説明

長尺ゴム凝析体製造方法及びシート状ゴム凝析体製造方法

【課題】本発明の課題は、未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を短縮すると共に未架橋ゴムシートの成形コストを低減することにある。
【解決手段】本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、含水長尺ゴム凝析体製造工程及び含水長尺ゴム凝析体脱水工程を備える。含水長尺ゴム凝析体製造工程では、ゴムラテックスRLが凝析液CLに連続的に接触させられて含水長尺ゴム凝析体LCが製造される。そして、含水長尺ゴム凝析体脱水工程では、含水長尺ゴム凝析体中の水分が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のゴム凝析体及びシート状ゴム凝析体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素ゴム等のゴムは、その取り扱いの容易さから未架橋ゴムシートに成形されて出荷される場合がある。通常、この未架橋ゴムシートは、ゴムラテックスを凝析液により凝析させて未架橋ゴム凝析粒体を形成し(例えば、特許文献1参照)乾燥した後、その未架橋ゴム凝析粒体を二軸押出等して成形されている。
【特許文献1】特開2002−317003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を短縮すると共に未架橋ゴムシートの成形コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、含水長尺ゴム凝析体製造工程及び含水長尺ゴム凝析体脱水工程を備える。含水長尺ゴム凝析体製造工程では、ゴムラテックスが凝析液に連続的に接触させられて含水長尺ゴム凝析体が製造される。なお、ここにいう「長尺ゴム凝析体」は、フィルム形状を呈していてもよいし、シート形状を呈していてもよいし、糸形状を呈していてもよいし、紐形状を呈していてもよい。また、この長尺ゴム凝析体は、基材上にゴムラテックスを塗布した後に凝析液を掛けて製造してもよいし、ラテックス及び凝析液を用いた引上紡糸方法によって製造してもよいし、ラテックス及び凝析液を用いた湿式紡績方法によって製造してもよい。また、ここにいう「凝析」は、塩析であってもかまわない。また、ここにいう「凝析液」は、1価、2価又は3価の塩溶液又は酸溶液であり、例えば、硫酸アルミニウム水溶液や塩化マグネシウム水溶液等である。また、ここにいう「ゴムラテックス」は、合成ゴムラテックスであってもよいし、天然ゴムラテックスであってもよい。また、このゴムラテックスとしては、例えば、シリコーンゴムラテックス、エチレンプロピレンゴムラテックス、アクリロニトリルブタジエンゴムラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、アクリルゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、フッ素ゴムラテックス等が挙げられる。また、このゴムラテックスには予め架橋剤や充填材を添加しておいてもよい。なお、架橋剤は微粉末状であってもかまわないが、かかる場合、さらに分散剤を添加するのが好ましい。また、充填材としては、例えば、カーボンやタルク等の非水溶性の充填材が挙げられる。そして、含水長尺ゴム凝析体脱水工程では、含水長尺ゴム凝析体中の水分が低減される。なお、この含水長尺ゴム凝析体脱水工程では含水長尺ゴム凝析体を直接風乾燥してもよいし、一対以上の加圧ローラによって含水長尺ゴム凝析体の水分を押し出した後に含水長尺ゴム凝析体を風乾燥するようにしてもよい。また、本発明に係る長尺ゴム凝析体は、従来のように二軸押出されて得られるゴム凝析体とは異なる。本発明に係る長尺ゴム凝析体は多孔質体であり、従前のゴム凝析体は二軸押出により得られるものであり、圧縮力によってほとんど空孔を有していない。本願に係る長尺ゴム凝析体は、この点に特徴を有している。
【0005】
この長尺ゴム凝析体製造方法では、先ず、含水長尺ゴム凝析体製造工程においてゴムラテックスが凝析液に連続的に接触させられて含水長尺ゴム凝析体が製造される。次いで、含水長尺ゴム凝析体脱水工程において含水長尺ゴム凝析体中の水分が低減される。つまり、この長尺ゴム凝析体製造方法では、ゴムラテックスから未架橋ゴム凝析粒体を経ることなく直接、未架橋シート(本発明でいう「長尺ゴム凝析体」に相当する)が成形される。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、従来よりも未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を大幅に短縮することができ、ひいては未架橋ゴムシートの成形コストを低減することができる。また、この長尺ゴム凝析体製造方法では、凝析機や、整粒機、固液分離器、二軸押出機等の製造設備が必要とされず、製造設備を大幅に簡略化することができる。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法は、設備面から見ても未架橋ゴムシート成形の製造コストを低減することができる。また、この他、本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を採用する利点としては、作業環境がきれいになったり(凝析粒体を製造しないため)、作業環境が静かになったり、設備機器のメンテナンス作業が容易になったり、押出機に適用できない品種についても適用できるようになったり、品種切換が容易となったり、原料(ゴムラテックス)ロスが低減したりすること等が考えられる。
【0006】
なお、特開平10−638号公報及び特表2004−514009号公報にはゴムラテックスフィルムの製造方法が開示されている。前者の公報に開示される製造方法では、側面温度が35〜70度Cに設定されたドラムと、約70〜120度Cの温風とによりラテックス中の水分を蒸発させて未架橋ゴムシートを製造している。一方、後者の公報に開示される製造方法では、95〜160度Cのドラムドライヤと、95〜170度Cのコンベア式ドライヤとによりラテックス中の水分を蒸発させて未架橋ゴムシートを製造している。このため、これらの製造方法を実施するためには、少なくとも2つの加熱装置が必要とされる。これに対し、本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法では、連続凝析により未架橋ゴムシートを製造しており、特に加熱装置を必要としない。このため、本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、特開平10−638号公報に開示されるゴムラテックスフィルムの製造方法に比べて製造コストを低く抑えることができる利点がある。
【0007】
また、特開2004−269656号公報にはゴムシートの製造方法が開示されている。この公報に開示される製造方法では、ゴム溶液を二枚の支持体の間に挟み込んでロール等を介してゴム溶液を薄膜化した後、その薄膜化されたゴム溶液を凝固浴中に浸漬させて未架橋ゴムシートを製造している。このため、この製造方法を実施するためには、高粘度のゴム溶液を調製しなければならない。しかし、ゴムラテックスの粘度をゴム溶液程度まで高めることは極めて困難であり、また、フッ素含有率の高い高分子量のフッ化ゴムはほとんど溶媒に溶けない傾向にある。これに対し、本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法では、ゴムラテックスから直接、未架橋ゴムシートを製造することができる。このため、本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、特開2004−269656号公報に開示されるゴムシートの製造方法に比べて幅広い種類のゴムに適用できる利点がある。
【0008】
第2発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第1発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、含水長尺ゴム凝析体製造工程では、ゴムラテックスが連続的に基材に注がれた後に、基材上のゴムラテックスに特定位置から凝析液が掛けられて、順次、含水長尺ゴム凝析体が製造される。なお、「凝析液の掛け方」は散布であってもよいし、噴霧であってもよいし、射出であってもよいし、滴下であってもよいし、注入であってもよい。そして、長尺ゴム凝析体製造方法は、含水長尺ゴム凝析体剥離工程をさらに備える。含水長尺ゴム凝析体剥離工程では、含水長尺ゴム凝析体製造工程において製造された含水長尺ゴム凝析体が基材から剥離される。そして、含水長尺ゴム凝析体脱水工程では、含水長尺ゴム凝析体剥離工程において基材から剥離された含水長尺ゴム凝析体中の水分が低減される。
【0009】
この長尺ゴム凝析体製造方法では、先ず、含水長尺ゴム凝析体製造工程においてゴムラテックスが連続的に基材に塗布された後に、基材上のゴムラテックスに特定位置から凝析液が掛けられて、順次、含水長尺ゴム凝析体が製造される。次いで、含水長尺ゴム凝析体剥離工程において含水長尺ゴム凝析体製造工程で製造された含水長尺ゴム凝析体が基材から剥離される。そして、含水長尺ゴム凝析体脱水工程において含水長尺ゴム凝析体剥離工程で基材から剥離された含水長尺ゴム凝析体中の水分が低減される。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、適切量の凝析液により無駄なく長尺ゴム凝析体を製造することができる。なお、特開2004−269656号公報に開示されるゴムシートの製造方法のように、凝析浴を設け、そこに基材に塗布されたゴムラテックスを通すことも考えられるが、通常、ゴムラテックスの粘度は極めて低くシートの形状を保てないおそれがあり好ましくない。また、凝析浴を利用する場合、凝析剤の濃度に経時的な変化が見られるため、凝析浴の管理が煩雑になると共に未架橋ゴムシートの品質にバラツキが生じるおそれがあり好ましくない。
【0010】
第3発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第2発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、付着物除去工程をさらに備える。付着物除去工程では、含水長尺ゴム凝析体が剥離された後の基材に付着する付着物が除去される。なお、ここにいう「付着物」とは、凝析液やゴムラテックスの残渣等である。なお、この付着物除去工程は、基材が無端環状ベルトである場合、無端環状ベルトの長尺ゴム凝析体剥離位置よりも下流側に液吸い取り装置等を設けることによって実現される。なお、ここにいう「液吸い取り装置」とは、例えば、スポンジローラ機構等である。
【0011】
この長尺ゴム凝析体製造方法では、付着物除去工程において含水長尺ゴム凝析体が剥離された後の基材に付着する付着物が除去される。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、常に清浄な状態の基材にゴムラテックスを供給することができる。したがって、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、高品質の長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0012】
第4発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第2発明又は第3発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、含水長尺ゴム凝析体脱水工程には、含水長尺ゴム凝析体加圧工程及び含水長尺ゴム凝析体風乾工程が含まれる。含水長尺ゴム凝析体加圧工程では、少なくとも一対の加圧ローラの間に含水長尺ゴム凝析体が通される。また、含水長尺ゴム凝析体風乾工程では、含水長尺ゴム凝析体加圧工程後の含水長尺ゴム凝析体が風乾燥される。なお、ここにいう「風乾燥」は熱風乾燥であってもよいし冷風乾燥であってもよい。なお、ゴムラテックスに架橋剤が添加されており、熱風乾燥が利用される場合、熱風温度は、架橋反応が開始しない程度の温度とされる必要がある。また、含水長尺ゴム凝析体の風乾燥には、風乾燥機を利用してもよいし、付着防止エアが吹き出されているガイドローラ等を利用してもよいし、風乾燥機と付着防止エアが吹き出されているガイドローラとを組み合わせて利用してもよい。
【0013】
この長尺ゴム凝析体製造方法では、含水長尺ゴム凝析体加圧工程において少なくとも一対の加圧ローラの間に含水長尺ゴム凝析体が通される。その後、含水長尺ゴム凝析体風乾工程において含水長尺ゴム凝析体が風乾燥される。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、含水長尺ゴム凝析体加圧工程において、含水長尺ゴム凝析体中の水分を押し出すことができると共に含水長尺ゴム凝析体の強度を向上させることができる。そして、長尺ゴム凝析体風乾工程においてこのように強度が高まった含水長尺ゴム凝析体を完全に乾かすことができる。
【0014】
第5発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第2発明から第4発明のいずれかに係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、含水長尺ゴム凝析体洗浄工程をさらに備える。なお、含水長尺ゴム凝析体洗浄工程は含水長尺ゴム凝析体剥離工程と含水長尺ゴム凝析体脱水工程との間で実施されてもよいし、含水長尺ゴム凝析体剥離工程と含水長尺ゴム凝析体加圧工程との間で実施されてもよいし、含水長尺ゴム凝析体加圧工程と含水長尺ゴム凝析体風乾工程との間で実施されてもよい。含水長尺ゴム凝析体洗浄工程では、含水長尺ゴム凝析体剥離工程において基材から剥離された含水長尺ゴム凝析体が水洗される。
【0015】
この長尺ゴム凝析体製造方法では、含水長尺ゴム凝析体洗浄工程において含水長尺ゴム凝析体剥離工程で基材から剥離された含水長尺ゴム凝析体が水洗される。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、ゴムラテックス中の不要成分や凝析液中の凝析剤等を長尺ゴム凝析体から取り除くことができる。したがって、この長尺ゴム凝析体製造方法では、より純度が高い長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0016】
第6発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第2発明から第5発明のいずれかに係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、基材は、上部の一部が水平となるように少なくとも2本のローラに張架られ一定の軌道上を周回する無端環状ベルトである。
【0017】
このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスから長尺ゴム凝析体を容易に製造することができる。ちなみに、基材が、特開平10−638号公報に示されるようなドラムであれば、低粘度のゴムラテックスからは非常に薄いフィルム状の長尺ゴム凝析体しか得ることができないという不都合がある。
【0018】
第7発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第6発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、無端環状ベルトは、外表面から周方向に沿って全周に渡って立設される壁部を少なくとも2つ有する。また、無端環状ベルトは、水平部分の前後に水平部分よりも高い高位部分を有するようにローラに張架られている。
【0019】
このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスを一定高さで無端環状ベルト上に一定時間保持しておくことができる。したがって、長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスから比較的厚い厚さの長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0020】
第8発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第6発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、無端環状ベルトは、外表面から周方向に沿って全周に渡って立設される壁部を少なくとも2つ有する。また、壁部の間に無端環状ベルトと僅かな隙間をもって配置される液止め壁が設けられる。なお、液止め壁は、ベルトの上流側のみに設けられてもよいし上流側及び下流側の両側に設けられてもよい。
【0021】
このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスを一定高さで無端環状ベルト上に一定時間保持しておくことができる。したがって、長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスから比較的厚い厚さの長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0022】
第9発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、第6発明から第8発明のいずれかに係る長尺ゴム凝析体製造方法であって、無端環状ベルトには、振動が加えられる。
【0023】
このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、含水長尺ゴム凝析体製造工程においてゴムラテックスと凝析液とをより均一に接触させることができる。したがって、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、厚さ方向により均一な品質を有する長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0024】
第10発明に係るシート状ゴム凝析体製造方法は、ゴムラテックス投入工程、含水シート状ゴム凝析体製造工程及び含水シート状ゴム凝析体脱水工程を備える。ゴムラテックス投入工程では、容器に所定量のゴムラテックスが張られる。なお、ここにいう「容器」としては、例えば、トレイ等の底面が比較的広い容器が好ましい。シート状ゴム凝析体製造工程では、容器に張られたゴムラテックスに凝析液が接触させられて含水シート状ゴム凝析体が製造される。含水シート状ゴム凝析体脱水工程では、含水シート状ゴム凝析体中の水分が低減される。なお、本発明に係るシート状ゴム凝析体は、従来のように二軸押出されて得られるゴム凝析体とは異なる。本発明に係るシート状ゴム凝析体は多孔質体であり、従前のゴム凝析体は二軸押出により得られるものであり、圧縮力によってほとんど空孔を有していない。本願に係るシート状ゴム凝析体は、この点に特徴を有している。
【0025】
このシート状ゴム凝析体製造方法では、先ず、ゴムラテックス投入工程において容器に所定量のゴムラテックスが張られる。次いで、含水シート状ゴム凝析体製造工程において容器に張られたゴムラテックスに凝析液が接触させられて含水シート状ゴム凝析体が製造される。そして、含水シート状ゴム凝析体脱水工程において含水シート状ゴム凝析体中の水分が低減される。つまり、このシート状ゴム凝析体製造方法では、ゴムラテックスから未架橋ゴム凝析粒体を経ることなく直接、未架橋ゴムシート(本発明でいう「シート状ゴム凝析体」に相当する)が成形される。このため、このシート状ゴム凝析体製造方法を利用すれば、従来よりも未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を大幅に短縮することができ、ひいては未架橋ゴムシートの成形コストを低減することができる。また、このシート状ゴム凝析体製造方法では、凝析機や、整粒機、固液分離器、二軸押出機等の製造設備が必要とされず、製造設備を大幅に簡略化することができる。このため、このシート状ゴム凝析体製造方法は、設備面から見ても未架橋ゴムシート成形の製造コストを低減することができる。また、この他、本発明に係るシート状ゴム凝析体製造方法を採用する利点としては、作業環境がきれいになったり(凝析粒体を製造しないため)、作業環境が静かになったり、設備機器のメンテナンス作業が容易になったり、押出機に適用できない品種についても適用できるようになったり、品種切換が容易となったり、原料(ゴムラテックス)ロスが低減したりすること等が考えられる。
【発明の効果】
【0026】
第1発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、従来よりも未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を大幅に短縮することができ、ひいては未架橋ゴムシートの成形コストを低減することができる。また、この長尺ゴム凝析体製造方法では、凝析機や、整粒機、固液分離器、二軸押出機等の製造設備が必要とされず、製造設備を大幅に簡略化することができる。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法は、設備面から見ても未架橋ゴムシート成形の製造コストを低減することができる。また、この他、本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を採用する利点としては、作業環境がきれいになったり(凝析粒体を製造しないため)、作業環境が静かになったり、設備機器のメンテナンス作業が容易になったり、押出機に適用できない品種についても適用できるようになったり、品種切換が容易となったり、原料(ゴムラテックス)ロスが低減したりすること等が考えられる。
【0027】
第2発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、適切量の凝析液により無駄なく長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0028】
第3発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、常に清浄な状態の基材にゴムラテックスを供給することができる。したがって、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、高品質の長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0029】
第4発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、含水長尺ゴム凝析体加圧工程において、含水長尺ゴム凝析体中の水分を押し出すことができると共に長尺ゴム凝析体の強度を向上させることができる。そして、含水長尺ゴム凝析体風乾工程においてこのように強度が高まった含水長尺ゴム凝析体を完全に乾かすことができる。
【0030】
第5発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、ゴムラテックス中の不要成分や凝析液中の凝析剤等を長尺ゴム凝析体から取り除くことができる。したがって、この長尺ゴム凝析体製造方法では、より純度が高い長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0031】
第6発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスから長尺ゴム凝析体を容易に製造することができる。
【0032】
第7発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスを一定高さで無端環状ベルト上に一定時間保持しておくことができる。このため、長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスから比較的厚い厚さの長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0033】
第8発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスを一定高さで無端環状ベルト上に一定時間保持しておくことができる。このため、長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、低粘度のゴムラテックスから比較的厚い厚さの長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0034】
第9発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、含水長尺ゴム凝析体製造工程においてゴムラテックスと凝析液とをより均一に接触させることができる。このため、この長尺ゴム凝析体製造方法を利用すれば、厚さ方向により均一な品質を有する長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0035】
第10発明に係るシート状ゴム凝析体製造方法を利用すれば、従来よりも未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を大幅に短縮することができ、ひいては未架橋ゴムシートの成形コストを低減することができる。また、このシート状ゴム凝析体製造方法では、凝析機や、整粒機、固液分離器、二軸押出機等の製造設備が必要とされず、製造設備を大幅に簡略化することができる。このため、このシート状ゴム凝析体製造方法は、設備面から見ても未架橋ゴムシート成形の製造コストを低減することができる。また、この他、本発明に係るシート状ゴム凝析体製造方法を採用する利点としては、作業環境がきれいになったり(凝析粒体を製造しないため)、作業環境が静かになったり、設備機器のメンテナンス作業が容易になったり、押出機に適用できない品種についても適用できるようになったり、品種切換が容易となったり、原料(ゴムラテックス)ロスが低減したりすること等が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
−第1実施形態−
本発明の第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1は、図1及び図2に示されるように、主に、ベルト装置10、ゴムラテックス供給装置20、凝析液供給装置30、ベルト洗浄装置40、第1メインガイドローラ51、第2メインガイドローラ61、脱水装置70、洗浄装置80、乾燥装置90及び製品受け皿111から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0037】
(1)ベルト装置
ベルト装置10は、図1及び図3に示されるように、主に、無端環状ベルト11、駆動ローラ13、従ローラ12、第1抑えローラ14及び第2抑えローラ15から構成されている。
【0038】
無端環状ベルト11は、図1及び図3に示されるように、主に、本体部11a及び一対の壁部11bから構成されている。壁部11bは、本体部11aの縁よりも少し内側の外表面から周方向に沿って全周に渡って立設している。そして、この無端環状ベルト11は、壁部11bが外側を向くようにして、駆動ローラ13及び従ローラ12に張架られている。なお、本体部11aは強度の観点からステンレス等の金属素材により形成されるのが好ましい。また、この本体部11aは親水性処理(第2実施形態参照)されているのが好ましい。また、壁部11bは、ゴム等、成形容易な疎水性素材により形成されるのが好ましい。
【0039】
駆動ローラ13には、図示しない電動機が装着されており、その電動機により軸を中心として回転駆動される。
【0040】
従ローラ12は、駆動ローラ13と同一の半径を有するローラであって、軸が駆動ローラ13の軸と平行になるように設置されている。また、従ローラ12の軸及び駆動ローラ13の軸を含む面は、水平方向と平行の関係、つまり、鉛直方向と直交する関係にある。
【0041】
第1抑えローラ14は、無端環状ベルト11の壁部11bに挟まれる空間の幅と一致する幅を有するローラであり、従ローラ12の駆動ローラ側寄りの位置で、無端環状ベルト11を本体部11aの上面から従ローラ12に向かって押し付けている。なお、この状態において、第1抑えローラ14は、壁部11bの間にはまり込んでいる。
【0042】
第2抑えローラ15は、無端環状ベルト11の壁部11bに挟まれる空間の幅と一致する幅を有するローラであり、駆動ローラ13の従ローラ側寄りの位置で、無端環状ベルト11を本体部11aの上面から駆動ローラ13に向かって押し付けている。なお、この状態において、第2抑えローラ15は、壁部11bの間にはまり込んでいる。
【0043】
そして、このベルト装置10では、無端環状ベルト11の上部において第1抑えローラ14との接触点から第2抑えローラ15との接触点までの間に水平部分Pfが形成されると共に、従ローラ12及び駆動ローラ13の上部の円弧面に接触する高位部分Phとが形成される。なお、高位部分Phは、水平部分Pfよりも高い位置に位置している。また、無端環状ベルト11の張力を過大にすることなく、無端環状ベルト11の上面をたわませずに水平に保つため、無端環状ベルト11の上側の裏には適宜従動方式のローラ列16が設けられる。
【0044】
(2)ゴムラテックス供給装置
ゴムラテックス供給装置20は、図1に示されるように、主に、ゴムラテックス貯留タンク21、ゴムラテックス供給管22、ゴムラテックス供給量調節バルブ23及びゴムラテックス排出器24から構成されている。
【0045】
ゴムラテックス貯留タンク21には、図1に示されるように、ゴムラテックスRLが貯留される。なお、このゴムラテックスRLの比重は、水の比重よりも大きい。
【0046】
ゴムラテックス供給管22は、ゴムラテックス貯留タンク21の下端からゴムラテックス排出器24まで延びる配管である。
【0047】
ゴムラテックス供給量調節バルブ23は、ゴムラテックス供給管22の途中に設けられており、ゴムラテックス貯留タンク21からゴムラテックス排出器24へ流れるゴムラテックスRLの供給量を調節する役目を担っている。
【0048】
ゴムラテックス排出器24は、無端環状ベルト11の壁部11bに挟まれる空間の幅よりも若干狭い横長の器であって、下端に横長のスリット状の排出口(図示せず)を有している。そして、このゴムラテックス排出器24に導かれたゴムラテックスRLは、この排出口を介して無端環状ベルト11の水平部分Pfの壁部11bに挟まれる空間に供給される。
【0049】
(3)凝析液供給装置
凝析液供給装置30は、図1に示されるように、主に、凝析液貯留タンク31、凝析液供給管32、凝析液供給量調節バルブ33及び凝析液噴霧機34から構成されている。
【0050】
凝析液貯留タンク31には、図1に示されるように、凝析液CLが貯留される。なお、この凝析液CLは、例えば、硫酸アルミニウム水溶液である。
【0051】
凝析液供給管32は、凝析液貯留タンク31の下端から凝析液噴霧機34まで延びる配管である。
【0052】
凝析液供給量調節バルブ33は、凝析液供給管32の途中に設けられており、凝析液貯留タンク31から凝析液噴霧機34へ流れる凝析液CLの供給量を調節する役目を担っている。
【0053】
凝析液噴霧機34は、無端環状ベルト11の壁部11bに挟まれる空間の幅よりも若干狭い横長の器であって、下端に横長の凝析液噴霧口(図示せず)を有している。そして、この凝析液噴霧機34に導かれた凝析液CLは、この凝析液噴霧口を介して無端環状ベルト11に注がれているゴムラテックスRLに噴霧される。
【0054】
(4)ベルト洗浄装置
ベルト洗浄装置40は、無端環状ベルト11の上側の駆動ローラ13の近傍に設置される装置であって、図1に示されるように、主に、吸水可能なスポンジローラ列、すなわち、第1スポンジローラ41、第2スポンジローラ42及び第3スポンジローラ43、並びに絞り出しローラ44、第1排水受け皿45、第1排水管46から構成されている。
【0055】
第1スポンジローラ41は、無端環状ベルト11の壁部11bに挟まれる空間の幅と一致する幅を有するローラであり、無端環状ベルト11の水平部分Pfの駆動ローラ13近傍の位置で、無端環状ベルト11の本体部11aの上面にローラ面が接触するように設置されている。なお、この状態において、第1スポンジローラ41は、壁部11bの間にはまり込んでいる。そして、この第1スポンジローラ41は、無端環状ベルト11上の液残渣(凝析後のゴムラテックスの分散媒や凝析液の残渣等)を吸い取る。
【0056】
第2スポンジローラ42は、第1スポンジローラ41のローラ面に接しており、第1スポンジローラ41が吸い取った液残渣を吸い取る。
【0057】
第3スポンジローラ43は、第2スポンジローラ42のローラ面に接しており、第2スポンジローラ42が吸い取った液残渣を吸い取る。
【0058】
絞り出しローラ44は、第3スポンジローラ43に押し付けられるようにして設置されており、第3スポンジローラ43が吸い取った液残渣を第1排水受け皿45へ絞り出す。
【0059】
第1排水受け皿45は、液残渣を受けるために設けられている。
【0060】
第1排水管46は、第1排水受け皿45に絞り出される液残渣を、図示しない排水タンクへと導く。
【0061】
(5)第1メインガイドローラ及び第2メインガイドローラ
第1メインガイドローラ51及び第2メインガイドローラ61は、無端環状ベルト11上で製造される含水長尺ゴム凝析シートLCoを剥離して脱水装置70へと導くために設けられている。
【0062】
(6)脱水装置
脱水装置70は、図1に示されるように、主に、加圧ローラ71、第2排水受け皿72及び第2排水管73から構成されている。
【0063】
加圧ローラ71は、含水長尺ゴム凝析シートLCoを圧縮して脱水すると共に含水長尺ゴム凝析シートLCo中の凝析物の密度を高める。なお、以下、このように脱水及び高密度化された長尺ゴム凝析シートLCを「高密度長尺ゴム凝析シートLCp」と称する。
【0064】
第2排水受け皿72は、含水長尺ゴム凝析シートLCoから加圧ローラ71により絞り出される水分を受けるために設けられている。
【0065】
第2排水管73は、第2排水受け皿72に絞り出される水分を、図示しない排水タンクへと導く。
【0066】
(7)洗浄装置
洗浄装置80は、図1に示されるように、主に、第1洗浄ガイドローラ81、第2洗浄ガイドローラ82、第3洗浄ガイドローラ83及び洗浄槽84から構成されている。
【0067】
第1洗浄ガイドローラ81及び第2洗浄ガイドローラ82は、高密度長尺ゴム凝析シートLCpを洗浄槽84へと導くために設けられている。
【0068】
第3ガイドローラは、洗浄後の高密度長尺ゴム凝析シートLCp(以下「洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCw」と称する)を乾燥装置90へと導くために設けられている。
【0069】
洗浄槽84には、洗浄液WLが貯留されている。なお、この洗浄液には、第2洗浄ガイドローラ82が浸漬されている。
【0070】
(8)乾燥装置
乾燥装置90は、図2に示されるように、主に、乾燥炉91、第1乾燥ガイドローラ92及び第2乾燥ガイドローラ93から構成されている。
【0071】
乾燥炉91には、図2に示されるように、複数対の第1乾燥ガイドローラ92、第1乾燥ガイドローラ92よりも1つ少ない第2乾燥ガイドローラ93、図示しない加熱装置が設けられている。
【0072】
第1乾燥ガイドローラ92は、上側乾燥ガイドローラ92a及び下側乾燥ガイドローラ92bから成っている。
【0073】
下側乾燥ガイドローラ92bは、図4に示されるように、主に、軸921b、ブロック体922b及び円筒体923bから構成されている。軸921bは、円柱棒状部材であり、円筒体923bの軸に沿って配置されている。なお、この軸921bは、円筒体923bの端部において円筒体923bと結合されている。ブロック体922bは、図4に示されるように、横断面が略D字形の棒状部材であり、平面部Fpに平行に延びる円柱状の貫通孔を有している。そして、このブロック体922bの貫通孔には、軸921bが挿通されている。なお、このブロック体922bは、軸921bにも円筒体923bにも結合されていない。このため、このブロック体922bは、重量バランスの関係により、平面部分Fpが常に上を向くようになっている。円筒体923bは、図4に示されるように、半径方向に複数の貫通孔Prを有しており、ブロック体922bの外側に挿通されている。この結果、ブロック体922bと、円筒体923bの洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCwと接触する部分との間には、横長の空間SPが形成される。そして、この横長の空間SPには乾燥加熱空気が供給され、その乾燥加熱空気は円筒体923bの貫通孔Prを通って乾燥炉91内に放出される。
【0074】
第2乾燥ガイドローラ93は、図5に示されるように、主に、軸931及び円筒体933から構成されている。軸931は、円柱棒状部材であり、円筒体933の軸に沿って配置されている。なお、この軸931は、円筒体933の端部において円筒体933と結合されている。円筒体933は、図4に示されるように、半径方向に複数の貫通孔Prを有しており、軸931の外側に挿通されている。この結果、軸931と円筒体933との間には、円筒形の空間SPが形成される。そして、この円筒形の空間SPには乾燥加熱空気が供給され、その乾燥加熱空気は円筒体933の貫通孔Prを通って乾燥炉91内に放出される。
【0075】
洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCwは、このように構成される乾燥装置90により乾燥される。なお、以下、このように乾燥された洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCwを「乾燥済み長尺ゴム凝析シートLCd」と称する。
【0076】
(9)製品受け皿
製品受け皿111は、乾燥装置90から補助ガイドローラ101を介して繰り出される乾燥済み長尺ゴム凝析シートLCdを受ける。
【0077】
<長尺ゴム凝析体製造装置の使用方法>
長尺ゴム凝析シートLCの製造開始時には、リードフィルム(図示せず)が必要とされる。このリードフィルムは、先ず、ゴムラテックス排出器24から補助ガイドローラ101まで長尺ゴム凝析シートLCのパスラインに沿ってセットされる。このようにしてリードフィルムがセットされた後、リードフィルムのゴムラテックス排出器側の端部上にゴムラテックス排出器24からゴムラテックスRLを供給しリードフィルムを各種ローラによって送っていく。すると、長尺ゴム凝析シートLCの連続形成が開始される。そして、一定時間が経過すると、リードフィルムは系外に排出され、長尺ゴム凝析シート製造装置1ではパスラインに長尺ゴム凝析シートLCが流れることになる。また、ラテックスの品種を変更する場合にも変更前のゴムラテックスの長尺ゴム凝析シートLCをリードフィルムとして利用することもできる。
【0078】
<長尺ゴム凝析体製造装置における長尺ゴム凝析シートの流れ>
ここでは、長尺ゴム凝析シート製造装置1における長尺ゴム凝析シートの変化について説明する。
【0079】
長尺ゴム凝析シート製造装置1では、先ず、周回する無端環状ベルト11上にゴムラテックス排出器24からゴムラテックスRLが連続的に供給される。そして、このゴムラテックスRLは、凝析液噴霧機34の下を通過するときに連続的に凝析液CLを噴霧されて凝析し、多孔質の含水長尺ゴム凝析シートLCoとなる。その後、この含水長尺ゴム凝析シートLCoは、第1メインガイドローラ51及び第2メインガイドローラ61によって無端環状ベルト11から剥離され、脱水装置70へと導かれる。そして、脱水装置70へと導かれた含水長尺ゴム凝析シートLCoは、加圧ローラ71を通って高密度長尺ゴム凝析シートLCpとなり、第1洗浄ガイドローラ81及び第2洗浄ガイドローラ82によって洗浄槽84へと導かれる。そして、高密度長尺ゴム凝析シートLCpは、洗浄槽84を通って洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCwとなり、第1乾燥ガイドローラ92によって乾燥炉91へと導かれる。そして、洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCwは、乾燥炉91を通って乾燥済み長尺ゴム凝析シートLCdとなる。そして、最後に、その乾燥済み長尺ゴム凝析シートLCdは、補助ガイドローラ101によって製品受け皿111へと供給される。
【0080】
<長尺ゴム凝析体製造装置の特徴>
(1)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、周回する無端環状ベルト11上にゴムラテックスRLが供給され、その後、そのゴムラテックスRLに凝析液CLが噴霧され、多孔質の長尺ゴム凝析シートLCが順次形成される。そして、この長尺ゴム凝析シートLCは、無端環状ベルト11から剥離された後、脱水装置70及び乾燥装置90を経て脱水される。つまり、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、ゴムラテックスRLから未架橋ゴム凝析粒体を経ることなく直接、未架橋ゴムシートが成形される。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、従来よりも未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を大幅に短縮することができ、ひいては未架橋ゴムシートの成形コストを低減することができる。また、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、凝析機や、整粒機、固液分離器、二軸押出機等の製造設備が必要とされず、製造設備が大幅に簡略化されている。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1は、設備面から見ても未架橋ゴムシート成形の製造コストを低減している。また、この他、この長尺ゴム凝析シート製造装置1を採用すれば、作業環境がきれいになったり(凝析粒体を製造しないため)、作業環境が静かになったり、設備機器のメンテナンス作業が容易になったり、押出機に適用できない品種についても適用できるようになったり、品種切換が容易となったり、原料(ゴムラテックス)ロスが低減したりする利益を享受することができる。
【0081】
(2)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、凝析浴ではなく凝析液噴霧機34が採用される。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、適切量の凝析液CLにより無駄なく長尺ゴム凝析シートLCを製造することができる。
【0082】
(3)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、ベルト洗浄装置40が設けられる。ベルト洗浄装置40は、含水長尺ゴム凝析シートLCoが剥離された後の無端環状ベルト11上の液残渣を無端環状ベルト11から除去する。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、常に清浄な状態の無端環状ベルト11にゴムラテックスRLを供給することができる。したがって、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、高品質の長尺ゴム凝析シートLCが製造される。
【0083】
(4)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、加圧ローラ71の間に含水長尺ゴム凝析シートLCoが通され、その後、乾燥装置90において長尺ゴム凝析シートLCが風乾燥される。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、脱水装置70において含水長尺ゴム凝析シートLCo中の水分が押し出される共に長尺ゴム凝析シートLCの密度が高められ、ひいては、長尺ゴム凝析シートLCの強度が向上される。そして、乾燥装置90においてこのように強度が高まった長尺ゴム凝析シートLCが完全に乾燥される。
【0084】
(5)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、洗浄装置80において高密度長尺ゴム凝析シートLCpが水洗される。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、ゴムラテックスPL中の不要成分や凝析液CL中の凝析剤等が長尺ゴム凝析シートLCから取り除かれる。したがって、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、より純度が高い長尺ゴム凝析シートLCが製造される。
【0085】
(6)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、ゴムラテックスRL塗布用の基材としてドラムではなく無端環状ベルト11が採用されている。このため、長尺ゴム凝析シート製造装置1では、低粘度のゴムラテックスRLであっても比較的厚めの長尺ゴム凝析シートLCを容易に製造することができる。
【0086】
(7)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、無端環状ベルト11に壁部11bが設けられている。また、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、無端環状ベルト11の上部において第1抑えローラ14との接触点から第2抑えローラ15との接触点までの間に水平部分Pfが形成されると共に、従ローラ12及び駆動ローラ13の上部の円弧面に接触する高位部分Phとが形成されている。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、低粘度のゴムラテックスRLを一定高さで無端環状ベルト11上に一定時間保持しておくことができる。したがって、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、低粘度のゴムラテックスRLから比較的厚い厚さの長尺ゴム凝析シートCLを製造することができる。
【0087】
(8)
第1実施形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、第2乾燥ガイドローラ93及び下側乾燥ガイドローラ92bからも乾燥加熱空気が吹き出される。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、洗浄済み長尺ゴム凝析シートLCwの第2乾燥ガイドローラ93や下側乾燥ガイドローラ92bへの付着が防止される。このため、この長尺ゴム凝析シート製造装置1では、長尺ゴム凝析シートLCをスムーズに製造することができる。
【0088】
<第1実施形態の変形例>
(A)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、加熱乾燥後に強制冷却を行うこともあり得る。このような場合にはポリエチレンシート等の付着防止フィルムをパスラインに流しながら長尺ゴム凝析シートLCを製造してもよい。このようにすれば、製品受け皿111に重ね置かれる長尺ゴム凝析シートLCの付着を防止することができ、後々の長尺ゴム凝析シートLCの取り扱いが容易となる。
【0089】
(B)
先の実施の形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、無端環状ベルト11の上部において第1抑えローラ14との接触点から第2抑えローラ15との接触点までの間に水平部分Pfが形成されると共に、従ローラ12及び駆動ローラ13の上部の円弧面に接触する高位部分Phとが形成されていた。しかし、第1抑えローラ14及び第2抑えローラ15を取り除いて、無端環状ベルト11を駆動ローラ13及び従ローラ12にのみ張架えるようにし、無端環状ベルト11の壁部11bの間に無端環状ベルト11と僅かな隙間をもって配置される一対の液止め壁を設けるようにしてもよい。
【0090】
(C)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ベルト装置10に振動機を取り付けてもよい。このようにすれば、無端環状ベルト11上においてゴムラテックスRLと凝析液CLとをより速く均一に接触させることができ、厚さ方向により均一な品質を有する長尺ゴム凝析体を製造することができる。
【0091】
(D)
先の実施の形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では、乾燥装置90から補助ガイドローラ101を介して繰り出される乾燥済み長尺ゴム凝析シートLCdが製品受け皿111に重ね置かれたが、補助ガイドローラに代えて、又は、補助ガイドローラの後に巻き取りローラを設置し、乾燥済み長尺ゴム凝析シートLCdを巻き取るようにしてもよい。
【0092】
(E)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ゴムラテックス貯留タンク21に貯留されるゴムラテックスRLに予め架橋剤を混入させておいてもよい。また、必要であれば、架橋剤の分散剤も同時に混入させておいてもよい。なお、これはゴムラテックスの分散液と同じものであることが好ましい。また、かかる場合、乾燥装置90における乾燥温度、並びに第2乾燥ガイドローラ93及び下側乾燥ガイドローラ92bから吹き出される乾燥加熱空気の温度を架橋反応が開始しない程度の温度とする必要がある。
【0093】
(F)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、凝析液貯留タンク31に貯留される凝析液CLに予め架橋剤を混入させておいてもよい。なお、かかる場合、乾燥装置90における乾燥温度、並びに第2乾燥ガイドローラ93及び下側乾燥ガイドローラ92bから吹き出される乾燥加熱空気の温度を架橋反応が開始しない程度の温度とする必要がある。
【0094】
(G)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ゴムラテックス貯留タンク21に貯留されるゴムラテックスRLにカーボンやタルク等の非水溶性の充填材を混入させておいてもよい。
【0095】
(H)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、公知の引上紡糸方法や湿式紡績方法を用いてゴム凝析糸を連続製造するようにしてもよい。
【0096】
(I)
先の実施の形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では第2乾燥ガイドローラ93及び下側乾燥ガイドローラ92bから乾燥加熱空気が吹き出されたが、第2乾燥ガイドローラ93及び下側乾燥ガイドローラ92bから吹き出される空気の温度は特に限定されず常温であってもよい。
【0097】
(J)
先の実施の形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1では3本のスポンジローラ41,42,43が設けられたが、これに代えて、直径を大きくした1本のスポンジローラを絞り出しローラに対抗させて設置してもよい。また、液処理量が多い場合には、スポンジローラに代えて、液の吸い込みをポンプにより行い、ローラーで清掃を行わせることも可能である。
【0098】
(K)
先の実施の形態に係る長尺ゴム凝析シート製造装置1ではゴムラテックスRLが無端環状ベルト11上に供給された後に凝析液CLが散布されたが、凝析液CLを無端環状ベルト11上に供給した後にゴムラテックスRLを散布するようにしてもかまわない。
【0099】
−第2実施形態−
本発明の第2実施形態では、ゴムラテックス投入工程、凝析液散布工程、含水シート状ゴム凝析体引き上げ工程及び含水シート状ゴム凝析体乾燥工程を経て、目的とするシート状ゴム凝析体が得られる。
【0100】
ゴムラテックス投入工程では、トレイにゴムラテックスが投入され、ゴムラテックスの液膜が形成される。
【0101】
凝析液散布工程では、トレイに張られたゴムラテックスの液膜に凝析液が散布され、一定時間経過後に含水シート状ゴム凝析体が形成される。なお、この凝析液は第1実施形態において用いられたものと同じものである。また、本工程において凝析液は単純にトレイに流し込まれてもよい。
【0102】
含水シート状ゴム凝析体引き上げ工程では、含水シート状ゴム凝析体をトレイから取り出す。
【0103】
含水シート状ゴム凝析体乾燥工程では、トレイから取り出された含水シート状ゴム凝析体を乾燥させる。乾燥方法としては、第1実施形態において挙げた方法が利用できる。
【0104】
なお、シート状ゴム凝析体の製造は、図6に示されるようなゴム凝析シート製造装置201により連続的に行われてもよい。
【0105】
第2実施形態に係るゴム凝析シート製造装置201は、図6に示されるように、主に、トレイ付きベルト装置210、ゴムラテックス供給装置20、凝析液供給装置30、製品受け皿221、排水受け皿222及び排水管223から構成される。
【0106】
なお、本実施の形態において、ゴムラテックス供給装置20及び凝析液供給装置30は、第1実施形態のゴムラテックス供給装置20及び凝析液供給装置30と同一のものである。したがって、本実施の形態においてゴムラテックス供給装置20及び凝析液供給装置30の説明は省略し、トレイ付きベルト装置210、製品受け皿221、排水受け皿222及び排水管223について詳述する。
【0107】
(1)トレイ付きベルト装置
トレイ付きベルト装置210は、図6に示されるように、主に、無端環状ベルト211、複数のトレイ218、駆動ローラ13及び従ローラ12から構成されている。
【0108】
無端環状ベルト211は、駆動ローラ13及び従ローラ12に張架られている。
【0109】
駆動ローラ13及び従ローラ12は、第1実施形態に係る駆動ローラ13及び従ローラ12と同一である。したがって、ここでは、説明を省略する。
【0110】
トレイ218はステンレス製のトレイであり、内表面はバフ研磨されて滑らかにされている。また、このトレイ218には、表面にピロリン酸ナトリウムや光半導体触媒等の親水化剤がコーティング処理されている。このため、トレイ底にゴムラテックスRLが広がりやすくなると共にシート状ゴム凝析体SCがトレイ218から剥離しやすくなっている。なお、好ましい親水化剤の商品としては、株式会社イケダ製のエコクリーンが挙げられる。
【0111】
なお、このトレイ付きベルト装置210では、第1実施形態に係るベルト装置10と同様に、無端環状ベルト211の張力を過大にすることなく、無端環状ベルト211の上面をたわませずに水平に保つため、無端環状ベルト211の上側の裏には適宜従動方式のローラ列16が設けられている。
【0112】
(2)製品受け皿
製品受け皿221は、トレイ218から剥げ落ちてくる多孔質の含水シート状ゴム凝析体SCを受ける。なお、この製品受け皿221は、含水シート状ゴム凝析体SCとほぼ同時に落ちてくる残液がたまらないように底がメッシュ状となっている。なお、この製品受け皿221に溜められた含水シート状ゴム凝析体SCは、後に乾燥処理される。
【0113】
(3)排水受け皿
排水受け皿222は、製品受け皿221を通って流れてくる残液を受けるために設けられている。つまり、この排水受け皿222には常に製品受け皿221が乗っている。
【0114】
(4)排水管
排水管223は、排水受け皿222に排出される残液を、図示しない排水タンクへと導く。
【0115】
<第2実施形態の変形例>
(A)
先の実施の形態に係るトレイ218はステンレス製であったが、トレイは、ガラス製であってもよいしホーロー製であってもよい。
【0116】
(B)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ゴムラテックスRL供給前のトレイ218にポリエチレンシート等の付着防止フィルムを引くようにしてもよい。なお、かかる場合、トレイ内表面の親水化は特に必要とされない。
【0117】
(C)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、トレイ218は無端環状ベルト211の幅方向に複数列配置されてもよい。
【0118】
(D)
先の実施の形態に係るゴム凝析シート製造装置201では鉛直面上を周回するトレイ付きベルト装置210が採用されたが、これに代えて、水平面上を周回するトレイ付き周回コンベア装置が採用されてもかまわない。なお、かかる場合、このコンベア装置の一部にコンベアが反転する機構を設けておけば、トレイ付きベルト装置210と同様の利便性を得ることができる。
【0119】
(E)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ゴムラテックスRL、凝析液CLは、連続的にトレイ218に供給されてもよいし、トレイ218間の間隔に合わせて間欠的にトレイ218に供給されてもよい。なお、ゴムラテックスRL、凝析液CLが連続供給される場合、隣接するトレイ218の間隔を極めて狭くするのが好ましい。
【0120】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0121】
200mLのダイキン工業製フッ素ゴムラテックスG901(固形分:26質量%,乳化剤:パーフルオロオクタン酸アンモニウム,乳化剤添加量:水の質量に対して1000wt.ppm)を、水平に静置したステンレス製のトレイ(幅150mmx奥行き250mmx深さ40mm)に流し入れた後、トレイを任意に傾けて同フッ素ゴムラテックスをトレイの底にまんべんなく行き渡るようにし、トレイの底に同フッ素ゴムラテックスの液薄膜を形成した。この後、トレイに300mLの0.07質量%硫酸アルミニウム水溶液をじょうろを用いて散布したところ、60秒経過後に、トレイ底に5〜8mm厚みの多孔質状のシート状ゴム凝析体が形成された。なお、このシート状ゴム凝析体には、直径2〜3mmの孔が観察された。そして、このシート状ゴム凝析体をトレイから引き剥がすと、このシート状ゴム凝析体は破けることなく1枚のシートとして引き剥がされた。なお、残液は透明であった。そして、この残液をビーカーに採取し、そのビーカーに26.6質量%の液状硫酸アルミニウム原液を0.5mL加えて一晩放置したところ、沈殿物(未凝析ゴム)が得られた。なお、この沈殿物の乾燥後の質量は0.1mg以下であった。
【実施例2】
【0122】
200mLのダイキン工業製フッ素ゴムラテックスG901(固形分:26質量%,乳化剤:パーフルオロヘキサン酸アンモニウム,乳化剤添加量:水の質量に対して2000wt.ppm)を、水平に静置したステンレス製のトレイ(幅150mmx奥行き250mmx深さ40mm)に流し入れた後、トレイを任意に傾けて同フッ素ゴムラテックスをトレイの底にまんべんなく行き渡るようにし、トレイの底に同フッ素ゴムラテックスの液薄膜を形成した。この後、トレイに300mLの0.08質量%硫酸アルミニウム水溶液をじょうろを用いて散布したところ、60秒経過後に、トレイ底に5〜8mm厚みの多孔質状のシート状ゴム凝析体が形成された。なお、このシート状ゴム凝析体には、直径1〜2mmの孔が観察された。そして、このシート状ゴム凝析体をトレイから引き剥がすと、このシート状ゴム凝析体は破けることなく1枚のシートとして引き剥がされた。なお、残液は透明であった。そして、この残液をビーカーに採取し、そのビーカーに26.6質量%の液状硫酸アルミニウム原液を0.5mL加えて一晩放置したところ、沈殿物(未凝析ゴム)が得られた。なお、この沈殿物の乾燥後の質量は0.1mg以下であった。
【0123】
(比較例)
200mLのダイキン工業製フッ素ゴムラテックスG901(固形分:26質量%,乳化剤:パーフルオロヘキサン酸アンモニウム,乳化剤添加量:水の質量に対して2000wt.ppm)を、水平に静置したビーカーに流し入れた後、そのビーカーに300mLの0.08質量%硫酸アルミニウム水溶液を注ぎ、内容物をスパチュラで60秒間攪拌したところ、ビーカー底に凝集物が観察された。この凝集物を取り除き、残液を観察すると僅かに白濁していた。そして、その残液を他のビーカーに採取し、そのビーカーに26.6質量%の液状硫酸アルミニウム原液を0.5mL加えて一晩放置したところ、沈殿物(未凝析ゴム)が得られた。なお、この沈殿物の乾燥後の質量は135mg以下であった。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に係る長尺ゴム凝析体製造方法は、従来よりも未架橋ゴムシート成形に費やされる時間を大幅に短縮することができ、ひいては未架橋ゴムシートの成形コストを低減することができるという特徴を有しており、ラテックスゴムの凝析方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の第1実施形態に係る長尺ゴム凝析体製造装置の一部の構成を表す簡略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る長尺ゴム凝析体製造装置の他部の構成を表す簡略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る長尺ゴム凝析体製造装置のA−A断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る長尺ゴム凝析体製造装置に設けられる下側乾燥ガイドローラの縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る長尺ゴム凝析体製造装置に設けられる第2乾燥ガイドローラの縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るシート状ゴム凝析体製造装置の簡略構成図である。
【符号の説明】
【0126】
11 無端環状ベルト(基材)
11b 壁部
12 従ローラ(ローラ)
13 駆動ローラ(ローラ)
71 加圧ローラ
CL 凝析液
LC 長尺ゴム凝析シート(長尺ゴム凝析体)
Pf 水平部分
Ph 高位部分
RL ゴムラテックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムラテックス(RL)を凝析液(CL)に連続的に接触させて含水長尺ゴム凝析体を製造する含水長尺ゴム凝析体製造工程と、
前記含水長尺ゴム凝析体中の水分を低減させる含水長尺ゴム凝析体脱水工程と
を備える長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項2】
前記含水長尺ゴム凝析体製造工程では、前記ゴムラテックスが連続的に基材(11)に注がれた後に、前記基材上の前記ゴムラテックスに特定位置から前記凝析液が掛けられて、順次、前記含水長尺ゴム凝析体が製造され、
前記含水長尺ゴム凝析体製造工程において製造された前記含水長尺ゴム凝析体を前記基材から剥離する含水長尺ゴム凝析体剥離工程をさらに備え、
前記含水長尺ゴム凝析体脱水工程では、前記含水長尺ゴム凝析体剥離工程において前記基材から剥離された前記含水長尺ゴム凝析体中の水分が低減される
請求項1に記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項3】
前記含水長尺ゴム凝析体が剥離された後の前記基材に付着する付着物を除去する付着物除去工程をさらに備える、
請求項2に記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項4】
前記含水長尺ゴム凝析体脱水工程は、含水長尺ゴム凝析体加圧工程と、含水長尺ゴム凝析体風乾工程とを含み、
前記含水長尺ゴム凝析体加圧工程では、少なくとも一対の加圧ローラ(71)の間に前記含水長尺ゴム凝析体が通され、
含水長尺ゴム凝析体風乾工程では、前記含水長尺ゴム凝析体加圧工程後の前記含水長尺ゴム凝析体が風乾燥される
請求項2又は3に記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項5】
前記含水長尺ゴム凝析体剥離工程において前記基材から剥離された前記含水長尺ゴム凝析体を水洗する含水長尺ゴム凝析体洗浄工程をさらに備える
請求項2から4のいずれかに記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項6】
前記基材は、上部の一部が水平となるように少なくとも2本のローラ(12,13)に張架られ一定の軌道上を周回する無端環状ベルトである、
請求項2から5のいずれかに記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項7】
前記無端環状ベルトは、外表面から周方向に沿って全周に渡って立設される壁部(11b)を少なくとも2つ有し、水平部分(Pf)の前後に水平部分よりも高い高位部分(Ph)を有するように前記ローラに張架られている、
請求項6に記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項8】
前記無端環状ベルトは、外表面から周方向に沿って全周に渡って立設される壁部を少なくとも2つ有し、
前記壁部の間に前記無端環状ベルトと僅かな隙間をもって配置される液止め壁が設けられる
請求項6に記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項9】
前記無端環状ベルトには、振動が加えられる
請求項6から8のいずれかに記載の長尺ゴム凝析体製造方法。
【請求項10】
容器(218)に所定量のゴムラテックス(RL)を張るゴムラテックス投入工程と、
前記容器に張られたゴムラテックスに凝析液(CL)を接触させて含水シート状ゴム凝析体(SC)を製造する含水シート状ゴム凝析体製造工程と、
前記含水シート状ゴム凝析体中の水分を低減させる含水シート状ゴム凝析体脱水工程と
を備えるシート状ゴム凝析体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−178854(P2009−178854A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17346(P2008−17346)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】