説明

開封検出装置

【課題】本発明は確実に封印を破ったことを知ることができ、さらに封印を破った時刻も知ることのできる開封検出装置を提供しようとするものである。
【解決手段】本発明は以上のような課題を解決するため、フレキシブル基板によってショートされる一対の端子5、5’を有し、この一対の端子5、5’間をショートするまで乱数を所定時間毎に発生し、一対の端子間をショートするとその時点で発生している乱数を表示し、一対の端子間のショートが切断されるとその切断された時刻を記憶するとともに一対の端子5、5’間を再びショートするまで乱数を所定時間毎に発生し、一対の端子5、5’間が再びショートするとその時点で発生している乱数を表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばパチンコ台や輸送用コンテナなどを施した封印を不正な手段で開封したことを検出する開封検出装置に関するもので、特に安価で量産性の高いものを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
開封検出装置は封印を行う現場で使いやすく、また開封の検出が確実で、不正な手段で検出を糊塗ことができないようにする必要がある。つまり例えばパチンコ台の封印に用いる場合、一軒の遊技場に100台を超えるような台が設置されることは珍しくなく、そのように多数の台の封印を行うためには安価でかつ容易に用いることができなければならない。またパチンコ台の裏側という限られた空間に設置するために小型でなければならない。
【0003】
また、輸送用コンテナの封印に用いる場合にも、多くの台数の封印を短時間で行う必要があり、さらに使用される現場は屋外であることも多く、当然雨天や荒れた天候の場合にも用いる必要があるため、取り扱いが容易でなければならない。
【0004】
このような開封検出装置として、小型でより安価なものの開発が求められている。このような技術として例えば特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2006−24874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたものは、封印装置に関するもので帯状のフレキシブルプリント基板で封印を行い、このフレキシブルプリント基板が切断されたことを検出して封印が破られたことを認識するようにしたものである。
【0006】
そしてさらに、段落0048に開示されているように、一旦切断された場合に再び接続しても「開封された」と表示するようにしたものである。
【0007】
しかし特許文献1に記載のものは、いつ開封されたのか判定できず、出荷前に開封されたのか、輸送の途中に開封されたのか、或いは着荷後に開封されたのか分からないという問題がある。
【0008】
本発明は簡単な構造で、開封された時刻を検出することができ、例えば商品の流通過程のどの段階で開封されたのか知ることができる。このために、例えば出荷前に開封されたのであれば、製造者は自社内に不正を働く者が居たことを推測でき、輸送の途中で開封されたのであれば運輸業者の中に不正を働く者が居たことを推測でき、納品後に開封されたのであれば発注者の中に不正を働く者が居たことを推測できる開封検出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明は以上のような課題を解決するため、導線によってショートされる一対の端子を有し、この一対の端子間をショートするまで乱数を所定時間毎に発生し、一対の端子間をショートするとその時点で発生している乱数を表示し、一対の端子間のショートが切断されるとその切断された時刻を記憶するとともに一対の端子間を再びショートするまで乱数を所定時間毎に発生し、一対の端子間が再びショートするとその時点で発生している乱数を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の開封検出装置は上記の如く構成したので、一対の端子をショートする導線を封印すべき部分に通しておくと、封印を破る場合には導線を切断する必要がある。ここで新しい導線を用意し再び導線で端子間を接続しても、表示されている乱数は最初の乱数と異なる。よって、最初の乱数を使用者がメモしておくと、異なった乱数に気付き、開封されたことが判別できる。
【0011】
また、導線が切断された時刻が記憶されているため、その記憶した時刻を読み出すと、出荷から発注者までの間のどこで切断されたのか判別することができる。これは、流通過程だけでなく、例えばパチンコ台の様に不正に操作が加えられることを防止しなければならないような装置の場合、いつ不正に封印が破られたか、検出できることは不正を行ったものを特定する上で重要な情報となる。
【0012】
最初に表示された乱数と不正に封印を破ったのちに再び導線を接続した場合に表示される乱数とは互いに比較され、同じ乱数が表示されないようにしているため、確実に開封を検出することができる。
【0013】
最初に表示された乱数や封印が破られた時刻は特定の操作によって、はじめて表示されるようにしているため、不正を行った者にとってそのような記録があることが分からず、逃亡や証拠隠滅などがなされるという問題がなくなる。
【0014】
さらに封印の操作に関して、本体に設けられた挿入口にフレキシブル基板の端を挿入し、ロックピンを押し込むだけの操作であるため、きわめて容易な操作であり、大量の対象物に封印用行う場合にも容易にすることができる。
【0015】
またフレキシブル基板は一対の端子に確実に接続されなければならない。ここで本体に設けたフレキシブル基板挿入口を、フレキシブル基板が貫通できる状態にしておけば、フレキシブル基板の端部が貫通したことを確認してロックピンを押し込めば、確実に端子とフレキシブル基板とが接続できる。
【実施例1】
【0016】
以下本発明の開封検出装置及びその製造方法の実施例について図に沿って詳細に説明する。図1は本発明の開封検出装置の外観示す斜視図である。1は本体であり、2は導線として機能するリボン状のフレキシブル基板である。3、3’は本体1に設けられたフレキシブル基板挿入口であり、フレキシブル基板端部4が貫通することができるように構成される。
【0017】
図2は開封検出装置の内部を示す断面図である。図2はフレキシブル基板2を通す前の状態を示す。5、5’は一対の端子であり、楔状のロックピン6、6’を本体に押し込むことによって、端子5、5’の先端が矢印A、A’方向に押され、端子5、5’の先端に設けた鋸歯状部7、7’がフレキシブル基板2に喰い込み、フレキシブル基板2に形成された銅箔と確実に導通がとれるようになる。
【0018】
8は表示部であり、4桁〜8桁程度の数字が表示可能な液晶パネルである。また表示部8の裏面側にはマイクロコンピュータを備えた電子回路が設けられている。
【0019】
図3は電子回路の例を示す。9はマイクロコンピュータであり、この出力信号で表示部に乱数や時刻が表示される。またマイクロコンピュータ9の動作を特定するプログラムが読み出し専用メモリ10(以下「ROM」と書く)に格納され、マイクロコンピュータ9とバス・ラインを介して接続されている。
【0020】
11はフラッシュ・メモリ(以下「フラッシュ」と書く)であり、乱数のデータや時刻データを記憶するものである。また端子5、5’もマイクロコンピュータ9に接続されており、これによってマイクロコンピュータ9は端子5、5’間のショートや切断を検出する。
【0021】
図4はマイクロコンピュータ9の動作を示すフローチャートである。先ず電源を入れるとステップ1で次々に乱数を発生させる。ステップ2で端子5、5’がショートされたか監視する。つまりフレキシブル基板2が本体1の基板挿入口3、3’に挿入され、ロックピン6、6’が押し込まれて端子5、5’の先端に設けた鋸歯状部7、7’がフレキシブル基板2に喰い込み、端子5、5’がフレキシブル基板2によってショートされたか否かを監視する。
【0022】
端子5、5’がフレキシブル基板2によってショートされなかった場合は、ステップ1に戻り、乱数の発生を維持する。ショートされた場合は、ステップ3に進み、ショートされた時に発生している乱数をフラッシュ11に格納する。
【0023】
これによって封印作業が終了し、以降は不正の監視作業に継続的に入る。つまりステップ4でフレキシブル基板2が切断され、端子5、5’の間が切断されたか監視する。端子5、5’の間が切断された場合にはステップ5へ進み、乱数を発生させる。
【0024】
そして、この時点での時刻即ち、切断された時刻と、その時の乱数とをステップ6でスラッシュ11に格納する。つぎにステップ7で端子5、5’がショートされた時、つまり封印がなされた時に格納された乱数と、フレキシブル基板2が切断された時の乱数とを比較し、それぞれが一致していた場合にはステップ5へ戻り再び乱数を発生させ、これを両者が不一致になるまで繰り返す。
【0025】
これによって封印がなされた時に格納された乱数と、封印が破られたときに格納された乱数とが互いに異なるものとなる。以上の操作で一連の封印の解除の監視操作を終了する。
【0026】
フラッシュ11に格納された乱数や時刻のデータは表示部8を用いて表示させ、封印が破られたか、あるいは破られていないか、破られたていたら、その時刻を知ることができる。
【0027】
以上の実施例では、フレキシブル基板2が切断された事を端子5、5’との導通によって検出するようにしているが、これ以外にも例えばフレキシブル基板2に代えて光ケーブルを用い、端子5、5’に代えて発光ダイオードとフォトトランジスタの組み合わせ(一般に市販されているため説明を略す)を用いることもできる。この場合、光ケーブルに通す光はパルス状にすることによって消費電力を削減でき、電池寿命を長くできる。
【0028】
さらに光ケーブルに通す光を赤外線や紫外線などの可視光以外の光にすると、不正を働く者には、光が通っていることが認識できず、セキュリティの効果が高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、封印を破った場合には、例え再び封印を行っても、一旦破られた事が容易に判別でき、また封印を破った時刻まで知ることのできる開封検出装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明の開封検出装置の全体を示す斜視図である。
【図2】 本発明の開封検出装置の断面図である。
【図3】 本発明の開封検出装置の回路ブロック図である。
【図4】 本発明の開封検出装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 フレキシブル基板
3、3’ 基板挿入口
4 フレキシブル基板端部
5、5’ 端子
6 ロックピン
7 鋸歯状部
8 表示部
9 マイクロコンピュータ
10 ROM
11 フラッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線によって接続される一対の端子を有し、前記一対の端子間を接続するまで乱数を所定時間毎に発生し、前記一対の端子間を接続するとその時点で発生している乱数を表示し、前記一対の端子間の接続が切断されるとその切断された時刻を記憶するとともに前記一対の端子間を再び接続するまで乱数を所定時間毎に発生し、前記一対の端子間が再び接続するとその時点で発生している乱数を表示するようにしするようにした開封検出装置。
【請求項2】
最初に表示された乱数と、再び一対の端子間が接続された時点で発生している乱数とを比較し、その両者が一致している場合には再度乱数を発生させて別の乱数を表示するようにした請求項1記載の開封検出装置。
【請求項3】
線として導線であり、端子間の接続とは前記導線によってショートされることを意味する請求項1或いは請求項2記載の開封検出装置。
【請求項4】
一対の端子をショートする導線として、フレキシブルプリント基板を用いた請求項1記載の開封検出装置。
【請求項5】
線として光ケーブルであり、端子間の接続とは前記光ケーブルによって端子間に光導通されることを意味する請求項1或いは請求項2記載の開封検出装置。
【請求項6】
所定の操作に応じて記憶した時刻を表示するようにした請求項1から請求項5の何れかに記載の開封検出装置。
【請求項7】
最初に表示された乱数を記憶するようにし、所定の操作に応じてその乱数を表示するようにした請求項1から請求項5の何れかに記載の開封検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−84992(P2009−84992A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284368(P2007−284368)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(505038070)
【出願人】(507361147)