。したがって、鋼管杭の全周において防錆層が鋼管杭の表面に密着しているといえる。
【符号の説明】
【0047】
1 鋼管杭
3 防錆層
5 プラスチック層
7 保護層
71、72 薄板
711、712、713、714 長孔
721、722、723、724 長孔
725、726、727、728 孔
801、802、803、804 スタッドボルト
811、812、813、814 スタッドボルト
821、822、823、824 スタッドボルト
10 防食層
50 受け台
51 スリーブ
52 プレート
R リベット
100 鋼管杭
2 薄板
221、222、223、224、225、226、227、228 長孔
241、242、243、244、245、246、247、248 長孔
271、272、273、274、275、276、277、278 孔
4 スタッドボルト付き鋼帯
40 鋼帯
41、42、43、44、45、46、47、48 スタッドボルト
401、402、403、404、405、406、407 孔
6 スタッドボルト付き鋼帯
60 鋼帯
61、62、63、64、65、66、67、68 スタッドボルト
8 突起付き当て板
80 鋼帯
81、82、83、84、85、86、87、88 孔
891、892、893、894、895、896、897 突起
α 溶接部
β 突起部
9 当て板
90 鋼帯
30 防錆層
50 プラスチック層
PW プラスチック製ワッシャー
SW ステンレス製ワッシャー
CP 防食キャップ
N ナット
EP 水中硬化型エポキシパテ
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼管杭の防食施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯や干満帯は腐食の進行が早いため、表面に防食テープを巻き、またはさらに合成樹脂等の保護シートで被覆する防食施工が行われる。
このような防食施工に関連して、例えば特許文献1には、鋼管杭の外面に防食材含浸テープを設け、その外面に耐食金属のカバーを設け、耐食金属のカバーの両端部に設けた締付部をボルトナットで締め付けてなる防食被覆体が記載されている。
また、例えば特許文献2には、鋼管杭の外周面に密着して設けた防錆層と、該防錆層の外周面を覆う発泡プラスチック層と、該発泡プラスチック層を外周から加圧しその外周面を覆うチタンまたはチタン合金の薄板製の保護カバーとを有する複数の帯状の防食帯を、鋼管杭の飛沫帯・干満帯に縦方向に並べて配することを特徴とする、鋼管杭の防食施工方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭59−9702号公報
【特許文献2】特開平9−302701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の防食被覆体の場合、締付部が、鋼管杭の長手方向であって鋼管杭から外向きに突き出るように形成される。また、上記の特許文献2に記載の防食施工方法の場合も同様に、鋼管杭の長手方向にサヤ管が設置される。このような場合、締付部やサヤ管に、漂流物や小舟が衝突し損壊し易いという問題があった。
また、上記の特許文献2に記載されたような従来の方法によれば、鋼管杭の防食施工を行うことができるものの、鋼管杭とその外周面に形成した各層との密着が不十分になり、防食も不十分となる場合があった。特に、鋼管杭が太く、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合、鋼管杭とその外周面に形成した各層とを密着させることは非常に困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(1)〜(3)である。
(1)海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、
前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、
前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、
加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程と
を備える、防食施工方法。
(2)鋼管杭の直径が1,800〜10,000mmであり、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の、前記薄板の周方向の長さが1,000〜3,000mmであり、
前記保護層形成工程において、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向における中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔をさらに有する前記薄板を用意し、この孔にスタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるように前記ナットを締め付ける、上記(1)に記載の防食施工方法。
(3)前記保護層形成工程が、鋼管杭の縦方向に100〜300mmの間隔で前記長孔を有する前記薄板を用いて前記保護層を形成する工程である、上記(1)または(2)に記載の防食施工方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、最表面の金属カバーの接合部に漂流物や小舟が衝突し難いため破損し難く、さらに、鋼管杭とその外周面に形成した各層(特に防錆層)とを十分に密着させ、防食をより高度に行うことができる防食施工方法を提供することができる。本発明によれば、特に、鋼管杭が太く、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合であっても、鋼管杭とその外周面に形成した各層(特に防錆層)とを密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯に、本発明の防食施工方法を施した状態を示す概略図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】薄板の概略正面図である。
【図4】実施例で用いた薄板を説明するための概略正面図である。
【図5】実施例で用いたスタッドボルト付き鋼帯を説明するための概略正面図である。
【図6】実施例で用いた別のスタッドボルト付き鋼帯を説明するための概略正面図である。
【図7】実施例で用いた突起付き当て板を説明するための概略正面図である。
【図8】実施例で用いた当て板を説明するための概略正面図である。
【図9】実施例において本発明を施した後の鋼管杭の外見を示す概略図(展開図)である。
【図10】図9におけるH−H線断面図である。
【図11】図9におけるJ−J線断面図である。
【図12】図9におけるK−K線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について説明する。
本発明は、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程とを備える、防食施工方法である。
【0009】
このような本発明によれば、特に、鋼管杭が太く、例えば鋼管杭の直径が1,800〜10,000mm、好ましくは3,000〜8,000mm、より好ましくは4,000〜7,000mmであって、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合でも、鋼管杭とその外周面に形成した各層(特に防錆層)とを密着させることができる。
【0010】
本発明の防食施工方法を施した後の鋼管杭(防食被覆体)の具体例を図1および図2を用いて説明する。
図1は海洋構造物の鋼管杭1の飛沫帯・干満帯に、本発明の防食施工方法を施した状態を示す概略図であり、図2は図1におけるA−A線断面図である。ただし、図の理解を容易にするために、図1および図2ではスタッドボルトに螺合するナットは記していない。なお、後述する図3以降も含め、各図における各部分の大きさ等は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
図1および図2に示すように、鋼管杭1の外周面に密着するように防錆層3が形成されている。また、この図に示す具体例の場合は、防錆層3の外周面に密着するようにプラスチック層5が形成されており、その外周面に密着するように保護層7が形成されている。
ここで保護層7を形成する薄板71および薄板72は、それぞれ周方向の端部に周方向に長い楕円形の長孔を有している。すなわち、薄板71は周方向の一方の端部に長孔711、712、713および714を縦方向(鋼管杭1の長手方向)に等間隔(例えば200mmピッチ)で有しており、周方向の他方の端部に長孔711´、712´、713´および714´を縦方向に同様の等間隔で有している。また、薄板72は周方向の一方の端部に長孔721、722、723および724を縦方向に同様の等間隔で有しており、周方向の他方の端部に長孔721´、722´、723´および724´を縦方向に同様の等間隔で有している。
【0012】
そして、薄板71の端部に形成された長孔711に、鋼管杭1の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルト801を貫通させ、その上から、薄板72の端部に形成された長孔721に貫通させている。長孔712、713および714についても同様にスタッドボルト802、803および804を貫通させ、その上から、薄板72の端部に形成された長孔722、723および724に貫通させている。そして、薄板71の端部と、薄板72の端部とを複数のリベットRで連結している。また、各スタッドボルトは鋼管杭1の表面に溶接されている。各スタッドボルトを所望の間隔で溶接した鋼帯を鋼管杭1の表面に溶接することで、各スタッドボルトを鋼管杭1の表面から外側に伸びるように固定することもできる。
図1および図2には示されていないが、スタッドボルト801、802、803および804にナットを螺合させ締め付けることで、防食層を鋼管杭の表面により密着させることができる。
【0013】
また、ここに示す具体例の場合、薄板71は、スタッドボルト811、812、813および814をその中央部分において貫通しており、これらによって、薄板71を固定し支えている。同様に薄板72は、スタッドボルト821、822、823および824をその中央部分において貫通し、これらによって薄板72を固定し支えている。
図1および図2には示されていないが、スタッドボルト811、812、813および814ならびにスタッドボルト821、822、823および824にナットを螺合させ締め付けることで、防食層を鋼管杭の表面により密着させることができる。
【0014】
防食層10の下であって鋼管杭1の干満帯よりも下方には、受け台50が設けられている。受け台50は上部にプラスチック製のプレート52を有し、下部に鋼鉄製のスリーブ51を有しており、防食層10は受け台50の上に設置されている。この場合、保護層7(薄板71、72)と鋼管杭1との間は電気的に繋がっていない。
【0015】
図1および図2に示したような、本発明の防食施工方法を施すことで得られる防食被覆体は、鋼管杭から外向きに突き出る部分が極小さいので、ここへ漂流物や小舟が衝突し難く、損壊し難いという利点を備える。
【0016】
本発明の防錆層形成工程について説明する。
本発明の防錆層形成工程では、前記鋼管杭の外周面に密着するように防錆層を形成する。
防錆層は特に限定されず、例えば従来公知のものを用いることができる。例えば市販の防錆剤(ペトロラタム、酸化重合樹脂、エポキシ樹脂など)を含浸した帯状の布を用いることができ、これを前記鋼管杭の外周面に巻き付けることで防錆層を形成することができる。また、例えばペトロラタムシートの表面にペトロラタムペーストを塗り、ペトロラタムペーストが内側になるように、ペトロラタムシートを鋼管杭の表面に張り付けることで防食層を形成することができる。
防錆層の形成に先だって、例えば鋼管杭の表面付着物を除去し、スクレーパやワイヤブラシ、機械ブラシ、グラインダーのような手工具および動力工具(例えばオートジゼル、エアーグラインダー、サンドブラスト)等で素地調整することが好ましい。
【0017】
本発明のプラスチック層形成工程について説明する。
本発明のプラスチック層形成工程では、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成する。前記防錆層の外周面上に他の層を1層以上形成し、その外周面上にプラスチック層を形成してもよいが、前記防錆層の外周面に密着するようにプラスチック層を形成することが好ましい。
プラスチック層は、例えばプラスチックからなる帯状のシートを前記防錆層の外周側に巻き付けることによって形成することができる。また、前記保護層を形成するための薄板の表面にプラスチックからなる層を形成した後、後述する工程によって、前記防錆層の外側に、このプラスチックからなる層が内側になるように前記薄板を付けることで、前記防錆層の外周側に前記プラスチック層と前記保護層とを同時に形成することもできる。
プラスチック層は、発泡プラスチック層であることが好ましい。例えば三次元の方向に連通した多数の孔を有する市販の発泡ポリエチレンからなる発泡プラスチックを用いることができる。
【0018】
本発明の保護層形成工程について説明する。
本発明の保護層形成工程では、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する。
前記プラスチック層の外周面上に他の層を1層以上形成し、その外周面上に保護層を形成してもよいが、前記プラスチック層の外周面に密着するように保護層を形成することが好ましい。
【0019】
保護層として用いる薄板について説明する。
薄板は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を端部に複数有し、例えば図3に示す態様のものが挙げられる。図3は、前述の図1および図2を用いて説明した薄板72の概略正面図である。図3において薄板72は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向の両端部に、各々、長孔を4つずつ有する。すなわち、図3に示すように左端部に長孔721、722、723および724を有し、右端部に長孔721´、722´、723´および724´を有する。
また、これらの長孔は、その周方向に長い、例えば楕円形の孔である。図3に示した具体例では、各長孔の形状は楕円形である。楕円形や長方形等の長孔であると、スタッドボルトを貫通した状態で周方向へ薄板を動かして、薄板を前記プラスチック層へ密着させることができる。長孔の短径はスタッドボルトの断面直径とほぼ等しいことが好ましい。
また、このような長孔は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の鋼管杭の縦方向(長手方向)において、好ましくは100〜300mm、より好ましくは150〜250mm、より好ましくは180〜220mm、さらに好ましくは200mm程度の間隔で形成されていることが好ましい。
【0020】
また、図3に示す具体例において、薄板72は、周方向の中央部分に別のスタッドボルトを貫通させるための孔725、726、727および728を有する。本発明の防食施工方法における保護層形成工程で用いる薄板は、このように周方向の中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔を有することが好ましい。このような孔を有すると、前記プラスチック層の外周側に設置する際、例えば図1を用いて説明した場合のように、孔725、726、727および728にスタッドボルト821、822、823および824を貫通させてナットで締め付けることで、薄板72を固定して支えることができるからである。
さらに、このような周方向の中央部分に形成された孔は、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の鋼管杭の縦方向(長手方向)において、好ましくは100〜300mm、より好ましくは150〜250mm、より好ましくは180〜220mm、さらに好ましくは200mm程度の間隔で形成されていることが好ましい。
【0021】
保護層として用いる薄板は、耐食性金属からなる。耐食性金属の種類は特に限定されない。例えば耐食性金属として、チタン、チタン合金、ステンレスが挙げられ、チタンまたはチタン合金であることが好ましい。
薄板の板厚も特に限定されないが0.3〜3.0mmが好ましく、0.6〜1.5mmがより好ましく、0.6〜1.0mmがさらに好ましい。軽量であり施工時の取扱いが容易だからである。
薄板の周方向の長さも特に限定されないが1,000〜3,000mmが好ましく、1,500〜2,500mmがより好ましい。
また、薄板は周方向や鋼管杭の縦方向に2以上を接合したものであってもよい。
【0022】
本発明の防食施工方法における保護層形成工程では、上記のような薄板を複数枚用意する。図1および図2を用いて説明した具体例の場合では、図3に例示したような薄板を2枚用意する。
【0023】
本発明の防食施工方法における保護層形成工程では、上記のような薄板を鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する。
【0024】
また、図3を用いて説明したように、薄板における前記長孔を、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに貫通させる前に、前記薄板の中央部分に形成した孔にスタッドボルトを貫通させ、ナットで締め付けて、薄板71および/または薄板72を固定し支える操作を行うことが好ましい。
例えば、図1〜図3を用いて説明した具体例のように、薄板72の中央部分に形成した孔(725、726、727および728)にスタッドボルト(821、822、823および824)を貫通させ、ナットで締め付けることで薄板72を固定し、支える操作を行うことが好ましい。また、同様の方法で薄板71をスタッドボルトで固定し、支える操作を行うことが好ましい。
【0025】
ここで、スタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで、前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に(または、前記プラスチック層を前記薄板の内側へ付けたものを前記防錆層の外周側へ固定する際に)、前記プラスチック層におけるナットで締め付けている部分がやや潰れるように(すなわち前記プラスチック層の厚さがやや薄くなるように)、そのナットを締め付けることが好ましい。具体的には、前記プラスチック層における前記ナットで締め付けている部分の前記プラスチック層の厚さが、好ましくは40〜90%、より好ましくは40〜60%、より好ましくは45〜55%、さらに好ましくは50%程度となるように前記ナットを締め付けることが好ましい。全周にわたって防錆層を前記鋼管杭の表面に密着することができるからである。全周にわたって防錆層を鋼管杭の表面に密着させることは困難であるが、上記のようにプラスチック層が潰れるように(特に上記のような数値範囲の厚さとなるように)固定することで、鋼管杭の全周において防食層を前記鋼管杭の表面に密着させることができることを、本発明者は見出した。
【0026】
次に、スタッドボルト801、802、803および804に薄板71が有する長孔711、712、713および714の各々を貫通させる。そして、さらに、これらのスタッドボルトに薄板72が有する長孔721、722、723および724の各々を上から貫通させることで、薄板71の端部と薄板72の端部とを重ねる。
次に、同様の操作をもう一度行う。すなわち、図2に示されるように、スタッドボルト831、832、833および834に薄板72が有する長孔721´、722´、723´および724´の各々を貫通させる。そして、さらに、これらのスタッドボルトに薄板71が有する長孔711´、712´、713´および714´の各々を上から貫通させることで、薄板71の端部と薄板72の端部とを重ねる。
このようにして、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成することができる。
【0027】
本発明の加圧保持工程について説明する。
本発明の加圧保持工程では、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する。
【0028】
ここで加圧手段は、少なくとも一時的に、複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧した状態を保持することができる手段であれば特に限定されず、例えば荷締め機を用いた手段が挙げられる。荷締め機を用いると、複数枚の前記薄板を内側へ向かって、容易に加圧することができる。
【0029】
また、連結手段は、2枚の前記薄板を重ねた状態で繋げることができる手段であれば特に限定されない。例えば、重なった状態の2枚の薄板の端部をドリルで穴あけし、その穴に棒状または筒状の治具やリベットを打ち込んで、2枚の薄板を連結することができる。
【0030】
また、2枚の薄板の端部の長孔に貫通しているスタッドボルトにおいてナットで締め付けることでも、2枚の薄板を連結することができる。
ここで、スタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層におけるナットで締め付けている部分がやや潰れるように、そのナットを締め付けることが好ましい。具体的には、前記プラスチック層における前記ナットで締め付けている部分の前記プラスチック層の厚さが、好ましくは40〜90%、より好ましくは40〜60%、より好ましくは45〜55%、さらに好ましくは50%程度となるように前記ナットを締め付けることが好ましい。全周にわたって防錆層を前記鋼管杭の表面に密着することができるからである。全周にわたって防錆層を鋼管杭の表面に密着させることは困難であるが、上記のようにプラスチック層が潰れるように(特に上記のような数値範囲の厚さとなるように)固定することで、鋼管杭の全周において防食層を前記鋼管杭の表面に密着させることができることを、本発明者は見出した。
【0031】
本発明は、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、前記鋼管杭の直径が1,800〜10,000mmであり、前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向の長さが1,000〜3,000mm(好ましくは1,500〜2,500mm)であり、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向における中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔をさらに有し、前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を、周方向の端部に、前記鋼管杭の縦方向に100〜300mmの間隔で複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、周方向における中央部分の前記孔にスタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるように前記ナットを締め付け、その後、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程とを備える、防食施工方法であることが好ましい。ここで前記薄板の端部の長孔を貫通しているスタッドボルトにナットに螺合させて締め付け、その締め付けている部分における前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるようにすることが好ましい。
このような防食施工方法によると、鋼管杭の全周において防食層を前記鋼管杭の表面に、より密着させることができ、その結果、防食をより高度に行うことができるからである。また、特に、鋼管杭が太く、最表面に設置する耐食性金属の薄板を複数枚繋ぎ合せる必要がある場合であっても、鋼管杭とその外周面に形成した各層とを、より密着させることができる。さらに、最表面の金属カバーの接合部に漂流物や小舟が衝突し難いため破損し難い。
【実施例】
【0032】
海洋構造物の鋼管杭(鋼管杭100、直径:4,600mm)の飛沫帯・干満帯の外周面に、本発明の防食施工方法を施した。以下に具体的に説明する。
【0033】
初めに、図4に示す薄板2を8枚用意した。
薄板2はチタン製で、図4の左右方向(鋼管杭の外周側に設置した場合の周方向)における一方の端部および他方の端部に、各々8つの長孔(221、222、223、224、225、226、227、228、および241、242、243、244、245、246、247、248)を有し、中央部分にも同様に8つの孔(271、272、273、274、275、276、277、278)を有している。また、薄板2の周方向における長さは1,946mmであり、それに直角方向(鋼管杭の外周側に設置した場合の鋼管杭の縦方向)における長さは1,500mmであり、厚さは1mmである。また、長孔の大きさ(短径×長径)は16×30mmであり、中央部分の孔の直径は16mmであり、薄板の端部に形成された長孔および中央部分に形成された孔の、鋼管杭の縦方向における間隔は、いずれも200mmである。
【0034】
また、図5に示すスタッドボルトを溶接した鋼帯(スタッドボルト付き鋼帯4)を8つ用意した。スタッドボルト付き鋼帯4は、図4を用いて説明した薄板2における端部の長孔を貫通させるスタッドボルトを鋼管杭の表面に付けるために用いる。
図5(a)はスタッドボルト付き鋼帯4の概略正面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるB−B線断面図であり、図5(c)は、図5(a)におけるC−C線断面図である。
図5に示すように、スタッドボルト付き鋼帯4は、鋼帯40の主面上に8つのスタッドボルト(41、42、43、44、45、46、47、48)を突き立てるように溶接したものである。ここでスタッドボルトの間隔は、薄板2の端部の長孔と同じ200mmである。また、スタッドボルトの長さは40mmであり、直径は12mmである。また、鋼帯40の長さは1460mmであり、幅は50mmであり、厚さは6mmである。
また、この鋼帯40には7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)が開いている。この孔の直径は30mmである。この7つの孔の各々に、後述する突起付き当て板8の突起を嵌合させることで、プラスチック層の外周側に設置した2枚の薄板2の端部を強固に連結することができる。そして、保護層によってプラスチック層を内側へ向かって加圧した状態をより好ましく保持することができる。
【0035】
また、図6に示すスタッドボルトを溶接した鋼帯(スタッドボルト付き鋼帯6)を8つ用意した。
図6に示すスタッドボルト付き鋼帯6は、薄板2における中央部分の孔(271、272、273、274、275、276、277、278)を貫通させるスタッドボルトを鋼管杭の表面に付けるために用いる。
図6(a)はスタッドボルト付き鋼帯6の概略正面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるD−D線断面図である。
図6に示すように、スタッドボルト付き鋼帯6は、鋼帯60の主面上に8つのスタッドボルト(61、62、63、64、65、66、67、68)を突き立てるように溶接したものである。ここで、スタッドボルトの間隔は、薄板2の中央部分の8つ孔の場合と同じ200mmである。また、スタッドボルトの長さは40mmであり、直径は12mmである。また、鋼帯60の長さは1460mmであり、幅は32mmであり、厚さは6mmである。
【0036】
また、図7に示す突起付き当て板8を8つ用意した。
図7に示す突起付き当て板8は、前述のスタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)の各々に突起を嵌合させて2枚の薄板2の端部を連結するために用いる。
図7(a)は突起付き当て板8の概略正面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるE−E線断面図であり、図7(c)は、図7(a)におけるF−F線断面図である。
突起付き当て板8は、スタッドボルト付き鋼帯4が有するスタッドボルトを貫通する8つの孔(81、82、83、84、85、86、87、88)を有しており、これらの孔の直径は18mmであり、孔の間隔はスタッドボルト付き鋼帯4におけるスタッドボルトの間隔と同じ200mmである。また、7つの突起(891、892、893、894、895、896、897)は円柱状のものであり、図7(c)に示すように、鋼帯80の一方の主面において溶接され溶接部αを形成しており、他方の主面において突起部βを形成している。この突起部βが前述のスタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)の各々に嵌合する。この突起部βはスタッドボルトを貫通するための8つ孔(81、82、83、84、85、86、87、88)の各孔のほぼ中央部に形成されており、突起部βの間隔は200mmであり、直径は22mmであり、突起の長さ(鋼帯80の他方の主面からの突出の程度)は7mmである。
また、突起付き当て板8における鋼帯80の長さは1500mmであり、幅は100mmであり、厚さは5mmである。
【0037】
また、図8に示す当て板9を8つ用意した。
図8に示す当て板9は、スタッドボルト付き鋼帯6におけるスタッドボルトをナットで締め付ける際に用いるものであり、スタッドボルト付き鋼帯6が有するスタッドボルトを貫通する8つの孔(91、92、93、94、95、96、97、98)を有する。図8(a)は当て板9の概略正面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるG−G線断面図である。
当て板9における鋼帯90の長さは1500mmであり、幅は50mmであり、厚さは5mmである。また、各々の孔の直径は22mmであり、孔の間隔は200mmである。
【0038】
次に、鋼管杭の表面の付着物を、ヘラを用いてこすり落とすことで素地調整した。
【0039】
次に、素地調整後の鋼管杭100の表面における適切な位置に、8つのスタッドボルト付き鋼帯4および8つのスタッドボルト付き鋼帯6を溶接した。具体的にはスタッドボルト付き鋼帯4における鋼帯40およびスタッドボルト付き鋼帯6の鋼帯60の各々主面が鋼管杭の表面に密着するように溶接し、スタッドボルトが鋼管杭の外側へ向くようにした。
【0040】
次に、ペトロラタムシートの表面にペトロラタムペーストを塗り、ペトロラタムペーストが内側になるように、ペトロラタムシートを鋼管杭の表面に張り付けることで、防錆層30を形成した。
【0041】
次に、薄板2の表面にプラスチック層50として発泡プラスチックシートを粘着剤を用いて貼り付けた。そして、発泡プラスチックシートが内側になるように、薄板2を防錆層30の外側へ貼り付けた。すなわち、プラスチック層50と保護層(薄板2)とを同時に形成した。
【0042】
ここで、発泡プラスチックシートが付いた薄板2を防食層の外側へ貼り付ける際に、薄板2が中央部分に有する8つの孔(271、272、273、274、275、276、277、278)に、スタッドボルト付き鋼帯6が有する8つのスタッドボルト(61、62、63、64、65、66、67、68)を貫通させた。そして、さらにそれらのスタッドボルトに、当て板9における8つの孔(91、92、93、94、95、96、97、98)を貫通させた。その後、当て板9の外周側から、各スタッドボルトにナットを螺合させ締め付けて、薄板2を固定した。ナットによる締付けは、締付部分において、発泡プラスチック層の厚さが元厚(10mm)の42〜61%の厚さとなるようにした。
なお、ここでスタッドボルトをナットで締め付ける際に、ナットと突起付き当て板8との間にはプラスチック製ワッシャーとステンレス製ワッシャーとを挟んだ。また、ナットで締め付けた後、スタッドボルトを防食キャップでキャップした。また、ナットと防食キャップとの隙間には水中硬化型エポキシパテを充填した(詳細は後述する図12参照)。
【0043】
このようにして薄板2を鋼管杭100の外周側に固定した後、薄板2の長孔の各々を、鋼管杭の表面に溶接したスタッドボルト付き鋼帯4が有するスタッドボルトに貫通させた。ここで、1つの薄板2における長孔をこのスタッドボルトに貫通させた後、その隣の薄板2における長孔を、同じスタッドボルトに貫通させることで、隣り合う薄板2の端部を重ねた。
鋼管杭の全周に渡って(すなわち全8枚の薄板2について)、同様の操作を行った。
【0044】
次に、荷締め機を用いて鋼管杭の全周に渡って締め付けることで全8枚の薄板2を内側へ向かって加圧した。
そして、加圧した状態を保持したまま、隣り合う薄板2が重なった部分(各々の薄板2の端部)に突起付き当て板8を設置するための孔を開けた。すなわち、薄板2の外側から、スタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔(401、402、403、404、405、406、407)と貫通する孔を開けた。そして、その開けた孔を通してスタッドボルト付き鋼帯4が有する7つの孔に突起部βが嵌合するように、突起付き当て板8を設置した(詳細は後述する図11参照)。
その後、突起付き当て板8が有する8つの孔(81、82、83、84、85、86、87、88)から突き出ているスタッドボルトをナットで締め付けて、突起付き当て板8を固定した。そして、この操作を鋼管杭の全周において行うことで薄板2を鋼管杭の外周面に固定した。ここでナットによる締付けは、締付部分における発泡プラスチック層の厚さが元厚(10mm)の42〜61%の厚さとなるように締め付けた。
なお、ここでスタッドボルトをナットで締め付ける際に、ナットと突起付き当て板8との間にはプラスチック製ワッシャーとステンレス製ワッシャーとを挟んだ。また、ナットで締め付けた後、スタッドボルトを防食キャップでキャップした。また、ナットと防食キャップとの隙間には水中硬化型エポキシパテを充填した(詳細は後述する図10参照)。
このような操作によって、8つの薄板によってプラスチック層(発泡ポリエチレンシート)を内側へ向かって加圧した状態を保持した。
【0045】
このようにして海洋構造物の鋼管杭100に本発明の防食施工方法を施した。その外見の展開図を図9に示す。また、図9におけるH−H線断面図を図10に、図9におけるJ−J線断面図を図11に、図9におけるK−K線断面図を図12に示す。
【0046】
このようにして本発明を施し、海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に防食層を形成した後、周方向における複数箇所において防食層の厚さを測定した。
その結果、いずれに箇所においても防食層の厚さは、元の厚さよりも薄かった。したがって、鋼管杭の全周において防錆層が鋼管杭の表面に密着しているといえる。
【符号の説明】
【0047】
1 鋼管杭
3 防錆層
5 プラスチック層
7 保護層
71、72 薄板
711、712、713、714 長孔
721、722、723、724 長孔
725、726、727、728 孔
801、802、803、804 スタッドボルト
811、812、813、814 スタッドボルト
821、822、823、824 スタッドボルト
10 防食層
50 受け台
51 スリーブ
52 プレート
R リベット
100 鋼管杭
2 薄板
221、222、223、224、225、226、227、228 長孔
241、242、243、244、245、246、247、248 長孔
271、272、273、274、275、276、277、278 孔
4 スタッドボルト付き鋼帯
40 鋼帯
41、42、43、44、45、46、47、48 スタッドボルト
401、402、403、404、405、406、407 孔
6 スタッドボルト付き鋼帯
60 鋼帯
61、62、63、64、65、66、67、68 スタッドボルト
8 突起付き当て板
80 鋼帯
81、82、83、84、85、86、87、88 孔
891、892、893、894、895、896、897 突起
α 溶接部
β 突起部
9 当て板
90 鋼帯
30 防錆層
50 プラスチック層
PW プラスチック製ワッシャー
SW ステンレス製ワッシャー
CP 防食キャップ
N ナット
EP 水中硬化型エポキシパテ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、
前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、
前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、
加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程と
を備える、防食施工方法。
【請求項2】
鋼管杭の直径が、1,800〜10,000mmであり、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の、前記薄板の周方向の長さが1,000〜3,000mmであり、
前記保護層形成工程において、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向における中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔をさらに有する前記薄板を用意し、この孔にスタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるように前記ナットを締め付ける、請求項1に記載の防食施工方法。
【請求項3】
前記保護層形成工程が、鋼管杭の縦方向に150〜250mmの間隔で前記長孔を有する前記薄板を用いて前記保護層を形成する工程である、請求項1または2に記載の防食施工方法。
【請求項1】
海洋構造物の鋼管杭の飛沫帯・干満帯の外周面に、防錆層、プラスチック層および保護層を含む防食層を形成して防食する防食施工方法であって、
前記鋼管杭の外周面に防錆層を密着させて形成する防錆層形成工程と、
前記防錆層の外周側にプラスチック層を形成するプラスチック層形成工程と、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向に長い長孔を周方向の端部に複数個有する耐食性金属の薄板を、複数枚用意し、鋼管杭の表面から外側へ向かって伸びるスタッドボルトに前記薄板が有する前記長孔を貫通させ、さらに、同じスタッドボルトに別の前記薄板の前記長孔を貫通させることで2枚の薄板の端部を重ねる操作を行って、前記プラスチック層の外周側に、前記薄板からなる保護層を形成する保護層形成工程と、
加圧手段を用いて複数枚の前記薄板を内側へ向かって加圧し、重なった状態の2枚の薄板の端部を連結手段によって連結することで、前記保護層によって前記プラスチック層を内側へ向かって加圧した状態を保持する加圧保持工程と
を備える、防食施工方法。
【請求項2】
鋼管杭の直径が、1,800〜10,000mmであり、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の、前記薄板の周方向の長さが1,000〜3,000mmであり、
前記保護層形成工程において、
前記プラスチック層の外周側に設置した場合の周方向における中央部分にスタッドボルトを貫通させるための孔をさらに有する前記薄板を用意し、この孔にスタッドボルトを貫通させナットで締め付けることで前記薄板を前記プラスチック層の外周側に固定する際に、前記プラスチック層の厚さが40〜90%となるように前記ナットを締め付ける、請求項1に記載の防食施工方法。
【請求項3】
前記保護層形成工程が、鋼管杭の縦方向に150〜250mmの間隔で前記長孔を有する前記薄板を用いて前記保護層を形成する工程である、請求項1または2に記載の防食施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−2243(P2013−2243A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137424(P2011−137424)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(505440631)本州四国連絡高速道路株式会社 (6)
【出願人】(592185585)株式会社ブリッジ・エンジニアリング (7)
【出願人】(000227261)日鉄住金防蝕株式会社 (31)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(505440631)本州四国連絡高速道路株式会社 (6)
【出願人】(592185585)株式会社ブリッジ・エンジニアリング (7)
【出願人】(000227261)日鉄住金防蝕株式会社 (31)
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