閃光放電管用陰極材の製造方法、閃光放電管用陰極材、及びそれを用いた閃光放電管用電極
【課題】放電管が細管化し、電極が小型化しても製造容易な閃光放電管用陰極材の製造方法を提供する。
【解決手段】タンタル、ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を用いて生成され、多孔質である焼結体の空孔に、セシウム化合物等の電子放射物質を含浸させてなる閃光放電管用陰極材であって、前記焼結体用金属粉末をペレット状に成形し、焼結した後に切断し、電子放射性物質を含浸させることを特徴とした閃光放電管用陰極材の製造方法。
【解決手段】タンタル、ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を用いて生成され、多孔質である焼結体の空孔に、セシウム化合物等の電子放射物質を含浸させてなる閃光放電管用陰極材であって、前記焼結体用金属粉末をペレット状に成形し、焼結した後に切断し、電子放射性物質を含浸させることを特徴とした閃光放電管用陰極材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、写真撮影用の人工光源として用いられる閃光放電管の陰極材の製造方法及び陰極材とその陰極材を備えた閃光放電用電極、及びそれらを備えた閃光放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
閃光放電管は、両端にアノード電極とカソード電極が対向して封止されたガラスバルブの内部に希ガスを封入し、両電極間に生ずるアーク放電によって発光する。このような放電管の始動特性を向上させるために、電子放射性物質(エミッタ)を含浸させた陰極材(焼結電極構体)が用いられている。
【0003】
このような陰極材として、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ニッケル等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を1種又は2種以上混合し、圧力成形した後、焼結して生成される焼結体にエミッタを含浸させたものが提案されている。(例えば、特許文献1)
また、エミッタには、炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等のセシウム化合物が用いられ、これらを水やアルコールに溶かした溶液中に、焼結体を浸漬させることにより、焼結体の空孔にセシウム化合物を含浸させて陰極材を得ていた。
【特許文献1】特開2006−114296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閃光放電管は、従来よりストロボ装置の光源として利用され、種々のものが提案、あるいは実用化されており、そのガラスバルブの外径寸法も、近年、写真用カメラの内蔵ストロボ用光源等への適用から細管化が強く望まれている。
【0005】
しかしながら、ガラスバルブの外径を細くすると当然の事ながら内径も細くなり、ガラスバルブ内部に封止される電極も小型のものが要求される。ガラスバルブの内径が1.2mm以下の極めて細い閃光放電管になると、電極としての体積を維持しつつ小型化の要求を達成するため、陰極材は径と長さの比率で1:1に近く形成される。
【0006】
放電管の有効発光長を確保する点からも使用される陰極材に小型化が要求されるが、陰極材の先端部分は放電時の衝撃や陽極側から多大な輻射熱・対流熱を受けるため、陰極材の長寿命化にはエミッタの含有量を確保し、また電極として大電流に耐えるために十分な体積が必要とされる。
【0007】
エミッタの含有量調節のために、焼結体に形成される空孔は大小様々の径で分布するが、焼結体体積に対して気孔率の小さい場合にはセシウム化合物の含有量が不足し、最低発光電圧が高くなって発光不良となり易く、一方、気孔率が大きい場合には含有量過多になってスパッタリングが発生し易くなり(スパッタリング率が高くなり)、特に放電時に大電流が流れるキセノン放電管においては、電極が溶融し発光寿命が低下してしまう。
【0008】
前述のように焼結体は、金属粉末を1種又は2種以上混合し、圧力形成した後、焼結して生成するが、空孔を残すことのできる圧力によって金属粉末を成形しなければならず、また2種類以上の金属粉末を用いる場合、粒径、融点、不純ガス吸着性、仕事関数等の特性の異なる組成の粉末が混合されることから、小型に成形することが難しい。
【0009】
一般的に、焼結体の成形は金型内に金属粉末を入れ、圧力によって成形しているが、寸法を小型化しすぎると金型内で正確な寸法で成形できないばかりでなく、型開きの際に型から浮き上がって型崩れを起こすこととなる。
【0010】
さらに、焼結体の体積が小さいと、焼結時の条件変化による影響を受けやすいほか、同じ縮小率であっても焼結体全体の寸法への影響が大きいことから、焼結体の仕上がり寸法や気孔率にバラツキが生じてしまう。
【0011】
そこで本発明は、このような実情に鑑み、製造が容易でありながら、電極の小型化に対応できる閃光放電管用陰極材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る閃光放電管用陰極材の製造方法は、タンタル、ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を用いて生成され、多孔質である焼結体の空孔に、セシウム化合物等の電子放射物質を含浸させてなる閃光放電管用陰極材の製造方法であって、前記焼結材用金属粉末をペレット状に形成し、前記ペレットを焼結した後に切断し、エミッタを含浸させて陰極材を得ることを特徴とする。
【0013】
前記陰極材は、焼結体用金属粉末を、電子放射性物質を含浸させるのに適するよう、空孔を残すことができる圧力によってペレット状に成形し、前記ペレットを焼結して得られた焼結体を電極に用いる大きさに切断し、エミッタとして炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等のセシウム化合物を水やアルコールに溶かした溶液中に切断した前記焼結体を浸漬して、前記焼結体の空孔にセシウム化合物を含浸充填させ、陰極材とする。その後、前記陰極材を電極芯に取付け電極として用いる。
【0014】
かかる構成は、小型でありながらエミッタ含有量を確保し大電流に耐える十分な体積となるように、陰極材を径と長さの比率を1:1に近い形で形成する場合に適している。こうした形状は、焼結体を適度な空孔率を確保して形成しながら、同時に焼結時の縮小率等の影響によって焼結体寸法の管理を行うことが難しいため、焼結体を圧力形成しやすい程度の大きさに成形し、焼結してから目的の寸法に切断するものである。
【0015】
また、焼結体用金属粉末を小型の焼結体に圧力成形する際、気孔率を維持しながら成形することは難しく、金型で成形し型開きする際などに型崩れが起こり易いが、本願発明では型崩れしにくい大きさで成形し焼結した後、小型に切断することから型崩れが起きず、作業性に優れている。
【0016】
加えて、陰極材の径と長さの比率を1:1に近い形で形成することにより、閃光放電管長手方向の陰極材の長さを短くすることができ、ガラス管内に封止される電極部分の長さを短くすることが可能となる。これにより閃光放電管の有効発光長が延長されるが、従来の閃光放電管と同じ有効発光長に設定する場合には、これまで電極の占めていた空間を縮めてガラス管全体を小型に設計することが可能となる。
【0017】
従来より焼結体の切断はカッターや、微細な口径より水流を超高速で噴射させるウォーターカッターにて行っているが、本願請求項2に係る製造方法では前記ペレットをレーザー光の照射によって切断する。またレーザー光の照射によって、前記焼結体の切断面が平坦化されていることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、レーザー光の照射によって前記ペレットが切断されると同時に、切断面の金属粉末が溶融し、切断面表面にある金属粉末の粒子間の空孔が埋められ、焼結体表面に空孔のない平坦な面ができる。これにより金属粉末粒子によって凹凸のある場合に比べ、焼結体表面に平坦な面を広く確保することができる。
【0019】
カッターやレーザー光照射による切断の後は、セシウム化合物を水やアルコールに溶かした溶液中に焼結体を浸漬してエミッタを含浸させ、乾燥させ、陰極材とし、これを電極芯に取り付け、閃光放電管用電極として使用する。電極芯取り付けの際には、前記平坦な面をガラス管内で対向する電極側に配置することが望ましい。
【0020】
上記の構成を採用する事により、本発明にかかる閃光放電管用電極は前記陰極材の平坦な面を陽極側の端面とすることで、熱容量を大きくし耐熱性を向上させるために必要な平坦面を広く確保でき、大電流を受ける電極として最適となる。電極芯の先端に近く高温になる陽極側の端面にはエミッタを放出する空孔が空いていないので、陽極側端面の陰極材表面に空孔が残っている場合に比べ、放電時の大電流や熱によって空孔からエミッタが必要以上に蒸発する恐れがなく、結果、不要な蒸発でガラスバルブ内に飛散してしまうエミッタが少なくなり、ガラスバルブ内にエミッタが付着することがないので、ガラスバルブの黒化が起こりにくくなる。また、ガラスバルブへの付着によって失われるエミッタも少ないことから、含浸させるエミッタの量から飛散して失われてしまうエミッタの量を節減する事ができるので、体積が小さく含浸可能なエミッタの量の少ない小型の陰極材であっても、十分な量のエミッタを放電管内に供給可能となる。
【0021】
一方、陰極材の平坦な面以外の面には空孔があるため、放電に必要なエミッタが空孔から熱拡散されることで、発光作動時のスパッタリング率が低減化が可能となり、最低発光電圧の上昇、光量低下、電極の溶解が抑制され、閃光放電管の性能品質の安定化を図ることが可能となる。
【0022】
以上のように、本発明に係る陰極材を閃光放電管の電極に採用すれば、放電時の大電流と高温によって電極芯に近い先端部分から蒸発してしまうエミッタの量を少なく抑える事ができると同時に、放電に必要なエミッタは陰極材の他端面から熱拡散によって得られ、エミッタの蒸発量を制御する事ができることから、焼結体が小型化され含浸させるエミッタの量が少なくなっても放電管の長寿命化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る閃光放電管を示す。この閃光放電管1は、ガラスバルブ2の両端に封止部材(図示せず)を介してアノード電極3とカソード電極4とが封入され、ガラスバルブ2の外周面全周方向にトリガー電極5が形成され、前記カソード電極4には、例えば円筒形状の閃光放電管用陰極材61(焼結体60を用いる)がかしめ・ロウ付け・レーザー光照射による溶接等により取り付けられている。
【0024】
閃光放電管用陰極材61は、タンタル・ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末6aを用いて、圧力によって形成されたのち焼結されるため、金属粉末間に空孔6bのある多孔質構造になっている。エミッタ6cとして炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等のセシウム化合物を水やアルコールに溶かした溶液中に焼結体60を浸漬し、焼結体60の空孔6bにセシウム化合物を含浸充填させる。
【0025】
図2は、焼結体60の内部構造であって、焼結材用金属粉末6aと金属粉末間に空孔6bからなる多孔質構造であることを示す概略図、図3は焼結体60の多孔質構造にエミッタ6cを含浸充填させた陰極材61内部構造の概要図である。
【0026】
図4は本発明に係る閃光放電管用カソード電極4の概略図である。カソード電極4は本願発明に係る閃光放電管用陰極材61または63を、電極芯7にかしめ・ロウ付け・レーザー光照射による溶接等により取り付けてなる。
【0027】
図5は、本願請求項2記載の方法によって切断された焼結体62に、エミッタ6c含浸させ、陰極材63として採用したカソード電極4の概要図であり、図6は、陰極材63を電極芯7に直交する(図5A−A方向)方向で切断した際の内部構造を示す概要図である。
【0028】
閃光放電管用陰極材61の製造プロセスは、例えば図13のように示される。
まず、原料粉末として、タンタル粉末(例えば、粒子形状:不定形(粉砕粉)、平均粒径:6μm,10μmのもの)、ニオブ粉末(例えば、粒子形状:不定形(粉砕粉)、平均粒径:6μm,10μmのもの)等を用意する。
【0029】
造粒工程では、原料粉末にバインダー(樹脂)と溶剤を添加し、混錬、乾燥、粉砕、分級(例えば、−300メッシュ)を行う。成型工程では、円筒型、円柱型等の成形型に合わせて成形処理する。この時、電極に取り付ける陰極材一個としての大きさで形成せず、適度な空孔率を確保できる圧力で形成出来るように、また焼結時の型崩れを防ぐために、ペレット状に成形する。
【0030】
焼結工程では、成形されたペレット10を略1000〜1800℃の高温で焼結する。
【0031】
切断工程では、焼結されたペレット10をカッターやウェーターカッターなどの切断手段11によって、例えば図7のように、閃光放電管用陰極材61の大きさとなるよう、ペレット10の長手方向に直交する方向で切断し、円筒形状に加工する。焼結した後のペレット10を切断するので、焼結に伴いペレット10が縮小していても、陰極材61として用いるための正確な寸法で焼結体60を切断する事が可能であり、ペレット10焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも焼結体60が製造できる。
図8は、請求項2記載の発明にかかるレーザー光照射による焼結体切断の概要図である。
ペレット10は前述のように成形し、レーザー光21をペレット10に照射して切断する。切断時にレーザー光21の照射によってペレット10の切断面20が溶解し、切断面20に多数形成されていた焼結体用金属粉末6a間の空孔6bが埋められて平坦化した切断面20aが得られる。本実施例では、図9に示すように、ペレット10を二分割することで、前記平坦面20aはレーザー光21の照射された一面のみにでき、一面のみが平坦化した焼結体62が得られる。
【0032】
また、ペレット10として焼結した後に、レーザー光21の照射によって切断するので、焼結に伴いペレット10が縮小しても陰極材63として用いるための正確な寸法で焼結体62を切断する事が可能となり、焼結体の焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも陰極材63が製造できる。
図10は、レーザ光21によってペレット10が切断され、平坦化した切断面20aが得られた後の焼結体62内部構造を拡大し、概念的に表した図である。
図11は、焼結体62にエミッタ6cを含浸させて陰極材63へと加工した後の内部構造を拡大し、概念的に表した図である。
【0033】
前記切断工程の後に、前記焼結体62をセシウム化合物などを用いたエミッタ6c溶解溶液中に浸漬させ、空孔6bにエミッタ6cを含浸させた後、乾燥させ陰極材63を得る。なお、エミッタ6cは真空含浸によって焼結体6の空孔6bに被着させてもよい。
【0034】
最後に陰極材61、または63を電極芯7に取り付けて電極4とし、これをガラスバルブ2の少なくとも陰極側に封止して閃光放電管1ができる。
【0035】
前記構成により陰極材61は、焼結材用金属粉末6aを成形しやすい大きさで成形し焼結した後、小型に切断することから、焼結体の焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも製造できる。
【0036】
加えて、陰極材61の径と長さの比率を1:1に近い形で形成することにより、閃光放電管長手方向の陰極材の長さを短くすることができ、ガラス管内に封止される電極部分の長さを短くすることが可能となる。これにより閃光放電管の有効発光長が延長されるが、従来の閃光放電管と同じ有効発光長に設定した場合には、ガラス管2全体の小型に設計することが可能となる。
【0037】
図12は、本願請求項2に係る陰極材63を電極4に採用した場合の、エミッタ6cが陰極材6の、陽極側端面以外の面に設けられた空孔6bよりガラスバルブ2内へ熱拡散する経過を概念的に表した図である。
【0038】
本願請求項2に係る陰極材63は、表面の空孔を平坦化することによって陽極側端面(切断面20a)に平坦な面を広く確保しているので、平坦化しておらず焼結体用金属粉末6aの間に空孔6bのある場合に比べ、熱容量も比例して大きくなり、放電中の高温化に耐えうる耐熱性に優れる。また、切断面20aに空孔6bのない事で、放電時の高温にエミッタ6cが直接晒されることがないため、不要なエミッタ6cの蒸発を抑えることができる。
【0039】
一方、放電時に電子放射を容易にするために必要なエミッタ6cは、陰極材63の切断面20a以外の面の空孔6bから蒸発するので、適度な量のエミッタ6cが空孔6bからガラスバルブ2内へ熱拡散補給される。
【0040】
なお、閃光放電管用陰極材は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。前記実施例では、焼結体を切断しエミッタを含浸させ陰極材としてから電極芯に取り付けているが、ペレット10の段階でエミッタ6cを空孔6bに含浸させてから陰極材61・63に切断してもよい。
【0041】
その他の実施例として、焼結体60または62を電極芯7に取り付け電極4の形態に加工してから、エミッタ含浸させてもよい。この場合、陰極材を電極芯に取り付ける際の熱などによってエミッタが不用意に蒸発してしまうのを防ぐ事ができる。
【0042】
その他、本発明に係る電極は、耐スパッタ性および放熱性にも優れているので、所望により陽極として用いても十分に効果的である。なお、陽極として用いる場合、エミッタを含浸しないで上記焼結体のみを用いる。一般的に陽極は陰極から放出された電子が受け易いように平坦な面の広い方が効果的であるため、本発明に係る焼結体63は陽極材としても最適である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本発明に係る閃光放電管用陰極材は成形しやすい大きさで成形し焼結した後、小型に切断することから、焼結体の焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも正確な寸法管理が可能となり、放電管の小型化に対応した電極を容易に製造できる。また電極を小型化することによってガラス管内に封止される電極部分の長さを短くすることが可能となる。ガラス管内で電極の占める空間が短くなれば、閃光放電管の有効発光長が延長でき、その他、従来の閃光放電管と同じ有効発光長に設定した場合には、ガラス管全体の小型に設計することも可能となる。
【0044】
また、陰極材の陽極側端面に空孔の無い面を設けることで、電極の先端部分から点灯中に蒸発するエミッタの量を少なく抑えると同時に、放電に必要なエミッタを陰極材の後部から熱拡散する事が出来るため、陰極材を小型化しエミッタ含浸量が少なくなっても閃光放電管の長寿命化を図ることが出来る。また不要にエミッタが放出されないことから、ガラスバルブにエミッタが付着することがなく、高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本願発明の一実施形態に係る閃光放電管の断面図
【図2】本願発明に係る焼結体の内部構造を示す概略図
【図3】本願発明に係る陰極材の内部構造を示す概略図
【図4】本願発明に係る閃光放電管用電極の斜視図
【図5】本願請求項2の発明に係る閃光放電管用電極の斜視図
【図6】本願請求項2の発明に係る閃光放電管用電極の電極芯に直交する方向の断面図
【図7】焼結体ペレット切断工程を説明する概略図
【図8】本願請求項2に記載の焼結体ペレット切断工程を説明する概略図
【図9】本願請求項2に記載の工程によって切断されたペレットを説明する概略図
【図10】本願請求項2に記載の工程によって切断された焼結体の内部構造を拡大した概念図
【図11】本願請求項2に記載の工程によって切断された焼結体にエミッタを含浸させて陰極材に加工した後の内部構造を拡大した概念図
【図12】本願請求項2の発明に係る閃光放電管用電極よりエミッタが蒸発する過程を説明する概略図
【図13】本願発明の閃光放電管用陰極材の製造方法による陰極材製造工程の説明図
【符号の説明】
【0046】
1 閃光放電管
2 ガラスバルブ
3 アノード電極
4 カソード電極
5 トリガー電極
60 焼結体
61 閃光放電管用陰極材
6a 焼結体用金属粉末
6b 焼結体金属粉末間の空孔
6c 電子放射性物質
62 本願請求項2記載の発明に係る焼結体
63 本願請求項2記載の発明に係る閃光放電管用陰極材
7 電極芯
10 ペレット
11 切断手段
21 レーザー光
20 焼結体切断面
20a 平坦化した焼結体切断面
30 閃光放電管放電時の大電流
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、写真撮影用の人工光源として用いられる閃光放電管の陰極材の製造方法及び陰極材とその陰極材を備えた閃光放電用電極、及びそれらを備えた閃光放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
閃光放電管は、両端にアノード電極とカソード電極が対向して封止されたガラスバルブの内部に希ガスを封入し、両電極間に生ずるアーク放電によって発光する。このような放電管の始動特性を向上させるために、電子放射性物質(エミッタ)を含浸させた陰極材(焼結電極構体)が用いられている。
【0003】
このような陰極材として、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、ニッケル等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を1種又は2種以上混合し、圧力成形した後、焼結して生成される焼結体にエミッタを含浸させたものが提案されている。(例えば、特許文献1)
また、エミッタには、炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等のセシウム化合物が用いられ、これらを水やアルコールに溶かした溶液中に、焼結体を浸漬させることにより、焼結体の空孔にセシウム化合物を含浸させて陰極材を得ていた。
【特許文献1】特開2006−114296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閃光放電管は、従来よりストロボ装置の光源として利用され、種々のものが提案、あるいは実用化されており、そのガラスバルブの外径寸法も、近年、写真用カメラの内蔵ストロボ用光源等への適用から細管化が強く望まれている。
【0005】
しかしながら、ガラスバルブの外径を細くすると当然の事ながら内径も細くなり、ガラスバルブ内部に封止される電極も小型のものが要求される。ガラスバルブの内径が1.2mm以下の極めて細い閃光放電管になると、電極としての体積を維持しつつ小型化の要求を達成するため、陰極材は径と長さの比率で1:1に近く形成される。
【0006】
放電管の有効発光長を確保する点からも使用される陰極材に小型化が要求されるが、陰極材の先端部分は放電時の衝撃や陽極側から多大な輻射熱・対流熱を受けるため、陰極材の長寿命化にはエミッタの含有量を確保し、また電極として大電流に耐えるために十分な体積が必要とされる。
【0007】
エミッタの含有量調節のために、焼結体に形成される空孔は大小様々の径で分布するが、焼結体体積に対して気孔率の小さい場合にはセシウム化合物の含有量が不足し、最低発光電圧が高くなって発光不良となり易く、一方、気孔率が大きい場合には含有量過多になってスパッタリングが発生し易くなり(スパッタリング率が高くなり)、特に放電時に大電流が流れるキセノン放電管においては、電極が溶融し発光寿命が低下してしまう。
【0008】
前述のように焼結体は、金属粉末を1種又は2種以上混合し、圧力形成した後、焼結して生成するが、空孔を残すことのできる圧力によって金属粉末を成形しなければならず、また2種類以上の金属粉末を用いる場合、粒径、融点、不純ガス吸着性、仕事関数等の特性の異なる組成の粉末が混合されることから、小型に成形することが難しい。
【0009】
一般的に、焼結体の成形は金型内に金属粉末を入れ、圧力によって成形しているが、寸法を小型化しすぎると金型内で正確な寸法で成形できないばかりでなく、型開きの際に型から浮き上がって型崩れを起こすこととなる。
【0010】
さらに、焼結体の体積が小さいと、焼結時の条件変化による影響を受けやすいほか、同じ縮小率であっても焼結体全体の寸法への影響が大きいことから、焼結体の仕上がり寸法や気孔率にバラツキが生じてしまう。
【0011】
そこで本発明は、このような実情に鑑み、製造が容易でありながら、電極の小型化に対応できる閃光放電管用陰極材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る閃光放電管用陰極材の製造方法は、タンタル、ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を用いて生成され、多孔質である焼結体の空孔に、セシウム化合物等の電子放射物質を含浸させてなる閃光放電管用陰極材の製造方法であって、前記焼結材用金属粉末をペレット状に形成し、前記ペレットを焼結した後に切断し、エミッタを含浸させて陰極材を得ることを特徴とする。
【0013】
前記陰極材は、焼結体用金属粉末を、電子放射性物質を含浸させるのに適するよう、空孔を残すことができる圧力によってペレット状に成形し、前記ペレットを焼結して得られた焼結体を電極に用いる大きさに切断し、エミッタとして炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等のセシウム化合物を水やアルコールに溶かした溶液中に切断した前記焼結体を浸漬して、前記焼結体の空孔にセシウム化合物を含浸充填させ、陰極材とする。その後、前記陰極材を電極芯に取付け電極として用いる。
【0014】
かかる構成は、小型でありながらエミッタ含有量を確保し大電流に耐える十分な体積となるように、陰極材を径と長さの比率を1:1に近い形で形成する場合に適している。こうした形状は、焼結体を適度な空孔率を確保して形成しながら、同時に焼結時の縮小率等の影響によって焼結体寸法の管理を行うことが難しいため、焼結体を圧力形成しやすい程度の大きさに成形し、焼結してから目的の寸法に切断するものである。
【0015】
また、焼結体用金属粉末を小型の焼結体に圧力成形する際、気孔率を維持しながら成形することは難しく、金型で成形し型開きする際などに型崩れが起こり易いが、本願発明では型崩れしにくい大きさで成形し焼結した後、小型に切断することから型崩れが起きず、作業性に優れている。
【0016】
加えて、陰極材の径と長さの比率を1:1に近い形で形成することにより、閃光放電管長手方向の陰極材の長さを短くすることができ、ガラス管内に封止される電極部分の長さを短くすることが可能となる。これにより閃光放電管の有効発光長が延長されるが、従来の閃光放電管と同じ有効発光長に設定する場合には、これまで電極の占めていた空間を縮めてガラス管全体を小型に設計することが可能となる。
【0017】
従来より焼結体の切断はカッターや、微細な口径より水流を超高速で噴射させるウォーターカッターにて行っているが、本願請求項2に係る製造方法では前記ペレットをレーザー光の照射によって切断する。またレーザー光の照射によって、前記焼結体の切断面が平坦化されていることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、レーザー光の照射によって前記ペレットが切断されると同時に、切断面の金属粉末が溶融し、切断面表面にある金属粉末の粒子間の空孔が埋められ、焼結体表面に空孔のない平坦な面ができる。これにより金属粉末粒子によって凹凸のある場合に比べ、焼結体表面に平坦な面を広く確保することができる。
【0019】
カッターやレーザー光照射による切断の後は、セシウム化合物を水やアルコールに溶かした溶液中に焼結体を浸漬してエミッタを含浸させ、乾燥させ、陰極材とし、これを電極芯に取り付け、閃光放電管用電極として使用する。電極芯取り付けの際には、前記平坦な面をガラス管内で対向する電極側に配置することが望ましい。
【0020】
上記の構成を採用する事により、本発明にかかる閃光放電管用電極は前記陰極材の平坦な面を陽極側の端面とすることで、熱容量を大きくし耐熱性を向上させるために必要な平坦面を広く確保でき、大電流を受ける電極として最適となる。電極芯の先端に近く高温になる陽極側の端面にはエミッタを放出する空孔が空いていないので、陽極側端面の陰極材表面に空孔が残っている場合に比べ、放電時の大電流や熱によって空孔からエミッタが必要以上に蒸発する恐れがなく、結果、不要な蒸発でガラスバルブ内に飛散してしまうエミッタが少なくなり、ガラスバルブ内にエミッタが付着することがないので、ガラスバルブの黒化が起こりにくくなる。また、ガラスバルブへの付着によって失われるエミッタも少ないことから、含浸させるエミッタの量から飛散して失われてしまうエミッタの量を節減する事ができるので、体積が小さく含浸可能なエミッタの量の少ない小型の陰極材であっても、十分な量のエミッタを放電管内に供給可能となる。
【0021】
一方、陰極材の平坦な面以外の面には空孔があるため、放電に必要なエミッタが空孔から熱拡散されることで、発光作動時のスパッタリング率が低減化が可能となり、最低発光電圧の上昇、光量低下、電極の溶解が抑制され、閃光放電管の性能品質の安定化を図ることが可能となる。
【0022】
以上のように、本発明に係る陰極材を閃光放電管の電極に採用すれば、放電時の大電流と高温によって電極芯に近い先端部分から蒸発してしまうエミッタの量を少なく抑える事ができると同時に、放電に必要なエミッタは陰極材の他端面から熱拡散によって得られ、エミッタの蒸発量を制御する事ができることから、焼結体が小型化され含浸させるエミッタの量が少なくなっても放電管の長寿命化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る閃光放電管を示す。この閃光放電管1は、ガラスバルブ2の両端に封止部材(図示せず)を介してアノード電極3とカソード電極4とが封入され、ガラスバルブ2の外周面全周方向にトリガー電極5が形成され、前記カソード電極4には、例えば円筒形状の閃光放電管用陰極材61(焼結体60を用いる)がかしめ・ロウ付け・レーザー光照射による溶接等により取り付けられている。
【0024】
閃光放電管用陰極材61は、タンタル・ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末6aを用いて、圧力によって形成されたのち焼結されるため、金属粉末間に空孔6bのある多孔質構造になっている。エミッタ6cとして炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等のセシウム化合物を水やアルコールに溶かした溶液中に焼結体60を浸漬し、焼結体60の空孔6bにセシウム化合物を含浸充填させる。
【0025】
図2は、焼結体60の内部構造であって、焼結材用金属粉末6aと金属粉末間に空孔6bからなる多孔質構造であることを示す概略図、図3は焼結体60の多孔質構造にエミッタ6cを含浸充填させた陰極材61内部構造の概要図である。
【0026】
図4は本発明に係る閃光放電管用カソード電極4の概略図である。カソード電極4は本願発明に係る閃光放電管用陰極材61または63を、電極芯7にかしめ・ロウ付け・レーザー光照射による溶接等により取り付けてなる。
【0027】
図5は、本願請求項2記載の方法によって切断された焼結体62に、エミッタ6c含浸させ、陰極材63として採用したカソード電極4の概要図であり、図6は、陰極材63を電極芯7に直交する(図5A−A方向)方向で切断した際の内部構造を示す概要図である。
【0028】
閃光放電管用陰極材61の製造プロセスは、例えば図13のように示される。
まず、原料粉末として、タンタル粉末(例えば、粒子形状:不定形(粉砕粉)、平均粒径:6μm,10μmのもの)、ニオブ粉末(例えば、粒子形状:不定形(粉砕粉)、平均粒径:6μm,10μmのもの)等を用意する。
【0029】
造粒工程では、原料粉末にバインダー(樹脂)と溶剤を添加し、混錬、乾燥、粉砕、分級(例えば、−300メッシュ)を行う。成型工程では、円筒型、円柱型等の成形型に合わせて成形処理する。この時、電極に取り付ける陰極材一個としての大きさで形成せず、適度な空孔率を確保できる圧力で形成出来るように、また焼結時の型崩れを防ぐために、ペレット状に成形する。
【0030】
焼結工程では、成形されたペレット10を略1000〜1800℃の高温で焼結する。
【0031】
切断工程では、焼結されたペレット10をカッターやウェーターカッターなどの切断手段11によって、例えば図7のように、閃光放電管用陰極材61の大きさとなるよう、ペレット10の長手方向に直交する方向で切断し、円筒形状に加工する。焼結した後のペレット10を切断するので、焼結に伴いペレット10が縮小していても、陰極材61として用いるための正確な寸法で焼結体60を切断する事が可能であり、ペレット10焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも焼結体60が製造できる。
図8は、請求項2記載の発明にかかるレーザー光照射による焼結体切断の概要図である。
ペレット10は前述のように成形し、レーザー光21をペレット10に照射して切断する。切断時にレーザー光21の照射によってペレット10の切断面20が溶解し、切断面20に多数形成されていた焼結体用金属粉末6a間の空孔6bが埋められて平坦化した切断面20aが得られる。本実施例では、図9に示すように、ペレット10を二分割することで、前記平坦面20aはレーザー光21の照射された一面のみにでき、一面のみが平坦化した焼結体62が得られる。
【0032】
また、ペレット10として焼結した後に、レーザー光21の照射によって切断するので、焼結に伴いペレット10が縮小しても陰極材63として用いるための正確な寸法で焼結体62を切断する事が可能となり、焼結体の焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも陰極材63が製造できる。
図10は、レーザ光21によってペレット10が切断され、平坦化した切断面20aが得られた後の焼結体62内部構造を拡大し、概念的に表した図である。
図11は、焼結体62にエミッタ6cを含浸させて陰極材63へと加工した後の内部構造を拡大し、概念的に表した図である。
【0033】
前記切断工程の後に、前記焼結体62をセシウム化合物などを用いたエミッタ6c溶解溶液中に浸漬させ、空孔6bにエミッタ6cを含浸させた後、乾燥させ陰極材63を得る。なお、エミッタ6cは真空含浸によって焼結体6の空孔6bに被着させてもよい。
【0034】
最後に陰極材61、または63を電極芯7に取り付けて電極4とし、これをガラスバルブ2の少なくとも陰極側に封止して閃光放電管1ができる。
【0035】
前記構成により陰極材61は、焼結材用金属粉末6aを成形しやすい大きさで成形し焼結した後、小型に切断することから、焼結体の焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも製造できる。
【0036】
加えて、陰極材61の径と長さの比率を1:1に近い形で形成することにより、閃光放電管長手方向の陰極材の長さを短くすることができ、ガラス管内に封止される電極部分の長さを短くすることが可能となる。これにより閃光放電管の有効発光長が延長されるが、従来の閃光放電管と同じ有効発光長に設定した場合には、ガラス管2全体の小型に設計することが可能となる。
【0037】
図12は、本願請求項2に係る陰極材63を電極4に採用した場合の、エミッタ6cが陰極材6の、陽極側端面以外の面に設けられた空孔6bよりガラスバルブ2内へ熱拡散する経過を概念的に表した図である。
【0038】
本願請求項2に係る陰極材63は、表面の空孔を平坦化することによって陽極側端面(切断面20a)に平坦な面を広く確保しているので、平坦化しておらず焼結体用金属粉末6aの間に空孔6bのある場合に比べ、熱容量も比例して大きくなり、放電中の高温化に耐えうる耐熱性に優れる。また、切断面20aに空孔6bのない事で、放電時の高温にエミッタ6cが直接晒されることがないため、不要なエミッタ6cの蒸発を抑えることができる。
【0039】
一方、放電時に電子放射を容易にするために必要なエミッタ6cは、陰極材63の切断面20a以外の面の空孔6bから蒸発するので、適度な量のエミッタ6cが空孔6bからガラスバルブ2内へ熱拡散補給される。
【0040】
なお、閃光放電管用陰極材は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。前記実施例では、焼結体を切断しエミッタを含浸させ陰極材としてから電極芯に取り付けているが、ペレット10の段階でエミッタ6cを空孔6bに含浸させてから陰極材61・63に切断してもよい。
【0041】
その他の実施例として、焼結体60または62を電極芯7に取り付け電極4の形態に加工してから、エミッタ含浸させてもよい。この場合、陰極材を電極芯に取り付ける際の熱などによってエミッタが不用意に蒸発してしまうのを防ぐ事ができる。
【0042】
その他、本発明に係る電極は、耐スパッタ性および放熱性にも優れているので、所望により陽極として用いても十分に効果的である。なお、陽極として用いる場合、エミッタを含浸しないで上記焼結体のみを用いる。一般的に陽極は陰極から放出された電子が受け易いように平坦な面の広い方が効果的であるため、本発明に係る焼結体63は陽極材としても最適である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本発明に係る閃光放電管用陰極材は成形しやすい大きさで成形し焼結した後、小型に切断することから、焼結体の焼結工程の前後で寸法が変化する点を考慮せずとも正確な寸法管理が可能となり、放電管の小型化に対応した電極を容易に製造できる。また電極を小型化することによってガラス管内に封止される電極部分の長さを短くすることが可能となる。ガラス管内で電極の占める空間が短くなれば、閃光放電管の有効発光長が延長でき、その他、従来の閃光放電管と同じ有効発光長に設定した場合には、ガラス管全体の小型に設計することも可能となる。
【0044】
また、陰極材の陽極側端面に空孔の無い面を設けることで、電極の先端部分から点灯中に蒸発するエミッタの量を少なく抑えると同時に、放電に必要なエミッタを陰極材の後部から熱拡散する事が出来るため、陰極材を小型化しエミッタ含浸量が少なくなっても閃光放電管の長寿命化を図ることが出来る。また不要にエミッタが放出されないことから、ガラスバルブにエミッタが付着することがなく、高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本願発明の一実施形態に係る閃光放電管の断面図
【図2】本願発明に係る焼結体の内部構造を示す概略図
【図3】本願発明に係る陰極材の内部構造を示す概略図
【図4】本願発明に係る閃光放電管用電極の斜視図
【図5】本願請求項2の発明に係る閃光放電管用電極の斜視図
【図6】本願請求項2の発明に係る閃光放電管用電極の電極芯に直交する方向の断面図
【図7】焼結体ペレット切断工程を説明する概略図
【図8】本願請求項2に記載の焼結体ペレット切断工程を説明する概略図
【図9】本願請求項2に記載の工程によって切断されたペレットを説明する概略図
【図10】本願請求項2に記載の工程によって切断された焼結体の内部構造を拡大した概念図
【図11】本願請求項2に記載の工程によって切断された焼結体にエミッタを含浸させて陰極材に加工した後の内部構造を拡大した概念図
【図12】本願請求項2の発明に係る閃光放電管用電極よりエミッタが蒸発する過程を説明する概略図
【図13】本願発明の閃光放電管用陰極材の製造方法による陰極材製造工程の説明図
【符号の説明】
【0046】
1 閃光放電管
2 ガラスバルブ
3 アノード電極
4 カソード電極
5 トリガー電極
60 焼結体
61 閃光放電管用陰極材
6a 焼結体用金属粉末
6b 焼結体金属粉末間の空孔
6c 電子放射性物質
62 本願請求項2記載の発明に係る焼結体
63 本願請求項2記載の発明に係る閃光放電管用陰極材
7 電極芯
10 ペレット
11 切断手段
21 レーザー光
20 焼結体切断面
20a 平坦化した焼結体切断面
30 閃光放電管放電時の大電流
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタル、ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を用いて生成され、多孔質である焼結体の空孔に、セシウム化合物等の電子放射物質を含浸させてなる閃光放電管用陰極材の製造方法であって、
前記焼結材用金属粉末をペレット状の成形体に形成し、前記成形体を焼結した後に切断することを特徴とする閃光放電管用陰極材の製造方法。
【請求項2】
前記焼結体の切断を、レーザー光の照射によって切断することを特徴とする請求項1に記載の閃光放電管用陰極材の製造方法。
【請求項3】
前記焼結体の少なくとも一面を平坦にすることを特徴とする、請求項2記載の閃光放電管用陰極材の製造方法。
【請求項4】
前記焼結体の平坦な面が、前記成形体を切断する際の切断面であることを特徴とする請求項3記載の放電管用陰極材の製造方法。
【請求項5】
前記焼結体の切断面が、レーザー光の照射によって溶融して平坦となることを特徴とする、請求項4に記載の放電管用陰極材の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2記載の陰極材の製造方法によって製造されることを特徴とする放電管用陰極材。
【請求項7】
請求項6に記載の閃光放電管用陰極材を備えたことを特徴とする閃光放電管用電極。
【請求項8】
請求項7に記載の電極を備えたことを特徴とする閃光放電管。
【請求項9】
請求項6に記載の閃光放電管用陰極材を備え、その平坦な面をガラス管他端部側の電極に対向させた事を特徴とする閃光放電管。
【請求項1】
タンタル、ニオブ等の高融点金属からなる焼結材用金属粉末を用いて生成され、多孔質である焼結体の空孔に、セシウム化合物等の電子放射物質を含浸させてなる閃光放電管用陰極材の製造方法であって、
前記焼結材用金属粉末をペレット状の成形体に形成し、前記成形体を焼結した後に切断することを特徴とする閃光放電管用陰極材の製造方法。
【請求項2】
前記焼結体の切断を、レーザー光の照射によって切断することを特徴とする請求項1に記載の閃光放電管用陰極材の製造方法。
【請求項3】
前記焼結体の少なくとも一面を平坦にすることを特徴とする、請求項2記載の閃光放電管用陰極材の製造方法。
【請求項4】
前記焼結体の平坦な面が、前記成形体を切断する際の切断面であることを特徴とする請求項3記載の放電管用陰極材の製造方法。
【請求項5】
前記焼結体の切断面が、レーザー光の照射によって溶融して平坦となることを特徴とする、請求項4に記載の放電管用陰極材の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2記載の陰極材の製造方法によって製造されることを特徴とする放電管用陰極材。
【請求項7】
請求項6に記載の閃光放電管用陰極材を備えたことを特徴とする閃光放電管用電極。
【請求項8】
請求項7に記載の電極を備えたことを特徴とする閃光放電管。
【請求項9】
請求項6に記載の閃光放電管用陰極材を備え、その平坦な面をガラス管他端部側の電極に対向させた事を特徴とする閃光放電管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−238565(P2009−238565A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82817(P2008−82817)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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