説明

鍵管理装置

【課題】不正行為の示唆機能を有したうえで鍵の使い勝手の向上が図れる鍵管理装置を提供する。
【解決手段】鍵ホルダ2は、鍵ホルダ挿入部に挿入され装置本体により施解錠される差込部11およびこの差込部11の手前上部に形成される把手部12を有するホルダ本体13と、把手部12の下方に位置する環状の鍵吊り下げ部材14と、把手部12に取り付けられ、鍵吊り下げ部材14を把手部12に固定する第1固定カバー31および第2固定カバー32とを備え、第1固定カバー31および第2固定カバー32は把手部12に対する取り付け用としての係止爪33、34を有し、第1固定カバー31、第2固定カバー32、把手部12の破壊無しに係止爪33、34の係止外れが不能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の鍵ホルダと、複数の鍵ホルダ挿入部を備えこの鍵ホルダ挿入部に挿入される各鍵ホルダを施解錠する装置本体と、を備えた鍵管理装置の従来例としては例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。この種の鍵ホルダには、鍵の不正な抜き取りを防止するための封緘具が設けられることがある。
【0003】
図8は封緘具の一従来例を示す図である。鍵ホルダ61の本体62には貫通孔63が形成され、この貫通孔63に挿通係止する態様で環状の鍵吊り下げ部材64が取り付けられている。鍵吊り下げ部材64に形成される鍵通し用の開口部周りは封緘具65内にレイアウトされており、封緘具65を破壊しない限り鍵Kを鍵吊り下げ部材64から抜き取ることができない構造となっている。つまり、封緘具65は鍵Kの不正な抜き取りを防止するとともに、無理な抜き取りがあった場合には破壊の痕跡を示すことで不正行為等があったことを示唆する機能を担う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−13732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8に記載の封緘具65の構造では、特に多数の鍵Kが鍵吊り下げ部材64に取り付けられる場合、封緘具65が多数の鍵Kに混在することになるので、鍵Kの使い勝手が悪くなりやすいという問題がある。また、従来の鍵吊り下げ部材64は円形状であったため、多数の鍵Kを取り付けたときには鍵Kが嵩張りやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解消するために創案されたものであり、不正行為の示唆機能を有したうえで鍵の使い勝手の向上が図れる鍵管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、複数の鍵ホルダと、複数の鍵ホルダ挿入部を備えこの鍵ホルダ挿入部に挿入される各鍵ホルダを施解錠する装置本体と、を備えた鍵管理装置であって、鍵ホルダは、鍵ホルダ挿入部に挿入され装置本体により施解錠される差込部およびこの差込部の手前上部に形成される把手部を有するホルダ本体と、把手部の下方に位置する環状の鍵吊り下げ部材と、把手部に取り付けられ、鍵吊り下げ部材を把手部に固定する固定部材と、を備え、固定部材は把手部に対する取り付け用の係止爪を有し、固定部材または把手部の破壊無しに前記係止爪の外れが不能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
当該鍵管理装置によれば、破壊の痕跡により不正行為があったことを示唆する封緘の機能を把手部に担わせることができる。したがって、従来のように鍵吊り下げ部材において鍵と封緘具とが混在することがなく、鍵の使い勝手が向上する。
【0009】
また、本発明は、前記固定部材は、各々形成された前記係止爪が互いに係止することにより前記把手部の左右側面に取り付けられる第1固定カバーおよび第2固定カバーからなることを特徴とする。
【0010】
当該鍵管理装置によれば、カバーのこじ開け時に無理な力がかかりやすい係止爪をホルダ本体側に設ける必要がない。したがって、カバーのこじ開けがあったときには、第1固定カバー、第2固定カバーの交換だけで済み、これらカバーに比べ大型で高価なホルダ本体はそのまま使用できる。
【0011】
また、本発明は、前記把手部の下面に挿通溝が形成され、前記鍵吊り下げ部材は、この挿通溝を介して把手部内に挿通された上部周りが、前記第1固定カバーおよび第2固定カバーの各裏面の少なくとも一方に形成した突起部に係止して下方への抜け止めがなされることを特徴とする。
【0012】
当該鍵管理装置によれば、簡単な構造で鍵吊り下げ部材を把手部に固定できる。
【0013】
また、本発明は、前記鍵吊り下げ部材の下部は水平な直線形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
当該鍵管理装置によれば、直線形状部において隣り合う鍵同士を密接させて吊り下げることができ、多数の鍵を取り付けた場合であっても嵩張ることがない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の鍵管理装置によれば、鍵ホルダにおいて、破壊の痕跡により不正行為があったことを示唆する封緘の機能を把手部に担わせることができる。したがって、従来のように鍵吊り下げ部材において鍵と封緘具とが混在することがなく、鍵の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る鍵管理装置の外観斜視図であり、(a)、(b)はそれぞれ表扉が閉じた状態、開いた状態を示す。
【図2】本発明に係る鍵ホルダの外観斜視図である。
【図3】本発明に係る鍵ホルダの分解斜視図である。
【図4】本発明に係る鍵ホルダの側面図(一部破断)である。
【図5】図4におけるA−A断面図である。
【図6】施解錠機構の一例を示す側面図である。
【図7】(a)は識別板に割り振られるマス区分のイメージ図、(b)は識別板およびピン形成板の外観斜視図である。
【図8】鍵ホルダに取り付けられる従来の封緘具を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、本発明に係る鍵管理装置1は、複数の鍵ホルダ2と、複数の鍵ホルダ挿入部4を備え、この鍵ホルダ挿入部4に挿入される各鍵ホルダ2を施解錠する装置本体3と、を備えている。
【0018】
装置本体3は、例えばカードリーダ部5と、暗証番号入力部6と、日付や認証結果等を表示する表示部7とを有しており、通常時は図1(a)のように表扉8が閉じてロックされた状態にある。カードリーダ部5および暗証番号入力部6の少なくとも一方による本人認証がOKとなった場合、図1(b)のように表扉8を開くことが可能となり、盤面に形成された鍵ホルダ挿入部4に対する鍵ホルダ2の取り出し・返却が可能になる。
【0019】
図2および図3に示すように、鍵ホルダ2は、鍵ホルダ挿入部4(図1)に挿入され、装置本体3(図1)に内蔵された施解錠機構により施解錠される差込部11およびこの差込部11の手前上部に形成される把手部12を有するホルダ本体13と、把手部12の下方に位置する環状の鍵吊り下げ部材14と、把手部12に取り付けられ、鍵吊り下げ部材14を把手部12に固定する固定部材15とから構成されている。
【0020】
ホルダ本体13は樹脂製部材であって、差込部11と把手部12とは一体に成形されている。差込部11は縦断面が縦長矩形状となる直方体形状を呈しており、左右側面には樹脂変形防止のための複数の溝16が形成されるとともに、天地逆の差し込みを防止するためのリブ17が突設されている。
【0021】
また、差込部11の上面には前記施解錠機構との係脱用の凹部18が形成されている。施解錠機構については本発明の趣旨から外れるため図6を参照して簡単に説明すると、鍵ホルダ2が鍵ホルダ挿入部4に差し込まれた状態で、施解錠機構の一部である係合レバー20が支点20A回りに回動して凹部18に係脱することで、鍵ホルダ2が装置本体3にロック或いはアンロックされる。
【0022】
ここで、各鍵ホルダ2はそれぞれに割り当てられた鍵ホルダ挿入部4にしか差し込めないようになっている。この鍵ホルダ2の編成を行うにあたり、本実施形態ではホルダ本体13とは別部材からなる識別板51を用いている。識別板51は縦長の板金材からなる。識別板51は、図3に示すように、一方の側縁周りが差込部11の内溝に嵌合され、他方の側縁周りが蓋材11Aの内溝に嵌合されることで、差込部11の先端面(鍵ホルダ挿入部4に対向する面)にレイアウトされる。
【0023】
図7(a)に示すように、識別板51は例えば縦10マス横2マスの計20マスの仮想区分を有する部材として捉えられ、各マスにおける孔の有無の組み合わせにより、多数の鍵ホルダ2の編成が可能になる。もちろん、識別板51の形状は鍵ホルダ2毎に異ならせることになるが、識別板51は板金材からなるため、製造時に金型の打ち抜きピンの位置を変更するだけで済み、製造コストの負担は殆どない。図7(b)に示すピン形成板52、53は装置本体3側に固定される部材であり、ピンが識別板51の孔に挿通することで正規の鍵ホルダ2のみの差し込みを可能とする。ピン形成板52、53の形状も鍵ホルダ2毎に異なることになるが、ピン形成板52、53も板金材からなるため、金型の打ち抜きピンの位置を変更するだけで済む。以上のように、鍵ホルダ2の編成を行うにあたり、板金材からなる識別板51を用いることにより、ホルダ本体13の樹脂金型は1つだけで済み、鍵ホルダ2の製造コストを抑えることができる。
【0024】
図2および図3に戻り、把手部12は、差込部11の手前上部を基端として水平に延設される直方体形状を呈した部位であって、鍵ホルダ2を挿脱するときに指で把持する部位となる。把持部12の上面には、一頂点が差込部11側に臨むように位置する三角形の差込方向マーク19が凸状に一体成形されており、この差込方向マーク19の向きにより、差込部11側を鍵ホルダ挿入部4側に向けて差し込みを行うことが瞬時に判別できる。なお、把手部12の上面および両側面は差込部11の上面および両側面から若干の段差をもって張り出しており、鍵ホルダ挿入部4に対する把手部12の差し込みはできないようになっている。
【0025】
把手部12には、いずれも把手部12の両側面にわたって貫通する孔断面横長矩形状の係止爪用貫通孔21と、この係止爪用貫通孔21の両側に位置する孔断面円形の突起部用貫通孔22、22とが形成されている。各突起部用貫通孔22の中央部周りから把手部12の下面にかけては、鍵吊り下げ部材14の屈曲部27を挿通させるための挿通溝(スリット23)(図4、図5参照)が形成されている。また、差込部11の手前側の端面には鍵吊り下げ部材14の一方の立ち上がり部29が差し込まれるスリット24が形成される。把手部12の両側面には、後述する第1固定カバー31、第2固定カバー32が隙間無く面一に嵌め込み可能となるように、各カバーと同一形状でカバーの厚み分の深さを有する凹部25が形成されている。各凹部25の下縁中央周りには、第1固定カバー31、第2固定カバー32の各下縁の中央周りを露出させるための切り欠き部26が形成されている。
【0026】
鍵吊り下げ部材14は、いわゆるキーリングであって、例えば金属製の比較的太径の線材から構成される。本実施形態の鍵吊り下げ部材14は略台形状を呈しており、上部中央は鍵通し用として開口形成され、上部両端は内側に屈曲する屈曲部27として形成されている。鍵吊り下げ部材14の下部は水平な直線形状部28として形成され、直線形状部28の端部から各屈曲部27にかけて傾斜状の立ち上がり部29が形成される。
【0027】
鍵吊り下げ部材14を把手部12に固定する機能を担う固定部材15は、本実施形態では、把手部12の左右側面に取り付けられる第1固定カバー31および第2固定カバー32から構成される。第1固定カバー31および第2固定カバー32はともに樹脂製部材からなる。第1固定カバー31、第2固定カバー32の少なくとも一方の表面には、例えば視認により鍵ホルダ2を特定しやすくするための番号が付される。
【0028】
第1固定カバー31および第2固定カバー32はそれぞれ把手部12に対する取り付け用の係止爪33、34を有する。第1固定カバー31と第2固定カバー32とは、係止爪33と係止爪34とが係止することで双方を把手部12の側面に密着させるように取り付けられる。
【0029】
図3および図5を参照して、第1固定カバー31は横長矩形状を呈しており、その裏面中央部周りには、裏面と直交し鉛直方向に沿う矩形平板状であって先端縁に鉤爪を形成した係止爪33が、横方向に間隔をおいて一対形成されている。各係止爪33の鉤爪は互いに背くように突設されている。第2固定カバー32も第1固定カバー31と略同一の横長矩形状を呈し、その裏面中央部周りには、裏面と直交し鉛直方向に沿う矩形平板状であって先端縁に鉤爪を形成した係止爪34が、第1固定カバー31側の係止爪33同士の間隔より広い間隔をおいて一対形成されている。各係止爪34の鉤爪は互いに対向する側に突設されている。なお、第1固定カバー31の裏面において、係止爪33、33間のカバー上縁とカバー下縁には、工具等の侵入を防ぐためのリブ43が形成されている。
【0030】
また、第1固定カバー31の裏面において、各係止爪33の横方向外側には円柱形状の突起部35が突設されている。この突起部35は、厳密には先端に向かうにしたがい細くなる傾斜面を有した円錐台形状を呈している。第2固定カバー32の裏面においては、各係止爪34の横方向外側に、第1固定カバー31側の突起部35が挿入される略円筒形状の突起部36が突設されている。突起部36の周壁には、弾性により径が拡縮自在となるように軸方向の複数の切込み37(図3)が形成されており、突起部36の先端縁には外側に向けて係合フランジ38が突設されている。係合フランジ38の上端外側には図5に示すように傾斜面39が形成されている。
【0031】
第1固定カバー31および第2固定カバー32の少なくとも一方には局所的に薄肉部40が形成される。本実施形態では、第2固定カバー32の裏面の横方向中央部にV溝41を縦方向に沿って形成し、このV溝41の溝底部と各カバー表面との間を薄肉部40としている。つまり、第2固定カバー32において、一対の係合爪34,34の間に薄肉部40が形成される。薄肉部40の下端は前記した切り欠き部26に臨んでいる。第2固定カバー32に対して把手部12から取り外す外力を加えると、係止爪33と係止爪34との係止が外れる前に薄肉部40が破断するようになっている。
【0032】
以上の構成からなる鍵ホルダ2の組み付け手順を説明する。先ず、鍵吊り下げ部材14の上端(屈曲部27)を若干内側に撓ませた状態でスリット23を介して把手部12の内部に差し込む。一方の立ち上がり部29はスリット24に嵌め込む。鍵吊り下げ部材14の差し込みが終了したとき、鍵吊り下げ部材14の上端周りはその弾性復元力により把手部12の内壁に押し付けられるので、鍵吊り下げ部材14が把手部12から容易に落ちることはない。
【0033】
次いで、第2固定カバー32を把手部12の凹部25に嵌め込む。係止爪34は係止爪用貫通孔21に位置し、突起部36は突起部用貫通孔22に挿通される。突起部36が突起部用貫通孔22に挿通される過程においては、切込み37を有しているため、係合フランジ38が突起部用貫通孔22の内壁に押されて縮径した状態となって挿通される。挿通時には、図5に示す傾斜面39の存在により、途中に通過するスリット23に対して引っ掛かりが生ずることもない。係合フランジ38が突起部用貫通孔22の一端部に形成された拡径部に達すると、突起部用貫通孔22の内壁から解放された係合フランジ38は弾性復元力により拡径し、把手部12の内壁の係合面42に係合する。
【0034】
次いで、第1固定カバー31を把手部12の凹部25に嵌め込むと、係止爪用貫通孔21内において係止爪33が第2固定カバー32の係止爪34に係合し、突起部用貫通孔22内においては突起部35が突起部36の中空内壁にほぼ密接する態様で挿入される。したがって、係合フランジ38を外す方向の力、すなわち係合フランジ38を縮径方向に移動させる力が働いた場合であっても、係合フランジ38の移動は突起部35により規制されることとなり、係合面42から外れることはない。
【0035】
以上により、屈曲部27が突起部36に係止することで把手部12に対して鍵吊り下げ部材14が固定される。第1固定カバー31および第2固定カバー32は各凹部25に嵌り込み、カバーの縁部が把手部12の側面と殆ど隙間無く面一に連なるので、カバーの無理なこじ開けもしづらくなる。
【0036】
そして、第2固定カバー32を無理にこじ開けた場合には、係止爪33、34の係止が外れる前に薄肉部40が破断するので、不正行為があった旨が瞬時に判る。勿論、把手部12を破壊した場合にもその痕跡が把手部12に残るので、不正行為があった旨が瞬時に判る。
【0037】
運用上、管理者が鍵を変更する場合が生じたときには、切り欠き部26を利用して、露出している把手部12と第2固定カバー32との隙間に工具等を差し込んで第2固定カバー32を破断して取り外し、次いで第1固定カバー31を取り外す。鍵の付け替え後は、新品の第2固定カバー32および第1固定カバー31を用いて前記した組み付け手順により再度組み付ける。
【0038】
以上のように、固定部材15(第1固定カバー31、第2固定カバー32)が把手部12に対する取り付け用の係止爪33、34を有し、固定部材15または把手部12の破壊(塑性変形)無しに係止爪33、34の外れを不能に構成すれば、破壊の痕跡により不正行為があったことを示唆する封緘の機能を把手部12に担わせることができる。したがって、従来のように鍵吊り下げ部材において鍵と封緘具とが混在することがなく、鍵の使い勝手が向上する。なお、「把手部に対する取り付け用の係止爪」とは、把手部に直接係止する係止爪に限定されるものではなく、本実施形態のように、係止爪33、34同士の係止の結果として第1固定カバー31、第2固定カバー32を把手部12に取り付ける場合の当該係止爪33、34も含むものである。
【0039】
また、固定部材15を、各々形成された係止爪33、34が互いに係止することにより把手部12の左右側面に取り付けられる第1固定カバー31および第2固定カバー32から構成すれば、カバーのこじ開け時に無理な力がかかりやすい係止爪を、把手部12側、つまりホルダ本体13側に設ける必要がない。したがって、カバーのこじ開けがあったときには、第1固定カバー31、第2固定カバー32の交換だけで済み、これらカバーに比べ大型で高価なホルダ本体13はそのまま使用できる。
【0040】
また、第1固定カバー31および第2固定カバー32の少なくとも一方に、把手部12から取り外す外力が加わったときに破断する薄肉部40を設ければ、第1固定カバー31または第2固定カバー32の破壊箇所の殆どを薄肉部40に集約できるので、破壊の痕跡の有無を瞬時に識別できる。
【0041】
さらに、把手部12の下面に挿通溝(スリット23)が形成され、鍵吊り下げ部材14は、スリット23を介して把手部内に挿通された上部周りが、第1固定カバー31および第2固定カバー32の各裏面の少なくとも一方に形成した突起部35、36に係止して下方への抜け止めがなされる構成とすれば、簡単な構造で鍵吊り下げ部材14を把手部12に固定できる。突起部35のみ或いは突起部36のみを突起部用貫通孔22に貫通させて、そのいずれか一方で鍵吊り下げ部材14の上部周りを係止させる態様にしてもよい。
【0042】
また、鍵吊り下げ部材14は、上部中央が開口して上端には突起部35、36に係止する屈曲部27が形成され、第1固定カバー31、第2固定カバー32にはそれぞれ突起部35、36が形成され、一方の突起部35が円筒状の他方の突起部36に挿入される構成とすれば、鍵吊り下げ部材14を把手部12から不正に引き抜こうとした際、屈曲部27から係止部に伝達される力を突起部35と突起部36の両方に分散させることができる。したがって、屈曲部27と突起部35、36との係止部の破損を防止できる。
【0043】
また、円筒状の他方の突起部36は、周壁に軸方向の複数の切込み37が形成されて縮径可能に構成されるとともに先端縁には外側に向けて係合フランジ38が突設され、第1固定カバー31および第2固定カバー32が把手部12に取り付けられたとき、係合フランジ38が把手部12の係合面42に係合し、かつ係合フランジ38の縮径方向の移動が一方の突起部35により規制される構成とすれば、係合フランジ38の係合外れが生じにくくなり、把手部12に対する第2固定カバー32の係止力を一層高めることができる。
【0044】
さらに、鍵吊り下げ部材14の下部を水平な直線形状部28として形成すれば、直線形状部28において隣り合う鍵同士を密接させて吊り下げることができ、多数の鍵を取り付けた場合であっても嵩張ることがない。
【符号の説明】
【0045】
1 鍵管理装置
2 鍵ホルダ
3 装置本体
4 鍵ホルダ挿入部
11 差込部
12 把手部
13 ホルダ本体
14 鍵吊り下げ部材
15 固定部材
23 スリット(挿通溝)
28 直線形状部
31 第1固定カバー(固定部材)
32 第2固定カバー(固定部材)
33、34 係止爪
35、36 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵ホルダと、複数の鍵ホルダ挿入部を備えこの鍵ホルダ挿入部に挿入される各鍵ホルダを施解錠する装置本体と、を備えた鍵管理装置であって、
鍵ホルダは、
鍵ホルダ挿入部に挿入され装置本体により施解錠される差込部およびこの差込部の手前上部に形成される把手部を有するホルダ本体と、
把手部の下方に位置する環状の鍵吊り下げ部材と、
把手部に取り付けられ、鍵吊り下げ部材を把手部に固定する固定部材と、
を備え、
固定部材は把手部に対する取り付け用の係止爪を有し、固定部材または把手部の破壊無しに前記係止爪の外れが不能に構成されていることを特徴とする鍵管理装置。
【請求項2】
前記固定部材は、各々形成された前記係止爪が互いに係止することにより前記把手部の左右側面に取り付けられる第1固定カバーおよび第2固定カバーからなることを特徴とする請求項1に記載の鍵管理装置。
【請求項3】
前記把手部の下面に挿通溝が形成され、
前記鍵吊り下げ部材は、この挿通溝を介して把手部内に挿通された上部周りが、前記第1固定カバーおよび第2固定カバーの各裏面の少なくとも一方に形成した突起部に係止して下方への抜け止めがなされることを特徴とする請求項2に記載の鍵管理装置。
【請求項4】
前記鍵吊り下げ部材の下部は水平な直線形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の鍵管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−179164(P2011−179164A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41288(P2010−41288)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(307011510)株式会社熊平製作所 (12)