説明

長さ調整可能なテンプル及び当該テンプルを備える眼鏡

【課題】デザイン性を損なうことなく長さ調整が可能で、しかも、連結された眼鏡部品同士が安定な結合状態を保ち得る長さ調整可能なテンプルを提供する。
【解決手段】長手方向に形成された貫通孔とこれに並行して形成された有底孔とを有するテンプル側プラスチック樹脂部材172と、一端がヨロイ側部材に接続され、他端が前記貫通孔に挿通されるテンプル芯がね部材176と、前記テンプル芯がね部材よりも短尺の短芯がね部材178と、長手方向に形成された第1の有底孔とこれに並行して形成された第2の有底孔とを有するモダン部材174と、を備え、テンプル芯がね部材176はテンプル側プラスチック樹脂部材172の貫通孔に挿通されると共に、モダン部材174の第1の有底孔に差し込まれ、短芯がね部材178はテンプル側プラスチック樹脂部材172の有底孔とモダン部材174の第2の有底孔とに差し込まれて、テンプル側プラスチック樹脂部材172とモダン部材174とを所定の長さ位置に保持するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプルの長さが調節できる長さ調整可能なテンプル及び当該テンプルを備える眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、眼鏡フレームは、レンズを保持する前枠(リム)、左右のリムを連結するブリッジ、ヨロイ、テンプル、テンプル後端の耳掛け部(これをモダンと称す)などの多数の眼鏡部品が適所で連結されて作製されている。
【0003】
近年、眼鏡フレームのデザインにおいて、テンプル幅を広くしたものが多くなってきている。構造的には、金属製のテンプルのものでは、耳掛け部は金属製の芯がねにプラスチック樹脂を差し込んだ構造のものが多い。また、耳掛け部も金属製にしてあるものもある。また、プラスチック樹脂製のテンプルのものでは、金属製の芯がねを入れたものや、テンプル全てをプラスチック樹脂で作成したものもある。さらに、眼鏡のリムとしては、プラスチック樹脂製、金属製、ふちなし(リムレス)タイプ、ナイロールタイプなどさまざまである。
【0004】
ところで、掛け心地のよい眼鏡フレームであるためには、耳掛け部が眼鏡装着者の耳に丁度掛けられるように、耳掛け部(モダン曲げ部)までの長さを眼鏡の装着者によって合わす必要がある。
【0005】
かかるテンプルの長さの調整が数mm以内であれば、モダン曲げ位置を曲げ直しして調整しても、見た目にはそれほど変わらないため、ほとんどの調整はこの方法がとられている。また、金属製のテンプルで、モダン部の芯がねと金属テンプル部とがほぼ同じ太さであれば、芯がねの先を切り取ってからモダンを付け直す方法で調整することも可能である。
【0006】
さらに、特許文献1には、長手方向のスライド穴とその内側の部分に溝が形成され、この溝内にスライダ部材が移動可能に配設された金属製のテンプルに、長穴が穿設されたモダンを被嵌させ、該モダンを横切り、穿設された穴を貫通する固定ネジでもってスライダ部材のネジ穴と螺合させることにより、モダンのテンプルに対する位置、すなわち、テンプル長さを調整可能とした機構が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−47283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のモダン曲げ位置を曲げ直しして調整する方法では、その曲げ直しの作業が容易ではなく、曲げ位置の誤差や、曲げ具合の誤差に起因して、左右の形状バランスが崩れてしまうことがあり、最悪の場合には、元々用意されていた眼鏡ケースに入らなくなってしまうほど形状が変わってしまうということがあった。これを避けるためには、長さの異なるテンプルを何種類も用意すれば良いが、無駄な在庫が必要となりコスト高となってしまう。特に、プラスチック樹脂製のテンプルではカラーバリエーションも多いため、このような方法が採れない。
【0009】
そこで、特許文献1に開示のような機構を採用することも考えられるが、この機構は、金属製のテンプルに長穴が穿設されたモダンを被嵌させ、このモダンのテンプルに対する位置を、固定ネジを緩めることによりスライドさせて調節し、調節後に固定ネジを緊締することで所定長さに固定するものであり、デザイン性を重視するテンプルには到底採用できないという問題がある。すなわち、モダンのテンプルに対する調整位置によっては、金属製のテンプルに形成されたスライド穴の一部が露出したり、また、固定ネジの頭部は常時露出するのみならず、モダンから突出しており、その外観が好ましくないからである。
【0010】
本発明の目的は、かかる問題に鑑みて、デザイン性を損なうことなく長さ調整が可能で、しかも、連結された眼鏡部品同士が安定な結合状態を保ち得る長さ調整可能なテンプルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の一形態にかかる長さ調整可能なテンプルは、長手方向に形成された貫通孔とこれに並行して形成された有底孔とを有するテンプル側プラスチック樹脂部材と、一端がヨロイ側部材に接続され、他端が前記貫通孔に挿通されるテンプル芯がね部材と、前記テンプル芯がね部材よりも短尺の短芯がね部材と、長手方向に形成された第1の有底孔とこれに並行して形成された第2の有底孔とを有するモダン部材と、を備え、前記テンプル芯がね部材は前記テンプル側プラスチック樹脂部材の前記貫通孔に挿通されると共に、前記モダン部材の前記第1の有底孔に差し込まれ、前記短芯がね部材は前記テンプル側プラスチック樹脂部材の前記有底孔と前記モダン部材の前記第2の有底孔とに差し込まれて、前記テンプル側プラスチック樹脂部材と前記モダン部材とを所定の長さ位置に保持するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記テンプル芯がね部材、前記貫通孔及び前記第1の有底孔は、それぞれ、断面が円形であり、前記短芯がね部材、前記テンプル側プラスチック樹脂部材の有底孔及び前記第2の有底孔は、それぞれ、断面が非円形であることが好ましい。
【0013】
また、前記テンプル側プラスチック樹脂部材はその一端の上部に形成されたヨロイ収容部を有し、前記貫通孔及び有底孔がその上下の幅方向に並行に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の一形態にかかる長さ調整可能なテンプルによれば、所定の長さに用意されたテンプル芯がね部材及び短芯がね部材の長さを切断などにより調整した後に、単に、当該テンプル芯がね部材がテンプル側プラスチック樹脂部材の貫通孔に挿通されると共に、モダン部材の第1の有底孔に差し込まれ、短芯がね部材がテンプル側プラスチック樹脂部材の有底孔とモダン部材の第2の有底孔とに差し込まれることにより、テンプル側プラスチック樹脂部材とモダン部材とが所定の長さ位置に保持されるように構成されているので、デザイン性を損なうことなく長さ調整が可能で、しかも、連結されたテンプル側プラスチック樹脂部材とモダン部材同士が安定な結合状態を保ち得る、長さ調整可能なテンプルが提供される。
【0015】
かくて、従来、特に幅広デザインのプラスチック樹脂製テンプルでは、調整範囲が狭かったため、長さの異なるものを用意するか、形状を無視した無理な加工を施して調整せざるを得なかったのが、本発明の一形態にかかる長さ調整可能なテンプルでは、大きな調整が可能であり、形状もそれほど変えなくて済むため、コスト的にもデザイン的にも優れた、掛け心地の良いものを顧客に提供することが出来る。
【0016】
さらに、テンプル側プラスチック樹脂部材及びモダン部材の交換が容易で、デザインや色の違ったものも容易に取り付けることが可能であり、バリエーションも多岐に亘り得るので、さらに、顧客満足度を増大させる商品となる。
【0017】
ここで、前記テンプル芯がね部材、前記貫通孔及び前記第1の有底孔が、それぞれ、断面が円形であり、前記短芯がね部材、前記テンプル側プラスチック樹脂部材の有底孔及び前記第2の有底孔が、それぞれ、断面が非円形である形態によれば、テンプル芯がね部材の前記貫通孔及び前記第1の有底孔へ挿通ないしは差し込み作業が容易に行われ得ると共に、単位断面積当たりの短芯がね部材の曲げ剛性を大きくすることにより、テンプル全体の強度を高めると共に、連結されたテンプル側プラスチック樹脂部材とモダン部材同士の安定な結合状態を保つことができる。
【0018】
また、前記テンプル側プラスチック樹脂部材はその一端の上部に形成されたヨロイ収容部を有し、前記貫通孔及び有底孔がその上下の幅方向に並行に形成されている形態によれば、テンプル側プラスチック樹脂部材からの無用な突出を回避することができ、デザイン性を向上させ得ると共に、容易に上下に幅広のテンプルとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書の記述において、「前後」、「左右」および「上下」等の方向を表す表現は、眼鏡が通常の状態で人に装着されているときの方向を表している。
【0020】
図1(A)ないし(C)は、本発明に係る長さ調整可能なテンプルをリムレス眼鏡100に適用した実施形態を示し、当該リムレス眼鏡100は、プラスチック製の左右のレンズ110と、レンズ110に固設された眼鏡部品として、左右の金属製ヨロイ120及び金属製ブリッジ部材130とを備えている。なお、本実施の形態において、レンズ110には、図1(A)ないし(C)から明らかなように、その内側縁部近傍及び外側縁部近傍においてほぼ同じ高さ位置に、ブリッジ側のレンズ孔112in及びヨロイ側のレンズ孔112outがそれぞれ穿設されている。なお、ブリッジ側及びヨロイ側の区別をする必要なくレンズ孔を称するときは、本実施形態において112を用いる。
【0021】
金属製ヨロイ部材120は、レンズに固設されるレンズ固定部としての脚部122と、テンプルに連結される連結部としての腕部124を有している。そして、本実施の形態においては、金属製ヨロイ部材120の脚部122と腕部124との間には第1のU字状湾曲部125及び第2のU字状湾曲部126が介在されている。第1のU字状湾曲部125の一方は脚部122と直線状に連続して形成され、その他方は第2のU字状湾曲部126の一方と兼用されている。そして、第2のU字状湾曲部126の他方は腕部124と連続して形成されている。さらに、腕部124は該第2のU字状湾曲部126との連続部から外方向に向けてなだらかに湾曲されている。金属製ヨロイ部材120は、脚部122、第1のU字状湾曲部125、第2のU字状湾曲部126及び腕部124を含み、本実施の形態においては一本の金属線材、例えば、ニッケル・クロム合金、ニッケル・チタン合金等の易曲性弾性材から形成されている。そして、円柱状の脚部122の外周面にはローレット溝が形成されている。
【0022】
また、金属製ヨロイ部材120の腕部124の一端部には、後述するヒンジ160の略鼓状のソケット部材162が設けられている。そして、該ヒンジ160を介してテンプル170が連結されている。
【0023】
一方、金属製ブリッジ部材130は、レンズに固設されるレンズ固定部としての脚部132と、腕部134を有している。本実施の形態においては、金属製ブリッジ部材130の腕部134はU字状湾曲部135及びこれに連なる直角曲折部136を有し、U字状湾曲部135の一方の延長として脚部132が直線状に連続して形成されている。そして、腕部134の直角曲折部136の端部同士がブリッジである連結部137で連結されている。金属製ブリッジ部材130は、脚部132、腕部134及び連結部137が、同じく、一本の金属線材、例えば、チタン合金、ニッケル・クロム合金、ニッケル・チタン合金等の易曲性弾性材から一体のブリッジとして形成されている。なお、この金属製ブリッジ部材130の両腕部134に対し、鼻当てパッド140が取り付けられるU字状湾曲部142を備えた鼻当てパッド取付部材144がそれぞれ接合されている。そして、円柱状の脚部132の外周面には、金属製ヨロイ部材120と同様に、ローレット溝が形成されている。
【0024】
ここで、本発明に係る長さ調整可能なテンプル170の構成部品につき、まず簡単に説明する。図5(A)は、組立前のテンプル170の各構成部品を示し、172は上下方向の幅が広く形成されたテンプル側プラスチック樹脂部材、174は同じくプラスチック樹脂で形成されたモダン部材、176はテンプル芯がね部材、及び、178はテンプル芯がね部材176よりも短尺の短芯がね部材である。そして、テンプル側プラスチック樹脂部材172には、図3(A)に詳しく示すように、そのなだらかに湾曲された前端部の上部に上述のヨロイ部材120ないしはヒンジ160を収容するヨロイ収容部172Aが形成されると共に、該前端部のヨロイ収容部172Aから後端に亘る長手方向に貫通孔172Bが形成されている。さらに、後端からは貫通孔172Bに並行してその下側に有底孔172Cが形成されている。さらに、本実施の形態においては、図4に示されるように、テンプル側プラスチック樹脂部材172の前端上方を切り欠いて形成されているヨロイ収容部172Aに、後述するヒンジ160の略鼓状のソケット部材162とテンプル170のテンプル芯がね部材176のJ字状曲折部176Aとの下側部分を収容するヒンジ収容凹部172Dが形成されている。そして、テンプル側プラスチック樹脂部材172の湾曲された前端部の端面には、ヨロイ部材120の第2のU字状湾曲部126を収容するヨロイ収容凹部172Eが形成されている。また、モダン部材174には、図3(B)に詳しく示すように、その前端から長手方向に第1の有底孔174Aとこれに並行して第2の有底孔174Bとが上下に形成されている。
【0025】
ここで、本実施の形態においては、上述のテンプル芯がね部材176、テンプル側プラスチック樹脂部材172の貫通孔172B、及びモダン部材174の第1の有底孔174Aは、それぞれ、断面が円形である。一方、短芯がね部材178、テンプル側プラスチック樹脂部材172の有底孔172C、及びモダン部材174の第2の有底孔174Bは、それぞれ、断面が非円形(本例では四角形)である。
【0026】
さらに、ヒンジ160とテンプル170につき、図1(A)ないし(C)及び図2(A)及び(B)を主に参照して簡単に説明する。本実施の形態においては、ヒンジ160が略鼓状のソケット部材162とテンプル170のテンプル芯がね部材176の前端部に形成されたJ字状曲折部176Aとの組合せにより構成されている。より詳しくは、略鼓状のソケット部材162には中心に貫通孔が形成されると共に、外周の一部に周方向溝が形成されている。そして、このソケット部材162は、本実施の形態においては、上述した金属製ヨロイ部材120の腕部124の端部がその外周の一部を囲んで接合される形態で、金属製ヨロイ部材120と一体に形成されている。
【0027】
金属線材(例えば、チタン合金、ニッケル・クロム合金、ニッケル・チタン合金等の弾性材)からなるテンプル芯がね部材176の端部に形成されたJ字状曲折部176Aは、ソケット部材162の貫通孔に挿通される第1脚部とそれに連続する第2脚部とを備え、第1脚部がソケット部材162の貫通孔に挿通されたとき、第1脚部と第2脚部とでソケット部材162を弾性的に挟持するようにされている。さらに、該第2脚部は、テンプル芯がね部材176の端部の直線状部に対し鋭角に曲折され、その折り曲げの外周部が、上述のソケット部材162における周方向溝に係合するように形成されている。
【0028】
上記本発明の実施の形態にあっては、次の手順によりリムレス眼鏡100が組立られ、完成されることになる。まず、レンズ110に穿設されたブリッジ側のレンズ孔112inに金属製ブリッジ部材130の脚部132を、及びヨロイ側のレンズ孔112outに金属製ヨロイ部材120の脚部122をそれぞれレンズ110の後方側から挿入することにより、金属製ブリッジ部材130及び金属製ヨロイ部材120を、それぞれ、レンズ110に固設する。このとき、金属製ブリッジ部材130においては、そのU字状湾曲部135の一方の直線状延長部として形成されている脚部132とU字状湾曲部135の他方に連なる直角曲折部136とでもって、ブリッジ側のレンズ孔112inとレンズ110の内縁部とを弾性的に挟持するように、U字状湾曲部135の曲率及びレンズ孔112inの穿設位置が定められている。一方、金属製ヨロイ部材120においては、脚部122とレンズ110の側縁部に当接する腕部124のU字状湾曲部126に近い側の一部とでもって、ヨロイ側のレンズ孔112outとレンズ110の側縁部とを弾性的に挟持するように、腕部124の湾曲度合及びレンズ孔112outの穿設位置が定められている(図1(A)及び(B)参照)。
【0029】
ここで、金属製ヨロイ部材120の脚部122及び金属製ブリッジ部材130の脚部132の外周面には、それぞれ、ローレット溝128及び138が形成されているので、レンズ孔112の内周面と脚部122及び132の外周面とがほぼ均一に接触することとなる。したがって、レンズ110と金属製ヨロイ部材120及び金属製ブリッジ部材130とは、それらの接続部の緩みを生ずることなく確実に固設される。なお、かかる固設状態をより確実にするために、ローレット溝128及び138に対し接着剤が注入されてもよい。
【0030】
次に、本発明の実施の形態におけるテンプル170の長さ調整方法の手順の一例を図5をも参照して説明する。この例は、図2(A)に示すようなテンプル長さに対して、図2(B)に示すテンプル長さ(例えば、10mm短い)に調整する場合の例である。
【0031】
まず、10mm短くするために、図5(B)に破線で示すように、テンプル芯がね部材176及び短芯がね部材178を10mmずつニッパーなどで切り取る。そして、図5(C)に示すように、テンプル芯がね部材176をテンプル側プラスチック樹脂部材172の貫通孔172Bに前端側から差し込む。この時、テンプル芯がね部材176を回転(約90度)させることによって、テンプル芯がね部材176の前端部に形成されたJ字状曲折部176Aとテンプル側プラスチック樹脂部材172の前端面との干渉を避けつつ、図5(D)に示す所定の位置まで、テンプル芯がね部材176を差し込むことが出来る。そこで、図5(E)に示すように、テンプル芯がね部材176を回転(約90度)させて元に戻し、J字状曲折部176A延いてはヒンジ160の向きを合わせる。次に、図5(F)に示すように、短芯がね部材178をテンプル側プラスチック樹脂部材172の有底孔172Cに挿入する。そして、図5(G)に示すように、モダン部材174の第1の有底孔174Aにテンプル芯がね部材176を、及び、これに並行する第2の有底孔174Bに短芯がね部材178をそれぞれ差し込む。最後に、必要に応じ、図5(H)に示すように、所定の位置でモダン部材174を曲げる。かくて、テンプル170の長さの調整が完了することになる。
【0032】
そこで、上述のように、レンズ110に組み立てられている金属製ヨロイ部材120に一体に形成されている略鼓状のソケット部材162に対し、図1(A)ないし(C)に示すように、テンプル170を連結することによりリムレス眼鏡100が完成されることになる。より詳しくは、ソケット部材162の貫通孔にテンプル芯がね部材176の端部に形成されたJ字状曲折部176Aの第1脚部を挿通すると共に、第2脚部の折曲部をソケット部材162の周方向溝に係合させ、第1脚部と第2脚部とでソケット部材162を弾性的に挟持させることで、ねじ等を一切用いることなく、各部品が連結されることによりリムレス眼鏡100が完成される。
【0033】
なお、上述の組立の手順は入れ換えてもよい。例えば、金属製ヨロイ部材120を先に取り付け、そしてテンプル170を連結した後に、金属製ブリッジ部材130を取り付けたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る長さ調整可能なテンプルをリムレス眼鏡に適用した実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図2】本発明に係る長さ調整可能なテンプルの組立後の実施形態の側面図であり、(A)及び(B)はそれぞれ異なる長さを示している。
【図3】本発明に係る長さ調整可能なテンプルにおける構成部品の実施形態を示す斜視図であり、(A)はテンプル側プラスチック樹脂部材、(B)はモダン部材を示す。
【図4】本発明に係る長さ調整可能なテンプルにおける構成部品の整列状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る長さ調整可能なテンプルの組立手順を(A)ないし(H)の順で説明する側面図である。
【符号の説明】
【0035】
100 眼鏡
110 レンズ
120 ヨロイ部材
130 ブリッジ部材
160 ヒンジ
162 ソケット部材
170 テンプル
172 テンプル側プラスチック樹脂部材
172A ヨロイ収容部
172B 貫通孔
172C 有底孔
174 モダン部材
174A 第1の有底孔
174B 第2の有底孔
176 テンプル芯がね部材
176A J字状曲折部
178 短芯がね部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に形成された貫通孔とこれに並行して形成された有底孔とを有するテンプル側プラスチック樹脂部材と、
一端がヨロイ側部材に接続され、他端が前記貫通孔に挿通されるテンプル芯がね部材と、
前記テンプル芯がね部材よりも短尺の短芯がね部材と、
長手方向に形成された第1の有底孔とこれに並行して形成された第2の有底孔とを有するモダン部材と、を備え、
前記テンプル芯がね部材は前記テンプル側プラスチック樹脂部材の前記貫通孔に挿通されると共に、前記モダン部材の前記第1の有底孔に差し込まれ、前記短芯がね部材は前記テンプル側プラスチック樹脂部材の前記有底孔と前記モダン部材の前記第2の有底孔とに差し込まれて、前記テンプル側プラスチック樹脂部材と前記モダン部材とを所定の長さ位置に保持するように構成されていることを特徴とする長さ調整可能なテンプル。
【請求項2】
前記テンプル芯がね部材、前記貫通孔及び前記第1の有底孔は、それぞれ、断面が円形であり、前記短芯がね部材、前記テンプル側プラスチック樹脂部材の有底孔及び前記第2の有底孔は、それぞれ、断面が非円形であることを特徴とする請求項1に記載の長さ調整可能なテンプル。
【請求項3】
前記テンプル側プラスチック樹脂部材はその一端の上部に形成されたヨロイ収容部を有し、前記貫通孔及び有底孔がその上下の幅方向に並行に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の長さ調整可能なテンプル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のテンプルを備えることを特徴とする眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−60624(P2010−60624A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223556(P2008−223556)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(502259300)株式会社21 (6)
【Fターム(参考)】