説明

閉鎖コンテナ中においてサンプルを処理するためのシステムおよび方法、並びに関連装置

核酸および他のサンプルの自動処理のためのシステムおよび方法は、トレーと柔軟性のあるバリアを含んでなる使い捨てコンテナを保有する。該バリアはトレーのトップエッジで密封するように形成され、密封されたトレー内に閉鎖無菌作業エリアを設ける。ピペットヘッドおよび/または他のサンプル操作デバイスがバリアの内側に取り付けられ、バリアはロボットアームまたは他のデバイスのためのインターフェースを保有できる。バリアがトレーに密封されている場合、バリアはロボットまたは他の操作デバイスからトレーの内容物を分離する。バリアは柔軟性があり、ロボットアームによりトレーの作業エリア中くまなくピペットヘッドを動かすことができる。核酸サンプルを処理するための全サンプル、試薬、ピペットチップ、および他のツールまたはデバイスが、処理に際してコンテナにより設けられた閉鎖区画内に留められてもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は2006年1月18日付で出願された米国仮出願第60/760,087号に対する優先権の利益を主張しており、その内容はここですべて記述されるとして、引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【発明の背景】
【0002】
発明の分野
本発明は、サンプルおよび物質の自動処理に関し、閉鎖環境において核酸を処理するために特に適している。
【0003】
背景技術
核酸ベース増幅反応は、試験サンプルで病気の診断および/または病原生物の特定を補助するために、研究所および臨床検査室において広く用いられている。このような増幅反応は、例えば、患者自身の腫瘍細胞に由来する自己ワクチンを含めた、ワクチンの開発にも用いられる。腫瘍組織から単離された核酸の増幅によれば、小さな腫瘍からでも自己ワクチン生産を行え、したがって最小の全身腫瘍組織量(tumor burden)の患者も治療しうる機会を得られる。
【0004】
一般的には、現在知られている増幅スキームは、変性温度、プライマーアニーリング温度、およびアンプリコン(核酸の酵素増幅の産物)合成温度間の温度の連続サイクリングにより酵素増幅反応が行なわれるか否か、または温度が酵素増幅工程(等温増幅)を通して一定に保たれるか否かに基づいて、概して二つのクラスに分類される。典型的なサイクリング核酸増幅技術(サーマルサイクリング)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)である。このような反応の具体的プロトコールは、例えばShort Protocols in Molecular Biology,2nd Edition,A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,(Eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons,New York,1992)chapter 15において記載されている。等温反応としては、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、および鎖置換増幅(SDA)がある。
【0005】
核酸増幅は、例えば米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、第5,130,238号、第4,876,187号、第5,030,557号、第5,399,491号、第5,409,818号、第5,485,184号、第5,409,818号、第5,554,517号、第5,437,990号、および第5,554,516号において記載されている。これらの特許において記載された方法がクローニングを要することなく核酸の増幅および検出を行なえ、核酸配列の高感度アッセイに寄与していることは周知である。しかしながら、核酸増幅で可能な検出の感度とともに、極少量の望ましくない外来核酸配列による汚染の危険が極めて大きいことも、同様によく認識されている。増幅反応の有用性は、望ましくない外来核酸および他の汚染物の導入を制御する方法により高められる。
【0006】
特に、例えば自家療法用のワクチンのような治療剤の生産を含めた、生物サンプルの処理のために、現行の適正製造基準(GMP)は典型的には無菌環境で製造を要する。
【0007】
したがって、核酸および他のサンプルを処理するための自動システムおよび方法を提供する必要性が当業界に存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の態様は、一以上のサンプルの自動処理のためのシステム、装置、および方法に関する。該システムは閉鎖環境において物品を操作するために用いられ、医学、診断、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、およびナノテクノロジーの分野で特に有用である。本発明の態様は、組織、血液、血液製品、核酸(例えば、RNA、DNA)、タンパク質、細胞培養物などに限定されないが、それらを含めた生物サンプルの処理と特に関連している。
【0009】
本発明の態様は、閉鎖コンテナにおいて一以上の物品を操作するための装置を提供する。ここでは“隔離コンテナ”とも称される該コンテナは、扱われるいくつかの物品を保持しうるように形成された内部チャンバーを形成するトレーと、内部エリアをカバーしてコンテナトレーで密封するように形成および寸法化された柔軟性のあるバリアとを含んでなる。内部エリア内において物品を操作するためのツールが、柔軟性のあるバリアに取り付けられているか、またはそれとともにもしくはその中に組み込まれる。
【0010】
該ツールは、ロボットデバイスに取り付けられるよう構成された、バリアの外側から接近可能な第一インターフェースを有しうる。柔軟性のあるバリアがコンテナで密封された場合内部エリア内に配置されるように、該ツールはバリアの反対側から伸びる第二インターフェースも保有できる。ロボットデバイスが第一インターフェースに取り付けられた場合、該ツールはコンテナ内で物品を操作しうるように形成できる。一部の態様において、閉鎖コンテナ中、一以上の物品としては、例えば、核酸、他のサンプル、試薬、洗浄液、ピペットチップ、容器、他の消耗品、および/またはそれらの組合せがある。他のツールまたはデバイス、例えばコンテナ内においてサンプルまたは他の物品を処理、操作、測定、分析、サンプリング、および/または貯蔵するためのツールもしくはデバイスも、コンテナ内に配置してよい。
【0011】
一部の態様において、核酸および他のサンプルの自動処理のためのシステムおよび方法は、トレーと、該トレーで密封するように形成された柔軟性のあるバリアとの一回用使い捨て隔離コンテナアセンブリーを保有し、それにより密封されたトレー内に閉鎖作業エリアを設ける。閉鎖作業エリアは無菌でもよい。
【0012】
ピペットヘッドおよび/または他のサンプル操作デバイスが、バリアの内側に取り付けられ、そしてバリアは密封された作業エリア内で物品を操作するために用いられるロボットアームまたは他のデバイスのためのインターフェースを保有できる。バリアがトレーに密封されている場合、該バリアはロボットまたは他の操作デバイスからトレーの内容物を分離している。バリアは柔軟性があり、ロボットアームによりトレーの作業エリア中くまなくピペットヘッドまたは他のサンプル操作デバイスを動かせる。核酸サンプルを処理するための全サンプル、試薬、ピペットチップ、および他の消耗品、ツールもしくはデバイスが、処理に際して隔離コンテナにより設けられた閉鎖区画内に留められてもよい。
【0013】
他の態様において、核酸(例えば、RNAおよび/またはDNA)を処理する方法は、例えばオペレーター、他の対象者、または外部環境から、対象物質を望ましくない生物物質において汚染の危険を減らすために、使い捨て(一回用)隔離コンテナを利用する。一部の態様において、隔離コンテナは、次のもの:腫瘍組織、血液、血液製品、細胞、病原体などのうち一種以上に限定されないが、それらを含めた生物サンプルからのRNA単離用に設計されている。具体的な態様において、生物サンプルは腫瘍ホモゲネートを含んでなり、システムは清澄化された腫瘍ホモゲネートをインビトロ転写(IVT)RNAへ変換するためのすべての特徴および機能性を発揮する。
【0014】
典型的には、隔離コンテナの内側のみが対象物質に暴露され、それにより処理システムで生じうる汚染を防ぎ、システムにより処理される連続対象サンプル間における洗浄の必要性を減らす。一部の態様において、処理システムは一つの隔離コンテナにおいて諸サンプルを一度に処理する。他の態様において、該システムは二以上の隔離コンテナにおいて諸サンプルを実質上同時に処理しうるように形成できる。
【0015】
一部の態様において、本発明は、隔壁(diaphragm)によりサンプルデバイスから分離された、作業液および作業液ポンプを含んでなる、流体の移動用の装置を提供する。使用時、隔壁越しに伝えられる圧力の変化により、例えば作業液ポンプが作業液の圧力を変えた場合における隔壁の動きにより、サンプルまたは他の流体がサンプルデバイス中へ吸引またはそこから排出される。一つの態様において、サンプルデバイスは、流体サンプルを取込、分配、および/または混合するための、および/またはサンプル、試薬または他の流体をある箇所から他の箇所へ移動するためのピペットチップまたは他の管である。ピペットチップまたは管はいかなる適切な形状および大きさでもよい。
【0016】
更に他の態様において、本発明は、少なくとも一つの光源またはエミッターと少なくとも一つのレシーバー(キュベットが流体を含有しているかまたは空であるかに応じてレシーバーが光路における変化を検出しうる光路で形成されたキュベット)およびキュベットから取り出された流体の容量を調べられるようにレシーバーと連絡した流体移動デバイスを含んでなる、流体の容量を測定するための装置を提供する。
【0017】
他の態様は、生物サンプル処理コンテナに関する。該コンテナは、第一ワークステーションがサーマルブロック(例えば、シングル管、マルチウェルプレートまたはストリップ、PCRプレートなど)でインキュベート用の容器を保持するように形成され、第二ワークステーションが試薬を保持するように形成され、および第三ワークステーションがピペットを保持するように形成された、実質的に硬質のボディを有する一回用使い捨てトレーを含む。
【0018】
一部の態様は、トレーに密封して、密封された閉鎖内部チャンバーを形成するように形状化された外部エッジ部分を有する、柔軟性のあるバリアに関する。該柔軟性のあるバリアはエラストマーを含有し、バリアの中央部分でロボットアームインターフェースに密封可能に取り付けられる。
【0019】
更に他の態様は、自動ピペットチップ取外しシステムに関する。該システムは:(a)側壁を有するトレー、および(b)トレー側壁と接触し、それにより該側壁との接触でレバーをピボットへ押しやり、操作ツールにより保持された各使用済みピペットチップを解放するように形成された、外方へ伸びるレバーを有する操作ツールと一体化したロボットアームを保有する。一部の態様において、トレーは操作ツールレバーと接触する傾斜側壁を有する。
【0020】
一部の態様は、液体を処理するためのシステムに関する。該システムは:(a)ロボットアーム、および(b)ロボットアームと協同する操作ツール(該ツールは、ピペットチップを解放可能に係合し、カバーの付いた穴あきオープニングの一つを介して容器から流体を取り出す前に、自動的に並進して異なる間隔の箇所で複数回にわたり容器のカバーを穴あけするように形成される)を含む。
【0021】
他の態様は溶出トレーに関する。該トレーは、上方へ伸びるバリアの第一側面に複数およびバリアの反対側面に複数の、間隔をあけた複数の容器を有する無菌生体適合性溶出トレーである。該容器は、その各側面に伸びて主管状部分の方向で下方へテーパー化する、チャンネルを有する。
【0022】
更に他の態様は、自動処理システムにおいて使用されるキットに関する。該キットは:(a)トレーとそれに密封可能に取り付けられるよう構成された柔軟性のあるバリアを含んでなる一回用使い捨てコンテナ、(b)第一ワークステーションでコンテナに存在するように形成された一回用使い捨て試薬ラック、(c)コンテナに存在するように形成された一回用使い捨て結合カラムマニホールド(manifold)、および(d)コンテナに存在するように形成された一回用使い捨てピペットラックを保有する。
【0023】
一部の態様は、液体を移動する方法に関する。該方法は:(a)ピペットチップを解放可能に保持するインターフェースツールを動かすために、ロボットアームをプログラムで指示し、(b)ピペットチップを用いて複数回にわたり標的液体を保持する容器のシーリング材を自動的に穴あけし、次いで(c)ピペットチップを用いて穴あきシーリング材付き容器から液体を自動的に取り出す、ことを含む。
【0024】
一部の態様は、ピペットから液体を放出させる方法に関する。該方法は:(a)ピペットを解放可能に保持するインターフェースツールを動かし、閉鎖コンテナにおいて受容表面付近に先端を置いて下方角度方向にピペットを向けさせるために、ロボットアームをプログラムで指示し、(b)次いで下方向き角度のピペットを平面に沿い実質上直線的に自動で動かしながら、ピペットから流動性物質を放出させる、ことを含む
【0025】
更に他の態様は、液体をピペットに吸引する方法に関する。該方法は:(a)ピペットを解放可能に保持するインターフェースツールを動かして、閉鎖コンテナで標的流体を保持する容器を係合するために、ロボットアームをプログラムで指示し、次いで(b)容器の内側でピペットを自動的に動かして容器において液体を混ぜ、次いで(c)混ぜられた液体をピペットへ吸引する、ことを含む。
一部の態様において、該方法は液体を混ぜるために液体を吸引および分配することもできる(一回または多数回)。
【0026】
更に他の態様は、閉鎖システムでサンプルを処理する自動化方法に関する。該方法は:(a)柔軟性のあるバリアを有する密封可能閉鎖コンテナにサンプルを用意し、および(b)サンプルを処理するため閉鎖コンテナが密封されたままで、柔軟性のあるバリアと協同して、一連の作動により閉鎖コンテナの内側においてインターフェースツールを動かすために、ロボットアームをプログラムで指示する、ことを含む。
【0027】
該方法は、場合により次のうち一以上を含んでもよい:(c)増幅中に複数の時間でサンプルの容量および濃度を電子的かつ自動的に測定する、(d)使用前、使用後、および/または使用中に閉鎖コンテナの密封の完全性を電子的かつ自動的に測定する、および(e)閉鎖システムの密封された状態を毀損することなくアリコート容器で少なくとも一つの増幅RNAサンプルを捕捉する。
【0028】
本発明の更に他の態様は、閉鎖コンテナで物品を操作するための装置に関する。該装置は:(a)操作対象となる複数の物品を保持しうるように形成された内部区域を有するコンテナ、および(b)閉鎖ループでコンテナの内部区域内に密封された空気を循環させるように形成された再循環真空システム、を含む。
【0029】
本発明の方法の態様に関して、ここでは一部の態様が記載されているが、本発明はシステムおよびコンピュータープログラム製品としても具体化できることが理解されるであろう。しかも、システム、装置、方法、またはコンピュータープログラムの請求項の一つの種類に関して請求項で記載されるいずれの特徴も、請求項で記載される作動または特徴のいずれか他の種類として請求項で記載または実施しうる、ことが注記される。
【0030】
本発明の態様による他のシステム、方法、システム構成部品、および/またはコンピュータープログラム製品は、下記の図面および詳細な記載のレビューから当業者に明らかであるまたは明らかとなる。すべてのこのような追加のシステム、方法、および/またはコンピュータープログラム製品がこの記載の範囲内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の請求項により保護される。
【発明の具体的説明】
【0031】
本発明は修正および代替形態により実施してもよいが、その具体的な態様が図面において例示として示され、詳細に記載されている。しかしながら、本発明を開示された具体的な態様に限定されるものではなく、逆に本発明は本発明の精神および範囲内に属するすべての修正物、相当物、および代替物に及ぶと理解されるべきである。同一の参照番号は、図面の記載を通して、同一要素を表す。
【0032】
図面において、ある線の太さ、層、構成部品、要素、または特徴は、明確化のために誇張されることがある。別記されない限り、破線は、任意の特徴、作動、または隠れた構成部品を表す。請求項において、記載された方法は、そこでそのように述べられていない限り、示された工程の順序に限定されない。
【0033】
ここで用いられる技術は具体的な態様を記載する目的のためだけに用いられ、本発明を限定するものではない。ここで用いられているような単数形“a”、“an”、および“the”は、内容が明らかにそれ以外を示すのでない限り、複数形も含む意味である。用語“含んでなる”は、この明細書で用いられている場合、記載された特徴、整数、工程、作動、要素、および/または構成部品の存在を表すが、一以上の他の特徴、整数、工程、作動、要素、構成部品、および/またはそのグループの存在または付加を除外するものではないことが、更に理解されるであろう。ここで用いられているような用語“および/または”は、関連掲載物品のいずれかおよびその一以上のすべての組合せを含む。ここで用いられている“X〜Y”および“約X〜Y”のような語句は、XおよびYを含むと解釈されるべきである。ここで用いられている“約X〜Y”および“約X〜約Y”のような語句は、“約X〜約Y”を意味する。ここで用いられている“約XからYまで”のような語句は、“約Xから約Yまで”を意味する。
【0034】
別に定義されていない限り、ここで用いられているすべての用語(専門および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者により通常、理解されるものと同様の意味を有する。常用される辞書において定義されている用語は、明細書および関連業界の関係でそれらの意味と一致した意味を有するとして解釈されるべきであり、ここで明らかにそのように定義されていない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきでないことが、更に理解されるであろう。周知の機能または構成は、簡略化および/または明確化のため詳細に記載されないこともある。
【0035】
第一、第二などの用語が様々な要素、構成部品、区域、層、および/または項目を記載するためにここで用いられているが、これらの要素、構成部品、区域、層、および/または項目はこれらの用語により限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素、構成部品、区域、層、または項目を他の区域、層、または項目から区別するためだけに用いられる。このように、以下で記載される第一の要素、構成部品、区域、層、または項目は、本発明の開示から逸脱することなく、第二の要素、構成部品、区域、層、または項目と称することもできる。作動(または工程)の順番は、特に他で示されない限り、請求項または図面において呈示された順序に限定されない。
【0036】
“閉鎖システム”または“閉鎖コンテナ”という用語は、処理に際してシステムまたはコンテナ中へ(またはから)の外在または外部物質の導入を阻止または防止するために、完全でなければ、実質上閉鎖的に密封されて作動する、各々システムおよびコンテナに関する。閉鎖システムは汚染を阻止または防止するように形成される。一部の態様において、閉鎖システムまたはコンテナの構成部品は製造現場で使用前に前滅菌され、使用箇所で滅菌され、および/または各閉鎖システムが使用前に組立て、および閉鎖された後で滅菌される。閉鎖システムまたはコンテナは、ある大気条件下でわずかな目標または既定漏れ率まで圧力‐または真空気密(vacuum-tight)である。漏れ率は、真空もしくは圧力センサー試験を用いる内部および/または外部センサー、または他の漏れチェックシステムなどにより調べられてもよい。典型的な大気条件は、海面からそれ以上の標高まで、装置の所在位置により変化してもよい。しかしながら、本発明の態様で考えられる閉鎖システムは海洋(水面下、深海)、飛行、および/または宇宙環境でも用いられてもよく、密封性はその大気条件で目標漏れ率を実質的に十分に維持しうる。閉鎖システムまたはコンテナは、閉鎖システムの完全性の毀損なしに、それらの各所定目的のために利用することができる。閉鎖システムまたはコンテナは無菌性を維持しながら標的流体サンプルの流体移動に適合化でき、および/または閉鎖システムの完全性を維持しながら他の閉鎖システムに接続可能である。工程に際して大気または他の構成部品に開いた流路で、フィルターが場合により用いられる。フィルターは、所望のクリーンレベルまたはクラスまで濾過して、クラス100,000、クラス10,000、クラス1000フィルター、または更にはクラス100フィルターのような閉鎖状態をとれるように形成されてもよい。
【0037】
“隔離コンテナ”という用語は、内部構成部品を保持、格納、および/または隔離し、外部病原体、微生物など、および/または外部環境において存在しうる他の物質から隔離して、そこに保持された一以上の物品またはサンプルを処理しうるように形成された、コンテナに関する。隔離コンテナは一回用使い捨てコンテナでもよい。一部の態様において、隔離コンテナ中のサンプルは、例えば組織(例えば、清澄化された腫瘍ホモゲネート)中の核酸をIVT RNAへ処理するための、核酸であるか、またはそれを含んでなる。
【0038】
“一回用使い捨て”という用語は、再使用されない構成部品に関する。換言すれば、その意図した使用、即ち標的サンプルの処理または調製を終えた後、それは捨てられる。標的産品の処理/調製後にその内容物のいかなる不注意な外部放出または暴露も阻止するために、隔離コンテナがその内部構成部品をそこに保持して閉鎖の密封された状態で捨てられる閉鎖システムを保持するために、隔離コンテナは一回用使い捨てでよい(そのようにラベルしてもよい)。
【0039】
“アリコート”という用語は、標的流体の所望量に関する、流体の量は既定および/または特定範囲内にある。“アリコート管”という用語は、コンテナから流体アリコートの取出しを行なえる管に関する。典型的には、“アリコート管”という用語は、隔離コンテナの閉鎖状態または密封された完全性を毀損することなく、少なくとも一つ(典型的には複数)の流体アリコートを入れられるように、隔離コンテナの内部と連絡した管に関する。アリコート管は柔軟性があり、かつ無菌でもよく、PVCのようなエラストマーを含んでなる。
【0040】
“キュベット”という用語は、容器内に含まれる物質、典型的には流体の機械的、電気的、または光学的測定、典型的には濃度または容量測定を行なえるように形成された容器に関する。キュベットは、典型的には約0.001mL〜約5.0mLの範囲内で、比較的少量の流体を保持するようにサイズ化される。
【0041】
“ピペットチップ”という用語は、流体、典型的には液体を少量、典型的には約0.1μL〜約1000μLの量で取込および/または放出しうる、両端で開く管に関する。該管は、典型的にはヘッドから下方先端にかけてテーパー化(tapering)した、不規則もしくは一定の周囲形状または大きさを有する。“ピペット”は複数のかみ合い可能な(matable)構成部品により形成される。即ち、ピペットはチップ部分およびヘッド部分を有する。ヘッド部分は、処理に際して異なるピペットチップと解放可能に取り付けられる、ロボットデバイスへ(間接的に)取り付けられた操作ツールに形成される。異なる容量の大きさのピペットも単一コンテナ/処理システムにおいて用いてもよい。
【0042】
“Human Machine Interface(HMI)”との用語は当業者に周知であり、オペレーターに機械へ入力、指示させ、それと相互作用させるインターフェースに関し、プログラムで情報を提供してオペレーターからの制御指令を受け取る“Graphic User Interface(GUI)”付きの電子ディスプレーを典型的には含む。
【0043】
“無菌”という用語は、コンテナの内部処理空間において外部病原微生物および/または望ましくない外来物質による標的サンプルの汚染を阻止または防止する、および/またはコンテナの内容物による近位外部環境の汚染を阻止または防止する、処理状態に関する。
【0044】
“結合カラム”という用語は、サンプルまたはその誘導体の諸成分を分離するために用いられる、濾過/溶出カラムに関する。一部の態様において、結合カラムは核酸(例えば、DNAおよび/またはRNA)単離または精製に用いることができる。一部の態様において、結合カラムはシリカ膜を保有してもよい。
【0045】
“トレー”という用語は、一以上の構成部品を保持するために十分な剛性を有した支持体に関する。トレーは実質的に平坦でも、またはボウル様形状を有してもよい。トレーは他の形状および形態を有してもよい。トレーは一体ウェルまたは保持区域を形成するように形成しても、またはデバイスもしくはコンテナ、典型的には少なくとも一つの処理ワークステーションと関連したそれらの構成部品と密封可能にかみ合う、および/またはそれらを保持するように形成されてもよい。
【0046】
“ユーザー”という用語は、オペレーター、プログラマー、および/またはメンテナーに関する一般名である。
【0047】
“ロボット”という用語は、規定された処理工程または作動を行なうよう望ましい方向へ翻訳することがプログラムにより指示される、自動デバイスに関する。“ロボット”という用語は広く用いられ、多軸並進の固定設置ロボットアーム、並びに全可動ロボットおよび他の適切なロボットデバイスを含む。
【0048】
本発明はシステム、方法および/またはコンピュータープログラム製品として具体化されてもよい。したがって、本発明はハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、レジデントソフトウェア、マイクロコードなどを含む)で具体化されてもよい。更に、本発明は、指令遂行システムによるまたはそれと連携した使用のためにコンピューター使用可能またはコンピューター読取可能プログラムコードを媒体で具体化させたコンピューター使用可能またはコンピューター読取可能蓄積媒体において、コンピュータープログラム製品の形態をとってもよい。本明細書に照らして、コンピューター使用可能またはコンピューター読取可能媒体は、指令遂行システム、装置もしくはデバイスによるまたはそれと連携した使用のために、プログラムを保有、蓄積、伝達、伝播、または輸送しうる、いかなる媒体であってもよい。
【0049】
コンピューター使用可能またはコンピューター読取可能媒体は、例えば電子、磁気、光、電磁気、赤外線または半導体システム、装置、デバイスまたは伝播媒体であってもよく、それらに限定されない。コンピューター読取可能媒体の更に具体的な例(非包括的リスト)としては次のものがある:一以上のワイヤ、ポータブルコンピューターディスケット、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み出し専用メモリー(ROM)、消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリー(EPROMまたはフラッシュメモリー)、光ファーバー、およびポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリー(CD‐ROM)を有する電気コネクション。コンピューター使用可能またはコンピューター読取可能媒体は、紙もしくは他の適切な媒体でもよく、そこにプログラムがプリントされ、プログラムが例えば紙または他の媒体の光学式走査で電子的に捕捉されると、必要であれば適切に編集、解釈、または処理され、次いでコンピューター(電子)メモリーに蓄積されることに留意する。
【0050】
閉鎖環境において、自動処理のための装置および方法が以下で記載されている。該システムは、例えば閉鎖環境で何かを処理、作製、組立て、または操作するために用いられ、医学、犯罪科学、治療、診断、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、およびナノテクノロジーの分野で特に有用である。記載の便宜上、本発明の様々な態様および特徴が、核酸処理のためのシステムの関係において、ここでは記載されている。しかしながら、以下の記載は本発明の単なる説明にすぎず、限定されるものではない、と当業者であれば理解するであろう。例えば閉鎖コンテナで何らかの物品を作製、組立て、処理、または操作するためのシステムおよび方法を含めて、様々な他の適用も本発明の範囲内とみなされる。
【0051】
例示の自動システムの概観
概観として、図1に関し、システム10は、内部チャンバー(内部作業エリアまたは区域としても記載され、“エリア”という用語が広く用いられているが、二次元数理的ではない)付き閉鎖コンテナアセンブリー12内で一以上の物品を操作する、ロボットアーム20で形成しうる。一部の態様において、コンテナアセンブリー12は、処理されるおよび/またはそれ以外で操作対象となる複数の物品を保持するように形成された、内部区域18を有する。柔軟性のあるバリア16は、コンテナトレー14の内部をカバーし、それで密封するように、形成および寸法取りされる。チャンバー内で物品を操作するためのツールが柔軟性のあるバリア16へ取り付けられまたはその中に組み込まれ、バリア16がトレー14へ取り付けられた場合に、内部区域中へ伸びる。バリアがコンテナトレーで密封されまたはそれへ取り付けられた場合に、ツールがコンテナの外側からロボットデバイスにより操作されるように、該ツールはバリアの外側から接近可能なアダプターまたは他のインターフェースを有しうる。トレー14は、閉鎖コンテナで一以上の物品または工程構成部品または流体を保持するための、一以上の作業スペース、エリア、ステーション、ラック、ホルダー、容器、ウェル、または他のデバイスを保有するように形成される。他のツールまたはデバイスがコンテナ内に配置されてもまたはそこから接近可能でもよく、例えばサンプルまたは他の物品を処理、操作、測定、分析、サンプリング、および/または貯蔵するためのツールもしくはデバイスがコンテナのチャンバー内に存在してもよい。
【0052】
ここで図面に戻ると、図1は例示の自動核酸処理システム10を示す。システム10はコンテナアセンブリー12を保有してもよい。コンテナアセンブリー12は隔離コンテナ12でもよい。システム10は、コンテナアセンブリー12内でおよび/またはそれと関連して物品を操作するための、ロボット20(典型的にはロボットアーム)または他の自動もしくは手動指示可能デバイスも保有する。コンテナアセンブリー12はトレー14と柔軟性のあるバリア16を含んでなる。バリア16はトレー14で密封またはそれと取り付けられるよう構成される。バリア16の最外周端部分16pはコンテナトレー14を密封可能に係合でき、コンテナアセンブリー12内に閉鎖無菌作業エリア18を設ける。一部の態様において、コンテナアセンブリー12またはそのいずれか一部は一回用使い捨てである。具体的な態様において、サンプルは密封されたコンテナを開けることなくコンテナの外部で排出、収集、または捕捉され、密封されたコンテナ12は残留内容物と共に“そのまま”捨てられる。
【0053】
トレー14は実質的に硬質であって、成形されたボディでもよい。一部の態様において、トレー14は医療グレード(USPクラスVIまたは他の適切なグレード)の成形ポリマーを含んでなる。トレー14のボディは、内部目視性を呈する視覚性のために、一以上の実質的にクリアな半透明または透明の光沢区域を含んでなる。トレー14は、バイオバーデンおよび微粒子を阻止および/または最少化するために、クリーンルームモールドおよびクリーンルーム成形施設で成形される。トレー14は、例えばVHP(蒸気過酸化水素)、ガンマ線照射、またはエチレンオキシド蒸気過酸化水素による表面汚染除去のような、一般的滅菌技術を用いることにより、柔軟性のあるバリア16を密封する前にまたはその後に滅菌される。輸送のために、トレー14は密封された二重プラスチック包装/袋詰めのように二重エラストマー無菌包装物質で梱包される。
【0054】
バリア16は、コンテナアセンブリー12の密封された完全性を毀損することなく、垂直に約4〜24インチおよび水平にトレー14の少なくともほぼ幅と長さで、密封されたコンテナアセンブリー12の作業エリア18内でロボット20にツールを動かせるように形成される。一部の態様において、ロボット20は、密封の密封された完全性を毀損することなく、密封されたコンテナアセンブリー12で6〜12インチの垂直運動を有するよう、内部インターフェースに命令しうる。バリア16は、コンテナ12の内部容量を過度に圧縮または減損することなく、ロボット20の望ましい運動範囲を確保する上で十分な空気容量をもたらすよう、トレー14との相関でサイズ化され、そして形成される。
【0055】
一部の態様において、システム10は、組織、血液、血液製品、核酸、タンパク質、細胞培養物などに限定されないが、それらを含めた生物サンプルをコンテナアセンブリー12内において処理するために用いられる。このような態様において、コンテナ12は、例えば生物サンプル、試薬、洗浄液、ピペット、ピペットチップ、容器、他の消耗品、またはそれらいずれかの組合せのような物品を含んでもよい。
【0056】
示されたように、システム10は自立式、自給式ユニットであってもよい。システム10は、自動システム10の隔離コンテナアセンブリー12および他の構成部品、例えばロボット20、サーマルブロック30(例えば、ヒートブロックおよび/または冷却ブロックなど)、アリコート・リトリーバル・アセンブリー40および処理されたサンプルを集めるための関連機構、ユーザーインターフェース60、および以下の項目において記載されているような様々な他の構成部品および機構を支持するためのハウジングまたはシャシ70を保有する。サーマルブロック30は、例えば、図10、11において示されるように、サーマルブロックアセンブリー1000と協同してもよい。
【0057】
処理システム10の一部の態様において、オペレーターまたはメンテナーは通常作動のためにシステム10のフロントへ接近することのみを要してもよい。図1において示されるように、一以上のアクセスドア110が、隔離コンテナ12を取り付けるまたは取り外す際に、接近性をもたらすため、例えば実質上垂直に持ち上げるか、または側面もしくは他の方向に開けることで開いてもよい。
【0058】
一部の態様において、システム10の自動性により、ドア110は作動時にオペレーターがシステムの各パートを動かさないように防いでもよい。システム10は、システムが作動している際にドア110を開けないようオペレーターを阻止または防止するため、電子的に制御されたインターロックまたは他の機構を組み込んでもよい。インターロックされたガードを開くための補助手動装置も装備でき、このような補助手動装置は例えば電力が得られない場合に用いられてもよい。HMI(Human Machine Interface)とも称されるユーザーインターフェース60は、オペレーターに処理作動を開始させまたはシステム10を制御させうるように形成でき、アクセスドア110に隣接するシャシ70のフロントに設置しうる。ある態様では、HMIのディスプレースクリーン61および制御(タッチスクリーン、キーパッド、または他のインプット)も、立ちながらユーザーにそれらを視認および作動させるように置いてもよい。一部の態様において、システム10の背面および側面はオペレーターにより日常的に接近される必要はない。結果的に、システムは壁または他のシステムを背にして置ける。
【0059】
一部の態様において、シャシ70の下部は、オペレーター相互作用を要しない、電子制御システム、電源、および他の構成部品を保有しうる。これらの構成部品は、偶発的流体浸入から構成部品を保護し、生じうる電気ハザードからオペレーターを保護する、専用エンクロージャーに収納される。取り外し可能パネル120、130、140は、エンクロージャーの内側で電気構成部品および/または他の構成部品へ接近しうるように保有されてもよい。一部の態様において、訓練されたサービス員のみが、これらエンクロージャーの内側に近づくことを許されるか、または要求される。サービスアクセスパネルは、例えばパネルを取り外してシステムを作動継続させることを許諾または拒否するために、インターロックしてもまたはしなくてもよい。
【0060】
図2は、作業表面200に隔離コンテナ12を保有した、システム10の上部分の拡大側面図を示す。例えば、示されたようにバリアがトレー14へ取り付けられた場合に、ピペットヘッド220の少なくとも一部分がコンテナ12の内部作業エリア18中へ伸びるように、ピペットヘッド220および/または他の操作デバイスがバリア16へ取り付けられるか、またはそれとともにもしくはその中に組み込まれている。ピペットヘッド220は、ロボットデバイス20のアーム230の端部で解放可能にアダプター210と接続するように形成されたインターフェースをバリア16の反対側に保有する。一部の態様において、ピペットヘッド220または他の操作デバイスはバリア16を物理的に通り抜けず、アダプターでロボットまたは他のデバイスと必ずしも連結していなくてよい。むしろ、このようなピペットヘッドはバリアの内側と取り付けまたは一体化し、例えばバリアの反対側に取り付けられたロボットアーム230を用いて、バリア16の反対側から作動または操作される。他の態様において、(実質的に不透過性である)バリア16と一体化されたピペットヘッドまたは他のサンプル操作デバイスは、バリア16を介して操作デバイスを支持および/またはそれと連絡する磁石または他のデバイスにより作動してもよい。
【0061】
バリア16がトレー14に密封されている場合、バリア16はピペットヘッド220を操作するロボット20または他のデバイスからトレー14の内容物を分離する。バリア16およびトレー14間の密封は気密であり、それによりコンテナ12内に閉鎖環境をもたらす。一部の態様において、バリア16は柔軟性があり、ロボットアーム230によりトレー14内の作業エリア18中くまなくピペットヘッド220を動かせる。例えば、生物サンプル、試薬、ピペットチップ、または他の消耗品を含めた、核酸サンプルの処理に関与するすべての物品または物質と、サンプルを処理するための他のツールまたはデバイスとは、処理に際して閉鎖作業エリア18内に留まれる。トレー14は、このような物品を収納するために、トレー14のベース240またはトレー14の他の部分と成形、形成、取り付け、または一体化された、いくつかのフィーチャーまたはステーション242を含んでもよい。
【0062】
示されたように、ロボットデバイス20はシャシ70の壁に取り付けられてもよい。他の態様において、ロボットデバイス20は作業表面200または他の支持構造体に取り付けられたアーム、ガントリー、またはリンケージシステムを含んでもよい。適切なロボットデバイスが当業界において知られている。以下の例には限定されないが、Staubli TX90ロボット、Epson E2L Scaraロボット、Kawasaki F Seriesロボット、Yamaha YKL Scaraロボット、ST Robotics R17ロボットなどが含まれる。一部の態様において、ロボットデバイス20は、FANUCLR MATE 200iB 5C、6軸ロボット、または他の適切な多軸ロボットデバイスであり、例えば、サンプルの処理に際しピペットチップを用い結合カラムマニホールドをスライドまたは持ち上げて、流体の吸引および移動のような望ましい操作を閉鎖コンテナ12内部において自動的に行なうために用いられる。
【0063】
多軸ロボットアームは、ピペットを解放可能に保持するインターフェースツールを動かし、いくつか異なる方向にピペットを向けて、吸引または分配時に液体の混合を助けるために用いられる。例えば、ピペットは閉鎖コンテナ中の受容容器で受容表面近くに先端がある状態で下方角度方向に向けられ、次いで自動的に下方向き角度のピペットが(マスタードの典型的な積層または分配に類似して)面に沿い実質上直線的に動かされ、その際にピペットから流動性物質を放出する。他の態様において、吸引前に容器において液体を混ぜ、次いで混ぜた液体をピペットへ吸引するように、ロボットアームが自動的にピペットを動かせる。一方または加えて、一部の態様において、液体は該液体を混ぜるために少なくとも一回吸引および分配される。一部の態様において、受容または分配容器はリップを有し、ロボットアームはピペットチップに指示してリップの周囲を動かせるように形成される。
【0064】
図3において示されるように、フロントアクセスドア110の内側に置かれる水平作業表面200は、例えば、隔離コンテナ12と相互作用する様々な構成部品および機構を支持してもよい。作業表面200は、処理に際して、アセンブリーサポートトロリー(trolley)399(図27)に構成部品を係合してコンテナを並べさせるガイドスロット390s、あるいは隔離コンテナ12(例えば、図2のベース240)へ向けて解放可能に固定する他のロケーションフィーチャーを含めて、一以上のガイドスロット390sを保有しうる。
【0065】
図27において示されるように、システム10とドッキングしうるトロリー399上にコンテナアセンブリー12が作製される。トロリー399は、システム10の支持表面上でガイド390により形成されるスロット390sと並ぶ、スロット399sを保有する。コンテナアセンブリー12をシステム10へ移動するために、オペレーターはシステム10付近でトロリーを転がし、こうしてトロリー399がシステム10のガイド390と並べられる。オペレーターがコンテナアセンブリー12を持ち上げることなく、コンテナアセンブリー12はシステム10のスロット390sで適正な作動位置にスライドする。
【0066】
図28Aおよび28Bにおいて示されるように、作業表面200は適所にある場合、コンテナ12の下部分と接触するローラーガイド381、382を保有する。ローラーガイド382は、ワークステーション箇所の登録のためにロボットアームと望ましいアライメントにある最内部スロット壁390に対してぴったり適合するように、内側へコンテナ12をバイアスさせるスプリング383と連絡しうる。
【0067】
再び図3に戻ると、作業表面200は、コンテナ内で区域、容器、または標的対象もしくは箇所を加熱および/または冷却するためのインキュベーションデバイスのような、温度制御デバイスを支持してもよい。このようなデバイスは当業者に知られている。ある態様において、システム10は、例えば、ある核酸増幅反応または他の反応もしくは工程に際してPCRプレート610(図6)または他の容器もしくは構成部品の温度を制御するためのサーマルサイクラー30、およびこのような反応に際してサーマルサイクラー30を選択的にカバーするためのサーマルサイクラーリッド機構310を保有する。ある態様にでは、真空ポンプアセンブリー320およびピンチバルブアセンブリー330が、処理に際して隔離コンテナ12内において真空および空気の循環の制御をもたらす。真空ポンプアセンブリー320は、一回用使い捨て真空ヘッド1602、および関連管類(tubing)1650を解放可能に係合しうる(図23B)。作業表面200は、ここで更に記載のように、コンテナアセンブリー12により保持される構成部品と分光光度計1900sを連絡させうるように、コンテナアセンブリー12も保持しうる。
【0068】
一以上のシリンジポンプ350(例えば、二つのポンプとして示される)は、ピペットヘッド220の吸引および分配作用を駆動させるために用いられる(図2)。一部の態様において、シリンジポンプ350は、ピペットヘッド220の作動のための真空および圧力をもたらす、図2において示されたピペットヘッドアダプター210を介して、例えばリザーバー340から作業液を送り出すために用いられてもよい。作業液は実質的に非圧縮性であってもよく、例えば約50%エタノールの水溶液を含んでなる。他の流体、空気さえも用いてもよい。ポンプ機構およびピペットヘッド220の例示態様の追加詳細が、図7および8と関連して以下で更に詳細に記載されている。
【0069】
図3に戻ると、キュベットホルダー360(図19Aにおいて分光光度計キュベットも参照)は、処理に際して望ましい作動で自動濃度測定を行なうために、シャシ70の下部分で典型的に存在する分光光度計1990sと連結させうる。場合により、作業表面200は一以上の冷却フィーチャー、例えば冷却機のような熱交換器を保有してもよく、ペルチェ(Peltier)冷却プレート370および372が隔離コンテナ12のある部分を係合して密封されたコンテナ12内で湿度および蒸気濃度の制御を助けるために置かれる。レバー380または他の機構もしくはデバイスも、作業表面200において適所に隔離コンテナを固定するために用いられてもよい。
【0070】
一部の態様において、RNA処理システムは、大規模生産システムおよびデータ管理ツールまたはシステムから隔離されて、スタンドアローン式に作動してもよい。内部または外部コンピューターシステムがサブシステムの自動構成部品を制御および/または測定してもよい。ユーザーは、例えば、システムを作動させて状態を測定するために、インターフェース60と相互作用してもよい。他の態様において、システム10は他のシステムまたは監視ステーション(異なる部屋または異なる施設にあってもよい)と連絡しうる。
【0071】
様々な構成部品およびアセンブリーの追加の詳細、および使用の例示方法が、以下の項目において記載されている。
【0072】
例示の隔離コンテナ
隔離コンテナアセンブリー12に関して、トレー14および柔軟性のあるバリア16が更に詳細に記載されている。トレー14は、内部作業エリア18を保有し、例えば、望ましいアッセイまたは工程用の容器、ピペットチップ、結合カラム、他の支持体、および/または他の消耗品またはデバイスを保持するための一以上のラック、マニホールド、または他のホルダーを含めて、コンテナ12内に物品を保持するためのいくつかのインサート、空洞、ラックもしくはラック搭載フィーチャー、および/またはステーション242を含んでもよい。望ましい最終状態または産品へ物質を処理するために用いられるすべての物品がコンテナ内に保持され、即ちシステム用の消耗品は自給式であり、コンテナの内部を汚染する危険を最少化するためまたはサンプルに環境もしくはユーザーを汚染させないために、処理に際して密封される。バリア16は、例えば図5において示されるようなトレー14の環状エッジ452付近に、トレー14で解放可能にまたは恒久的に密封するよう形成された最外周端部分16p(図5)を有する。バリア16がトレー14において密封されている場合、ピペットヘッド220および/または他のサンプル操作ツールもしくはデバイスの少なくとも一部はバリア16から作業エリア18中へ伸びている。
【0073】
一部の態様において、バリア16は硬質トップエッジ452に沿いトレー14を係合している(図5)。バリア16の最外周端部分16pはトップエッジ452に接触して存在する(図5)。トップエッジ452は、バリア16を締め付けてトレー14に対してバリアを密封するO−リング(示さず)を入れる、ギャップスペース付き立上りリップとして形成されてもよい。
【0074】
閉鎖システムまたは環境を作るために、隔離コンテナトレー14およびバリア16は、コンテナ12内の物品と、コンテナで物品を処理するために用いられる外部デバイス、機構、および装置のピースとの間に、物理的バリアを形成するように形成されてもよい。例えば、柔軟性のあるサーマルサイクラーリッドシール430が、図4において示されるように、トレー14の壁450内に組み込まれてもよい。このようなシール430はリッド1010を入れるスリーブまたは閉鎖チャンネルを包囲および形成し(図11)、リッド機構310とコンテナ12の内部エリア18内の物品との間に物理的バリアを設けながら、サーマルサイクラーブロック30による加熱時に、サーマルサイクラーリッド機構310によりトレー14の側壁にある隙間14a(図5)へリッドを伸ばし、サンプルをカバーさせるために用いられてもよい。
【0075】
しかも、冷却プレート370、372は、隔離作業エリア内でどの物品とも接触することなく、コンテナ12内の温度変化を知らせるように、トレー14の外表面の各部分を係合してもよい。一部の態様において、冷却プレートは、隔離作業エリア/スペース内に保持された(試薬のような)物品の温度を制御しうるよう、トレー14/コンテナ12の外表面の各部分と係合してもよい。
【0076】
同様に、図3において示されるように、キュベットホルダー360は濃度および/または容量の測定を行なえるようトレー14のベース240から伸びるキュベット660(図6)を選択的に係合するが、ホルダー360はコンテナ12内のどの物品とも接触しなくてもよい。そのため、一部の態様では、サンプルと直接接触するよう要求される試薬、消耗品、およびツールまたはデバイスのみが、隔離コンテナ内に保有される。このような形態はいくつかの利点を有する。例えば、サンプルはそれ自身の隔離環境において処理され、および/またはコンテナ外に存在する処理装置はサンプルと接触せず、そのため生じうる汚染から保護される。処理の終わりに、例えば収集サンプルまたは隔離コンテナの完全性を毀損することなく、以下で更に記載されているように、所望数のアリコートがアリコート管440(図4)に集められてもよく、コンテナ12から取り出されてもよい。一部の態様において、例えば、密封された隔離コンテナ12は、サンプル物質で汚染された構成部品とともに、処理サイクル後に捨てられる。
【0077】
図5および6は、隔離トレー14および柔軟性のあるバリア16を含めた、例示の隔離コンテナ12の一部構成部品の追加の詳細を示す。内部作業エリア18は、例えばベース240と一以上の壁450で囲まれてもよく。バリア16は、以下の別項目で更に詳細に記載されている、ピペットヘッド220または他のデバイスもしくはツールを保有しうる。バリア16がトレー14で密封された場合に、作業エリア18が閉鎖された、典型的には気密な区画となるように、バリア16は、例えばトレー14の環状エッジ452に沿うシール510において、トレー14でカバーおよび密封するように形成しうる。
【0078】
トレー14は実質的に硬質であり、収納するためにトレーで成形、形成され、それと取り付けまたは一体化された、いくつかのフィーチャーおよび/またはステーション242を保有しうる。下記構成部品の一部または全部は、トレー14へ組み込まれるフィーチャーの例である:
・溶出630および廃棄632ステーション、
・真空入口および出口、
・分光光度計(濃度)キュベット660(図19A)、
・他の容器またはキュベット、例えば容量測定キュベット2060(図20A〜E)、
・温度制御デバイスで加熱および/または冷却されてもよいサーマルサイクラーPCRプレート610および/または他の支持体または容器、
・ラック620における試薬容器622、
・ラック650におけるピペットチップ651、
・例えば、使用済みピペットチップ653のための、一以上の追加チップラック650または他の使い捨てコンテナ、
・例えば、核酸処理用の一以上の結合カラムを保有してもよい、結合カラムマニホールド50、および
・アウトプット:例えば核酸(例えば、DNA、RNA、腫瘍全RNA、および/または増幅腫瘍インビトロ転写RNAなど)、微生物、細胞、薬剤などを処理するための一以上のアリコート管440。
【0079】
一部の態様において、柔軟性のあるバリア16は、バリアの片側でロボットデバイス20と連結し、バリア16の内側で内部構成部品と連結する操作ツールで密封し、それを支持する。該ツールは、ピペットヘッド220および追加の操作フィーチャー、例えば内部構成部品を係合するためのハンドル520または他のフィーチャーもしくは機構、例えば廃棄および溶出ステーション632、630間にマニホールドを各々移動するための結合カラムマニホールド50におけるハンドル50h(図5)を保有しうる。柔軟性のあるバリア16は、トレー14で収納されたすべての望ましい内部構成部品に接近しうるほど、十分にピペットヘッド220を動かせられる。ヘッド220は、廃棄632および溶出630ステーションへおよび/またはから結合カラムを移動できるように、結合カラムマニホールド50も係合しうる。示されていないが、内部インターフェースは複数の連続的に取付け可能なインターフェースでもよい。即ち、ピペットヘッドまたは第一インターフェースは閉鎖コンテナ内で解放可能に保持され、他の操作ツールと交換されうる。操作ツールの選択は、トレー14および/または内部操作ツールラック(示さず)により行なわれる。
【0080】
ミキサーおよび/または遠心機も、例えば望まれる生物サンプルまたは他の物質のような液体またはサンプルを混合、ホモゲナイズ、分離、もしくは混合または処理するために、トレーと協同するか、またはそれに組み込んでよい(示さず)。他の態様においては、出発物質が予め混合され、次いでラック620または他の箇所に置かれる。ミキサーは、望ましい物質を混ぜられる回転ヘッドミキサー、磁気ミキサー、またはホモゲナイザーである。
【0081】
例示のピペッティングシステム
図7AおよびBに関して、ピペットヘッド220およびアダプター210アセンブリーを含んでなるピペッティングシステム700が、隔離コンテナ12内において流体移動を行なうために用いられてもよい。閉鎖隔離コンテナデザインと一致するように、ピペットヘッド220は、移動される流体とピペットポンプ機構とのバリアを維持するように形成される。フィルターおよび/または柔軟性のある隔壁710は、隔離コンテナ12の内部と外部との物理的汚染抵抗バリアを設けられる。
【0082】
一部の態様において、高い容量正確さをもたらすために、ピペッティングシステム700は二本のポジティブ・ディスプレースメント・シリンジポンプ350‐1、350‐2、例えば一本は低容量移動(例えば、約1μL〜約50μL)および一本は高容量(例えば、約51μL〜約1000μL)を用いてもよい。他の態様では、異なるリザーバー付きの単一ポンプチャンバーまたは作業液を計量する手段付きの単一リザーバーが用いられる。ポンプチャンバーは、(実質的に硬質の)管類および緩衝液(作業液)を介して、柔軟性のある隔壁710へ圧式で接続されてもよい。緩衝液は、ピペッティングシステム700の弾性を減少または最少化しうる、実質的または全体的に非圧縮性の圧媒液である。ロボットアーム230は作業スペースで望ましい箇所にピペットヘッド220を置くために用いられる。ピペット移動中に試薬キャリーオーバーの可能性を減らすため、使い捨てチップ651が流体の取扱いに用いられてもよい。即ち、各移動後に、使用済みチップが“トラッシュ”容器、典型的には使用済みラックへ廃棄され、無菌ラックまたはサプライステーションから異なる新たな無菌チップが次の移動に用いられてもよい。ピペッティングシステム700の例示態様の他の構成部品が図7Aおよび7Bにおいて示される。
【0083】
一部の態様において、ピペッティングシステム700は初回使用前にピペットラインから液体を導入して空気を除去するように準備され、新たな閉鎖コンテナ12の処理の開始時のような、異なるピペットヘッド220がピペットヘッドアダプター210へ接続される各時点の前に準備されてもよい。例えば、ブリードラインがソレノイドバルブ741を介してピペットヘッドのブリード口を作業液リザーバーへ接続する。空気をポンプ350から放出させ、流体ライン222、223(図8A)、およびピペットヘッド220を経て、作業液リザーバー340へ戻すように、バルブ741が始動順序に際して開けられてもよい。ロボットアーム230は流体ラインをピペットヘッド220へ向けるように指示され、こうしてそれらは始動に際して曲げられる。システム700が始動されると、ブリードバルブ741が閉じられてもよく、ピペットヘッド220は流体移動を行なう用意が整う。RNA工程の完了時に、ブリードバルブ741が流体ライン222、223、およびピペットヘッド220を排液するために用いられる。流体ラインを空気で満たすと、ピペットヘッドの切離しに際する液こぼれの可能性を防げてもよい。
【0084】
図8Aおよび8Bは、圧力をピペットヘッド220からピペットチップ651、653へ伝えるための圧力伝達機構800の作動の断面図を示す。一部の態様において、例えばリザーバー340からの圧媒作業液は柔軟性のある隔離隔壁710を作動させ(図8Cおよび8Dも参照)、作業液とピペットにより吸引される流体との物理的分離を維持しながらピペッティング作用を駆動させる。作業液のリザーバーは、他の側で作業空気から密封された隔壁710の片側に存在しうる。柔軟性のある隔壁710は、作業液340と内部ピペットチップアダプター220a(即ち、ピペットヘッド)および吸引された流体との間で、ヘッド220に存在する。図15は隔壁および上部アセンブリーなしでアダプター220aを示す。
【0085】
図8Aおよび8Bに関して、隔壁710の変位は隔壁710下でピペットチップアダプター220中の作業空気容量700aに影響を与え、それにより(典型的には配分)量の液体をピペットチップに取り込ませるかまたは放出させる。ピペッティングシステム700の全体的弾性は分配正確さと直接関連してもよい。一部の態様では、空気容量700aを減少させると、ピペッティング正確さおよび精度を双方とも改善しうる。
【0086】
一部の態様において、試薬容器、分光光度計キュベット660、およびPCR壁内で流体の徹底的混合を促すために、反復吸引/分配サイクルが用いられ、および/またはロボットアーム230が多軸並進でピペットのチップを動かすように指示される。
【0087】
一部の態様において、トレー14および/またはピペットヘッド220は、使用済みチップ653をピペットチップアダプター220aから取り外す一以上のフィーチャーを保有してもよい(図8B)。図26A〜26Cにおいて示されるように、ピペットヘッド220は使用済みピペットラック650に近いコンテナの一部との接触で軸旋回するレバー221を保有しうる。図26Cにおいて示されるように、レバー221の外端との接触で、レバー221が軸旋回して、使用済みピペットチップ653をアダプター220aからラック650の受容スペースへ押し出すように、コンテナ側壁14wまたはそこに保持された部材が曲げられる。即ち、ピペットヘッド220が使用済みラック650の方へ下向きに動くと、レバー221が壁14wと接触し、こうしてレバーの一端を上方へおよびピペットチップ653の端部を下方へ動かして、使用済みチップをラック650へ押し出す。他の解放形態も用いてよい。例えば、使用済みラック650はピペットチップ653の上方運動を制限して、アダプター220aからチップを引く、押すもしくは強いるかまたは取り外すように形成されてもよい。
【0088】
ピペットヘッド220および/またはアダプター210は流体ラインおよびロードセル配線と連結してもよく、これらは柔軟性のあるバリア16および柔軟性のある導管を通り抜けてシャシ70へ戻るように上げられる。ロードセル配線は、無菌または新ピペットチップと連絡するロードセンサーとつながっている。ロードセルはアダプター220aへの新ピペットの装填を制御するために用いられるデータを提供する。例えば、ロボットアームは約5N〜約50Nの力でピペットヘッド220を下進させて、ピペットチップ651が適正に取り付けられるよう指示する。アダプター210は、該アダプター210をピペットヘッド220、以下の例に限定されないが、係合/解放ハンドル機構へ固定および解放するためのカラーも保有しうる。
【0089】
例示の柔軟性のあるバリア
図9A〜9Eは本発明の態様に従う例示の柔軟性のあるバリア16を示す。いかなる適切な物質も該バリアに用いられる。バリア16は、空気、湿気、およびエタノール蒸気に対して実質的に不透過性である。十分な柔軟性を失いまたは透過性に影響を与えることなく、バリア16は成形可能である。一部の態様において、バリア16は低密度ポリエチレンを含んでなるが、他の代替物はある範囲のウレタン物質を含有しうる。具体的な態様において、柔軟性のあるバリアはFrederica、Delaware所在のILC Dover Companyから入手しうる“ARMORFLEX”物質であるか、またはそれを含んでなる。
【0090】
柔軟性のあるバリア16の形状によれば、限定なくまたは該柔軟性のあるバリアの拘束もしくは捕捉なく、隔離コンテナ12の内部への十分なロボット運動を許容して、ピペットヘッド(または他の内部インターフェース)アクセスを行なわせることができる。柔軟性のあるバリア16がトレー14へ密封されて隔離コンテナ12を形成すれば、成形された柔軟性のあるバリア16の形状は実質的に自立性である(例えば、それは隔離コンテナ中へ崩壊しない)。
【0091】
一部の態様において、バリア16の部分910は、例えばピペットヘッド220、他の流体移動デバイスおよび/または他の操作ツールのような、コンテナ内でサンプルを操作するためのデバイスと一体化、収納、保持、取り付け、噛合、密封、支持、または相互作用するように適合化されてもよい。部分910は実質的に中央部分でもよい。バリア16は“湾曲部”920として記載される一以上のホールド、プリーツ、またはアンジュレーションを保有してもよく、そのうち一部は他と実質的に同心状である。一連の実質上垂直向き階段状部分17、17、17として示された、少なくとも一つの階段状部分17を部分910が保有しうることを、図9Bは示す。
【0092】
一部の態様において、例えば図9Cおよび9Dにおいて示されるように、バリア16は一以上の放射状湾曲部930を保有してもよい。放射状および/または同心状湾曲部はピペットヘッド(または他の内部操作ツールインターフェース)の全範囲運動の容易化を助け、ピペットヘッドの運動に際してバリア形状の制御を助けられてもよい。リム940、フランジ、または他のフィーチャーは、バリア16をトレー14へ固定、密封、固定、取り付け、または接着させるための表面を設けてもよい。
【0093】
図9Cおよび9Dにおいて示されるように、柔軟性のあるバリア16は、ヘッド220の望ましい動きを可能にする、一連の実質的に同心状のホールド、プリーツ、または湾曲部へ引き伸ばされまたは形成される、単一シートの物質を含んでなる。バリアシートの外周区域16tは中心区域16cと異なる厚さを有してよい。一部の具体的態様では、作製に際し、厚い物質が真空形成時に中心へ引き寄せられて、バリアシート16の薄い中心区域と厚い周囲区域を形成する。中心区域16cは、バリア16が作業スペース18から離れるに従い小から大へとアレンジされた、一連の円柱状工程17〜17を保有する。他の態様において、単一シートの物質よりむしろ、柔軟性のあるバリア16は同一または異なる適切な物質の複数の連結した密封されたセグメント(示さず)を含んでもよい。
【0094】
図9Eは、後でロボットアーム20への係合のために、ピペットヘッド220の下部分へ密封可能に取り付けられた柔軟性のあるバリア16を示す。ロボットアームカップラー910cはバリア16の外部に存在する。図9Fは、カップラー910cを係合するように形成された協同カップラー210cを示す。図9Gにおいて示すように、フィンガー211は、カップラーボディ910aの隙間へ入り、バリア16を解放可能に係合するように形成される。アセンブリーが(下部コンテナトレー14なしに)図9Hにおいて示される。
【0095】
例示のサーマルブロックアセンブリー
図10において示されるように、核酸処理システムはサーマルブロックアセンブリー1000またはいずれか他の温度制御デバイスを組み込んでもよい。例えば、核酸処理システムは核酸を合成および増幅するためのサーマルサイクラーを組み込める。サーマルブロックアセンブリー1000は、例えば、マルチウェルストリップまたはプレート、例えばPCRプレート610を入れるように形成されるサーマル(ヒーター)ブロック30、およびリッド機構310により作動されてPCRプレート610をカバーするサーマルサイクラー加熱リッド1010を保有してもよい。例えば、一部の態様において、サーマルサイクラーアセンブリーは本工程のcDNA合成、cDNA増幅、IVT RNA合成、およびDNA除去工程に用いられる。様々な種類のサーマルブロックおよび/またはサーマルサイクラーデバイスが利用しうる。
【0096】
図10において示されるように、PCRプレート610が隔離コンテナトレー14へ組み込んでもよい。一部の態様において、PCRプレート610の周囲はトレー14のベースで形成されるオープン(実質的長方形)区域へ密封される。プレート610の下部分は、プレート610におけるウェル611の開口が密封されたコンテナ12の内側から接近可能でありながら、サーマルサイクラーヒーターブロック30を係合する(典型的には、そこに存在する)ように、トレーのベースから下方へ伸びる。ウェル611の下方へ伸びる部分がサーマルサイクラーまたは温度制御デバイスと直接接触した状態でいられるように、PCRプレート610は隔離コンテナトレー14へ密封される。
【0097】
一部の態様では、コンプライアントガスケット、O−リング、または他のシーリング機構もPCRプレート610を隔離コンテナトレー14へ取り付けるために用いられてもよい。コンプライアントガスケットは熱スエージ加工クランピングフィーチャーで取り付けられてもよい。一部の態様では、重ね成形熱可塑性エラストマー(TPE)シール1030が、図10において示されるように、PCRプレート610を隔離コンテナトレー14へ取り付けて密封するために用いられる。他の態様では、PCRプレートフィーチャーが隔離コンテナトレー支持体へ形成、例えば成形および/または機械加工されてもよい。他の態様では、グルー、テープ、および/または接着剤もPCRプレート610をトレー14へ取り付けるために用いられてもよい。
【0098】
リッド、例えば加熱されるサーマルサイクラーリッド1010も、蒸発による反応液の喪失を減らすために用いてよい。リッド1010は、一部または各PCRウェル611から蒸発流体を逃さないように、および/またはコンテナ12の内部の隔離を維持するために、例えば柔軟性のあるシール430により裏打ちしてもよい。リッド1010は、リッドまたは反応混合物以外の表面において蒸気を凝縮させないために、加熱してもよい。PCRウェルのすべてへの接近を可能にするため、サーマルサイクラーリッド1010はシーリング圧力を放出するよう垂直に上げられ、次いで実質上水平に引き込まれ、それにより柔軟性のあるリッドシール430を取り出してもよい。
【0099】
リッド1010の自動運動を制御するための駆動系(drive system)310も、図3において示されるように、処理システム10の作業表面200へ搭載してよい。他の態様において、リッド駆動系310は作業表面200上または下で他の箇所に搭載してもよい。ここで図11に関して、例示のリッド駆動系310は引き込み位置にあるリッド1010と共に示される。アーム1122がリッド1010へ接続され、モーター1150と連絡している、こうして例えば、リッドシール(スリーブとして記載される)が図12において示されるようにリッド1010とコンテナの内部との間に配置された、トレー14の壁における副入口/出口隙間14aを介して、コンテナ12内外へのリッド1010の運動を可能にしている。ロボットツールまたは手動インプットもシール430を介してよい。
【0100】
図13Aは、引き伸ばし時のリッドシール430のチャンバー430c内部における、コンテナ12中リッド1010の例示形態を示す。図13Bは、引き込み形態にあるコンテナ12外のリッド1010を示す。
【0101】
アーム1122は水平のみならず垂直にもリッド1010を向けるよう形成しうる。図11および12において示された態様において、駆動系310は、例えばリッド1010がコンテナ12内でPCRプレート610上に置かれた場合に、リッド1010の垂直運動を行なえる、垂直運動機構1124を保有する。垂直運動機構1124は、例えば、一以上のバイアス部材1152を用いて、リッド1010をプレート610および/またはブロック30(図10)で密封するために十分な下方向き力を出してもよい。一以上のモーター1150、アクチュエーター、ギア、リンケージ、または他の電気‐機械デバイスが、水平および/または垂直運動を駆動するために用いられてもよい。図12において示されるように、駆動系310はスロット1123s付き上部プレート1123を保有する。アーム1122はスロット1123sでスライドするキール1122kを保有する。駆動系310は、ピボット1127およびバイアス部材1152を介して上部プレート1123へ取り付けられた、下部プレート1126も保有する。垂直駆動1124は上部および下部プレート1123、1126へ取り付けられ、リッド1010がコンテナ内で伸びた形態にあると、上部プレート1123を引き降ろしてリッド1010を下げるように形成される。
【0102】
駆動系310の一部は、シール430が、リッド1010において適切に動くよう促すために、スリーブまたはリッドシール430の内部表面へ物理的に取り付けられる。図11において示されるように、一部の態様において、真空カップ1140は柔軟性のあるリッドシール430を係合して、サーマルサイクラーリッド1010の垂直および水平運動時にシール430を適所に留まらせるよう、リッド1010に組み込まれてもよい。他の態様において、リッドシール430は他の手法で取り付けても、またはリッド1010と整合してそれと協調して動くほど十分に柔軟でもよい。
【0103】
一部の態様において、隔離コンテナ12と柔軟性のあるリッドシール430との信頼可能な密封を促すために、固定プレートまたは他のクランピング部材が、例えばトレー14の外壁に対するリッドシールでの一以上のシーリングリブ(示さず)を介して、シール430のエッジ部分に対して押し付けるように用いられてもよい。他の態様において、リッドシール430は、例えばPCRプレート610に関して前記されたようなTPEを用いて、トレー14に重ね成形されてもよい。O−リング、ガスケット、接着剤、テープ、およびマウンティングまたはシーリング部材が、リッドシール430とトレー14とで密封され、接続させるために用いられてもよい。図13Aはリッド1010およびシール430が係合位置でトレー18の内部区域へ伸びたリッド機構310を示し、一方図13Bはコンテナ14の壁から引き込まれたリッド1010を示す。図13Aはサーマルサイクラーおよび96ウェルプレート上で適所にあるリッド1010を示す。図13Cは、リッド1010がトレー18の内部区域へ伸びた、リッド機構310の部分側面斜視破断図を示す。
【0104】
例示の廃棄および溶出システム
様々な精製手段が、核酸、タンパク質、細胞、組織などのサンプルを処理するために用いられる。このような精製デバイスとしては磁気ビーズ、サイズ排除膜、結合プレート、フィルター、および結合カラムがあるが、それらに限定されない。このようなデバイスは当業者に知られている。
【0105】
ある態様において、処理システム10は腫瘍全RNA単離、cDNA精製、およびIVT RNA精製用の結合カラムから溶出させる技術を用いる。結合カラム1410(図14)はシリカ膜を保有できる。真空溶出プロトコールが隔離コンテナデザインへ組み込める。他の態様では、磁気溶出プロトコールがコンテナへ組み込める。
【0106】
一以上の種類/大きさの結合カラムが用いられてもよい。例えば、一部の態様では、結合カラム(例えば、Qiagen RNeasyカラム)が処理されるRNA、cDNA、およびIVT RNAの量に適した結合能を有することから、それらが用いられる。追加の、小さなQiagen“Mini”カラムも、RNAを濃縮する能力をもたせるために保有させうる。
【0107】
溶出容器を廃棄液で汚染させないために、廃棄および溶出ステーション632、630各々が、例えば図6において示されるように分離できる。一部の態様では、マニホールド50が結合カラムを保持するために用いられる(図14および15参照)。マニホールド50は、一以上の様々な大きさ/種類の結合カラム、例えばQiagenマキシ‐、ミディ、‐および/またはミニ結合カラム1410を保持するように形成しうる。マニホールド50は、各結合カラム用のウェル50w、ピペットヘッド220持上げ用のリフティング部材、またはアーム形成リフト部材50h、および未使用結合カラムを閉じるために用いられる一以上のスライド可動性リッド1430を保有してもよい。リッド1430は、ヘッド220によりリッド1430を所望方向へスライドさせるハンドル1430hを保有しうる。他の態様において、マニホールド50は、所望の工程に際して用いられる他の種類の支持体またはデバイスを保持するように形成してもよい。リフト部材50hは、ステーション間においてマニホールド50の運動を促す一以上の(図示のような)ハンドル、ウイング、フランジ、または他のフィーチャーを含めて、いかなる適切なリフトとして形成してもよい。
【0108】
図15は、コンテナ12の二以上のステーションまたはエリア間において、例えば廃棄および溶出ステーション632、630各々間でマニホールド50を動かすための機構および方法の例を示す。ピペットヘッド220およびロボット20は、2ステーション内外へ、即ち両者間で結合カラムマニホールド50およびカラム1410を動かすために用いられてもよい。示された態様において、マニホールド50はピペットヘッド220で対応フィーチャー520と連結するハンドル50h、ウイング、または他のフィーチャーを保有してもよく、ロボット20および結合マニホールド50間の係合を簡素化するために用いられる。
【0109】
各単離および精製工程は異なるセットのカラムを用いられる、ピペットヘッドロボットはリッド1430を転位させて適切なセットの未使用カラムを閉じるために用いられてもよい。これはマニホールド50を通る気流を減少または最少化させ、単離および/または精製処理工程に際して十分に高い真空をポンプに作らせる。滅菌後に結合カラム1410のオペレーター取扱いを減らすために、カラム1410がマニホールド50へ積載されてもよく、アセンブリーが適切な包装に密封されて、マニホールド50でガンマ線滅菌される。使用およびまたはアセンブリー施設(例えば適切なクリーンルーム)において、隔離コンテナを積載する場合に、オペレーターは該包装をマニホールド50から取り外し、結合カラムを直接取扱う必要なしにそれを廃棄ステーション632へ置ける。
【0110】
廃棄および溶出ステーション形態は柔軟性のあるおよび/または計量可能である。マニホールド50デザインは、96ウェルフォーマット、または他の種類のプレート、ウェル、またはカラム、またはマキシ‐、ミディ‐、およびミニカラム1410の組合せの変更に合う修正または使用を行なえるほど十分に大きくてよい。
【0111】
ここで図16および17に関して、溶出ステーション630は結合カラムの最終アウトプット(例えば、DNA、RNAなどを含有する流体)を捕捉するように形成された溶出トレー1610を保有できる。DNAおよびRNA間で生じうる交差汚染を阻止および/または防止するために、各結合カラム1410は溶出トレー1610でその下にそれ自体の容器1612を有しうる。一部の態様において、溶出工程は高真空を用いるが、これは結合カラム1410で有意な気流を作れる。溶出容器1612は、プールされた流体から気流をそらせながら、仮にあったとしても飛び跳ねた流体を脇に流して収集容器にプールしうるよう形成されてもよい。追加のフィーチャーでは、ある容器から他へ流れる気流を減少または最少化させてもよい。トレー1610の更なる記載は図29A〜29Cにおいて見られる。
【0112】
廃棄ステーション632は廃棄トレー1630および廃棄トレーカバー1640を保有してもよい。廃棄トレーカバー1640は、廃棄ステーション632に保有される廃棄液の蒸発を最少化させるため、廃棄トレー1630へ組み込んでもよい。廃棄トレーカバー1640は、すべての廃棄液を一以上の(中心部として示された)ドレインホール1641へ流下させて、そこでそれが廃棄ステーション632内においてカバー1640下の主気流から保護されるように形成されてもよい。図30Aおよび30Bは、溶出トレー1610と実質的に類似して形成されたトレーカバーを用いる複数の廃棄ドレインホール1641を用いた、廃棄トレーカバー1640の他の態様を示す。廃棄トレーカバー1640下の密封された環境において、廃棄液のすぐ上の空気は高い湿度を維持し、そのため更なる蒸発を減らせる。トレーカバー1640の更なる記載は図30A〜30Bにおいて見られる。
【0113】
一部の態様において、真空システム1600は、コンテナ12中くまなく空気を循環させる。一部の態様において、隔離コンテナ真空システム1600はフィルターの必要性を解消するように形成される。真空システムは、ポンプヘッド1602から、例えばピンチバルブ330(図17)を介して、廃棄632および溶出630ステーションへ接続された管類1650、典型的には柔軟性のある管類を含んでなる。ポンプヘッドの出口は吸引された空気を隔離コンテナ12へ逆送させる。
【0114】
図17は真空システム1600の一つの態様による循環路を示す。この態様では、管類1650および使い捨てポンプヘッド1602が製造に際して隔離コンテナトレー14へ取り付けられてもよい。これらは、隔離コンテナトレー14と連結されたアセンブリーの一部として滅菌および輸送される。隔離コンテナ12が積載および密封されると、真空システム1600は処理の残りをずっと閉じたままでいられる。処理システム10への隔離コンテナの搭載中、真空管類1650がピンチバルブ330へ挿入され、使い捨てポンプヘッド1602が真空ポンプ320へ接続される。一部の態様において、ポンプ320は真空が要される場合のみ作動する。ピンチバルブ330は真空を適切なステーションへ向けるために用いられてもよい。処理が終了した場合、管類1650はバルブ330から抜き取られてもよく、ポンプヘッド1602がポンプ320から外される。管類1650およびポンプヘッド1602は、隔離コンテナ12の残りとともに、一回用使い捨てにしうる。
【0115】
図18は、処理システム10の作業表面200で適所にあるトレー14の破断図を示し、ピンチバルブ330および使い捨てポンプヘッド1602の例示箇所を示す。ペルチェプレート370および372は、トレー14の後壁14pのセグメントおよびトレー14のベースにある廃棄ステーションキャッチメントを各々冷却してもよい。壁セグメント14pは実質的に平坦で(典型的には実質的に垂直だが、傾斜してもよい)、プレート372の受容スペースを形成するように内側へ突き出してもよい。壁14pはプレート372と協同して凝縮壁を形成するように形状化されてもよい。図18においては、サーマルサイクラーリッド駆動系310がシール430なしで適所にコンテナ中へ伸びたリッドと共に示され、使い捨てポンプヘッド1602が柔軟性のある真空ポンプ管類1650なしで適所に示されることに注目される。
【0116】
例示の工程制御および/または収量測定システム
一部の態様において、使い捨てキュベット660、2060が、例えば図19Aおよび図20Fにおいて示されるように用いられる。例えば、キュベット660、2060がトレー14の底部から垂直下方へ伸びるように、一以上のキュベット660、2060が隔離コンテナトレー14へ固定または解放可能に搭載されてもよい。
【0117】
一部の態様では、サンプル、例えば核酸もしくはタンパク質の濃度および/または純度が分光光度計1900s(図3、19B)およびキュベット660(図19A、20F)を用いて測定されるか、あるいは濃度測定用の代替光学的方法、例えばフルオロメーターがシステムへ同様に組み込まれる。
【0118】
一部の態様では、図19Aにおいて示されるように、一以上の使い捨て濃度キュベット660がガスケットまたはO−リングのような柔軟性のあるシーリング部材1918によりトレー14へ密封可能に搭載される。トレー14は、シーリング部材1918に対してしっかりキュベット660を保持し、こうしてキュベット660をトレー14へ密封して、密封された処理環境を隔離コンテナ内で維持するように、留め具1920を係合する搭載部材14mを保有している。示されるように、キュベット660は硬質上部リップ661として形成される外側エッジを保有しうる。留め具1920は、リップ1901を背にする内側直立アーム1921と、搭載部材14mを係合してキュベット660をトレー14へ押し付ける外側アーム1922を保有している。キュベット660は、典型的にはその下部分に、キュベット測定ウィンドー660wを保有する。
【0119】
一方、キュベット660(またはキュベット2060)はトレーへ成形、重ね成形、機械的固定、溶剤接着、接着剤固定などしうる。分光光度計1900s(図3)は処理システム10に、例えば隔離コンテナ12の真下に搭載されうる。分光光度計1900sは、隔離コンテナ外に留まりながら、キュベット660(図20F)で吸光度測定するように形成できる。
【0120】
一部の態様では、キュベットが再使用不要なように、各測定用のキュベット660、2060がある。処理システム10は、必要とされる各測定毎にキュベット660から660へ分光光度計キュベットホルダー360(例えば、図3、19B参照)を動かせるように形成しうる。一部の態様において、キュベット660および/または2060はトレー14から取り外され、洗浄されて、次のトレー14で再使用される。他の態様において、取り外し可能キュベット660、2060は一回用のみ(一回用使い捨て)である。
【0121】
様々な種類の分光光度計が知られ、核酸濃度および純度測定に利用される。分光光度計1900sは処理システム10と連絡して、連結されたコントローラーにより制御される。例えば、処理システム10は分光光度計1900sに測定するよう命令でき、分光光度計1900sは典型的には紫外線波長、例えば約260および/または280nmで、または対象のいずれか他の波長で、吸光度測定に戻ることができる。加えて、分光光度計1900sのジオメトリー、特にキュベットホルダー360のそれは、全体システムの他の構成部品と一体化できる。
【0122】
図19Bは、図20Fにおいて(4)キュベット660として示される、いくつかのキュベット660間で単一検出器ヘッドを動かすために用いられる分光光度計ヘッド機構を示す。ロボット作動プラットホームは、分光光度計キュベットホルダー360を位置決めするため、例えばキュベット660間で上げる、下げる、および横移動(traverse)させるために用いられる。分光光度計1900sおよび光源は、例えばシステムの左側または右側において、システムの電気キャビネットに搭載されてもよい。分光光度計1900sおよび光源が据付けられたままでキュベットホルダー360を動かせるために、光ファイバーも用いられてもよい。即ち、図19Bにおいて示されるように、分光光度計駆動機構は単一検出器ヘッド1900hを動かして異なるキュベット660の各々を順次保持するために用いられる。検出器ヘッド1900hの検出器は複数(典型的には二本)の光ファイバーで分光光度計1900sに連結される。他の態様では、各キュベット660が個別キュベットホルダー360に入れられ、測定のため分光光度計と連絡するように光源を多数キュベットホルダー(示さず)へ接続している光ファイバー間で光源が切り替えられる。
【0123】
サンプルの容量測定は収量を求めるために濃度測定とともに用いられてもよい。一部の態様において、容量測定ユニット2000は、例えば図20A〜20Eにおいて示されるように、専用容器においてピペッティングシステムおよび流体センサーを利用する。例えば:
・図20Aは検出器ヘッド2002で空のキュベット2060を示し、そこでは二つのIRエミッター2010からの光がキュベット2060を通過せず、反射光について二つのIRレシーバー2020により受容される。
・例えば図20Bにおいて示されるように、測定される流体2040が容量キュベット2060にプールされると、二つのIRエミッター2010からの光がキュベット2060へ通されて、反射光について二つのIRレシーバー2020により受容されない。
・制御システムが測定容器2060の底部でシステム2000により検出される流体の存在を測定している場合、図20Cにおいて示されるようにサンプル2040をピペットチップ651へ吸引するためにピペットヘッド220が用いられる。
・図20Dにおいて示されるように、センサーシステム2000が流体の不在を報告すると、シリンジポンプ350(図3)が止められ、吸引された容量が電子的に測定および記録される。このように、キュベット2060は底部にプリズムデザインを有する。検出器で光源を用いると、機器は反射に基づきキュベット2060中における流体の存在または非存在を調べることができる。これは、分注装置(pipetting device)とともに、液体が存在しないシグナルを受けるまでそれが取り出す液体を測定することにより、容量を測定する。図20Eは、システム2000が間隔をあけた複数の検出器ブロック2002を用いることができ、各々がそれ自体ペアのトランスミッター2010を有することを示す。各ブロック2002は、容量測定システム2000を用いて容量測定を行なうために、各キュベット2060を保持してそれと協同するように形成できる。
【0124】
図20Fにおいて示されるように、トレー14は複数の容量キュベット2060(例えば、容量測定キュベット)および複数の分光光度計キュベット660(キュベット660は濃度測定に用いられる)を保有できる。分光光度計キュベット660は、BioRad“trUViewキュベット”のような標準UV可視プラスチック使い捨て用品でもよい。デバイス10は測定用の分光光度計構成部品を保有しうる。適切な分光光度計構成部品は、Dunedin,Floridaにビジネス拠点を有する、Ocean Opticsから得られる。
【0125】
例示の工程構成貯蔵システム
一部の態様では、試薬容器が隔離コンテナ12内に試薬、サンプル、および混合容量の流体組合せを含有するために用いられる。様々な異なるキャパシティの試薬容器が、工程に際して用いられるある範囲の流体容量を入れるために用いられてもよい。
【0126】
試薬汚染、蒸発、またはこぼれの危険を減らすために、試薬を含有する各容器は、トレー14への充填前に、典型的にはトップ表面において、例えばポリプロピレンライニングホイルにより密封される。シールはピペットチップ651で穴あけされるように形成できる。シールは試薬を適切な試薬容器へ充填および密封させ、汚染、こぼれ、または蒸発の危険なく貯蔵させうる。
【0127】
試薬ラック620の例が図21Aにおいて示される。ラック620はいかなる望ましい配置を有してもよく、あらゆる試薬容器の大きさをとることができ、いかなる工程にも適合させうる。示された例において、試薬トレーまたはラック620は、例えばサンプルおよび試薬を含有してもよい、異なる大きさのいくつかの容器2110、2112、2114、典型的には管、並びに混合容器を収納するためのベース2100を保有している。容器の各々はベース2100内において支持され、容器が適所にしっかり保たれるよう、カバー2120がラック620にクリップまたは取り付けられる。カバー2120は、下に保持された容器にピペットチップを接近させうる、隙間を保有している。
【0128】
一部の態様では、試薬、サンプル、または他の流体がサブアセンブリーとしてラック620に充填され、次いでラック620がトレー14へ積載される。一部の態様において、試薬ラック620の設計は、それが一方向のみで隔離コンテナトレーへ置かれるようなものである。一方、試薬ラック620は成形しても、または隔離コンテナトレー14の一体部分としてもよい。試薬は一体試薬トレーへ直接充填されてもよく、または試薬を含有した管または他の容器が試薬トレーへ置かれてもよい。所定のラック箇所(アドレス)に容器2110、2112、2114を置けば、工程で正しい時間に正しい容器(試薬)をロボットインターフェースで自動的に係合させられる。
【0129】
一部の態様では、ピペットチップが他の非類似試薬を運ぶ必要性なく、トレーレイアウトですべての容器への接近を可能にでき、そのため試薬の交差汚染の機会を減らせる。もちろん、例えば行なわれる望ましい工程に応じて、他の形態も用いられてもよい。
【0130】
図21Bは、(試薬)液体を取り出す前に、容器2110、2112、2114で各々シールを開けるためにマルチポイント(三点として示される)穴あけ配列が用いられることを示す。即ち、ピペッティング正確さを促すために(典型的には、中心箇所で)現実の取り出し穴あけへ動く前に、二つの外部箇所でシールカバーリングを穴あけするようピペット651が指示される。
【0131】
例示のアリコート取出しシステム
システム10における自動処理に際し、サンプルおよび/または産品の一以上のアリコートが工程評価、制御、品質試験、および/または別の処理のための貯蔵に用いられてもよい(例えば、図4および5のアリコート管440参照)。
【0132】
一部の態様において、隔離コンテナ12および処理システム10は、隔離コンテナ12の密封性を毀損することなく、処理に際してアリコート取り出しを行なえる。複数の柔軟性のある管がコンテナ12の内部サンプル捕捉区域と流体連絡でき、オペレーターにより外部から接近可能となるようシステム10から伸びている。各々の柔軟性のある管は予め密封されるか、または閉鎖端部を有している。コンテナ12が閉鎖されたままで、各アリコートが個別にラベルされたコンテナ440、例えば管へ吸引されてもよい。オペレーターまたは自動シーラーは、例えば流体の捕捉アリコートの上流で、例えばRF管シーラーまたは他のシールクロージャー機構を用いることにより、管440へアリコートを密封する。密封されると、アリコート管は隔離コンテナから取り外され、貯蔵、試験、または更なる処理のために取り出される。
【0133】
一部の態様において、アリコートアセンブリー40はアリコート流体を管440へ吸引するために用いられ、コンテナ12の内部から管へ流体を抜き出すためにクランピング部材およびアリコート管類440の弾性を利用する。この機構は管類が短時間で固定され易くするように自動化され、こうしてクランピング変形により起きる管類の弾性の変化の可能性を減らしている。
【0134】
図22はアリコートアセンブリー40を用いた例示方法2200を示し、アリコート管440をアリコート流体445で充填するために用いられる一連の工程(左から右および上から下へ)を示す。示されるように、閉鎖末端441のアリコート管440がウェル14w下でトレー14へ密封可能に取り付けられる。この例では、クランピング部材(管エクスプレッサー)2210が(第二および第三図において示されるように)管から空気を追い出すために一以上のアリコート管440へプレスされる。管が留め具2210で完全に圧縮される(上部クランピング部材2211が管および他の留め具表面に対して押し下げられる)のに応じて空気が排出された後または排出されている間、アリコート物質445が管440と連絡しているウェル14wに充填または分配される。後にクランピング力の放出で、流体445のアリコートが弾性管内の負圧により管440へ引き込まれる。管シーラー2220(例えばRFウェルダー)も、アリコート管を(442で)密封し、場合によりシールの上流で切断して、管内でサンプル445を隔離するために用いられてもよい。他のシーリング材機構も用いられてもよい。
【0135】
コンテナを組み立てる例示方法
図23Aは、処理用の閉鎖システムをオペレーターに作製させるために用意される、キット2500の分解組立図である。キット2500は、トレー14、結合マニホールド50、ピペットチップラック650(およびピペットチップ651)、およびキュベット2060、660を保有しうる。トレー14は、取り付けられるアリコート管440および/または取り付けられる真空ヘッドおよび関連管類と共に包装されて、使用現場へ輸送される。各構成部品は、輸送および取扱い用の無菌パッケージ中で滅菌および包装(または包装、次いで滅菌)される。各構成部品は使用箇所で表面滅菌してもよく、各構成部品のアセンブリーは、クラス10,000、1000、または更には100クリーンルームにあってもよい。各構成部品は別々に用意しても、または他の組合せで予め積載してもよい。
【0136】
図23Bは、図23Aにおいて示されたキットの部分組立図である。図23Cは、図23Bにおいて示された部分組立キットの底面図である。図23Dは、コンテナまたはトレー14と共にまたはそれとは別に輸送される個別構成部品の組立て前における、図23Aにおいて示されたコンテナ14の上面図である。
【0137】
図24は、(例えば、一以上の生物サンプルから核酸を無菌処理するために)本発明の態様に従い隔離コンテナ12を各々密封する例示方法を示す。このような無菌処理のために、隔離コンテナアセンブリー12のバリア16およびトレー14の部分は個別に前包装および滅菌されてもよい。隔離コンテナ12が処理に必要とされる場合、トレー14およびバリア16は積載のために生物学的安全キャビネットまたは相当するクリーンで制御されたエリアへ移動されてもよい。
【0138】
図23Aにおいて示されるように、隔離コンテナ12のトレー14は、望ましい工程で用いられるサンプルおよび試薬を含んでなる一以上の試薬トレー620と共に積載されてもよい。トレー14の組立ておよび/または積載は、上記のようにトロリー399(図27)に載せたトレー14により行なわれる。一以上のピペットチップラック650および結合カラムマニホールド50もトレー14の作業エリア18へ積載されてもよい。一部の態様では、例えば図20Fにおいて示されるように、一以上のキュベット660、2060がトレーのベースへ取り付けられる。行なわれる望ましいアッセイまたは工程に応じて、他のサンプル、被検体、試薬、容器、他の消耗品、デバイス、ツール、および/または他の物品もトレー14へ積載されてもよい。
【0139】
一部の態様において、すべての望ましい物品がトレー14内に置かれまたはそこへ取り付けられた後、例えば、図24において示されるように、組立てられた隔離コンテナ12を密封するためにバリア16がトレー14へ取り付けられる。一部の態様では、柔軟性のあるバリア16をトレー14へ密封するためにO−リング2400が用いられてもよい。O−リングは、ぴったりとバリア16に嵌めてトレー14の周囲スロットへ押し当てられる。他の態様では、一以上のガスケット、クリップ、留め具、ファスナー、接着剤、および/または他の取付け手段も用いられてもよい。
【0140】
図27において示されるように、トレー14は輸送に際してトロリーの保持表面へロックされる。トレー14が積載されてバリア16で密封された後、隔離コンテナ12は処理システム10の作業表面200へ移動される。一方で、隔離コンテナが組立てられて滅菌される。次いで、試薬およびサンプルが標準無菌移動法を用いてまたは他の閉鎖手段により密封された隔離コンテナへ導入される。トロリーも、組立てに際してトレー14を保持するために用いられる。一方、別のバリアアイソレータートロリーアセンブリーカートも隔離コンテナ12を組み立てる場合に用いられてもよい(示さず)。このようなバリアアイソレータートロリーはバリアアイソレーター自体へ組み込んでもよく、下記のように輸送トロリーとかみ合える。
【0141】
隔離コンテナアセンブリー12はシステム10へ設置されてもよく、サンプルを処理するために用いられる機器の各ピースへ接続される。正しいアライメントを保証するために、硬質トレー14が作業表面200に固定されてもよい。柔軟性のあるバリア16およびピペットヘッド220がロボットピペットヘッドアダプター210へ接続されてもよい(例えば、図2参照)。例えば図12において示されるように、例えば真空カップ1140または他のファスナーもしくは取付け手段を用いて、サーマルサイクラー蒸発シール430がサーマルサイクラーリッド1010へ接続されてもよく、廃棄および溶出ステーション用の真空管類および使い捨てポンプヘッドが対応するバルブおよびポンプへ差し込まれる。隔離コンテナを取り出すために、逆の手順が用いられてもよい。
【0142】
図25は、本発明の態様に従い製造現場で行なわれる操作のフローチャートである。示されるように、インプットサンプル3000が(典型的には患者収集場所または対象者試料貯蔵現場から)用意される。時間に敏感な場合は、製造現場における受け取りのために12〜48時間(例えば、一夜)以内で試料が輸送される。製造現場においては、隔離コンテナ12がバリアアイソレーター(ブロック3010)で作製され、サンプルもコンテナへの積載前に調製(例えば、ホモゲナイズ、混合、および/または遠心)されるてもよい(ブロック3000p)。隔離コンテナ構成部品、例えば、トレー14、バリア16、およびコンテナ内容物の外部包装が滅菌される(ブロック3002)。組立ておよび密封された隔離コンテナが組み立てられ(ブロック3004)、密封された状態を確認するために完全な状態で試験される(ブロック3006)。
【0143】
閉鎖組立て隔離コンテナは、処理用の機器へ動かせる(ブロック3020)。示されるように、患者サンプルからRNAがシリカ膜カラムと適切なRNA結合および溶出試薬を用いて単離される(ブロック3022)。濃度および容量測定が収量を計算するために行なわれ、濃度が標準化される(ブロック3024)。cDNAが逆転写(RT)反応により合成され、PCRで増幅され、シリカ膜カラムと適切なcDNA結合および溶出試薬を用いて精製される(ブロック3026)。濃度および容量測定が収量を計算するために行なわれ、濃度が標準化される(ブロック3028)。IVT RNAが得られたcDNAから産生され、DNAアーゼにより処理され、シリカ膜カラムと適切なRNA結合および溶出試薬を用いて精製される(ブロック3030)。濃度および容量測定が収量を計算するために行なわれ、濃度が標準化されて(ブロック3032)、最終増幅RNAを得る(ブロック3034)。RNA使い捨て用品は、システムがなお密封されて環境から隔離されていることを確認し、それにより工程に際して汚染がなかったことを保証するために、完全性が調べられる(ブロック3036)。中間および/または最終産品は一以上のアリコート量としてアウトプットされる(ブロック3050)。
【0144】
図29A〜29Cは例示の溶出トレー1610を示す。示されるように、容器1612は、各容器1612の使用に際して飛散を阻止するために、間隔をあけて傾斜化される。上方へ伸びるバリア1614の片側に二以上の容器1612が存在し、主管状受容部分1615が浅いチャンネル1616へと合流するが、これは下方へテーパー化し、それが管状ボディ部分1615の方へ行くと深くかつ狭くなる。チャンネル1616の前方部分も、飛散物を捕捉して液体を主管状部分1615へ流させるよう、内側かつ下方へテーパー化する。
【0145】
図30A〜30Bは廃棄トレーカバー1640の類似形態を示すが、容器の先端1632は開いているか、または廃棄物を廃棄ステーション632へ排出するための隙間を有している。
【0146】
図31は、コンテナの内部状態を測定するためか、または構成部品(ヒーター、クーラー、ロボットアームムーブメントなど)の自動制御を行なえる望ましいフィードバックをもたらすために用いられる、センサー4010、4020、4030と連絡する制御回路4000の概略図である。示されるように、制御回路4000はユーザーインターフェース61(図1)と連絡しうる。センサーには、ロードセンサー4010、温度センサー4020、および圧力センサー4030がある。ロードセンサー4010は、ロボットアームで加えられる係合力を制御して新たなピペットを係合するために用いられる荷重力データを提供するように、新たなピペットラックと連絡できる。温度センサー4020は、内部環境または閉鎖コンテナ環境(例えば、ワークステーションの一以上)内の具体的箇所に関する温度データを提供できる。圧力センサー4030は、単離または精製操作に際して、閉鎖環境および/または真空の、完全に密封された状態かを測定するために用いられる。センサーの各々または一部のマルチセンサーが用いられ、他のセンサーも用いてよい。制御回路4000は全体的または部分的にシステム10あるいは全体的または部分的にコンテナ12に存在してもよい。
【0147】
当業者に明らかなように、本発明の態様は、方法、システム、データ処理システム、またはコンピュータープログラム製品として具体化されてもよい。したがって、本発明は、ここでは“回路”または“モジュール”とすべて一般的に称される、完全なソフトウェア態様またはソフトウェアとハードウェア面を合わせた態様の形態をとってもよい。更に、本発明は、コンピューター使用可能プログラムコードを媒体で具体化させるコンピューター使用可能蓄積媒体において、コンピュータープログラム製品の形態をとってもよい。ハードディスク、CD‐ROM、光蓄積デバイス、伝達媒体、例えばインターネットまたはイントラネットを支持するもの、または磁気もしくは他の電子蓄積デバイスを含めて、いかなる適切なコンピューター読取可能媒体も利用してもよい。
【0148】
本発明の操作を行なうためのコンピュータープログラムコードは、Graph、LadderまたはSLCのようなPLCコードにより書き込んでもよい。しかしながら、コンピューターコードは、代わりにまたは加えて、オブジェクト指向プログラミングランゲージ、例えばJava(登録商標)、SmalltalkまたはC++および/または汎用操作プログラミングランゲージ、例えば“C”プログラミングランゲージで、あるいは視覚指向プログラミング環境、例えばVisualBasicを用いて書き込んでもよい。
【0149】
プログラムコードのある部分(または全部)は、全体的にシステムコンピューターの一以上で、部分的にシステムコンピューターで、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的にシステムコンピューターおよび部分的にリモートコンピューターで、または全体的にリモートコンピューターで遂行されてもよい。後者のシナリオにおいて、リモートコンピューターはローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を介してシステムコンピューターへ接続されるか、あるいは接続が(例えば、インターネットサービスプロバイダーを用いるインターネットを介して)外部コンピューターと行なわれてもよい。一部の態様では、一部のプログラムコードがローカルコンピューターで遂行され、一部のプログラムコードが一以上のローカルおよび/またはリモートサーバーで遂行されてもよい。連絡は、イメージングモダリティから得られる容量データセットを用いて、リアルタイムまたはほぼリアルタイムまたはオフラインで行なわれる。
【0150】
本発明は、本発明の態様に従う方法、システム、コンピュータープログラム製品、並びにデータおよび/またはシステムアーキテクチャー構造のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、一部記載されている。図の各ブロックおよび/またはブロックの組合せがコンピュータープログラム指令で履行されることが、理解されるであろう。これらのコンピュータープログラム指令は、コンピューターまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサーを介して遂行する指令が、ブロックで特定される機能/行為を履行するための手段をもたらすように、機械を作り出す一般目的コンピューター、特殊目的コンピューター、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサーへ送られてもよい。
【0151】
これらのコンピュータープログラム指令は、コンピューター読取可能記憶または記憶装置(storage)に蓄えられた指令がブロックで特定される機能/行為を履行する指令手段を保有した製品をもたらすように、コンピューターまたは他のプログラム可能データ処理装置を具体的に機能させるコンピューター読取可能記憶または記憶装置に蓄えてもよい。
【0152】
コンピュータープログラム指令は、コンピューターまたは他のプログラム可能装置で遂行する指令が、ブロックで特定される機能/行為を履行するための手段をもたらすように、コンピューターまたは他のプログラム可能装置で行なわれる一連の作動工程にコンピューター履行工程を行なわせるため、コンピューターまたは他のプログラム可能データ処理装置へ積載してもよい。
【0153】
図32において示されるように、本発明の態様は、レンダリングの作動を行なうまたは指示するために用いられ、プロセッサー回路4100、メモリー4136、およびインプット/アウトプット回路4146を保有する、データ処理システム4116として形成されてもよい。データ処理システムは、例えばプログラム可能ロジックコントローラー(PLC)、パーソナルコンピューター、ワークステーション、サーバー、ルーターなどのうち一以上に組み込まれてもよい。システム4116は、一つの機械または複数の機械間に存在する。プロセッサー4100はアドレス/データバス4148を介してメモリー4136と連絡し、アドレス/データバス4149を介してインプット/アウトプット回路4146と連絡する。インプット/アウトプット回路4146は、例えばインターネットプロトコール(IP)接続を用いて、メモリー(メモリーおよび/または蓄積媒体)4136と他のコンピューターシステムまたはネットワークとの間で情報を伝達するために用いられる。これらの構成部品は、ここで記載されているように作動するよう形成される、多くの汎用データ処理システムで用いられるもののような、汎用構成部品でよい。
【0154】
特に、プロセッサー4100は市販またはカスタムマイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、デジタルシグナルプロセッサーなどである。メモリー4136には、本発明の態様に従い用いられる機能性回路またはモジュールを履行するために用いられるソフトウェアおよびデータを保有した、あらゆるメモリーデバイスおよび/または蓄積媒体を含んでよい。メモリー4136には次の種類のデバイス:ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリー、SRAM、DRAM、および磁気ディスクがあるが、それらに限定されない。本発明の一部の態様において、メモリー4136は連想記憶装置(CAM)でもよい。
【0155】
更に図32において示されるように、メモリー(および/または蓄積媒体)4136は、データ処理システムで用いられるソフトウェア、およびデータのいくつかのカテゴリー:作動システム4152、アプリケーションプログラム4154、インプット/アウトプットデバイスドライバー4158、およびデータ1456を保有してよい。当業者に明らかなように、作動システム4152はデータ処理システムで使用に適したいずれかの作動システム、例えばIBM、OS/2、AIX、もしくはzOS作動システムまたはMicrosoft Windows 95、Windows 98、Windows2000、WindowsXP、またはWindowsCE作動システム、Unix(登録商標)またはLinuxであってもよい。IBM、OS/2、AIXおよびzOSは米国、他の国または双方におけるInternational Business Machines Corporationの商標名であり、一方Linuxは米国、他の国または双方におけるLinus Torvaldsの商標名である。MicrosoftおよびWindowsは米国、他の国または双方におけるMicrosoft Corporationの商標名である。インプット/アウトプットデバイスドライバー4158は、典型的には、インプット/アウトプット回路4146およびあるメモリー4136構成部品のようなデバイスと連絡するために、アプリケーションプログラム4154により作動システム4152を介して接近されるソフトウェアルーチンを保有している。アプリケーションプログラム4154は、本発明の一部態様に従い回路およびモジュールの様々な特徴を履行するプログラムの例である。最後に、データ1456は、メモリー4136に存在しうるアプリケーションプログラム4154、作動システム4152、インプット/アウトプットデバイスドライバー4158および他のソフトウェアプログラムにより用いられる静的および動的データを表す。
【0156】
データ1456は、(実質的にリアルタイム、アーカイブまたは蓄積された)工程配列データセット4126および/または閉鎖環境センサーフィードバックデータ4127を保有してもよい。更に図32において示されるように、本発明の一部態様によると、アプリケーションプログラム4154は自動工程配列および測定モジュール4125を保有する。アプリケーションプログラム4154はローカルサーバー(またはプロセッサー)および/またはデータベースまたはリモートサーバー(またはプロセッサー)および/またはデータベース、またはローカルおよびリモートデータベースおよび/またはサーバーの組合せに置かれてもよい。
【0157】
本発明は、図32においてアプリケーションプログラム4154を参照して説明されているが、当業者に明らかなように、他の形態も本発明の範囲内に属する。例えば、アプリケーションプログラム4154よりむしろ、これらの回路およびモジュールは作動システム4152またはデータ処理システムの他のこのようなロジカル部分へ組み込んでもよい。更に、アプリケーションプログラム4154が単一データ処理システムで説明されているが、当業者に明らかなように、このような機能性は、例えば上記のクライアント/サーバーアレンジメントの種類に応じて、一以上のデータ処理システムにまたがり分配してもよい。このように、他のアレンジメントおよび/またはデータ処理システム間の機能の分割により提供されるように、本発明は図32において示された形態に限定されると解釈するべきでない。例えば、図32は様々な回路およびモジュールを有するとして説明されているが、これら回路またはモジュールのうち一以上が本発明の範囲から逸脱することなく結合または分離されていてもよい。
【0158】
他の態様
前記の例示システム10は本発明の様々な態様および特徴を説明するために呈示されたが、本発明の範囲を核酸処理のシステム、デバイス、および方法に限定するためのものではない。むしろ、例えば、典型的には閉鎖コンテナで、物品を作製、組立て、処理、または操作するシステムおよび方法を含めて、様々な他の適用が本発明の範囲内に属する、と当業者であれば理解するであろう。下記の項目は、本発明の装置および方法が用いられる適用の追加例を呈示す。
【0159】
他の生物学および/または薬的適用の例
他の態様において、本発明は供給源から閉鎖環境の標的へ物質、例えば流体を移動する方法を提供し、ここで閉鎖環境は本出願で記載されているような装置のコンテナ中の内部区域またはチャンバーとして規定される。移動される流体としては、例えば生物学的物質、薬物、毒素、単離物、放射性同位元素、ウイルス、細菌、真核細胞、抽出物、被検体、生物試料、例えば血液、血漿、唾液など、ワクチン、核酸、タンパク質、食品、およびそれらの懸濁物、混合物などを含めたその他がある。
【0160】
本システムおよび方法の適用によると、例えば、閉鎖環境内へ移動される物質の汚染がコンテナ外の環境に存在しうる物体により避けられることを見出した。ある態様において、該システムおよび方法は、限定されないが、無菌性アッセイ、犯罪科学分析、または例えば臨床分野で用いられる生物学的物質の純度を試験する品質制御アッセイのような診断アッセイのための、またはそこにおいて物質を処理するための、物質の調製に関する。他の態様において、本方法は実験および/または臨床向けに薬物および生物学的物質、例えばワクチンおよび核酸の調製または製造のためである。本発明のシステムおよび方法で使用に適した様々なアッセイおよび方法論が、例えばUnited States Pharmacopeia,United States Pharmacopeia and National Formulary(USP 29-NF24)(2006),U.S.Department of Health and Human Services,Guidance for Industry:Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing - Current Good Manufacturing Practice(September 2004)で記載されているように、当業者に知られ、その各々が引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0161】
流体が移動される標的は、移動流体を保持するように意図された、例えば管、バイアル、容器などのように、いかなる容器でもよいことが、当業者により理解されるであろう。一部の態様において、標的は結合カラム、サイズ排除カラム、クロマトグラフィー媒体、またはフィルターなどのような支持体である。しかしながら、提供される方法の具体的適用に応じて、あらゆるフロースルーデバイス、即ち移動流体の一以上の成分を流体の他の成分から捕捉および/または分離および/または濃縮するように意図されたあらゆるデバイスが用いられる。
【0162】
図14は、閉鎖環境に置かれた結合カラム1410が、例えば核酸を含有する移動流体の標的である、例示装置の形態の例である。他の態様では、図14において記載されたマニホールドが上記フィルターまたは他のデバイスと適合するように適合化される。
【0163】
一部の態様において、本発明により提供されるシステムおよび方法によれば、細胞抽出物からRNAを単離して、単離されたRNAの少なくとも一つのRNA分子から核酸産物を増幅させる工程を含んでなる、増幅核酸産物の無菌製造を行なえ、その際に単離および増幅工程は本出願で記載されているような装置のコンテナで内部区域またはチャンバーとして規定されているような閉鎖環境で行なわれ、それにより増幅核酸産物を無菌的に製造できる。
【0164】
増幅核酸産物の無菌製造のためのある態様において、増幅核酸産物は病原体から、例えばウイルス病原体から誘導される。ある態様において、増幅核酸産物はヒト腫瘍RNAから誘導される。ヒト腫瘍RNAからの増幅核酸産物は、例えばワクチンの製造または免疫療法において用いられる。
【0165】
本方法は、無菌条件下において、物質、例えば米国法典連邦規則第21編で規定されているような生物学的物質、核酸、および/またはタンパク質などの滅菌に用いられる。臨床分野において、このような物質の調製に関するガイドラインは、例えばU.S.Department of Health and Human Services,Guidance for Industry:Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing - Current Good Manufacturing Practice(September 2004)において記載されている。
【0166】
このように、ある態様において、供給源からの物質を含んでなる流体をフィルターへ移動し、フィルター通過後の物質を容器へ集める、物質の滅菌のための方法が提供され、そこでは供給源、フィルター、および容器が本出願において記載されているような装置のコンテナで内部チャンバーまたは区域として規定されているような閉鎖環境に保有されている。滅菌用のフィルターは、例えばWhatman Inc.(Florham Park,NJ)から市販されている。
【0167】
物質を移動すこと、例えば物質をバイアルへ分配することは、物質が病原体、例えばHIVウイルス、または他のある微生物を含むか、または生物毒素または放射性物質を含むならば危険であることも、認められるであろう。本発明の態様で規定されているような閉鎖環境においてこのような物質を容器へ移動することは、移動を行なう個体への危険物質の潜在的な暴露を減らすために用いられる。このように、ある態様において、危険物質が供給源から、閉鎖環境、例えば本出願において記載されているような装置のコンテナに存在する標的へ移動される方法が提供される。これらの方法は、当業者に知られるように、危険物質が供給源および標的間で移動される様々な操作およびアッセイに適用される。
【0168】
本発明の装置は、タンパク質精製、核酸精製、および他の分子生物学的工程を典型とする他の分野に用いてもよい。このような適用には細胞溶解(例えば、細胞の機械的、カオトロピック、熱または酵素溶解)、高分子精製(例えば、イオン交換、ビーズ、分子量カットオフ)、および回収(シリカ溶出、ビーズ溶出、膜溶出)があるが、それらに限定されない。
【0169】
例示のリソグラフィー、マイクロ作製、および関連適用
本発明の態様は、クリーンルーム条件が用いられるまたは単離が望まれる状況、例えばリソグラフィーおよび組立て工程で用いられる。一部の態様において、本発明の装置はクリーンルーム分類について米国連邦標準209bにおいて記載のクラス1、クラス10、クラス100、クラス1000、クラス10,000、またはクラス100,000クリーンルームの条件を満たす。引用することにより本明細書の開示の一部とされる、1973年4月24日付のFederal Standard No.209B,1992,”Clean Room and Work Station Requirements,Controlled Environment”参照。このように、本発明の態様はクリーンルーム環境を用いる広域スペクトルの工程に用いられる。このような工程にはウェハーパターニング(フォトマスキング、マスキング、フォトリソグラフィー、マイクロリソグラフィーとしても知られる)、ドーピング(例えば、熱拡散、イオン注入)、熱処理(例えば、熱、輻射)のようなリソグラフィー工程を含むが、それらに限定されない。本発明の装置で行なわれる具体的なパターニング工程には、(i)レジストアプリケーション(ポジティブまたはネガティブ)、(ii)高圧水銀、X線、またはE‐ビームへの暴露(例えば、接触、接近、走査プロジェクション、およびステッパー)、(iii)イメージング(例えば、単層レジスト、多層レジスト、アンチリフレクター層の適用、軸外光照明、平坦化、コントラスト強調)、および(iv)エッチ(例えば、湿式化学‐液体/蒸気、ドライ、プラズマ、リフト‐オフ、イオンミリング、反応性イオンエッチング)があるが、それらに限定されない。具体的な熱処理工程にはホットプレート、対流、急熱処理(RTP)、および赤外があるが、それらに限定されない。これらリソグラフィー工程の更なる記載は、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Van Zant,Microchip Fabrication,Fourth Edition,Chapter 4,2000,McGraw-Hill,New Yorkにおいて記載されている。
【0170】
一般的なリソグラフィー技術に加えて、本発明の装置は次世代リソグラフィー、例えば超紫外線リソグラフィー、X線リソグラフィー(例えば、LIGA)、荷電粒子ビームリソグラフィー(例えば、電子ビーム、イオンビーム)、走査プローブリソグラフィー(例えば、走査型トンネル顕微鏡リソグラフィー、原子間力顕微鏡リソグラフィー、走査型電気化学顕微鏡リソグラフィー)、ソフトリソグラフィー(例えば、レプリカ成形、マイクロコンタクト印刷、キャピラリーでのマイクロ成形、マイクロ移動成形、溶媒補助マイクロ成形、エラストマー相移動マスクを用いる近接場コンフォーマルフォトリソグラフィー)および三次元リソグラフィー(例えば、ホログラフリソグラフィー、非平面基板上リソグラフィー)を収納するために用いられる。このような技術は、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Madou,Fundamentals of Microfabrication,Second Edition,2002,CRC Press LLC Boca Raton,Florida,pp.48-68において記載されている。
【0171】
本発明の態様は、例えば免疫センサーにおいて検出現場で競合する非特異的タンパク質吸収の問題を扱う、タンパク質パターニングマイクロリソグラフィー技術に用いられる。例えば、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Clementi et al.,Structure and Motion:Membranes,Nucleic Acids and Proteins,Adenine Press,Schenectady,New York,1985参照。
【0172】
本発明のデバイス、システム、装置、および方法は、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Madou,Fundamentals of Microfabrication,Second Edition,2002,CRC Press LLC Boca Raton,FloridaのChapter 2で開示されるような、ドライエッチング技術、例えば物理的エッチング(例えば、イオンエッチング、スパッタリング、イオンビームミリング)、プラズマエッチング(例えば、ラジカルエッチング)、物理的/化学的エッチング、深反応性イオンエッチング、無プラズマの蒸気相エッチング、ドライエッチング、および単結晶反応性エッチング金属化(SCREAM)を行なうために用いられる。
【0173】
本発明の装置は引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Madou,Fundamentals of Microfabrication,Second Edition,2002,CRC Press LLC Boca Raton,FloridaのChapter 3において開示されるような、シリコン成長、シリコンのドーピング、シリコンの酸化、物理的蒸気拡散(例えば、熱蒸発、スパッタリング、分子ビームエピタキシー、レーザースパッター蒸着、アブレーション蒸着、イオンプレーティング、クラスタービーム技術)、化学的蒸着、シルクスクリーニング(スクリーン印刷)、ゾル‐ゲル蒸着、プラズマスプレー法、スプレー熱分解およびプラズマビーム蒸着のような付着技術でパターン移動を行なうために用いられる。
【0174】
本発明の態様は、ある種類のアレイ形態でよくアレンジされる、化学および生物学的センサーに有機物質を蒸着させるための技術を包含した、BIOMEMS分野において用いられる蒸着およびアレイ方法において特に有用であってもよい。このような技術は、例えば有機ガス透過性膜、イオン選択性膜、ヒドロゲル、室温ガスセンサーに必要な有機単層、イオン選択性電極、酵素センサー、免疫センサーとDNAおよびタンパク質アレイを作るために用いられる。本発明の装置で履行されるBIOMEMS分野の具体的技術は、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Madou,Fundamentals of Microfabrication,Second Edition,pp.159-167,2002,CRC Press LLC Boca Raton,Floridaにおいて開示されるような、スピンコーティング、ディップコーティング、、プラスチックスプレー法、鋳造、活字鋳造(type casting)、グロー放電(プラズマ)重合、Langmuir-Blogett工程、インクジェット法、マイクロスポット法、および機械的マイクロスポット法である。
【0175】
本発明の態様は、小さなデバイス(例えば、集積回路)の包装のような、他のクリーンルーム分野にも用いられる。本発明の装置を用いて行なえる具体的包装技術としては、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Madou,Fundamentals of Microfabrication,Second Edition,pp.478-508,2002,CRC Press LLC Boca Raton,Floridaにおいて開示される、集積回路の包装、ダイシング、キャビティシーリングおよびボンディング、マルチ‐チップ包装、並びにパーティショニングがあるが、それらに限定されない。
【0176】
本発明の態様は、リソグラフィー工程でフォトレジストの分野に用いられる。例えば、本発明の装置はクリーンルーム環境で基板にポジティブまたはネガティブフォトレジストを載せるために用いられる。このように、レジストスピンコーティング、ソフトベーク、ハードベーク、デベロップメント、暴露後ベーク、および多層レジスト工程のような工程が、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Levinson,Principles of Lithography,SPIE Press,Bellingham,Washington,2001,Chapter 3で開示されるように、本発明の装置で行なえる。本発明の装置は、リソグラフィー工程、例えば光学リソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、X線リソグラフィー、深UVレジストアプリケーション、フォトマスク作製、並びに引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Microlithography,Micromachining and Microfabrication,ed.Rai-Choudhury,SPIE Press,Bellingham,Washington,2001,Chapter 1-6において記載されているようなリソグラフィーにおけるメトロロジー法に用いられる。本発明のシステム、デバイス、装置、および方法は、引用することにより本明細書の開示の一部とされる、Handbook of Photovoltaic Science and Engineering,Luque and Gegedu eds.,John Wiley & Sons,West Sussex,England,2003,pp.271-279において開示されるように、リン拡散、エッジアイソレーション、ARC蒸着、フロントコンタクト印刷、バックコンタクト印刷、コファイアリング、テスティングおよびソーティングに限定されないが、それらを含めた光電池を作製するために用いられる方法を履行するために、更に用いられる。
【0177】
ここで引用されたすべての参考文献は、各個別刊行物または特許または特許出願が引用することにより本明細書の開示の一部とされる具体的かつ個別に示されるのと同程度に、引用することにより本明細書の開示の一部とされる。しかしながら、引用することにより本明細書の開示の一部とされた文献は、係属出願またはそれで発行する特許の請求項要素の解釈を狭めるようには用いられない。
【0178】
前述の記載および図面は本発明の態様を表しているが、添付請求項において規定されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な付加、修正、および置換がそこでなしうると理解されるであろう。特に、本発明が、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特別な形態、構造、アレンジ、割合と他の要素、物質および構成部品で具体化されうることは、当業者に明らかであろう。したがって、現在開示される態様はすべての点において限定ではなく説明としてみなされるべきで、本発明の範囲は添付された請求項により示されており、前述の記載に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0179】
本発明の他の特徴は、添付図面と合わせて読むことにより、その例示態様の下記詳細な記載からより容易に理解され、そこでは同一参照番号は同一要素を表す。図面は単独でまたは他の特徴と合わせて用いられるある特徴を図解するための単なる例示にすぎず、本発明が示された態様に限定されることはない。一つの態様または図に関して示された特徴は、他の態様または図で用いられてもよい。
【図1】図1は、本発明の態様に従う処理システムの斜視図である。
【図2】図2は、作業表面に隔離コンテナを保有する、図1のシステムの上部分の側面図である。
【図3】図3は、隔離コンテナなしで示された、図1のシステムの作業表面の一つの態様の斜視図である。
【図4】図4は、柔軟性のあるバリアが本発明の態様に従い、まだ取り付けられていない、隔離コンテナアセンブリーの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の態様に従う隔離コンテナアセンブリーの破断(cutaway)斜視図である。
【図6】図6は、図5の隔離コンテナアセンブリーの破断斜視図である。
【図7A】図7Aおよび7Bは、本発明の態様に従うシリンジポンプシステムの側面図である。
【図7B】図7Aおよび7Bは、本発明の態様に従うシリンジポンプシステムの側面図である。
【図8A】図8Aおよび8Bは、本発明の態様に従い流体ポンプシステムと協同するように適合させたピペットヘッドの横断側面図である。
【図8B】図8Aおよび8Bは、本発明の態様に従い流体ポンプシステムと協同するように適合させたピペットヘッドの横断側面図である。
【図8C】図8Cは、本発明の態様に従い、図8Aのピペットヘッドにおいて用いられる柔軟性のある隔離隔壁の上面図である。
【図8D】図8Dは、図8Cにおいて示された柔軟性のある隔離隔壁の断面図である。
【図9A】図9Aおよび9Bは、本発明の態様に従う柔軟性のあるバリアの、各々斜視および断面図である。
【図9B】図9Aおよび9Bは、本発明の態様に従う柔軟性のあるバリアの、各々斜視および断面図である。
【図9C】図9Cおよび9Dは、柔軟性のあるバリアの他の態様の、各々斜視および横断側面図である。
【図9D】図9Dおよび9Dは、柔軟性のあるバリアの他の態様の、各々斜視および横断側面図である。
【図9E】図9Eは、本発明の態様に従い、部分断面図により示されたバリアにおけるカップラー、一体カップラーを有する柔軟性のあるバリアの斜視図である。
【図9F】図9Fは、本発明の態様に従い、図9Eにより示されたバリアカップラーを係合するように形成されたカップラーを有するロボットアームの一部の斜視図である。
【図9G】図9Gは、透明に破線で示された内部構成部品を覆う外部ハウジングを有する、(柔軟性のあるバリアなしで)図9Eおよび9Fにより示された構成部品のアセンブリーの斜視図である、
【図9H】図9Hは、柔軟性のあるバリアが本発明の態様に従い取り付けられた、図9Gにより示されたアセンブリーの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の態様に従うPCRプレートおよびサーマルサイクラーリッドアセンブリーの断面図である。
【図11】図11は、本発明の態様に従いサーマルサイクラーリッド駆動系を有する、サーマルサイクラーアセンブリーの斜視図である。
【図12】図12は、本発明の態様に従い、コンテナの柔軟性のあるサーマルサイクラーリッドシールの使用時における、図11のサーマルサイクラーリッド駆動系の斜視図である。
【図13A】図13Aおよび13Bは、本発明の態様に従うコンテナの作業スペース内外へのサーマルリッドの運動に際する、図12のリッドシールの断面図である。
【図13B】図13Aおよび13Bは、本発明の態様に従うコンテナの作業スペース内外へのサーマルリッドの運動に際する、図12のリッドシールの断面図である。
【図13C】図13Cは、図13Aおよび13Bにおいて示されたリッドシールおよびコンテナの部分破断側面斜視図である。
【図14】図14は、本発明の態様に従いDNAおよびRNA結合カラムを収納するためのマニホールドの斜視図である。
【図15】図15は、本発明の態様に従いステーション間でマニホールドを動かすためのピペットヘッドと係合時における、図14のマニホールドの斜視図である。
【図16】図16は、本発明の態様に従い隔離コンテナで使用前の閉鎖真空システムを表した概略側面図である。
【図17】図17は、本発明の態様に従う隔離コンテナで使用時の、図16の真空システムの概略側面図である。
【図18】図18は、本発明の態様に従い湿度および蒸気濃度を制御するための冷却ユニットを示す、隔離トレーの破断での処理システム作業表面の斜視図である。
【図19A】図19Aは、本発明の態様に従い隔離トレーへ取り付けられたキュベットの断面斜視図である。
【図19B】図19Bは、本発明の態様に従う分光光度計キュベット測定システムの協同構成部品の側面斜視図である。
【図20A】図20A〜20Dは、本発明の態様に従い容積キュベットで容量を測定するシステムの作動の例であり、各図は容積キュベット測定システムの断面図である。
【図20B】図20A〜20Dは、本発明の態様に従い容積キュベットで容量を測定するシステムの作動の例であり、各図は容積キュベット測定システムの断面図である。
【図20C】図20A〜20Dは、本発明の態様に従い容積キュベットで容量を測定するシステムの作動の例であり、各図は容積キュベット測定システムの断面図である。
【図20D】図20A〜20Dは、本発明の態様に従い容積キュベットで容量を測定するシステムの作動の例であり、各図は容積キュベット測定システムの断面図である。
【図20E】図20Eは、本発明の態様に従い図20A〜20Dに関して記載されているように作動しうる、マルチキュベット容量測定システムの上面、側面斜視図である。
【図20F】図20Fは、本発明の態様に従いコンテナの区画下へ出たキュベットを表す、図4および5において示されたコンテナの底面斜視図である。
【図21A】図21Aは、本発明の態様に従う試薬ラックの斜視図である。
【図21B】図21Bは、本発明の態様に従う穴あけ技術を表す、図21Aにおいて示された試薬ラックの概略上面斜視図である。
【図22】図22は、本発明の態様に従うアリコート管機構の作動を示した、一連の概略図である。
【図23A】図23Aは、本発明の態様に従い隔離コンテナトレー中へ積載される構成部品を示した図である。
【図23B】図23Bは、本発明の態様に従い図23Aにおいて示されたキット構成部品を用いる、部分組立てコンテナの上面斜視図である。
【図23C】図23Cは、図23Bにおいて示された部分組立てキットの底面図である。
【図23D】図23Dは、キット構成部品が本発明の態様に従い使用現場で取り付け前の、図23Aにおいて示されたキットにおけるコンテナの上面図である。
【図24】図24は、本発明の態様に従う柔軟性のあるバリアでのトレーのシーリングを示した、図23Aの隔離コンテナトレーの分解組立図である。
【図25】図25は、本発明の態様に従い行なわれる作動のフローチャートである。
【図26A】図26Aおよび26Bは、本発明の態様に従うレバー付きピペットヘッドの拡大側面斜視図である。
【図26B】図26Aおよび26Bは、本発明の態様に従うレバー付きピペットヘッドの拡大側面斜視図である。
【図26C】図26Cは、本発明の態様に従いピペットチップを解放するようなコンテナの内部表面との係合を示した、図26Aおよび26Bにおいて示されたレバーの側面斜視図である。
【図27】図27は、本発明の態様に従い機器にコンテナを積載するために用いられる、トロリーの上面斜視図である。
【図28A】図28Aは、本発明の態様に従いロボットアームでコンテナを並べられる、バイアスアセンブリー形態による作業表面の拡大側面斜視図である。
【図28B】図28Bは、本発明の態様に従い所望方向にコンテナを押し出すために用いられるスプリングを示した、図28Aにおいて示される作業表面の一部の底面斜視図である。
【図29A】図29Aは、本発明の態様に従う溶出トレーの上面図である。
【図29B】図29Bは、図29Aにおいて示されたトレーの底面斜視図である。
【図29C】図29Cは、図29Aにおいて示されたトレーの上面斜視図である。
【図30A】図30Aは、廃棄トレーカバーの上面斜視図である。
【図30B】図30Bは、図30Aにおいて示されたトレーカバーの底面斜視図である。
【図31】図31は、本発明により考えられる自動システムで用いられる回路のブロック図である。
【図32】図32は、本発明の態様に従うデータ処理システムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象となる複数の物品を保持しうるように形成された内部区域を有するコンテナと、
密封可能にコンテナに取り付けられるよう構成された柔軟性のあるバリアと、そして
該柔軟性のあるバリアとともにまたはその中に組み込まれたツール(ここで、該ツールは第一インターフェースおよび第二インターフェースを有し、第一インターフェースは、コンテナの内部区域の外側の前記バリアの第一の面においてロボットデバイスに取り付けられるよう構成され、第二インターフェースは、柔軟性のあるバリア下においてコンテナの内部区域内に配置され、前記柔軟性のあるバリアが密封可能にコンテナに取り付けられた場合に内部区域において物品を操作しうるように構成される)と、
を含んでなる、閉鎖コンテナ内において物品を操作するための装置。
【請求項2】
前記複数の物品が核酸サンプルを含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ツールが分注装置の構成部品を含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コンテナが、核酸サンプルを処理するための複数のステーションを更に含んでなる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも一つの核酸結合カラムを保持するように形成されたマニホールドを更に含んでなり、該マニホールドが複数のステーションのうち少なくとも二つの間で移動するように形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記マニホールドがハンドルを含んでなり、前記第二インターフェースが少なくとも二つのステーションへ、および該ステーションからマニホールドを動かすためのハンドルを係合するように形成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも二つのステーションが溶出ステーションおよび廃棄ステーションを含んでなる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
複数のステーションのうち少なくとも一つが試薬ステーションを含んでなる、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
試薬ステーション内に配置された試薬ラックを更に含んでなり、該試薬ラックが核酸サンプルを処理するための複数の試薬を保持する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コンテナのベースへ密封されて、サーマルブロックに適合するように設計された、単一ウェルおよびマルチウェル容器を更に含んでなり、該容器がコンテナの内部区域から接近可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記コンテナが、コンテナの側壁へ密封可能に連結され、側壁の隙間越しに伸びて閉鎖された柔軟性のあるサイドエントリーチャンネルを形成する柔軟性のあるシールを更に含んでなり、該柔軟性のあるサイドエントリーチャンネルが、柔軟性のあるシール内の側壁で隙間内外にリッドを往復させ、垂直に閉じて容器をカバーするように移動させ、それにより柔軟性のある密封がコンテナ内で閉鎖環境を維持しながらコンテナの内部区域内外にリッドを移動させる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記柔軟性のあるシールに保持されながら前記コンテナの側壁隙間内外にリッドを自動的に移動させるための自動駆動系付きの駆動部材を更に含んでなる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コンテナから外方へ伸びて、コンテナの内部区域と流体連絡している複数のアリコート管とを更に含んでなり、処理される流体サンプルを入れるように複数のアリコート管が形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
処理される複数のサンプルを複数のアリコート管へ取り込むためのアリコート管エクスプレッサーを更に含んでなる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記アリコート管エクスプレッサーが、複数のアリコート管のうち一以上を密封するための管シーラーを含んでなる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
分注装置が:
前記コンテナ内に貯蔵されたピペットチップを解放可能に係合するためのピペットチップアダプター、
前記コンテナの外部において流体ポンプと連絡するための作業液チャンバー、および
作業液チャンバーをピペットチップアダプターから隔離して、流体ポンプからピペットチップアダプターへ圧力を伝えるための隔壁またはフィルター
を含んでなる、請求項3に記載の装置。
【請求項17】
サンプルを定量するための分光光度計を更に含んでなり、コンテナが該コンテナのベースへキュベットを密封するためのコネクターを含んでなり、該キュベットが分光光度計により定量されるサンプルを保持するように形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記柔軟性のあるバリアがコンテナへ密封される場合に、閉鎖ループにおいてコンテナの内部区域内に密封された空気を循環させるように形成された再循環真空システムを更に含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記真空システムが一回用使い捨て真空ヘッドおよび柔軟性のある管類を含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記密封されたコンテナ内において、湿度および/または蒸気濃度を制御するための少なくとも一つの熱交換デバイスを更に含んでなる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記コンテナおよびバリアが一回用使い捨てである、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記閉鎖システムの閉鎖状態に影響を与えることなく、前記コンテナが密封されたままで、処理された流体がコンテナから排出され、コンテナおよびバリアが閉鎖システム使い捨て用品を形成するように使用中および使用後に密封されたままである、請求項13に記載の装置。
【請求項23】
閉鎖容器と連絡する圧力センサーと、閉鎖コンテナにおいて圧力を測定して密封の完全性を確認しうるように形成された圧力センサーと連絡する制御回路とを更に含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
コンテナポジションガイドを有する作業表面付きハウジングを更に含んでなり、柔軟性のあるバリアとともにコンテナを保持して、コンテナポジションガイドを用いて作業表面上の適正な作動位置へ閉鎖コンテナをスライド可能に移動できるように、オペレーターにトロリーをハウジングと並べさせうるように形成されたトロリーを、前記装置が更に含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
作業表面コンテナポジションガイドが間隔をあけたスロットを含んでなり、トロリーが作業表面上のスロットと並ぶ対応スロットを含んでなり、それにより閉鎖コンテナがトロリーから作業表面の適正な作動位置へスライド可能に移動される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
ロボットアーム下において望ましい作動位置へ閉鎖コンテナを押し出すように、作業表面で閉鎖コンテナに対して押し出すスプリングバイアス部材を更に含んでなる、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
複数の処理ステーションを含んでなる内部を有した一回用使い捨てコンテナを用意し、
少なくとも一つの試薬および少なくとも一つのサンプルを該コンテナへ充填し、
該コンテナを柔軟性のあるバリアで密封し(該柔軟性のあるバリアは柔軟性のあるバリアとともにまたはその中に組み込まれたピペットヘッドを含んでなり、該ピペットヘッドは、コンテナの内部にピペットチップを係合するためバリアの片側から伸びるピペットチップアダプターと、ロボットアームのピペットヘッドアダプターを入れるためのバリアの反対側における容器とを有する)、
ロボットアームが密封したコンテナの外部に存在するように、ロボットアームのピペットヘッドアダプターをピペットヘッドに取り付け、
コンテナにおいて一以上の処理ステーション間でサンプルおよび試薬を移動するためにコンテナの外部からロボットアームを用いてピペットヘッドを操作し、および
一以上の処理ステーションにおいて少なくとも一つのサンプルを処理する、
ことを含んでなる、サンプルを処理するための方法。
【請求項28】
前記複数の処理ステーションが、PCRプレート、溶出ステーション、および廃棄ステーションを含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コンテナを密封する前に、結合カラムを保持する少なくとも一つのマニホールドをコンテナへ積載することを更に含んでなり、該マニホールドが溶出ステーションおよび廃棄ステーション内で適合するように形成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記処理工程が、溶出ステーションおよび廃棄ステーション位置間でマニホールドを移動することを含んでなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記処理に際してコンテナ内において、閉鎖容量を維持することを更に含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記閉鎖容量を維持することが、コンテナ内において空気を再循環させることを含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記閉鎖容量を維持することが、コンテナ内において湿度および/または蒸気濃度を制御することを含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
作業液を送り出すためのポンプ、
作業液を介してポンプと連絡する隔壁(ここで、該隔壁は作業液および作業液ポンプを流体サンプルから隔離するように形成される)、および
隔壁およびサンプルと連絡する管(ここで、該管は隔壁と連絡する管腔を有する)
を含んでなり、該隔壁は圧力の変化が管腔中へ流体を引き込むかまたはそこから流体を排出するように、作業液における圧力の変化を管の管腔へ伝えるように形成される、流体の移動のための装置。
【請求項35】
前記管が解放可能なピペットチップを含んでなる、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
サンプルコンテナの既定位置の方へシグナルを発するように形成された少なくとも一つのエミッター、
該シグナルがサンプルコンテナと相互作用した後でシグナルを受け取るように形成された少なくとも一つのレシーバー(該レシーバーにより受け取られるシグナルの変化は、流体が上記既定位置より降下した場合を示す)、および
該レシーバーおよびサンプルコンテナと連絡した流体移動デバイス
を含んでなり、該流体移動デバイスは、流体が前記既定位置より降下したことをレシーバーが検出した場合に、それがサンプルコンテナから取り出された流体の容量を調べる、流体の容量を測定するための装置。
【請求項37】
前記エミッターが光エミッターであり、前記シグナルが光を含んでなる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記流体移動デバイスがピペットの少なくとも一部を含んでなる、請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記サンプルコンテナがキュベットを含んでなる、請求項36に記載の装置。
【請求項40】
前記エミッターと、連続的に連絡する複数のサンプルコンテナとを更に含んでなる、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
光を放出するための少なくとも一つの光源、
光源から光を受け取るための少なくとも一つのレシーバー、
キュベット(キュベットが流体を含有しているかまたは空であるかに応じて、そこを通る光路の変化が検出される)、および
キュベットが空であることをレシーバーが検出した場合、キュベットから取り出された流体の容量を調べられるようにレシーバーと連絡した流体移動デバイス
を含んでなる、流体の容量を測定するための装置。
【請求項42】
前記流体移動デバイスがピペットの少なくとも一部を含んでなる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
複数の区域が間隔をあけたワークステーションを形成する、実質的に硬質のボディを有する第一部材、および
複数のワークステーションにわたり閉鎖チャンバーを形成するように第一部材へ密封可能に取り付けられた柔軟性のあるバリア部材(該柔軟性のあるバリアは実質的に不透過性であり、柔軟性のあるバリア部材は該バリアへ密封可能に取り付けられた操作ツールを含んでなり、該ツールは柔軟性のあるバリア下の閉鎖チャンバーに存在する第一内部インターフェースと閉鎖チャンバー外に存在する第二外部インターフェースを有する)
を含んでなる、処理コンテナ。
【請求項44】
前記バリアおよび第一部材が一回用使い捨てである、請求項43に記載のコンテナ。
【請求項45】
前記第一部材が外部冷却要素をぴったり入れるように形成された壁セグメントを有し、作動時に、該壁セグメントがコンテナ内で凝縮壁を形成するように冷却要素と協同している、請求項43に記載のコンテナ。
【請求項46】
第一部材がサイドエントリーレシービング隙間を有する側壁を含んでなり、該サイドエントリーレシービング隙間が、少なくとも一つの物品をコンテナの内部区域へ出入させるように形成された、実質的に横方向へ伸びるスリーブで密封可能にカバーされる、請求項43に記載のコンテナ。
【請求項47】
ワークステーション区域のうち一つがPCRプレートを保持するように形成され、ワークステーション区域の他がピペットチップ入れピペットラックを保持するように形成され、ワークステーション区域の他が密封された試薬容器のトレーを保持するように形成される、請求項43に記載のコンテナ。
【請求項48】
第一ワークステーションがPCRプレートを保持するように形成され、第二ワークステーションが試薬を保持するように形成され、および第三ワークステーションが無菌ピペットを保持するように形成された、実質的に硬質のボディを有する一回用使い捨て無菌トレーを含んでなる、生物サンプル処理コンテナ。
【請求項49】
トレーに密封して、密封された閉鎖内部チャンバーを形成するように外部エッジ部分を形成させた柔軟性のあるバリアであって、
エラストマーを含んでなり、バリアの中央部分でロボットアームインターフェースへ密封可能に取り付けられている、柔軟性のあるバリア。
【請求項50】
前記柔軟性のあるバリアが実質的に不透過性である、請求項49に記載のバリア。
【請求項51】
前記柔軟性のあるバリアが複数の放射状プリーツを含んでなる、請求項49に記載のバリア。
【請求項52】
柔軟性のあるバリアの中央部分が、複数の実質上垂直向き階段状部分を含んでなる、請求項49に記載のバリア。
【請求項53】
側壁を有するトレー、および
トレー側壁と接触し、それにより該側壁との接触でレバーをピボットへ押しやり、操作ツールにより保持された各使用済みピペットチップを解放するように形成された、外方へ伸びるレバーを有する操作ツールと一体化したロボットアーム
を含んでなる、自動ピペットチップ取外しシステム。
【請求項54】
傾斜側壁下および付近でピペットチップラックを実質上水平に保持するトレーのベースへ向けて、トレー側壁が下方に傾斜している、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
ピペットチップラックと連絡するロードセンサーを更に含んでなり、前進して標的ピペットチップに対し約5N〜50N荷重を加えて、ピペットチップラックにより保持された各ピペットチップを係合するために、操作ツールが形成される、請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
ロボットアーム、および
ロボットアームと協同する操作ツール(該ツールは、ピペットチップを解放可能に係合し、カバーに付いた穴あきオープニングの一つで容器から流体を取り出す前に、自動的に並進して異なる間隔をあけた箇所で複数回にわたり容器のカバーを穴あけするように形成される)
を含んでなる、液体を処理するためのシステム。
【請求項57】
容器の一部が上方へ伸びるバリアの第一側面に位置し、容器の他がバリアの反対側面に位置した、間隔をあけた複数の容器を有する無菌生体適合性溶出トレーを含んでなり、該容器の各々が、その各側面に伸びて主管状部分の方向で下方へテーパー化するチャンネルを有する、溶出トレー。
【請求項58】
トレーと、それへ密封可能に取り付けられるよう構成された柔軟性のあるバリアとを含んでなる一回用使い捨てコンテナ、
第一ワークステーションでコンテナに存在するように形成された一回用使い捨て試薬ラック、
コンテナに存在するように形成された一回用使い捨て結合カラムマニホールド、および
コンテナに存在するように形成された一回用使い捨てピペットラック
を含んでなる、自動処理システムで使用のためのキット。
【請求項59】
前記コンテナに存在して使用済みピペットを保持するように形成された第二ピペットラックを更に含んでなる、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
トレーへ取り付けられ、作動時にコンテナにおいて空気を再循環させるように形成された、管類付きの一回用使い捨て真空ポンプヘッドを更に含んでなる、請求項58に記載のキット。
【請求項61】
前記コンテナに存在して、ワークステーション間で動くように形成されたハンドル付きマニホールドを更に含んでなる、請求項58に記載のキット。
【請求項62】
ピペットを解放可能に保持するインターフェースツールを動かし、閉鎖コンテナにおいて受容表面付近に先端を置いて下方角度方向にピペットを向けさせるために、ロボットアームをプログラムで指示し、
次いで下方向き角度のピペットを平面に沿い実質上直線的に自動で動かしながら、ピペットから流動性物質を放出させる、
ピペットから液体を放出させる方法。
【請求項63】
柔軟性のあるバリアを有する密封可能閉鎖コンテナにサンプルを用意し、および
サンプルを処理するため閉鎖コンテナが密封されたままで、柔軟性のあるバリアと協同して、一連の作動により閉鎖コンテナの内側でインターフェースツールを動かすために、ロボットアームをプログラムで指示する
ことを含んでなる、閉鎖システムにおけるサンプルの処理方法。
【請求項64】
増幅中に複数の時間でサンプルの容量および濃度を電子的で、自動的に測定することを更に含んでなる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
閉鎖システムの密封された状態を毀損することなく、少なくとも一つの処理されたサンプルをアリコート容器に捕捉することを更に含んでなる、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
閉鎖コンテナの密封の完全性を電子的で自動的に測定することを更に含んでなる、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
操作対象となる複数の物品を保持しうるように内部区域を形成させたコンテナ、および
閉鎖ループにおいてコンテナの内部区域内に密封された空気を循環させるように形成された再循環真空システム
を含んでなる、閉鎖コンテナ内において物品を操作するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図20F】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2009−535015(P2009−535015A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551336(P2008−551336)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/001170
【国際公開番号】WO2008/018904
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(505182915)アルゴス セラピューティクス,インコーポレイティド (8)
【出願人】(307023122)キリンファーマ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】