説明

鏡装置

【課題】メンテナンスが容易で、平面鏡から拡大鏡が外れ落ちるのを防止でき、コンパクトに形成できる鏡装置を提供すること。
【解決手段】本発明の鏡装置1は、平面鏡2の鏡面20の一部に重なる位置で拡大鏡3を平面鏡2の鏡面20に沿って所定範囲内でスライド自在とするガイド手段4と、前記所定範囲内で拡大鏡3を平面鏡2に固定する固定手段5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面鏡に拡大鏡を位置変更自在に設けた鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図4(a)に示すような、平面鏡102に拡大鏡103を位置変更自在に設けた鏡装置101が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この鏡装置101は、平面鏡102の裏面120にアーム124の一端をスライド自在に取り付け、そのアーム124の他端に拡大鏡103を取り付けたものである。アーム124は、複数のアーム125を連結した折り畳みアームであり、拡大鏡103を使用する際に伸ばして利用される。
【0004】
このアーム124は、拡大鏡103を使用しない場合には邪魔であり、収納するためには収納スペースを別途設けなければならない。
【0005】
そこで、このようなアーム124を備えないものとして、例えば図4(b)に示すような鏡装置201がある(特許文献2参照)。
【0006】
この鏡装置201は、平面鏡202の鏡面220の一部に拡大レンズ体230を取り付けて、その拡大レンズ体230を取り付けた部分を拡大鏡として用いるものである。拡大レンズ体230の裏面には粘着体231が取り付けられており、この粘着体231によって拡大レンズ体230は平面鏡202に対して着脱自在となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−480号公報
【特許文献2】特開2007−127687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、この鏡装置201では、拡大鏡の位置を移動させるためには、その度に平面鏡202の鏡面220から拡大レンズ体230を外す必要がある。このように拡大レンズ体230の着脱を繰り返すと、拡大レンズ体230の粘着体231の粘着性が低下し、平面鏡202から拡大レンズ体230が不意に外れ落ちてしまうおそれがあった。また、拡大レンズ体230を平面鏡202から外すと、平面鏡202の鏡面220に粘着体231の跡が残るおそれがあった。これらを防ぐために、平面鏡202の鏡面220と粘着体231は、度々メンテナンスをせねばならなかった。
【0009】
そこで、本発明は、メンテナンスが容易で、平面鏡から拡大鏡が外れ落ちるのを防止でき、コンパクトに形成できる鏡装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の鏡装置は、平面鏡の鏡面の一部に重なる位置で拡大鏡を前記平面鏡の前記鏡面に沿って所定範囲内でスライド自在とするガイド手段と、前記所定範囲内で前記拡大鏡を前記平面鏡に固定する固定手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記ガイド手段として、前記拡大鏡の両端部を前記平面鏡の裏面の両端部までそれぞれ回りこませたガイド部を設け、前記ガイド部に、前記固定手段を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の鏡装置は、メンテナンスが容易で、平面鏡から拡大鏡が外れ落ちるのを防止でき、コンパクトに形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の鏡装置をミラーキャビネットの鏡扉に用いた実施形態の平面図を示し、(a)はその鏡扉を閉じた状態であり、(b)はその鏡扉を開いた状態である。
【図2】同上のミラーキャビネットの全体正面図である。
【図3】他の鏡装置をミラーキャビネットの鏡扉に用いた実施形態の正面図である。
【図4】(a),(b)は従来のミラーキャビネットの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の鏡装置は、図2に示す洗面化粧台上部のミラーキャビネット6の鏡扉7等に好適に用いられる。以下ミラーキャビネット6における鏡扉7側(図2における手前側)を前方とし、その鏡扉7の奥の棚8側(図2における奥側)を後方とし、図2における左側を左方とし、図2における右側を右方として説明する。
【0016】
本実施形態のミラーキャビネット6は、3枚の鏡扉7,7,7を棚8の前面に左右に並べて取り付けたものである。この3枚のうち真ん中の鏡扉7に、本発明の鏡装置1を適用している。なお、左右の鏡扉7,7は、平面鏡2のみを扉として用いたものである。
【0017】
棚8は、その内部が仕切り壁で上下左右複数の収納部に分けられており、前方が開口している。この開口が3枚の鏡扉7,7,7によって開閉される。3枚の鏡扉7,7,7は、図1(a)に示すように、丁番9を介してそれぞれ棚8に取り付けられている。丁番9は、鏡扉7の上端と下端にそれぞれ取り付けられている。また、鏡扉7,7,7は、隣り合う鏡扉7,7の間にそれぞれ隙間Sを設けて棚8に取り付けられている。この隙間Sは、隣り合う鏡扉7,7を同時に開くことができる程度の左右幅で形成されている。また、鏡扉7,7,7は、棚8との間に隙間Wを設けて棚8に取り付けられている。以上のようにして取り付けられた3枚の鏡扉7,7,7は、それぞれ図1(a),(b)に示すように棚8の前面開口を開閉する。ここで、左の鏡扉7は、右側に開き、真ん中の鏡扉7は、左側に開き、右の鏡扉7は、左側に開く。なお、鏡扉7,7,7は上端と下端の丁番9,9を取り付ける端部をそれぞれ実施形態の状態と反対側の端部に変更して、本実施形態の場合と左右逆に開閉するようにしてもかまわない。
【0018】
真ん中の鏡扉7は、図2に示すように矩形平板状の平面鏡2の鏡面20の一部に、矩形平板状の拡大鏡3を上下にスライド自在に重ねたものである。平面鏡2は鏡の前の対象物をそのままの大きさで映し出すものであり、拡大鏡3は、鏡の前の対象物を拡大して映し出すものである。拡大鏡3は、コンタクトレンズの装着や、アイライン等の細部の化粧などの際に好適に用いられる。
【0019】
平面鏡2と拡大鏡3は、左右の幅が略同じで、上下の長さが、拡大鏡3が平面鏡2の3分の1程度となっている。拡大鏡3の左右両端には、図1(a)及び図2に示すように、拡大鏡3の左右両端を、平面鏡2の裏面21の左右両端部までそれぞれ回りこませた、ガイド部40,40を設けてある。ガイド部40,40は、拡大鏡3の左右両端に上下方向の全長に亘って設けてある。なお、ガイド部40,40は、拡大鏡3の左右両端の上下方向全長に亘ってではなく、上下方向に複数分けて設けても構わない。各ガイド部40,40は、それぞれ平面鏡2の左右の側面22,22から平面鏡2の左右端部の裏面21にかけて重なっていて、拡大鏡3が平面鏡2に沿って上下にスライドする際にガイドするガイド手段4を為している。
【0020】
平面鏡2の裏面21に位置するガイド部40,40には前後に貫通する孔が設けてあり、その孔には、固定ねじ50からなる固定手段5が設けられる。なお、固定ねじ50は、左右のガイド部40,40に1つずつ設けてもよいし、左右のガイド部40,40に上下に離して複数個ずつ設けてもよい。この固定ねじ50をねじ締めすることで、所定範囲内で拡大鏡3は平面鏡2に固定できる。ここでいう所定範囲とは、拡大鏡3が平面鏡2の上端と下端に取り付けられた丁番9,9に接触しない範囲、すなわち、拡大鏡3の上端が平面鏡2の上端に重なる位置から、拡大鏡3の下端が平面鏡2の下端に重なる位置までの範囲を示す。拡大鏡3は、この所定範囲内で平面鏡2に対して上下にスライド自在となっている。
【0021】
なお、固定手段5は、固定ねじ50に限らず、他の手段であってよい。例えば、ガイド部40の前後に貫通する孔に係止される凸部を、平面鏡2の左右側端部の裏面21に上下方向に亘って複数設けて、好みの位置でスライドが止まるようにしてもよい。
【0022】
上述した構成のミラーキャビネット6の拡大鏡3の位置調整の方法の一例について説明する。
【0023】
まず、真ん中の鏡扉7を開いて、左右のガイド部40,40に取り付けてある固定ねじ50を緩める。そして、拡大鏡3の上下位置を調整して、緩めた固定ねじ50を締め直す。最後に、真ん中の鏡扉7を閉じる。
【0024】
以上のように拡大鏡3を上下にスライド調整可能としたことで、本実施形態のミラーキャビネットは、使用者の体型や用途に合せて、最適な位置に拡大鏡3を位置させて、コンタクトレンズの装着や、アイライン等の細部の化粧を容易に行うことができる。
【0025】
上述した本実施形態のミラーキャビネット6の鏡扉7に用いられる鏡装置1は、平面鏡2の鏡面20の一部に重なる位置で拡大鏡3を平面鏡2の鏡面20に沿って所定範囲内でスライド自在とするガイド手段4と、前記所定範囲内で拡大鏡3を平面鏡2に固定する固定手段5を備えることを特徴とする。
【0026】
この構成において、拡大鏡3は、ガイド手段4と固定手段5によって平面鏡2に取り付けられており、従来例のように粘着性の低下するおそれのある粘着体によって平面鏡2に取り付けられるものではないので、平面鏡2から外れ落ち難いものとなっている。
【0027】
また、従来例のように位置を変更する度に平面鏡2の鏡面20に粘着体を粘着させなくてもよいので、平面鏡2の鏡面20は汚れ難くてメンテナンスのし易いものとなっている。
【0028】
また、ガイド手段4によって拡大鏡3と平面鏡2とは重なるように設けられており、従来例のようにアームによって拡大鏡3を手前に引き出すようなものではないので、鏡装置1はコンパクトなものとなっている。
【0029】
また、本実施形態のミラーキャビネット6の鏡扉7に用いられる鏡装置1においては、ガイド手段4として、拡大鏡3の両端部を平面鏡2の裏面21の両端部までそれぞれ回りこませたガイド部40を設け、ガイド部40に、固定手段5を設けたことを特徴とする。
【0030】
このような構成としたことで、ガイド手段4や固定手段5を隠すことができる。そのため、鏡装置1は正面から視た外観がすっきりしたものとなっている。
【0031】
また、平面鏡2の裏面21に回りこむガイド部40に固定手段5を設けたことで、平面鏡2の鏡面20が固定手段5によって傷ついてしまうことを防止できる。
【0032】
また、ガイド部40を拡大鏡3の両端部を平面鏡2の裏面21の両端部までそれぞれ回りこませて形成するようにしたことで、拡大鏡3を、平面鏡2の幅方向いっぱいまで広げることができる。そのため、幅の広い拡大鏡3を平面鏡2に取り付けることができ、反射面積を広く確保することができる。
【0033】
続いて、本実施形態の変更例について説明する。
【0034】
拡大鏡3は、真ん中の鏡扉7に適用するのではなく、左右の鏡扉7,7に適用してもかまわない。その場合メインとなる真ん中の鏡扉7は、通常用いられる平面鏡2として利用できる。
【0035】
また、拡大鏡3は、図3に示すように、平面鏡2に対して左右にスライド自在に重ねて取り付けたものであっても構わない。その場合、拡大鏡3の上端と下端にガイド部40を設ける。このような構成とすれば、拡大鏡3を好みの位置まで左右にスライドさせれば、拡大鏡3の自重で拡大鏡3の上端のガイド部40が平面鏡2の上端に係止されるので、拡大鏡3をその位置に止めることができる。
【0036】
なお、本発明の鏡装置1は、上述した実施形態のような後方に棚8を有する鏡扉7としてではなく、単独で壁等に取り付けられるものであっても構わない。
【0037】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 鏡装置
2 平面鏡
20 鏡面
3 拡大鏡
4 ガイド手段
5 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面鏡の鏡面の一部に重なる位置で拡大鏡を前記平面鏡の前記鏡面に沿って所定範囲内でスライド自在とするガイド手段と、前記所定範囲内で前記拡大鏡を前記平面鏡に固定する固定手段を備えることを特徴とする鏡装置。
【請求項2】
前記ガイド手段として、前記拡大鏡の両端部を前記平面鏡の裏面の両端部までそれぞれ回りこませたガイド部を設け、前記ガイド部に、前記固定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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