説明

開封容易な収容器

【課題】物品を覆うブリスター状の覆い部材を有する収容器について、ヒートシールを必要とせずに包装可能であり、台紙を損傷せずに開封可能とする。
【解決手段】物品を覆う収容部11と収容部11を囲む開口縁から外側へ張り出したフランジ部12を有する覆い部材13と、上記覆い部材13をフランジ部12にて固定する台紙14とを有し、フランジ部12の一面を台紙表面に接触させた状態とし、フランジ部12の他面とその周囲の台紙表面に、フランジ部12の方向に沿ってフランジ固定材15を接着し、覆い部材13を台紙14に取り付けるために、フランジ部12の他面とその周囲の台紙表面に上記フランジ固定材15を接着させるフランジ固定材15として粘着シートを使用して加圧接着し、フランジ固定材15を剥離するために指先で摘む部分として突片部17を上記固定用フィルムに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を覆う収容部と収容部を囲む開口縁から外側へ張り出したフランジ部を有する覆い部材と、その覆い部材をフランジ部にて固定する台紙とを有する、開封容易な収容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ほぼ物品の形状に成形した透明なブリスター(膨らみ)に物品を挿入し、台紙に貼り付けた包装方法として知られるブリスターパックは、安価な包装方法であり、収容した物品を良く観察することができるとともに、収容した物品の保護も申し分ないなどの特徴を有している。しかしこの種のブリスターパックは、ブリスターのフランジ部にて台紙に強力に接着されているため、包装を損なわずに物品を取り出すのが容易ではない。台紙には、物品の使用方法や取扱い上の注意、その他の事項を印刷してあることも多く、台紙を引き裂いたり、印刷部分を損傷したりした場合には、その内容を読み理解することが妨げられるという問題を生じる。なお、上記のような従来のブリスターパックでは、ブリスターを台紙に直接接着するために、ブリスターの接着可能な材料を選択して台紙とするか、或いは選択した上記材料を台紙の表面に予めコーティングしておくなどの措置を取る必要もあった。
【0003】
このような問題から、包装されている物品の取り出しを容易にするための工夫もなされている。例えば、特開2001−253470号は、表台紙と裏台紙からなるブリスターパックにおいて、商品の格納部分を取り囲む開封部分を設けた発明を開示しているが、この場合、台紙が2重構造となり、また、ブリスター部分も台紙と同じ材料である必要がある。特開2006−123955号は、台紙に設けた取り出し線と略中心線とをミシン目状の裂開部とし、開封後台紙の弾力で口が閉じるようにした構成を有する。この構造の場合、裂開部分により台紙裏面が分断されることになり、説明を読みにくいものとなる上、分断の際に破損の恐れもある。
【0004】
そこで本発明者は、先に、熱可塑性プラスチックフィルムを使用して、ブリスター即ち物品を覆う覆い部材をフランジ部にて台紙にヒートシールし、固定する構造を持った収容器を開発し、その成果について特許出願した。上記の発明はフランジ固定材を使用して覆い部材を固定することができるので開封が容易であり、台紙を損傷することなくフランジ固定材を剥がすことも可能である。しかしながらフランジ固定材を台紙にヒートシールにより接着する方式であるため、フランジ固定材にはフランジ及び台紙表面とヒートシール可能な材料を選択する必要があり、また、ヒートシールを実施するための構造を備えた包装機も必要である。
【0005】
【特許文献1】特開2001−253470号
【特許文献2】特開2006−123955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の事情に基づいてなされたもので、その課題は、物品を覆うブリスター状の覆い部材を有する収容器において、ヒートシールを必要とせずに包装することができ、かつ、開封を容易に行うことができるとともに、開封の際に台紙を損傷する恐れのない構造を持った、開封容易な収容器を提供することである。また、本発明の他の課題は、収容部を台紙に固定用フィルムによって取り付けるとともに、その固定用フィルムを最小の力で取り外し得るようにすることである。また本発明の他の課題は、物品の直線的な送り方向を有する包装機によってフランジ固定材の取り付けが可能な、開封容易な収容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は、物品を覆う収容部と収容部を囲む開口縁から外側へ張り出したフランジ部を有する覆い部材と、上記覆い部材をフランジ部にて固定する台紙とを有する収容器において、フランジ部の一面を台紙表面に接触させた状態とし、フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に、フランジ部の方向に沿って、フランジ固定材を接着することにより、覆い部材の台紙に対する取り付けを行うために、フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に上記フランジ固定材を接着させるフランジ固定材として粘着シートを使用して加圧接着するものとし、上記の接着しているフランジ固定材をフランジ部から剥離するために指先で摘む部分として、フランジ部との接着部分から張り出した突片部を上記固定用フィルムに設けた構成を有するものとする、という手段を講じたものである(請求項1記載の発明)。
【0008】
本発明の対象となる収容器は、物品を覆う収容部と収容部を囲む開口縁から外側へ張り出したフランジ部を有する覆い部材と、覆い部材をフランジ部にて固定する台紙とを有するものである。上記覆い部材の収容部は物品の形状に成形したブリスター(膨らみ)を含み、その周囲にフランジ部を有していて、フランジ部が台紙への固定に使われる。台紙は紙材に限定されるものではなく、紙製のシート材をプラスチック製や金属製のフィルム又はシート材で覆ったもの、プラスチック製や金属製のシート状のもの、その他の類似構造のものを含む。
【0009】
上記の覆い部材は、フランジ部の一面を台紙表面に接触させた状態において、フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に、フランジ部の方向に沿ってフランジ固定材を接着することにより取り付けられる。本発明におけるフランジ固定材は、フランジ部の方向に沿うということから一般的に細長いものになるといって良いが、物品を覆う覆い部材のフランジの形態は様々であるので、フランジ固定材もフランジ部の形態に従い、様々の形態を取り得る。
【0010】
フランジ部が開口縁のほぼ全周に及んでいるものでは、フランジ固定材もフランジ部のほぼ全周に及ぶことになる(請求項2記載の発明)。フランジ部が例えば四角形の場合、フランジ固定材は四角形に形成した枠型でも良いし、直線状のシートを四角形に組み合わせたものでも良いので、このようにフランジ固定材は様々な形態を取ることができる。同様に、フランジ部が例えば円形等の場合、フランジ固定材は、リング状の円形枠構造を取ることができる。
【0011】
フランジ部の一面を台紙表面に接触させた状態とし、フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に、フランジ部の方向に沿って、フランジ固定材を接着することにより、覆い部材の台紙に対する取り付けを行うために、フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に上記フランジ固定材を接着させるフランジ固定材として粘着シートを使用して加圧接着するものとする。フランジ固定材として熱可塑性プラスチックフィルムをヒートシールするものではないため、包装機にもヒートシール機能の必要がない。
【0012】
本発明におけるフランジ固定材には粘着シートを使用する。粘着シートはシートに粘着材をコーティングしたもので、一般的にセロハン、プラスチック、布、クラフト紙その他の材料からなる基材に、ゴム又は合成樹脂を主材とする粘着剤を塗布したシートである。
粘着シートとともに接着テープ類を使用することも考えられるが、接着剤はテープを貼った後で次第に固まり、剥がすときに台紙も剥がされる恐れが大きいため、本発明の目的には後で容易に剥がし得る粘着シートの方がより適合するものである。
【0013】
粘着シートの基材になるのは一般的にはプラスチック製のフィルム又はシートである。薄い膜状のものを指す用語としてフィルム、シート以外にもメンブレン(膜)或いは箔と呼ばれるものがあり、どれも基材に使用し得る。通常、シートは厚さが0.25mm以上のもの、フィルムは厚さが0.25mm未満のものと区別されるが、例えばロール状の物をフィルムと呼び、適当なサイズに切出した物をシートと呼ぶというような区別もあり、厳密なものではない。このため本発明においては上記のフィルム等を含む膜状のものの総称としてシートという文言を使用するものとする。本発明において総称するシートの厚さはおおよそ0.1〜0.8mmの範囲のものが適当である。
【0014】
上記のフランジ部に接着しているフランジ固定材を、フランジ部から剥離するために指先で摘む部分として、フランジ部との接着部分から張り出した突片部を上記固定用フィルムに設ける。上記のフランジ固定材は、フランジ部のみならずそのフランジ部周辺の台紙にも加圧接着しているのであるから、フランジ部と台紙から剥離するといっても良いが、今の目的はフランジ部からの剥離が説明の主体であり、フランジ部からの剥離と台紙からの剥離が同時進行的に行なわれるためこのように表現している。
【0015】
前述の突片部は、フランジ固定材の剥離方向がフランジの方向にほぼ一致するように破断を誘導する手段となる切込みを付け根に有していることが望ましい(請求項3記載の発明)。突片部を摘んで引き剥がすとき、この切込みにより、フランジ固定材はその幅の最小の位置で剥離が行なわれるようになる。つまり、フランジ固定材の剥離方向がフランジの方向と一致し、その方向に直交するフランジ固定材の幅をBとすると、フランジ固定材が最小のBの幅で進行するとき、剥離に要する力は最も小さくなる。このようにして、切込みにより剥離作業を誘導するものである。なお、フランジ固定材は、直線状の粘着テープの形態を取ることができる(請求項4記載の発明)。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、物品を覆うブリスター状の収容部を有する収容器において、粘着シートより成るフランジ固定材を突片部から剥離するものであって、台紙に接着している状態ではないから台紙を損傷する恐れなく、開封を容易に行うことができる。また、本発明によれば、収容部を台紙にフランジ固定材によって取り付け、突片部の付け根に切込みを設けたのでフランジ固定材を最小の力で取り外し得る。また本発明によれば、フランジ固定材は、直線状の粘着テープの形態を取ることも可能であるから、物品の直線的な送り方向を有する包装機によってフランジ固定材の取り付けが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図示の実施形態を参照しながら本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明に係る開封容易な収容器において、物品を覆う収容部11と収容部を囲む開口縁に沿って開口縁から外側へ張り出したフランジ部12を有する覆い部材13が、四角形の平面形状を有する場合に関する第1の例を示している。上記覆い部材13は、フランジ部12にて台紙14に接触し、粘着シートより成るフランジ固定材15を用いて台紙14に以下のように取り付けられる。
【0018】
粘着シートより成るフランジ固定材15は、基材にセロハン又はポリプロピレン製のシート材を使用し、主剤にゴム系又はアクリル系のものより成る粘着剤を基材表面にコーティングして形成したもので、第1の例の場合粘着シートから四角形の平面形状に切出して形成されている。第1の例のフランジ固定材15は、フランジ部12が四角形の開口縁のほぼ全周に及んでいるので、フランジ部12の全周に及ぶ四角形の枠型に形成されている。このようなフランジ固定材15は、フランジ部12の一面を台紙表面に接触させ、フランジ部12の他面とその周囲の台紙表面に加圧接着し、フランジ部12の全周に亘って接着させるもので、これにより覆い部材13が台紙14に固定されている。
【0019】
上記のフランジ固定材15は、フランジ部12及び台紙14から剥離するために指先で摘む部分として、台紙14との接着部分16から張り出した突片部17を有している。各図において接着部分16は薄く着色して示されているが、この接着部分16は粘着剤を塗布してある部分とほぼ一致する。しかし突片部17にも粘着剤が付着しているので、フランジ部12の全周に及ぶ四角形の枠型の接着部分16から張り出している、図示の突片部17には非接着部17aを設けている。突片部17は台紙14からも張り出すように、収容部11の左右2辺の延長上に2個並んで設けられており、例示の非接着部17aは紙片を突片部17の粘着剤面に接着している。
【0020】
上記の突片部17は、フランジ固定材15の剥離方向がフランジ12の方向にほぼ一致し、フランジ固定材15の幅の最小の位置で剥離するように誘導する切込み18、19を突片部17の内外の付け根に有している。外側の切り込み18は突片部17の付け根において内方へ切り込んであり、内側の切り込み19はフランジ固定材15の内側縁から外方へ切り込んであり、それぞれの延長線はほぼ一致している。
【0021】
次に第1の例の開封容易な収容器10の開封方法について、図2を参照して説明する。先ず、突片部17を指先で摘み、持ち上げるようにすると、フランジ固定材15を外側の切り込み18から破断させ、フランジ部12及び台紙14との接着から剥がすことができる。その際に切り込み18、19によりフランジ固定材15の剥離方向がフランジ部12の方向にほぼ一致するように誘導されることになる。なお図2Aでは、フランジ固定材15がその最小の幅方向に対し角度αを以って斜めに剥がされているように図示されているが、これは説明の便宜上であり、αが仮に45度とすれば、最小の剥離力の1.4・・・倍の力を必要とするが、本発明によれば剥離方向の誘導により最小の1.0の剥離力で済む。
【0022】
かくして最小の剥離力でフランジ固定材15を、もう一方の切り込み18、19まで容易に剥がすことができ、よって、四角形の枠型の三辺が剥がされるので、覆い部材13を台紙14から離すことができ、図示していない内部の物品を取り出すことができる。図3の状態である。この状態において、フランジ固定材15は、内側切り込み部19においても完全に切り離され、取り去ることができ、一方、覆い部材13は、四角形の枠型の一辺において、固定材残部15aによって、台紙14につながっている。
【0023】
図4は、第1の例の開封容易な収容器10に適用可能な変形例のフランジ固定材15′を示しており、これは外側の切り込み18だけを突片部17の付け根に内方へ向けて形成し、内側の切込みを形成していない点で図1のものと相違する。このようにすると、フランジ部12が、内側の切込みによって切断されず、フランジ固定材15の四角形の枠型の四辺全部を連続して剥がすことができるので、覆い部材13を台紙14から完全に分離することができる。
【0024】
突片部17は以下のような方法によって形成することができる。図5に、フランジ固定材15を形成する方法の一例を示す。この方法は、供給される連続したフィルム20にプレス刃型を用いて、覆い部材13が配置される開口21と、切り込み18を打ち抜き、さらに、フィルム20から分離するミシン目状分離部22において外形を打ち抜く方法に関するもので、この方法は、後述するような自動包装機でフランジ固定材15、15′の接着を行なう場合に適しており、あらかじめ一定の間隔で打ち抜かれてボビンに巻かれているフィルムを使用する方法と、自動包装機で一定間隔に打ち抜きながら包装も共に実施する方法に適用することができる。図5に示す例では横長の粘着シート材料20の一側面を所定の幅で折り返して打ち抜き、突片部17の折り返し部分に非接着部17aが重なるようにして粘着剤塗布面15bに接着する。その2は、普通紙やプラスチックフィルムの小片を粘着シート材料20の裏面に貼って打ち抜く方法であり、打ち抜く代わりに小片を突片部17に貼っても良いことは前述の通りである。その3は、横長の粘着シート材料20に突片部17を長めにして打ち抜き、後から長めの端部を折り返して非接着部17aを形成する方法である。その4は、粘着シートの基材に粘着剤をコーティングする工程において、非接着部17aに相当する部分を除いて塗布する方法である。本発明においては、上記の内のどの方法を適用することも可能である。
【0025】
例1に示した本発明に係る開封容易な収容器10は、図6に示すように、台紙14に物品24を配置し、その上から覆い部材13を被せ、さらにフランジ固定材15を被せるように配置した状態を示す分解図であり、それらは、図7、図8に示した自動包装機によって接着され、収容器10となる。図7は、受け板23に載って台紙14が供給され、その上に配置された物品24に覆い部材13が被せられ、そのフランジ部12とその周辺の台紙14に、1個ずつ分離されているフランジ固定材15を供給する状態を示す。この自動包装機において、加圧部材25は、フランジ部用と台紙部用の個別昇降可能な構成から成り、上部から降下させてフランジ固定材15を、フランジ部12とその周辺の台紙14に個別に加圧接着するようになっている。
【0026】
図8は、連続したフィルム20の開口21に合わせて、物品24の挿入されている覆い部材13を嵌め込み、受け板26の位置にて、下部に位置する上記と同様の加圧部材27を上昇させて加圧接着する方法の例示である。台紙14は大きいので、別の真空吸着装置やリンクチェーンなどを用いて加圧部材27、27の上方の定位置にセットするが、その定位置にはミシン目状分離部22より少し大きい穴28aを開けかつ離型能力を高めるため表面にフッ素樹脂加工したエンボス加工板28を配置して、台紙14と粘着シートを隔離し、ミシン目状分離部22よりも外側の粘着剤塗布面15bが台紙14に接着しないように構成されている。
【0027】
加圧部材27を上昇させて、フランジ固定材13を台紙14に加圧接着することにより固定し、フィルム20を押さえるとともに、受け板26を上方または側方に移動し、台紙14を持ち上げれば、ミシン目状分離部22においてフィルム20から切り離され、本発明の開封容易な収容器10として完成する。この後、完成品を供給方向の横へ移動させ、次の覆い部材13をセットしたフィルム20を所定位置に搬送し、さらに台紙14を同様に所定位置にセットして、上記の工程を繰り返すようにする。この方法は図8のみならず図7の装置についても適用される。また、加圧部材27で加圧接着中に、フィルム20を加圧部材側に移動させ、ミシン目状分離部22にて切り離すことも容易である。図7、8において、29、29′は加圧部材基板、29a、29′aは緩衝材を示す。
【0028】
さらに、フランジ固定材の変形例について説明する。図9は、円形の覆い部材33に円形のフランジ固定材35を適用して、覆い部材33を台紙34に取り付けた本発明の第2の例の開封容易な収容器30を示している。この例2のものでは、円の半径程度の間隔をおいて、台紙34との接着部分36から張り出させて設けた突片部37を有している。なお、31は円形の収容部、32はフランジ部、38は切り込みを示す。この図例から明らかなように、本発明の開封容易な収容器は、どのような物品に対しても適用できることが分かる。
【0029】
図10は、第1の例のものの変形例であり、フランジ部12との接着部分16から張り出した突片部17′を台紙14上に配置し、台紙外部に張り出さないようにした第3の例を示す。台紙14の外部に張り出す突片部17では、販売のために陳列している間にいたずらにより剥がされる恐れがあるが、この例のようにすることでその恐れが低減する。本例の収容器10′の場合、突片部17′が台紙14に接着しないように加圧部材形状を加工することは言うまでもない。他の構成については図1の符号を援用し、詳細な説明を省略する。
【0030】
図11は、例1のものにおける打ち抜き型のフランジ固定材に変えて、容易に入手可能な粘着シートより成る一定幅の巻きテープを使用する第4の例を示す。この例では、平面形状が四角形の収容部41のフランジ部42を台紙44に固定するために、直線状のテープを四角形の枠型に組み合わせてフランジ部42の全周に及ぶ四角形のフランジ固定材45を構成するようにしたもので、43は覆い部、46は接着部分、47は突片部、48は切り込みを示す。この例は、直線状のフランジ部を有する覆い部の場合に好適であり、普及している自動包装機を、テープ状のフランジ固定材51(図15等参照)を供給する装置が取り付けられるように少しだけ改造したものを使用して、本発明に係る収容器40を製造することができる。また、フランジ固定材15を打ち抜きによって形成する図1の例に比較して、打ち抜いた残りが無駄になるということもないので特に経済性に優れている。また、要求される密閉度など使用目的に応じてテープの種類を容易に変更することができる利点もある。
【0031】
テープ状のフランジ固定材51としては、その密閉度や使用目的により、粘着シート材料を接着しやすいものやそうでないものを選定し組み合わせることにより多様な固定態様を実現することができる。その場合一箇所の突片部47から剥がして一周全部を剥がしたいときには、接着しやすいタイプのフランジ固定材45を使用する。逆にフランジ固定材45として接着しにくいタイプの粘着シートを使用した場合には、重なった部分の接着が弱く、一方の突片部47から剥がして行っても他方の粘着シートは剥がされずに残り、残った重なり部分は横方向の突片部として利用することができる。
【0032】
図12は、粘着シートより成るテープ状のフランジ固定材45′を使用して、四角形の収容部41′を有する覆い部43′のフランジ部42′の三方向にて、台紙44′に接着した本発明の収容器40′の第5の例を示す。他の構成については図11の場合と同様で良いので、符号を援用し詳細な説明は省略する。この例は、挿入される物品が密封性を必要としないが、吊り下げ状態において埃が上から進入するのを防ぐ必要があるような物品について、好適に使用される。
【0033】
図13は、粘着シートより成るテープ状のフランジ固定材45″を使用して、四角形の収容部41″を有する覆い部43″のフランジ部42″の左右の並行する方向にて、台紙44″に接着した本発明の収容器40″の第6の例を示す。他の構成については図11の場合と同様で良いので、符号を援用し詳細な説明は省略する。本例のものは細長い物品の包装に適しており、前2例では、一般に普及している自動包装機を、前記のように少しだけ改造したものを使用して、覆い部材の台紙に対する取り付けを行なう場合、縦方向を接着した後直角方向に送り方向を変更して別の包装機で横方向を接着するか、或いは、物品を90度回転させて再度テープ状のフランジ固定材を接着する必要があるが、本例によればその必要がなく、縦方向のフランジ部42″のみフランジ固定材45″を用いて接着すればよいので、包装機も単純なもので済む。
【0034】
図14は、第6の例の変形例であって、粘着シートより成るテープ状のフランジ固定材45″を使用して、四角形の収容部41″を有する覆い部43″のフランジ部42″の左右の並行する方向にて、台紙44″に接着した構成を有しているが、突片部47が剥がされてしまうことを防止する対策を講じたものである。本例の収容器40″は突片部47の外方の端部に剥離補助片47aを介して接着部分47bを設けて折り、他の構成は図13の例と同様である。
【0035】
図15以下は、粘着シートより成るフランジ固定材51を用いて本発明の開封容易な収容器50を製造する自動包装機による作業の一例を示している。各図中、一番右はセット工程、次いで接着工程、その後は切断工程である。フランジ固定材51は、覆い部材53の両側のフランジ部に張るために、加圧部材52も図の手前側と向こう側に配置されており、中央の接着工程に位置する覆い部材53は加圧部材52に隠され見えていない。加圧部材52でフランジ固定材51を加圧している間に、前工程の受けガイド56a、56bに覆い部材53と台紙54をセットしておく。また、加圧部材52にフランジ固定材51が接着されないように、フランジ固定材51をガイドするために、非接着性の構造を備えたガイドベルト57が加圧部材52の下部に配置されている。
【0036】
粘着シートより成るテープ状のフランジ固定材51がガイドローラー58を経て送られると、図8において説明したのと同様な手順で、物品24の挿入されている覆い部材53を嵌め込み、接着工程にて、下部に位置する加圧部材52を上昇させてフランジ部と台紙に対して加圧接着を行う。加圧接着作業が終わると加圧部材52は下降し、受けガイド56a、56bが1ピッチ分進行して、覆い部材53を次工程の切断工程へ運び、その進行に伴いフランジ固定材51がリールから引き出され、進行停止と共にカッター59aが受け板59b方向へ上昇し、蓋い部材53の後側に、突片部を余らせてフランジ固定材51を切り離す作業が行われる。図16の状態である。
【0037】
その後、カッター59aが受け板59bから離れる方向へ下降し、フランジ固定材51の加圧接着工程が終了する。これにより、本発明の開封容易な収容器50を得る。同時にガイドローラー58逆転し、フランジ固定材51の先端を、接着工程に配置されている覆い部材53の先端まで引き戻す。上記逆転の停止後、加圧部材52が上昇し始め、非接着部17aの紙片を自動的に所定位置にセットし、また、前工程位置には、次の覆い部材53、台紙54等をセットすることとなる。図17の状態である。なお、得られた開封容易な収容器50は、切断工程から前進したところで作業工程から取り外す。以上の作業が繰り返されるものであり、このようにして、一般に普及している自動包装機に僅かな改造を加えたものを使用して、本発明の開封容易な収容器を製造することができるものである。
【0038】
本発明の収容器によれば、粘着シートより成るテープ状のフランジ固定材15・・・を剥がすことで開封することができ、その際に台紙表面を一緒に剥がしてしまう恐れはないので、収容器の外観は損傷されることはなく、また開封に必要な力も小さくて済む。例えば、従来の覆い部材全周を台紙に接着した方式では、製造上、埃や湿気の侵入防止のためにミシン目を台紙に開けることはできないため、角から剥がす構造を取ることになり、必然的に斜めに剥離せざるを得なくなるが、この場合接着幅のルート2倍のさらに2倍になるから、接着幅を1として合計2.8倍を越える力が必要になり、角の内側が曲線の場合、さらには円形の場合には最大数倍の力を必要とするので、指に力の入らない老人や身体にハンディキャップを負う者にとっては、開封は不可能に近いものであった。しかし、本発明によれば、接着部分16・・・が直線か曲線かに拘らず、最初から最後まで1の力で済むので、前記のような非力の者でも的確に開封可能であり、また、密封性向上のために接着力を仮に2倍に設定しても、まだ従来の3分の2の力で開封することができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
従来はたとえ小ロットでも専用の熱ヒーターや包装機を用意する必要があるが、本発明の収容器の場合には、加熱用のヒーターを必要としないことは勿論、高額の包装機を使用せず、手作業でも加工することができ、これまで数量が少ないためにブリスター包装を諦めていた商品についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る開封容易な収容器の第1の例を示すもので、Aは正面図、Bは側面図、Cは下面図である。
【図2】同上の開封容易な収容器の開封方法を示すもので、Aは平面図、Bは側面図、Cは下面図である。
【図3】同じく開封後を示すもので、Aは正面図、Bは側面図、Cは平面図である。
【図4】同じく収容器に適用可能なフランジ固定材の変形例を示す平面図である。
【図5】同上のフランジ固定材の形成法の一例を示すもので、Aは平面図、Bは断面図である。
【図6】図1の収容器を示す分解斜視図である。
【図7】自動包装機によって本発明に係る収容器を形成する手段の一例を示す説明図である。
【図8】同じく本発明に係る収容器を形成する手段の他の例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る収容器の第2の例を示す正面図である。
【図10】同じく第1の例の変形例に当たる本発明の第3の例を示す正面図である。
【図11】本発明に係る収容器の第4の例を示す正面図である。
【図12】本発明に係る収容器の第5の例を示す正面図である。
【図13】本発明に係る収容器の第6の例を示す正面図である。
【図14】本発明に係る収容器の第6の例の変形例を示す正面図である。
【図15】本発明に係る収容器の製造工程におけるセット工程を示す説明図である。
【図16】同じく加圧接着工程を示す説明図である。
【図17】同じく切断工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10、30、40、40′、40″、50 開封可能な収容器
11、31、41、41′、41″ 収容部
12、32、42、42′、42″ フランジ部
13、33、43、43′、43″、53 覆い部材
14、34、44、44′、44″、54 台紙
15、35、45、45′、45″、51 フランジ固定材
16、36、46 接着部分
17、37、47 突片部
17a 非接着部
18、19、38、48 切り込み
20 フィルム
21 開口
22 分離部
23、26 受け板
24 物品
25、27、52 加圧部材
56a、56b 受けガイド
57 ガイドベルト
58a ガイドローラー
58b 逆転ローラー
59a カッター
59b 受け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を覆う収容部と収容部を囲む開口縁から外側へ張り出したフランジ部を有する覆い部材と、上記覆い部材をフランジ部にて固定する台紙とを有する収容器において、
フランジ部の一面を台紙表面に接触させた状態とし、フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に、フランジ部の方向に沿って、フランジ固定材を接着することにより、覆い部材の台紙に対する取り付けを行うために、
フランジ部の他面とその周囲の台紙表面に上記フランジ固定材を接着させるフランジ固定材として粘着シートを使用して加圧接着するものとし、
上記の接着しているフランジ固定材をフランジ部から剥離するために指先で摘む部分として、フランジ部との接着部分から張り出した突片部を上記固定用フィルムに設けた構成を有する開封容易な収容器。
【請求項2】
フランジ部は開口縁のほぼ全周に及んで設けられており、フランジ固定材もフランジ部のほぼ全周に及んで接着されている請求項1記載の開封容易な収容器。
【請求項3】
突片部は、フランジ固定材の剥離方向がフランジの方向にほぼ一致するように破断を誘導する手段となる切込みを付け根に有している請求項1記載の開封容易な収容器。
【請求項4】
フランジ固定材は、直線状の粘着シートより成る請求項1記載の開封容易な収容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−67454(P2009−67454A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239325(P2007−239325)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(393009161)株式会社藤村工業 (6)
【Fターム(参考)】