説明

開閉ドア機構とそれを備える遊技機

【課題】ドア部の開閉時に電気配線を挟んでしまうことがなく、プレイヤの目に触れたときであっても見栄えのよい開閉ドア機構とそれを備える遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機は、開閉ドア機構110を備え、開閉ドア機構110は、開口部111aを有する本体部111と、調光スクリーン70が固定され、メンテナンス時などに開閉するドア部112と、本体部111にドア部112を開閉自在に連結し、ドア部112を回転によって開閉するヒンジ機構を有する連結部113と、ドア部112とガイド部115とを接続する取り付け部材114と、湾曲した略筒形状のものであって、任意の方向に回転する回転軸115aを有し、一端がドア部112付近にあり、他端が本体部111の開口部111aに挿入されているガイド部115と、ガイド部115の内部を通り、調光スクリーン70と本体部111の内部とを結ぶ電気配線116などとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気配線を整理するのに好適な開閉ドア機構とそれを備える遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、開閉自在なドア部(遊技球供給部)に複数の電気部品を設け、その電気部品に接続された電気配線を1つに束ねることによって、電気配線の引き回し構造を整理することができるパチンコ機を開示している。
【0003】
しかし、特許文献1のものは、電気配線を束ねて整理しているものの、電気配線はむきだしになっているため、電気配線がたるんだ場合には、ドア部の開閉時に電気配線を不用意に挟んでしまったり、電気配線を断線してしまうおそれがあった。
【0004】
また、特許文献1のものは、電気配線が、プレイヤには目視できないように内部で整理されているので、外観は非常によいものであるが、トラブル時やメンテナンス時にドア部を開いた場合には、電気配線が丸見えとなってしまい、見栄えのよいものではない可能性もあった。
【特許文献1】特開2003−230731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ドア部の開閉時に電気配線を不用意に挟んでしまうことがなく、しかも、プレイヤの目に触れたときであっても見栄えのよい開閉ドア機構とそれを備える遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、開口部(111a)を有する本体部(111)と、電気部品(70)を実装したドア部(112)と、前記本体部(111)に前記ドア部(112)を開閉自在に連結する連結部(113)と、前記ドア部(112)と一体的に移動し、一端が前記ドア部(112)付近にあり、他端が前記本体部(111)の開口部(111a)に挿入され、前記ドア部(112)を最大限開いたときであっても他端が前記本体部(111)の内部にある略筒形状のガイド部(115)と、前記ガイド部(115)の内部を通り、前記電気部品(70)と前記本体部(111)の内部とを結ぶ電気配線(116)と、を備える開閉ドア機構である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の開閉ドア機構において、前記連結部(113)は、前記ドア部(112)を回転によって開閉するヒンジ機構であり、前記ガイド部(115)は、前記ヒンジ機構の回転中心付近に設けられていること、を特徴とする開閉ドア機構である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の開閉ドア機構において、前記ガイド部(115)は、前記開口部(111a)に挿入された状態で、前記ヒンジ機構の回転中心側が凹むように湾曲していること、を特徴とする開閉ドア機構である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の開閉ドア機構において、前記ガイド部(115)は、任意の方向に回転する回転軸(115a)を備えること、を特徴とする開閉ドア機構である。
請求項5の発明は、遊技機本体と、前記遊技機本体に設けられた請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の開閉ドア機構(110)と、前記電気部品(70)に含まれており、高分子液晶を用いて形成され、制御電圧によって透明度を変化させることができる調光スクリーンと、前記調光スクリーンに所定の画像を投射するプロジェクター(80)と、を備える遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)ドア部と一体的に移動し、ドア部を最大限開いたときであっても他端が本体部の内部にあるガイド部に電気配線を通したので、ドア部の開閉時には、電気配線はガイド部に保護されており、電気配線がドア部に挟まることはなく、断線もしない。
(2)連結部はヒンジ機構であり、ガイド部はヒンジ機構の回転中心付近に設けられているので、ガイド部がヒンジ機構の回転中心に近づくことによって、ガイド部の移動量を最小限に抑えられ、ガイド部を省スペースで設置できる。
【0008】
(3)ガイド部は、ヒンジ機構の回転中心側が凹むように湾曲しているので、ヒンジ機構の回転方向に沿って移動するようになり、さらなる省スペース化が図れ、開口部も小さくすることができる。
(4)ガイド部は、任意の方向に回転する回転軸を備えるので、回転が柔軟になり、移動も安定する。
【0009】
(5)透明度を変化させることができる調光スクリーンを備える遊技機に、開閉ドア機構を設けたので、調光スクリーンが透明の状態になり、開閉ドア機構がプレイヤの目に触れた場合であっても、電気配線がガイド部の内部に収まっているので、見栄えがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ドア部の開閉時に電気配線を不用意に挟んでしまうことがなく、しかも、プレイヤの目に触れたときであっても見栄えのよい開閉ドア機構とそれを備える遊技機を提供するという目的を、取り付け部材を介してドア部と一体的に設けられたガイド部に、電気配線を通すことにより実現する。
【実施例】
【0011】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による遊技機及び開閉ドア機構の実施例を示す図である。
本実施例による遊技機1は、ルーレットゲーム、ポーカーゲーム、スロットゲームなどの6人用のメダルゲームであり、タッチパネル型液晶モニター10と、料金徴収装置20と、メダルベンダー30と、機械式ルーレット抽選機40と、支柱50と、天盤60と、調光スクリーン(電気部品)70と、回転式プロジェクター80と、行灯90と、基台100と、開閉ドア機構110などとを備える。
【0012】
タッチパネル型液晶モニター10は、メインゲーム及びボーナスゲームの画像の表示に用いられるものであり、プレイヤは、画面上のゲーム選択画像をタッチして所望のゲーム選択や所望のゲーム操作を行う。
【0013】
料金徴収装置20は、メダルや遊技料金などを徴収する装置であり、例えば、ICチップ挿入口、メダル投入口、メダル払出ボタンなどが設けられ、メダルの真贋鑑定機、メダルカウンタ、ICチップリードライト装置などが内蔵されている。
【0014】
メダルベンダー30は、プレイヤがメダル払出ボタンを押したときに、プレイヤが獲得していたメダルを払い出すものである。
【0015】
機械式ルーレット抽選機40は、共通抽選機として用いられるものであり、いずれかのプレイヤがゲーム中に所定の条件を成就したとき、その使用権を獲得し、その抽選結果に応じて所定のメダルを払い出すものである。
【0016】
支柱50は、天盤60を支えるものであり、スピーカが内蔵され、各支柱50の間には、調光スクリーン70が設けられている。
【0017】
天盤60は、この遊技機1の上方を覆うものであり、底面には、回転式プロジェクター80が設けられ、側面には、行灯90が設けられている。
【0018】
調光スクリーン70は、2枚の3mmのアクリル板に挟まれた高分子液晶の膜と、その両側に設けられた透明度制御用の透明電極とを有し、制御電圧により、透明から半透明、完全遮光までの間で透明度が変えられるものである。
また、調光スクリーン70は、常時は透明であり、各プレイヤは、機械式ルーレット抽選機40を視認できるようになっているが、所定の条件が成就したときには、半透明になるように制御され、そのスクリーンに回転式プロジェクター80からの所望の映像を映写できるようになっている。
【0019】
回転式プロジェクター80は、天盤60の底面に、その中心線を軸として回転可能に取り付けられ、調光スクリーン70に所望の映像を投射する装置である。
【0020】
行灯90は、天盤60に内蔵され、ライトアップなどの視覚的な演出を行う照明器具である。
【0021】
基台100は、この遊技機1の土台となるものであり、上述したタッチパネル型液晶モニター10、料金徴収装置20、メダルベンダー30が設けられている。
【0022】
開閉ドア機構110は、遊技機本体の支柱50の上方部に設けられ、調光スクリーン70を開閉するためのものであり、ここでは、調光スクリーン70の透明電極と遊技機1の内部の電源とを接続する電気配線を整理する機能が付加されており、以下、詳細に説明する。
【0023】
図2は、開閉ドア機構110を示す図であって、図2(A)は、平面図、図2(B)は、斜視図である。
開閉ドア機構110は、本体部111と、ドア部112と、連結部113と、取り付け部材114と、ガイド部115と、電気配線116などとを備える。
【0024】
本体部111は、上述した遊技機1の支柱50であり、開口部111aを有する。
【0025】
ドア部112は、メンテナンスや清掃時、遊技中のトラブル発生時などに開閉する扉であり、取り付けビス112aによって、調光スクリーン70が固定されている。
【0026】
連結部113は、本体部111にドア部112を開閉自在に連結するものであり、また、ドア部112を回転によって開閉するヒンジ機構である。
【0027】
取り付け部材114は、ドア部112とガイド部115とを接続する「くの字」形状の部材であり、一端がドア部112に固定され、他端が連結部113側に伸びている。
【0028】
ガイド部115は、電気配線116を整理し、保護するものであって、任意の方向に回転する回転軸115aを介して、連結部113の回転中心付近の取り付け部材114の先端に設けられ、一端がドア部112付近にあり、他端が本体部111の開口部111aに挿入されている。
また、ガイド部115は、開口部111aに挿入された状態で、連結部113のヒンジ機構の回転中心側が凹むように湾曲した略筒形状のものである。
【0029】
電気配線116は、ガイド部115の内部を通り、調光スクリーン70の透明電極と本体部111の内部の電源とを結ぶものである。
【0030】
次に、開閉ドア機構110の動作について説明する。
図3は、開閉ドア機構110の開閉動作を示す図である。
ドア部112は、遊技中には、図3(A)に示すように、閉じられているが、トラブル発生時やメンテナンス時には、図3(B)に示すように、開けられる。
このとき、ガイド部115は、ドア部112に引っ張られ、ドア部112と一体的に移動するが、ドア部112を最大限開いたときであっても他端Aが本体部111の内部にある。
【0031】
次に、本実施例の遊技機1のゲーム進行について説明する。
図4は、遊技機1のゲーム中の様子を示す図である。
まず、図3(A)に示すように、プレイヤは、ゲームを開始する。メインゲーム中は、所定の条件が成就されると、そのプレイヤにはボーナスゲームを行う特典が与えられる。
【0032】
このとき、図3(B)に示すように、特典の獲得をプレイヤに告知するため、調光スクリーン70は半透明になるように制御され、そこに回転式プロジェクター80から、画像が投影される。
プレイヤは、投影された画像を見ながら、タッチパネル型液晶モニター10を用いてゲームを行い、ゲームに勝てば、所定のメダルが払い出される。
【0033】
また、図3(C)に示すように、他のボーナスゲームもある。このときは、回転式プロジェクター80は、旋回しつつ各プレイヤの調光スクリーン70に所定のゲーム画像を投射する。回転式プロジェクター80は、旋回速度を順次低下させ、いずれかのプレイヤの調光スクリーン70に向いて停止する。そのとき、画像が投射されていた調光スクリーン70のプレイヤが当たりとなり、所定のメダルが払い出される。
【0034】
このように、本実施例によれば、以下のような効果がある。
(1)ドア部112と一体的に設けられたガイド部115に電気配線116を通したので、ドア部112を大きく開閉しても、ガイド部115の他端側は、本体部111から出ることはなく、電気配線116は、常に、ガイド部115に保護されており、電気配線116がドア部112の縁や本体部111に挟まることはなく、根元で断線することもない。
(2)ドア部112に、取り付け部材114及びガイド部115を取り付ける簡単な構成としたので、安価であり、しかも、外観がよい。
【0035】
(3)連結部113はヒンジ機構であり、ガイド部115はヒンジ機構の回転中心付近に設けられているので、ガイド部115がヒンジ機構の回転中心に近づくことによって、ガイド部115の移動量を最小限に抑えられ、ガイド部115を省スペースで設置でき、より小さなガイド部115とすることができる。
(4)ガイド部115は、ヒンジ機構の回転中心側が凹むように湾曲しているので、ヒンジ機構の回転方向に沿って移動するようになり、さらなる省スペース化が図れ、開口部111aの切り欠きも小さくすることができる。
【0036】
(5)ガイド部115は、任意の方向に回転する回転軸115aを備えるので、ガイド部115が支点を有し、回転が柔軟で移動も安定し、ドア部112の開閉時に小さく回転する(小回りがきく)ようになり、開口部111aでの不用意な引っ掛かりもない。
(6)透明度を変化させることができる調光スクリーン70を備える遊技機1に、開閉ドア機構110を設けたので、調光スクリーン70が透明の状態になり、開閉ドア機構110がプレイヤの目に触れた場合であっても、電気配線116がガイド部115の内部に収まっているので、見栄えがよい。
【0037】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、ドア部112は、回転によって開閉するヒンジ機構の例で説明したが、直線的に開閉する「ひきだし」のようなドア部であってもよい。このようにすれば、ドア部に番号キーが設けられた電子金庫や、ドア部に電気部品が取り付けられた料金徴収箱などに好適に用いることができる。
【0038】
ガイド部115は、湾曲している例で説明したが、直線形状であってもよく、また、取り付け部材114を介して設ける例で説明したが、ドア部112に直接設けてもよく、さらに、回転軸115aを設けなくてもよい。このようにすれば、上述した実施例よりも製造が容易となり、より安価となる。
【0039】
調光スクリーンは、高分子液晶の膜をアクリル板で挟み込む例で説明したが、ガラスで挟み込むもの(調光ガラススクリーン)や、透明であって遊技機の動作に影響を及ぼさないその他の素材で挟み込むものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による遊技機及び開閉ドア機構の実施例を示す図である。
【図2】開閉ドア機構110を示す図である。
【図3】開閉ドア機構110開閉動作を示す図である。
【図4】遊技機1のゲーム中の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 遊技機
10 タッチパネル型液晶モニター
20 料金徴収装置
30 メダルベンダー
40 機械式ルーレット抽選機
50 支柱
60 天盤
70 調光スクリーン(電気部品)
80 回転式プロジェクター
90 行灯
100 基台
110 開閉ドア機構
111 本体部
111a 開口部
112 ドア部
112a 取り付けビス
113 連結部
114 取り付け部材
115 ガイド部
115a 回転軸
116 電気配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する本体部と、
電気部品を実装したドア部と、
前記本体部に前記ドア部を開閉自在に連結する連結部と、
前記ドア部と一体的に移動し、一端が前記ドア部付近にあり、他端が前記本体部の開口部に挿入され、前記ドア部を最大限開いたときであっても他端が前記本体部の内部にある略筒形状のガイド部と、
前記ガイド部の内部を通り、前記電気部品と前記本体部の内部とを結ぶ電気配線と、
を備える開閉ドア機構。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉ドア機構において、
前記連結部は、前記ドア部を回転によって開閉するヒンジ機構であり、
前記ガイド部は、前記ヒンジ機構の回転中心付近に設けられていること、
を特徴とする開閉ドア機構。
【請求項3】
請求項2に記載の開閉ドア機構において、
前記ガイド部は、前記開口部に挿入された状態で、前記ヒンジ機構の回転中心側が凹むように湾曲していること、
を特徴とする開閉ドア機構。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の開閉ドア機構において、
前記ガイド部は、任意の方向に回転する回転軸を備えること、
を特徴とする開閉ドア機構。
【請求項5】
遊技機本体と、
前記遊技機本体に設けられた請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の開閉ドア機構と、
前記電気部品に含まれており、高分子液晶を用いて形成され、制御電圧によって透明度を変化させることができる調光スクリーンと、
前記調光スクリーンに所定の画像を投射するプロジェクターと、
を備える遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−55237(P2006−55237A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237871(P2004−237871)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000132840)株式会社タイトー (49)