説明

錠剤切断器

【課題】 錠剤を確実に所望の位置で分割することを課題とする。
【解決手段】 上板2 と下板4 の一端に夫々上刃3 と下刃5 の2枚の刃が対向するように設けられ、該上刃3 と下刃5 により錠剤を切断する切断器本体1 と、該上板2 及び下板4 の何れかを押圧して上刃3 と下刃5 の間隔を縮める押圧手段6と、前記上刃3 と下刃5 間に錠剤を保持する保持手段7 とを具備してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錠剤切断器に関し、更に詳しくは、錠剤を確実に切断する錠剤切断器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】子供等に薬を服用させる場合、大人の一回分の量に対して半分以下であることが多く、薬が錠剤である場合には、錠剤を所定の大きさ、即ち半分以下に分割して与えなければならない。
【0003】このような場合、実公平6―41546号公報に示されるような錠剤カッターを用いて錠剤を分割している。実公平6―41546号公報の錠剤カッターは、図4に示されるように、支持台13上に錠剤収納部12が設けられ、押台14上に錠剤切断刃11を設けて、支持台13と押台14を連結部15で連結して形成されている。
【0004】そして、錠剤収納部12に分割すべき錠剤を載置し、押台14を支持台13に向けて押し切りのように押さえることにより、錠剤が分割される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の如き錠剤カッターを用いると、錠剤の一部が崩れて粉末状になったり、錠剤の一部が欠けたりし、所望の位置で分割することができないという問題がある。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、錠剤を確実に所望の位置で分割することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る錠剤切断器は、請求項1記載の如く、上板2 と下板4 の一端に夫々上刃3 と下刃5 の2枚の刃が対向するように設けられ、該上刃3 と下刃5 により錠剤を切断する切断器本体1 と、該上板2 及び下板4 の何れかを押圧して上刃3 と下刃5 の間隔を縮める押圧手段6 と、前記上刃3 と下刃5 間に錠剤を保持する保持手段7 とを具備していることを特徴とする。このように、切断器本体1 の上刃3 と下刃5 を押圧手段6 にて押圧することにより、保持手段7 に保持されている錠剤を、上と下から切断するので、確実に所望の位置にて切断することができる。
【0008】また、本発明に係る錠剤切断器は、請求項2に記載の如く、前記切断器本体1に、切断後の錠剤の飛散防止手段8 が設けられていると、切断後の錠剤を確実に飛散防止手段8 にて回収することができる。
【0009】更に、本発明に係る錠剤切断器は、請求項3に記載の如く、前記保持手段7 には、錠剤を挟持する挟持部7a,7aが設けられていると、錠剤を確実に挟持して保持することができ、従って上刃3 と下刃5 による切断に際しても、錠剤がぐらついたりせず、確実に切断することができる。
【0010】本発明に係る錠剤切断器は、請求項4に記載の如く、前記保持手段7 には、複数の錠剤を貯留する貯留部7bと、該貯留部7bから錠剤を1個づつ上刃3 と下刃5の間へ導出する導出部7cが設けられていると、複数の錠剤を一旦貯留部7bにて貯留し、錠剤を1つづつ導出部7cから導出することができるので、効率よく錠剤を切断することができる。
【0011】本発明に係る錠剤切断器は、請求項5に記載の如く、前記保持手段7 が前記切断器本体1 内部に収容可能に構成されていると、前記保持手段7 を使用していないとき等に切断器本体1 に保持手段7 を収容することができ、従ってコンパクトに錠剤切断器を構成することができる。
【0012】本発明に係る錠剤切断器は、請求項6に記載の如く、前記上刃3 と下刃5 の間隔を可変とする刃間隔調整手段が設けられていると、錠剤に応じて上刃と下刃の間隔を変更することができ、従って切断することができる錠剤の種類を多くすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る錠剤切断器の一実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0014】図1は、本発明に係る錠剤切断器の一実施の形態を示す斜視図であり、図2は、図1の錠剤切断器の使用状態を示す斜視図である。図1において、切断器本体1 は、上刃3 と、該上刃3 に対向するように設けられた下刃5 の2枚の刃が夫々の一端に設けられた上板2 及び下板4 で構成されている。また、上板2 及び下板4 の他端は、互いに固着されている。
【0015】ここで、上刃3 と下刃5 の間隔は、通常の錠剤の厚さよりも大きくなるように設定されている。
【0016】また、6 は、上板2 を押圧して上刃3 と下刃5 の間隔を縮めるため、上板2 側に設けられる押圧手段としての押圧板を示す。
【0017】尚、前記上板2 及び下板4 は、上刃3 及び下刃5 が設けられている側の端部において、軸21によって、上下方向に貫通されている。更に、軸21には、軸21に対して略垂直に、且つ軸21に貫通して回転軸22が設けられており、該回転軸22の長手方向が押圧板6 の幅方向になるように、回転軸22が押圧板6 の一端部に取り付けられることにより、押圧板6 の表裏面を回転させて反転することができるように構成されている。
【0018】そして、表裏面を反転させ押圧板6 で上板2 を押圧することにより、上刃3 が下刃5 側に押されて、上刃3 と下刃5 との間隔が縮まる。
【0019】また、7cは、アーム状の弾性片10,10 から形成される導出部を示す。該弾性片10,10 は、通常の錠剤の外径以上の間隔で突設され、両弾性片10,10 の間隔は、先端側が次第に狭くなっている。そして、前記弾性片10,10 の先端側には、錠剤の側面を挟持しやすいように歯状に形成された挟持部7a,7a を示す。このように挟持部7a,7a が設けられることにより錠剤が挟持されていると、上刃3 と下刃5 による切断に際しても、錠剤がぐらついたりせず、確実に切断することができる。
【0020】このように、複数の錠剤を一旦貯留部7bにて貯留し、錠剤を1つづつ導出部7cから導出することができるので、効率よく錠剤を切断することができる。
【0021】そして、前記弾性片10,10 で形成される錠剤の導出部7cと、台状に形成され、複数の錠剤を表面上に貯留可能な貯留部7bとで保持手段としての保持台7 を構成している。
【0022】更に、上板2 と下板4 間の、上刃3 と下刃5 近傍には、錠剤の飛散防止手段としての袋8 が設けられており、上述の部品から図1に示すような錠剤切断器が構成されている。
【0023】また、図1において、保持台7 は、上板2 と下板4 から形成される切断器本体1 内、即ち図1の矢印イ方向に回転させることにより収容可能とされており、従って、不使用時には錠剤切断器をコンパクトに保つことができる。
【0024】このようにして構成される錠剤切断器は、図2に示すように使用される。即ち、図2に示すように、複数の錠剤、例えば4個の錠剤24,24,24,24 を貯留部7bに貯留した後、1つの錠剤24を、導出部7cを通じて挟持部7a,7a まで搬送し、挟持部7a,7a にて挟持する。このとき、錠剤24の位置が所望の位置、例えば錠剤の半分の位置に上刃3 と下刃5 が位置するように保持台7 の位置を調整する。
【0025】そして、押圧板6 を下方向へ押し下げることにより、挟持部7a,7a に挟持された錠剤を上刃3 と下刃5 によって切断することができる。
【0026】更に、切断された錠剤は、上板2 と下板4 間に錠剤の飛散防止手段としての袋8 により、外部へ飛散することなく袋8 内部に回収することができる。
【0027】この飛散防止手段は、上板と下板間に限定されることなく、切断後の錠剤が飛散することを防止することができる箇所であればよい。
【0028】また、飛散防止手段は、上記実施の形態の如く、袋でなくとも、樹脂等の板状の部材で構成され、上板と下板に亘ってその側面を覆うように形成されるもので構成することも可能である。このように飛散防止手段を構成すれば、上板と下板は上刃と下刃の形成されている側とは反対側の端部が固着されているため閉鎖状態となっており、錠剤が飛散することを防止することができる。
【0029】要は、飛散防止手段は、錠剤が飛散しないよう一端が閉鎖される形状であれば、形状は問わない。
【0030】また、上記一実施の形態においては、切断器本体1 に取り付けられた軸21は固定としたが、軸21をねじ状のものとし、軸をゆるめると上刃3 と下刃5 の間隔が大きくなり、軸をしめると上刃3 と下刃5 の間隔が縮まるように、即ち上刃と下刃の間隔を可変とするように構成する、即ち軸を刃間隔調整手段としての役割を果たさせることもできる。
【0031】このように、上刃と下刃の間隔が可変となるように錠剤切断器を構成すれば、錠剤の大きさや特性に応じて上刃と下刃の間隔を調整することが可能となる。従って、切断することができる錠剤の種類が広がるという利点がある。
【0032】刃間隔調整手段は、上述のねじ状の軸に限定されることなく、上刃と下刃の間隔を可変にすることができるものであればよい。
【0033】また、保持手段の他の実施の形態としては、図3に示すように、複数の錠剤を略鉛直方向に貯留可能で、錠剤を投入する開口部9 が上部に設けられ略円筒状に形成された貯留部7bと、該貯留部7b内部の下端側に略半円形状に形成され、錠剤を取出口10へ押し出し可能な錠剤押出部7dとで構成することも可能である。
【0034】このとき、錠剤押出部7dは、図3に示すように、その一端部23が貯留部7bの外側に突出するように貯留部7bに設けられており、作業者等が該一端部23を押し出し方向の反対方向(図3の矢印方向)へ押すことにより、錠剤24を1つづつ押し出すことができるもので、従って貯留部7bから錠剤24を1つづつ導出することができる導出部としての役割を果たす。
【0035】また、貯留部7bと錠剤押出部7dとの位置関係は、上記実施の形態の如く錠剤押出部7dが必ずしも下端側である必要はなく、例えば上端側であってもよい。その場合には、錠剤押出部7dから錠剤を押し出すと、押し出された下側に位置する錠剤を上側へと押し上げる適宜の押し上げ手段を必要とする。
【0036】また、上述の実施の形態においては、導出部の先端に挟持部を設けたが、導出部は必ずしも必要ではない。
【0037】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、従来の如く錠剤が欠けたり割れたりすることなく、確実に所望の位置にて切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る錠剤切断器の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1の錠剤切断器の使用状態を示す斜視図。
【図3】本発明に係る保持手段の他の実施の形態を示す斜視図。
【図4】従来の錠剤カッターの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 切断器本体 2 上板
3 上刃 4 下板
5 下刃 6 押圧板
7 保持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上板(2) と下板(4) の一端に夫々上刃(3) と下刃(5) の2枚の刃が対向するように設けられ、該上刃(3)と下刃(5) により錠剤を切断する切断器本体(1) と、該上板(2) 及び下板(4) の何れかを押圧して上刃(3) と下刃(5)の間隔を縮める押圧手段(6) と、前記上刃(3) と下刃(5) 間に錠剤を保持する保持手段(7) とを具備してなることを特徴とする錠剤切断器。
【請求項2】 前記切断器本体(1) に、切断後の錠剤の飛散防止手段(8) が設けられてなる請求項1記載の錠剤切断器。
【請求項3】 前記保持手段(7) には、錠剤を挟持する挟持部(7a,7a)が設けられてなる請求項1又は2に記載の錠剤切断器。
【請求項4】 前記保持手段(7) には、複数の錠剤を貯留する貯留部(7b)と、該貯留部(7b)から錠剤を1個づつ上刃(3) と下刃(5) の間へ導出する導出部(7c)が設けられてなる請求項1〜3の何れかに記載の錠剤切断器。
【請求項5】 前記保持手段(7) が前記切断器本体(1) 内部に収容可能に構成されてなる請求項1〜4の何れかに記載の錠剤切断器。
【請求項6】 前記上刃(3) と下刃(5) の間隔を可変とする刃間隔調整手段が設けられてなる請求項1〜5の何れかに記載の錠剤切断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−84049(P2000−84049A)
【公開日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−258571
【出願日】平成10年9月11日(1998.9.11)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)