説明

長さ可変の収納ケース

【課題】大切な物を収容する際に収容物の先端を傷めることなく慎重な蓋閉じ動作が可能でかつ、収容物を取り出す際には迅速な操作も可能とする。
【解決手段】アジャスタブルケース1は、PET樹脂を用いたダイレクトブロー成形法によって肉厚約0.8mmに成形した正12角形断面の筒体21,31を有する内ケース2と外ケース3とから構成される。内ケース2の筒体21は外ケース3の筒体31の中に収納されるサイズで、中心角120度ずれた3つの角に沿って軸方向に配置された半球状の突起列22〜24を備えている。外ケース3の筒体31の下端部分には、スクリュー溝32が形成されている。内ケース2の突起列22〜24を構成する各突起はこのスクリュー溝32に嵌り込む高さで飛び出し、外ケース3に形成されたスクリュー溝32のピッチと対応して軸方向にずらした配置となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内ケースと外ケースとからなり、収納物の長さに応じて全長を可変とした収納ケース(以下、「アジャスタブルケース」という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アジャスタブルケースとしては、ネジ式のもの(図4(A)参照)とスライド式のもの(図4(B)参照)が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【特許文献1】米国特許第4509656号特許明細書
【特許文献2】特開2003−312667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ネジ式のアジャスタブルケースは、ケースを短くして使用する場合に収容物を取り出す際に手間がかかるという問題がある。一方、スライド式のアジャスタブルケースは、ケースを閉じる際に収容物の先端を傷めるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は、収容物の先端を傷めることなく慎重な蓋閉じ動作が可能でかつ、収容物を取り出す際には迅速な操作が可能なアジャスタブルケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明のアジャスタブルケースは、一端を開口されると共に他端を閉じられた筒状の内ケースと、一端を開口されると共に他端を閉じられた筒状の外ケースとによって構成され、前記外ケースを、前記内ケースに対してその開口端側から軸方向に嵌合し、収納物の長さに応じて全長を可変することのできる収納ケースであって、以下の構成を備えたことを特徴とする。
(1)前記内ケース及び外ケースは、円形又はほぼ円形といえる正多角形の筒状に構成されていること。
(2)前記外ケースの筒部内面にはスクリュー溝が形成されたスクリュー溝部を備えていること。
(3)前記内ケースの筒部外面には、軸方向に沿って間隔を開けて配置された粒状突起列が、複数列設けられていること。
(4)前記内ケースに設けられた粒状突起列同士は、前記外ケースに形成されたスクリュー溝のピッチと対応して軸方向にずらした配置となっていること。
【0006】
本発明のアジャスタブルケースによれば、外ケースを閉じる操作では、ネジ式操作を採用することができる一方、外ケースを開く操作では、引き抜きによるスライド方式を採用することができる。従って、大事な物を収容する場合に、先端を傷めない様にケースを閉じる操作が容易である上に、収容物を取り出す際には迅速に外ケースを外すことができる。
【0007】
ここで、本発明のアジャスタブルケースにおいては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(5)前記内ケースに設けられる複数の粒状突起列同士は、該内ケースの筒部を中心角が等しくなる様に分割する位置関係となる様に配置されていること。
【0008】
かかる構成をも備えることで、ネジ方式で着脱をする際にスムーズな回転操作が可能となる。
【0009】
また、本発明のアジャスタブルケースにおいては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(6)前記外ケース及び内ケースは、ダイレクトブロー成形によって形成されていること。
【0010】
かかる構成をも備えることで、ケースを薄肉の変形し易いものとして構成するのが容易であり、スライド方式で着脱をする際のスムーズな抜き取り操作が可能となる。
【0011】
なお、本発明のアジャスタブルケースは、開閉共にネジ方式として使用してもよいし、開閉共にスライド方式として使用してもよい。また、閉じるときはスライド方式として開くときをネジ方式とする用い方も可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大切な物を収容する際に収容物の先端を傷めることなく慎重な蓋閉じ動作が可能でかつ、収容物を取り出す際には迅速な操作も可能であり、その他の使用方法も可能なことから、用途、収容物等に応じて取扱いが便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。実施形態のアジャスタブルケース1は、透明な合成樹脂(PET)を用いてダイレクトブロー成形法によって肉厚約0.8mmに成形した内ケース2と外ケース3とから構成されている。内ケース2は、上端開口・下端閉鎖とされた正12角形断面の筒体21によって構成されている。外ケース3は下端開口・上端閉鎖とされた正12角形断面の筒体31によって構成されている。
【0014】
内ケース2の筒体21は外ケース3の筒体31の中に収納されるサイズとなっており、正12角形の12個の角の内、中心角120度ずれた3つの角に沿って軸方向に配置された半球状の突起列22〜24を備えている。外ケース3の筒体31の下端部分には、スクリュー溝32が形成されている。内ケース2の突起列22〜24を構成する各突起はこのスクリュー溝32に嵌り込む高さで飛び出している。
【0015】
突起列22〜24は、図2に示す様に、外ケース3に形成されたスクリュー溝32のピッチと対応して軸方向にずらした配置となっている。
【0016】
このアジャスタブルケース1は、外ケースを閉じる操作では、図3(A)に示す様なネジ式操作を採用することができる一方、外ケースを開く操作では、図3(B)に示す様な引き抜きによるスライド方式を採用することができる。なお、開閉共にネジ方式として使用してもよいし、開閉共にスライド方式として使用してもよい。また、閉じるときはスライド方式として開くときをネジ方式とする用い方も可能である。
【0017】
本実施形態によれば、上述の様な操作が可能であるから、大事な物を収容する場合に先端を傷めない様にケースを閉じる操作が容易である上に、収容物を取り出す際には迅速に外ケースを外すことができる。また、120度ずつずらした突起列22〜24を備えたので、ネジ方式で着脱をする際にスムーズな回転操作が可能となっている。そして、ブロー成形によって薄肉に成形されていることから、スライド方式で着脱をする際のスムーズな抜き取り操作が可能となっている。そして、透明であるから、上述の様な大事な物を収容する際の閉じ操作において適切な長さに閉じたことの確認も容易である。
【0018】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上述した実施形態等に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
【0019】
例えば、円形の筒体で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態のアジャスタブルケースを示し、(A)は外ケースの正面図、(B)は内ケースの正面図、(C)は内外のケースを嵌合した状態の正面図である。
【図2】実施形態のアジャスタブルケースを示し、(A)は外ケースの正面図、(B)は内ケースの正面図、(C)は内ケースの背面図である。
【図3】実施形態のアジャスタブルケースの操作方法を示し、(A)はネジ式で閉じる状態の正面図、(B)はスライド式で開くときの正面図である。
【図4】従来例を示す参考図である。
【符号の説明】
【0021】
1・・・アジャスタブルケース
2・・・内ケース
21・・・筒体
22〜24・・・突起列
3・・・外ケース
31・・・筒体
32・・・スクリュー溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端を開口されると共に他端を閉じられた筒状の内ケースと、一端を開口されると共に他端を閉じられた筒状の外ケースとによって構成され、前記外ケースを、前記内ケースに対してその開口端側から軸方向に嵌合し、収納物の長さに応じて全長を可変することのできる収納ケースであって、以下の構成を備えたことを特徴とする長さ可変の収納ケース。
(1)前記内ケース及び外ケースは、円形又はほぼ円形といえる正多角形の筒状に構成されていること。
(2)前記外ケースの筒部内面にはスクリュー溝が形成されたスクリュー溝部を備えていること。
(3)前記内ケースの筒部外面には、軸方向に沿って間隔を開けて配置された粒状突起列が、複数列設けられていること。
(4)前記内ケースに設けられた粒状突起列同士は、前記外ケースに形成されたスクリュー溝のピッチと対応して軸方向にずらした配置となっていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1記載の長さ可変の収納ケース。
(5)前記内ケースに設けられる複数の粒状突起列同士は、該内ケースの筒部を中心角が等しくなる様に分割する位置関係となる様に配置されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項2記載の長さ可変の収納ケース。
(6)前記外ケース及び内ケースは、ダイレクトブロー成形によって形成されていること。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−285173(P2008−285173A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128978(P2007−128978)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(591029149)本多プラス株式会社 (18)