説明

長穴の面取りも出来る面取りカッター

【課題】従来の面取りカッターでは、高速穴面取りと長穴の面取り加工はフライス盤や
マシニングセンタ等で加工をしなくてはいけなかったが、本発明の面取りカッターは
高速穴面取りと長穴の面取り加工を、ボール盤での加工を可能とする事が出来る。
【解決手段】弾性力を有するガイド(3)を設ける事により被加工物(13)の内面に対し、より強
く圧接せしめる事が可能になり被加工物と面取りカッターとのビリを抑える事が出来、
今まで不可能だった高速穴面取りおよびボール盤での長穴の面取り加工を可能にす
る事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本体先部に弾性体ガイドを設けた事により丸穴はもとより長穴の面取り
がボール盤での高速回転加工を可能にした面取りカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、面取り加工をボール盤で行う場合、内面を保持するガイドを有しない面取り
カッターを使用するのが一般的な為、大径の面取り加工の際、加工面にビビリが生じ
ると云う欠点を補う必要上切削回転数を著しく下げる事を余儀なくされていた結果、作
業能率の低下及び面祖度の低下を招いている。
【非特許文献1】http://www.nttool.com/seihin/mentori.html 参照
【0003】
従来の面取りカッターの大部分の構造は、逆三角形の斜面に放射状に切られた
溝刃が1枚から複数枚と云う構造の為、溝刃が磨耗した際の再研磨は容易でなく耐
久性も非常に劣るものである。
【0004】
又、従来の面取りカッターでは其の構造上、ボール盤での長穴の面取りは不可能
で対象外である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の面取りカッターは大径になる程ビビリが生じ安くなる為、それを解消する手
段として低速回転を強いられた結果、面祖度の著しい低下とそれに伴うバリの除去等
の事後処理による作業効率の低下を招いている。
【0006】
又、切刃に至っては其の大部分に於いて超硬度の材質を使用していない物が多く、耐久性も低く不経済的である。
【0007】
現在の面取り加工に於いて、長穴の面取り加工に関してはボール盤では不可能
である為、フライス盤等の機械に依存を余儀なくされていて、面取りと云う直接利益に
関わらない簡単な工程に多大な時間と労力を費やしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は面取りカッター本体の先部に回転自在な弾性体ガイドを設ける事により、
其のガイドが被加工物の内面を圧接せしめる事により、高速回転での面取り加工で
あってもビビリを抑え安定した結果が得られるものである。
【0009】
又、弾性力を有するガイドを設ける事により被加工物の内面に対し、より強く圧
接せしめる事が可能になり、従来不可能であったボール盤での長穴の面取り加工を
可能にする事が出来るものである。
【0010】
本発明の面取りカッターのヘッドに設けられた切刃は超硬度の材質であり非常に
耐久性に優れ、しかも市販されている切刃を装着する事が出来る様に設計されてい
る為、容易に切刃を入手する事が可能で手軽に交換が出来る利点も有る。
【発明の効果】
【0011】
本発明は面取りカッター本体の先部に弾性体ガイドを設けた事により面取り加工時に
切刃が被加工物の角部に接する以前にガイドが内接する為、カッター本体が左右に
対して非常に高い安定度を保つ事になり又、ガイドが回転自在の作用により被加工
物の内面を損傷させる事なく高速回転切削が得られる結果、面祖度の著しい向上と
作業の効率化を計る事を可能にする事が出来るものである。
【0012】
更に弾性体ガイドを設けた事による最大の効果は従来の常識では不可能とされて
来たボール盤で長穴の面取り加工も弾性力を有した回転自在のガイドを使用する事
により被加工物の内面を損傷させる事なく強力に圧接が出来る様になった結果、可
能にする事が出来るものである。
【実施例1】
【0013】
以下本発明の実施例を図面に基づき説明する。
本発明は図1に示す様に面取りカッター本体(1)の先端に円錐形の誘導駒(2)と隣
接しているガイド(3)によりカッターヘッド(5)上に回転軸線(Y)に対して45度の角度をなし、
設けられた切刃(4)で面取りすべき部分を切削出来るようになっている。
【0014】
更に図面2で詳しく説明すると先ず先端の誘導駒(2)によって回転自在のガイド(3)
を面取りすべき穴の内部に誘導し内面(b)に密着させ本体のブレを抑え、安定した状
態にした後、切刃(4)により口元(a)部を面取りし得るものである。
【0015】
又、長穴の面取りに於いては丸穴より更に高い安定切削が求められる為、図3
が示すように切刃の数も相対する位置に2枚設けガイド(3)も弾性力のより強固な物
に交換する事により安定した面取りを行う事が出来るものである。
【0016】
尚、図4は誘導駒(2)、ガイド(3)、切刃(4)の各部品が簡単に分解及び交換が出来るさま
を表したものであり、これによって多口径に対応する為の部品の交換が容易に且つ
迅速に行う事が出来ることを示したものである。
【0017】
ガイド(3)に使用される弾性体については樹脂、ゴム、バネ類等、弾性力を有して
いるものであれば其の材質を問うものではない。
【0018】
図5は面取りカッター本体(1)に面取り時の深さストッパー及び面取りサイズ調整装置を装着させた面取りカッターで、ストッパー調整リング(7)を左右に回転させる事によりスラストベアリン(8)を先端に装着してあるストッパーリング(6)が上下し、切刃(4)が被加工物(13)に当たる面取り部(a)を任意に調整出来る為、スラストベアリング(8)を被加工物(13)の上面に押し当て長穴の面取り加工をする事により、ボール盤等を使用した面取り加工においても任意に調整した寸法を保持しながら安定した長穴の面取り加工を可能とした。また、ストッパー調整リング(7)とストッパーリング(6)は面取りカッター本体(1)とは回動自在に取り付けてあり且つ被加工物(13)に接するストッパー部分をスラストベアリング(8)とする事により被加工物(13)の上面のストッパーの接する部分にキズを付けない様にした。無論、長穴の面取りだけで無く丸穴の面取り加工も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】切刃1枚を設けた面取りカッターである。
【図2】面取り加工時を示したものである。
【図3】切刃2枚を設けた面取りカッターである。
【図4】面取りカッターの分解図である。
【図5】面取りのストッパー及び調整装置付の面取りカッター
【図6】面取りのストッパー及び調整装置付の面取りカッターの斜図
【符号の説明】
【0020】
1...面取りカッター本体
2...誘導駒
3...弾性体ガイド
4...切刃
5...カッターヘッド
6...ストッパーリング
7...ストッパー調整リング
8...スラストベアリング
9...ボールゲアリング
10...抜け止めカバー
11...スナップリング
12...ネジ
13...ネジ式調整部
a...面取り部
b...被加工物の内面
C...被加工物
Y...軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な超硬度の切刃(4)1枚または複数枚設けたカッターヘッド(5)と其の先に回転自在な弾
性体ガイド(3)及び先端に円錐形の誘導駒(2)を設けた以上のごとく構成された面取りカッタ
ー。
【請求項2】
弾性力を有する回転自在なガイド(3)を設ける事により長穴の面取りが可能になった
請求項1の面取りカッター。
【請求項3】
多口径の面取りに対応すべく多種径の回転自在な弾性体ガイド(3)が交換出来る請
求項1の面取りカッター。
【請求項4】
面取りカッター本体(1)のカッターヘッド(5)寄りの軸にボールベアリング(9)をスナップリング(11)で抜けない様に固定してあり、下部にベアリング(9)の底部を支えるツバ(段差)の構造を待つストッパー調整リング(7)をボールベアリング(9)の外周にはめ込み上部を抜け止めカバー(10)をネジ(12)で固定する事によりガタが無く回動自在に面取りカッター本体(1)にストッパー調整リング(7)を取り付ける事を可能とし、スラストベアリング(8)を底部に抜けない様に取り付けたストッパーリング(6)をネジ式調整部(13)を介してストッパー調整リング(7)と結合させ、スラストベアリング(8)を被加工物(13)の上面に押し当て長穴の面取り加工をする事によりボール盤等の使用においても常に一定の大きさを保持し安定した面取り加工が可能となり、ストッパー調整リング(7)を回転調整する事により切刃(4)に対しストッパーリング(6)、スラストベアリング(8)が上下する構造を持つ事により、面取りの大きさを任意に調整する事を可能とした請求項1の長穴及び丸穴用面取りカッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−110886(P2010−110886A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10053(P2009−10053)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(708003178)
【Fターム(参考)】