説明

錠装置

【課題】扉に配設される既設のレバーハンドルに対して、容易に組み付けることが可能であり、このレバーハンドルの揺動操作をロックでき、且つ、レバーハンドルを使用可能とする際には、簡単にそのロック状態を解除できる錠装置を提供する。
【解決手段】錠装置において、扉面21からレバー軸23が回転自在となって垂直に突出しレバー軸23に垂直なレバー把手部31が回転して扉25を解錠可能とするレバーハンドル15と、レバー把手部31の回転方向の手前でレバー把手部31に沿って延在しレバー把手部31の回転操作を阻止する操作障壁部材17と、レバー軸23に垂直な方向の支持軸35を有して扉25に固定され操作障壁部材17の長手方向一端部41を支持軸35にて回転自在に支持する障壁部材支持体19と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の開閉操作のために設けられた操作部材の操作を規制する錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉に設けられる開閉操作のための操作部材であるレバーハンドルは、扉に内蔵される、或いは扉面に露出状態で設けられる錠装置に連動連結される。レバーハンドルは錠装置の機構部に連結される軸部と、この軸部に直交方向に延設される把手部を備え、この把手部を掴み持ち揺動操作することで、錠装置内の機構部分を連動させてラッチボルトの進退が行われる。この錠装置は、扉の屋外側からは例えば合鍵による施解錠操作とされ、屋内側からはサムターンによる操作でデッドボルトの進退が行われるものが一般的であるが、屋内側からの操作、特に解錠し開扉する操作においては、サムターン等を使用せずレバーハンドルのみを揺動操作することで解錠が行われる機構(所謂アンチパニック機構)を備えたものがある。このレバーハンドルによる解錠機構は、非常時において即座に扉の開放を行いたい場合に有効なもので、サムターン等の操作を不要とし、レバーハンドルのみの操作で緊急性のある解錠,開扉が可能となっている。また、サムターン等を使用しないことから、サムターンが配設されない構造のものもある。
【0003】
このようなレバーハンドルの非常用解錠機構は、施錠状態であってもレバーハンドルを強制的に揺動操作することで解錠できてしまうことから、小さい子供が、親が気付かない間に解錠し戸外へ出てしまい、一人で危険な場所に立ち入ってしまう恐れがある。そのような危険性を防止するため、例えば、小さい子供が手の届かない高い位置に錠装置を設けたり、レバーハンドルの揺動を規制するようにしたりする。レバーハンドルの揺動を規制する構造として、ハンドル取付座からドアハンドルの軸部分に係合し、ドアハンドルの回動を阻止する押さえ板をヒンジを介して設け、この押さえ板のハンドル当片にてドアハンドルの回動を阻止する構造(下記特許文献1)や、着脱自在な略U字状のプレートにて操作レバーの周囲を覆うとともに、箱状のレバー収納部を取り付け、操作レバー全体を覆い、揺動を規制してしまうもの(下記特許文献2)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−336865号公報
【特許文献2】実開平3−28278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のレバーハンドルの揺動規制の構造では、いずれも着脱自在な構造とされ、必要時にレバーハンドルに対して取り付け、レバーハンドルの規制を継続して行うものであり、すなわち、規制の必要ない使用しない場合には、レバーハンドルから取り外した構造体を何処かに保管しなくてはならない煩雑さがある。また、上記各特許文献では、レバーハンドルの規制を行いそれを維持するために合鍵を必須とするものであって、二重ロックという意味では安全性が向上するものの、鍵の保管を必要とし、この点においても煩雑さのあるものである。特に、上記したような非常用の扉開放時において、上記従来の構造では、その煩雑さのために開放不可能となるおそれがあり、緊急時の扉の開放を容易に行うことを可能としつつ、安全性を十分に備えることの可能な機能を備えたレバーハンドルの揺動規制構造が望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、扉に配設される既設のレバーハンドルに対して、容易に組み付けることが可能であり、このレバーハンドルの揺動操作をロックでき、且つ、レバーハンドルを使用可能とする際には、簡単にそのロック状態を解除できる錠装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の錠装置は、扉面21からレバー軸23が回転自在となって垂直に突出し前記レバー軸23に垂直なレバー把手部31が回転して扉25を解錠可能とするレバーハンドル15と、
前記レバー把手部31の回転方向の手前で該レバー把手部31に沿って延在し該レバー把手部31の回転操作を阻止する操作障壁部材17と、
前記レバー軸23に垂直な方向の支持軸35を有して前記扉25に固定され前記操作障壁部材17の長手方向一端部41を該支持軸35にて回転自在に支持する障壁部材支持体19と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
この錠装置では、操作障壁部材17が、レバー把手部31の回転方向の手前に位置していることで、そのままでは、操作障壁部材17とレバー把手部31とが共に掴まれることになる。操作障壁部材17が、レバー把手部31を掴んで操作する際の妨げとなる。レバーハンドル15を操作するには、操作障壁部材17をずらし、レバー把手部31が単独で操作できる状態にする必要が生じる。
【0009】
請求項2記載の錠装置は、請求項1記載の錠装置であって、
前記レバー把手部31に沿って位置した前記操作障壁部材17の回転方向が、前記扉面21から離れる方向であることを特徴とする。
【0010】
この錠装置では、レバー把手部31の操作に際し、操作障壁部材17が手前側に引っ張られることで、操作障壁部材17がレバー把手部31の操作に邪魔な位置からずらされ、レバー把手部31が単独で操作可能となる。
【0011】
請求項3記載の錠装置は、請求項1記載の錠装置であって、
前記レバー把手部31に沿って位置した前記操作障壁部材17の回転方向が、前記扉面21に接近する方向であることを特徴とする。
【0012】
この錠装置では、レバー把手部31の操作に際し、操作障壁部材17が扉面21に接近する方向に押し遣られることで、操作障壁部材17がレバー把手部31の操作に邪魔な位置からずらされ、レバー把手部31が単独で操作可能となる。
【0013】
請求項4記載の錠装置は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材17が、付勢部材によって、前記レバー把手部31に沿う位置に配置されることを特徴とする。
【0014】
この錠装置では、付勢部材によって付勢されることで、操作障壁部材17がレバー把手部31の回転方向の手前の位置に保持される。すなわち、解除を意図しない程度の接触による移動では、操作障壁部材17は、付勢部材によって再び元の位置に復元されることになる。このため、解除には、操作障壁部材17を常にずらす方向の力、例えば引っ張る方向の力や押しやる方向の力を与え続ける必要が生じる。
【0015】
請求項5記載の錠装置は、請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材17の回転先端部43が、前記レバー把手部31との隙間45を、側方から覆うように湾曲形成されていることを特徴とする。
【0016】
この錠装置では、操作障壁部材17の回転先端部43が、レバー把手部31との隙間45を覆うこととなり、操作障壁部材17とレバー把手部31とが単に平行に配置された場合の離間開放部が隙間45の延長線上に形成されない。
【0017】
請求項6記載の錠装置は、請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材61の回転先端部63が、前記レバー把手部31の把手先端部65の周囲を覆うように略U字状に湾曲形成されていることを特徴とする。
【0018】
この錠装置では、操作障壁部材61の回転先端部63が、レバー把手部31の把手先端部65の周囲を覆うように略U字状となることで、把手先端部65からの、レバー把手部31と操作障壁部材61との隙間45が覆い隠される。
【0019】
請求項7記載の錠装置は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材69の前記扉面21と反対側縁部71が、前記レバー把手部31との隙間45を覆うように湾曲形成されていることを特徴とする。
【0020】
この錠装置では、操作障壁部材69の扉面21と反対側縁部71が、レバー把手部31との隙間45を覆うように湾曲形成されることで、扉面21に対面する位置からの正面視において、操作障壁部材69とレバー把手部31との隙間45が隠される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る請求項1記載の錠装置によれば、レバーハンドルのレバー把手部を単に掴むだけでは、操作障壁部材とともに掴むこととなって、解錠、開扉操作不可能となる。これにより、レバーハンドルの揺動操作を使用不可能としロックできることとなる。また、レバーハンドルを使用可能とする際には、操作障壁部材をずらすことで、簡単にそのロック状態を解除できる。さらに、既設のレバーハンドルに対して、容易に組み付けることができる。
【0022】
請求項2記載の錠装置によれば、操作障壁部材の解除が、押し方向に比べ簡単でなく、安全性が向上する。
【0023】
請求項3記載の錠装置によれば、操作障壁部材の解除が、引き方向に比べ簡単となり、操作性が向上する。また、操作時に、操作障壁部材が手前に飛び出ないので、障害物となりにくい。
【0024】
請求項4記載の錠装置によれば、付勢部材を内蔵することで、操作障壁部材による規制状態を通常にでき、簡単に開扉できなくなって、安全性が向上する。
【0025】
請求項5記載の錠装置によれば、操作障壁部材の回転先端部をレバー把手部に沿う湾曲形状とすることで、隙間を隠すことができ、安全性を向上させることができる。
【0026】
請求項6記載の錠装置によれば、操作障壁部材の回転先端部を、把手先端部の周囲を覆うように略U字状に湾曲形成することで、隙間を隠すことができる。これにより、把手先端部からの、レバー把手部と操作障壁部材との隙間が覆え、安全性をより向上させることができる。
【0027】
請求項7記載の錠装置によれば、操作障壁部材の扉面と反対側縁部を、レバー把手部との隙間を覆うように湾曲形成することで、隙間を隠すことができる。これにより、正面視において、操作障壁部材とレバー把手部との隙間が覆え、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る錠装置の斜視図である。
【図2】図1に示した錠装置の正面図である。
【図3】(a)は通常状態を平面視した動作説明図、(b)は操作障壁部材の移動されたレバー操作時を平面視した動作説明図である。
【図4】(a)は第2実施形態に係る錠装置の通常状態を平面視した動作説明図、(b)はその操作障壁部材の移動されたレバー操作時を平面視した動作説明図である。
【図5】支持軸が操作障壁部材の延長線上からオフセットされた第3実施形態に係る錠装置の斜視図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】操作障壁部材の回転先端部が把手先端部の周囲を覆うように略U字状に湾曲形成された第4実施形態に係る錠装置の斜視図である。
【図8】操作障壁部材の扉面と反対側縁部が隙間を覆うように湾曲形成された第5実施形態に係る錠装置の斜視図である。
【図9】図8を操作障壁部材の回転先端側から見た側面図である。
【図10】支持軸がオフセットして配置された第6実施形態に係る錠装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る錠装置の斜視図、図2は図1に示した錠装置の正面図である。
本実施の形態では、発明に係る錠装置がレバーハンドル錠13である場合を例に説明する。レバーハンドル錠13は、レバーハンドル15と、操作障壁部材17と、障壁部材支持体19と、を主要な構成部材として有している。レバーハンドル15は、扉面21からレバー軸23が回転自在となって垂直に突出する。レバーハンドル15は、扉25の屋内外にそれぞれ設けられ、不図示の角軸によって一体に回転される。角軸は扉25に内設された不図示の錠機構を貫通し、レバーハンドル15の回転操作力が角軸を介して錠機構に伝達されることで、扉木口27で突出するラッチボルト29或いは不図示のデッドボルトを進退作動させる。
【0030】
レバーハンドル錠13は、非常時等に施錠状態を解除可能な所謂アンチパニック機構(図示せず)に好適に用いることができる。アンチパニック機構は、サムターンによる施解錠を可能とする一方で、非常時においては強くレバーハンドル15を回すと、施錠状態が解除され、緊急時の即座な扉25の開放が可能となるものである。勿論、レバーハンドル錠13は、このアンチパニック機構を備えず、簡易的な錠機能を備えるものとして構成されてもよい。
【0031】
レバーハンドル15は、レバー軸23に垂直なレバー把手部31が回転して、扉25を解錠可能とする。レバー把手部31は、図2に示す状態から時計回りに例えば略45°回転されることで操作される。レバー軸23は、扉面21に固定されるエスカチオン33を貫通して回転自在となっている。
【0032】
レバー把手部31の回転方向の手前、本実施の形態では図2に示したレバー把手部31の上方には、操作障壁部材17が配置されている。操作障壁部材17は、レバー把手部31の上縁に沿って延在し、レバー把手部31のみを直接掴むことを邪魔して、レバー把手部31の回転操作を阻止する。
【0033】
障壁部材支持体19は、レバー軸23に垂直な方向の支持軸35を有して扉25に固定される。本実施の形態では、レバー軸23に垂直な方向が、図1の上下方向となる。障壁部材支持体19は、例えば、ベース部材37を介して扉25に固定することで、強度が確保されている。本実施の形態では、ベース部材37に柱体部39が突設され、柱体部39の突出先端に支持軸35が設けられている。障壁部材支持体19は、操作障壁部材17の長手方向一端部41を、支持軸35にて回転自在に支持する。
【0034】
これにより、レバー把手部31に沿って位置した操作障壁部材17は、回転方向が、扉面21から離れる方向となっている。つまり、本実施の形態では、レバー把手部31に沿って配置された操作障壁部材17は、扉25に接近する方向へは回転されない。なお、発明に係る錠装置は、操作障壁部材17の回転方向がこれに限定されるものではない。
【0035】
操作障壁部材17は、不図示の付勢部材によって、レバー把手部31に沿う位置に配置されることが好ましい。付勢部材としては、つる巻きばね、コイルばね、板ばね等が挙げられる。操作障壁部材17は、付勢部材によって付勢されることで、操作障壁部材17がレバー把手部31の回転方向の手前の位置に保持される。すなわち、解除を意図しない程度の接触による移動では、操作障壁部材17は、付勢部材によって再び元の位置に復元されることになる。このため、解除には、操作障壁部材17を常にずらす方向の力を与え続ける必要が生じる。このように、付勢部材を内蔵することで、操作障壁部材17による規制状態を通常にでき、簡単に開扉できなくなって、安全性が向上する。
【0036】
なお、操作障壁部材17は、回転先端部43が、レバー把手部31との隙間45を、側方から覆うように湾曲形成されていることが好ましい。操作障壁部材17の回転先端部43が、レバー把手部31との隙間45を覆うこととなり、操作障壁部材17とレバー把手部31とが単に平行に配置された場合の離間開放部が隙間45の延長線L上に形成されない。操作障壁部材17の回転先端部43をレバー把手部31に沿う湾曲形状とすることで、隙間45を隠すことができ、安全性を向上させることができる。
【0037】
次に、上記構成を有するレバーハンドル錠13の作用を説明する。
図3(a)は通常状態を平面視した動作説明図、(b)は操作障壁部材17の移動されたレバー操作時を平面視した動作説明図である。
レバーハンドル錠13は、操作されない通常時、図3(a)に示すように、操作障壁部材17が、レバー把手部31の回転方向の手前である上縁に沿って位置していることで、そのままでは、操作障壁部材17とレバー把手部31とがともに掴まれることになる。すなわち、操作障壁部材17が、レバー把手部31を掴んで操作する際の妨げとなる。この状態では、レバーハンドル15の揺動を行うことが不可能となり、レバーハンドル15を使用することでの不用意な解錠及び開扉操作を防止できる。つまり、レバーハンドル錠13が、簡易的な施解錠装置として機能することとなる。
【0038】
また、上記したアンチパニック機構が備えられている場合には、施解錠機構が施錠状態であっても、操作障壁部材17を移動し、レバーハンドル15を強く操作すれば、サムターン(図示せず)による解錠操作を行うことなく、解錠が可能となる。換言すれば、アンチパニック機構を備えていても、操作障壁部材17を移動しなければ、アンチパニック機構により強制解錠が機能しないことになる。これにより、小さい子供が、レバーハンドル15を強く操作することのみによる強制解錠を防止できる。また、操作障壁部材17を移動するのみでアンチパニック機構が機能するので、緊急時における即座の扉25の開放も妨げることがない。
【0039】
レバーハンドル15を操作するには、図3(b)に示すように、操作障壁部材17をずらし、レバー把手部31が単独で操作できる状態にする必要が生じる。すなわち、両手による解錠、開扉操作となる。操作障壁部材17をずらすことで、レバー把手部31の操作方向の手前に操作の妨げとなる障壁が無くなり、レバー把手部31が単独で操作できる状態となる。この状態から、レバーハンドル錠13は、レバー把手部31の回転操作によって解錠及び開扉となる。
【0040】
また、本実施の形態によるレバーハンドル錠13では、レバー把手部31の操作に際し、操作障壁部材17が手前側に引っ張られることで、操作障壁部材17がレバー把手部31の操作に邪魔な位置からずらされ、レバー把手部31が単独で操作可能となる。操作障壁部材17の解除が、押し方向に比べ簡単でなく、安全性が向上する。
【0041】
次に、本発明に係る第2実施形態のレバーハンドル錠47を説明する。
図4(a)は第2実施形態に係る錠装置の通常状態を平面視した動作説明図、(b)はその操作障壁部材17の移動されたレバー操作時を平面視した動作説明図である。なお、以下の各実施の形態において、図1〜図3に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
このレバーハンドル錠47は、レバー把手部31に沿って位置した操作障壁部材17の回転方向が、扉面21に接近する方向となっている。レバー把手部31の操作に際し、操作障壁部材17が扉面21に接近する方向に押し遣られることで、操作障壁部材17がレバー把手部31の操作に邪魔な位置からずらされ、レバー把手部31が単独で操作可能となる。
このレバーハンドル錠47によれば、操作障壁部材17の解除が、引き方向に比べ簡単となり、操作性が向上する。また、操作時に、操作障壁部材17が手前に飛び出ないので、障害物となりにくい。
【0042】
なお、操作障壁部材17は、この他、レバー把手部31に沿って配置された位置から、扉面21に接近する方向と、扉面21から離反する方向との双方の移動が可能に構成することもできる。この構成によれば、レバーハンドル15を使用することでの不用意な解錠及び開扉操作を防止できるとともに、操作性がさらに向上する。
【0043】
次に、本発明に係る第3実施形態のレバーハンドル錠49を説明する。
図5は支持軸35が操作障壁部材51の延長線上からオフセットされた第3実施形態に係る錠装置の斜視図、図6は図5の平面図である。
このレバーハンドル錠49は、支持軸35を備える障壁部材支持体53が、上記の障壁部材支持体19よりも小さい突出高さで扉面21に固定されている。したがって、支持軸35は、図6に示すように、操作障壁部材51の延長線上から扉面21に接近する方向にオフセットされた配置となっている。操作障壁部材51の支持端部55には屈曲部57が形成され、この屈曲部57が支持軸35に連結されている。
このレバーハンドル錠49によれば、障壁部材支持体53と操作障壁部材51との連結部分が角部となって出っ張らず、身体や運搬物等に干渉し難くできる。
【0044】
次に、本発明に係る第4実施形態のレバーハンドル錠59を説明する。
図7は操作障壁部材61の回転先端部63が把手先端部65の周囲を覆うように略U字状に湾曲形成された第4実施形態に係る錠装置の斜視図である。
このレバーハンドル錠59は、操作障壁部材61の回転先端部63が、レバー把手部31の把手先端部65の周囲を覆うように略U字状に湾曲形成されている。操作障壁部材61の回転先端部63が、レバー把手部31の把手先端部65の周囲を覆うように略U字状となることで、把手先端部65からの、レバー把手部31と操作障壁部材61との隙間45が側方(先端側より)より覆い隠される。
このレバーハンドル錠59によれば、把手先端部65からの、レバー把手部31と操作障壁部材61との隙間45が覆え、安全性をより向上させることができる。
【0045】
次に、本発明に係る第5実施形態のレバーハンドル錠67を説明する。
図8は操作障壁部材69の扉面21と反対側縁部71が隙間45を覆うように湾曲形成された第5実施形態に係る錠装置の斜視図、図9は図8を操作障壁部材69の回転先端側から見た側面図である。
このレバーハンドル錠67は、操作障壁部材69の扉面21と反対側縁部71が、レバー把手部31との隙間45を覆うように湾曲形成されている。つまり、操作障壁部材69の手前縁部分が湾曲形成される。正面からみて、レバー把手部31の上縁73から上面75が覆われる。これにより、扉面21に対面する位置からの正面視において、操作障壁部材69とレバー把手部31との隙間45が隠される。
このレバーハンドル錠67によれば、正面視において、操作障壁部材69とレバー把手部31との隙間45が覆え、正面側からの隙間45への物の挿入をできなくして、安全性を向上させることができる。また、レバー把手部31に沿って覆え、外観が良好となる。
【0046】
次に、本発明に係る第6実施形態のレバーハンドル錠77を説明する。
図10は支持軸35がオフセットして配置された第6実施形態に係る錠装置の正面図である。
このレバーハンドル錠77は、障壁部材支持体79が、レバー軸23よりも下方に配置されている。したがって、支持軸35は、操作障壁部材81の延長線上から下方向にオフセットされた配置となっている。操作障壁部材81の支持端部55には傾斜連結部83が形成され、この傾斜連結部83が支持軸35に連結されている。
このレバーハンドル錠77によれば、操作障壁部材81が移動されない状態において、下方向の過剰な力が加えられても、操作障壁部材81がレバー把手部31に当たる。これにより、障壁部材支持体79へ過剰な力が加わることを抑止し、障壁部材支持体79の耐久性を向上させることができる。
【0047】
したがって、上述した各実施の形態に係る錠装置によれば、レバーハンドル15のレバー把手部31を単に掴むだけでは、操作障壁部材17,51,61,69,81とともに掴むこととなって、解錠、開扉操作不可能となる。これにより、レバーハンドル15の揺動操作をロックできる。また、レバーハンドル15を使用可能とする際には、操作障壁部材17,51,61,69,81をずらすことで、簡単にそのロック状態を解除できる。さらに、既設のレバーハンドル15に対して、容易に組み付けることができる。
【0048】
なお、上記各実施の形態では、障壁部材支持体19等が扉25の戸先側に設けられる場合を説明したが、これとは逆の把手先端部側に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0049】
13,47,49,59,67,77…レバーハンドル錠(錠装置)
15…レバーハンドル
17…操作障壁部材
19…障壁部材支持体
21…扉面
23…レバー軸
25…扉
31…レバー把手部
35…支持軸
41…長手方向一端部
43…回転先端部
45…隙間
65…把手先端部
71…反対側縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉面からレバー軸が回転自在となって垂直に突出し前記レバー軸に垂直なレバー把手部が回転して扉を解錠可能とするレバーハンドルと、
前記レバー把手部の回転方向の手前で該レバー把手部に沿って延在し該レバー把手部の回転操作を阻止する操作障壁部材と、
前記レバー軸に垂直な方向の支持軸を有して前記扉に固定され前記操作障壁部材の長手方向一端部を該支持軸にて回転自在に支持する障壁部材支持体と、
を具備することを特徴とする錠装置。
【請求項2】
請求項1記載の錠装置であって、
前記レバー把手部に沿って位置した前記操作障壁部材の回転方向が、前記扉面から離れる方向であることを特徴とする錠装置。
【請求項3】
請求項1記載の錠装置であって、
前記レバー把手部に沿って位置した前記操作障壁部材の回転方向が、前記扉面に接近する方向であることを特徴とする錠装置。
【請求項4】
請求項1,2,3のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材が、付勢部材によって、前記レバー把手部に沿う位置に配置されることを特徴とする錠装置。
【請求項5】
請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材の回転先端部が、前記レバー把手部との隙間を、側方から覆うように湾曲形成されていることを特徴とする錠装置。
【請求項6】
請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材の回転先端部が、前記レバー把手部の把手先端部の周囲を覆うように略U字状に湾曲形成されていることを特徴とする錠装置。
【請求項7】
請求項1,2,3のいずれか1つに記載の錠装置であって、
前記操作障壁部材の前記扉面と反対側縁部が、前記レバー把手部との隙間を覆うように湾曲形成されていることを特徴とする錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−188883(P2012−188883A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54574(P2011−54574)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)