説明

閉塞部材、及び閉塞部材用吸着装置

【課題】管の補修作業について、リペアサドルと合成樹脂管との融着の良否を容易に判定することができる閉塞部材と閉塞部材用吸着装置を提供する。
【解決手段】管の穿孔穴に挿入するための閉塞部材1であって、挿入の方向に形成された貫通孔3aを有し、外周面には非磁性体の弾性部材からなる外側栓体2を装着する非磁性体からなる拡径部材3と、この拡径部材3に形成された貫通孔3aは、穿孔穴側に形成された下方の孔部3cと、この下方の孔部に続いて下方の孔部より大きい内径を有する上方の孔部3bとを備え、さらに、Oリング5を嵌着してこの貫通孔内を移動可能に配設された磁性体からなる内側栓体4とを備えている。Oリング5が下方の孔部3c内に位置しているときには、孔部3cと孔部3bとの連通がシール部材5により密封され、磁力により内側栓体4を引き抜くと、孔部3cと孔部3bとが連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂管、特に都市ガスなどの燃料ガスを供給する合成樹脂製のガス管に穿孔された穿孔穴を閉塞するための閉塞部材、及びこの穿孔穴を閉塞するために使用した閉塞部材から、この閉塞部材を構成している磁性体からなる栓体を磁力を利用して引き抜くための閉塞部材用吸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、都市ガス、LPガスなどの燃料用ガス(以下、単に「都市ガス」という)を需要家(一般家庭や各種事業所)へ供給するためのガス管は、ポリエチレン製等の合成樹脂からなる管が使用されている。また、このガス管の大部分は、地下に埋設されている。
【0003】
新規需要家に対してガス管を敷設するときには、既設のガス管に分岐管を接続するための孔を穿孔した後、この穿孔した孔(以下、「穿孔穴」という)を囲むように分岐用継手を既設のガス管の表面に固着し、この分岐用継手に分岐管を接続する工法が採用されている。
【0004】
また、既設のガス管の補修を行なうときには、このガス管によるガスの供給を停止しないように、補修するガス管の区間にバイパス管を接続し、このバイパス管を介して都市ガスが供給されるようにするとともに、このガス管の補修部分へのガスの供給を止めた状態にして、ガス管の補修作業が行なわれる。このとき、バイパス管を接続するガス管には分岐用継手を接続するための孔が穿孔され、この分岐用継手にバイパス管が接続される。そして、ガス管の補修が完了すると、接続したバイパス管は撤去される。
【0005】
そして、上記したバイパス管を撤去したガス管には分岐用継手が接続された状態になっているので、この分岐用継手もガス管から撤去することが望ましい。ガス管から分岐用継手を撤去すると、ガス管にはこの分岐用継手を接続していた穿孔穴が残った状態になる。このガス管に残った穿孔穴からのガス漏れを防止するために、この穿孔穴にシールプラグ(以下、「閉塞部材」という)を挿入してガスの漏れを無くしている。さらに、この穿孔穴からのガス漏れを確実に防止するためのガス管の補修工法として、下記の特許文献1に記載の補修工法が提案されている。特許文献1には、穿孔穴に挿入した閉塞部材の上方を囲むように合成樹脂製のリペアサドルを合成樹脂製のガス管の外周面に融着することにより、穿孔穴からのガス漏れを防止することが開示されている。
【0006】
なお、上記した合成樹脂製のリペアサドルは、合成樹脂製ガス管の外周面に熱融着される部材であって、閉塞部材を挿入した穿孔穴から万一ガス漏れが生じても、漏れたガスが外部に流出することを防止するために使用される部材である。
【0007】
従来から使用されているリペアサドルの概要を、図9及び図10に示している。リペアサドル12は、外側方向に突出する平面状の外側突出部12a、ガス管の外周面と熱融着する部分となり、断面が円弧形状をなすサドル部12bとを備えている。また、外側突出部12aにより、この外側突出部12aの内側面12cの下方部には空間部13が形成されている。さらに、サドル部12bの内部には電熱線12dが埋設され、サドル部12bの外表面にはこの電熱線12dに所定の電力を供給するための電極12e、12fが配置されている。なお、一般に、外側突出部12aの横断面形状は円形をなしている。
【0008】
また、下記の特許文献2には、樹脂製分岐管の撤去方法が提案されている。特許文献2には、回転ロッドを備えた閉止工具を用いて、ポリエチレン製の本閉止栓を、元管に穿孔されたタッピング孔に回転摩擦熱を利用して融着することが記載されている。さらに、特許文献2には、本閉止栓をタッピング孔に融着する前に、側周面にOリングを設けた仮栓をこのタッピング孔に取り付けてシールすることが記載されている。
【0009】
また、穿孔された孔などの空洞部をシールするためのシール部材(閉塞部材、又はプラグ)を磁性体で形成し、磁力を利用してこのシール部材を空洞部方向及び空洞部と離れる方向に移動させて空洞部を密封、及びこの密封状態を開放するための技術が、下記の特許文献3により提案されている。この特許文献3には真空に排気されるべき容器について、その排気管と連通している接続部を、電磁石の磁力を利用して遠隔操作的に磁性体からなるシール部材で密封及び開放を自在にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−49596号公報
【特許文献2】特開2002−295724号公報
【特許文献3】特開平5−26372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1には、合成樹脂製ガス管に分岐用継手を接続するために穿孔した孔について、ガス管の補修後に、この穿孔穴に閉塞部材を挿入してガスの漏れを無くして、この閉塞部材の上方を囲むように合成樹脂製のリペアサドルを合成樹脂製ガス管の外周面に融着することにより、このガス管の補修を行なう技術が提案されている。しかし、特許文献1には、リペアサドルとガス管との融着による気密性が完全になされ、リペアサドルの内部から外部へガス漏れが発生しないという保障を確実に得るための手段については開示されていない。
【0012】
リペアサドルと合成樹脂製ガス管との融着が不完全、例えば、熱融着によりリペアサドルとガス管とを接合した融着部に微小な隙間が生じていても、閉塞部材による穿孔穴の閉塞(密封)が確実になされていると、この微小な隙間を介して、すなわち、リペアサドルの内部(前記空間部13)から外部へのガス漏れは発生しない。また、閉塞部材による穿孔穴の閉塞は、あくまでも一時的なシールを目的としたものである。穿孔穴を閉塞した閉塞部材は、都市ガスに含まれている各種の成分により、時間の経過とともに劣化することが考えられる。従って、劣化した閉塞部材から都市ガスが漏洩し、この漏洩した都市ガスはリペアサドルとガス管とにより形成される空間部13に流出する。さらに、空間部13に流出した都市ガスは、リペアサドルとガス管との融着が不完全であると、リペアサドルの内部から外部へ漏洩することになる。
このため、上記したように、ガス管に穿孔された穿孔穴の補修作業が終了したときに、リペアサドルとガス管との融着による気密性の良否を確実に、かつ、信頼性高く判定するための手段が望まれている。
【0013】
特許文献2に記載の発明には、回転ロッドを備えた閉止工具を用いて、ポリエチレン製の本閉止栓を、元管に穿孔されたタッピング孔に回転摩擦熱を利用して融着することにより、タッピング孔を閉塞する分岐管の撤去方法が開示されている。しかし、特許文献2には、本閉止栓を囲むようにリペアサドルを合成樹脂製の元管に融着して、タッピング孔の閉塞をより完全にすることについては記載されていない。
【0014】
特許文献3に記載の発明には、真空容器に穿孔された空洞部をシールするためのシール部材を磁性体で形成し、磁力を利用してこのシール部材を、遠隔操作的に空洞部方向及び空洞部と離れる方向に移動させて空洞部を密封、及びこの密封状態を開放することが開示されているが、都市ガス等を供給するガス管に穿孔された孔をシールする技術を対象としたものではない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、合成樹脂管に穿孔された穿孔穴の補修において、この穿孔穴に閉塞部材を挿入して、この閉塞部材の上方からリペアサドルをこの合成樹脂管に融着する方法を採用している補修方法において、リペアサドルと合成樹脂管との融着による気密性の良否を容易に、かつ確実に判定することができる閉塞部材、及びこの穿孔穴を閉塞するために使用した閉塞部材からこの閉塞部材を構成している磁性体からなる栓体を、磁力を利用して引き抜くための閉塞部材用吸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために、請求項1に記載の閉塞部材は、合成樹脂管に穿孔された穿孔穴に挿入して該穿孔穴を閉塞するための閉塞部材であって、前記閉塞部材は、
前記挿入の方向に形成された貫通孔を有するとともに、外周面に非磁性体の弾性部材からなる外側栓体を装着する非磁性体からなる拡径部材と、前記拡径部材に形成された前記貫通孔は、前記穿孔穴側に形成された下方の孔部と、前記下方の孔部に続いて該下方の孔部より大きい内径を有する上方の孔部とを備えるとともに、シール部材を嵌着して前記貫通孔内を移動可能に配設された磁性体の部材からなる内側栓体と、を備え、前記内側栓体に嵌着された前記シール部材が前記下方の孔部内に位置しているときには、前記下方の孔部と前記上方の孔部との連通が前記シール部材により密封されていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は請求項1に記載の閉塞部材に係り、前記内側栓体は、前記貫通孔に挿入されて前記シール部材を嵌着している栓体部と、前記栓体部の一方の端部に結合された磁性体からなる吸着プレートを備え、前記吸着プレートは前記貫通孔の外側に配置されていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、合成樹脂管に穿孔された穿孔穴に挿入された前記請求項1から請求項2のいずれかに記載の閉塞部材に、磁力を作用させるための閉塞部材用吸着装置であって、この閉塞部材用吸着装置は、対向する一対の側面に磁極を形成した永久磁石と、前記永久磁石を初期位置から前記閉塞部材方向に移動させる上下動移動手段と、前記永久磁石の初期位置に対応する前記磁極から所定の間隔を設けた位置に配置されたヨークと、を備えていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の閉塞部材用吸着装置に係り、前記上下動移動手段は、前記永久磁石を前記初期位置方向に戻す作用を付与する付勢手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、下記の効果を発揮することができる。
(1)本発明に係る閉塞部材は、磁性体から構成された内側栓体を備えている。これにより、合成樹脂管に穿孔された穿孔穴の補修において、この穿孔穴に閉塞部材を挿入して、この閉塞部材の上方からリペアサドルをこの合成樹脂管に融着する方法を採用している補修方法において、この閉塞部材として本発明に係る磁性体を有する内側栓体を備えた閉塞部材を使用することにより、リペアサドルの上方からこの閉塞部材に磁力を作用させると、この内側栓体は磁力によりリペアサドル方向に移動して、合成樹脂管内を流れる都市ガス等の流体をリペアサドル内に流出させることができる。このため、本発明の閉塞部材は、合成樹脂管に穿孔された穿孔穴の補修作業が終了すると、直ちに、リペアサドルと合成樹脂管との融着の良否を確実に、かつ容易に確認することができる閉塞部材を提供することができる。
【0021】
(2)拡径部材に形成された貫通孔は、ガス管に穿孔された穿孔穴側に形成された下方の孔部と、この下方の孔部に続いてその上方に、下方の孔部より大きい内径を有する上方の孔部とを備えている。これにより、磁力の作用により閉塞部材から内側栓体のみを引き抜くときに、例えば、内側栓体は途中で引き抜くことができないという不具合が発生しても、下方の孔部と上方の孔部とは連通するので、ガス管10とリペアサドル12との融着の良否の確認に支障を生じることはない。
【0022】
(3)本発明に係る閉塞部材用吸着装置は、リペアサドル12の外側突出部12aの上面に設置した後、閉塞部材用吸着装置が備えている永久磁石を初期位置から上下動移動手段を操作して閉塞部材方向に移動させるという簡単な操作により、この閉塞部材から内側栓体のみを磁力を利用して引き抜くことができる。これにより、ガス管路の補修作業の効率化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る閉塞部材について、その実施形態の構成を説明するための断面図である。
【図2】図1に示す閉塞部材について、閉塞部材を構成する部材を示す斜視図である。
【図3】図2に示す拡径部材について、その上面部の形状を説明するための平面図である。
【図4】ガス管に穿孔した穿孔穴を補修するために、この穿孔穴に図1に示す閉塞部材を挿入した時の状態を説明するための部分断面図である。
【図5】図4に示す状態において、閉塞部材を構成する内側栓体のみを閉塞部材から引き抜いてF方向に移動させたときの状態を説明するための部分断面図である。
【図6】図4に示す状態において、閉塞部材を構成する内側栓体のみを閉塞部材から引き抜いてF方向に移動させたときの他の状態を説明するための部分断面図である。
【図7】本発明に係る閉塞部材用吸着装置について、その構成を説明するための断面図であって、使用前の初期の状態を示す図である。
【図8】図7に示す閉塞部材用吸着装置について、使用時の状態を示す図である。
【図9】リペアサドルの構成を説明するための部分横断面図である。
【図10】同じく、リペアサドルの構成を説明するための部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
都市ガスを需要家に供給するポリエチレン製のガス管を補修するときには、前記したように、このガス管にバイパス用の管(又はホース)を接続するための穿孔穴が穿孔工具に穿孔される。そして、補修作業が終了すると、この穿孔穴に閉塞部材を挿入して密封し、さらに、この穿孔穴に挿入した閉塞部材を上方から覆うように、リペアサドルがガス管の外周面に融着される。本発明に係る閉塞部材は、この閉塞部材の構成に係るものである。
【0025】
また、ガス管とリペアサドルとが確実に融着しているか否かを確認(判定)するために、補修作業が終了した後に、例えば、熱融着によりガス管とリペアサドルとが接合された接合部の周囲に、石けん水等を流して泡の発生の有無により確認されている。ガス管に穿孔した穿孔穴について、このような補修方法を採用した場合、ガス管とリペアサドルとの融着が不完全であっても、閉塞部材により穿孔穴か密封されていると、ガス管とリペアサドルとの融着が確実になされているか否かを確認することはできない。
【0026】
本発明に係る閉塞部材用吸着装置は、上記した補修作業を実施した後に、ガス管とリペアサドルとの融着の良否を判定するときに、穿孔穴に挿入した本発明に係る閉塞部材に対して、ガス管内を流れている都市ガスの一部が通過可能な流路を、磁力を利用して形成させる手段を備えた装置であって、この穿孔穴に係る補修作業の良否を確実に、かつ容易に判定するための装置である。
【0027】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明に係る閉塞部材(ストッパー)の実施形態について説明する。
【0028】
(閉塞部材の実施形態)
図1は本発明に係る閉塞部材1について、その一実施形態を示す縦断面、図2は図1に示す閉塞部材1を構成する各部材について、その形状を説明するための斜視図である。また、図3および図4は、ガス管に穿孔された穿孔穴を閉塞するために、この穿孔穴に、図1に示す閉塞部材1を挿入したときの状態を示す断面図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、閉塞部材1は、外側栓体2と、拡径部材3と、内側栓体4と、内側栓体4に嵌着されたシール部材となるOリング5から構成されている。なお、閉塞部材1は、図1に示す紙面の下方部からガス管に穿孔された穿孔穴に挿入される。
【0030】
外側栓体2は、適度な弾性を有するリング形状の合成ゴム、例えばNBR(Nitril Butandiene Ruber)から製作されている。リング形状をなす外側栓体2が備えている貫通孔2aの内径は、図1に示すように、その上側内径部2bの内径を下側内径部2cの内径より若干大きくし、さらに、下側内径部2cの上下の端部にはその内周面から内側方向に円環状に突出する突出部2d、2eを形成している。また、外側栓体2の一方の端部(上端部)には、貫通孔2aに対して外側に突出する所定の厚さを有する鍔部(フランジ部)2fを形成し、さらに、鍔部2fの下方には鍔部2fの外径より小さくした外径を有する円筒状の外周面部2gを形成している。外周面部2gは、ガス管に穿孔された穿孔穴の内周面と密着する部分になる。なお、外周面部2gの外径は、ガス管に穿孔した穿孔穴の内径より若干大きく、例えば、0.5mm〜1.5mm程度大きくなるようにする。
【0031】
拡径部材3は、縦長のリング形状をなし、その材質は非磁性体である硬質な合成樹脂、例えばポリエチレンから形成されている。拡径部材3の高さH2は、外側栓体2の高さH1より高くしている。また、拡径部材3はその高さ方向に形成された貫通孔3aを有している。図1に示すように、貫通孔3aは高さ方向の中間部近傍から上方は下方よりもその径を大きくした孔部3bを有するようにしている。すなわち、貫通孔3aは、上方の孔部3bとこの孔部3bよりも径が小さい下方の孔部3cとが段差部3dを形成した貫通孔となっている。この段差部3dは貫通孔3aの中間部近傍の内周面の一部に軸線方向に設けた側面流路として、または軸線方向の全周に形成されるように上方の孔部3bを形成する。これにより、図3に示すように、上方の孔部3bの幅は下方の孔部3cの内径よりも大きくなっている。
なお、図1は内側栓体4の栓体部4aを貫通孔3a内に完全に挿入した状態を示している。
【0032】
さらに、図2に示すように、拡径部材3の外周面には、上側外周面3eと下側外周面3fを形成するとともに、上側外周面3eの外径を下側外周面3fの外径より若干大きくしている。なお、閉塞部材1を組み立てたときには、この下側外周面3fに外側栓体2の下側内径部2cが挿入されて両者が密着し、さらに、上側外周面3eの下部が外側栓体2の上側内径部2bに挿入される。
【0033】
内側栓体4は、その構成の一部分又は全てがSS400(一般構造用圧延鋼材)等の強磁性体から構成され、その断面形状はT型をなしている。図1に示すように内側栓体4は、棒状で横断面が円形の栓体部4aと、栓体部4aに形成された溝部4bと、栓体部4aの一方の端部(上端部)に形成された平坦な面を有する吸着プレート4cを備えている。栓体部4aに形成された溝部4bは、Oリング5を挿入して嵌着するための円環状の溝である。なお、閉塞部材1を組み立てたときには、内側栓体4の栓体部4aは、拡径部材3の貫通孔3aにその全長が完全に挿入されたときには、吸着プレート4cの下面は図1に示すように拡径部材3の上端面3bに当接するようにする。また、貫通孔3aの下方の孔部3cの内径は栓体部4aの外径より若干大きくして、栓体部4aを貫通孔3aに挿入したときに微小な隙間が生じるようにする。なお、溝部4bに挿入したOリング5は下方の孔部3cの内周面に摺動自在に当接して、栓体部4aと下方の孔部3cとの隙間の気密を確保するシール部材になる。
【0034】
前記したように、図1は内側栓体4の栓体部4aの全長を貫通孔3a内に完全に挿入した状態、すなわち、溝部4bに挿入したOリング5は下方の孔部3cの内周面に密着して、内側栓体4は貫通孔3aの下方の孔部3cを密封している状態を示している。このように、内側栓体4が下方の孔部3cを密封して下方の孔部3cと上方の孔部3bとの連通が遮断されている状態では、Oリング5の位置は段差部3dより下方に位置するように栓体部4aに溝部4bを設けるようにする。
【0035】
図1に示す内側栓体4は、栓体部4aと吸着プレート4cの双方をSS400等の磁性体の材質から構成して一体化した例を示しているが、吸着プレート4cをSS400等の磁性体とし、栓体部4aを非磁性体(金属又は合成樹脂)として、両者をネジ接合または接着等により一体にしてもよい。
【0036】
なお、吸着プレート4cの平坦な面の形状は、図2に示すように平面視で円形にするか、あるいは四角形状にしてもよい。また、平坦な面の幅は栓体部4aの断面の幅の少なくとも1.5倍以上に設定する。このように吸着プレート4cの平坦面の幅を大きく設定すると、後述するが、この吸着プレート4cはその上方から永久磁石による磁力を受けると、より強い吸引力を受けることになる。このようにして、内側栓体4は、磁力の吸引作用を受けると、図4に示すF方向(閉塞部材1をガス管10に挿入する方向と逆方向を示す)に容易に移動、すなわち、栓体部4aは貫通孔3a内を摺動してF方向に移動することになる。
【0037】
このように、内側栓体4が磁力の吸着作用を受けて貫通孔3a内をF方向に移動可能にするためには、溝部4bに挿入されたOリング5が貫通孔3aの内周面に作用する面圧が適切になるように、Oリング5の材質とその表面部の形状等を設定する。
【0038】
上記した外側栓体2、拡径部材3、内側栓体4、シール部材となるOリング5から構成される閉塞部材1を組み立てる手順は、例えば、次の(1)〜(3)に記載の手順に従って組み立てることができる。
【0039】
(1)内側栓体4の栓体部4aに形成した溝部4bに、Oリング5を挿入する。
(2)外側栓体2の貫通孔2aに、拡径部材3を挿入する。このとき、図1に示すように、外側栓体2の下側内径部2cの内径は、拡径部材3の下側外周面3fの外径より若干小さく形成されているので、適度な弾性を有する下側内径部2cは、拡径部材3の下側外周面3fに密着する。また、外側栓体2の下側内径部2cの上下の端部には、その内径面から内側方向に円環状に突出する突出部2d、2eが形成されているので、これらの弾性を有する突出部2d、2eは拡径部材3の下側外周面3fにさらに強く密着することになる。これにより、外側栓体2の下側内径面2cと拡径部材3の下側外周面3fとの気密性が確保される。
【0040】
(3)拡径部材3に形成されている貫通孔3aに、内側栓体4の栓体部4aを挿入する。このとき、図1に示すように、栓体部4aはその全長を完全に貫通孔3a内に挿入するとともに、溝部4bに挿入したOリング5が図1に示すように段差部3dの下方になるように位置させて、Oリング5により、このOリング5より下方部分における下方の孔部3cと栓体部4aとの気密性が確保されるようにする。また、このとき、内側栓体4の吸着プレート4cの下面は、図1に示すように、拡径部材3の上端面3bに当接するようにする。
【0041】
続いて、ガス管に穿孔した穿孔穴を補修するために、上記した手順で組み立てた閉塞部材1を、この穿孔穴に挿入したときの状態について説明する。
図4は、ガス管10に穿孔した穿孔穴11に、上記した閉塞部材1を挿入したときの状態を示す要部断面図である。図4に示すように、閉塞部材1を穿孔穴11に挿入したときには、閉塞部材1の外側栓体2に形成されている鍔部2fから上方部がガス管の外周面から突出するようにする。
【0042】
図4に示す穿孔穴11は、上記したように、例えば、都市ガスを供給するガス管10を補修するために、このガス管10にバイパス用の管(又はホース)を接続するために穿孔した孔である。そして、ガス管10の補修作業を行なうときに、この穿孔穴11に閉塞部材1を挿入するとともに、ガス管10からのガス漏れを確実に防止するために、穿孔穴11に挿入した閉塞部材1の上方からこの閉塞部材1を覆うように、リペアサドル12がガス管10の外周面に融着される。なお、この穿孔穴11の内周面の断面形状は、円形形状をなしている。
【0043】
図4に示すように、リペアサドル12は、外側方向に突出する外側突出部12aと、サドル部12bと、サドル部12bの内部周辺に埋め込まれた電熱線12d(図13参照)を備えている。また、リペアサドル12をガス管10の外周面に融着すると、リペアサドル12が備えている外側突出部12aにより、この外側突出部12aの内側面12cとガス管10の外周面との間に空間部13が形成される。
【0044】
前記したように、外側栓体2に形成されている外周面部2gの外径は、穿孔穴11の内径より若干大きく設定されている。従って、外側栓体2の外周面部2gをガス管の穿孔穴11に挿入した状態を示す図4においては、弾性材からなる外側栓体2は穿孔穴11の内周面により圧縮されて、その外周面部2gは穿孔穴11の内周面に密着するとともに、下側内径部2cは拡径部材3の下側外周面3eに密着する。さらに、下側内径部2cには円環状の突出部2d、2eが設けられているので、これら突出部2d、2eは下側外周面3fに強く密着することになる。また、内側栓体4の溝部4bに挿入されたOリング5は、段差部3dより下側に位置する状態になっている。
【0045】
このように、リペアサドル12をガス管10の外周面に融着して穿孔穴11に係る補修作業が終了したときの状態を示す図4においては、Oリング5は段差部3dより下側に位置して下方の孔部3cの内周面に密着しているので、ガス管10内を流れる都市ガスが、穿孔穴11を介して空間部13内に、さらに、空間部13からリペアサドル12の外側へ漏洩することを防止する対策が施されたことになる。
【0046】
図5は、ガス管10に穿孔した穿孔穴11に係る補修作業が終了したときに、穿孔穴11に挿入した閉塞部材1の上方からガス管10に融着したリペアサドル12がガス管10に確実に融着して、気密性が保持されているか否かを判定するために、磁力を利用して、閉塞部材1を構成する磁性体からなる部材を備えている内側栓体4のみを、図4に示す状態からF方向に移動させたときの状態を示している。なお、内側栓体4に磁力を作用させるための永久磁石は、後述する本発明に係る閉塞部材用吸着装置20(図7参照)が備えている。
【0047】
図4に示す状態から、リペアサドル12の外側突出部12aの上面に配置した閉塞部材用吸着装置20から閉塞部材1に対して磁力を作用させると、図5に示すように、内側栓体4の吸着プレート4cは磁力による吸着力を受けて、内側栓体4は距離LほどF方向に移動し、吸着プレート4cの上面はリペアサドル12の内側面12cに当接する。このように、閉塞部材1から内側栓体4のみを磁力により引き抜いて距離LほどF方向に移動させるためには、強力な磁力を備えた永久磁石を用いて吸着プレート4cに磁力による吸引力を作用させる必要がある。また、内側栓体4を距離LほどF方向に移動させたときに、内側栓体4の栓体部4aのF方向の長さの大部分が、貫通孔3a内に留まるようにする。
【0048】
さらに、図5に示すように、磁力を利用して閉塞部材1から内側栓体4のみをF方向に距離Lほど上方に引き上げる(引き抜く)と、内側栓体4の溝部4bに挿入されているOリング5は、図4に示す位置から図5に示すように、下方の孔部3cから上方の孔部3bの内周面を摺動して、段差部3dの上方部まで移動する。このような移動を行うためには、内側栓体4の移動距離L、段差部3dを設ける位置、及び栓体部4aにOリングを挿入するための溝部4bの位置等を適切に設定する必要がある。
【0049】
磁力の作用により内側栓体4を距離LほどF方向に移動した状態を示す図5においては、Oリング5も内側栓体4とともに下方の孔部3cから上方の孔部3bの内周面をF方向に摺動して移動し、段差部3dの上方部に達する。この状態においては、栓体部4aの外周面と下方の孔部3cの内周面とには若干の隙間が設けられており、さらにOリング5は下方の孔部3cより大きい内径を有する上方の孔部3b内に位置するので、ガス管10の内部と空間部13との気密性が無くなって、ガス管10の内部と空間部13とは連通することになる。すなわち、ガス管10内を流れている都市ガスの微少量が空間部13に流出する流路が形成され、この流路を流れた都市ガスは空間部13に流れ込むことになる。
【0050】
一般に、ガス管10を流れる都市ガスの供給圧力は、1.8kPa〜3kPaに調整されているので、都市ガスが空間部13に流れ込むと空間部13内の圧力は大気圧より若干高くなる。これにより、図5に示す状態において、ガス管10とリペアサドル12との融着が不完全であってこの融着による接合部に微小な隙間が形成されていると、この隙間から空間部13に溜まった空気、都市ガスを含む空気、あるいは都市ガスがリペアサドル12の外部に漏れ出すことになる。
【0051】
都市ガス等がリペアサドル12とガス管10との接合部から外部に漏れ出しているか否かを検出する手段は、例えば、従来から実施されているように、ガス管10とリペアサドル12との融着による接合部の周囲に、石けん水を流して泡の発生の有無を目視により確認することにより可能である。
このように、本発明においては、穿孔穴11に対する補修作業が終了したときに、直ちに、上記したように、本発明に係る閉塞部材用吸着装置20をリペアサドル12の外側突出部12aの上面部に載置して、閉塞部材1の吸着プレート4cに磁力を作用させた後に、上記した石けん水によりガス管10とリペアサドル12との融着の気密性の良否を簡単に確認することができる。
【0052】
閉塞部材1の吸着プレート4cに磁力を作用させて内側栓体4を引き抜く操作を行ったときに、何らかの原因で内側栓体4を距離Lほど上方に引き抜くことができなくてOリング5は段差部3dの上方まで移動したが途中で止まること、あるいは、上方に引き抜く途中で内側栓体4が下方に落下することがあり得る。しかしながら、本発明においては、閉塞部材1を穿孔孔11に挿入したときに、拡径部材3に設けた貫通孔3aは、この挿入方向から下方の孔部3cと、この下方の孔部3cの上にこの孔部3cより内径が大きい上方の孔部3bとを設けているので、これらの不具合に対して次の効果を発揮することができる。
【0053】
上記した内側栓体4が途中で止まった場合には、Oリング5は段差部3dの上方まで移動しているので、下方の孔部3dとこの孔部3dより大きい内径を有する上方の孔部3bとは連通することになるので、ガス管10を流れている都市ガスは空間部13に流出することになるので、ガス管10とリペアサドル12との融着の良否の確認に支障を生じることはない。
【0054】
一方、上記した上方に引き抜く途中で内側栓体4が下方に落下した場合にも、図6 に示すように、Oリング5は段差部3dに係止した状態になる。この図6に示す状態においても、貫通孔3aの半径方向に対する段差部3dの幅をOリング5の幅より十分大きく設定することにより、下方の孔部3dとこの孔部3dより大きい内径を有する上方の孔部3bとは連通することになる。これにより、ガス管10とリペアサドル12との融着の良否の確認に支障を生じることはない。
【0055】
(閉塞部材用吸着装置の構成)
続いて、本発明に係る閉塞部材用吸着装置の構成について説明する。この閉塞部材用吸着装置は、リペアサドル12の外側突出部12aの上面部に載置(装着)して、ガス管10に穿孔された穿孔穴11に挿入された閉塞部材1に磁力を作用させることにより、閉塞部材1から内側栓体4のみを図4に示す状態から図5に示すようにF方向に所定の距離Lほど移動させるために使用する装置である。
【0056】
以下、閉塞部材用吸着装置の構成を図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7はこの閉塞部材用吸着装置20の構成を示す断面図であって、閉塞部材1磁力を作用させる等の操作を行っていない初期状態を示し、図8は図7に示す初期状態から作業者が閉塞部材1に磁力を作用させるために操作を行ったときの状態を示す。
【0057】
閉塞部材用吸着装置20は、図7に示すように、主として、永久磁石21、永久磁石21を収納する磁石ベース22と、操作桿23、ヨーク24、スプリング25から構成されている。なお、磁石ベース22は非磁性体であるステンレス鋼、アルミニウム合金、又は銅合金等を使用する。
【0058】
永久磁石21は、所定の厚さを備え、平面視で円形形状又は4角形状をなしている。この永久磁石21としては、希土類磁石、特に、R(RはYを含む希土類元素(Ndを必ず含む)のうちの1種又は2種以上)、T(TはFe又はFe及びCo)、及びB(ボロン)を必須成分とするR−T−B系異方性焼結磁石であって、耐食性を有する表面処理(例えばメッキ層又は樹脂層)を施した希土類磁石、あるいはフェライト磁石を使用することが望ましい。また、永久磁石21は、図7に示す紙面の左右の一対の端部に磁極Nと磁極Sが形成されている。
【0059】
磁石ベース22は、その下方部には永久磁石21を収納するための凹部が形成された収納部22aと、この収納部22aの下端部と一体に連結され吸着面22cが形成された凹部形状をなす吸着部22bを備えている。これら収納部22aと吸着部22bとは永久磁石21を上下方向に移動可能にするための空間部K1を形成している。
磁石ベース22の上方部には、円筒状あるいは四角形状の空間部K2が形成されている。操作桿23は、ボルト26等により縦長の軸体27の上端部と一体に接続され、さらに、軸体27の下端はネジ接続等により永久磁石21と一体に接続されている。
なお、吸着部22b及び軸体27は、非磁性体であるステンレス鋼、アルミニウム合金、又は銅合金等を使用する。
【0060】
操作桿23の下端部23aと空間部K2の底部の間には、軸体27を嵌着し適度な弾性力を有するスプリング25が挿入されている。これにより、軸体27を一体に接続した操作桿23は、空間部K2内を上下方向に移動可能に配置されている。図7に示す閉塞部材用吸着装置20は、スプリング25の反発力により操作桿23が最上部まで押し上げられ、これに伴って永久磁石21も空間部K1の最上部まで押し上げられて、磁石ベース22の収納部22aの上面部に当接した状態を示している。
【0061】
なお、図7に示す閉塞部材用吸着装置20の初期状態においては、永久磁石21の一対の対向する側面に設けた磁極N、Sがヨーク24の横に位置するようにしている。このため、磁極Nから磁極Sへ向かう磁力線はヨーク24により短絡されるので、ヨーク24方向以外に達する磁力線は極めて弱くなる。これにより、閉塞部材用吸着装置20を使用していない初期状態を示す図7においては、永久磁石21が鉄粉等の磁性体異物を吸着することを防止することができる効果も生じる。
【0062】
ヨーク24は、磁石ベース22の収納部22aの外周面を覆うように固定されており、所定の厚さを有するドーナツ形状、又は多角形状をなし、SPCC(冷間圧延鋼板)等を使用する。
なお、上記したスプリング25は、永久磁石21を前記初期位置方向に戻す作用を付与する付勢手段となる。また、磁石ベース22、収納部22a、吸着部22b、操作桿23、スプリング25、軸体27等は、永久磁石21を初期状態の位置から閉塞部材1方向に移動させる上下動移動手段を構成する。
【0063】
図4に示す状態から図5に示すように、ガス管10に穿孔した穿孔孔11に挿入した閉塞部材1から内側栓体4のみを磁力を利用して引き抜く作業を行なうときには、次の作業を行う。
(1)図7に示す閉塞部材用吸着装置20を、リペアサドル12の外側突出部12aの上面に載置(装着)する。このとき、閉塞部材用吸着装置20の吸着面22cが閉塞部材1の上方に位置するように、閉塞部材用吸着装置20をリペアサドル12の外側突出部12aの上面に載置する。
【0064】
(2)続いて、閉塞部材用吸着装置20の操作桿23を手で押し下げる操作を行う。すると、この押し下げ力によりスプリング25はリペアサドル12の外側突出部12a方向に圧縮されて、永久磁石21は図8に示すように、空間部K1内を下降して吸着面22cに当接、又は当接する位置より若干上側に位置させる。このとき、永久磁石21はヨーク24の下方に位置することになる。
【0065】
図8に示す状態まで永久磁石21を下降させると、永久磁石21の側面に形成されている磁極Nと磁極Sはヨーク24の下方に位置することになるので、その磁力線は永久磁石21の下方、すなわち、閉塞部材1の吸着プレート4cに達する。そして、永久磁石21は、その磁力により閉塞部材1の吸着プレート4cを上方に距離Lほど引き抜く作用を行って、図5に示すように、吸着プレート4cをリペアサドル12の外側突出部12aの内側面12cに当接するまで引き上げる。これにより、閉塞部材1から内側栓体4のみが上方に距離Lほど移動するので、下方の孔部3cと上方の孔部3bから構成される貫通孔3aはガス管10の内部と連通することになる。従って、作業者が操作桿23を手で押し下げる操作を行っている間は、ガス管10内を流れている都市ガスは空間部13に流入するので、前記したガス管10とリペアサドル12との融着に対する気密性の良否を確実に判定することができるようになる。この気密性の良否の判定操作が終了すると、作業者は操作桿23を押し下げる操作を止める。これにより、閉塞部材用吸着装置20はスプリング25の反発力が作用して、図7に示す初期の状態になる。
【0066】
なお、本発明においては、閉塞部材用吸着装置20の操作により、閉塞部材1から内側栓体4が引き抜かれたことを確認する手段も重要になる。この確認手段としては、次の手段のいずれかを採用することができる。
【0067】
(1)吸着プレート4cが磁力により引き抜かれて、リペアサドル12の外側突出部12aの内側面12cに当接したときに発生する音を検出する。この音の検出は、作業者の耳で確認してもよいし、高性能マイクロホンを使用した音波検出装置を利用してもよい。
【0068】
(2)リペアサドル12の外側突出部12aの上面部に永久磁石、例えば、外周面に磁極NとSを180°対向させて設けた円柱状磁石を回転自在に装着した磁石装置を置いて、この円筒状磁石を手作業で回転させたときの回転抵抗を手で検出する。この操作により、回転抵抗の変化が感じられた場合には、吸着プレート4cは引き抜かれたと判定することができる。
【0069】
(3)リペアサドル12の外側突出部12aの側部などに金属探知機を配置して引き抜かれた吸着プレート4cを検出する。
【0070】
なお、上記した閉塞部材用吸着装置20をリペアサドル12の外側突出部12aの上面に安定した状態で載置するために、吸着面22cに合成樹脂等の非磁性体からなる敷板等を取り付けるようにするとよい。
【符号の説明】
【0071】
1:閉塞部材
2:外側栓体
3:拡径部材
3a:貫通孔
3b:上方の孔部
3c:下方の孔部
3d:段差部
4:内側栓体
5:Oリング
10:ガス管
11:穿孔穴
12:リペアサドル
13:空間部
20:閉塞部材用吸着装置
21:永久磁石
22:磁石ベース
23:操作桿
24:ヨーク
25:スプリング
K1、K2:空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂管に穿孔された穿孔穴に挿入して該穿孔穴を閉塞するための閉塞部材であって、前記閉塞部材は、
前記挿入の方向に形成された貫通孔を有するとともに、外周面に非磁性体の弾性部材からなる外側栓体を装着する非磁性体からなる拡径部材と、
前記拡径部材に形成された前記貫通孔は、前記穿孔穴側に形成された下方の孔部と、前記下方の孔部に続いて該下方の孔部より大きい内径を有する上方の孔部とを備えるとともに、シール部材を嵌着して前記貫通孔内を移動可能に配設された磁性体の部材からなる内側栓体と、を備え、
前記内側栓体に嵌着された前記シール部材が前記下方の孔部内に位置しているときには、前記下方の孔部と前記上方の孔部との連通が前記シール部材により密封されていることを特徴とする閉塞部材。
【請求項2】
前記内側栓体は、前記貫通孔に挿入されて前記シール部材を嵌着している栓体部と、前記栓体部の一方の端部に結合された磁性体からなる吸着プレートを備え、前記吸着プレートは前記貫通孔の外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の閉塞部材。
【請求項3】
合成樹脂管に穿孔された穿孔穴に挿入された前記請求項1から請求項2のいずれかに記載の閉塞部材に、磁力を作用させるための閉塞部材用吸着装置であって、
対向する一対の側面に磁極を形成した永久磁石と、
前記永久磁石を初期位置から前記閉塞部材方向に移動させる上下動移動手段と、
前記永久磁石の初期位置に対応する前記磁極から所定の間隔を設けた位置に配置されたヨークと、
を備えていることを特徴とする閉塞部材用吸着装置。
【請求項4】
前記上下動移動手段は、前記永久磁石を前記初期位置方向に戻す作用を付与する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の閉塞部材用吸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−255689(P2010−255689A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104294(P2009−104294)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000196680)西部瓦斯株式会社 (47)
【出願人】(391000841)大肯精密株式会社 (20)