説明

鋼表面に防食処理を施すためのウエットオンウエット法およびクロム非含有酸性溶液

少くとも部分的に鋼表面を含む光沢金属表面に、防食処理を施すために、B,Si,Ti,Zr及びHfから選ばれた1種以上の元素Mのフルオロ錯体の耐性水性溶液に金属表面を接触させ、水洗し、陰極電着可能なコーティング処理を施す方法であって、
a)前記水溶液がアリルアミンまたはビニルアミンモノマーからなる有機ポリマーを1mg/lを超えない含有量で含有し、b)水溶液が、硝酸イオン、銅イオン、銀イオン、バナジウムまたはバナジン酸イオン、ビスマスイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、錫イオン、pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝系、ドナー原子を含有する少なくとも二つの基を有する芳香族カルボン酸、1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子の1種以上を含み、およびc)電着コーティング材料による被覆の前に金属表面が乾燥されないことを特徴とする方法、及びB,Si,Ti,Zr及びHfから選ばれた1種以上の元素Mのフルオロ錯体の耐性、クロム非含有水性溶液であって、2〜5.5のpHを有し、錫イオン、ビスマスイオン、pH2.5〜5.5試用緩衝剤系、ドナー原子を含む2個以上の基を有し芳香族カルボン酸の1種以上をさらに含む金属表面処理用水性溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面に防食処理を施すための新規製品に関する。本発明には、さらに、特定の手順が特に鋼表面を防食処理するための特別な方法が包含される。この防食処理は、主として、それに続く陰極電着ディップコーティング処理のための前処理を目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
フルオロ錯体の酸性水溶液を含む防食剤は、ここしばらくの間に知られてきた。それらは、クロム化合物が毒性を有するため、次第にその使用が減少しているクロメート処理の代替法として、ますます用いられるようになっている。一般に、このタイプのフルオロ錯体溶液は、さらに防食性および塗料接着性を改善する追加の防食剤を含有する。
【0003】
例えば、DE−A−1933013号明細書には、一つの実施形態において、ヘキサフルオロジルコン酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸コバルトおよびm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液であって、かつpH5.2を有する処理溶液が記載されている。前記溶液は、亜鉛−、鋼−またはアルミニウム表面を処理するために用いられ得るものである。EP−A−1571237号明細書には、鉄−、亜鉛−、アルミニウム−およびマグネシウム−含有表面処理用の処理溶液および処理方法が記載されている。この溶液は、2〜6の範囲内にあるpHを有し、5〜5000ppmのジルコニウムおよび/またはチタンならびに0.1〜100ppmの遊離フッ化物を含有するものである。加えて、前記溶液は、さらに、塩素酸塩、臭素酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、過マンガン酸塩、バナジン酸塩、過酸化水素、タングステン酸塩、モリブデン酸塩または前記化合物のそれぞれの対応する酸から選択される成分を含有することができる。有機ポリマーも、また、存在することができる。このタイプの溶液による処理後、金属表面は、保護溶液によりさらに洗浄されてもよい。EP−A−1405933号明細書には、Ti、Zr、HfおよびSi群からの少なくとも一種の金属、ならびに鉄および/または亜鉛表面を処理するためのフッ化物イオン源を含有する組成物が開示されており、この開示中に前記両成分の濃度比に関する定義条件が設定されている。加えて、この溶液は、EP1571237号明細書におけるものと同じ追加の活性物質を含有することができる。Ag、Al、Cu、Fe、Mn、Mg、Ni、CoおよびZnからなる群から選択された金属イオンが、さらなる成分として存在することができる。DE−A−10010758号明細書には、特に亜鉛、アルミニウムおよび/またはマグネシウム表面用のTi、Zr、Hf、Siおよび/またはBの錯フッ化物、ならびに有機ポリマーを含有する処理溶液が開示されている。この溶液は、また、金属Mn、Ce、Li、V、W、Mo、Mg、Zn、CoおよびNiから選ばれた1種以上を含有することができる。さらなる可能性のある添加剤は、リン酸塩層形成用のリン酸塩形成促進剤として知られる化合物である。WO95/14539号明細書には、Ti、Zr、Hf、Si、Ge、SnまたはBの錯フッ化物、ならびにカルボン酸基1個当り少なくとも2個のヒドロキシル基(カルボン酸基のヒドロキシル基は数に入れない)を含有する有機ヒドロキシカルボン酸を含有する、金属表面、特に、アルミニウム用の処理溶液が記載されている。前記有機酸の特定例にはグルコン酸がある。
【0004】
これらの文献のすべてにおいて、その明細書中の、或は具体的に言えば実施態様における一般的記載において、前記溶液により処理される金属表面が、例えばワニスなどの追加の有機被覆剤で被覆される前に、乾燥されることが述べられている。しかし、特に、自動車車体の製造、前処理および塗装に対して、サイクルタイムの短縮化および前処理ラインの長さを可能な限り短縮化するためには、前処理車体を乾燥することなく、すなわち、なお湿った状態で、浸漬塗装浴中に投入されることが望ましい。従って、前処理層が、例えば、化学的に改変され、および/または脱水により硬化することができるような乾燥工程は不要である。従って、前処理の間に、−乾燥工程なしで−且つ、第1有機塗料層の塗布前に、所要の防食性および塗料密着性を有する防食層が作り出されねばならない。
【0005】
これらの仕様に合致する被覆法が、EP−A−1433876号明細書に記載されている。ここでは、例えば、鋼、亜鉛およびアルミニウム表面の処理は、Zr、Tiおよび/またはHf、ならびにフッ化物イオン、および追加的にポリビニルアミンまたはポリアリルアミンなどの水溶性樹脂を含有する溶液により行われる。なお湿った状態の前処理金属表面の塗装を記載している単独の実施形態において、フルオロジルコン酸、ポリアリルアミン、硝酸亜鉛、シリカおよびアスコルビン酸の水溶液が用いられる。ここで、有機ポリマーが防食性および塗料密着性に関する重要な成分であることが予測されている。しかし、前処理溶液中の有機ポリマーの存在は、それらが廃水処理での問題を引き起こす可能性があるため、往々にして望ましくない。
【0006】
亜鉛、アルミニウムおよび亜鉛メッキ鋼の表面は、極めて種々に配合されたフルオロ錯体の水溶液により前処理することができると共に、前述の要求事項を満たすことができる。前処理されなかった鋼表面での、前述の要求事項は、現在まで、連続皮膜リン酸亜鉛処理によってのみ満たすことができる。連続皮膜リン酸亜鉛処理の標準と比較すると、フルオロ錯体の水溶液による前処理は、前処理表面が塗装の前に乾燥されない場合に、防食性および塗料密着性に関して著しい不利を示す。
【0007】
しかし、この問題は、フルオロ錯体の水溶液が或種の追加成分を含有する場合に解決され得る。従って、第1態様において、本発明は、光沢金属表面の防食処理方法に関するものであり、光沢金属表面とは、少なくともその一部分は鋼表面である。本発明は、前記金属表面を、B、Si、Ti、ZrおよびHfからなる群から選択される少なくとも一種の元素Mのフルオロ錯体の酸性水溶液と接触させ、水洗し、その後に陰極電着可能なディップコーティング処理により被覆する方法において、
a)前記水溶液がアリルアミンまたはビニルアミンモノマーを含む有機ポリマーを1mg/リットルを超えない含有量で含有し、
b)前記水溶液が、さらに、硝酸イオン、銅イオン、銀イオン、バナジウムまたはバナジン酸イオン、ビスマスイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、錫イオン、pHを2.5〜5.5に調整するための緩衝系、ドナー原子を含有する少なくとも二つの基を有する芳香族カルボン酸、または前記カルボン酸の誘導体、1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子から選択される少なくとも一つのさらなる追加成分を含有し、
c)フルオロ錯体の該水溶液と接触させた後であって、かつ陰極電着可能なディップコーティング処理により被覆される前には、前記金属表面が乾燥されることがない、
ことを特徴とするものである。
【0008】
これに関連して、「鋼表面」は、追加の金属、例えば、亜鉛または亜鉛とニッケルまたはアルミニウムとの合金などによりトップコートされていない鋼の表面を意味するものである。光沢金属表面は、防食皮膜によりまだ被覆されていない金属表面を意味するものである。従って、本発明による方法は、第1または単独の処理工程に係るものであり、この工程はその後に続く塗料被覆層の素地(下地)としての機能を果たす防食層を形成する。従って、上記工程は、例えばリン酸塩層などのような、予め形成された防食層の後処理ではない。
【0009】
前記処理溶液は、分子中にドナー原子を含む少なくとも二個の基を有する前述の成分の一種として芳香族カルボン酸を含有することができる。ドナー原子は自由電子対を有する原子であって、この自由電子対により、前記ドナー原子は遷移金属イオンに配位することができる。一般的なドナー原子は、酸素、窒素および硫黄原子である。従って、芳香族カルボン酸のカルボン酸基は、それ自体すでにドナー原子を含有する基なのである。また分子中に少なくとも二つのカルボン酸基を有する芳香族カルボン酸は、前記定義の範囲内に入る。カルボン酸基に加えて、例えば、少なくとも一個のヒドロキシル基、少なくとも一個のアミノ基または少なくとも一つのニトロ基を担持する芳香族カルボン酸も、また、前記定義の範囲内に入る。これらのカルボン酸の例には、ベンゼンジカルボン酸、特にフタル酸の種々の位置異性体、またはヒドロキシ−、アミノ−またはニトロ−安息香酸の種々の位置異性体が包含される。
【0010】
一般に、前述の芳香族カルボン酸が好ましく、この芳香族カルボン酸は、その中のドナー原子を含有する少なくとも二つの基が、ドナー原子を通して、遷移金属イオンを有する5−、6−または7員キレート錯体を形成することができるように配置されているものである。従って、特に好ましい芳香族カルボン酸は、フタル酸、サリチル酸、o−アミノ安息香酸またはo−ニトロ安息香酸である。単一のベンゼン環のみを含有する芳香族カルボン酸の代わりに、それに対応する酸であって縮合環系を有するもの、例えば、ナフタレンまたはアントラセンから誘導される酸を用いることができる。
【0011】
また、前記芳香族カルボン酸の誘導体も、用いることができる。これらの中には、その分子構造において分子の基部構造の1個以上の水素原子(例えば、芳香族核上の水素原子、ヒドロキシル基またはアミノ基の水素原子、またはカルボキシル基の水素原子など)が、他の原子または原子グループにより置換されている分子も包含される。
【0012】
1μm未満の平均粒径を有する前記シリカ粒子は、当業者に種々の一般名で知られている。それらは、例えば、コロイド状シリカ、沈降シリカまたは焼成シリカと呼ばれる。その平均粒径は好ましくは約0.01μm〜約1μmの範囲にあり、この平均粒径は、光散乱法または電子顕微鏡法により測定することができる。
【0013】
本発明による方法において、毒性を有するという理由により、本質的に六価クロム(VI)化合物を含まず、好ましくはいかなる種類のクロム化合物をも含有しない水溶液が用いられる。極く微量のクロム化合物が、ステンレス鋼容器から溶出することにより処理溶液中に到達することがあるが、このような極く微量のクロム化合物は考慮されない。これに関連して、1ppm以下、特に0.1ppm以下のクロムを含有する処理溶液は、「クロムなし」として理解される。本発明に従って用いようとする処理溶液はリン酸塩形成溶液を意味するものではない。それはリン酸塩形成溶液は非晶質または結晶性リン酸塩層の形成をもたらすものではないからである。このようなリン酸塩層は、処理溶液が、好ましくは、PO43-として計算されたとき、1g/リットル以下の無機リン酸塩またはリン酸を含有する場合ににおいて達成される。しかし、例えば、10〜500mg/リットルの範囲内のリン酸塩の含有は許容することができるものであり、またそれによって処理溶液の作用を改善することさえできる。
【0014】
本発明による方法において用いようとする水性処理溶液は、その濃縮物を水により希釈することにより製造することができるが、このような濃縮物の安定性は、増粘剤および/または分散剤を添加することにより改善することができる。これらの増粘剤および/または分散剤は、水性処理溶液の使用時にすぐ使えるように、適度の希釈状態に調製される。処理溶液中にそれらを含めておいて、それによってこのタイプの処理溶液が本発明による方法において用いることができるようにすることが許される。従って、水性処理溶液は、それが、アリルアミンまたはビニルアミンモノマーを含有せず、かつ50g/リットル以下の濃度で増粘特性または分散特性を有するようなポリマーとは異種の有機ポリマーを、1mg/リットル以下の含有量を含むものであってもよい。このようなポリマーの例には、不飽和カルボン酸、炭水化物またはタンパク質のポリマー又はコポリマーが挙げられる。
【0015】
前記水性処理溶液は、アリルアミンまたはビニルアミンモノマーを含有する有機ポリマーを1mg/l以下の含有量で含有していなければならない。しかし、他のポリマーも存在することができる。これらの他のポリマーには、増粘特性および/または分散特性を有する前述のポリマーが挙げられる。これらとは別に、前記処理溶液は防食処理において、既知の積極的な活性を有する追加のポリマーを含有することができる。このタイプの代表的なポリマー(増粘特性および/または分散特性を有するものを含む)は下記のとおりである:
a)不飽和のアルコール、或はそれらのエステルまたはエーテルのポリマー又はコポリマー、
b)不飽和のカルボン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸、或はそれらのそれぞれの塩、エステルまたはアミドのポリマー又はコポリマー、
c)ポリアミノ酸またはタンパク質或は前記ポリアミノ酸又はタンパク質の塩、エステルまたはアミド、
d)炭水化物或はそれらのエステルまたはエーテル、
e)窒素原子がポリマー鎖中に組み込まれるポリアミン、
f)ポリエーテル、
g)ポリビニルフェノールおよびそれらの置換生成物、
h)エポキシ樹脂、アミノ樹脂、タンニン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、
i)ビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマー。
【0016】
これらのタイプのポリマーが存在する限りでは、水性処理溶液中のそれらの濃度は、好ましくは、2000mg/l未満である。例えば、廃水処理の単純化などの第2の技術的理由により、水性処理溶液中の有機ポリマーの存在を大きくまたは完全に省くことは、有利になり得ることである。従って、本発明の好ましい一実施形態は、水溶液が有機ポリマーを1mg/リットル以下の含有量で含有する場合である。
【0017】
酸性処理溶液のpHは、好ましくは、2〜5.5の範囲であり、更に好ましくは3.5〜5の範囲にある。pHを、少なくとも部分的に酸の形態にあるフルオロ錯体を添加することにより前記酸性範囲に調整することが好ましい。しかし、このpH、また、別の酸、例えば硝酸によっても調整することができる。本発明、および本発明のこの第1態様によれば、金属表面がフルオロ錯体の水溶液と接触した後であって、かつ陰極電着可能なディップコーティング処理により被覆される前に、金属表面を乾燥させるというような処置は全く不要であり、また、好ましくは避けるべきである。しかし、意図されない乾燥が、装置がシャットダウンされた際に起こる可能性があり、これは、処理された金属表面、例えば、自動車車体またはそれらの一部の表面が、フルオロ錯体の水溶液を含有する浴と電着ディップコーティング浴との間で、空気にさらされる場合などに、起り得る。しかし、このような意図されない乾燥は無害である。
【0018】
前記要件b)に述べられる追加の成分は、下記の濃度範囲で存在することが好ましい。:
硝酸イオン:0.1〜5000mg/リットル、好ましくは1〜3000mg/リットル、さらに好ましくは10〜1000mg/リットル、
銅−、銀−、コバルト−またはニッケルイオン:それぞれ、0.1〜300mg/リットル、好ましくは1〜30mg/リットル、
バナジウム−、またはバナジン酸イオン:1〜2000mg/リットル、好ましくは5〜500mg/リットル(バナジウムとして計算して)、
ビスマス−、マグネシウム−、亜鉛−、マンガン−または錫イオン:それぞれ1〜2000mg/リットル、好ましくは5〜500mg/リットル、
pHを2.5〜5.5の範囲に調整するための緩衝剤系:溶液のpHが、溶液リットル当り1ノルマルの酸または塩基が添加される場合に、0.2単位を超えては変化しないだけの十分な量にあること、
ドナー原子を含有する少なくとも二つの基を含有する芳香族カルボン酸、またはこれらの酸の誘導体:0.01〜1000mg/リットル、好ましくは1〜500mg/リットル、
1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子の形態にあるシリコン:10〜1000mg/リットル、好ましくは50〜500mg/リットル。
【0019】
本発明において、「酸」、特に「カルボン酸」が述べられる場合に、それは、遊離酸および/またはその陰イオンであると理解されるべきである。酸が所定の濃度範囲において遊離酸の形態かまたは可溶性塩の形態のどちらで添加されるかには関係なく、当該酸のpKsおよび水溶液のpHに応じて、遊離酸と塩形態の間で平衡が達成されることは、当業者に周知されている。濃度は遊離酸として計算される。同じことは、例えば、水溶液中に存在するH2ZrF6または他の酸にも当てはまる。
【0020】
酢酸/酢酸塩緩衝液は、前記pH範囲用の緩衝系として特に好適である。さら好適な緩衝系は、フタル酸水素カリウムを基本とするものである。
【0021】
好ましくは、前記水溶液は、金属Mの濃度が1〜5000mg/リットルの範囲、好ましくは5〜1000mg/リットルの範囲、特に10〜500mg/リットルの範囲内にあるような量のフルオロ錯体を含有する。ジルコニウムおよび/またはチタンは、特に、金属Mとして好ましい。
【0022】
前記フルオロ錯体中で、元素Mが、Si、Ti、ZrおよびHf群から選択され、前記水溶液が元素Mのイオン当り平均で少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、特に少なくとも5個のフッ素イオンを含有することは、さらに好ましい。ここで、「平均で」という記載は、前記水溶液中のフッ化物イオン対Mイオンの計算原子比を意味する。該金属Mのフルオロ錯体の安定性は、前記水溶液がMイオン当り6個未満のフッ化物イオンを含有する場合に、次に、フッ化物イオンがほぼ完全にフッ化物錯体の形態においてMイオンに結合されている可能性を生ずる。従って、この場合において、フッ化物は本質的に全体として「錯フッ化物」として存在する。
【0023】
しかし、前記水溶液は、また、ヘキサフルオロ錯体の完全な形成に必要とされるものよりも多いフッ化物イオンを含有することができる。この場合において、6個のフッ化物イオンがフルオロ錯体中に存在し、過剰のフッ化物イオンがいわゆる「遊離フッ化物」として存在することを想定することができる。それらは、例えば、HFおよび/またはその水溶性塩の形態にあることができる。本発明のこの実施形態は、金属M(MはSi、Ti、Zr、Hfから選択される)のイオン当り6個のフッ化物イオンがフルオロ錯体中に存在し、さらに、水溶液がなおジルコニウムに結合されていない1〜1000mg/リットルのフッ化物イオンを含有する場合である。
【0024】
特に好ましい実施形態において、前記水溶液は少なくとも0.1mg/リットル、好ましくは少なくとも1mg/リットル、特に少なくとも10mg/リットルの硝酸イオンを含有する。硝酸濃度の上限は、主に技術的要因よりも経済的要因から選択され、経済的要因は、また、廃水処理のコストを包含する。硝酸イオン濃度の上限は、例えば、5000mg/リットル、好ましくは3000mg/リットルおよび特に1000mg/リットルとして選択することができる。前記水溶液は、態様b)による追加の成分として銅イオンおよび/または銀イオンを含有することができる。それらは硝酸イオンの代わりに存在するか、またはそれらと一緒に存在することができる。この実施形態において、前記水溶液は、好ましくは0.1〜300mg/l、特に1〜30mg/lの銅イオンおよび/または銀イオンを含有する。
【0025】
さらなる好ましい実施形態において、前記水溶液は上に定義した少なくとも一つの芳香族カルボン酸、またはその誘導体を含有する。サリチル酸は特に好ましい。芳香族カルボン酸は、硝酸イオンおよび/または銅イオンおよび/または銀イオンと一緒に存在することができる。それは、好ましくは、少なくとも0.1mg/リットル、好ましくは少なくとも1mg/リットル、特に少なくとも10mg/リットルの濃度で存在する。濃度の上限も、やはり、技術面よりも経済面での条件を重視して定められる。例えば、芳香族カルボン酸の上限濃度レベルは、1000mg/リットル、好ましくは500mg/リットル、更に好ましくは400mg/リットルであることができる。
【0026】
さらに好ましい実施形態において、水性処理溶液は、既述のようにpHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系を含有する。
【0027】
従って、好ましくは用いることができる水性処理溶液は、上記に詳細に記載された成分:硝酸イオン、銅イオンおよび/または銀イオン、芳香族カルボン酸、及び1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子、およびpHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系の少なくとも一つを含有する。また、これらの成分の2以上が一緒に存在していてもよい。前記5種の好ましい成分に加えてのさらなる成分の存在は、防食性および塗料接着性に好ましい影響を及ぼすことができる。例えば、5種の前述の成分(硝酸イオン、銅イオンおよび/または銀イオン、芳香族カルボン酸、シリカ粒子、緩衝剤系)の1種以上に加えて、下記の成分の1種以上が存在していてもよい:バナジウム−またはバナジン酸イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、錫イオン、ビスマスイオン、マグネシウムイオンおよび亜鉛イオン。それらの好ましい濃度範囲は、既に上記に記載されている。これに関連して、5種の前記の好ましい成分(硝酸イオン、銅イオンおよび/または銀イオン、芳香族カルボン酸、シリカ粒子、緩衝剤系)の一つに加えて、亜鉛イオンならびにマグネシウムイオンの両方を含有する処理溶液が、特に好ましい。
【0028】
さらに、前記水性処理溶液は、追加的にアルミニウムイオンを含有することができる。それらは、例えば、硝酸塩の形態にある可溶性塩の形態で導入することができる。この場合において、前記水性処理溶液は、好ましくは1〜1000mg/リットル、特に10〜500mg/リットルのアルミニウムイオンを含有する。アルミニウムイオンは、過剰の遊離フッ化物イオンに対する補修剤(getter)としての機能を果たすことができ、これらと同じように、それらは安定なフルオロ錯体を形成する。金属M、例えば、ジルコニウムはおそらくは酸化物の形態で処理金属表面上に沈殿析出するので、遊離フッ化物イオンは、水性処理溶液中に生成される。このようにして、元々金属Mに結合されていたフッ化物イオンが放出される。水溶液の酸洗い効果は、遊離フッ化物イオンにより増大されるがこの増大した酸洗い効果は錯体形成によるアルミニウムイオンの存在により低減することができる。
【0029】
既述の成分に加えて、前記水性処理溶液は、いわゆる「促進剤」として、リン酸塩連続皮膜層中に化合物を含有することができる。これらの促進剤は、金属表面上の酸の酸洗い作用により作り出される水素原子を捕捉する特性を有する。「復極」としても知られるこの反応は、金属表面上の酸性処理溶液の作用を容易にし、それによって、防食層の形成を促進する。例えば、前述の文献DE−A−19933189号明細書にリストアップされている下記の促進剤を、用いることができる:
0.05〜2g/リットルのm−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、
0.1〜10g/リットルの遊離または結合形態にあるヒドロキシルアミン、
0.05〜2g/リットルのm−ニトロ安息香酸イオン、
0.05〜2g/リットルのp−ニトロフェノール、
1〜70mg/リットルの遊離または結合形態にある過酸化水素、
0.05〜10g/リットルの有機N−酸化物、
0.01〜3g/リットル、好ましくは0.5g/リットル以下のニトログアニジン、
1〜500mg/リットルの亜硝酸イオン、
0.5〜5g/リットルの塩素酸イオン。
【0030】
前述の文献EP−A−1571237号明細書から下記事項、すなわちフルオロ錯体の水溶液による処理後、次に、この処理された金属表面が、元素コバルト、ニッケル、錫、銅、チタンおよびジルコニウムの化合物または塩、および/または水溶性または水分散性有機ポリマーから選択された1種以上の成分を含有する水溶液により洗浄されることは、既知である。防食性および塗料接着性は、さらに、この最終洗浄により改善される。このタイプの最終洗浄は、また、本発明による方法の過程で積極的な効果を有する。従って、本発明は、また、方法の改変を含み、この改変された方法にはフルオロ錯体の水溶液と接触した後であって、かつ陰極電着ディップコーティング処理により被覆される前に、金属表面が元素コバルト、ニッケル、錫、銅、チタンおよびジルコニウムの化合物または塩、および/または水溶性または水分散性有機ポリマーから選択された1種以上の成分を含有する水溶液により洗浄することも含まれる。
【0031】
前述の本発明方法の工程をもたらした実験において、錫イオン、ビスマスイオン、pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系、芳香族カルボン酸またはそれらの誘導体から選択される1種以上の成分の添加が、一般に、鋼、アルミニウム、亜鉛および亜鉛メッキ鋼の表面に対するフルオロ錯体水溶液の防食効果を改善することは、明らかであった。このことは、表面がこの溶液との接触工程と次の塗装工程との間で、乾燥される、または乾燥されないに関係なく適合する。従って、これらのタイプの処理溶液は、前述の本発明の工程サイクルにおいて、有利に用いることが可能であるだけでなく、また、一般に金属表面の防食性および塗料接着性に対する積極的な効果をも示す。
【0032】
従って、本発明の第2態様は、金属表面処理用の、2〜5.5の範囲にあるpHを有し、かつ、B、Si、Ti、ZrおよびHfからなる群から選択された少なくとも一種の元素Mのフルオロ錯体の酸性、クロム非含有の水溶液を提供するものであり、この水溶液は、追加的に、錫イオン、ビスマスイオン、pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系、ドナー原子を含有する少なくとも二つの基を有する芳香族カルボン酸、またはこれらのカルボン酸の誘導体間から選択される1以上の成分を含有する。
【0033】
前記処理溶液は、前述の成分の一つとして芳香族カルボン酸を含有することができ、この芳香族カルボン酸は、その分子中に、ドナー原子を含有する少なくとも二つの基を有するものである。ドナー原子は遊離電子対を担持する原子であって、この遊離電子対によって、前記ドナー原子は遷移金属イオンに配位することができる。一般的なドナー原子は、酸素、窒素および硫黄原子である。従って、芳香族カルボン酸のカルボキシル基は、それ自体がすでにドナー原子を含有する基である。従って、分子中に少なくとも二つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸は、前記定義内にある。例えば、カルボキシル基に加えて、少なくとも一個のヒドロキシル基、少なくとも一個のアミノ基、または少なくとも一個のニトロ基を担持する芳香族カルボン酸も、また、この定義内に入る。これらのカルボン酸の例には、ベンゼンジカルボン酸、特にフタル酸の種々の位置異性体、またはヒドロキシ−、アミノ−またはニトロ−安息香酸の種々の位置異性体が挙げられる。
【0034】
一般に、前述の芳香族カルボン酸が好ましく、この場合、ドナー原子を含有する少なくとも二個の基が、ドナー原子を介して、5−、6−または7−員キレート錯体が、遷移金属イオンによって形成されるように配置されている。従って、特に好ましい芳香族カルボン酸には、フタル酸、サリチル酸、o−アミノ安息香酸、またはo−ニトロ安息香酸が挙げられる。単一のベンゼン環のみを含有する芳香族カルボン酸の代わりに、縮合環系を有する対応する酸、例えば、ナフタレンまたはアントラセンから誘導される酸を、用いることができる。
【0035】
前記カルボン酸の誘導体も、また、用いることができる。これらの中には、その分子構造において、1個以上の水素原子(例えば、芳香族核上の水素原子、ヒドロキシルまたはアミノ基の水素原子、またはカルボキシル基の水素原子)が、他の原子または原子グループにより置換されている化合物も包含される。
【0036】
本発明のこの第2態様について、本質的なまたは追加の任意の成分に関する前述の説明は、同様に有効である。:
【0037】
水溶液には、毒性を有するという理由により、本質的に6価クロム(VI)化合物が含まれず、好ましくは、いかなる種類のクロム化合物も全く含有されない。ステンレス鋼容器から溶出することにより処理溶液に達する可能性のある極く微量のクロム化合物は考慮されていない。これに関連して、1ppm以下、特に0.1ppm以下のクロムを含有する処理溶液は、「クロムなし」と理解される。本発明による処理溶液は、リン酸塩形成溶液を意味するものではなく、すなわち、本発明の処理溶液は非晶質または結晶性リン酸塩層の形成をもたらさない。このようなことは、処理溶液が、好ましくは、PO43-として計算したとき、1g/リットル以下の無機リン酸塩またはリン酸を含有するときに達成される。しかし、例えば、10〜500mg/リットル範囲のリン酸塩含量は、許容可能であり、また、処理溶液の作用を改善することもできる。
【0038】
酸性処理溶液のpHは、好ましくは、2〜5.5の範囲内にあり、より好ましくは、3.5〜5の範囲内にある。pHは、好ましくは、少なくとも部分的に酸の形態にあるフルオロ錯体を添加することにより、上記酸性範囲内に調整される。しかし、それは、また、別の酸、例えば硝酸によって調整することもできる。
【0039】
1種以上の本質的な成分は、下記の濃度において存在することが好ましい。
錫イオン:1〜2000mg/リットル、好ましくは5〜500mg/リットル、
ビスマスイオン:1〜2000、好ましくは5〜500mg/リットル、
pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系:溶液のpHが、溶液リットル当り1Nの酸または塩基が添加される場合に、0.2単位を超えては変化しないだけの十分な量であること、
芳香族カルボン酸:0.01〜1000、好ましくは1〜500mg/リットル。
【0040】
加えて、この水溶液は1種以上の下記の成分を含有していてもよい。:
硝酸イオン:0.1〜5000mg/リットル、好ましくは1〜1000mg/リットル、
銅−、コバルト−、ニッケル−および/または銀イオン:それぞれ0.1〜300mg/リットル、好ましくは1〜30mg/リットル、
バナジウム−またはバナジン酸イオン:1〜2000、好ましくは5〜500mg/リットル(バナジウムとして計算して)、
マグネシウムイオン:1〜2000、好ましくは5〜500mg/リットル、
マンガンイオン:1〜2000mg/リットル、好ましくは5〜500mg/リットル、
亜鉛イオン:1〜2000、好ましくは5〜500mg/リットル。
【0041】
これに関連して、前記水溶液が前記の本質的な成分(錫イオン、ビスマスイオン、pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系、芳香族カルボン酸またはそれらの誘導体)の少なくとも一種に加えて、亜鉛イオンならびにマグネシウムイオンの両方を含有することは、好ましくあり得る。さらに、銅イオンおよび/または銀イオンの存在が好ましい。
【0042】
酢酸/酢酸塩緩衝液は、前記のpH範囲用の緩衝剤系として特に好適である。さらに好適な緩衝剤系はフタル酸水素カリウムを基本とするものである。
【0043】
好ましくは、前記水溶液は、金属Mの濃度が1〜5000mg/リットルの範囲内、好ましくは5〜1000mg/リットルの範囲内、さらに好ましくは10〜500mg/リットルの範囲内にあるようにフルオロ錯体の量を含有する。ジルコニウムおよび/またはチタンは金属Mとして特に好ましい。
【0044】
前記フルオロ錯体中で、元素Mが、Si、Ti、ZrおよびHfからなる群から選択され、前記水溶液が元素Mのイオン当り平均で少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、特に少なくとも5個のフッ素イオンを含有することが、さらに好ましい。ここで、「平均で」なる記載は、水溶液中のフッ化物イオン対Mイオンの計算原子比を意味する。前記金属Mのフルオロ錯体の安定性は、前記水溶液がMイオン当り6個未満のフッ化物イオンを含有する場合にフッ化物イオンがフルオロ錯体の形態にあるMイオンに、ほぼ完全に結合される可能性をもたらすものである。従って、この場合において、フッ化物は本質的に全体として「錯フッ化物」として存在する。
【0045】
しかし、水溶液は、ヘキサフルオロ錯体の完全な形成に必要とされる量よりも多いフッ化物イオンも含有することができる。この場合において、金属Mイオン当り6個のフッ化物イオンがフルオロ錯体中に存在し、過剰のフッ化物イオンがいわゆる「遊離フッ化物」として存在することを想定することができる。それらは、例えば、HFおよび/またはその水溶性塩の形態のものであり得る。本発明のこの実施形態は、金属M(MはSi、Ti、Zr、Hfから選択される)のイオン当り6個のフッ化物イオンがフルオロ錯体中に存在し、さらに、水溶液がなおジルコニウムに結合されていないフッ化物イオン1〜1000mg/リットルを含有する場合である。
【0046】
本発明の第2態様の関連して、「酸」、特に「カルボン酸」が述べられる場合には、これらを遊離酸および/またはその陰イオンであると理解するべきである。酸が、所定の濃度範囲において、遊離酸の形態またはその可溶性塩の形態のいずれで添加されたかには関係なく、当該酸のpKsおよび水溶液のpHに応じて定まる遊離酸形態と塩形態の間に平衡が達成されることは当業者に周知されている。これらの濃度は遊離酸として計算される。同じことは、例えば、水溶液中に存在するH2ZrF6または他の酸にも当てはまる。
【0047】
本発明の第2態様におけるさらなる好ましい実施形態において、水溶液は、少なくとも一種の芳香族カルボン酸、好ましくはサリチル酸、またはその誘導体を含有する。前記酸又はその誘導体は、ビスマスイオンおよび/または緩衝剤系と一緒に存在することができる。前記酸又はその誘導体は、好ましくは、少なくとも0.1mg/リットル、更に好ましくは少なくとも1mg/リットル、特に好ましくは少なくとも10mg/リットルの濃度で存在する。前記濃度の上限値も、やはり、技術面よりも主に経済面での条件を重複して定められる。例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸の上限濃度レベルは、1000mg/リットル、好ましくは500mg/リットル、更に好ましくは400mg/リットルの如く選択することができる。
【0048】
本発明の第2態様の関連でのさらに好ましい実施形態において、前記水性処理溶液は、既述のように、pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系を含有する。
【0049】
前記水性処理溶液は、さらにアルミニウムイオンを含有することができる。このアルミニウムイオンは、例えば、硝酸塩の形態にある可溶性塩の形態で導入することができる。この場合において、前記水性処理溶液は、好ましくは1〜1000mg/リットル、特に好ましくは10〜500mg/リットルのアルミニウムイオンを含有する。アルミニウムイオンは、遊離フッ化物イオンの過剰分に対する「補修剤(getter)」としての機能を果たすことができ、この補修剤とともに、アルミニウムイオンは安定なフルオロ錯体を形成する。前記金属M、例えば、ジルコニウムは、おそらく酸化物の形態で処理金属表面上に沈殿析出するのであるから、遊離フッ化物イオンは、水性処理溶液中に生成され、このようにして、前記金属Mにもともと結合されていたフッ化物イオンが放出される。前記水溶液による酸洗い効果は、前記遊離フッ化物イオンにより増大するがその増大した酸洗い効果は、錯体形成によるアルミニウムイオンの存在により低下させることができる。
【0050】
本発明の第2態様による既述の成分に加えて、前記水性処理溶液は、リン酸塩連続皮膜層中において、いわゆる「促進剤」として用いられる化合物を含有することができる。これらの促進剤は、金属表面上の酸の酸洗い作用により生成する水素原子を捕捉するという特性を有する。この反応は、「復極」反応としても知られるものであって、金属表面上の酸性処理溶液の作用を容易にし、それによって、防食層の形成を促進する。例えば、前述の文献DE−A−19933189号明細書にリストされている下記促進剤を用いることができる:
0.05〜2g/リットルのm−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、
0.1〜10g/リットルの遊離または結合形態にあるヒドロキシルアミン、
0.05〜2g/リットルのm−ニトロ安息香酸イオン、
0.05〜2g/リットルのp−ニトロフェノール、
1〜70mg/リットルの遊離または結合形態にある過酸化水素、
0.05〜10g/リットルの有機N酸化物、
0.01〜3g/リットル、好ましくは0.5g/リットル以下のニトログアニジン、
1〜500mg/リットルの亜硝酸イオン、
0.5〜5g/リットルの塩素酸イオン。
【0051】
さらに、前記処理溶液は防食処理において既知の積極的な活性を有するポリマーを含有することができる。このタイプのポリマーの例としては下記のものが挙げられる:
a)不飽和のアルコール、或はそれらのエステルまたはエーテルのポリマー又はコポリマー、
b)不飽和のカルボン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸、或はそれらのそれぞれの塩、エステルまたはアミドのポリマー又はコポリマー、
c)ポリアミノ酸またはタンパク質或はこれらのそれぞれの塩、エステルまたはアミド、
d)炭水化物或はそれらのエステル(キサントゲン酸のエステルを含む)またはエーテル、
e)窒素原子がポリマー鎖中に組み込まれているポリアミン、
f)ポリエーテル、
g)ポリビニルフェノールおよびそれらの置換製品、
h)エポキシ樹脂、アミノ樹脂、タンニン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、
i)ビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマー。
【0052】
これらのタイプのポリマーが存在する場合には、前記水性処理溶液中のそれらの濃度は、好ましくは、2000mg/リットル未満である。例えば、廃水処理の単純化などのような第2の技術的理由により、前記水性処理溶液中の有機ポリマーの存在を大きくまたは完全になくすることは、有利なことである。従って、本発明の好ましい実施形態は、前記水溶液が有機ポリマーを1mg/リットル以下の含有量で含有する場合である。この条件下で、水溶液が、追加的に、10〜1000mg/リットル、好ましくは50〜500mg/リットルのシリコンを、1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子の形態で含有することがさらに好ましい。1μm未満の平均粒径を有する前記シリカ粒子は、当業者に種々の一般名で知られている。それらは、例えば、コロイド状シリカ、沈降シリカまたは焼成シリカと呼ばれる。これらの平均粒径は、好ましくは約0.01μm〜約1μmの範囲内にあり、光散乱法または電子顕微鏡法により測定することができる。
【0053】
本発明の第2態様により、前記処理溶液は前記成分を水中に溶解し、pHを調整することにより使用場所で製造することができる。しかし、この手順は実際にはまれである。実際には、これに代わって、通常、使用場所に水性濃縮物が提供され、水で希釈され、そのpHが適宜に調整されて、使用可能な状態の処理溶液が製造される。従って、前記水性濃縮物は、本発明の第2態様に属し、かつこの水性濃縮物は約10〜約100のファクター(factor)、特に約20〜約50の係数で水により希釈され、適宜にpH調整され、それによって前述の説明による酸性クロム非含有フルオロ錯体の水溶液が得られる。
【0054】
安定化のため、前記濃縮物は、増粘特性および/または分散特性を有するポリマーを含有することができる。こうしたポリマーの例としては、不飽和カルボン酸のポリマーまたはコポリマー、炭水化物またはタンパク質が挙げられる。それらは50g/リットル以下の濃度で存在することができる。
【0055】
安定性の理由により、このタイプの濃縮物は、多くの場合、水で希釈する際に、pH値が直接に所望範囲内には入らないように調整される。この場合において、水による希釈後、pHは下方に、または上方のいずれかに修正されなければならない。下方への調整は酸を添加することによりなされ、このケースにおいて、酸形態にある金属Mのフルオロ錯体、または硝酸のいずれかが役立つ。pHの上方への調整は、あらゆる塩基性物質、例えば、アルカリ金属水酸化物または−炭酸塩、アンモニアまたは有機アミンの溶液を用いることにより達成することができる。しかし、塩基性化合物またはその塩、例えば、処理溶液中の可能な活性成分を示す金属酸化物、−水酸化物または炭酸塩もまた、pHを上げるために添加することができる。例えば、マグネシウムまたは亜鉛の酸化物、−水酸化物または−炭酸塩を、ここで用いることができる。
【0056】
光沢金属表面の防食処理方法は、本発明の第2態様に属し、この方法において、前記金属表面は、本発明の第2態様による前述の水性溶液に接触する。
【0057】
前記フルオロ錯体の水溶液との接触後、金属表面が、元素コバルト、ニッケル、錫、銅、チタンおよびジルコニウムの化合物または塩、および/または水溶性または水分散性有機ポリマーから選択される1以上の成分を含有する水溶液により洗浄されることは、好ましいことと思われる。
【0058】
「光沢(bright)」金属表面という用語は、本発明の第1態様の前記記載において、詳細に説明されている。この説明は、また、本発明の第2態様に対しても有効である。
【0059】
金属表面の処理が、本発明の第1態様による工程サイクルに対応するフルオロ錯体の水溶液によるか、または本発明の第2態様による水溶液によるかのいずれであるかには関係なく、下記事項が一般にこの方法の工程に対して有効である:
【0060】
光沢金属表面は、0.5〜10分間、好ましくは1〜5分間にわたって、フルオロ錯体の酸性水溶液と接触する。これは処理溶液中に浸漬するか、または処理溶液を噴霧することによって実施することができる。これに関連して、前記フルオロ錯体の水溶液の温度は、好ましくは、15〜60℃の範囲内、さらに好ましくは25〜50℃の範囲内にある。この接触後、洗浄が、好ましくは、水により、さらに好ましくは完全な脱イオン水により施される。この後、前述の最終洗浄が適宜続行される。この場合において、引続き水による洗浄が施される。
【0061】
本発明の第1態様による工程サイクルにおいて、処理された金属表面は、陰極電着ディップコーティング処理用の浴中に、乾燥なしで移される。本発明の第2態様によるフルオロ錯体溶液による処理についても全く同様の方法で進めることができる。しかし、また、陰極電着ディップコーティング処理、または、例えば粉体塗装などの他のコーティングによりそれを被覆する前に、処理金属表面を乾燥することができる。
【実施例】
【0062】
下記の実施形態は、本発明による方法または本発明による新規な水性処理溶液の技術的利点を示すものである。
【0063】
自動車組立産業において用いられている冷間圧延鋼板の試料シートを、下記の実験における基板として用いた。すべての方法工程は浸漬法により行われた。略語:FD水=完全な脱イオン水、RT=室温、min.=分、CED=陰極電着ディップコーティング。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例1及び2並びに比較例1及び2
表1に記載の方法サイクルにおける前処理後の乾燥を伴う前処理用の処理浴の組成(前処理後に乾燥が施される)、および腐食試験の結果:VDA621−415による交互気候試験:70日後の平均腐食量(mm)、およびDIN55996−1に準拠する70日後の多衝撃試験(stone impact damage)、スケール0.5〜5(より小さい程良好)を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
結果:
本発明の実施例1および2は、前処理層が乾燥される場合(本発明の第2態様)に、サリチル酸添加の好ましい効果を証明している。対照的に、クエン酸の添加(比較例2)はむしろ否定的な結果を示した。
【0068】
実施例3及び比較例3
前処理後の乾燥なし(「ウエットオンウエット」)における、表1による方法サイクル中の前処理に用いられた処理浴の組成、および腐食試験結果:VDA621−415による交互気候試験:35日後の平均腐食量(mm)
【0069】
【表3】

【0070】
結果:
本発明の実施例3は、前処理層が乾燥されない場合(本発明の第1態様)に、硝酸塩およびシリカ添加の好ましい効果を証明している。
【0071】
比較例4及び実施例4
表1による手順において、下記の処理溶液を前処理(処理時間:5分)用に用い、そこでは、まず(比較例4)、前処理後に乾燥を行い、次に(実施例4)、前処理後で、ディップコーティング前に乾燥を全く行わなかった:Zr150mg/リットル、硝酸塩(硝酸として添加される)400mg/リットル、Si(コロイド状シリカとして添加される)200mg/リットル、pH3.8。
VDA621−415による交互気候試験:70日後の平均腐食量
【0072】
【表4】

【0073】
結果:
本発明の実施例4は、硝酸塩およびシリカの存在下で、乾燥あり(本発明の第1態様)よりも乾燥なしによりより良い結果が得られることを示した。
【0074】
比較例5、並びに実施例5及び6
前処理後の乾燥なし(「ウエットオンウエット」)における表5による方法サイクル中の前処理に用いられた処理浴の組成、および腐食試験結果:VDA621−415による交互気候試験:
70日後の平均腐食量(mm)、およびDIN55996−1による70日後の多衝撃試験(stone impact damage)、スケール0.5〜5(小さい程より良好)
【0075】
【表5】

【0076】
結果:
本発明の実施例5は、「ウエットオンウエット」法における化成処理浴への銅(Cu(NO)3として)20mg/リットルの添加が、交互気候試験において有意により良い浸潤値を生むことを証明している。コロイド状シリカ形態でのシリコン20mg/リットルのさらなる添加(実施例6)は、多衝撃試験(stone impact damage)におけるK値の著しい改善を生む。
【0077】
実施例7及び8
前処理後の乾燥なし(「ウエットオンウエット」)における表1による方法サイクル中の前処理に用いられた処理浴の組成、および腐食試験結果:
VDA621−415による交互気候試験:70日後の平均腐食量(mm)、およびDIN55996−1による70日後の多衝撃試験(stone impact damage)、スケール0.5〜5(より小さいほどより良い)
【0078】
【表6】

【0079】
結果:
本発明の実施例7および8は、これらを比較すると、化成浴への促進剤ニトログアニジン(50mg/l)の添加が、腐蝕性塗料浸潤に関する交互気候試験において、さらなる改善をもたらすこと、および、多衝撃試験(stone impact damage)において著しくより小さなK値をもたらすことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢金属表面(bright metal surface)の防蝕処理方法であって、前記光沢金属表面は、少なくともその一部分に鋼表面を含み、前記金属表面を、B、Si、Ti、Zr及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素Mのフルオロ錯体の酸性水溶液に接触させ、水洗し、その後に陰極電着可能なディップコーティング処理により被覆する方法において、
a)前記水溶液が、アリルアミンまたはビニルアミンモノマーを含む有機ポリマーを1mg/リットルを超えない含有量で含み、
b)前記水溶液が、さらに、硝酸イオン、銅イオン、銀イオン、バナジウムまたはバナジン酸イオン、ビスマスイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、錫イオン、pHを2.5〜5.5の範囲内に調整するための緩衝剤系と、ドナー原子を含む少なくとも二つの基を有する芳香族カルボン酸または前記カルボン酸の誘導体と、及び1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子とから選択された少なくとも一種からなる追加成分を含有し、
c)前記フルオロ錯体の水溶液と接触させた後であって、かつ陰極電着可能なディップコーティング処理により被覆される前には、前記金属表面が乾燥されることがない、
ことを特徴とする光沢金属表面の防食処理方法。
【請求項2】
前記水溶液が、アリルアミン又はビニルアミンモノマーを含まず、かつ50g/リットル以下の濃度において、増粘性又は分散性を有する他の有機ポリマーを1mg/リットル以下の含有量で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶液が、前記の有機ポリマーとは異種の有機ポリマーを1mg/リットル以下の含有量で含み、前記異種有機ポリマーはアリルアミンまたはビニルアミンのモノマーを含有せず、かつ下記(a)〜(i):
a)不飽和のアルコール、或はそれらのエステルまたはエーテルのポリマー又はコポリマー、
b)不飽和のカルボン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸、或はそれらのそれぞれの塩、エステルまたはアミドのポリマー又はコポリマー、
c)ポリアミノ酸またはタンパク質、或は前記ポリアミノ酸及びタンパク質のそれぞれの塩、エステルまたはアミド、
d)炭水化物或はそれらのエステルまたはエーテル、
e)ポリアミン、但しその窒素原子がポリマー鎖中に組み込まれているもの、
f)ポリエーテル、
g)ポリビニルフェノールおよびそれらの置換生成物、
h)エポキシ樹脂、アミノ樹脂、タンニン、及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、
i)ビニルピロリドンのポリマーおよびコポリマー、
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液が、1mg/リットル以下の有機ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液が、前記フルオロ錯体を、それに含まれる前記元素Mの濃度が1〜5000mg/リットルの範囲内にあり、好ましくは5〜1000mg/リットルの範囲内にあり、さらに好ましくは10〜500mg/リットルの範囲内にあるような量で含む、請求項1〜4の1項以上に記載の方法。
【請求項6】
前記フルオロ錯体において、前記元素MがSi、Ti、ZrおよびHfからなる群から選択され、かつ前記水溶液が、前記元素Mのイオン1個当り、平均で少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、さらに好ましくは少なくとも5個のフッ素イオンを含有する、請求項1〜5の1項以上に記載の方法。
【請求項7】
前記フルオロ錯体中に、前記元素Mのイオン1個当り、6個のフッ素イオンが含まれ、かつ前記水溶液が、さらに、また、元素Mに結合されていない1〜1000mg/リットルのフッ化物イオンを含有している、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記芳香族カルボン酸が、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、ニトロカルボン酸および少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボン酸、或はそれらの誘導体から選択される、請求項1〜7の1項以上に記載の方法。
【請求項9】
前記水溶液が、10〜500mg/リットルのニトログアニジンを含有する、請求項1〜8の1項以上に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液が、0.1〜5000mg/リットルの硝酸イオンを含有する、請求項1〜9の1項以上に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶液が、0.1〜300mg/リットル、好ましくは1〜30mg/リットルの銅イオンおよび/または銀イオンを含有する、請求項1〜10の1項以上に記載の方法。
【請求項12】
前記水溶液が、0.1〜1000mg/リットルの前記芳香族カルボン酸またはそれらの誘導体を含有する、請求項1〜11の1項以上に記載の方法。
【請求項13】
前記水溶液が、pHを2.5〜5.5に調整するための緩衝剤系を含む、請求項1〜12の1項以上に記載の方法。
【請求項14】
前記水溶液が、1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子の形態にあるシリコンを、10〜1000mg/リットル、好ましくは50〜500mg/リットルの含有量で含む、請求項1〜13の1項以上に記載の方法。
【請求項15】
前記フルオロ錯体の水溶液と接触させた後であって、かつ陰極電着可能なディップコーティング処理により被覆される前に、前記金属表面が元素コバルト、ニッケル、錫、銅、チタンおよびジルコニウムの化合物または塩、および/または、水溶性または水分散性有機ポリマーから選択された1種以上の成分を含有する水溶液により洗浄される、請求項1〜14の1項以上に記載の方法。
【請求項16】
B、Si、Ti、Zr及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素のフルオロ錯体を含み、かつ2〜5.5の範囲内のpHを有する、金属表面処理用の酸性・クロム非含有水溶液であって、それがさらに錫イオン、ビスマスイオン、pHを2.5〜5.5に調整するための緩衝剤系、ドナー原子を含有する少なくとも2個の基を有する芳香族カルボン酸、或は前記カルボン酸の誘導体から選ばれた少なくとも1種の成分を含有する酸性・クロム非含有水溶液。
【請求項17】
前記フルオロ錯体中の前記元素Mの濃度が1〜5000mg/リットル、好ましくは5〜1000mg/リットルさらに好ましくは、10〜500mg/リットルの範囲内にあるような量で、フルオロ錯体を含む、請求項16に記載の水溶液。
【請求項18】
前記フルオロ錯体中の、前記元素Mが、Si、Ti、ZrおよびHfから選択され、かつ前記水溶液が前記元素Mのイオン1個当り、平均で少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも5個のフッ素イオンを含有する、請求項16および17の1項又は両項に記載の水溶液。
【請求項19】
前記フルオロ錯体中に、前記元素Mのイオン1個当り6個のフッ素イオンが含まれ、かつ前記水溶液が、前記元素Mに結合されていないフッ化物イオンを、1〜1000mg/リットルの含有量でさらに含有する、請求項18に記載の水溶液。
【請求項20】
前記芳香族カルボン酸が、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、ニトロカルボン酸および少なくとも二つのカルボキシル基を有するカルボン酸、或はそれらの誘導体から選択される、請求項16〜19の1項以上に記載の水溶液。
【請求項21】
前記水溶液が0.1〜1000mg/リットルの前記芳香族カルボン酸またはその誘導体を含有する、請求項16〜20の1項以上に記載の水溶液。
【請求項22】
前記水溶液が、さらに10〜500mg/リットルのニトログアニジンを含有する、請求項16〜21の1項以上に記載の水溶液。
【請求項23】
前記水溶液が、0.1〜5000mg/リットルの硝酸イオンをさらに含有する、請求項16〜22の1項以上に記載の水溶液。
【請求項24】
前記水溶液が0.1〜300mg/リットル、好ましくは1〜30mg/リットルの銅イオンおよび/または銀イオンをさらに含有する、請求項16〜23の1項以上に記載の水溶液。
【請求項25】
前記水溶液が、有機ポリマーを1mg/l以下の含有量で含有する、請求項16〜24の1項以上に記載の水溶液。
【請求項26】
前記水溶液が、1μm未満の平均粒径を有するシリカ粒子の形態にあるシリコンを、10〜1000mg/リットル、好ましくは50〜500mg/リットルの含有量で、さらに含有する、請求項25に記載の水溶液。
【請求項27】
水により10ないし100の倍率(factor)で希釈し、必要によりpH値を調整したときに、請求項16〜26の1項以上に記載の水溶液を生成する水性濃縮物。
【請求項28】
前記金属表面を請求項16〜26の1項以上に記載の水溶液と接触させることを含む、高光沢金属表面の防食処理方法。
【請求項29】
前記金属表面が、前記フルオロ錯体の水溶液と接触した後に、前記金属表面が、元素コバルト、ニッケル、錫、銅、チタンおよびジルコニウムの化合物または塩、および/または、水溶性または水分散性有機ポリマーから選択された1種以上の成分を含有する水溶液により洗浄される、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2009−518538(P2009−518538A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543717(P2008−543717)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011696
【国際公開番号】WO2007/065645
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【Fターム(参考)】