説明

長尺ケーブルを介して駆動する道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置

【課題】長尺ケーブルを介してジェットファンを駆動した場合に起こり得るインバータのスイッチングサージによる電動機の絶縁劣化、高周波数帯のEMI問題、長尺ケーブルの浮遊容量と対地の間に流れる同相電流による漏電ブレーカー誤動作を解消する。
【解決手段】交流/直流変換器131により電源入力を交流から直流に変換し、インバータ回路132により直流を可変周波数可変電圧の三相交流に変換し、その三相出力端子に直列に同相リアクトル140と交流リアクトル151を設け、交流リアクトル151の後にスター接続された第1のコンデンサ回路152を並列接続し、その端子電圧を長尺ケーブル300を通してジェットファン400に供給し、第1のコンデンサ回路152のスター接続の中点を交流/直流変換器131の中性点などに接続し、交流/直流変換器131の同相成分とインバータ回路132の同相成分を還流せしめ、同相電圧を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺ケーブルを介して自動車道路のトンネルの換気に使われるジェットファンを駆動する道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルにおいては、人体に対して有害な自動車のエンジンからの排出物質や塵埃などが浮遊しており、そのままではトンネル内の汚染物質濃度が高まってゆく。そこで、トンネル内の良好な環境を確保するためトンネル内の汚染物質を排気する必要がある。トンネル内の汚染物質を排気するには自然換気力や交通換気力による換気では不十分であり、トンネル内に設置された換気機を用いた強制換気が行われている。
【0003】
「縦流換気方式」とは、トンネル断面全体を換気ダクトとして利用する方式の換気方式であり、用いる換気装置としては、道路トンネル内の空気をトンネル外に押し出すジェットファン、道路トンネル内の空気を浄化する電気集塵機などがあり、適切にこれらを組み合わせてトンネルの入口から出口に向かう空気流を形成して排気する。道路トンネルの中央付近に立抗を設けて道路トンネル内の空気を道路トンネル外の空気と交換する集中排気方式を組み合わせることもある。従来の「縦流換気方式」でのジェットファンモータは起動電流が定格電流の数倍の誘導モータである。ジェットファンは通常20kwから50kw程度、4極から8極、400v系の誘導電動機で駆動されるものが多い。
短いトンネルであればジェットファンをトンネル入口か出口の1カ所に配設する構成例もあるが、長距離トンネルであれば、複数台のジェットファンを複数個所に配設することとなる。
【0004】
従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式の対面通行道路トンネルを図26に示す。このトンネル200は、交通方向が両方向の対面通行トンネルと呼ばれるタイプである。このような対面通行道路トンネル200では、内部に縦流方向の換気を行なうジェットファンが複数台配設されている。図26の例ではジェットファン10a、10b、10c、10dの4台が描かれている。長距離のトンネルであればさらに多くの台数のジェットファンを稼働することがあるが、この例では4台としている。
図26において、対面通行道路トンネル内200には図右から図左にかけて縦流の空気流Aが発生し、右から左方向にトンネル内の汚染空気が排気される。換気制御装置によりジェットファンの運転を制御する。
【0005】
従来の縦流換気方式によるジェットファンを用いた換気制御は、台数ごとにオンオフを切り替えて運転する台数制御が基本である。
図26の例ではトンネル200内の入口近く、中央部近く、出口近くの各場所に風向風速計(AV)がそれぞれ設置されており、排気抗の入口近くには、汚染濃度計である煙霧透過率計(VI計)、一酸化炭素濃度計(CO計)が設置されている(図示せず)。ここで、煙霧透過率計(VI計)は物質中を透過する光の割合から汚染濃度を計測する装置であり、また、一酸化炭素濃度計(CO計)は一酸化炭素の濃度を測定する装置である。交通量計測装置は対面通行道路トンネル200内を通過する車の交通量を計測する装置である。このように対面通行道路トンネル200内部には、例えば、煤煙、一酸化炭素、交通量、風向風速等の環境成分値を測定する環境成分測定器が設置されている。
【0006】
従来のジェットファンを用いた縦流換気方式では、対面通行道路トンネル200内部の風向風速計、煙霧透過率計、一酸化炭素濃度計、交通量計測装置から得られた各種環境成分値に基づいて、換気制御装置(図示せず)により対面通行道路トンネル200内部に設置されたジェットファン10a〜10dの運転台数を調整することが行われている。すなわち、トンネル内に設置している各種センサ類の計測結果などに基づいて、必要な換気量を確保するのに必要な台数だけジェットファン10a〜10dを運転し、これによって汚染物質濃度を予め設定されている許容値以下にして、トンネル利用者の安全性、快適性を確保している。
このように、従来の対面通行トンネルでは費用対効果からジェットファンの運転台数をオンオフで切り替えることにより、台数運転制御を行っている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−19250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の縦流換気方式には以下の問題があった。
第1の問題は、従来のジェットファンを用いた台数制御の換気方式では電力量が大きくなってしまうという問題である。
従来の対面通行トンネルでは費用対効果からジェットファンの台数運転制御が採用されてきた。しかし、ジェットファンの台数運転制御ではジェットファンのインバータ駆動運転に比べると消費電力が大きい。図27は、ジェットファンの台数運転時とインバータ駆動運転時におけるジェットファンの回転数、推力、動力の関係を示す図である。横軸に自動車用トンネル内の状態に応じて要求されるジェットファンの必要推力をとり、縦軸に、ジェットファンの回転数、ジェットファンの推力、ジェットファンの動力をとっている。
【0009】
ジェットファンの台数制御運転の場合、運転しているジェットファンの回転数は、図27の“R0”に示すように常に100%である。また、ジェットファンの推力M0およびジェットファンの動力P0は、運転しているジェットファンと運転していないジェットファンの比となり、図27の“M0”“P0”に示すように階段状になる。図27に示す例は、トンネルの特性に応じて必要なジェットファンの台数が5台である例を示しているが、ジェットファンの台数が何台であっても、階段の段数が台数と同じになるだけで、同様に説明される。
一方、ジェットファンのインバータ制御運転の場合、ジェットファンの推力M1は、全部のジェットファンを同一回転数で駆動した状態で、個々のジェットファンの推力を合計(図27の場合は5台分がM1である)として得られるが、回転数を制御することによって、必要推力に応じてその通りに推力を出せるので、図27の“M1”に示すような比例関係となる。ジェットファンの回転数R1はジェットファンの推力の平方根となるので、図27の“R1”に示すような曲線となる。また、ジェットファンの動力P1はジェットファンの回転数R1とジェットファンの推力M1の積となるので、図27の“P1”に示すような曲線となる。なお、図27の場合、P1も5台分の合計値である。
【0010】
図27に示すように、従来のジェットファンの台数運転によるジェットファン全体の消費電力は“P0”のように階段状にしか制御できないが、ジェットファンのインバータ運転によるジェットファン全体の消費電力は“P1”のように曲線状に制御でき、全体として明らかにインバータ運転によるジェットファン全体の消費電力の方が省電力化が可能であることが分かる。
つまり、ジェットファンを台数制御にて駆動すると、トンネル内に必要となるジェットファンの吹き出し風速を得るためには、図27に示すようにジェットファンの稼働台数を離散的に増減させる必要があり、ジェットファン全体の消費電力量が最適なものとならないという問題があった。このP0とP1の差分を見ると明らかなように、消費電力量の面からはジェットファンをインバータ制御により運転する方が優れている。
もう一つの重要事項は火災発生時にトンネル内の風速を速やかにゼロに制御し、徒歩で避難する人が煙に追いかけられないようにすることである。
風速ゼロ化を実現するには、現在のトンネル内の気流の方向と推力を的確に把握して、これに対して逆の推力を発生させるようジェットファンを制御する必要がある。
台数運転の場合は、所要逆推力を得るためのジェットファンの運転台数と回転方向を定めてジェットファンを起動させることが必要である。この場合、運転中のジェットファンを、現在とは逆の方向に起動させることが必要となることもある。
台数制御の場合は、多数の台数であれば起動したり、逆転に切り替えるファン台数をかなり細やかに制御できるが、台数が少ない場合は厳密な風速ゼロ制御は不可能である。また、台数が多くても多数の電動機を一斉に起動すると商用電源が過電流となり、遮断されるので、小分けして起動しなくてはならないという制約があり、風速ゼロ制御に時間がかかってしまう。
それに比しインバータ駆動の場合は、速やかに逆転することも、一斉起動することも可能であり、かつ空気力学的に計算された最適の回転数に制御することで、風速をゼロに制御できる。しかも、台数制御で最も困難な場合であるところの、多数の電動機を一斉に制動し逆転する過程において、電源電流は常に定格値以下に抑えることが容易であり、速やかな風速ゼロ制御を実現し避難者が煙に追いかけられることを防ぐことができる。
そこで、長距離トンネルにおいてジェットファンをインバータ制御で駆動することが考えられるが、長距離トンネルのジェットファンのインバータ制御による駆動を想定する場合、以下の問題があり、インバータ制御による駆動はまだ実用化されてはいない。
【0011】
第1の原因は、インバータの出力電圧のように急峻なdv/dtのPWM変調波を長距離伝送する場合、そのサージ電圧が増大するという問題である。長距離トンネルでは、電気室からジェットファンまでの距離は、数百mから1000mを越えることも少なくないので、長尺ケーブルを通してインバータの電力を送ることになる。インバータをジェットファンの近くに置き、電気室から商用電源を配線する方法も考えられるが、この場合は、排気ガスなどで周囲環境が悪く、インバータを強制空冷すると、故障の原因になり得ること、またインバータの制御信号の長距離配線を要すること等の欠点があるのでトンネル出入り口近くにある電気室にまとめて置く案が主流となるものと考えられる。このように、インバータを置く電気室からジェットファンまでの距離が数百mから1000m以上と長距離になると、その間を接続する長尺ケーブルがインバータの高いdv/dtのPWM変調波形に対して分布定数回路として働いてしまい、インバータのスイッチングサージがインバータと電動機の間でインピーダンスが不整合なため反射を繰り返し電動機端子ではインバータ端子より2倍程度に大きくなってしまう。400v系電動機用インバータの直流電圧は600v程度であるので、電動機端子におけるスイッチングサージの波高値は1000v以上となる。400v系(定格電圧が400v、440v、460vなど)の電動機は絶縁耐力に余裕がないため、1000vを超える程度のスイッチングサージが電機子巻線に印加されると、dv/dtの大きなスイッチングサージは、巻線の全てのターンに対して均等には印加されず、端子の次の1、2ターンに集中的に印加されてしまい、微少なコロナを生じて劣化が進行し、絶縁破壊に到るおそれがある。また、高周波の同相電圧が電機子に印加されると、軸受けに有害な電流が流れ、ベアリングを劣化させることも知られている。即ち、dv/dtが急峻でかつピーク値の大きなスイッチングサージが電動機端子に印加されないような工夫が必要となる。
【0012】
第2の原因は、EMI問題である。IGBTなどの高速スイッチングデバイスを用いて数kHzから20kHz程度のスイッチングで出力の基本波電圧と周波数を制御するVVVFインバータは、その出力配線及び周辺の空間に広い周波数範囲(30MHz〜300MHz)の有害なEMI電磁障害を出す。トンネルには空気分析機器、煙霧透過率計、断面風速計、見通し測定機器、交通渋滞や事故車の観測機器、火災検知器、通信機器など多くの電子機器が設置されている。600v程度の急峻なdv/dtのPWM波形が長尺ケーブルに給電されると、それは空間に電波障害を出し、また電磁結合で近くの信号線にノイズを与え、さらにケーブルの浮遊容量を通して対地にノイズ電流を流す結果、電子機器類にEMI障害が及ぶ可能性が極めて高いと懸念されている。
【0013】
第3の原因は、商用電源に設けられた漏電ブレーカーがインバータからケーブルを通し対地に流れる同相電流で誤動作し、電源が遮断される問題である。漏電ブレーカーを設ける目的は、インバータ、長尺ケーブル、電動機などの絶縁に不具合が生じ、地絡電流が流れたことを検出し、防止することである。
長尺ケーブルの対地浮遊容量に流れる同相電流の原因は、交流/直流変換器(整流器またはPWMコンバータ)およびインバータの出力電圧に存在する同相電圧である。三相ブリッジ整流器は6f=360Hz(60Hz系の場合)の同相電圧を発生する。直流電源にPWMコンバータを用いる場合はそのスイッチング周波数の同相電圧がある。電動機駆動用VVVFインバータの出力には主としてスイッチング周波数の同相電圧がある。さらに変調方式によっては、3f成分、即ち駆動周波数の3倍の同相電圧がある場合もある。
【0014】
これら整流回路とインバータの同相電圧は直列に加算され、電源の仮想中性点とインバータの出力端子の間に現れる。それがそのまま長尺ケーブルに与えられるとケーブルの各相電線と対地間の静電容量Cに同相電流i=C(dv/dt)が流れる。インバータの出力電圧は、急峻なdv/dt(例えばIGBTインバータでは3000v/μsec程度)でかつ数kHzから20kHzのPWM波形の同相電圧であるため、スイッチングのたびに流れる電流i=C(dv/dt)は極めて大きくなる。この同相電流は、商用電源を環流するので、設備の絶縁に問題がなくても誤動作するのである。
高周波数帯域の感度を鈍感に設計したインバータ用漏電リレーが市販されているが、ケーブル長が長尺になると、これでも誤動作してしまうことが経験上知られている。即ち、漏電ブレーカーがインバータのPWM波形による同相電流で誤動作せず、絶縁不良の場合のみに動作するようなシステム全体の回路設計が必要である。
【0015】
上記のような様々な問題があり、それらを解決することは困難であるため、数百mから1000m程度の長尺ケーブルを介してジェットファンをインバータ駆動することは実用されていないのが現状である。
【0016】
本発明は、上記問題点に鑑み、200mを超える長尺ケーブルを介したジェットファン駆動を実現するとともに、インバータ出力電圧の急峻なdv/dtによる電動機巻線のコロナ劣化の解決、インバータと電動機間の長尺ケーブルが周囲に及ぼす高周波数帯のEMI問題の解決、長尺ケーブルの浮遊容量と対地の間に流れる同相電流による商用電源側の漏電ブレーカーの誤動作の解消を可能とするジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置は、三相商用電源入力を交流から直流に変換する交流/直流変換器と、前記直流を可変周波数・可変電圧の三相交流に変換するインバータ回路とを備えたインバータ装置により道路トンネルのジェットファン用誘導電動機をインバータ駆動する可変速駆動装置において、前記インバータ装置の三相出力端子に対して直列に同相リアクトルと交流リアクトルとを接続し、前記交流リアクトルの後に並列に第1のコンデンサ回路を接続し、前記第1のコンデンサ回路の端子電圧をケーブルを通して前記ジェットファン用誘導電動機に供給するとともに、前記第1のコンデンサ回路の回路構成を複数のコンデンサをスター接続したものとし、当該スター接続の中性点を、前記インバータ装置の交流/直流変換器に設けた中性点か、前記三相商用電源の後に設けた電源トランスの二次側に設けた中性点か、前記三相商用電源に設けた中性点のいずれかの中性点に接続したことを特徴とする道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置である。
ここで、前記交流リアクトルの後に並列に第1のコンデンサ回路をスター接続した回路は、低域濾波型の正弦波化フィルタを構成していると見ることができる。つまり、この第1のコンデンサ回路の端子電圧は、正弦波化フィルタの出力電圧となっている。本特許においてこの正弦波化フィルタを単にLCフィルタと呼ぶこともある。
上記構成により電動機の相間電圧は正弦波状となり絶縁劣化の問題が解決し、さらにケーブル入り口端子の同相電圧を低く抑えることが出来、EMI障害が軽減されると共に漏電ブレーカーの誤作動がなくなる。正弦波化フィルタと同相リアクトルに流れる高周波電流が少なくなるのでこれらが小型にでき、損失や騒音が低減できる。
【0018】
ここで、上記構成において、前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先として、複数通りの構成がある。
第1の構成は、前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先を前記インバータ装置の交流/直流変換器に設けた中性点とした構成であり、略同容量の2つのコンデンサを直列接続した第2のコンデンサ回路の両端端子を前記インバータ装置の交流/直流変換器の出力端子に対して並列接続して形成して当該第2のコンデンサ回路の中性点を前記交流/直流変換器の中性点とした構成である。
第2の構成は、前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先を前記電源トランスの二次側に設けた中性点とした構成であり、複数のコンデンサをスター接続して形成した第3のコンデンサ回路を前記三相商用電源の三相端子に対して並列接続し、前記第3のコンデンサ回路のスター接続の中性点を前記電源トランスの二次側に設けた中性点とした構成である。
第3の構成は、前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先を前記三相商用電源に設けた中性点とした構成であり、前記商用電源と前記交流/直流変換器との間に二次側がスター結線となっている電源変圧器と、前記電源変圧器の二次側に漏電検出のための同相電流検出用CTを備え、前記電源変圧器のスター結線の中性点を前記三相商用電源に設けた中性点とし、前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点を前記同相電流検出用CTを通して前記電源変圧器のスター結線の中性点に接続することにより、前記商用電源から前記インバータ装置側に流れる同相電流を相殺し、前記インバータ装置出力に設けたフィルタに流れる前記同相電流により漏電遮断器が誤動作しないようにした構成である。
【0019】
これらの構成において、インバータ装置の出力側に設ける交流リアクトルとしては、三脚鉄心ではなく、三個の単相リアクトルとする構成や五脚鉄心とする構成が好ましい。
その理由は以下の通りである。ケーブル長が短い通常のインバータ駆動では、インバータの出力電流に占める同相電流は極めて少ないが(定格電流の約1%以下)、長尺ケーブルを介してジェットファンをインバータ駆動する場合は、インバータの出力電流に占める同相電流が大きくなる(同相リアクトルやフィルタの条件により変動するが数%から50%前後になり得る)。ここで、出力フィルタのリアクトルとして三脚鉄芯を用いる場合、同相電流の起磁力により生じた磁束が周囲の空間に漏洩するおそれがあるため、周辺の鉄製構造物に渦電流を発生して過熱したり、電磁力による振動を生じたりする場合がある。一方、単層リアクトルや五脚鉄芯では同相電流の起磁力により生じた磁束が閉ループを形成するために周囲の空間に漏洩しないので上記のような漏れ磁束の問題が発生しない。上記理由によりインバータ装置の出力側に設ける交流リアクトルとしては、三脚鉄心ではなく、三個の単相リアクトルとする構成や五脚鉄心とする構成が好ましいと言える。
また、上記の構成におけるインバータ装置内のインバータ回路としては、3レベルインバータを適用する構成が好ましい。
3レベルインバータの方が正弦波化フィルタや同相リアクトルに流れる高周波電流が少なくなるため、インバータ装置が小型となり、損失や騒音が低減できるからである。
【発明の効果】
【0020】
上記構成により、本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置は、電動機の相間電圧をPWM波形ではなく正弦波状とすることにより絶縁劣化の問題を解決し、さらにケーブル入り口端子の同相電圧を低く抑えることができ、EMI障害が軽減されると共に漏電ブレーカーの誤作動がなくなる。
なお、インバータ回路を3レベルインバータとした場合は、正弦波化フィルタと同相リアクトルに流れる高周波電流が少なくなるのでこれらが小型にでき、損失や騒音が低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
なお、以下の各実施例の構成において、道路トンネルの入口側に設けられている構成として説明したものが出口側に設けられていても構わない。また、入口側と出口側の双方に設備等が設けられている例では、入口側の構成と出口側の構成が相互に入れ替わって逆になっても構わない。
以下の実施例の説明では、トンネルは、例えば3000m以上の長距離道路トンネルとして説明する。トンネル内は対面交通となっている例とした。つまり、トンネル内には外界から吹き込む自然風による自然換気力と、通行車両のピストン効果により生じる各車両の通行方向に生じる風圧が合成されて生じる交通風による交通換気力が生じている。ここに、本発明のトンネル換気制御システムによる機械換気力、つまり、ジェットファンの駆動による機械換気力を加えるものである。
【0022】
本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置は、三相商用電源入力をインバータ装置内の交流/直流変換器により交流から直流に変換し、その直流電力をインバータ装置内のインバータ回路により可変周波数・可変電圧の三相交流に変換し、その三相出力端子に直列に同相リアクトルと交流リアクトルを設け、その交流リアクトルの後に並列に第1のコンデンサ回路を接続した構成を備え、高周波を除去し正弦波に近い状態に平滑化された線間電圧を長尺ケーブルの入り口端子に供給するものである。ジェットファンはこの長尺ケーブルを介してインバータ駆動される。この第1のコンデンサ回路は複数のコンデンサがスター接続されたものであり、この第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点を、インバータ装置の交流/直流変換器に設けた中性点か、三相商用電源の後に設けた電源トランスの二次側に設けた中性点か、三相商用電源に設けた中性点のいずれかの中性点に接続することにより同相電流を電源側に環流させ、長尺ケーブルの入力端子の同相電圧を下げるものである。
本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置の構成例として、以下、5つの実施例を示す。
【実施例1】
【0023】
実施例1は、第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先をインバータ装置の交流/直流変換器に設けた中性点とした構成例である。
図1は、実施例1にかかるジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置100を示す図である。図1には可変速駆動装置100に加え、商用電源200、長尺ケーブル300、ジェットファン400が併せて示されている。
【0024】
可変速駆動装置100の各構成の説明の前に、先に、商用電源200、長尺ケーブル300、ジェットファン400について触れておく。
【0025】
まず、商用電源200は、受電設備としては特に限定されないが、長距離道路トンネル内にはジェットファン400のみならず多数の照明設備や防災設備などがあり大容量の電力を必要とするため、電気事業者から直接、特別高圧ないしは高圧で受電し、施設内の装置向けに変圧して電気を供給するものである。後述するように、商用電源200の電圧は、電源変圧器110により降圧され、電源変圧器110の二次電圧は400v、440v、460v等に降圧されている。
【0026】
次に、長尺ケーブル300について述べる。長距離道路トンネルでの利用を前提としており、長尺ケーブル300は重要な要素である。長尺ケーブル300として、CVケーブル「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」が使われることが多い。CVケーブルとしては単芯の架橋ポリエチレン絶縁電線にPVC(ビニル)の外皮保護(シース)を施した単芯ケーブルと多芯(2〜4)の絶縁電線を円形圧縮して仕上げて、間隙を絶縁物の介在物で充填し、一体でシースを施した多芯ケーブルがある。(2芯はCV−2C、3芯はCV−3Cと記述する。)いずれも、シースの内側に電磁遮蔽を施した、シールドケーブルもある。他に、単芯CVケーブルを3本撚りあわせたCVT(トリプレックス)がある。
【0027】
ジェットファンの配線工事には一般的に次のような選択がなされる。モータ用動力配線にはCV−3Cが使用されることが多いが、これは機能的にはCVTであってもよい。
割高であることからCVTが使用されることは少ないが、CV−3Cと比べて、軽量で曲げやすいことから、工事の容易さで選択されることがある。モータ用接地電線として、前項のケーブルに14sq(14平方ミリ)程度のIV電線(インドアPVC)が並列に敷設されることが殆どである。少ないケースではあるが、3Cシールドケーブルが使用されることもある。これにもIV電線の接地線が併設される。
【0028】
実施例1の図1では、3芯シールドケーブルに接地用IV電線を付設する方法を用いている。ケーブルは、3芯のシールドケーブルが最も高価でCV−3Cが最も安価である。充分なEMI対策を行えば、最も安価なシールドなしのCV−3Cを適用できると期待できる。ケーブルは、芯線のサイズによって許容電流が決まっていて、2sqから325sqまである。サイズの決定はモータ定格電流以上の許容電流値を持つケーブルであって、定格電流と配線の距離によって決まる電圧降下を一定値以下(例として、定格電圧の6%)にするようなサイズに決められる。
なお、図1の長尺ケーブル300は3芯シールドケーブルに接地線を併設しているものであるが、他の形式のケーブルでもよい。
【0029】
ジェットファン400は、トンネル内の空気を換気する機器であり、誘導モータが組み込まれたものであり、本発明では、インバータ駆動により運転されるジェットファンである。本発明ではジェットファンの構造などは特に限定されず、インバータ駆動により運転できるものであれば多様なジェットファンを適用することができる。ジェットファン400は、長距離道路トンネル内に適切な間隔で配設されている。トンネルが長距離になれば多数のジェットファン400が配設されることもあり得る。
【0030】
次に、本発明の可変速駆動装置100の各構成要素について詳しく説明する。
可変速駆動装置100は、電源変圧器110、漏電検出リレー付きブレーカー(ZCT)120、交流/直流変換器131及びインバータ回路132を備えたインバータ装置130、同相リアクトル140、交流リアクトル151およびスター接続された第1のコンデンサ回路152を備えたLCフィルタ150の各装置を備えた構成となっている。
【0031】
電源変圧器110は、いわゆるΔ/スター結線で二次側の中性点は接地している。商用電源200の電圧は高圧であるが、電源変圧器110の二次電圧は400v、440v、460v等に降圧されている。電源変圧器110の出力は漏電検出リレー付きブレーカー120を経由してインバータ装置130に供給されている。
【0032】
漏電検出リレー付きブレーカー120は、後段のインバータ、長尺ケーブル、電動機などの絶縁に不具合が生じ、地絡電流が流れた場合を検出し、ブレーカーとして電流を遮断して装置の各部分の破壊を防止するものである。
【0033】
インバータ装置130は、交流/直流変換器131及びインバータ回路132を備えており、交流/直流変換器131によって一旦交流を直流に変換し、さらに、インバータ回路132により所望の周波数の交流を発生する装置である。
【0034】
交流/直流変換器131及びインバータ回路132には様々な構成がある。
まず、交流/直流変換器131の回路例を幾つか示す。
図2は3相ブリッジダイオード整流器の例である。この3相ブリッジダイオード整流器の出力をインバータ回路132の直流電源とする。図2において、電源変圧器110は他の設備と共用の場合もある。なお、図2において、漏電検出リレー付きブレーカー120の図示は省略している。図2の構成例はコンデンサ入力形であるので、電源電流波形を改善するため3%から5%程度のリアクトルLを設けている。なお、図示を省略するが、π形などのEMIフィルタをLと直列に設ける場合もある。抵抗Ra、Rbは説明の便宜上描いた同相電圧観測用のものであるが、例えばRa=Rb=10kΩとして、変圧器の2次中性点N0とN1の間をシンクロスコープで観測すれば、整流回路の発生する6f=360Hzの同相電圧が観測できる。
【0035】
図3は12相整流回路と呼ばれるダイオード整流器131aの例である。図3の例では直流電圧の脈動が12f=720Hzとなり、その振幅も小さくなる。しかも電源変圧器の1次電流には第5,第7高調波を含まないという利点がある。この12相整流回路ダイオード整流器131bの出力をインバータ回路132の直流電源とする。図3では、電源変圧器は専用となるので、その漏れインダクタンスを3%から5%程度に設計することで、独立したリアクトルLを省略している。この回路は電源変圧器の2次巻き線が2つあるのでどこを接地するかは設計思想によるが、例えばREC1とREC2の接続点を仮想中性点とすれば、そことN1との間には12fの同相電圧が観測できる。
上記に述べた図2、図3の回路では電動機の回生制動を行う場合、直流回路に抵抗+チョッパを設け、そのエネルギーを吸収する。
【0036】
次に、図4はPWMコンバータまたは高力率コンバータと呼ばれる直流電源の例である。インバータはDCからAC、または ACからDCの双方向の電力を扱い得るので、それを利用して交流/直流変換器として利用する方式である。交流電流は力率=0.95以上の正弦波に制御できるので、高力率コンバータとも呼ばれる。この回路の利点は電源電流に5、7、11、13次など低次の高調波を出さないこと、力率が0.95以上であること、電動機の回生制動時にその電力を商用に回生できるので、強力なブレーキが可能なことである。RaとRbは便宜上描いた同相電圧観測用のもので、N0とN1の間でPWMコンバータの同相電圧を観測できる。
【0037】
本発明の可変速駆動装置100では、交流/直流変換器131として、図2の交流/直流変換器131a、図3の交流/直流変換器131b、図4の交流/直流変換器131cのいずれのものであっても適用することができる。
【0038】
次に、インバータ回路132の回路例を幾つか示す。
図5は最もよく使われる3相ブリッジインバータで、2レベルインバータとも言われる。
直流回路電圧をEdとした場合、相電圧はEd/2、−Ed/2の2レベルである。20kwから50kw程度のジェットファン駆動にはIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)が適しているので、以下全てのインバータはIGBTを用いた例で描いている。
【0039】
図6は3レベルインバータ(NPCインバータとも言う)のTYPE1である。この回路は同じ定格のIGBTを用いた場合、2レベルインバータに比べて2倍の直流電圧に対応でき、出力電圧も2倍になる。インバータの相電圧は、Ed/2、0、−Ed/2の3レベルとなるので、2レベルインバータに比し、高調波の少ない優れた出力電圧波形が得られる。
【0040】
図7は3レベルインバータのTYPE2である。この回路は2レベルインバータと同じ直流電圧にしか対応できないという欠点のため、ほとんど実用された例がないが、出力電圧はTYPE1と同様の3レベルとなる。
【0041】
本発明の可変速駆動装置100では、インバータ回路132として、図5のインバータ回路132a、図6のインバータ回路132b、図7のインバータ回路132cのいずれのものであっても適用することができる。
つまり、本実施例1のインバータ装置130の装置構成は、図2、図3、図4のいずれかの交流/直流変換器131と、図5、図6、図7のいずれかのインバータ132を組み合わせることにより構成できる。
【0042】
一般的な電動機の駆動制御で最もよく使われるのは、図2の3相ダイオードブリッジタイプの交流/直流変換器131aと、図5の2レベルインバータタイプのインバータ回路132aとの組み合わせであるが、本実施例1のインバータ装置130の装置構成は、例えば、図8で示したように、図2の3相ダイオードブリッジタイプの交流/直流変換器131aと、図6の3レベルインバータ132bのTYPE1または図7の3レベルインバータ132cのTYPE2の組み合わせとする。インバータ132は3レベルインバータを用いるのでその直流回路には中性点N1を作るコンデンサがあるため追加する必要はないが、図8では便宜上、第2のコンデンサ回路170として直列接続した略同容量の2つのコンデンサCa、Cbを描き出している。また、図8には制動時の回生電力を吸収する「チョッパ+抵抗」を追加している。さらに漏電時の同相電流を検出し電源のブレーカーを遮断する漏電検出リレー付きブレーカー120を設けている。
【0043】
図9は、図8を一般化し、各種の直流電源(交流/直流変換器、コンバータ)とインバータ回路を組み合わせたものを示したものである。ここでは漏電ブレーカーと「チョッパ+抵抗」は便宜上図示を省略しているが、以後それらが主題でない場合は同様に省略する。また便宜上、第2のコンデンサ回路170として直流回路に略同容量のコンデンサCa、Cbを設け直流回路の中性点を作成しているが、3レベルインバータの場合はその中性点作成のコンデンサを利用できる。
【0044】
次に、図1に戻り、インバータ装置130より後段に配置された同相リアクトル140、LCフィルタ150について説明する。
インバータ装置130の出力は同相リアクトル140を通した後、LCフィルタ150に供給される。
【0045】
同相リアクトル140は、主としてインバータ装置130のスイッチング周波数成分の同相電圧を低減するものであり、負荷に流れる同相電流を抑えるものである。
【0046】
LCフィルタ150は、交流リアクトル151およびスター接続された第1のコンデンサ回路152を備えたものであり、インバータ装置130出力に含まれる急峻なdv/dt(3000v/μsec程度)のPWM変調された線間電圧の高周波成分を除去し、インバータ装置130出力を正弦波に近い波形とするものである。例えば、実施例1ではフィルタの経済設計のためL=5%、C=2%と小さくし、LCの振動を減衰係数0.5になるような抵抗Rでダンピングする構成としている。小さなフィルタではキャリア脈動がかなり残るが、線間電圧のdv/dtはPWM波形に比べて1/1000程度になっているので電動機の絶縁劣化や軸電流のおそれはない。
なお、第1のコンデンサ回路152の構成として、図1の構成例では、コンデンサCの他にダンピング抵抗Rを含んだ構成となっている。なお、図1に示した第1のコンデンサ回路152の構成では、コンデンサCの後にダンピング抵抗Rが接続されているが、RとCの順序を逆にする構成も可能であることは言うまでもない。
【0047】
以上のように構成された本発明の可変速駆動装置100において、インバータ回路132として2レベルインバータと3レベルインバータのいずれも利用可能であるが、同相電圧の低減に関して、3レベルインバータの出力線間電圧と2レベルインバータの出力線間電圧についての優劣を比較・検証してみる。
【0048】
図10は、50kWジェットファン用インバータのシミュレイションの回路を示す図である。図10に示すように、比較ではいずれのインバータも出力電圧400vに対応して直流電圧は600vとしている。変調キャリアは5kHzである。LCフィルタはリアクトルが5%、コンデンサが2%、共振周波数は1897Hz、抵抗Rを設け減衰係数は0.5にダンピングしている。このリアクトルは三相を一体化した三脚リアクトルではなく、単相リアクトルを3個用いている。このようにすれば同相電流に対し同相リアクトルとしても機能する。三脚リアクトルでは同相リアクトルの機能は無く、大きな漏れ磁束が周囲に漏洩し障害を出す。同相リアクトルは2.5%としている。従って理論上の有効同相リアクトルは2.5+5/3=4.17%である。抵抗Rkは中性点電流が流れすぎる場合に設けるが、今回の条件ではその傾向はないためRk=R/10としている。
【0049】
なお、零相電圧測定用抵抗160は、三相回路の同相電圧を観測するための抵抗回路である。抵抗は10kΩ程度とし、端子U,V,Wを同相電圧の測定をしたい箇所、例えばインバータの出力端子、ケーブルの入り口、電動機の端子などに接続し、Xと基準点の間をシンクロスコープなどで測定器すれば、同相電圧が観測できる。従来技術ではインバータの出力線間電圧ばかりが検討され、同相電圧はあまり注目されて来なかったが、本発明では同相電圧も重点的に考察し、有効な解決策を考案している。
【0050】
まず、2レベルインバータの出力電圧を検証する。
図11は2レベルインバータの0から60Hzに到る波形の例である。図12は図11の一部を見やすいように拡大した拡大図である。変調法は三角波比較変調である。実際のシミュレイションの条件ではインバータ装置130のスイッチング周波数は5kHzであるが、波形の傾向を見やすくするために図11および図12においてスイッチング周波数を2kHz相当として図示している。
【0051】
図11および図12いずれも、上から電圧指令、U−V線間電圧、直流回路の中点を基準としたU相電圧、同相電圧、同相電圧の実効値である。これを見れば同相電圧はインバータ装置130のスイッチング周波数の成分を含み、振幅は±300vの階段状の矩形波で、その実効値は低周波数のとき300v、60Hzあたりでは約150vである。低周波数に300vrmsと大きな値を示すので、始動時に漏洩電流が多く漏電ブレーカーの誤作動を招く原因になり得ることが分かる。
【0052】
図13は、LCフィルタのUV線間電圧波形の60Hz近くを拡大したものである。5kHzの電圧脈動は300vp-p程度あり、後で示す3レベルインバータの2倍程度となっている。
【0053】
図14は、LCフィルタを通すことにより減衰して正弦波状になった同相電圧波形を示す図である。低速時は波高値(0−peak)80v=57vrms程度で全域にわたり後で示す3レベルインバータの同相電圧の2倍以上である。
【0054】
次に、3レベルインバータの出力電圧を検証した。
図15は3レベルインバータの0から60Hzに到る波形の例である。図16は図15の一部を見やすいように拡大した拡大図である。変調は上下二本の三角波を用いた三角波比較変調である。これを見れば同相電圧は1サイクルに3回上、下に100vシフトする動きを示すが、その振幅は±150vと2レベルインバータの半分であることが判る。
【0055】
同相電圧の波形は図16に示すように複雑な階段波である。その実効値は1サイクルに3回のうねりを示しつつ大きくなり、0.06秒の36Hzあたりで最大値の約120vとなっているが、60Hzでは80vに減少している。
【0056】
図17は、LCフィルタのUV線間電圧波形の60Hz近くを拡大したものである。5kHzの電圧脈動は150vp-p程度であり、2レベルインバータの1/2程度となっている。
【0057】
図18は、LCフィルタを通すことにより減衰した同相電圧波形を示す図である。最大でも波高値(0−peak)は40v=28vrms程度と全域にわたり2レベルインバータの同相電圧の1/2以下である。低周波数時は極めて少ないので始動時に漏電ブレーカーが誤動作するおそれはない。
【0058】
図19は、LCフィルタの後の同相電圧の低減について示す図である。周波数は60Hz近辺のものとしている。下がインバータ出口の同相電圧であり、上がLCフィルタの後の同相電圧である。図19に示すように、LCフィルタを介することにより、ケーブルの入り口では同相電圧が略正弦波状で波高値(0−peak)は40v=28vrmsに低減されており、2レベルインバータの場合の同相電圧に比べて半分に低減されている。
【0059】
図20は、3レベルインバータにおけるダンピング抵抗の電流と3本の損失の合計を示す図である。図20に示すように最大でも400W程度である。2レベルインバータにおけるダンピング抵抗の電流と3本の損失の合計を示す図は省略するが、1200W程度であった。つまり、3レベルインバータのダンピング抵抗の損失は、2レベルインバータのダンピング抵抗の損失の3分の1程度に低減されていることが分かる。
つまり、ダンピング抵抗の損失は後述する図20に示すように50kW ジェットファン用で最大400Wで1%以下と問題のない損失に抑えられている。このような小さなLCフィルタではキャリア脈動がかなり残るが図17に示した線間電圧を調べると5kHz成分は実効値で50v程度しかなく、そのdv/dtは2v/μsec程度であり、PWM波形の1/1000程度になっているので電動機の絶縁劣化や軸電流のおそれは解決される。
【0060】
以上の検討から、3レベルインバータは出力線間電圧が優れているだけでなく、同相電圧が少ないことが判る。これに着目し、本実施例では図8に示すように、3レベルインバータを採用した構成が好ましい。これによりケーブル入り口端子の同相電圧を低く抑えることができ、EMI障害が軽減されると共に漏電ブレーカーの誤作動がなくなる。さらに、正弦波化フィルタと同相リアクトルに流れる高周波電流が少なくなるのでこれらが小型にでき、損失や騒音が低減できる。
【0061】
次に、本発明の可変速駆動装置100の重要なポイントとして、スター接続した第1のコンデンサ回路152のスターの中点をインバータの直流電源の中性点として設けた第2のコンデンサ回路170の中性点N1に接続するメリットについて説明する。
図1に示した実施例1の可変速駆動装置100の構成において、第1のコンデンサ回路152のスターの中点をインバータ装置130の直流電源の中性点N1に接続することにより、同相電圧をより一層低減することができる。
【0062】
同相電圧は、交流/直流変換器131が出す6f=360Hz成分とインバータ回路132が出すスイッチング周波数成分であり、それらが交流電源の仮想中性点を元に直列に加算された形でインバータ装置130の出力に現れるものである。
【0063】
ここで、直流電源である交流/直流変換器131の同相成分はインバータ装置130の同相電圧全体の10%以下と少なく周波数も低いが、一方、インバータ回路132の同相成分はインバータ装置130の同相電圧全体の90%以上と大きいため、インバータ回路132の同相成分だけを環流させても同相電圧を効果的に低減できる。本実施例1は、このことを考慮した実施例である。そのためLCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152の中性点は直流電源である交流/直流変換器131後の中性点として第2のコンデンサ回路170の中性点N1に接続している。これにより同相電流が直流電源である交流/直流変換器131の出力に環流されるので、ケーブル300端子の同相電圧は抑えられた小さな値となる。
【0064】
図18および図19で示したように、同相電圧は5kHz成分の波高値(0−peak)が40v=28.2vrmsであるが、これによるケーブル300の浮遊コンデンサ(1000mケーブルで約0.1μF)の充電電流は0.088Aと充分少ない値に抑制されるので、漏電遮断器の誤動作は回避できる。
もし、図1のように、第1のコンデンサ回路152のスター接続の中性点をインバータ装置130の直流電源である交流/直流変換器131の中性点N1に接続せず、LCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152を浮かせたままであれば線間電圧が改善されるだけで同相電圧は低減されず改善されない。
【0065】
なお、図1の構成例では、3芯シールドケーブルに併設した電動機の接地線はケーブル入口で接地し、シールドは直流電源である交流/直流変換器131の中性点N1にもどしているので、シールドに流れるスイッチング周波数の同相電流は漏電検出リレーに感知されない。しかし、これを対地に接地すべきとの設計思想もあり、その場合はこの電流は漏電検出リレーが感知することになる。そのためケーブル300が2000mなどの長尺ケーブルの場合は漏電検出リレーの感度の周波数特性を調べ、必要に応じて上記の同相リアクトル140を増やすことにより対処できる。
【0066】
なお、上記のLCフィルタ150として、L=10から15%、C=20から40%とすれば、出力電圧をほぼ完全な正弦波にすることも可能である。しかしその場合、抵抗によるダンピングでは損失が大きくなるので、抵抗を設けず制御によりフィルタの振動を抑える方式を採用する必要がある。制御方式としては図21に示す「電流マイナーループ付き電圧制御」などを適用できるが、この制御方式を採用するためにはセンサも必要となり装置も複雑・高価となる。そのため、上記実施例1の構成で採用している2%程度の小さなコンデンサで済ませる方式は利点が大きいと言える。
【実施例2】
【0067】
実施例2にかかる本発明の可変速駆動装置100aの構成例を示す。
実施例2にかかる本発明の可変速駆動装置100aの構成例は、LCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152のスター接続の中性点を、三相商用電源の後に設けた電源トランスの二次側に設けた第3のコンデンサ回路171のスター接続の中性点に帰還させるものである。
【0068】
図22は、実施例2にかかる可変速駆動装置100aの構成例を示す図である。図22には可変速駆動装置100aに加え、商用電源200、長尺ケーブル300、ジェットファン400が併せて示されており、また、電源変圧器110、漏電検出リレー付きブレーカー(ZCT)120、インバータ装置130、同相リアクトル140、交流リアクトル151およびスター接続された第1のコンデンサ回路152を備えたLCフィルタ150の各装置を備えた構成となっている。
この実施例2にかかる可変速駆動装置100aの各構成要素の説明においては、実施例1にかかる可変速駆動装置100の各構成要素と同様のものについては説明を省略する。
【0069】
実施例2にかかる可変速駆動装置100aの各構成要素は、実施例1の構成要素と大部分同じであるが、LCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152の中性点を電源トランスの二次側に設けた第3のコンデンサ回路171のスター接続の中性点に接続した構成となっている。この第3のコンデンサ回路171は出力側のコンデンサの数倍以上の容量のものを適用し、安定した中性点を作成する。これによりインバータ回路132だけでなく直流電源である交流/直流変換器131の同相電流も環流させている。実施例1ではケーブル入り口端子に交流/直流変換器131の同相電圧が現れるが、本実施例2の構成では交流/直流変換器131の同相電流も環流されるため、ケーブル300入口の同相電圧が大幅に減少する利点がある。
【0070】
なお、長尺ケーブル300はシールド無しの3芯ケーブルを用い、その併設した電動機の接地線はケーブル入口側で接地している。
また、第1のコンデンサ回路152の回路構成として、図1に示した構成例では、コンデンサCの後にダンピング抵抗Rが接続された例であったが、本実施例2の図22に示した構成例では、抵抗Rが先にありその後にコンデンサCが接続された例となっている。このようにCとRの順序が入れ替わっても第1のコンデンサ回路152の働きとしては同様である。
上記に説明した以外の構成要素の動作は、実施例1に示した動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【実施例3】
【0071】
実施例3にかかる本発明の可変速駆動装置100bの構成例を示す。
実施例3にかかる本発明の可変速駆動装置100bの構成例は、LCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152のスター接続の中性点を、電源変圧器110bの二次側に設けた中性点N3に帰還させるものである。
【0072】
図23は、実施例3にかかる可変速駆動装置100bの構成例を示す図である。図23には可変速駆動装置100bに加え、商用電源200、長尺ケーブル300、ジェットファン400が併せて示されており、また、電源変圧器110b、漏電検出リレー付きブレーカー(ZCT)120、インバータ装置130、同相リアクトル140、交流リアクトル151およびスター接続された第1のコンデンサ回路152を備えたLCフィルタ150の各装置を備えた構成となっている。
この実施例3にかかる可変速駆動装置100bの各構成要素の説明においては、実施例1にかかる可変速駆動装置100の各構成要素と同様のものについては説明を省略する。
【0073】
実施例3にかかる可変速駆動装置100bの各構成要素は、実施例1の構成要素と大部分同じであるが、LCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152の中性点を電源変圧器110bの二次側中性点に接続している。その際、漏電検出リレー付きブレーカZCT120を通し、交流/直流変換器131の電源線に流れる同相電流を打ち消すようにしている。このようにすれば交流/直流変換器131およびインバータ回路132が加算された同相電圧によりLCフィルタから環流する同相電流を漏電検出リレーが感知せず、ケーブル300やジェットファン400の絶縁不良による同相電流は検出されることになる。なお、この図23ではシールド付き3芯ケーブルのシールドを対地に接地しているので、ケーブル300入口の残存同相電圧による同相電流は常に検知されるが、上記に述べたようにその値は充分低くなっている。
上記に説明した以外の構成要素の動作は、実施例1に示した動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【実施例4】
【0074】
実施例4にかかる本発明の可変速駆動装置100cの構成例を示す。
実施例4にかかる本発明の可変速駆動装置100cの構成例は、交流/直流変換器131としてPWMコンバータを用いた構成例である。
【0075】
図24は、実施例4にかかる可変速駆動装置100cの構成例を示す図である。図24に示した可変速駆動装置100cは、電源変圧器110、漏電検出リレー付きブレーカー(ZCT)120、インバータ装置130c、同相リアクトル140、交流リアクトル151およびスター接続された第1のコンデンサ回路152を備えたLCフィルタ150の各装置を備えた構成となっているが、実施例2に示した図22の可変速駆動装置100aと異なる構成は、直流電源にPWMコンバータを用いている点であり、その他は実施例2の図22と同じである。
【0076】
この実施例4にかかる可変速駆動装置100cの構成は、受電容量に占める複数台のジェットファン400の合計容量が大きく、三相整流器では高調波が大きくなり過ぎる場合に適用される。PWMコンバータ131cもVVVFインバータ132と同じ3レベルインバータにすれば同相電圧が少なくなるため有利である。しかし、これは80%から100%程度の変調度の範囲で使うので、そのあたりの変調であれば2レベルインバータでも同相電圧が低いため適用することは可能である。LCフィルタ150の第1のコンデンサ回路152の中性点を電源トランスの二次側に設けた第3のコンデンサ回路171のスター接続の中性点に接続している。
【0077】
図24に示した構成により、二つのインバータの発生する同相電圧は加算されてLCフィルタ150に印加され、電源トランスの二次側に設けた第3のコンデンサ回路171に環流する。PWMコンバータ側に同相リアクトルを設けていないが、VVVFインバータの出力側の同相リアクトルが両者に対し効くので2箇所に設ける必要はないが、PWMコンバータ側にも同相リアクトルを設けておけば良いことは言うまでもない。
なお、図24に示すように、交流/直流変換器131としてPWMコンバータを使うと、直流電圧は電源電圧の波高値より高くなるので、交流電源が電圧降下しても直流電圧は600v程度の値であればキープできる。これによりケーブル300の電圧降下が大きくてもジェットファン400の電動機端子において60Hzにて400vの定格運転を保証できることも利点である。
【実施例5】
【0078】
実施例5にかかる本発明の可変速駆動装置100dの構成例を示す。
実施例5にかかる本発明の可変速駆動装置100dの構成例は、実施例4で示した可変速駆動装置100cの構成において、1台のPWMコンバータ131dを2台のVVVFインバータ132d1およびVVVFインバータ132d2の電源とし、さらに、それぞれのVVVFインバータ132d1およびVVVFインバータ132d2がそれぞれ2台のジェットファンを駆動せしめる構成(つまり、VVVFインバータ132d1が2台のジェットファン400d11とジェットファン400d12を駆動せしめ、VVVFインバータ132d2が2台のジェットファン400d21とジェットファン400d22を駆動せしめる構成)となっている。
【0079】
図25は、実施例5にかかる可変速駆動装置100dの構成例に示す図である。図25に示した可変速駆動装置100dは、電源変圧器110、インバータ装置130d、LCフィルタ150dの各装置を図示した構成となっているが、漏電検出リレー付きブレーカー(ZCT)120、同相リアクトル140の図示は省略している。
実施例4の図24に示した可変速駆動装置100cと異なる構成は、1台のPWMコンバータ131dを2台のVVVFインバータ132d1およびVVVFインバータ132d2の電源とした点と、それぞれのVVVFインバータ132d1およびVVVFインバータ132d2の後段にそれぞれLCフィルタ150d1およびLCフィルタ150d2を設けた点であり、その他は実施例4の図24と同じである。
【0080】
PWMコンバータ131dは比較的高価なため、複数のVVVFインバータ132d1およびVVVFインバータ132d2で共用する方式が経済的である。図示していないが、2台のLCフィルタ150d1およびLCフィルタ150d2の中性点はPWMコンバータ131dの交流電源側にもどし同相電流を環流させている。
ジェットファン400はトンネル内で左右2台並べて設置されることが多いので、長尺ケーブル300を共用することができ、その点でも経済的である。
【0081】
以上、本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置の構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置は、長距離道路トンネル用の換気制御システム、特に、長距離道路トンネル内に設置した複数のジェットファンをインバータ駆動で制御する換気制御システムなどに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例1のジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置100を示す図
【図2】交流/直流変換器131の回路例として3相ブリッジダイオード整流器の例を示す図
【図3】交流/直流変換器131の回路例として12相整流回路ダイオード整流器の例を示す図
【図4】交流/直流変換器131の回路例としてPWMコンバータまたは高力率コンバータと呼ばれる直流電源の例を示す図
【図5】インバータ回路132の回路例として2レベルインバータと呼ばれる三相ブリッジインバータの例を示す図
【図6】インバータ回路132の回路例としてTYPE1の3レベルインバータの例を示す図
【図7】インバータ回路132の回路例としてTYPE2の3レベルインバータの例を示す図
【図8】インバータ装置130の装置構成として、三相ダイオードブリッジタイプの交流/直流変換器とTYPE1又はTYPE2の3レベルインバータを組み合わせた例を示す図
【図9】図8を一般化し、各種の直流電源131とインバータ回路132を組み合わせたものを示した図
【図10】50kWジェットファン用インバータのシミュレイションの回路を示す図
【図11】2レベルインバータの0から60Hzに到る波形例を示す図
【図12】図11の一部を見やすいように拡大した拡大図
【図13】LCフィルタのUV線間電圧波形の60Hz近くを拡大した図
【図14】LCフィルタを通すことにより減衰して正弦波状になった同相電圧波形を示す図
【図15】3レベルインバータの0から60Hzに到る波形例を示す図
【図16】図15の一部を見やすいように拡大した拡大図
【図17】LCフィルタのUV線間電圧波形の60Hz近くを拡大した図
【図18】LCフィルタを通すことにより減衰した同相電圧波形を示す図
【図19】LCフィルタの後の同相電圧の低減について示す図
【図20】3レベルインバータにおけるダンピング抵抗の電流と3本の損失の合計を示す図
【図21】「電流マイナーループ付き電圧制御」の処理を簡単に示す図
【図22】実施例2にかかる可変速駆動装置100aの構成例に示す図
【図23】実施例3にかかる可変速駆動装置100bの構成例に示す図
【図24】実施例4にかかる可変速駆動装置100cの構成例に示す図
【図25】実施例5にかかる可変速駆動装置100dの構成例に示す図
【図26】従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式の対面通行道路トンネルを示す図
【図27】ジェットファンの台数運転時とインバータ駆動運転時におけるジェットファンの回転数、推力、動力の関係を示す図
【符号の説明】
【0084】
100,100a,100b,100c,100d 可変速駆動装置
110,110b 電源変圧器
120 漏電検出リレー付きブレーカー
130,130a,130c,130d インバータ装置
140 同相リアクトル
150 LCフィルタ
151 交流リアクトル
152 第1のコンデンサ回路
160 零相電圧測定用抵抗
170 第2のコンデンサ回路
171 第3のコンデンサ回路
200 商用電源
300 ケーブル
400 ジェットファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相商用電源入力を交流から直流に変換する交流/直流変換器と、前記直流を可変周波数・可変電圧の三相交流に変換するインバータ回路とを備えたインバータ装置により道路トンネルのジェットファン用誘導電動機をインバータ駆動する可変速駆動装置において、
前記インバータ装置の三相出力端子に対して直列に同相リアクトルと交流リアクトルとを接続し、前記交流リアクトルの後に並列に第1のコンデンサ回路を接続し、前記第1のコンデンサ回路の端子電圧をケーブルを通して前記ジェットファン用誘導電動機に供給するとともに、前記第1のコンデンサ回路の回路構成を3組のコンデンサをスター接続したものとし、当該スター接続の中性点を、前記インバータ装置の交流/直流変換器に設けた中性点か、前記三相商用電源の後に設けた電源トランスの二次側に設けた中性点か、前記三相商用電源に設けた中性点のいずれかの中性点に接続したことを特徴とする道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。
【請求項2】
前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先を前記インバータ装置の交流/直流変換器に設けた中性点とした構成とし、
略同容量の2つのコンデンサを直列接続した第2のコンデンサ回路の両端端子を前記インバータ装置の交流/直流変換器の出力端子に対して並列接続して形成し、当該第2のコンデンサ回路の中性点を前記交流/直流変換器に設けた中性点としたことを特徴とする請求項1に記載の道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。
【請求項3】
前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先を前記電源トランスの二次側に設けた中性点とした構成とし、
3組のコンデンサをスター接続して形成した第3のコンデンサ回路を前記三相商用電源の三相端子に対して並列接続し、前記第3のコンデンサ回路のスター接続の中性点を前記電源トランスの二次側に設けた中性点としたことを特徴とする請求項1に記載の道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。
【請求項4】
前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点の接続先を前記三相商用電源に設けた中性点とした構成とし、
前記商用電源と前記交流/直流変換器との間に二次側がスター結線となっている電源変圧器と、前記電源変圧器の二次側に漏電検出のための同相電流検出用CTを備え、前記電源変圧器のスター結線の中性点を前記三相商用電源に設けた中性点とし、
前記第1のコンデンサ回路のスター接続の中性点を前記同相電流検出用CTを通して前記電源変圧器のスター結線の中性点に接続することにより、前記商用電源から前記インバータ装置側に流れる同相電流を相殺し、前記インバータ装置出力に設けたフィルタに流れる前記同相電流により漏電遮断器が誤動作しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。
【請求項5】
前記インバータ装置の出力側に設けた前記交流リアクトルが三脚鉄心ではなく、3個の単相リアクトルであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトンネルジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。
【請求項6】
前記インバータ装置の出力側の設けた前記交流リアクトルが三脚鉄心ではなく、五脚鉄心であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。
【請求項7】
前記インバータ装置のインバータ回路が3レベルインバータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の道路トンネルのジェットファン用誘導電動機の可変速駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−208442(P2011−208442A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77976(P2010−77976)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(501170080)株式会社創発システム研究所 (10)