説明

長方形板状部材の位置決め固定機構

【課題】長方形板状部材に大きい位置ずれや強い圧力が加わることのない長方形板状部材の位置決め固定機構を提供する。
【解決手段】長方形板状部材1を下側支持部材2と上側支持部材3とで挟んで支持する位置決め固定機構において、前記下側支持部材2に前記長方形板状部材1を載せて高さ方向位置を決める高さ基準面2eを前記長方形板状部材1の4辺近傍に夫々設け、前記下側支持部材2に前記長方形板状部材1の4辺の少なくとも1つの端面と当接して前記長方形板状部材1の幅または長さ方向位置を決める位置基準面2fを設け、前記上側支持部材3に前記長方形板状部材1を前記高さ基準面方向2eおよび位置基準面2f方向に押圧する弾性部材3aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は長方形板状部材の位置決め固定機構に係わり、特に、その構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置等に搭載されるLCDの位置決め固定機構の例を図4に示す。図4に示すパネル5は長方形板状部材に形成されたLCD1を表示面側(図4では下面となっている)から支持するもので表示窓5aが設けられている。実際にはLCD1はその表示面を立てるようにして用いられるが、本明細書では便宜上パネル5はLCD1を下から支えると表現する。
【0003】
パネル5にはLCD1の4辺に対応して位置決めリブ5b、5b…が4個設けられ、位置決めリブ5bには高さ基準面5cおよび位置基準面5dが夫々設けられている。位置基準面5dは図5では水平面であり、位置基準面5dは2面が対向する垂直面となっている。板金フレーム6はパネル5に載置されたLCD1の背面を押えるようにパネル5に締着され、LCD1をパネル5と板金フレーム6とで挟んで固定する。
【0004】
通常LCDの外形寸法の公差は構造上、大きく設定されている。図4に示すLCDの位置決め固定機構では、LCDの公差に見合うように位置基準面5d、5d間の寸法を設定すると、図4にCで示すクリアランスが大きくなり、パネル5とLCD1のガタが大きくなる。また、LCD1が偏った位置にくるとLCD1の非表示エリアがパネル5の表示窓5aから露出してしまう場合があった。
【0005】
従来のLCDの位置決め固定機構の他の例を図5に示す。図5に示すパネル7は長方形板状部材に形成されたLCD1を表示面側から支持するもので表示窓7aが設けられている。パネル7にはLCD1の4辺に対応して位置決めリブ7b、7b…が4個設けられ、位置決めリブ7bには高さ基準面7cが夫々設けられている。板金フレーム8はパネル7の高さ基準面7c、7c…に載置されたLCD1の背面を押えるようにパネル7に締着され、LCD1をパネル7と板金フレーム8とで挟んで固定する。
【0006】
板金フレーム8にはLCD1の4辺に対応する位置に位置決め舌片8a、8a…が曲げ形成されている。LCD1は位置決め舌片8a、8a…に挟まれて幅および長さ方向位置の位置が決められ、また、高さ基準面7c、7c…に圧接されることにより高さ方向の位置が決められる。
【0007】
上記図5に示す従来のLCDの位置決め固定機構では、剛体である板金フレーム8でLCD1の側面を挟んで位置決めするので、板金フレーム8およびLCD1の双方の寸法公差によりLCD1に強い側圧が加わりLCD1に画像等を表示したときに干渉縞が発生することがあった。
【0008】
また、LCDはパネルにより直接位置決めすることが好ましいが、図5に示す従来のLCDの位置決め固定機構では、板金フレーム8を介在させて位置決めしているため、寸法がばらつく要素が増えて、大きい寸法誤差が生じるとLCD1がパネル7に対して大きく位置ずれしてLCD1の非表示エリアが表示窓7aから露出してしまう場合があった。
【0009】
特開2003−332770号公報に開示された基板保持装置では、LCDをフロントケース6とホルダ3で挟んで固定し、フロントケース6で高さ方向の位置が決められ、ホルダ3で幅および長さ方向位置の位置が決められる。この基板保持装置でも図5に示すものと同様に剛体であるホルダ3でLCD1の側面を挟んで位置決めするので、大きい寸法誤差が生じると、LCD1に画像等を表示したときに干渉縞が発生したり、LCD1の非表示エリアがフロントケース6の表示窓から露出してしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2003−332770号公報、段落0019、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、長方形板状部材に大きい位置ずれが生じることのない長方形板状部材の位置決め固定機構を提供することにある。
【0011】
この発明の他の目的は、長方形板状部材に強い圧力が加わることのない長方形板状部材の位置決め固定機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の長方形板状部材の位置決め固定機構は、長方形板状部材を下側支持部材と上側支持部材とで挟んで支持する位置決め固定機構において、前記下側支持部材に前記長方形板状部材を載せて高さ方向位置を決める高さ基準面を前記長方形板状部材の4辺近傍に夫々設け、前記下側支持部材に前記長方形板状部材の4辺の少なくとも1つの端面と当接して前記長方形板状部材の幅または長さ方向位置を決める位置基準面を設け、前記上側支持部材に前記長方形板状部材を前記高さ基準面方向および位置基準面方向に押圧する弾性部材を設けたものである。
【0013】
また、前記長方形板状部材の位置決め固定機構において、前記下側支持部材に前記長方形板状部材の隣合う2辺の端面と夫々当接して前記長方形板状部材の幅および長さ方向位置を決める位置基準面を夫々設け、前記上側支持部材に前記長方形板状部材の前記2辺と対向する辺を前記高さ基準面方向および位置基準面方向に押圧する弾性部材を夫々設けたものである。
【0014】
また、同長方形板状部材の位置決め固定機構において、前記下側支持部材に前記長方形板状部材の隣合う2辺の端面と夫々当接して前記長方形板状部材の幅および長さ方向位置を決める位置基準面を夫々設け、前記上側支持部材に前記長方形板状部材の前記2辺が挟む角と対向する角を前記高さ基準面方向および位置基準面方向に押圧する弾性部材を設けたものである。
【0015】
さらに、前記各長方形板状部材の位置決め固定機構において、前記長方形板状部材をLCDとし、前記下側支持部材をLCDの表示部を露出する窓が設けられたパネルとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明の長方形板状部材の位置決め固定機構によれば、長方形板状部材と各支持部材との間にガタがなくなるため、ラトル音が発生しない。
【0017】
また、この発明をLCDの位置決め固定機構に適用した場合、LCDに強い側圧が加わることがなく、LCDに画像等を表示したときに干渉縞が発生することがない。
【0018】
さらに、この発明をLCDの位置決め固定機構に適用した場合、LCDがパネルに対して大きく位置ずれしないため、LCDの非表示エリアがハネルの表示窓から露出することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1はこの発明の実施例1であるLCDの位置決め固定機構を示す分解断面図である。図1に示すパネル2は長方形板状部材に形成されたLCD1を表示面側から支持するもので表示窓2aが設けられている。パネル2にはLCD1の対向する短辺に対応して位置決めリブ2c、2dが設けられており、位置決めリブ2cには水平面である高さ基準面2eおよび垂直面である位置基準面2fが設けられている。位置決めリブ2dには高さ基準面2eが設けられている。
【0021】
なお、図示していないがパネル2にはLCD1の対向する長辺に対応して位置決めリブ夫々設けられており、その位置決めリブには高さ基準面と位置決め基準面とが形成されており、位置決め基準面の間隔はパネル2とLCD1の寸法公差を許容して位置決め基準面がLCD1の側面に圧接しない間隔となっている。
【0022】
板金フレーム3には切り起しにより板ばね部材3aが形成されている。板ばね部材3aはLCD1の位置基準面2f当接する辺と対向する辺の上角と圧接する位置に配置されており、板金フレーム3がパネル2に締着されると、LCD1を各位置決めリブの高さ基準面に圧接し、また、LCD1の位置基準面2fと当接する端面を位置基準面2fに圧接する。このようにして、LCD1の長さ方向位置と高さ方向位置が位置決めされてLCD1が固定される。
【0023】
この例では、LCD1の長さ方向位置と高さ方向位置が正確に位置決めされ、LCD1の幅方向位置は寸法公差にり必要なクリアランスの範囲で位置決めされるが、LCD1の対向する短辺に対応させて、位置決め基準面と板ばね部材を設けることによりLCD1の長辺および短辺方向位置を正確に決めることができる。そして、板ばね部材の弾力を適切な強さに設定することにより、LCD1に過度の圧接力が加わらないようにすることができる。
【実施例2】
【0024】
図2はこの発明の実施例2であるLCDの位置決め固定機構に用いられる板金フレームを示す斜視図、図3は同板金フレームの部分を示す拡大斜視図である。この例で用いられる板金フレーム4には下から斜め上方に延びる板ばね部材4a、4aが2個形成されている。この板金フレーム4は実施例1の板金フレーム3に置き換えて用いられており、他の構成は実施例1と同様である。
【0025】
この例では板ばね部材4a、4aがLCDの角を2位置で押圧するので、LCDが均一に位置決め基準面および高さ基準面に圧接され、板ばね部材は1か所のみで曲げられているので、変形が安定して振動によるラトル音がさらに抑制される。また、板ばね部材が1か所で曲げられているので、板ばね部材の形成が容易であり製造コストが安くなる。
【0026】
実施例は以上にように形成されているが、発明はこれに限られず、例えば、長方形板状部材の隣合う2辺を位置決めする位置決め基準面と、この2辺が挟む角と対向する角の上端を斜め下方に圧接する弾性部材を設けてもこの発明の効果を奏する。
【0027】
また、LCD以外の長方形板状部材にこの発明を適用することができ、さらに、長方形板状部材を位置決め基準面および高さ基準面に圧接する板ばね部材の代わりに、樹脂ばね、圧縮コイルばね等の弾性部材を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施例1であるLCDの位置決め固定機構を示す分解断面図である。
【図2】この発明の実施例2であるLCDの位置決め固定機構に用いられる板金フレームを示す斜視図である。
【図3】同板金フレームの部分を示す拡大斜視図である。
【図4】従来のLCDの位置決め固定機構の例を示す分解斜視図である。
【図5】従来のLCDの位置決め固定機構の他の例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 LCD
2 パネル、2a 窓、2c、2d 位置決めリブ、2e 高さ基準面、2f 位置基準面
3 板金フレーム、3a 板ばね部材
4 板金フレーム、4a 板ばね部材
5 パネル、5a 窓、5b 位置決めリブ、5c 高さ基準面、5d 位置基準面
6 板金フレーム
7 パネル、7a 窓、7b 位置決めリブ、7c 高さ基準面
8 板金フレーム、8a 位置決め舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形板状部材を下側支持部材と上側支持部材とで挟んで支持する位置決め固定機構において、前記下側支持部材に前記長方形板状部材を載せて高さ方向位置を決める高さ基準面を前記長方形板状部材の4辺近傍に夫々設け、前記下側支持部材に前記長方形板状部材の4辺の少なくとも1つの端面と当接して前記長方形板状部材の幅または長さ方向位置を決める位置基準面を設け、前記上側支持部材に前記長方形板状部材を前記高さ基準面方向および位置基準面方向に押圧する弾性部材を設けた長方形板状部材の位置決め固定機構。
【請求項2】
前記下側支持部材に前記長方形板状部材の隣合う2辺の端面と夫々当接して前記長方形板状部材の幅および長さ方向位置を決める位置基準面を夫々設け、前記上側支持部材に前記長方形板状部材の前記2辺と対向する辺を前記高さ基準面方向および位置基準面方向に押圧する弾性部材を夫々設けた請求項1の長方形板状部材の位置決め固定機構。
【請求項3】
前記下側支持部材に前記長方形板状部材の隣合う2辺の端面と夫々当接して前記長方形板状部材の幅および長さ方向位置を決める位置基準面を夫々設け、前記上側支持部材に前記長方形板状部材の前記2辺が挟む角と対向する角を前記高さ基準面方向および位置基準面方向に押圧する弾性部材を設けた請求項1の長方形板状部材の位置決め固定機構。
【請求項4】
前記長方形板状部材がLCDであり、前記下側支持部材がLCDの表示部を露出する窓が設けられたパネルである請求項1から3のいずれかに記載した長方形板状部材の位置決め固定機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−233153(P2008−233153A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68187(P2007−68187)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】