説明

開口部枠設置構造

【課題】施工現場において表面に機能パネルを設けた壁の開口部を容易に保護可能な開口部枠設置構造を提供することである。
【解決手段】機能パネル1は、壁20の表面21に設置されており、壁20の開口部10側の側面22には、開口部枠30が設けられている。開口部枠30は、機能パネル1と壁20とのつなぎ目である重合部15を遮閉している。機能パネル1は、開口部枠30に面する側の側面2に、凹状の嵌合溝3を有している。嵌合溝3には、凸状の見切り部材4が嵌められており、強固に合致している。つまり、機能パネル1の側面2は、見切り部材4で保護されている。そのため、機能パネル1の側面2に傷が付くことや、側面2に欠けが生じることが防止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部枠設置構造に関し、さらに詳細には、表面に機能パネルを設けた壁の開口部に扉や窓等を設置する開口部枠設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用の建築部材として、機能パネルと呼ばれる壁パネルが広く利用されている。例えば、液晶テレビを設置可能なレールを備えたものや、ヒータが内蔵された化粧室用のもの等、目的や用途に応じた様々な機能パネルが用意されている。図2は、従来の開口部枠設置構造を示すものであり、一般的に、機能パネル101は壁102の表面108に設置して利用されるものである。なお、図2では、説明の都合上、断面を図示するハッチングの描写を省略している。
【0003】
図2において、機能パネル101はドア枠103にも隣接している。ドア枠103は、ドア104を開閉可能に支持するための開口部枠であり、戸当り105を有している。一般的には、ドア枠103は壁102よりも幅広であり、チリと呼ばれる段差Xを有している。図2においては、機能パネル101の幅Wが、段差Xよりも広くなっている。これは、機能パネル101として規格化された量産品を用いていることによるものであり、一方、段差Xは施工現場によって異なることによるものである。その結果、機能パネル101とドア枠103の表面同士に段差が生じ、機能パネル101の側面106が露出している。この露出した側面106は、何ら保護されていないため、傷がつきやすく、欠けが生じることも懸念される。
【0004】
側面106の保護対策として、図3に示すように、従来の開口部枠設置構造である機能パネル101とドア枠103との間に、仕上げ部材である見切り部材107を施工現場で取り付けることが考えられる。しかし、この方法では、施工現場で機能パネル101の一部を削り、接着剤等で見切り部材107を固定する必要があり、手間が掛かる。なお、図3においても、説明の都合上、断面を図示するハッチングの描写を省略している。
【0005】
特許文献1には、ドア枠と壁とのつなぎ目(重合部)を装飾額縁材で覆う構成が開示されている。特許文献1に開示された構成では、ドア枠に予め嵌合溝を設けており、この嵌合溝にコ字状の装飾額縁材の一方の端部(嵌合突条)を嵌合させ、装飾額縁材の他方の端部を壁に当接させることで、ドア枠と壁とのつなぎ目を保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−78885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された構成では、装飾額縁材の嵌合突条の長さが決まっており、壁の上に設置可能な機能パネルの幅に、制限が生じてしまう。幅広の機能パネルを設置した場合には、嵌合突条の長さが足りず、装飾額縁材を取り付けできないことが懸念される。
【0008】
そこで、本発明は、施工現場において表面に機能パネルを設けた壁の開口部を容易に保護可能な開口部枠設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、表面に機能パネルを設けた壁の開口部に扉や窓等を設置する開口部枠設置構造において、見切り部材を有し、前記機能パネルの開口部枠に面する側面には嵌合溝が設けられ、見切り部材は該嵌合溝に嵌合保持され、開口部枠が機能パネルと壁との重合部を遮閉していることを特徴とする開口部枠設置構造である。
【0010】
本発明で採用する開口部枠設置構造では、見切り部材を有し、機能パネルの開口部枠に面する側面には嵌合溝が設けられており、見切り部材は該嵌合溝に嵌合保持される。つまり、見切り部材を嵌合溝に嵌めるだけで、簡単に機能パネルの側面を保護可能である。そして、側面が保護された機能パネルと壁との重合部は、開口部枠で遮閉されている。つまり、開口部枠で前記重合部を隠している為、見栄えが良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の開口部枠設置構造によれば、見切り部材を嵌合溝に嵌めるだけで機能パネルの側面を保護できるため、従来のように施工現場において機能パネルを削る等の面倒な作業を要しない。すなわち、施工現場での作業が容易である。
【0012】
そして、側面が保護された機能パネルと壁との重合部を、開口部枠で遮閉している為、見栄えが良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の開口部枠設置構造を示す平面図である。
【図2】従来の開口部枠設置構造を示す平面図である。
【図3】従来の開口部枠設置構造に見切り部材を設けたことを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の開口部枠設置構造の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0015】
図1に示す開口部枠設置構造では、機能パネル1は、壁20の表面21に設置されており、壁20の開口部10側の側面22には、開口部枠30が設けられている。開口部枠30は、機能パネル1と壁20とのつなぎ目である重合部15を遮閉している。
【0016】
開口部枠30は戸当り31を有し、開口部枠30には扉40が開閉可能に固定されている。機能パネル1は厚みAを有しており、図1において開口部枠30の表面よりも左側に突出している。なお、図1では、説明の都合上、断面を図示するハッチングの描写を省略している。
【0017】
機能パネル1は、開口部枠30に面する側の側面2に、凹状の嵌合溝3を有している。嵌合溝3には、凸状の見切り部材4が嵌められており、強固に合致している。見切り部材4の幅Bは、機能パネル1の幅Aと略同等である。見切り部材4の厚みCは、図3で示した見切り部材107よりも薄い。
【0018】
前述の通り、図1において、機能パネル1の側面2には見切り部材4が嵌められている。つまり、機能パネル1の側面2は、見切り部材4で保護されている。そのため、図1に示したように、機能パネル1の表面が開口部枠30の表面よりも左側に突出している場合において、機能パネル1の側面2に傷が付くことや、側面2に欠けが生じることが防止されている。また、側面2が見切り部材4で目隠しされていることにより、機能パネル1の意匠性が向上されている。さらに、側面2が保護された機能パネル1と壁20との重合部15を、開口部枠30で遮閉している為、見栄えが良い。
【0019】
本実施形態の開口部枠設置構造では、機能パネル1の側面2に設けられた嵌合溝3に、見切り部材4を嵌めることにより、側面2が保護される。換言すれば、見切り部材4を嵌合溝3に嵌めるだけで側面2を保護できる。すなわち、作業性に優れており、施工現場における施工時間をより短縮できる。
【0020】
また、凸状の見切り部材4は、左右対称の形状であり、天地逆の方向にしても嵌合溝3に嵌合可能である。つまり、見切り部材4は、挿入方向を選ばないため、施工現場において挿入方向間違いが生じることはない。
【0021】
本実施形態の開口部枠設置構造においては、開口部枠30をドア枠とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、窓枠でも構わない。或いは、機能パネル1がドア枠と窓枠との両方で挟持される場合でも構わない。
【0022】
本実施形態の開口部枠設置構造においては、見切り部材4の幅Bを、機能パネル1の幅Aと略同等とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、見切り部材4の幅を機能パネル1の表面よりも外側に突出させても構わない。
【符号の説明】
【0023】
1 機能パネル
2 側面
3 嵌合溝
4 見切り部材
10 開口部
15 重合部
20 壁
21 表面
30 開口部枠
40 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に機能パネルを設けた壁の開口部に扉や窓等を設置する開口部枠設置構造において、見切り部材を有し、前記機能パネルの開口部枠に面する側面には嵌合溝が設けられ、見切り部材は該嵌合溝に嵌合保持され、開口部枠が機能パネルと壁との重合部を遮閉していることを特徴とする開口部枠設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−154038(P2012−154038A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11637(P2011−11637)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】