説明

開封検知ラベル

【課題】被着体に貼付して封印した後の脱落を防止でき、かつ、不正に開封されたことを確実に検知できる開封検知ラベルを提供する。
【解決手段】開封検知ラベル1は、ラベル基材2と、ラベル基材2より若干大きくラベル基材2の表面に擬似接着層9を介して貼付された剥離シール3と、ラベル基材2の裏面に粘着層5を介して貼付された剥離紙4とから構成されており、ラベル基材2に、長手方向中央に粘着性を有する粘着部6と、長手方向両端に粘着性を有しない非粘着部7と、粘着部6と非粘着部7の境界にラベル基材2を分断する切り取り線8とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に貼付して封印した後、不正に開封された事実を検知するための開封検知ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宅配業者が利用者の自宅に食材等を配達する宅配サービスが行なわれている。このサービスでは、利用者が不在であった場合に、宅配業者のドライバーが食材を入れた保冷ボックスを玄関先などの指定場所に置き、容器と蓋の境目に封印シールを貼り付けている。これにより、利用者の不在時に第三者が勝手に保冷ボックスを開けて中身を盗んだりいたずらをしたりするのを防止している。
【0003】
このような用途に利用されるシールとして、例えば特許文献1に開示された開封防止シールが知られている。この開封防止シールは、半透明の薄いシールの表面に紙を圧着した2枚構造を有しており、シールを貼付した後で容器の蓋を無理に開けようとすると、表面の紙が破れて開封を検知することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3075738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来の開封防止シールは、剥がす際に指で摘めるように1枚目の紙の方が2枚目のシールよりも大きくなっている。このため、シールを容器に貼付した時に1枚目の紙の周囲が容器から浮いた状態になり、この部分が他の物に引っ掛かった場合にはそこからシールが剥がれ落ちてしまう恐れがある。また、このような剥がれ落ちを防ぐために、例えば1枚目の紙と2枚目のシールを同じサイズにした場合には、紙とシールを同時に剥がすことが可能になる。このため、両者を同時に剥がした後に貼り直すことができ、不正に開封されたことが分からなくなってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、被着体に貼付して封印した後の脱落を防止でき、かつ、不正に開封されたことを確実に検知できる開封検知ラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る開封検知ラベルは、ラベル基材と、ラベル基材より若干大きくラベル基材の表面に擬似接着層を介して貼付された剥離シールと、ラベル基材の裏面に粘着層を介して貼付された剥離紙とから構成されており、ラベル基材に、長手方向中央に粘着性を有する粘着部と、長手方向両端に粘着性を有しない非粘着部と、粘着部と非粘着部の境界にラベル基材を分断する切り取り線とが設けられていることを特徴とする。このような構造によると、剥離紙を剥がせば粘着部によって被着体に貼付することができ、剥離シールを剥がすとラベル基材が切り取り線を介して粘着部と非粘着部に分断され、開封検知部として機能する。
【0008】
また、本発明に係る開封検知ラベルにおいて、切り取り線が、ラベル基材をカットしたカット部と、ラベル基材をカットしないアンカット部とから構成されていると、剥離紙を剥がす際に粘着部と非粘着部とが不用意に分断されないように繋ぎ止めておくことができるので好ましい。
【0009】
更に、本発明に係る開封検知ラベルにおいて、非粘着部の一部に、粘着性を有する粘着部が設けられていると、被着体に貼付した時にラベル基材の端部の浮き上がりを無くすことができるので好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る開封検知ラベルによれば、被着体に貼付されるラベル基材が剥離シールとほぼ同一サイズであるため、剥離シールが被着体から浮いた状態にならず剥がれ落ち難くなるので、被着体に貼付して封印した後の脱落を防止することができる。また、本発明に係る開封検知ラベルによれば、剥離シールを剥がすとラベル基材が切り取り線を介して粘着部と非粘着部に分断されて元通りに戻すことができなくなるので、不正に開封された事実を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る開封検知ラベルの外観図で、その一部を破断して示したものである。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】開封検知ラベルをラベル基材の裏面側から見た拡大平面図である。
【図4】開封検知ラベルを保冷ボックスに貼付した時の状態を示した説明図で、(a)はその外観図、(b)はその断面図である。
【図5】保冷ボックスに貼付された開封検知ラベルから剥離シールを剥がした時の状態を示した説明図で、(a)はその外観図、(b)はその断面図である。
【図6】保冷ボックスに残されたラベル基材を剥がす時の状態を示した説明図で、(a)はその外観図、(b)はその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明に係る開封検知ラベルを宅配サービスで使用する封印シールに適用した例を示している。このシールは、宅配業者のドライバーが利用者の自宅に食材を配達した際、不在の場合に食材を入れた保冷ボックスに貼り付けておくことによって、利用者以外の第三者が勝手に保冷ボックスを開けないように封印するためのものである。本実施形態ではドライバーによる使用時の作業効率を考慮して、所定サイズの連続用紙の上に、短冊状に形成した複数枚の開封検知ラベル1,1,…が隣接して設けられている。各々の開封検知ラベル1は、ラベル基材2と剥離シール3と剥離紙4から構成された3枚構造になっている。以下その各部の構成を詳細に説明する。
【0014】
ラベル基材2は、開封時に一部が被着体に貼り付いたまま残り、その表面に印刷された情報により開封されたことを知らせる表示部として機能する部分である。ラベル基材2の素材は印刷可能なものであれば特に限定されず、例えば上質紙、アート紙、コート紙等の各種紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の各種樹脂フィルムを使用することができる。ラベル基材2の表面には開封を表示する情報として、ここでは「開封済」の文字が印字されているが、印字する情報はその他の文字であっても良く、あるいは文字に限らず図形や記号であっても良い。
【0015】
図2に示すように、ラベル基材2の裏面には粘着層5が設けられている。粘着層5は例えばゴム系、アクリル系、ホットメルト系、シリコーン系等の各種粘着剤をラベル基材2の裏面に均一に塗布して形成されるが、この中でも特に紙タックに使用されるアクリル系エマルジョン型粘着剤が好適である。ただし、その粘着剤は、ラベル基材2を被着体に貼り付けた後で剥がせるようにするのが好ましい。
【0016】
図3に示すように、開封検知ラベル1をラベル基材2の裏面側から見ると、長手方向中央に設けられた粘着部6と、長手方向両端に設けられた非粘着部7との2種類の領域に区画形成されている。
【0017】
粘着部6はラベル基材2を被着体に貼付するために粘着性を有する部分であり、非粘着部7はラベル基材2を剥離紙4や被着体から剥がれ易くするために粘着性を有しない部分である。このうち、非粘着部7は粘着層5の接着力を封じる糊殺し加工を施したものであり、剥離紙4の表面にニスや印刷インキを塗布した後ラベル基材2に貼り合わせることにより、粘着層5の上にニスや印刷インキを転写させて粘着面を被覆してある。また図示しないが、非粘着部7の構成としては粘着層5を被覆するもののほか、ラベル基材2に粘着剤を塗布しない非塗布部を設ける構成や、ラベル基材2に剥離剤を塗布した剥離層を設ける構成を採用することもできる。なお、非粘着部7の一部には、粘着層5を被覆せずに粘着部6を点糊状に露出させた状態で残してあるが、これは被着体に貼付した時にラベル基材2の端部の浮き上がりを無くすためである。
【0018】
粘着部6と非粘着部7との境界部分には、ラベル基材2を分断する切り取り線8が設けられている。この切り取り線8は、本実施形態ではラベル基材2を貫通するようにカットしたカット部8aと、カット部8aの途中に配置したラベル基材2をカットしないアンカット部8bとから構成されている。この切り取り線8は、被着体から剥がした時にラベル基材2を粘着部6と非粘着部7とに分断することによって、開封されたことを知らせる開封検知部として機能する。なお、カット部8aの途中にアンカット部8bを配置した理由は、剥離紙4を剥がす際に粘着部6と非粘着部7とが不用意に分断されないように繋ぎ止めておくためである。
【0019】
ラベル基材2の表面には剥離シール3が貼付されている。剥離シール3は、開封検知ラベル1を被着体から剥がし取る際にラベル基材2から剥離される部分であり、本実施形態では剥がした後に再度貼り付けることを禁止するため、ラベル基材2に擬似接着されている。剥離シール3もまた印刷可能なものであればその素材は特に限定されず、ラベル基材2と同じものを使用することができる。ただし、ラベル基材2の全体を完全に隠蔽するように、剥離シール3は、その幅寸法と長さ寸法がそれぞれラベル基材2よりも若干大きめのサイズに形成されている。
【0020】
また、剥離シール3を擬似接着する構成として、剥離シール3は擬似接着層9を介してラベル基材2の表面に貼付されている。擬似接着層9は、例えば天然ゴム系あるいは合成ゴム系の感圧糊等からなる擬似接着剤を塗布して形成することができる。なお、擬似接着層9は剥離した後再貼付できないものであれば良く、上記のような擬似接着剤を塗布する構成に代えて、透明樹脂フィルム同士を熱圧着した、いわゆるオープンタイプフィルムにより構成しても良い。
【0021】
ラベル基材2の裏面には剥離紙4が貼付されている。剥離紙4は、使用時までラベル基材2と剥離シール3を保持しておく台紙として機能する部分である。剥離紙4は、その表面全体にシリコーン系剥離剤を塗布した剥離処理が施されており、ラベル基材2の裏面に剥離可能に貼付され、保管時に粘着面を保護するとともに、使用時にラベル基材2から剥剥がされる。なお、使用時の剥がし易さを考慮して、剥離紙4は剥離シール2よりも大きいサイズになっている。
【0022】
以上が本発明に係る開封検知ラベル1の構成であるが、以下その使用方法について説明する。
【0023】
まず図4に示すように、宅配業者のドライバーが利用者の自宅に食材を配達した際、利用者が不在の場合には食材を保冷ボックス10の容器11に入れ、容器11と蓋12の境目に開封検知ラベル1を貼付して封印する。このとき、ラベル裏側の剥離紙4を剥がし取ってから貼付するが、ラベル基材2の長手方向両端には剥離時の切っ掛けとなるように、粘着性を有しない非粘着部7が設けられているので、ラベルの上下どちらからでも簡単に剥離紙4を剥がすことができる。また、ラベル基材2の切り取り線8には、粘着部6と非粘着部7を繋ぎ止めておくアンカット部8bが設けられているので、剥離紙4を剥がす時に粘着部6と非粘着部7とが不用意に分断されることがない。したがって、ドライバーが開封検知ラベル1を貼り付ける際に、手袋をしたままでも作業することができて取り扱いが便利である。
【0024】
保冷ボックス10に貼付された開封検知ラベル1は、ラベル基材2が剥離シール3によって完全に隠蔽されているため、外部から見た時に剥離シール3とラベル基材2の二重構造になっていることに気付かれ難い。また、ラベル基材2が剥離シール3とほぼ同一サイズであるため、剥離シール3が保冷ボックス10から浮いた状態にならず、しかもラベル基材2の両端は点糊状に残した粘着部6によって接着されている。このように、貼付した開封検知ラベル1が剥がれ落ち難くなっているので、保冷ボックス10から開封検知ラベル1が脱落するのを防止することができる。
【0025】
ところで、保冷ボックス10に貼付された開封検知ラベル1からラベル基材2と剥離シール3を同時に剥がせてしまうと、保冷ボックス10を開封した後でも再度貼り付けることができるので好ましくない。その点、本実施形態では、図5に示すように剥離シール3とラベル基材2がほぼ同一サイズであり、剥がす際には両者を指で摘むことになる。しかもラベル基材2の両端には非粘着部7が設けられており、この非粘着部7は粘着性を有していないため、ラベル基材2が擬似接着層9により剥離シール3に貼り付いたまま剥がされる。
【0026】
これに対し、ラベル基材2の中央には粘着部6が設けられており、この粘着部6の接着力は擬似接着層9の接着力より強いため、剥離シール3だけが剥がされる。このとき、粘着部6と非粘着部7の境界にある切り取り線8のアンカット部8bが切断され、ラベル基材2が粘着部6と非粘着部7とに分断される。したがって、利用者が保冷ボックス10を開封して中身を取り出す時に、図5に示すように保冷ボックス10に剥離シール3が無く、ラベル基材2の「開封済」の文字が見えている場合には、誰かに不正に開封されたことが分かるようになっている。
【0027】
このように、保冷ボックス10に貼付された開封検知ラベル1は、剥がそうとするとラベル基材2が粘着部6と非粘着部7とに分断されてしまう。そして、いったん分断されたラベル基材2は繋ぎ合わせることができず、しかも剥がされた剥離シール3の裏面の擬似接着層9は接着力を有していない。このため、剥離シール3を剥がした後、擬似接着層9によってラベル基材2に再貼付することができないので、保冷ボックス10に開封検知ラベル1を元通りの状態に戻すことは不可能である。したがって、本実施形態の開封検知ラベル1によれば、保冷ボックス10から剥離シール3を剥がし取った後に貼り直すといった悪質な行為も防止することができる。
【0028】
なお、使い終わった保冷ボックス10は、宅配業者によって回収される。このとき、図6に示すように、ラベル基材2の粘着部6は、粘着層5を介して剥離可能に貼り付いており、粘着部6の四隅には剥離時の切っ掛けとなるコーナーカットが形成される。これにより、上下のどちらからでも簡単にラベル基材2を剥がすことができ、剥がした後の保冷ボックス10の表面には糊残りも起こらない。したがって、宅配業者はラベル基材2を剥がした後、保冷ボックス10を再利用することができる。
【0029】
以上の実施形態においては、開封検知ラベル1を宅配サービスで使用する封印シールに適用した例を挙げて説明したが、本発明の用途はこれに限られず、開封検知ラベル1を剥がした後の再貼付を防止する目的のものであれば同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…開封検知ラベル
2…ラベル基材
3…剥離シール
4…剥離紙
5…粘着層
6…粘着部
7…非粘着部
8…切り取り線
9…擬似接着層
10…保冷ボックス
11…容器
12…蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材と、ラベル基材より若干大きくラベル基材の表面に擬似接着層を介して貼付された剥離シールと、ラベル基材の裏面に粘着層を介して貼付された剥離紙とから構成されており、
ラベル基材に、長手方向中央に粘着性を有する粘着部と、長手方向両端に粘着性を有しない非粘着部と、粘着部と非粘着部の境界にラベル基材を分断する切り取り線とが設けられていることを特徴とする開封検知ラベル。
【請求項2】
切り取り線が、ラベル基材をカットしたカット部と、ラベル基材をカットしないアンカット部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の開封検知ラベル。
【請求項3】
非粘着部の一部に、粘着性を有する粘着部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開封検知ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−53578(P2011−53578A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204391(P2009−204391)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)