説明

関係性判定装置、関係性判定システム、関係性判定方法および関係性判定プログラム

【課題】 複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定する。
【解決手段】 関係性判定装置は、人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する関係性判定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物間の関係を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の人物に関する情報を含むオブジェクトからその人物の間の関係を判定する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術は、人物が写った複数の画像から人物の顔画像を認識し、画像毎に、写っているそれぞれの人物を特定する。そして当該技術は、一つの画像に一緒に写っている頻度が高いほど大きくなる、親しさの度合いを表す相関値を人物間に設定する。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術は、各人物が属する組織の情報と、著作物に含まれる著作者および連名者の記載順序と、に基づいて人物間の関連度を特定する。
【0005】
また、特許文献3に記載の技術は、動画に出現する人物の登場頻度と、特定の人物が同時に出現する期間と、に基づいて各人物間の関係を示す評価値を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−071112号公報
【特許文献2】特開2010−086229号公報
【特許文献3】特開2010−140069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のいずれの関連技術も、特定の環境で作成されたオブジェクトが多数存在する場合、そのオブジェクトに含まれる複数人の情報に基づいて、ある人間関係が特定されてしまう。よって上記のいずれの関連技術も特定の環境でしか関係のない人物の間に対しても、親密な友人関係があると誤判定する。
【0008】
したがって、上記のいずれの関連技術も、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定することができない。
【0009】
本発明の目的の一つは、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定できる関係判定装置、関係判定システム、関係判定方法および関係判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態における第一の関係性判定装置は、人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する関係性判定部と、を備える。
【0011】
本発明の一形態における第一の関係性判定システムは、人物を識別できる情報である特徴情報を含むオブジェクトとある位置を示す位置情報とある時刻を示す時刻情報とを送信するユーザ端末と、人物を識別できるユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトとある位置を示す位置情報とある時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶するオブジェクト記憶部と、関係性判定装置と、を備え、前記関係性判定装置は、前記ユーザ端末からオブジェクトと位置情報と時刻情報とを受け取るオブジェクト受信部と、前記オブジェクト受信部が受け取るオブジェクトに含まれる特徴情報に基づいて、その特徴情報で識別される人物を識別できるユーザ識別子を取得し、当該オブジェクトと当該ユーザ識別子と、前記オブジェクト受信部が当該オブジェクトと共に受け取る位置情報および時刻情報と、を対応付けて前記オブジェクト記憶部に記憶するオブジェクト関連者取得部と、前記ユーザ端末からユーザ識別子を受け取ると、前記オブジェクト記憶部から、受け取ったユーザ識別子のうちの少なくとも2つのユーザ識別子に対応付けられているオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられている位置情報および時刻情報とを読み出し、読み出した位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、前記位置の分散値が第一の閾値以上であり前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記少なくとも2つのユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定し、当該少なくとも2つのユーザ識別子と対応付けて前記所定の関係を示す情報を生成する関係性判定部と、を備え、前記ユーザ端末は、前記関係性判定部が生成した前記所定の関係を示す情報と前記少なくとも2つのユーザ識別子とを出力する。
【0012】
本発明の一形態における第一の関係性判定方法は、人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算し、前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する。
【0013】
本発明の一形態における第一の関係性判定プログラムは、コンピュータに、人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する処理と、前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果の一例は、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定できることである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第一の実施の形態における関係性判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、オブジェクト記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【図3】図3は、第一の実施の形態における関係性判定装置の動作の概要の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、第一の実施の形態における関係性判定装置がオブジェクト記憶部を備える例を示す図である。
【図5】図5は、第一の実施の形態の第三の変形例における関係性判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、第二の実施の形態における関係性判定システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第二の実施の形態における関係性判定装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、顔ID記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図9】図9は、関係性判定部が分散値に基づいて関係性を判定する判定結果の一例を示す図である。
【図10】図10は、関係性判定部が分散値に基づいて関係性を判定する判定結果の一例を示す図である。
【図11】図11は、ユーザ端末が出力する情報の一例である。
【図12】図12は、ユーザ端末が出力する情報の他の例である。
【図13】図13は、ユーザ端末が出力する情報の他の例である。
【図14】図14は、第二の実施の形態における関係性判定システムの動作の概要の一例を示す図である。
【図15】図15は、ユーザ端末がある人物Xから入力される入力データの情報に基づいてカテゴリの境界線を修正する概要の一例を示す図である。
【図16】図16は、アドレス帳に記憶されているユーザの情報の一例を示す図である。
【図17】図17は、位置の分散値と時刻の分散値とに基づいて人物が所定のカテゴリに分類される一例を示す図である。
【図18】図18は、アドレス帳に登録されていない人物Zとアドレス帳の所有者である特定の人物との関係性を判定する動作の一例を示す図である。
【図19】図19は、人物Zをアドレス帳のあるグループ「サークル」に登録するよう促すメッセージの一例を示す図である。
【図20】図20は、第三の実施の形態における関係性判定システムの構成を示すブロック図である。
【図21】図21は、第三の実施の形態における関係性判定装置の構成を示すブロック図である。
【図22】図22は、生活動線情報保存部が記憶する情報の一例を示す図である。
【図23】図23は、生活動線乖離度計算部が最短距離に基づいて特定する生活動線乖離度の例を示す図である。
【図24】図24は、分散値計算部がある人物Mと人物Nとのユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトに基づいて位置の分散値、時刻の分散値、および生活動線乖離度の平均値を計算した結果の一例を示す図である。
【図25】図25は、分散値計算部が計算する新たな乖離度の一例を示す図である。
【図26】図26は、第三の実施の形態における関係性判定システムの動作の概要の一例を示す図である。
【図27】図27は、第四の実施の形態における関係性判定システムの構成を示すブロック図である。
【図28】図28は、第四の実施の形態における関係性判定装置の構成を示すブロック図である。
【図29】図29は、ユーザ端末が出力するお友達度の一例を示す図である。
【図30】図30は第四の実施の形態における関係性判定システムの第二の実施の形態とは異なる動作の概要の一例を示す図である。
【図31】図31は、第四の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面および明細書記載の各実施の形態において、同様の機能を備える構成要素には同様の符号が与えられている。
【0017】
[第一の実施の形態]
図1は、本発明の第一の実施の形態における関係性判定装置100の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、関係性判定装置100は、分散値計算部104と、関係性判定部105とを備える。
【0018】
第一の実施の形態における関係性判定装置100は、少なくとも2つの特定のユーザ識別子に対応付けられているオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とを記憶部から読み出す。そして関係性判定装置100は、読み出した位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する。そして関係性判定装置100は、位置の分散値が第一の閾値以上であり、かつ時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前述の特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する。この構成により第一の実施の形態における関係性判定装置100は、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定できる。
【0019】
以下、関係性判定装置100が備える各構成要素について説明する。
【0020】
===分散値計算部104===
分散値計算部104は、図1に図示しない他の機能手段からユーザ識別子を受け取る。そして分散値計算部104は、受け取ったユーザ識別子のうち2以上の特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトと前述の特定のユーザ識別子と位置情報と時刻情報とを図1に図示しないオブジェクト記憶部から読み出す。
【0021】
このオブジェクト記憶部は、オブジェクトと、ある人物を識別できるユーザ識別子と、ある位置を示す位置情報と、ある時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶する。図2は、オブジェクト記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。図2を参照すると、オブジェクト記憶部は、オブジェクト識別子とオブジェクト実体と位置情報と時刻情報とユーザリストとを対応付けて記憶している。図2には示されていないが、オブジェクト記憶部は、オブジェクト実体として写真やパンフレットなど、種類の異なるオブジェクトをそれぞれ記憶してもよい。
【0022】
オブジェクト識別子は、対応付けられるオブジェクト実体を一意に識別できるオブジェクトの識別子である。オブジェクト実体は、オブジェクトのデータ自体である。オブジェクトとは、例えば写真、画像、動画、文書、ドキュメント、パンフレット、などあらゆる情報を含む。
【0023】
また、オブジェクトは、人物を識別できる特徴情報を複数含んでもよい。例えばオブジェクトが写真であれば、顔画像が人物を識別できる特徴情報に該当する。オブジェクトがメールであれば、送信者または受信者を示す情報が人物を識別できる特徴情報に該当する。本明細書では、特徴情報は人物を識別できる情報として説明される。しかし特徴情報は、人物を識別できる情報に限られない。例えば、特徴情報は、動物やロボットなどの何らかの個体を識別できる情報であってもよい。
【0024】
位置情報とは、位置を識別できるあらゆる情報を含む。例えばオブジェクトが写真であれば、前述のオブジェクト記憶部は、写真の撮影地を示す情報をその写真と対応付けて記憶する。オブジェクトがパンフレットであれば、前述のオブジェクト記憶部は、発行地または当該パンフレットが配布されるイベントなどの開催地を示す情報をそのパンフレットと対応付けて記憶する。図2において、位置情報は、緯度と経度との組の情報である。これは例示であって位置情報は、何らかの位置を示す情報であればよい。
【0025】
時刻情報とは、時刻を識別できるあらゆる情報を含む。例えばオブジェクトが写真であれば、前述のオブジェクト記憶部は、写真の撮影時刻を示す情報をその写真と対応付けて記憶する。またオブジェクトがパンフレットであれば、前述のオブジェクト記憶部は、発行日時または当該パンフレットが配布されるイベントなどの開催日時を示す情報をそのパンフレットと対応付けて記憶する。
【0026】
ユーザリストは、対応するオブジェクト実体に対応付けられるユーザ識別子を2以上含むリストである。このユーザ識別子は、対応するオブジェクトに含まれる特徴情報に対応する人物を示す識別子である。本明細書では、ユーザ識別子とはある人物を識別できる情報として説明される。しかしユーザ識別子は、人物を識別できる情報に限られない。例えば、ユーザ識別子は、動物やロボットなどの何らかの個体を識別できる情報であってもよい。
【0027】
分散値計算部104は、図1に図示しない他の機能手段からオブジェクトまたはオブジェクトを識別できる情報であるオブジェクト識別子を受け取ってもよい。この場合、分散値計算部104は、受け取ったオブジェクトまたはオブジェクト識別子に対応するオブジェクトが前述のオブジェクト記憶部に記憶されているか否か判定する。そして分散値計算部104は、受け取ったオブジェクトまたはオブジェクト識別子に対応するオブジェクトが記憶されていると判定した場合に、そのオブジェクトに対応付けられているユーザ識別子を読み出す。そして分散値計算部104は、読み出したユーザ識別子の全てと対応付けられているオブジェクトを前述のオブジェクト記憶部から読み出す。
【0028】
分散値計算部104は、前述の2以上の特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいてその位置の分散値を計算する。また分散値計算部104は、前述の2以上の特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいてその時刻の分散値を計算する。
【0029】
分散値計算部104は、例えば以下の数式[数1]によって各分散値を計算してもよい。
【0030】
【数1】

【0031】
[数1]において、tは、時刻の分散値を示す。pは、位置の分散値を示す。t(i=1,・・・,n)は、オブジェクトに対応付けられている時刻情報が示す時刻を示す。またp(i=1,・・・,n)は、オブジェクトに対応付けられている位置情報を示す。この位置情報は、例えばオブジェクトに対応する位置情報が所定の方法によって一次元の値に写像された値である。
【0032】
[数1]は例示であって、分散値計算部104が各分散値を計算する方法は前述の数式に限られない。例えば、位置情報が緯度と経度との2つの値の組で表されている場合、分散値計算部104は、例えば[数2]の数式に基づいて位置の分散値を計算してもよい。
【0033】
【数2】

【0034】
[数2]において、pは、位置の分散値を示す。p(1)は、オブジェクトに対応付けられている位置情報が示す緯度の分散値を示す。p(2)は、オブジェクトに対応付けられている位置情報が示す経度の分散値を示す。p(1)(i=1,・・・,n)は、オブジェクトに対応付けられている位置情報が示す緯度を示す。p(2)(i=1,・・・,n)は、オブジェクトに対応付けられている位置情報が示す経度を示す。
【0035】
分散値計算部104は、オブジェクトに対応付けられている所定の位置情報について重みを付け、その値に基づいて位置の分散値を計算してもよい。例えば、分散値計算部104は、ある人物の自宅や職場の近辺を示す位置情報には小さい重みを付けてもよい。一方分散値計算部104は、観光地や自宅または職場から極めて離れた土地を示す位置情報には大きい重みをつけてもよい。例えば分散値計算部104は、[数3]の数式に基づいて、位置の分散値を計算してもよい。
【0036】
【数3】

【0037】
[数3]において、pは、位置の分散値を示す。p(i=1,・・・,n)は、オブジェクトに対応付けられている位置情報を示す。w(i=1,・・・,n)は、位置情報pが、分散値計算部104に記憶されており、該当するユーザ識別子に対応付けられる位置情報であるか否かに応じて値が定められる重みである。
【0038】
同様に分散値計算部104は、所定のオブジェクトに対応付けられている所定の時刻情報に重みを付け、その値に基づいて時刻の分散値を計算してもよい。例えば、分散値計算部104は、就業時間中や講義時間中を示す時刻情報、すなわち平日の日中を示す時刻情報には小さい重みをつけてもよい。一方、分散値計算部104は、休日や平日の夜間を示す時刻情報には大きい重みをつけてもよい。分散値計算部104は、ユーザ識別子毎に、そのユーザ識別子で識別される人物の自宅や勤務地などを示す位置情報を対応付けて記憶し、その情報に基づいて上記の重み付けの処理を実行してもよい。例えば分散値計算部104は、[数4]の数式に基づいて、時刻の分散値を計算してもよい。
【0039】
【数4】

【0040】
[数4]において、tは、時刻の分散値を示す。t(i=1,・・・,n)は、オブジェクトに対応付けられている時刻情報を示す。w(i=1,・・・,n)は、時刻情報tが、分散値計算部104に記憶されており、該当するユーザ識別子に対応付けられる時刻情報であるか否かに応じて値が定められる重みである。
【0041】
分散値計算部104は、前述の特定の2以上のユーザ識別子とそのユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトに基づいて計算された位置の分散値と時刻の分散値とを関係性判定部105に渡す。
【0042】
===関係性判定部105===
関係性判定部105は、分散値計算部104から、ユーザ識別子と位置の分散値と時刻の分散値とを受け取る。そして関係性判定部105は、位置の分散値が第一の閾値以上であり、時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に、受け取ったユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する。
【0043】
第一の閾値および第二の閾値は、関係性判定装置100のユーザがあらかじめ設定する値であってもよい。または、関係性判定装置100は、これらの閾値を示す情報を図1に図示しない外部装置から受け取り、その値を関係性判定部105が用いてもよい。
【0044】
所定の関係とは、例えば「関係がある」または「関係がない」のいずれかを表してもよい。また所定の関係とは、「ただの顔見知り」「知人」「友人」「親友」「親族」などの人間関係を含んでもよい。あるいは所定の関係とは、該当する人物間の関係性の程度(または大きさ)を表す情報である関係度を用いて表現されてもよい。
【0045】
図3は、第一の実施の形態における関係性判定装置100の動作の概要の一例を示すフローチャートである。
【0046】
分散値計算部104は、図1に図示しない外部装置から受け取る情報に基づいて、ユーザ識別子を特定する(ステップS101)。そして分散値計算部104は、特定したユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトを図1に図示しないオブジェクト記憶部から読み出す(ステップS102)。
【0047】
分散値計算部104は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいてその位置の分散値を計算する。また分散値計算部104は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいてその時刻の分散値を計算する(ステップS103)。
【0048】
関係性判定部105は、分散値計算部104から、ユーザ識別子と位置の分散値と時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。そして関係性判定部105は、位置の分散値が第一の閾値以上であり時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に、受け取ったユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する(ステップS104)。
【0049】
関係性判定装置100は、ステップS101の処理において特定したユーザ識別子のすべてがステップS102において「特定のユーザ識別子」として選択されるまで、ステップS102乃至ステップS104の処理をくり返し実行してもよい。例えば関係性判定装置100は、ステップS101の処理において特定したユーザ識別子に含まれる任意の2つ組の中で、ステップS102において選択していない2つ組がなくなるまでステップS102乃至ステップS104の処理をくり返し実行してもよい。すなわち関係性判定装置100は、ステップS101の処理において特定したユーザ識別子の中から任意の2つ組を1つ選択し、選択した組を入力としてステップS102乃至ステップS104の処理を実行する。そして関係性判定装置100は、ステップS101の処理において特定したユーザ識別子に含まれる2つ組の中でまだ選択していない組がある場合、その組を選択し、ステップS102乃至ステップS104の処理を実行する。
【0050】
また関係性判定装置100は、図示しない外部装置から受け取る情報に基づいて、関係元を示すユーザ識別子と関係先を示すユーザ識別子とをそれぞれ特定してもよい。この場合、関係性判定装置100は、関係元のユーザ識別子と関係先のユーザ識別子とのすべての組み合わせについて、ステップS102乃至ステップS104の処理をくり返し実行してもよい。
【0051】
第一の実施の形態における関係性判定装置100は、2以上のユーザ識別子が含まれるオブジェクトを読み出し、それらのオブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とを特定する。そして関係性判定装置100は、特定した位置情報と時刻情報とに基づいてそれぞれで識別される位置の分散値および時刻の分散値を計算する。そして、関係性判定装置100は、位置の分散値が第一の閾値以上であり時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に、前述の2以上のユーザ識別子で識別できる人物の間に所定の関係があると判定する。
【0052】
例えば、ある人物Aが意図しないうちに所定のオブジェクトに自身を識別できる情報が含まれてしまう場合に、各関連技術では、その人物Aと他の人物X、Y・・・との間に所定の関係(例えば友人関係)があると判定してしまう。例えば、仕事上のみにおける関係を有する人物Aと人物Xとの間でその仕事中に各人物を識別できる情報を含むオブジェクトが作成されてしまう場合がある。あるいは、人物Aが意図せずに人物A、Xを識別できる情報を含むオブジェクトが作成されてしまう場合がある。この場合に各関連技術は、人物Aと人物Xとの情報を含むオブジェクトが存在するので人物Aと人物Xとの間に友人関係があると判定してしまう。
【0053】
一方、このような場合でも、第一の実施の形態における関係性判定装置100は、その人物Aと人物Xとの情報を含むオブジェクトに対応付けられる位置情報および時刻情報からは小さい分散値を計算する。そして関係性判定装置100は、位置の分散値が第一の閾値以上であり時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に人物Aと人物Xとの間に所定の関係(例えば友人関係)があると判定する。したがって、関係性判定装置100は、人物Aと人物Xとの間に友人関係があるとは判定しない。つまり、第一の実施の形態における関係性判定装置100は、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定することができる。
【0054】
[第一の実施の形態の第一の変形例]
第一の実施の形態において関係性判定装置100は、前述のオブジェクト記憶部を備えてもよい。図4は、第一の実施の形態における関係性判定装置100がオブジェクト記憶部103を備える例を示す図である。
【0055】
[第一の実施の形態の第二の変形例]
第一の実施の形態において、分散値計算部104がユーザ識別子、オブジェクトまたはオブジェクト識別子を、図1に図示しない他の機能手段から受け取っている。代わりに関係性判定部105がユーザ識別子、オブジェクトまたはオブジェクト識別子を図1に図示しない他の機能手段から受け取ってもよい。この場合関係性判定部105は、図3に示される関係性判定装置100の動作のうち、ステップS101およびS102の分散値計算部104の処理を代わりに行う。そして関係性判定部105は、ステップS102の処理にて読み出したオブジェクトを分散値計算部104に渡せばよい。
【0056】
[第一の実施の形態の第三の変形例]
第一の実施の形態において、関係性判定装置100は、分散値計算部104が分散値の計算に用いる位置情報または時刻情報に対応付けられているオブジェクトを選択するオブジェクト選択部106を備えてもよい。図5は、第一の実施の形態の第三の変形例における関係性判定装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0057】
===オブジェクト選択部106===
オブジェクト選択部106は、分散値計算部104が分散値の計算に用いる位置情報または時刻情報を含むオブジェクトを選択する。
【0058】
具体的には、オブジェクト選択部106は以下のように動作する。まず分散値計算部104または関係性判定部105は、ユーザ識別子を特定し、特定したユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトをオブジェクト記憶部103から読み出す。そして分散値計算部104または関係性判定部105はこの読み出したオブジェクトをオブジェクト選択部106に渡す。オブジェクト選択部106は、受け取ったオブジェクトのうち、ある方法にしたがって所定のオブジェクトを選択する。
【0059】
前述のある方法とは、例えば以下の方法がある。例えば、オブジェクト選択部106は各オブジェクトの類似性を判定し、類似するオブジェクト毎にグループとして分類する。そしてオブジェクト選択部106は、分類した各グループから一のオブジェクトを選択し、選択したオブジェクトを分散値計算部104に渡す。分散値計算部104は、オブジェクト選択部106から受け取ったオブジェクトに基づいて前述の各分散値を計算する。
【0060】
また、例えば、オブジェクト選択部106は、図1に図示しない他の機能手段からオブジェクト識別子を受け取り、受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクトを選択する。そしてオブジェクト選択部106は、選択したオブジェクトを分散値計算部104に渡す。分散値計算部104は、オブジェクト選択部106から受け取ったオブジェクトに基づいて前述の各分散値を計算する。
【0061】
第一の実施の形態の第三の変形例における関係性判定装置100は、オブジェクト選択部106が分散値を計算するための適切なオブジェクトを選択する。よって、関係性判定装置100は、例えば連写機能によって特定の位置および場所を示す情報に対応付けられるオブジェクトが多数ある場合でも、そのような互いに類似するオブジェクトの重複を除くので、精度を向上しつつ計算量を低減させることが可能となる。
【0062】
また、第一の実施の形態の第三の変形例における関係性判定装置100は、図示しない外部装置などから受け取るオブジェクト識別子で識別されるオブジェクトに基づいて、各分散値を計算する。よって、関係性判定装置100は、例えばユーザが選択するオブジェクトを母集団として、各分散値を計算し、その各分散値に基づいて人物間の関係性を判定できる。
【0063】
[第二の実施の形態]
図6は、本発明の第二の実施の形態における関係性判定システム20の構成を示すブロック図である。図6を参照すると、関係性判定システム20は、関係性判定装置200とユーザ端末211を備える。図6によれば、関係性判定システム20はユーザ端末211を1台備えるが、関係性判定システム20が備えるユーザ端末211の台数はこれに限られない。例えば以下の説明において、関係性判定システム20は、複数のユーザ端末211を備えてもよい。以下、関係性判定装置200の構成について説明する。
【0064】
図7は、関係性判定装置200の構成を示すブロック図である。図7を参照すると、関係性判定装置200は、オブジェクト受信部201とオブジェクト関連者取得部202と、オブジェクト記憶部103と、分散値計算部104と、関係性判定部205と、を備える。オブジェクト記憶部103の構成は、第一の実施の形態の第一の変形例におけるオブジェクト記憶部103の構成と同様である。分散値計算部104の構成は、第一の実施の形態における分散値計算部104の構成と同様である。
【0065】
===オブジェクト受信部201===
オブジェクト受信部201は、人物を識別できる情報である特徴情報を含むオブジェクトとそのオブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とをユーザ端末211から受け取る。
【0066】
===オブジェクト関連者取得部202===
オブジェクト関連者取得部202は、オブジェクト受信部201が受け取ったオブジェクトに含まれる特徴情報からその特徴情報に対応するユーザ識別子を取得する。
【0067】
例えば、オブジェクトが写真であった場合、オブジェクト関連者取得部202は、画像認識処理を行うことにより顔画像を検出し、その顔画像に対応する人物を特定する。ここで顔画像が前述の特徴情報に該当する。
【0068】
この場合、オブジェクト関連者取得部202は、顔画像と人物を識別できるユーザ識別子とを対応付けて記憶しておくことが好ましい。または、オブジェクト関連者取得部202は、顔画像と人物を識別できるユーザ識別子とを対応付けて記憶する顔ID記憶部と接続され、その顔ID記憶部から、顔画像に基づいてユーザ識別子を読み出してもよい。図8は、顔ID記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。図8を参照すると、顔ID記憶部は、オブジェクト実体とユーザ識別子とを対応付けて記憶する。ユーザ識別子は、ある人物を識別できるユーザ識別子である。オブジェクト実体は、対応するユーザ識別子で識別される人物の顔画像のデータ自体である。
【0069】
オブジェクト関連者取得部202は、オブジェクト受信部201がオブジェクトを受け取ると、前述のユーザ端末211へユーザ識別子の入力を要求する情報である入力要求を送信してもよい。この場合、オブジェクト関連者取得部202は、入力要求に応じてユーザ端末211から送信されるユーザ識別子を受け取る。
【0070】
オブジェクトが論文であった場合、オブジェクト関連者取得部202は、文字認識処理および自然言語解析処理などを行うことにより、著者名の情報およびその著者の所属を示す情報を検出する。そしてオブジェクト関連者取得部202は、その著者名に対応する人物を特定する。ここで著者名の情報およびその著者の所属を示す情報が前述の特徴情報に該当する。
【0071】
オブジェクトがパンフレットであった場合、オブジェクト関連者取得部202は、文字認識処理および自然言語解析処理などを行うことにより、そのパンフレットに関するイベントの出演者名の情報およびその出演者のメールアドレスを検出する。そしてオブジェクト関連者取得部202は、その出演者に対応する人物を特定する。ここで出演者の情報およびその出演者のメールアドレスが前述の特徴情報に該当する。
【0072】
前述の特徴情報の各例はあくまでも例示であって、各情報に特徴情報が限定されるものではない。特徴情報は、オブジェクトに含まれ、ある人物を特定できる情報であればよい。
【0073】
オブジェクト関連者取得部202は、前述のいずれかの方法によって取得したユーザ識別子と、対応するオブジェクトと、そのオブジェクトに対応付けられている位置情報および時刻情報と、を対応付けてオブジェクト記憶部103に記憶する。この際、オブジェクト関連者取得部202は、オブジェクトを一意に識別できるオブジェクト識別子を生成してもよい。さらにオブジェクト関連者取得部202は、そのオブジェクト識別子を、対応する各オブジェクトに対応付けてオブジェクト記憶部103に記憶してもよい。
【0074】
===関係性判定部205===
関係性判定部205は、分散値計算部104から、ユーザ識別子と位置の分散値と時刻の分散値とを受け取る。そして関係性判定部205は、位置の分散値が第一の閾値以上であり時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に、関係性判定部205が受け取ったユーザ識別子で識別される人物間に所定の関係があると判定する。第一の閾値および第二の閾値は、第一の実施の形態と同様の方法によって定められてもよい。
【0075】
また、関係性判定部205は、以下に例示する所定の条件を満たす場合に、関係性判定部205が受け取った前述のユーザ識別子で識別される人物間に限定的な関係があると判定する。
【0076】
限定的な関係とは、位置または時刻の少なくとも一方にある制限が付けられることで現れるなんらかの人間関係である。例えば限定的な関係とは、「仕事上での関係」「同僚」「取引先」「サークルの仲間」「同じ習い事の受講生」「学校の同級生」「先輩」「後輩」などを含む。
【0077】
関係性判定部205は、例えば、分散値計算部104が計算した位置の分散値が第一の閾値未満である、および、時刻の分散値が第二の閾値未満である、のいずれか一方が満たされる場合に、前述の人物間に限定的な関係があると判定する。図9は、関係性判定部205が各分散値に基づいて関係性を判定する判定結果の一例を示す図である。図9においてxは、第二の閾値である。またyは第一の閾値である。
【0078】
図9を参照すると、関係性判定部205は、位置の分散値pが閾値y以上であり、かつ時刻の分散値tが閾値x以上である場合に、該当する人物間に所定の関係Dがあると判定する。また関係性判定部205は、位置の分散値pが閾値y以上であり、かつ時刻の分散値tが閾値x未満である場合に、該当する人物間に限定的な関係Cがあると判定する。また関係性判定部205は、位置の分散値pが閾値y未満であり、かつ時刻の分散値tが閾値x以上である場合に、該当する人物間に限定的な関係Bがあると判定する。また関係性判定部205は、位置の分散値pが閾値y未満であり、かつ時刻の分散値tが閾値x未満である場合に、該当する人物間に限定的な関係Aがあると判定する。関係性判定部205は、この限定的な関係Aを、「特に限定的な関係」であると判定し、前述の関係BまたはCとは異なる関係として特定してもよい。「特に限定的な関係」は、位置および時刻にある制限が付けられることで現れるなんらかの人間関係である。
【0079】
関係性判定部205は、分散値計算部104が各分散値を計算する際に用いたオブジェクトの個数を特定し、その個数が所定の閾値以上であるか否かに基づいて人物間に所定の関係があるか否か、または限定的な関係があるか否かを判定してもよい。図10は、関係性判定部205が各分散値に基づいて関係性を判定する判定結果の一例を示す図である。図10においてmは、所定の閾値である。また、図10においてA乃至Dは、図9におけるA乃至Dにそれぞれ対応する。
【0080】
図10を参照すると、関係性判定部205は、位置の分散値と時刻の分散値とに基づいて、A乃至Dのいずれかの関係性を特定し、さらに分散値計算部104が各分散値を計算する際に用いたオブジェクトの数に基づいてA乃至Dの関係を具体的に特定する。例えば、関係性判定部205は、位置の分散値と時刻の分散値とに基づいてDの関係があると判定し、オブジェクトの数がm以上であった場合に、この人物間に親友関係があると判定する。また例えば、関係性判定部205は、位置の分散値と時刻の分散値とに基づいてDの関係があると判定し、オブジェクトの数がm未満であった場合に、この人物間に友人関係があると判定する。
【0081】
関係性判定部205は、判定した関係性を示す情報をユーザ端末などの外部装置に送信する。具体的には関係性判定部205は、ユーザ識別子の集合と、その集合に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係性を示す情報と、その関係性を判定する際に用いられた位置の分散値および時刻の分散値と、を含む情報を送信する。
【0082】
関係性判定部205は、関係性を示す情報として、該当する人物間の関係性の程度(または大きさ)を表す情報である関係度を特定してもよい。例えば関係性判定部205は、次の[数5]のように各分散値の線形和を関係度と特定してもよい。
【0083】
【数5】

【0084】
[数5]において、Rは関係度を示す。tは時刻の分散値を示す。pは位置の分散値を示す。αおよびβは、任意の実数を示す。αおよびβは、あらかじめ定められる値であってもよい。
【0085】
次にユーザ端末211の構成について説明する。
【0086】
ユーザ端末211は、人物を識別できる情報である特徴情報を含むオブジェクトとそのオブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とを関係性判定装置200へ送信する。
【0087】
また、ユーザ端末211は、人物を識別できる情報であるユーザ識別子を関係性判定装置200へ送信する。このユーザ識別子は、関係性を調べたい人物を識別できるユーザ識別子である。ユーザ端末211は、ユーザ識別子を送信する代わりにオブジェクトまたはオブジェクトを識別できるオブジェクト識別子を関係性判定装置200へ送信してもよい。
【0088】
また、ユーザ端末211は、関係性判定装置200からユーザ識別子の集合と、その集合に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係性を示す情報と、その関係性を判定する際に用いられた位置の分散値および時刻の分散値と、を含む情報を受け取る。そしてユーザ端末211は受け取った各情報を例えばディスプレイなどの出力装置に出力する。
【0089】
図11は、ユーザ端末211が出力する情報の一例である。図11は、ユーザ端末211が受け取ったユーザ識別子に対応する人物毎に、横軸に示される各時刻におけるある特定の人物と当該ユーザとの関係性を示す情報を示している。ある特定の人物とは、例えばユーザ端末211のユーザである。またはユーザ端末211のユーザが、そのユーザ端末211が受け取ったユーザ識別子で識別される人物の中からある特定の人物を一つ指定してもよい。図11における関係性を示す情報とは、前述の関係度である。図11において、横軸は一日単位で示されているが、これは月単位、または、年単位であってもよい。また横軸は、特に単位が設けられずに時刻を表示されるものであってもよい。
【0090】
図11を参照すると、ユーザ端末211が出力する情報に基づいて、あるユーザは、時間変化に対してそのユーザにそれぞれ関係する他のユーザに対してどういう行動を取っているかを視覚的に把握できる。またあるユーザは、それぞれ関係する他のユーザの行動の時間的な人間関係の変化を把握することができる。例えば、あるユーザが親であり、他のユーザが、その親の子供に関する友人である場合、この親は、その子供の人間関係の時間的変化を容易に把握することができる。
【0091】
図12は、ユーザ端末211が出力する情報の他の例である。図12は、ユーザ端末211が受け取ったユーザ識別子に対応する人物毎に、ある特定の人物を含むオブジェクトに基づいて計算される位置の分散値と時刻の分散値とをプロットした情報である。図12には示されていないが、プロットされる点は、分散値計算部104が各分散値を計算する際に用いたオブジェクトの個数を示す情報を含んでもよい。この場合関係性判定部205は、関係度をユーザ端末211に送信する際にその関係度の元となる各分散値を計算する際に用いられたオブジェクトの個数をユーザ端末211に送信する。
【0092】
ここで、ある特定の人物とは、例えばユーザ端末211のユーザである。またはユーザ端末211のユーザが、そのユーザ端末211が受け取ったユーザ識別子で識別される人物の中からある特定の人物を一つ指定してもよい。
【0093】
また、図12は、前述の特定の人物とユーザ端末211が受け取ったユーザ識別子に対応する人物との関係性を示す情報をその人物毎に含む。具体的には、図12において、人物HおよびIに対し所定の関係があることを示す情報が対応付けられている。ユーザ端末211は、それぞれの人物に対応付けられている、関係性を示す情報が共通するユーザ識別子のプロットが共通するカテゴリに含まれるよう、各カテゴリの境界線を特定し出力する。図12において、t≧x、p≧yという境界線が各カテゴリの境界線に該当する。ここでtは時刻の分散値である。pは位置の分散値である。xは第二の閾値である。yは第一の閾値である。図12において、t≧xかつp≧yの領域にプロットされる情報に対応するユーザ識別子で識別される人物が、前述の特定の人物と所定の関係がある、ということを意味する。
【0094】
図13は、ユーザ端末211が出力する情報の他の例である。図13は、図12と同様の情報を含む。図12と共通する情報についての説明は省略する。
【0095】
図13は、前述の特定の人物とユーザ端末211が受け取ったユーザ識別子に対応する人物との関係性を示す情報を含む。具体的には、図13において、人物AおよびCに対し限定的な関係があることを示す情報が対応付けられている。また、人物BおよびDに対し特に限定的な関係があることを示す情報が対応付けられている。また人物E、FおよびGに対し限定的な関係があることを示す情報が対応付けられている。また人物HおよびIに対し所定の関係があることを示す情報が対応付けられている。ユーザ端末211は、それぞれの人物に対応付けられている、関係性を示す情報が共通するユーザ識別子のプロットが共通するカテゴリに含まれるよう、各カテゴリの境界線を特定し出力する。
【0096】
図13において、t=x(0≦t≦x)およびp=y(0≦p≦y)の境界線が関係性を示す情報に該当する。図13において、t≧xかつp≧yの領域にプロットされる情報に対応するユーザ識別子で識別される人物が、前述の特定の人物と所定の関係がある、ということを意味する。また図13において、0≦t<xおよびp≧yの領域にプロットされる情報に対応するユーザ識別子で識別される人物が、前述の特定の人物と限定的な関係がある、ということを意味する。また図13において、t≧xおよび0≦p<yの領域にプロットされる情報に対応するユーザ識別子で識別される人物が、前述の特定の人物と限定的な関係がある、ということを意味する。さらに、図13において、0≦t<xおよび0≦p<yの領域にプロットされる情報に対応するユーザ識別子で識別される人物が、前述の特定の人物と特に限定的な関係がある、ということを意味する。
【0097】
図14は、第二の実施の形態における関係性判定システム20の動作の概要の一例を示す図である。
【0098】
ユーザ端末211は、特徴情報を含むオブジェクトとそのオブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とを関係性判定装置200へ送信する(ステップS201)。オブジェクト受信部201は、特徴情報を含むオブジェクトとそのオブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とを受け取る(ステップS202)。
【0099】
オブジェクト関連者取得部202は、オブジェクト受信部201が受け取ったオブジェクトに含まれる特徴情報からその特徴情報に対応するユーザ識別子を所定の方法で取得する(ステップS203)。
【0100】
オブジェクト関連者取得部202は、所定の方法によって取得したユーザ識別子と、対応するオブジェクトと、そのオブジェクトに対応付けられている位置情報および時刻情報と、を対応付けてオブジェクト記憶部103に記憶する(ステップS204)。
【0101】
ユーザ端末211は、関係性を調べたい人物を識別できるユーザ識別子を関係性判定装置200へ送信する(ステップS205)。
【0102】
分散値計算部104は、ユーザ端末211からユーザ識別子を受け取る。そして分散値計算部104は、受け取ったユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトをオブジェクト記憶部103から読み出す(ステップS206)。
【0103】
分散値計算部104は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいてその位置の分散値を計算する。また分散値計算部104は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいてその時刻の分散値を計算する(ステップS207)。
【0104】
関係性判定部205は、分散値計算部104が計算した位置の分散値と時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。そして関係性判定部205は、各分散値に基づいて受け取ったユーザ識別子で識別できる人物間の関係を特定し、その関係性を示す情報を生成する(ステップS208)。関係性判定部205は、ユーザ識別子の集合と、その集合に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係性を示す情報と、その関係を判定する際に用いられた位置の分散値および時刻の分散値と、を含む情報を送信する(ステップS209)。
【0105】
ユーザ端末211は、関係性判定装置200からユーザ識別子の集合と、その集合に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係性を示す情報と、その関係を判定する際に用いられた位置の分散値および時刻の分散値と、を含む情報を受け取る。そしてユーザ端末211は受け取った各情報を例えばディスプレイなどの出力装置に出力する(ステップS210)。
【0106】
関係性判定装置200は、ステップS205の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子のすべてがステップS206において「特定のユーザ識別子」として選択されるまで、ステップS206乃至ステップS208の処理をくり返し実行してもよい。例えば関係性判定装置200は、ステップS205の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子に含まれる任意の2つ組の中で、ステップS206において選択していない2つ組がなくなるまでステップS206乃至ステップS208の処理をくり返し実行してもよい。すなわち関係性判定装置200は、ステップS205の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子の中から任意の2つ組を1つ選択し、選択した組を入力としてステップS206乃至ステップS208の処理を実行する。そして関係性判定装置200は、ステップS205の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子に含まれる2つ組の中でまだ選択していない組がある場合、その組を選択し、ステップS206乃至ステップS208の処理を実行する。
【0107】
また関係性判定装置200は、ステップS205の処理において関係元を示すユーザ識別子と関係先を示すユーザ識別子とを受け取ってもよい。この場合関係性判定装置200は、関係元のユーザ識別子と関係先のユーザ識別子とのすべての組み合わせについて、ステップS206乃至ステップS208の処理をくり返し実行してもよい。
【0108】
第二の実施の形態における関係性判定システム20によれば、ユーザ端末211が関係性を調べたい人物を識別できるユーザ識別子を関係性判定装置200へ送信する。そして関係性判定装置200が受け取ったユーザ識別子のうち2以上の特定のユーザ識別子と対応付けられるオブジェクトをオブジェクト記憶部103から読み出す。そして関係性判定装置200が読み出したオブジェクトに対応付けられている位置情報と時刻情報とを特定する。そして関係性判定装置200は、特定した位置情報と時刻情報とに基づいてそれぞれで識別される位置の分散値および時刻の分散値を計算する。そして、関係性判定装置200は、計算した分散値に基づいて該当する人物間の関係性を示す情報を生成する。
【0109】
例えば、ある人物Aが意図せずに所定のオブジェクトに自身を識別できる情報が含まれてしまう場合に、各関連技術では、その人物Aと他の人物X、Y・・・との間に所定の関係(例えば友人関係)があると判定してしまう。例えば、仕事上のみにおける関係を有する人物Aと人物Xとの間でその仕事中に各人物を識別できる情報を含むオブジェクトが作成されてしまう場合がある。あるいは、人物Aが意図せずに人物A、Xを識別できる情報を含むオブジェクトが作成されてしまう場合がある。この場合に各関連技術は、人物Aと人物Xとの情報を含むオブジェクトが存在するので人物Aと人物Xとの間に友人関係があると判定してしまう。
【0110】
一方、このような場合でも、第二の実施の形態における関係性判定装置100は、その人物Aと人物Xとの情報を含むオブジェクトに対応付けられる位置情報および時刻情報からは小さい分散値を計算する。そして関係性判定装置100は、位置の分散値が第一の閾値以上であり時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に人物Aと人物Xとの間に所定の関係(例えば友人関係)があると判定する。したがって、関係性判定装置200は、人物Aと人物Xとの間に友人関係があるとは判定しない。代わりに関係性判定装置200は、人物Aと人物Xとの間に所定の関係とは異なる限定的な関係、例えば仕事上でのみの付き合い関係があると判定する。
【0111】
つまり、第二の実施の形態における関係性判定装置200は、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトから人物間の所定の関係を高精度に判定することができる。さらに関係性判定装置200は、複数の人物に関する情報を含むオブジェクトに対応付けられる位置または時刻になんらかの関係がある場合に、該当する人物間に限定的な関係があると判定できる。位置または時刻になんらかの関係がある場合とは、すなわち位置の分散値が第一の閾値未満である、および、時刻の分散値が第二の閾値未満である、の少なくともいずれかが満たされる場合である。
【0112】
[第二の実施の形態の第一の変形例]
第二の実施の形態において、ユーザ端末211は、ユーザから入力される情報に基づいて、共通する関係性を示すユーザ識別子が含まれるカテゴリの境界線を修正してもよい。図15は、ユーザ端末211が人物Xから入力されるユーザ入力1000の情報に基づいてカテゴリの境界線を修正する概要の一例を示す図である。図15を参照すると、ユーザ入力1000に基づいて、カテゴリ「サークル」に含まれる人物が「A、C」から「A、B、C、D」に変更されている。
【0113】
ユーザ端末211は、カテゴリの境界線を修正した際に、その旨を示す情報を関係性判定装置200へ送信する。例えばユーザ端末211は、人物「A、B、C、D」が人物Xと同じ関係を有することを示す情報を関係性判定装置200へ送信する。関係性判定装置200が前述の情報を受け取ると、関係性判定部205は、例えば第一の閾値および第二の閾値の少なくとも一方を変更し、人物Xと人物A、B、CおよびDとが同じ関係を有すると判定するよう調節する。
【0114】
具体的には、関係性判定部205は、例えば人物「A、B、C、D」が人物Xと同じ関係を有することを示す情報を受け取る。具体的にこの情報とは、人物Xを示すユーザ識別子と人物A、B、CおよびDをそれぞれ示すユーザ識別子との組の集合である。分散値計算部104は、関係性判定部205からユーザ識別子の組の集合を受け取ると、各組に含まれるユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトを読み出す。そして分散値計算部104は、前述のユーザ識別子の組毎に読み出したオブジェクトに基づいてそれぞれ位置の分散値および時刻の分散値を計算する。分散値計算部104は、計算した各分散値をそれぞれ関係性判定部205に渡す。関係性判定部205は、受け取った各分散値に基づいて人物Xと人物A、B、CおよびDとのすべての人物間で同じ関係を有すると判定するように第一の閾値および第二の閾値の少なくとも一方を変更する。
【0115】
ユーザ端末211は、受け取ったユーザ識別子で識別される人物毎に、ユーザからカテゴリを示す情報を受け取ってもよい。そしてユーザ端末211は、受け取ったカテゴリを示す情報が共通するユーザ識別子が同じ関係を示すように共通する関係性を示すユーザ識別子が含まれるカテゴリの境界線を修正する。
【0116】
またユーザ端末211は、カテゴリを示す情報と共にそのカテゴリの名称を受け取り、カテゴリと共にそのカテゴリの名称を出力してもよい。
【0117】
例えば、ユーザ端末211は、ユーザから複数のユーザの情報を含むアドレス帳の情報を受け取り、アドレス帳の情報に含まれるユーザがそれぞれ属するグループの情報に基づいて共通する関係性を示すユーザ識別子が含まれるカテゴリの境界線を修正する。具体的には、ユーザ端末211は、受け取ったアドレス帳の情報に含まれる同じグループに属するユーザを識別するユーザ識別子が同じ関係を示すように共通する関係性を示すユーザ識別子が含まれるカテゴリの境界線を修正する。
【0118】
またユーザ端末211は、複数のユーザの情報を含むアドレス帳の情報に含まれる各グループの名称などを、そのグループに含まれるユーザを識別できるユーザ識別子に対応する各カテゴリに対応付けて出力してもよい。
【0119】
第二の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム20は、例えばアドレス帳に登録されていない新たな人物とそのアドレス帳の所有者との関係を、アドレス帳に登録された人物との関係に基づいて特定することができる。
【0120】
例えば、図16に示されているようにアドレス帳1001に記憶されているユーザの情報に基づいて、図17に示されるようなカテゴリが定められていると仮定する。この場合、例えば関係性判定部205が図18に示される、アドレス帳に登録されていない人物Zとこのアドレス帳の所有者である特定の人物との関係を判定する。すると、人物Zは、アドレス帳に含まれるグループ(グループ名「サークル」)に対応するカテゴリに含まれることがわかる。この場合ユーザ端末211は、例えば図19に示されるように人物Zをアドレス帳の「サークル」に登録するよう促すメッセージを出力できる。
【0121】
したがって第二の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム20は、所定のユーザが所有する情報によって、関係性判定システム20が判定する人物間の関係をさらに高精度に特定することができる。
【0122】
[第三の実施の形態]
図20は、第三の実施の形態における関係性判定システム30の構成を示すブロック図である。図20を参照すると、関係性判定システム30は、関係性判定装置300とユーザ端末211を備える。第二の実施の形態における関係性判定システム20と同様に、関係性判定システム30が備えるユーザ端末211の台数は1台に限られない。例えば以下の説明において、関係性判定システム30は、複数のユーザ端末211を備えてもよい。以下、関係性判定装置300の構成について説明する。
【0123】
図21は、関係性判定装置300の構成を示すブロック図である。図21を参照すると、関係性判定装置300は、オブジェクト受信部201とオブジェクト関連者取得部202と、オブジェクト記憶部103と、分散値計算部304と、関係性判定部305と、生活動線保存部307と、生活動線乖離度計算部308と、を備える。オブジェクト記憶部103の構成は、第一の実施の形態の第一の変形例におけるオブジェクト記憶部103の構成と同様である。オブジェクト受信部201の構成は、第二の実施の形態におけるオブジェクト受信部201の構成と同様である。オブジェクト関連者取得部202は、第二の実施の形態におけるオブジェクト関連者取得部202の構成と同様である。
【0124】
===生活動線保存部307===
生活動線保存部307は、人物を識別できるユーザ識別子と対応する人物の生活動線を示す生活動線情報とを対応付けて記憶する。図22は、生活動線保存部307が記憶する情報の一例を示す図である。
【0125】
生活動線とは、ある人物が日常生活において行動した位置または経路の集合である。生活動線情報は、位置または経路の集合である生活動線を示す情報である。例えば、生活動線情報は、緯度と経度との組を複数含む集合であってもよいし、ある起点を示す情報と複数のベクトルとを含む情報であってもよい。また生活動線情報は、時刻を示す情報を含んでもよい。例えば、生活動線情報は、緯度と経度と時刻を示す情報との組を複数含む集合であってもよいし、ある起点を示す情報とある時刻とを示す情報の組と、複数のベクトルと時刻を示す情報との組と、を含む情報であってもよい。
【0126】
生活動線情報は、通信事業者が収集するライフログ(Life Log)に含まれる位置情報および時刻情報の少なくともいずれかに基づいて特定される情報であってもよい。または、関係性判定装置300は、各人物が使用する通信装置から位置を示す情報を受け取り、受け取った情報に基づいて生活動線情報を生成してもよい。例えば関係性判定装置300は、通信装置が備えるGPS(Global Positioning System)機能に基づいて各人物の生活動線に関する情報を定期的に収集し、その情報に基づいて生活動線情報を生成してもよい。
【0127】
生活動線とは、ある人物が日常生活において頻繁に行動する位置または経路の集合であってもよい。この場合、関係性判定装置300は、生活動線情報に含まれる位置または経路を示す情報の重複が所定数以上の場合にその重複した情報の少なくともいずれかを生活動線情報として生活動線保存部307に記憶してもよい。
【0128】
===生活動線乖離度計算部308===
生活動線乖離度計算部308は、分散値計算部304が特定のユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトを読み出した際に、そのオブジェクト毎に以下の処理を行う。すなわち生活動線乖離度計算部308は、分散値計算部304からオブジェクトに対応付けられている前述の特定のユーザ識別子と位置情報とを受け取る。そして生活動線乖離度計算部308は、前述の特定のユーザ識別子毎に、そのユーザ識別子に対応付けられている生活動線情報を生活動線保存部307から読み出す。そして生活動線乖離度計算部308は、受け取った位置情報で特定される位置と読み出した生活動線情報で特定される経路との最短距離を計算する。そして生活動線乖離度計算部308は、計算した最短距離に基づいて生活動線乖離度を特定する。
【0129】
図23は、生活動線乖離度計算部308が最短距離に基づいて特定する生活動線乖離度の例を示す図である。図23を参照すると、最短距離が3キロメートル未満の場合、乖離度は1と特定される。また最短距離が3キロメートル以上10キロメートル未満の場合、乖離度は2と特定される。また最短距離が10キロメートル以上50キロメートル未満の場合、乖離度は3と特定される。また最短距離が50キロメートル以上の場合、乖離度は4と特定される。
【0130】
生活動線乖離度計算部308は、計算した生活動線乖離度を、前述の特定のユーザ識別子と共に分散値計算部304に渡す。生活動線乖離度計算部308は、生活動線乖離度と前述の特定のユーザ識別子と共に前述のオブジェクト数を分散値計算部304に渡してもよい。
【0131】
===分散値計算部304===
分散値計算部304は、ユーザ端末211からユーザ識別子を受け取る。そして分散値計算部304は、受け取ったユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトをオブジェクト記憶部103から読み出す。当該動作は、第一の実施の形態における分散値計算部104の動作と同様である。
【0132】
分散値計算部304は、読み出したオブジェクト毎に、それぞれに対応付けられる位置情報と前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子とを生活動線乖離度計算部308へ渡す。そして、分散値計算部304は、前述の特定のユーザ識別子と生活動線乖離度を受け取る。
【0133】
分散値計算部304は、受け取った生活動線乖離度に基づいて前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応する生活動線乖離度の平均値を計算する。
【0134】
なお、分散値計算部304は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいてその位置の分散値を計算する。また分散値計算部304は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいてその時刻の分散値を計算する。当該動作は、第一の実施の形態における分散値計算部104の動作と同様である。
【0135】
図24は、分散値計算部304がある人物Mと人物Nとのユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトに基づいて位置の分散値、時刻の分散値、および生活動線乖離度の平均値を計算した結果の一例を示す図である。図24を参照すると、picture003ないしpicture010の8個のオブジェクトに対し、時刻の分散値9.69643が計算されている。また、図24において位置の分散値は緯度の分散値と経度の分散値とで表現されている。そしてpicture003ないしpicture010の8個のオブジェクトに対し、緯度の分散値0.02605が計算されている。また同様に経度の分散値0.01893が計算されている。また生活動線乖離度の平均値1.375が計算されている。
【0136】
分散値計算部304は、生活動線乖離度計算部308から受け取る生活動線乖離度とその生活動線乖離度を計算する元になるオブジェクトに対応付けられている時刻情報とに基づいて新たな乖離度を計算してもよい。図25は、分散値計算部304が計算する新たな乖離度の一例を示す図である。図25を参照すると、分散値計算部304は、オブジェクトに対応付けられている時刻情報が「休日」を示している際に乖離度が大きくなるよう計算し、オブジェクトに対応付けられている時刻情報が「平日」を示している際に乖離度が小さくなるよう計算する。
【0137】
分散値計算部304は、前述の生活動線乖離度の平均値を計算する代わりに、この新たな乖離度の平均値を求めてもよい。
【0138】
分散値計算部304は、位置の分散値、時刻の分散値および生活動線乖離度の平均値を、対応するユーザ識別子に対応付けて関係性判定部305に渡す。
【0139】
===関係性判定部305===
関係性判定部305は、分散値計算部304が計算した、位置の分散値と時刻の分散値と、生活動線乖離度の平均値とを、それらの値に対応するユーザ識別子と共にそれぞれ受け取る。
【0140】
関係性判定部305は、以下の条件が満たされる場合に、受け取ったユーザ識別子で識別される人物間に所定の関係があると判定する。第一の条件は、関係性判定部305がユーザ識別子と共に受け取った位置の分散値が第一の閾値以上であり時刻の分散値が第二の閾値以上であることである。第二の条件は、前述のユーザ識別子と共に受け取った生活動線乖離度が所定の閾値以上であることである。
【0141】
関係性判定部305は、関係性を示す情報として、該当する人物間の関係性の程度(または大きさ)を表す情報である関係度を特定してもよい。例えば関係性判定部305は、次の[数6]のように各分散値の線形和を関係度と特定してもよい。
【0142】
【数6】

【0143】
[数6]において、Rは関係度を示す。tは時刻の分散値を示す。pは位置の分散値を示す。lは生活動線乖離度の平均値を示す。α、βおよびγは、任意の実数を示す。α、βおよびγは、あらかじめ定められる値であってもよい。
【0144】
図26は、第三の実施の形態における関係性判定システム30の動作の一例を示すフローチャートである。図26において、ステップS301乃至ステップS306の各動作はそれぞれ図14におけるステップS201乃至ステップS206の各動作とそれぞれ同様である。したがって説明は、省略される。
【0145】
分散値計算部304は、読み出したオブジェクト毎に、それぞれに対応付けられる位置情報とそのオブジェクトに対応付けられているユーザ識別子とを生活動線乖離度計算部308へ渡す(ステップS307)。
【0146】
生活動線乖離度計算部308は、分散値計算部304からオブジェクトに対応付けられている前述の特定のユーザ識別子と位置情報とを受け取る。そして生活動線乖離度計算部308は、前述の特定のユーザ識別子毎に、そのユーザ識別子に対応付けられている生活動線情報を生活動線保存部307から読み出す(ステップS308)。
【0147】
そして生活動線乖離度計算部308は、受け取った位置情報で特定される位置と読み出した生活動線情報で特定される経路との最短距離を計算する(ステップS309)。そして生活動線乖離度計算部308は、計算した最短距離に基づいて生活動線乖離度を特定する(ステップS310)。
【0148】
生活動線乖離度計算部308は、計算した生活動線乖離度を、前述の特定のユーザ識別子と共に分散値計算部304に渡す。
【0149】
分散値計算部304は、ステップS306の処理にて選択される、少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいてその位置の分散値を計算する。また分散値計算部304は、前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいてその時刻の分散値を計算する(ステップS311)。
【0150】
さらに分散値計算部304は、受け取った生活動線乖離度に基づいて前述の少なくとも2つの特定のユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトに対応する生活動線乖離度の平均値を計算する(ステップS312)。分散値計算部304は、位置の分散値と時刻の分散値と生活動線乖離度の平均値と、それらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを関係性判定部305に渡す。
【0151】
関係性判定部305は、分散値計算部304が計算した位置の分散値と時刻の分散値と生活動線乖離度の平均値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。そして関係性判定部305は、各分散値および生活動線乖離度の平均値に基づいて該当する人物間の関係を特定し、その関係性を示す情報を生成する(ステップS313)。関係性判定部305は、ユーザ識別子の集合と、その集合に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係性を示す情報と、その関係を判定する際に用いられた位置の分散値および時刻の分散値と、を含む情報を送信する(ステップS314)。
【0152】
ユーザ端末211は、関係性判定装置300からユーザ識別子の集合と、その集合に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係性を示す情報と、その関係を判定する際に用いられた位置の分散値および時刻の分散値と、を含む情報を受け取る。そしてユーザ端末211は受け取った各情報を例えばディスプレイなどの出力装置に出力する(ステップS315)。
【0153】
関係性判定装置300は、ステップS305の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子のすべてがステップS306において「特定のユーザ識別子」として選択されるまで、ステップS306乃至ステップS313の処理をくり返し実行してもよい。例えば関係性判定装置300は、ステップS305の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子に含まれる任意の2つ組の中で、ステップS306において選択していない2つ組がなくなるまでステップS306乃至ステップS313の処理をくり返し実行してもよい。すなわち関係性判定装置300は、ステップS305の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子の中から任意の2つ組を1つ選択し、選択した組を入力としてステップS306乃至ステップS313の処理を実行する。そして関係性判定装置300は、ステップS305の処理においてユーザ端末211から送信されたユーザ識別子に含まれる2つ組の中でまだ選択していない組がある場合、その組を選択し、ステップS306乃至ステップS313の処理を実行する。
【0154】
また関係性判定装置300は、ステップS305の処理において関係元を示すユーザ識別子と関係先を示すユーザ識別子とを受け取ってもよい。この場合関係性判定装置300は、関係元のユーザ識別子と関係先のユーザ識別子とのすべての組み合わせについて、ステップS306乃至ステップS313の処理をくり返し実行してもよい。
【0155】
第三の実施の形態における関係性判定システム30は、ある人物が日常生活において行動した位置または経路の集合である生活動線を示す生活動線情報にも基づいて、人物間の関係性を判定する。したがって第三の実施の形態における関係性判定システム30は、それぞれの人物毎に人物間の関係の判定基準をカスタマイズできるので、より高精度に人物間の関係を判定することができる。
【0156】
[第四の実施の形態]
図27は、第四の実施の形態における関係性判定システム40の構成を示すブロック図である。図27を参照すると、関係性判定システム40は、関係性判定装置400とユーザ端末411を備える。第二の実施の形態における関係性判定システム20と同様に、関係性判定システム40が備えるユーザ端末411の台数は1台に限られない。例えば以下の説明において、関係性判定システム40は、複数のユーザ端末411を備えてもよい。以下、関係性判定装置400の構成について説明する。
【0157】
図28は、関係性判定装置400の構成を示すブロック図である。図28を参照すると、関係性判定装置400は、オブジェクト受信部201とオブジェクト関連者取得部202と、オブジェクト記憶部103と、分散値計算部404と、関係性判定部205と、お友達度計算部409と、を備える。オブジェクト記憶部103の構成は、第一の実施の形態の第一の変形例におけるオブジェクト記憶部103の構成と同様である。オブジェクト受信部201の構成は、第二の実施の形態におけるオブジェクト受信部201の構成と同様である。オブジェクト関連者取得部202は、第二の実施の形態におけるオブジェクト関連者取得部202の構成と同様である。関係性判定部205の構成は、第二の実施の形態における関係性判定部205の構成と同様である。
【0158】
===お友達度計算部409===
お友達度計算部409は、オブジェクト関連者取得部202が新たにオブジェクトをオブジェクト記憶部103に記憶する際に、以下の処理を実行する。すなわちお友達度計算部409は、その新たなオブジェクトに対応付けられているユーザ識別子とその新たなオブジェクトを識別できるオブジェクト識別子とをオブジェクト関連者取得部202から受け取る。そしてお友達度計算部409は、受け取ったユーザ識別子とオブジェクト識別子とを分散値計算部404に渡す。
【0159】
お友達度計算部409は、分散値計算部404から、前述の新たなオブジェクトを除いたオブジェクトに基づいて計算された第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。またお友達度計算部409は、分散値計算部404から、前述の新たなオブジェクトを加えたオブジェクトに基づいて計算された第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。
【0160】
お友達度計算部409は、第一の位置の分散値と第二の位置の分散値との差分、および第一の時刻の分散値と第二の時刻の分散値との差分を計算する。そしてお友達度計算部409は、計算した各差分に基づいてそれらの差分の元となる各分散値と共に受け取ったユーザ識別子で識別できる人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する。
【0161】
お友達度とは、人物間の関係の変化を示す情報である。本実施の形態では、お友達度は、所定の関係性が高くなる程、高くなる情報であると定義される。例えば、所定の各人物が色々な場所へ色々な時刻に一緒にお出掛けをして写真を撮ることにより、その所定の各人物間の所定の関係性が増加する。これにより、お友達度も高くなると判断される。
【0162】
例えばお友達度計算部409は、次の[数7]のように各差分の線形和をお友達度と特定してもよい。
【0163】
【数7】

【0164】
[数7]において、Fはお友達度を示す。Δtは時刻の分散値の差分を示す。Δpは位置の分散値の差分を示す。αおよびβは、任意の実数を示す。αおよびβは、あらかじめ定められる値であってもよい。
【0165】
お友達度計算部409は、ユーザ識別子の組とそれらのユーザ識別子で識別できる人物間のお友達度とをユーザ端末411へ送信する。
【0166】
===分散値計算部404===
分散値計算部404は、ユーザ端末411からユーザ識別子を受け取る。そして分散値計算部404は、受け取ったユーザ識別子のうち2以上の特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトと、そのオブジェクトに対応付けられている特定のユーザ識別子と位置情報と時刻情報とをオブジェクト記憶部103から読み出す。
【0167】
分散値計算部404は、読み出したオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいてその位置の分散値を計算する。また分散値計算部404は、読み出したオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいてその時刻の分散値を計算する。
【0168】
分散値計算部404は、ユーザ識別子とそのユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトに基づいて計算された位置の分散値と時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを関係性判定部205に渡す。
【0169】
以上の動作は、第二の実施の形態における分散値計算部104の動作と同様である。
【0170】
分散値計算部404は、お友達度計算部409からユーザ識別子とオブジェクト識別子とを受け取る。すると分散値計算部404は、受け取ったユーザ識別子に含まれる2以上の特定のユーザ識別子のすべてと対応付けられているオブジェクトと位置情報と時刻情報とをオブジェクト記憶部103から読み出す。
【0171】
そして分散値計算部404は、読み出したオブジェクトから、お友達度計算部409から受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクト以外のオブジェクトを特定する。そして分散値計算部404は、特定したオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいて第一の位置の分散値を計算する。また分散値計算部404は、前述の特定したオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいて第一の時刻の分散値を計算する。さらに、分散値計算部404は、前述の読み出したオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいて第二の位置の分散値を計算する。また分散値計算部404は、読み出したオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいて第二の時刻の分散値を計算する。
【0172】
分散値計算部404は、第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値と第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いた前述の2以上の特定のユーザ識別子の組とをお友達度計算部409に渡す。
【0173】
次にユーザ端末411の構成について説明する。
【0174】
ユーザ端末411は、ユーザ端末211と同様の特徴を有する。さらにユーザ端末411は、お友達度計算部409からユーザ識別子とお友達度とを受け取るとそれらの情報を出力する。図29は、ユーザ端末411が出力するお友達度の一例を示す図である。図29を参照すると、時間経過に応じて友達度が上昇している。これは、ユーザ端末411がこのお友達度と共に受け取るユーザ識別子で識別される人物間の関係が友達関係になってきたことを表す。
【0175】
図30は、第四の実施の形態における関係性判定システム40の第二の実施の形態とは異なる動作の概要の一例を示す図である。
【0176】
オブジェクト関連者取得部202は、所定の方法によって取得したユーザ識別子と、対応するオブジェクトと、そのオブジェクトに対応付けられている位置情報および時刻情報と、を対応付けてオブジェクト記憶部103に記憶する(ステップS401)。
【0177】
お友達度計算部409は、オブジェクト関連者取得部202がオブジェクト記憶部103に記憶するオブジェクトのオブジェクト識別子とそのオブジェクトに対応付けられるユーザ識別子とをオブジェクト関連者取得部202から受け取る(ステップS402)。そしてお友達度計算部409は、受け取ったユーザ識別子とオブジェクト識別子とを分散値計算部404に渡す。
【0178】
分散値計算部404は、お友達度計算部409からユーザ識別子とオブジェクト識別子とを受け取る。分散値計算部404は、受け取ったユーザ識別子に含まれる2以上の特定のユーザ識別子のすべてと対応付けられているオブジェクトと位置情報と時刻情報とをオブジェクト記憶部103から読み出す(ステップS403)。
【0179】
分散値計算部404は、読み出したオブジェクトのうち、お友達度計算部409から受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクト以外のオブジェクトを特定する。そして分散値計算部404は、特定したオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいて第一の位置の分散値を計算する。また分散値計算部404は、前述の特定したオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいて第一の時刻の分散値を計算する(ステップS404)。さらに分散値計算部404は、前述の読み出したオブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置に基づいて第二の位置の分散値を計算する。また分散値計算部404は、読み出したオブジェクトに対応付けられている時刻情報で識別される時刻に基づいて第二の時刻の分散値を計算する(ステップS405)。
【0180】
分散値計算部404は、第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値と第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値とそれらの値を計算する際に用いたユーザ識別子の組とをお友達度計算部409に渡す。
【0181】
お友達度計算部409は、分散値計算部404から、第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値とユーザ識別子の組とを受け取る。またお友達度計算部409は、分散値計算部404から、第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値とユーザ識別子の組とを受け取る。
【0182】
お友達度計算部409は、第一の位置の分散値と第二の位置の分散値との差分、および第一の時刻の分散値と第二の時刻の分散値との差分を計算する(ステップS406)。そしてお友達度計算部409は、計算した各差分に基づいてその差分の元となる各分散値と共に受け取ったユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する(ステップS407)。
【0183】
お友達度計算部409は、ユーザ識別子とそのユーザ識別子で識別される人物間のお友達度とをユーザ端末411へ送信する。
【0184】
ユーザ端末411は、お友達度計算部409からユーザ識別子とお友達度とを受け取るとそれらの情報を出力する(ステップS408)。
【0185】
関係性判定装置400は、ステップS402の処理によって分散値計算部404がお友達度計算部409から受け取るユーザ識別子のすべてがステップS403において「特定のユーザ識別子」として選択されるまで、ステップS403乃至ステップS407の処理をくり返し実行してもよい。例えば関係性判定装置400は、ステップS402の処理によってお友達度計算部409から分散値計算部404へ渡されるユーザ識別子に含まれる任意の2つ組の中で、ステップS403において選択していない2つ組がなくなるまでステップS403乃至ステップS407の処理をくり返し実行してもよい。すなわち関係性判定装置400は、ステップS402の処理によってお友達度計算部409から分散値計算部404へ渡されるユーザ識別子の中から任意の2つ組を1つ選択し、選択した組を入力としてステップS403乃至ステップS407の処理を実行する。そして関係性判定装置400は、ステップS402の処理によってお友達度計算部409から分散値計算部404へ渡されるユーザ識別子に含まれる2つ組の中でまだ選択していない組がある場合、その組を選択する。関係性判定装置400は、選択した組に基づいてステップS403乃至ステップS407の処理を実行する。
【0186】
また関係性判定装置400は、ステップS402の処理によって関係元を示すユーザ識別子と関係先を示すユーザ識別子とを受け取ってもよい。この場合関係性判定装置400は、関係元のユーザ識別子と関係先のユーザ識別子とのすべての組み合わせについて、ステップS403乃至ステップS407の処理をくり返し実行してもよい。関係元を示す情報と関係先を示す情報とは、ユーザ端末411がオブジェクトと共に関係性判定装置400へ送信してもよい。または、これらの情報はオブジェクト関連者取得部202があらかじめ記憶してもよい。
【0187】
第四の実施の形態における関係性判定システム40は、あるユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトが記憶される際に、以下の処理を実行する。すなわち関係性判定システム40は、当該ユーザ識別子に含まれる特定のユーザ識別子に対応付けられているオブジェクトに基づいて、位置の分散値の差分と時刻の分散値の差分とを計算する。そして関係性判定システム40は、各分散値に基づいて前述の特定のユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する。そして関係性判定システム40は、計算したお友達度を出力する。
【0188】
よって第四の実施の形態における関係性判定システム40は、特定の人物間の関係の変化という本来数値化できない情報を可視化することができる。また、第四の実施の形態における関係性判定システム40は、特定の人物間の関係とその関係の変化とを示す情報を出力することができるので、より高精度に人物間の関係を判定することができる。またこの関係性判定システム40のユーザは、特定の人物間の関係とその関係の変化とを示す情報を受けとることができ、より高精度に人物間の関係を判定することができる。
【0189】
[第四の実施の形態の第一の変形例]
第四の実施の形態における関係性判定システム40に、第三の実施の形態の関係性判定システム30における一部の構成が追加されてもよい。図31は、第四の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム40の構成の一例を示すブロック図である。なお、第四の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム40は、関係性判定部305を備える。
【0190】
===お友達度計算部409===
お友達度計算部409は、オブジェクト関連者取得部202が新たにオブジェクトをオブジェクト記憶部103に記憶する際に、以下の処理を実行する。すなわちお友達度計算部409は、そのオブジェクトに対応付けられているユーザ識別子とそのオブジェクトを識別できるオブジェクト識別子とをオブジェクト関連者取得部202から受け取る。そしてお友達度計算部409は、受け取ったユーザ識別子とオブジェクト識別子とを分散値計算部404に渡す。
【0191】
お友達度計算部409は、分散値計算部404から、前述の新たなオブジェクトを除いたオブジェクトに基づいて計算された第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値と第一の生活動線乖離度の平均値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。またお友達度計算部409は、分散値計算部404から、前述の新たなオブジェクトを加えたオブジェクトに基づいて計算された第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値と第二の生活動線乖離度の平均値とそれらの値を計算する際に用いられたユーザ識別子の組とを受け取る。
【0192】
お友達度計算部409は、第一の位置の分散値と第二の位置の分散値との差分、第一の時刻の分散値と第二の時刻の分散値との差分、および第一の生活動線乖離度と第二の生活動線乖離度との差分を計算する。そしてお友達度計算部409は、計算した各差分に基づいてそれらの差分の元となる各分散値と共に受け取ったユーザ識別子で識別できる人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する。
【0193】
例えばお友達度計算部409は、次の[数8]のように各差分の線形和をお友達度と特定してもよい。
【0194】
【数8】

【0195】
[数8]において、Fはお友達度を示す。Δtは時刻の分散値の差分を示す。Δpは位置の分散値の差分を示す。Δlは生活動線乖離度の平均値の差分を示す。α、βおよびγは、任意の実数を示す。α、βおよびγは、あらかじめ定められる値であってもよい。
【0196】
お友達度計算部409は、ユーザ識別子の組とそれらのユーザ識別子で識別できる人物間のお友達度とをユーザ端末411へ送信する。
【0197】
===分散値計算部404===
分散値計算部404は、お友達度計算部409からユーザ識別子とオブジェクト識別子とを受け取る。すると分散値計算部404は、受け取ったユーザ識別子のうち2以上の特定のユーザ識別子と対応付けられているオブジェクトと、そのオブジェクトに対応付けられている特定のユーザ識別子と位置情報と時刻情報とをオブジェクト記憶部103から読み出す。
【0198】
そして分散値計算部404は、読み出したオブジェクトのうち、お友達度計算部409から受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクト以外のオブジェクトを特定する。そして分散値計算部404は、特定したオブジェクトに対応付けられている位置情報とユーザ識別子との組を生活動線乖離度計算部308に渡す。そして分散値計算部404は、生活動線乖離度計算部308から第一の生活動線乖離度を受け取る。分散値計算部404は、受け取った第一の生活動線乖離度に基づいて第一の生活動線乖離度の平均値を計算する。
【0199】
分散値計算部404は、受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクトに対応付けられる位置情報とユーザ識別子とを生活動線乖離度計算部308に渡す。そして分散値計算部404は、生活動線乖離度計算部308から第二の生活動線乖離度を受け取る。分散値計算部404は、第一の生活動線乖離度および第二の生活動線乖離度に基づいて、第二の生活動線乖離度の平均値を計算する。
【0200】
分散値計算部404は、第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値と第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値と第一の生活動線乖離度の平均値と第二の生活動線乖離度の平均値とをお友達度計算部409に渡す。また分散値計算部404はそれらの値を計算する際に用いたユーザ識別子の組をお友達度計算部409に渡す。
【0201】
第四の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム40は、特定の人物を識別できるユーザ識別子に対応付けられるオブジェクトが記憶される際に、以下の処理を実行する。すなわち関係性判定システム40は、当該ユーザ識別子に含まれる特定のユーザ識別子に対応付けられているオブジェクトに基づいて、位置の分散値の差分と時刻の分散値の差分とを計算する。さらに関係性判定システム40は、当該特定のユーザ識別子に基づいて特定されるオブジェクトと当該特定のユーザ識別子で識別される人物の生活動線情報とに基づいて、生活動線乖離度を計算し、それらの平均値を計算する。そして関係性判定システム40は、各分散値および生活動線乖離度の平均値に基づいて、前述の特定のユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する。そして関係性判定システム40は、計算したお友達度を出力する。
【0202】
よって、第四の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム40は、特定の人物間の関係の変化という本来数値化できない情報を可視化することができる。またこの人物間の関係の変化の判定基準は、各人物の生活動線情報に基づいた生活動線乖離度の差分によって定められるので、それぞれの人物毎に人物間の関係の変化の判定基準をカスタマイズできる。
【0203】
また、第四の実施の形態の第一の変形例における関係性判定システム40は、特定の人物間の関係とその関係の変化とを示す情報を出力することができるので、より高精度に人物間の関係を判定することができる。
【0204】
またこの関係性判定システム40のユーザは、特定の人物間の関係とその関係の変化とを示す情報を受けとることができ、より高精度に人物間の関係を判定することができる。
【0205】
以上、各実施の形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0206】
また、本発明の各実施の形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、コンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは、磁気ディスクや半導体メモリなどのコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られる。この読み取られたプログラムは、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における構成要素として機能させる。
【0207】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0208】
(付記1)
人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する関係性判定部と、
を備える関係性判定装置。
【0209】
(付記2)
付記1に記載の関係性判定装置であって、
前記関係性判定部は、前記位置の分散値が前記第一の閾値未満である、および前記時刻の分散値が前記第二の閾値未満である、のいずれか一方が満たされる場合に、前記特定のユーザ識別子で識別される人物間に前記所定の関係とは異なる関係があると判定する関係性判定装置。
【0210】
(付記3)
付記1または2に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部が受け取った前記オブジェクトを前記分散値計算部から受け取り、当該オブジェクトに対応付けられる位置情報および時刻情報の差が所定の閾値以下であるオブジェクト毎に集合を特定し、特定された集合毎に一のオブジェクトを特定し、特定されたオブジェクトを前記分散値計算部に渡すオブジェクト選択部を備え、
前記分散値計算部は、前記オブジェクト選択部から受け取ったオブジェクトに基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する、関係性判定装置。
【0211】
(付記4)
付記1乃至3のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記関係性判定部は、前記位置の分散値が前記第一の閾値以上であり前記時刻の分散値が前記第二の閾値以上であり、かつ、前記分散値計算部が前記位置の分散値および前記時刻の分散値を計算する際に用いたオブジェクトの数が所定の閾値以上である場合に、前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定装置。
【0212】
(付記5)
付記1乃至4のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部は、ユーザ識別子毎に所定の位置情報を対応付けて記憶し、
前記分散値計算部は、前記受け取ったオブジェクトに対応付けられている位置情報で示される位置が、当該オブジェクトに対応付けられているユーザ識別子に対応付けられて自身が記憶している位置情報で示される位置である場合に当該位置情報に対し所定の係数を対応付けることで変換し、
前記分散値計算部は、前記変換した位置情報に基づいて位置の分散値を計算する、関係性判定装置。
【0213】
(付記6)
付記1乃至5のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部は、ユーザ識別子毎に所定の時刻情報を対応付けて記憶し、
前記分散値計算部は、前記受け取ったオブジェクトに対応付けられている時刻情報で示される時刻が、当該オブジェクトに対応付けられているユーザ識別子に対応付けられて自身が記憶している時刻情報で示される時刻である場合に当該時刻情報に対し所定の係数を対応付けることで変換し、
前記分散値計算部は、前記変換した時刻情報に基づいて時刻の分散値を計算する、関係性判定装置。
【0214】
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
2以上の位置を結ぶ経路を示す生活動線情報とユーザ識別子とを対応付けて記憶する生活動線記憶部と、
前記分散値計算部が前記受け取ったオブジェクトごとに、オブジェクトに含まれるユーザ識別子に対応付けられる生活動線情報で識別される経路上の任意の位置と当該オブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置との最短距離を計算し、計算した最短距離に対応する生活動線乖離度を計算する生活動線乖離度計算部とを備え、
前記分散値計算部は、前記生活動線乖離度計算部が計算した生活動線乖離度の平均値を計算し、
前記関係性判定部は、前記分散値計算部が計算した前記平均値が所定の閾値以上である場合に前記少なくとも2つの特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定装置。
【0215】
(付記8)
付記7に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部は、前記生活動線乖離度計算部が計算した生活動線乖離度と当該生活動線乖離度を計算する際に用いられたオブジェクトに対応付けられている時刻情報とに基づいて、新たな乖離度を計算し、計算した前記新たな乖離度の平均値を計算し、
前記関係性判定部は、前記分散値計算部が計算した前記新たな乖離度の平均値が所定の閾値以上である場合に前記少なくとも2つの特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定装置。
【0216】
(付記9)
付記1乃至8のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
ユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと位置情報と時刻情報とを対応付けて記憶するオブジェクト記憶部と、
オブジェクトを受け取り、当該オブジェクトに含まれる特徴情報に基づいて、その特徴情報で識別される人物を識別できるユーザ識別子を取得し、当該オブジェクトと当該ユーザ識別子と、前記オブジェクト受信部が当該オブジェクトと共に受け取る位置情報および時刻情報と、を対応付けて前記オブジェクト記憶部に記憶するオブジェクト関連者取得部と、
前記オブジェクト関連者取得部がオブジェクトを前記オブジェクト記憶部に記憶する際に、前記オブジェクトに対応付けられるユーザ識別子と当該オブジェクトを識別できるオブジェクト識別子とを受け取り、受け取った前記ユーザ識別子と前記オブジェクト識別子とを前記分散値計算部に渡すお友達度計算部とを備え、
前記分散値計算部は、前記オブジェクト記憶部に記憶されたオブジェクトと位置情報と時刻情報とを読み出し、読み出した位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算し、
前記分散値計算部は、前記お友達度計算部からユーザ識別子とオブジェクト識別子とを受け取ると、受け取ったユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトを前記オブジェクト記憶部から読み出し、読み出したオブジェクトのうち前記オブジェクト識別子で識別されるオブジェクト以外のオブジェクトに基づいて第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値とを計算し、
前記分散値計算部は、前記読み出したオブジェクトに基づいて第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値とを計算し、
前記分散値計算部は前記第一の位置の分散値と前記第一の時刻の分散値と前記第二の位置の分散値と前記第二の時刻の分散値とを前記お友達度計算部に渡し、
前記お友達度計算部は、前記第一の位置の分散値と前記第二の位置の分散値との差分、および、前記第一の時刻の分散値と前記第二の時刻の分散値との差分を計算し、計算した差分に基づいて、前記オブジェクト関連者取得部から受け取ったユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する、関係性判定装置。
【0217】
(付記10)
付記9に記載の関係性判定装置であって、
2以上の位置を結ぶ経路を示す生活動線情報とユーザ識別子とを対応付けて記憶する生活動線記憶部と、
前記分散値計算部が前記読み出したオブジェクトごとに、オブジェクトに含まれるユーザ識別子に対応付けられる生活動線情報で識別される経路上の任意の位置と当該オブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置との最短距離を計算し、計算した最短距離に対応する生活動線乖離度を計算する生活動線乖離度計算部とを備え、
前記分散値計算部は、前記お友達度計算部から受け取ったユーザ識別子に基づいて前記オブジェクト記憶部から読み出したオブジェクト毎に、オブジェクトに対応付けられているユーザ識別子と位置情報とを前記生活動線乖離度計算部に渡し、
前記分散値計算部は、前記生活動線乖離度計算部から受け取った生活動線乖離度のうち、前記お友達度計算部から受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクトに基づいて計算された生活動線乖離度以外の生活動線乖離度から第一の生活動線乖離度の平均値を計算し、前記生活動線乖離度計算部から受け取った生活動線乖離度から第二の生活動線乖離度の平均値を計算し、
前記分散値計算部は前記第一の生活動線乖離度の平均値と前記第二の生活動線乖離度の平均値とを前記お友達度計算部に渡し、
前記お友達度計算部は、前記第一の生活動線乖離度の平均値と第二の生活動線乖離度の平均値との差分を計算し、前記第一の位置の分散値と前記第二の位置の分散値との差分、前記第一の時刻の分散値と前記第二の時刻の分散値との差分、および前記第一の生活動線乖離度の平均値と第二の生活動線乖離度の平均値との差分に基づいて、前記オブジェクト関連者取得部から受け取ったユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する、関係性判定装置。
【0218】
(付記11)
付記8乃至10のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記関係性判定部は、ユーザ識別子の組の集合を受け取り、
前記分散値計算部は、前記関係性判定部が受け取るユーザ識別子の組毎にその組に含まれるユーザ識別子のすべてに対応付けられるオブジェクトを前記オブジェクト記憶部から読み出し、読み出したオブジェクトに基づいて前記位置の分散値と前記時刻の分散値とを計算し、
前記関係性判定部は、前記ユーザ識別子の組毎に計算する前記位置の分散値と前記時刻の分散値とに基づいて、前記ユーザ識別子の組のすべてについて、当該組に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係が同じと判定されるように前記所定の閾値を変更する、関係性判定装置。
【0219】
(付記12)
人物を識別できる情報である特徴情報を含むオブジェクトとある位置を示す位置情報とある時刻を示す時刻情報とを送信するユーザ端末と、
人物を識別できるユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトとある位置を示す位置情報とある時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶するオブジェクト記憶部と、
関係性判定装置と、を備え、
前記関係性判定装置は、
前記ユーザ端末からオブジェクトと位置情報と時刻情報とを受け取るオブジェクト受信部と、
前記オブジェクト受信部が受け取るオブジェクトに含まれる特徴情報に基づいて、その特徴情報で識別される人物を識別できるユーザ識別子を取得し、当該オブジェクトと当該ユーザ識別子と、前記オブジェクト受信部が当該オブジェクトと共に受け取る位置情報および時刻情報と、を対応付けて前記オブジェクト記憶部に記憶するオブジェクト関連者取得部と、
前記ユーザ端末からユーザ識別子を受け取ると、前記オブジェクト記憶部から、受け取ったユーザ識別子のうちの少なくとも2つのユーザ識別子に対応付けられているオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられている位置情報および時刻情報とを読み出し、読み出した位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記少なくとも2つのユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定し、当該少なくとも2つのユーザ識別子と対応付けて前記所定の関係を示す情報を生成する関係性判定部と、
を備え、
前記ユーザ端末は、前記関係性判定部が生成した前記所定の関係を示す情報と前記少なくとも2つのユーザ識別子とを出力する、関係性判定システム。
【0220】
(付記13)
人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算し、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定方法。
【0221】
(付記14)
コンピュータに、
人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する処理と、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する処理と、を実行させるための関係性判定プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明の各形態における関係性判定システムは、人物間の関係に応じてサービスを提供するシステムとして用いられることが可能である。
【符号の説明】
【0223】
20 関係性判定システム
30 関係性判定システム
40 関係性判定システム
100 関係性判定装置
200 関係性判定装置
300 関係性判定装置
400 関係性判定装置
201 オブジェクト受信部
202 オブジェクト関連者取得部
103 オブジェクト記憶部
104 分散値計算部
304 分散値計算部
404 分散値計算部
105 関係性判定部
205 関係性判定部
305 関係性判定部
106 オブジェクト選択部
307 生活動線保存部
308 生活動線乖離度計算部
409 お友達度計算部
211 ユーザ端末
411 ユーザ端末
1000 ユーザ入力
1001 アドレス帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する関係性判定部と、
を備える関係性判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の関係性判定装置であって、
前記関係性判定部は、前記位置の分散値が前記第一の閾値未満である、および前記時刻の分散値が前記第二の閾値未満である、のいずれか一方が満たされる場合に、前記特定のユーザ識別子で識別される人物間に前記所定の関係とは異なる関係があると判定する関係性判定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部が受け取った前記オブジェクトを前記分散値計算部から受け取り、当該オブジェクトに対応付けられる位置情報および時刻情報の差が所定の閾値以下であるオブジェクト毎に集合を特定し、特定された集合毎に一のオブジェクトを特定し、特定されたオブジェクトを前記分散値計算部に渡すオブジェクト選択部を備え、
前記分散値計算部は、前記オブジェクト選択部から受け取ったオブジェクトに基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する、関係性判定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記関係性判定部は、前記位置の分散値が前記第一の閾値以上であり前記時刻の分散値が前記第二の閾値以上であり、かつ、前記分散値計算部が前記位置の分散値および前記時刻の分散値を計算する際に用いたオブジェクトの数が所定の閾値以上である場合に、前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部は、ユーザ識別子毎に所定の位置情報を対応付けて記憶し、
前記分散値計算部は、前記受け取ったオブジェクトに対応付けられている位置情報で示される位置が、当該オブジェクトに対応付けられているユーザ識別子に対応付けられて自身が記憶している位置情報で示される位置である場合に当該位置情報に対し所定の係数を対応付けることで変換し、
前記分散値計算部は、前記変換した位置情報に基づいて位置の分散値を計算する、関係性判定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部は、ユーザ識別子毎に所定の時刻情報を対応付けて記憶し、
前記分散値計算部は、前記受け取ったオブジェクトに対応付けられている時刻情報で示される時刻が、当該オブジェクトに対応付けられているユーザ識別子に対応付けられて自身が記憶している時刻情報で示される時刻である場合に当該時刻情報に対し所定の係数を対応付けることで変換し、
前記分散値計算部は、前記変換した時刻情報に基づいて時刻の分散値を計算する、関係性判定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
2以上の位置を結ぶ経路を示す生活動線情報とユーザ識別子とを対応付けて記憶する生活動線記憶部と、
前記分散値計算部が前記受け取ったオブジェクトごとに、オブジェクトに含まれるユーザ識別子に対応付けられる生活動線情報で識別される経路上の任意の位置と当該オブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置との最短距離を計算し、計算した最短距離に対応する生活動線乖離度を計算する生活動線乖離度計算部とを備え、
前記分散値計算部は、前記生活動線乖離度計算部が計算した生活動線乖離度の平均値を計算し、
前記関係性判定部は、前記分散値計算部が計算した前記平均値が所定の閾値以上である場合に前記少なくとも2つの特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の関係性判定装置であって、
前記分散値計算部は、前記生活動線乖離度計算部が計算した生活動線乖離度と当該生活動線乖離度を計算する際に用いられたオブジェクトに対応付けられている時刻情報とに基づいて、新たな乖離度を計算し、計算した前記新たな乖離度の平均値を計算し、
前記関係性判定部は、前記分散値計算部が計算した前記新たな乖離度の平均値が所定の閾値以上である場合に前記少なくとも2つの特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
ユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと位置情報と時刻情報とを対応付けて記憶するオブジェクト記憶部と、
オブジェクトを受け取り、当該オブジェクトに含まれる特徴情報に基づいて、その特徴情報で識別される人物を識別できるユーザ識別子を取得し、当該オブジェクトと当該ユーザ識別子と、前記オブジェクト受信部が当該オブジェクトと共に受け取る位置情報および時刻情報と、を対応付けて前記オブジェクト記憶部に記憶するオブジェクト関連者取得部と、
前記オブジェクト関連者取得部がオブジェクトを前記オブジェクト記憶部に記憶する際に、前記オブジェクトに対応付けられるユーザ識別子と当該オブジェクトを識別できるオブジェクト識別子とを受け取り、受け取った前記ユーザ識別子と前記オブジェクト識別子とを前記分散値計算部に渡すお友達度計算部とを備え、
前記分散値計算部は、前記オブジェクト記憶部に記憶されたオブジェクトと位置情報と時刻情報とを読み出し、読み出した位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算し、
前記分散値計算部は、前記お友達度計算部からユーザ識別子とオブジェクト識別子とを受け取ると、受け取ったユーザ識別子のすべてに対応付けられているオブジェクトを前記オブジェクト記憶部から読み出し、読み出したオブジェクトのうち前記オブジェクト識別子で識別されるオブジェクト以外のオブジェクトに基づいて第一の位置の分散値と第一の時刻の分散値とを計算し、
前記分散値計算部は、前記読み出したオブジェクトに基づいて第二の位置の分散値と第二の時刻の分散値とを計算し、
前記分散値計算部は前記第一の位置の分散値と前記第一の時刻の分散値と前記第二の位置の分散値と前記第二の時刻の分散値とを前記お友達度計算部に渡し、
前記お友達度計算部は、前記第一の位置の分散値と前記第二の位置の分散値との差分、および、前記第一の時刻の分散値と前記第二の時刻の分散値との差分を計算し、計算した差分に基づいて、前記オブジェクト関連者取得部から受け取ったユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する、関係性判定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の関係性判定装置であって、
2以上の位置を結ぶ経路を示す生活動線情報とユーザ識別子とを対応付けて記憶する生活動線記憶部と、
前記分散値計算部が前記読み出したオブジェクトごとに、オブジェクトに含まれるユーザ識別子に対応付けられる生活動線情報で識別される経路上の任意の位置と当該オブジェクトに対応付けられている位置情報で識別される位置との最短距離を計算し、計算した最短距離に対応する生活動線乖離度を計算する生活動線乖離度計算部とを備え、
前記分散値計算部は、前記お友達度計算部から受け取ったユーザ識別子に基づいて前記オブジェクト記憶部から読み出したオブジェクト毎に、オブジェクトに対応付けられているユーザ識別子と位置情報とを前記生活動線乖離度計算部に渡し、
前記分散値計算部は、前記生活動線乖離度計算部から受け取った生活動線乖離度のうち、前記お友達度計算部から受け取ったオブジェクト識別子で識別されるオブジェクトに基づいて計算された生活動線乖離度以外の生活動線乖離度から第一の生活動線乖離度の平均値を計算し、前記生活動線乖離度計算部から受け取った生活動線乖離度から第二の生活動線乖離度の平均値を計算し、
前記分散値計算部は前記第一の生活動線乖離度の平均値と前記第二の生活動線乖離度の平均値とを前記お友達度計算部に渡し、
前記お友達度計算部は、前記第一の生活動線乖離度の平均値と第二の生活動線乖離度の平均値との差分を計算し、前記第一の位置の分散値と前記第二の位置の分散値との差分、前記第一の時刻の分散値と前記第二の時刻の分散値との差分、および前記第一の生活動線乖離度の平均値と第二の生活動線乖離度の平均値との差分に基づいて、前記オブジェクト関連者取得部から受け取ったユーザ識別子で識別される人物間の関係の変化を示すお友達度を計算する、関係性判定装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の関係性判定装置であって、
前記関係性判定部は、ユーザ識別子の組の集合を受け取り、
前記分散値計算部は、前記関係性判定部が受け取るユーザ識別子の組毎にその組に含まれるユーザ識別子のすべてに対応付けられるオブジェクトを前記オブジェクト記憶部から読み出し、読み出したオブジェクトに基づいて前記位置の分散値と前記時刻の分散値とを計算し、
前記関係性判定部は、前記ユーザ識別子の組毎に計算する前記位置の分散値と前記時刻の分散値とに基づいて、前記ユーザ識別子の組のすべてについて、当該組に含まれるユーザ識別子で識別される人物間の関係が同じと判定されるように前記所定の閾値を変更する、関係性判定装置。
【請求項12】
人物を識別できる情報である特徴情報を含むオブジェクトとある位置を示す位置情報とある時刻を示す時刻情報とを送信するユーザ端末と、
人物を識別できるユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトとある位置を示す位置情報とある時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶するオブジェクト記憶部と、
関係性判定装置と、を備え、
前記関係性判定装置は、
前記ユーザ端末からオブジェクトと位置情報と時刻情報とを受け取るオブジェクト受信部と、
前記オブジェクト受信部が受け取るオブジェクトに含まれる特徴情報に基づいて、その特徴情報で識別される人物を識別できるユーザ識別子を取得し、当該オブジェクトと当該ユーザ識別子と、前記オブジェクト受信部が当該オブジェクトと共に受け取る位置情報および時刻情報と、を対応付けて前記オブジェクト記憶部に記憶するオブジェクト関連者取得部と、
前記ユーザ端末からユーザ識別子を受け取ると、前記オブジェクト記憶部から、受け取ったユーザ識別子のうちの少なくとも2つのユーザ識別子に対応付けられているオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられている位置情報および時刻情報とを読み出し、読み出した位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する分散値計算部と、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記少なくとも2つのユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定し、当該少なくとも2つのユーザ識別子と対応付けて前記所定の関係を示す情報を生成する関係性判定部と、
を備え、
前記ユーザ端末は、前記関係性判定部が生成した前記所定の関係を示す情報と前記少なくとも2つのユーザ識別子とを出力する、関係性判定システム。
【請求項13】
人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算し、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する、関係性判定方法。
【請求項14】
コンピュータに、
人物を識別できるユーザ識別子のうち少なくとも2つの特定のユーザ識別子が対応付けられたオブジェクトと当該オブジェクトに対応付けられた位置情報および時刻情報とを受け取り、受け取った位置情報および時刻情報に基づいて位置の分散値および時刻の分散値を計算する処理と、
前記位置の分散値が第一の閾値以上であり、前記時刻の分散値が第二の閾値以上である場合に前記特定のユーザ識別子で識別される人物の間に所定の関係があると判定する処理と、を実行させるための関係性判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−79265(P2012−79265A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226565(P2010−226565)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】