説明

防振トレー

【課題】ハードディスクドライブやCD-ROM等のような電子装置を載置し、キャディ、2つのフレーム、及び複数の結合装置を備えた防振トレーを提供する。
【解決手段】キャディは2つの平行に対向する側板を備え、各側板の両端はそれぞれ第1結合片を備える。2つのフレームはそれぞれ電子装置の2つの対向する側辺に結合させ、各フレームの両端は各々複数の第1結合片に対応する第2結合片を備える。各結合装置は結合部材及び防振緩衝リングを備え、防振緩衝リングは結合部材に嵌設される。各第1結合片は対応する結合部材に結合され、各第2結合片は対応する結合装置の防振緩衝リングに結合され、キャディの各側板とこれに隣接する各フレームの間はそれぞれ隙間を保つ。かかる構造による本発明の防振トレーでは、ケーシングからの振動を効果的に遮断して、電子装置の作動が振動に影響されないようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブやCD−ROM等の電子装置を載置するトレーに関し、より詳しくは、防振トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトレーの多くは、その左右の側壁に複数の金属の弾性片を設け、載置された電子装置に必要な防振機能を提供しているが、その防振効果は非常に限られているものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の振動減衰構造は、ファンとコンピュータケーシングの間に設けられ、ネジとネジに嵌設された振動減衰パッドとを備える。この振動減衰パッドの断面は工字形で、振動減衰パッドはファンによって引き起こされる振動をケーシングに伝達させないようにすることが可能であるが、この振動減衰構造では、固定部材を引出すことができない問題点を有していた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
「ハードディスクトレーにおけるハードディスクの作動による振動を吸収する装置」(下記特許文献3)では、このハードディスクトレーは主としてその載置トレーの内側且つハードディスクに対応する下方に複数のL字形の支持フレームを設け、この複数の支持フレームに弾性の防振部材を設け、さらに固定ネジで支持フレームとハードディスクを螺合する。この特許案件では、弾性の防振部材を使用しているものの、載置トレー上で発生する振動は依然として支持フレームや固定ネジからハードディスクに伝わる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾公告第572311又は第M250286号公報
【特許文献2】台湾公告第M352229号公報
【特許文献3】台湾公告第390498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、ハードディスクドライブやCD-ROM等の電子装置を載置する防振トレーを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、キャディ、2つのフレーム、及び複数の結合装置を備え、ハードディスクドライブやCD-ROM等といった電子装置を載置するための防振トレーを提供する。キャディは2つの平行に対向する側板を備え、2つの側板はそれぞれコンピュータのケーシング内に設けられた2つの対向するスロットに取付けられる。各側板の両端はそれぞれ第1結合片を備え、側板上の2つの第1結合片は、それぞれ別の側板上の2つの第1結合片に正対する。2つのフレームは電子装置の2つの対向する側辺に結合されてキャディ内にある。各フレームの両端はそれぞれ第2結合片を備え、複数の第2結合片はそれぞれ複数の第1結合片に対応する。複数の結合装置はそれぞれ各第1結合片とこれに対応する第2結合片を結合し、各結合装置は結合部材と防振緩衝リングを備え、結合部材はボディ及びボディに延在する結合部を備え、防振緩衝リングは各結合部材のボディに嵌設される。
【0008】
キャディの各第1結合片は対応する結合部材の結合部に結合され、2つのフレームの各第2結合片は対応する結合装置の防振緩衝リングに結合され、キャディの各側板とこれに隣接する各フレームの間はそれぞれ隙間を保つことから、ケーシングからキャディに伝わる振動は、複数の防振緩衝リング及び複数の隙間によって遮断されて、電子装置に伝わらないか或いは少なくて済む。
【0009】
好ましくは、前記各結合装置の防振緩衝リングの外周壁はリング溝を備え、各フレームの第2結合片は切欠を有し、各第2結合片の切欠に沿った縁は、対応する防振緩衝リングのリング溝内に部分的に係止する。
【0010】
好ましくは、各キャディの第1結合片はそれぞれネジ孔を有し、各結合装置の結合部材の結合部はそれぞれ対応する第1結合片のネジ孔内に螺合するネジ山部である。
【0011】
好ましくは、2つのフレームはさらにキャリアボードに代えることが可能である。キャリアボードは電子装置の底面に結合され、キャリアボードの2つの対向する側辺はそれぞれキャディの2つの側板に対応し、その前後の側辺はそれぞれ2つの第2結合片を備え、複数の第2結合片はそれぞれ第1結合片に対応するが、上記の第2結合片とほぼ同様につき詳述しない。
【発明の効果】
【0012】
先行技術に比べ、本発明の防振トレーは、キャディ、フレーム、弾性緩衝リングを備えた結合装置、及びキャディと複数のフレームの間に保たれた隙間により、ケーシングからの振動を効果的に遮断し、電子装置の作動が振動に影響されないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るトレーの好ましい実施形態の外観概略図である。
【図2】本発明に係るトレーの好ましい実施形態の分解斜視図である。
【図3】本発明に係るトレーの好ましい実施形態の上面図である。
【図4】本発明に係るトレーの好ましい実施形態の側面の断面図である。
【図5】図4の局部拡大図である。
【図6】本発明に係るトレーの別の好ましい実施形態の外観概略図である。
【図7】本発明に係るトレーの別の好ましい実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明の実施形態によるトレーにつき、図1は本発明のトレー100の好ましい実施形態を示している。トレー100の内部には、ハードディスクドライブやCD−ROMのような電子装置200が載置される。トレー100は、コンピュータホスト又はサーバのケーシング内に插入可能であると共に、かかるケーシングからの取り出しも可能である。
【0016】
図2に示すように、トレー100は、キャディ1、2つのフレーム2、及び複数の結合装置3を備える。キャディ1は、本体10及び本体10に延在し且つ互いに平行な2つの対向する側板11を備える。各側板11の両端はそれぞれ第1結合片12を備え、側板11上の2つの第1結合片12は、それぞれ他方の側板11上の2つの第1結合片12に正対する。この実施形態では、キャディ1の2つの側板11は、レールを備えており、上記ケーシングの2つの対向する内側壁のスロット(図示せず)内に取り付けることができる。なお、ケーシングにレールを設け、側板11のレールをスロットに変えることも可能である。
【0017】
2つのフレーム2は、キャディ1の2つの対向する側板11の間にあり、それぞれ電子装置200の2つの対向する側辺に結合される。各フレーム2の両端はそれぞれ第2結合片21を備え、複数の第2結合片21の位置はそれぞれ複数の第1結合片12に対応する。
【0018】
各結合装置3は、結合部材30と防振緩衝リング31を備え、防振緩衝リング31は結合部材30に嵌設される。防振緩衝リング31は、弾性ゴムの緩衝リングであって、緩衝、防振作用を有するが、スプリングでもよい。
【0019】
図1,図3,及び図4は、キャディ1と2つのフレーム2が複数(この例では4つ)の結合装置3により組合わされた後の状態を示している。キャディ1の各第1結合片12と2つのフレーム2の各第2結合片21は1対1で上下に対応しており、各々対応する第1結合片12と第2結合21は、1つの結合装置3で結合される。図3に示すように、キャディ1の各側板11とこれに隣接する各フレーム2の間はそれぞれ約0.5mm〜1mmの隙間を保つことで、キャディ1と2つのフレーム2は互いに接触しない。従って、本実施の形態のトレー100によれば、コンピュータのケーシングからキャディ1に伝わる振動が2つのフレーム2を経由して電子装置200に伝わることを防止することができる。
【0020】
図5は、上述した複数の内の1つの結合装置3が、そのうちの1つの第1結合片12とこれに対応する第2結合片21を結合した状態を示している。結合装置3の結合部材30は、この実施形態ではボルトであり、ボディ300とボディ300に延在する結合部301を備える。防振緩衝リング31は、結合部材30のボディ300に嵌設される。キャディ1の第1結合片12は、対応する結合部材30の結合部301に結合され、フレーム2の第2結合片21は、対応する防振緩衝リング31に結合される。
【0021】
この実施形態では、各結合装置3の防振緩衝リング31の外周壁はリング溝311を備え、各フレーム2の第2結合片21はU字形又はC字形の切欠210を有し(図2参照)、各第2結合片21の切欠210に沿った縁210aは、対応する防振緩衝リング31のリング溝311内に部分的に係止する。また、各キャディ1の第1結合片12はそれぞれネジ孔120を有し、各結合装置3の結合部材30の結合部301は、対応する第1結合片12のネジ孔120内に螺合するネジ山部となっている。
【0022】
図5に示される構造では、各組の対応する第1結合片12と第2結合21の間は何れも防振緩衝リング31を介し、結合部材30と第1結合片12の間、及び結合部材30と第2結合片21の間も、共に防振緩衝リング31を介することから、コンピュータのケーシングが何らかの理由で振動が発生してキャディ1に伝わると、防振緩衝リング31がこうした振動を吸收又は和らげることによって、振動が2つのフレーム2を伝ってさらに電子装置200に伝達されることがないか、或いは伝達される振動が大幅に少なくなることが分かる。また、キャディ1の各側板11とこれに隣接する各フレーム2の間がそれぞれ隙間を保つことで、キャディ1に伝わる振動がさらに2つのフレーム2に伝わる他の経路はなくなる。つまり、コンピュータのケーシングからキャディに伝わる振動は、複数の防振緩衝リング31と複数の隙間で吸収及び遮断されることにより、電子装置200に伝わることがないか或いは少なくて済む。
【0023】
図6及び図7は、本発明の別の好ましい実施形態を示している。この実施形態では、トレー100aは、キャディ1、キャリアボード2a、及び複数の結合装置3を備える。キャディ1と複数の結合装置3は、何れも上述と同じであるため説明を省略する。キャリアボード2aについては、キャディ1の2つの対向する側板11の間にあり、複数のネジで電子装置200の底面に結合される。キャリアボード2aの2つの対向する側辺は、それぞれキャディ1の2つの側板11に対応し、キャリアボード2aの前後の側辺はそれぞれ2つの第2結合片21aを備え、複数の第2結合片21aはそれぞれ2つの側板11の第1結合片12に対応し、しかも前記第2結合片21と殆ど同じであるため説明を省略する。この実施形態では、同様にして複数の結合装置3の防振緩衝リング31、及びキャディ1とキャリアボード2aの両側辺の間に隙間を保つことにより、コンピュータのケーシングからキャディ1に伝わる振動が引き続き電子装置200に伝わるのを食い止める効果が得られる。また、キャリアボード2aにはさらにその後側に電子装置200のコネクタを通すための溝穴20aを有する。
【0024】
上述した実施例は、本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とするものであって、本発明の特許範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0025】
1 キャディ
10 本体
100、100a トレー
11 側板
12 第1結合片
120 ネジ孔
2 フレーム
21、21a 第2結合片
210 切欠
210a 縁
200 電子装置
3 結合装置
30 結合部材
300 ボディ
301 結合部
31 防振緩衝リング
311 リング溝
2a キャリアボード
20a 溝穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置を載置する防振トレーであって、
平行する2つの対向する側板を備え、各側板の両端にそれぞれ第1結合片を備え、そのうちの1つの側板上の2つの第1結合片はそれぞれ別の側板上の2つの第1結合片に正対するキャディと、
前記キャディの2つの対向する側板の間にあり、それぞれ前記電子装置の2つの対向する側辺に結合され、各フレームの両端はそれぞれ第2結合片を備え、前記複数の第2結合片はそれぞれ前記複数の第1結合片に対応する2つのフレームと、
それぞれ各第1結合片とこれに対応する第2結合片を結合し、各結合装置は結合部材及び防振緩衝リングを備え、前記結合部材はボディ及び前記ボディに延在する結合部を備え、前記防振緩衝リングは各結合部材の前記ボディに嵌設される複数の結合装置と、
を含み、
前記キャディの各第1結合片は対応する結合部材の結合部に結合され、前記2つのフレームの各第2結合片は対応する結合装置の防振緩衝リングに結合され、前記キャディの各側板とこれに隣接する各フレームの間はそれぞれ隙間を保つことを特徴とする防振トレー。
【請求項2】
各結合装置の防振緩衝リングの外周壁はリング溝を備え、各フレームの第2結合片は切欠を有し、各第2結合片の切欠に沿った縁は、対応する防振緩衝リングのリング溝内に部分的に係止されることを特徴とする請求項1に記載の防振トレー。
【請求項3】
前記キャディの各第1結合片はそれぞれネジ孔を有し、各結合装置の結合部材の結合部はそれぞれ対応する第1結合片のネジ孔内に螺合するネジ山部であることを特徴とする請求項2に記載の防振トレー。
【請求項4】
前記キャディの前記2つの対向する側板の外側は、それぞれレール又はスロットを備えることを特徴とする請求項1に記載の防振トレー。
【請求項5】
電子装置を載置する防振トレーであって、
本体及びそれぞれ前記本体に延在し且つ2つの平行に対向する側板を備え、各側板の両端にそれぞれ第1結合片を備え、そのうちの1つの側板上の2つの第1結合片はそれぞれ別の側板上の2つの第1結合片に正対するキャディと、
前記キャディの2つの対向する側板の間にあり、前記電子装置の底面に結合され、前記キャリアボードの2つの対向する側辺はそれぞれ2つの第2結合片を備え、前記複数の第2結合片はそれぞれ前記複数の第1結合片に対応するキャリアボードと、
それぞれ各第1結合片とこれに対応する第2結合片を結合し、各結合装置は結合部材及び防振緩衝リングを備え、前記結合部材はボディ及び前記ボディに延在する結合部を備え、前記防振緩衝リングは各結合部材の前記ボディに嵌設される複数の結合装置と、
を含み、前記キャディの各第1結合片は対応する結合部材の結合部に結合され、前記キャリアボードの各第2結合片は対応する結合装置の防振緩衝リングに結合され、前記キャディの2つの側板と前記キャリアボードの2つの対向する辺の間はそれぞれ隙間を保つことを特徴とする防振トレー。
【請求項6】
各結合装置の防振緩衝リングの外周壁はリング溝を備え、前記キャリアボードの各第2結合片は切欠を有し、各第2結合片の切欠に沿った縁は、対応する防振緩衝リングのリング溝内に部分的に係止されることを特徴とする請求項5に記載の防振トレー。
【請求項7】
各キャディの第1結合片はそれぞれネジ孔を有し、各結合装置の結合部材の結合部は、それぞれ対応する第1結合片のネジ孔内に螺合するネジ山部であることを特徴とする請求項6に記載の防振トレー。
【請求項8】
前記キャリアボードは、その後側に前記電子装置のコネクタを通す溝穴を有することを特徴とする請求項7に記載の防振トレー。
【請求項9】
前記キャディの前記2つの対向する側板の外側は、それぞれレール又はスロットを備えることを特徴とする請求項5に記載の防振トレー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−104198(P2012−104198A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252688(P2010−252688)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504037461)ギガ−バイト テクノロジー カンパニー リミテッド (28)