説明

防水性・透湿性の甲革および底革を有する靴

透湿性あるいは有孔の外側甲革(12)、透湿性の内側ライニング(13)、これらの間の機能要素を層状に少なくとも備える甲革組付体(11)と、
少なくとも1つの防水性・透湿性領域(A)を有している中底(15)と、
通気性底革付き底部材(16)と
を備えた、防水性・透湿性の甲革および底革を有する靴(10)。
甲革機能要素(14)は甲革(12)へ固定状に結合され、甲革(12)は密封用バンド(17)のある中底(15)へ向かって終わり、密封用バンド(17)は中底(15)の周囲縁部(19)と一体化されている端縁(18)によって被覆され、さらに、
中底(15)は、少なくとも1つの下方機能要素(20)を選択的に備えているかあるいはそれに結合され、下方機能要素(20)は、保護要素(21)によって被覆されていない少なくとも1つの帯域(22)を有し、
相互防水性密封部が、密封用バンド(17)における甲革機能要素(14)と、帯域(22)における少なくとも1つの下方機能要素(20)との間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水性・透湿性の甲革(upper)および底革(sole)を有する靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、靴製造の分野において、液体状態にある水に関して不透過性であって水蒸気に関して透過性である膜(membrane)を備える甲革組付体(upper assembly)の設けられた靴が知られている。
【0003】
このような靴は、それらが、防水性底革によってもたらされた防水加工特性と甲革組付体の防水加工特性とを組み合わせ、さらに甲革組付体を介する足からの水蒸気の透過を可能にするので、一般に高く評価されている。
【0004】
現在広く使用されている膜は、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFE、あるいはポリウレタン、すなわちPUから作られており、引っ張り強さが極めて制限されている。それゆえ、それらの膜の無欠状態を実質的に守るために、それらを、甲革組付体が靴の形状に適合するために有する曲面部および反り部に適合するような弾性塑性変形によって形作ることはできない。
【0005】
具体的には、中底(insole)へ結合されるために靴の足裏領域に存在するように折り返された甲革組付体の縁部において、甲革組付体は、具体的にはいっそう湾曲した領域で、例えばかかと部および爪先部で、しわおよびひだを形成しやすい。
【0006】
膜におけるこれらのしわおよびひだは、その膜を底革へ、あるいは靴の底部材(bottom)に設けられたさらに別の膜へ必要に応じて密封するように適合された材料によるその膜の効果的な把持をさらに困難にする。
【0007】
従って、今日では、防水性底革を甲革組付体の膜へ密封するためのよりいっそう簡単で効果的な解決策を案出する必要性が強く感じられている。
【0008】
現在案出されている1つの解決策は、密封材料に関して透過性であり、甲革へ、その下方端縁を置き換えるように、かつ、使用中に甲革の内側に裏張りされる内側ライニングの端縁に対面するように縫い合わされたネットから作られたバンドを設けることと、上記甲革で甲革組付体を形成することとからなっている。
【0009】
防水性膜は、ネット製バンドを透過する密封材料によって把持されるとともに、底革を把持し、あるいは、中底へ縫い付けられた甲革組付体に底革が直接、型成形されて形成されることでその材料を構成している。この防水性膜は複数層の内側ライニングの中に一体化されている。
【0010】
米国特許第7127833号明細書には、中底と甲革組付体との間の結合領域における靴の形状の湾曲度に適合させるために、実質的に伸張性であり、必要に応じて伸縮可能であるネットを用いて上記バンドを設けることが教示されている。その結合領域では、甲革が中底へ接続されているので、しわおよびひだの形成が制限されるかあるいは防止されている。
【0011】
上記特許の教示に従って設けられた靴の短所は、水が、甲革を通して浸透するとともに、上記甲革と上記ライニングの中に一体化された上記膜との間に停滞するおそれがある点に存在する。
【0012】
この短所を防止するために、国際公開第2008/119683号パンフレットには、水不透過性であって水蒸気透過性である膜へ直接結合された甲革を設けることについての教示がある。
【0013】
しかしながら、甲革を設けるために広く使用される材料は、その厚さがより厚く、また、それらの材料の剛性がより大きい。このため、中底への結合されるそれらの領域に対応して、ライニングの端縁のひだおよびしわよりもいっそう重大であるひだおよびしわの形成を引き起こしやすい。
【0014】
このため、靴の甲革組付体を靴の底部材へ接続する箇所においても防水性である靴を得ることのできる密封材料の膜への効果的な把持を達成するという課題を解決することは、さらにいっそう困難である。
【0015】
加えて、この課題は、甲革の膜を靴の下方部分に、従って、底部材にあるいは中底に設けられた第2膜へ効果的に密封する必要性と組み合わされると、さらに悪化する。
【0016】
この第2膜は、水不透過性であって水蒸気透過性であり、ユーザーの足の裏における容易な透湿を可能にするために、靴の底部材を貫通して設けられた孔あるいは開口を防水性・透湿性の維持された状態に閉鎖するように適合されている。
【0017】
底革および甲革の両方とも透湿性である靴は、その靴をさらに防水性にするために、甲革の膜と第2膜との間に効果的な防水性密封部が備わっていなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
この発明の狙いは、現在知られている靴の制約を克服して、より簡単である構造を有するとともに効果的に防水性である靴を得ることのできる、防水性の甲革と底革とを有する靴を提供することである。
【0019】
この狙いの範囲内でこの発明の1つの目的は、靴の甲革の内側における水の停滞を防止する靴を提供することである。
【0020】
この発明の別の目的は、ユーザーの足を温かくかつ乾いた状態に維持することを保証するために、靴の甲革の内側における水の停滞を防止する靴を提供することである。
【0021】
この発明の別の目的は、甲革の内側における水の停滞を防止することによって、足挿入領域から外側への水蒸気の効果的な透過を可能にし、さらに軽量の靴を得ることを可能にする靴を提供することである。
【0022】
この発明の別の目的は、湿っているときには容易かつ迅速に乾燥することのできる靴を提供することである。
【0023】
この発明の付加的な目的は、靴の内側への水の浸入を防止するために、防水性になるように容易に密封される靴を提供することである。
【0024】
この発明のさらに別の目的は、効果的にかつ永続的に防水性であるとともに、甲革組付体を通してかつ靴の底部材を通して、ともに透湿性である靴を提供することである。
【0025】
この発明の別の目的は、構造的に簡単であって、履いて、また、使用して快適である靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この狙い、これらの目的、およびこれ以降にいっそう明らかになる他の目的は、防水性・透湿性の甲革および底革を有する靴であって、
透湿性あるいは有孔の外側甲革、透湿性の内側ライニング、およびこれらの間の、水蒸気に関して透過性であって液体状態にある水に関して不透過性である甲革機能要素を層状に少なくとも備える甲革組付体と、
上記甲革組付体へ結合され、かつ、少なくとも1つの防水性・透湿性領域を有している中底と、
上記中底から到来する水蒸気の消散を可能にするために、上記少なくとも1つの防水性・透湿性領域に設けられた透湿性領域を有する底革付き底部材と
を備えてなり、
上記甲革機能要素は、上記甲革へ、それに接着されるように実質的に固定状に結合され、上記甲革は、密封用バンドのある上記中底へ向かって終わり、上記密封用バンドは、上記甲革機能要素の端縁によって少なくとも部分的に被覆され、上記密封用バンドおよび上記端縁は、上記中底の周囲縁部と一体化されており、
上記中底は、水蒸気に関して透過性であって液体状態にある水に関して不透過性である少なくとも1つの下方機能要素を選択的に備えているかあるいはそれに結合されており、
上記防水性・透湿性領域は、上記少なくとも1つの下方機能要素と上記底革付き底部材との間に介在されるように配置された少なくとも1つの透湿性保護要素によって、上記少なくとも1つの下方機能要素の上に実質的に画定され、上記下方機能要素は、上記防水性・透湿性領域の周囲にあって上記保護要素によって被覆されていない少なくとも1つの帯域を有し、
相互防水性密封部が、上記密封用バンドにおける甲革機能要素と、上記帯域における上記少なくとも1つの下方機能要素との間に設けられている
ことを特徴とする靴によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
この発明のさらに別の特徴および利点は、添付図面における非限定的な例によって示された、好ましいが排他的ではない、この発明による靴の実施形態の説明からいっそう明らかになる。
【図1】図1は、この発明による靴の細部の模式的拡大断面図である。
【図2】図2は、この発明による靴の、代わりの実施形態における細部の模式的拡大断面図である。
【図3】図3は、この発明による靴の簡略的な一部分解斜視図である。
【図4】図4は、この発明による靴の、さらに代わりの細部の模式的拡大断面図である。
【図5】図5は、この発明による靴の、さらに代わりの細部の模式的拡大断面図である。
【図6】図6は、この発明による靴の、さらに代わりの細部の模式的拡大断面図である。
【図7】図7は、この発明による靴の、さらに代わりの細部の模式的拡大断面図である。
【0028】
この特許取得過程の間にすでに公知であると認められた任意のものは、特許請求されることがなく、また、放棄の対象でない、と解されることに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上記図面によれば、参照符号10によって、防水性・透湿性の甲革および底革を有する靴の全体が表わされており、この靴は、
甲革組付体11と、
この甲革組付体11へ結合され、かつ、少なくとも1つの防水性・透湿性領域Aを有している中底15と、
中底15から到来する水蒸気の消散を可能にするために、防水性・透湿性領域Aに設けられた透湿性領域Bを有する底革付き底部材16と
を備えてなり、
甲革組付体11は、透湿性あるいは有孔の外側甲革12、透湿性の内側ライニング13、およびこれらの間の、水蒸気に関して透過性であって液体状態にある水に関して不透過性である、甲革機能要素14を層状に備えている。
【0030】
この靴10の代わりのいくつかの実施形態は、さらに記載されていないかあるいは上記添付図面に示されていないが、それらには、上記透湿性領域が2つ以上あってもよく、また、それに対応して、上記防水性・透湿性領域が2つ以上あってもよい。
【0031】
この発明によれば、靴10には、甲革機能要素14が、甲革12へ接着されるように甲革12へ実質的に固定状に結合され、上記甲革が、密封用バンド17のある中底12へ向かって終わる、という特性がある。
【0032】
密封用バンド17は、甲革12の一部に置き換えられ、また、好ましくは、その本体12aの端縁が中底15への接続のためのその端部に置き換えられる。
【0033】
密封用バンド17は甲革機能要素14の端縁18によって被覆され、密封用バンド17と端縁18とは、下方機能要素20を選択的に備えているかあるいは下方機能要素20に結合されている中底15の周囲縁部19に一体化されており、その下方機能要素20は、水蒸気に関して透過性であって液体状態にある水に関して不透過性であるか、あるいは、この発明の実施形態の不確定要件に左右されるが、上記中底は、上記下方機能要素の少なくとも1つを備えているか、あるいは上記下方機能要素の少なくとも1つへ結合されているのが好ましい。
【0034】
従って、一般に、不確定要件に左右されるが、上記密封用バンドは、上記機能要素の端縁によって少なくとも部分的に被覆されているのが好ましい。
【0035】
有利であるのは、甲革機能要素14が、甲革12に、具体的には甲革12の本体12aと密封用バンド17とに充分に接着されていて、それらを防水性にするとともにそれらの結合領域を防水性にすることであり、好ましくは縫い付けられていることである。
【0036】
防水性・透湿性領域Aは、下方機能要素20の表面上に、下方機能要素20と底革付き底部材16との間に介在されるように配置された透湿性保護要素21によって、画定されている。
【0037】
下方機能要素20には、保護要素21によって被覆されていない防水性・透湿性領域Aを包囲する帯域22がある。
【0038】
さらにまた、下方機能要素20の帯域22を防水性密封部の形成のために把持するとともに、密封用帯域22と協働して甲革機能要素14の端縁18と下方機能要素20の帯域22との間に相互防水性密封部をもたらす密封材料23(図1、図4および図6の場合には、底革の材料である)が存在している。
【0039】
好ましいのは、底革付き底部材16に直接対向している下方機能要素20の表面が、例えばナイロンから作られた目の細かい支持用メッシュによって、添付図面に示されていないそれ自体公知の方法で被覆されていることである。
【0040】
不確定要件に左右されるが、この靴の代わりの実施形態では、上記下方機能要素は、その表面の両方を被覆する目の細かい2つの支持用メッシュで設けることが好都合である。
【0041】
さらにまた、中底15には、少なくとも1つの構造層24が備わっているのが有利であるが、この構造層24は、透湿性あるいは有孔のものであり、下方機能要素20へ結合され、その下方機能要素20に関して靴10の内側へ直接対向している。
【0042】
この発明による靴のいくつかの実施形態、例えば、甲革組付体を中底へ縫い付けることによって一体化をもたらすような実施形態では、構造層24は、密封用バンド17へ縫い付けることのできる柔軟材料から作られているのが好都合である。
【0043】
この発明による靴の他の実施形態、例えば、「AGOラスティング」(AGO lasting)として知られた作業方法によって甲革組付体と中底との一体化をもたらすようなものでは、構造層24は、代わりに、ラスティング(靴型合わせ)作業によって引き起こされたひずみに耐えることのできる剛性材料から作られているのが好ましい。
【0044】
具体的には、構造層24は、なめし皮、フェルト、布地、セルロース材料などの中から選択された材料から好ましく作ることができる。
【0045】
不確定要件に左右されるが、上記中底は、代わりの実施形態では、分散化された区域において、複数の中底機能要素を備えていてもよく、これらの中底機能要素の表面上に、上記底革付き底部材の透湿性領域に対応する防水性・透湿性領域を形成する対応数の保護要素が設けられていてもよい。
【0046】
中底15には、足前方部の領域に実質的に対応するとともに、その少なくとも1つの層のために下方機能要素20によって画定されているのが好ましい、少なくとも1つの前方部分15aが備わっていると好都合である。
【0047】
有利であるのは、中底15には、フェルト、セルロース材料、布地、あるいはなめし皮の中から選択されるのが好都合である材料から作られた後方部分15bも備わっていることである。
【0048】
これらの部分15aおよび15bは、接着剤接合あるいはジグザク縫い付けによって結合されているのが好ましい。
【0049】
有利であるのは、帯域22が中底15へ周縁状に広がっていること、具体的にはその前方部分15aへ好都合には周辺で広がっていることである。
【0050】
さらにまた、この帯域22には、実質的に5mm〜6mmからなる幅があるのが好都合である。
【0051】
添付図面に示されていないこの発明の代わりの実施形態では、上記下方機能要素は、上記中底の足裏拡張部全体に沿って広がっているが、この事例では、上記周辺帯域は中底全体の周縁にあり、上記防水性・透湿性領域は主としてその足裏拡張部に広がっている。
【0052】
さらにまた、有利であるのは、甲革機能要素14および下方機能要素20が、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFE、ポリウレタン、すなわちPUなどの中から選択されるのが好都合である防水性・透湿性ポリマー材料から作られた膜によって構成されていることである。
【0053】
甲革機能要素14は、好ましくはフラット加熱加圧処理によって甲革12へ結合されている。
【0054】
フラット加熱加圧処理による、甲革機能要素14への甲革12の結合は、例えば次のようにして行うことができる。
【0055】
甲革12が、その平坦な配置を可能にするために、例えば2つの端部をかかと領域25において接続されていない状態にしておくとともに、実質的に馬蹄状形状を呈するように、平面の上に配置される。
【0056】
甲革機能要素14が熱活性化可能な接着剤によって甲革12へ結合されるが、この接着剤は、甲革機能要素14および甲革12の透湿性を損なわないように、それらの間に分配される。
【0057】
従って、甲革機能要素14と甲革12との接合は、上記接着剤を実質的に100℃〜150℃の温度まで、実質的に5秒〜10秒間の中から選択された時間だけ加熱することによって活性化することで、また、同時に、甲革12に対して甲革機能要素14をおよそ6バール(bar)の圧力で加圧することで、行われるのが好都合である。
【0058】
甲革12が甲革機能要素14へ結合されると、甲革組付体11を形成するために、この目的のために設けられたかかと部25の対応端部が、縫い付けによって結合されるとともに、添付図面には示されていない、例えば防水性テープあるいはUPACO型の防水性接着剤によって、相互に密封される。
【0059】
代わりの製造方法では、上記甲革組付体を形成するために、不確定要件に左右されるが、かかと部に対して異なる位置に結合される端部を設けることができる。
【0060】
都合がよいのは、甲革機能要素14が甲革12を内面でかつ完全に被覆することである。
【0061】
しかしながら、ブーツあるいはハーフブーツのような高さが高い腰革を有するこの発明による靴が設けられるときには、甲革機能要素14は、足を、実質的には足の甲までを包囲する靴の一部を、内面で好ましくは完全に被覆している。
【0062】
すでに防水性であるその一部のために設ける上記甲革の実施形態では、上記甲革機能要素には、そこに設ける代わりに、上記防水性部分を上記甲革機能要素に結合するための防水性密封部を、例えば実質的に5mm〜10mmの幅がある帯域のためのそれぞれの縁部部分のオーバーラップ処理および接着剤接合によって設けてもよく、あるいは、上記防水性部分は、防水性接着テープを重ね合わせることで密封された継ぎ合わせ部によって上記甲革機能要素へ防水性密封部をもたらすように結合されてもよい。
【0063】
有利であるのは、甲革組付体11が、添付図面に示されていない爪先端部で補強されていることである。
【0064】
上記爪先端部は、甲革機能要素14との一体化あるいはライニング13への一体化に先立って、甲革12へ結合される。
【0065】
上記爪先端部は、甲革組付体11と中底15との一体化のための作業の間に引き続いて生じる折り目の形成を最小限にするために、例えばLeibrock VBF21Zの爪革成形機型の機械で、爪先部に予備成形されているのが好都合である。
【0066】
都合がよいのは、密封用バンド17が、テープ状であることと実質的に8mm〜12mmの幅を有していることである。
【0067】
有利であるのは、密封用バンド17が、弾性変形可能なものであって、使用中に都合よく弾性的に変形することである。
【0068】
密封用バンド17の実施形態の第1方法では、それは密封材料に関して透過性であるのが有利である。
【0069】
具体的には、上記第1実施形態では、密封用バンド17は、合成繊維あるいは天然繊維、編地、織地あるいは3次元布地のメッシュから作られているのが好ましく、それらを通して、底革付き底部材16を構成する密封材料あるいはポリマー材料は、それが防水性密封部で甲革機能要素14を把持するまで、浸透することができる。
【0070】
有利であるのは、密封用バンド17が、水の吸い上げを防止するために、単繊維合成材料から作られていることであり、例えば単繊維ナイロンから作られていることである。
【0071】
有利であるのは、上記第1実施形態において、密封用バンド17が、本体12aの端縁および縁部19へそれぞれ結合された2つの長手側縁26aおよび26bに沿って、相異なる方法で弾性変形可能なものであることである。
【0072】
具体的には、長手側縁26aおよび26bのうちの第1長手側縁26aは、甲革12の本体12aの端縁へ縫い付けられているのが好都合であり、また、長手側縁26aおよび26bのうちの第2長手側縁26bは、本体12aの端縁によって、かつ、密封用バンド17が結合する中底15の縁部19によって、対応して採用された、同一の角度に内在された異なる円弧長さを補償するように、縁部19へ結合されているのが好都合である。
【0073】
密封用バンド17は、
横断繊維のある構造、クモの巣状構造、編地構造、織地構造、3次元布地構造の中から選択された構造を有している中央部と、
この中央部に対して側方に配置され、一体状であって、長手側縁26aおよび26bを画定している2つの弾性バンドと
を備えているのが好都合である。
【0074】
このようにされていることで、靴10の製造の間に、密封用バンド17は、第2長手側縁26bに対する第1長手側縁26aの差異的拡張(極端な場合には拡張しない)によって得られる靴10の形状に応じて、弾性的に湾曲する。
【0075】
従って、下方機能要素20への甲革機能要素14の密封を密封用バンド17によって促進するために、湾曲した密封用バンド17は、長手側縁26aおよび26bが差異的に拡張する結果、甲革12の本体12aの端縁を、実質的に平坦に、すなわち、具体的には、密封用バンド17に最も大きい湾曲度のある靴10の爪先領域およびかかと領域において、しわあるいはひだがないように、維持することができる。
【0076】
従って、さらにまた、中底15へ結合された甲革組付体11への底革付き底部材16の効果的な密封状接続を達成することができる。
【0077】
好ましいのは、密封用バンド17が、コード07/953によって商業的に知られていてNYHT社によって製造されたバンドで設けられていることである。
【0078】
密封用バンド17の第2の、そして代わりの実施形態は、上記の第1実施形態と実質的に同等であるが、この第2実施形態では、上記バンドは、防水性であって、防水性ポリマー材料から作られており、密封部をもたらすために、下方端縁18へ密接状に接着剤接合されている。
【0079】
具体的には、この密封用バンド17は、溶融して甲革機能要素14を密封することのできる熱可塑性ホットメルト接着剤からなるテープのような、熱活性化可能であって防水性の熱接着性材料から作られているのが好ましい。
【0080】
有利であるのは、密封用バンド17が、第1縫い目27によって甲革12の本体12aの端縁へ接続されていることである。
【0081】
密封用バンド17および端縁18と中底15の縁部19との一体化は、この発明による靴10を設けるときの不確定要件に左右されるが、縫い付けのために用意されている方法によって、あるいはこれ以降でいっそう詳しく説明されるような「AGOラスティング」として知られた作業方法によって、もたらすことができる。
【0082】
従って、底革付き底部材16の、中底15に一体化された甲革組付体11への結合もまた、この発明による靴10を設けるときの不確定要件に左右されるが、「接着剤による固定化」として知られた構成方法による接着剤接合によって、あるいは「射出成形による固定化」として知られた構成方法による型成形によって、もたらすことができる。
【0083】
特に図1および図2を参照すると、この発明の実施形態の第1方法では、ライニング13のフラップ28が、甲革機能要素14の端縁18へ、好ましくは「挟み縫い付け」(pinching sewing)として広く知られた型の第2縫い目29によって、実質的に同時に結合される。
【0084】
さらにまた、フラップ28、端縁18および密封用バンド17は、中底15の縁部19へ、Strobel型のものか、あるいは実質的に同等の手法では「挟み縫い付け」として知られた型のものであるのが好都合である第3縫い目30によって、中底15の縁部19へ結合されている。
【0085】
添付の図4および図5において非限定的な例として示された、この発明の実施形態の第2方法では、ライニング13のフラップ28は、甲革機能要素14の端縁18へ、好ましくは靴型の端縁での接着剤接合によって、端縁18が被覆されることなくその自由部分18aについてフラップ28から自由であるように結合されており、その自由部分18aの幅は例えば実質的に10mm〜15mmである。
【0086】
有利であるのは、端縁18および密封用バンド17は、「AGOラスティング」として知られた作業方法によって、折り曲げられて、中底15の縁部19の下方で接着剤接合されているが、ラスティング作業では、甲革機能要素14および下方機能要素20を損傷するおそれのある留め鋲あるいは留め針を使用しないので、好都合である。
【0087】
このようなラスティング作業は、ラスティング機として知られた機械によって実施されるのが好都合であり、そのラスティングはさみは、甲革機能要素14の引き裂きを防止するために、平坦にされており、あるいは締め付け用の歯あるいはフライス盤を使用することがなかった。
【0088】
甲革機能要素14と中底15の下方機能要素20との間における密封接合は、熱可塑性ポリウレタンあるいはそれと同等の種類であって、いかなる場合にも効果的密封を保証することのできる、ラスティング作業において用いられる接着剤を用いて行われるのが好都合である。
【0089】
有利であるのは、添付図面には示されていないが、甲革機能要素14の端縁18を補強するための要素が、ラスティング作業中におけるラスティングはさみによるその端縁18の引き裂きを防止するために設けられていることである。
【0090】
上記補強要素は防水性・熱接着性テープからなっているのが有利であり、このテープは、弾性があって合成材料、例えばポリウレタン、すなわちPUから作られているのが好ましく、そのようなテープは例えば、実質的に110g/m2 〜240g/m2の重量があって、現在、TecnoGI社によって提案されている。
【0091】
添付の図6および図7において非限定的な例として示された、この発明の実施形態の第3方法では、ライニング13のフラップ28は、中底15の縁部19へ、Strobel型のもの、あるいは実質的に同等の手法では「ジグザグ」として知られた型のものであるのが好都合である第4縫い目31によって、結合されている。
【0092】
端縁18および密封用バンド17は、「AGOラスティング」として知られた作業方法によって、折り曲げられて、中底15の縁部19の下方で接着剤接合されている。
【0093】
保護要素21は、加水分解に対する抵抗性があって透湿性であるとともにフェルト、不織布などの中から選択され、撥水性であるように処理され、かつ、実質的に1mm〜2mmからなる厚さがあるのが好ましい材料から作られていると、好都合である。
【0094】
保護要素21には、例えば靴10の使用中に孔32の中に侵入する異物に対して下方機能要素20を保護するという役割があるのが有利である。
【0095】
これ以降にいっそう詳しく説明するように、保護要素21には、底革付き底部材16を形成する方法と、それを甲革組付体11および中底15へ結合する方法と、甲革組付体11を中底15へ結合する方法とに実質的に左右される、いくつかの機能がさらにある。
【0096】
図1、図4および図6において非限定的な例として示された第1実施形態では、この発明による靴10の底革付き底部材16は、型成形によって中底15と単一構造状に一体化された甲革組付体11に、熱可塑性材料、ポリウレタン(PU)の中から選択されるのが好ましいポリマー材料の射出あるいは注入によって、直接形成されるのが好都合であり、また、その透湿性領域Bを画定する貫通孔32を有している。
【0097】
中底15と一体化された甲革組付体11に底革付き底部材16を型成形するのに際して、好都合であるのは、金型が閉じられて、孔32を形成するように適合されたピンが、例えば、接着剤のスポットによってその透湿性を損なうことがないようにそこへ接着剤接合される、中底15に隣接する保護要素21に配置されることである。
【0098】
上記第1実施形態では、保護要素21の機能は、型成形の間に密封材料23が防水性・透湿性領域Aにおける下方機能要素20の湿りを防止してその透湿性を維持することにあるのが有利である。
【0099】
さらにまた、保護要素21の付加的役割は、型成形の間に、上記ピンが形成するように適合された孔32を開放状態にしておくために、上記保護要素と上記ピンとの間に密封材料23が浸透することを防止することにある。
【0100】
上記第1実施形態において、有利であるのは、密封材料23が、中底15と一体化された甲革組付体11に型成形される底革付き底部材16を構成する材料であることである。
【0101】
その密封材料23は、好ましくは下方機能要素20を帯域22で把持して防水性密封部をもたらすように、上記金型の中へ射出されるかあるいは注入され、また、
密封用バンド17が、実施形態の上記第1方法によって設けられているとき、すなわち、密封材料に関して透過性であるときには、密封材料23は、甲革機能要素14の端縁18をも把持して防水性密封部をもたらすように、上記金型の中へ射出されるかあるいは注入されて、密封用バンド17を透過し、さもなければ、
密封用バンド17が、実施形態の上記第2方法によって設けられているとき、すなわち、防水性であるときには、密封材料23は、密封用バンド17をも把持して防水性密封部をもたらすように、上記金型の中へ射出されるかあるいは注入される。
【0102】
具体的には、密封用バンド17の実施形態の上記第2方法では、この発明の実施形態の不確定要件に左右されるが、
密封用バンド17が底革付き底部材16の一体化の前に甲革機能要素14の端縁18へすでに密封されているという製造方法が選択されるときには、密封材料23は、防水性密封部をもたらすようにそれを把持し、代わりに、
密封用バンド17が熱活性化可能なポリマー材料から作られるという製造方法が選択されるときには、密封材料23は、甲革機能要素14の端縁18へのその密封用接着を促進するようにそれを溶融し、甲革機能要素14と下方機能要素20との間の上記相互防水性密封部を画定するように、それ自体をそこへ同時に密封する。
【0103】
具体的には、甲革組付体11がこの発明の上記第1実施形態におけるように中底15と一体化されているときには、好都合であるのは、密封材料23が第3縫い目30をも密封することである。
【0104】
代わりに、甲革組付体11がこの発明の上記第2実施形態あるいは上記第3実施形態におけるように中底15と一体化されているときには、有利であるのは、密封材料23が、中底15の縁部19を、折り曲げられて縁部19の下方で接着剤接合された端縁18へ、密封用バンド17によって密封することである。
【0105】
特に上記第1実施形態を参照すると、中底15において有利であるのは、帯域22に、実質的に2〜5mmからなる直径を有していて密封材料23の通過を可能にし、甲革組付体11と一体化された中底15への底革付き底部材16の単一構造的把持を保証する孔が存在することである。
【0106】
この場合、密封材料23は、甲革組付体11が嵌められる金型の靴型によってその材料の浸透が止められる足挿入領域へその材料が到達するまで、上記孔に実際に浸透する。
【0107】
さらに説明されていないかあるいは添付図面に示されていない、上記第1実施形態の構造的変形例では、上記底革付き底部には、複数の部分、例えばポリウレタン(PU)から作られた例えば中物(midsole)と、例えばゴムから作られ、かつ、その透湿性領域を画定する貫通孔がある接地体として作用する層とが備わっていてもよい。
【0108】
上記中物を形成し、上記密封材料を構成する材料は、上記中底と一体化された上記甲革組付体の上に、かつ、例えば接着剤接合によるかあるいはオーバーモールドにより上記保護要素に隣接して配置されるのが好ましい上記接地体の上に、オーバーモールドされるのが好都合である。
【0109】
特に図2、図5および図7を参照すると、この発明による靴10の、第2のそして代わりの実施形態では、上記密封材料は、参照符号123によって表されており、密封用バンド17の表面上に、帯域22に、さらにそれらの接続領域に塗布される密封用接着剤からなっている。
【0110】
上記密封用接着剤は、さらに、あるいは代わりに、密封用バンド17へ、帯域22へ、さらにそれらの接続領域へ結合するように設計されたその部分で、底革付き底部材16の上に塗布されるのが好都合である。
【0111】
従って、密封材料123は、甲革機能要素14を下方機能要素20へその帯域22で密封するのが好都合である。
【0112】
具体的には、密封用バンド17が、密封材料123に関して透過性であるように設けられているときには、密封材料123は、防水性密封部をもたらすように甲革機能要素14の端縁18を把持し、甲革機能要素14と下方機能要素20との間に相互防水性密封部を画定するように密封用バンド17を透過するのが好都合である。
【0113】
代わりに、密封用バンド17が、防水性に設けられ、かつ、甲革機能要素14の端縁18へ防水性密封部をもたらすように密接状に接着される防水性ポリマー材料から作られているときには、密封材料123は、密封用バンド17と相まって、甲革機能要素14と下方機能要素20との間に相互防水性密封部を画定するのが好都合である。
【0114】
この明細書にさらに記載されていないかあるいは上記添付図面に示されていない、この発明の代わりの実施形態では、上記密封材料は、密封用バンド17の上へ、帯域の上へ、さらにそれらの接続領域の上へ塗布される密封剤であってもよい。
【0115】
従って、上記下方機能要素および上記甲革機能要素が密封されると、少なくとも1つの接着剤層が、上記底革付き底部材を上記中底へ結合された上記甲革組付体に接続するとともに密封するために設けられるのが有利である。
【0116】
好都合であるのは、密封材料123が、
シリコーン接着剤、熱可塑性接着剤、H.B.Fuller社によって製造されて商標名IPATHERM S 14/176として現在知られている接着剤あるいはその同等物のような反応型ポリウレタンホットメルト接着剤、または
ラテックスあるいはポリウレタン
の中から選択されることである。
【0117】
上記第2実施形態において、あるいは底革付き底部材16と中底15へ接合された甲革組付体11との間を接着剤接合する場合において、保護要素21のさらに別の役割は、接着剤接合の際に、下方機能要素20が防水性・透湿性領域Aで湿るのを密封材料123によって防止することにあるのが好都合である。
【0118】
さらにまた、保護要素21の別の役割は、底革付き底部材16と中底15へ接合された甲革組付体11との間に介在された密封材料123の厚さを平均化することにあるのが好都合である。
【0119】
添付の図5、図6および図7において非限定的な例として示された、この発明の実施形態の第2方法および第3方法では、保護要素21の付加的な役割は、中底15に対してる甲革組付体11をラスティングする諸段階の間に、ラスティング機の足による引き裂きのおそれに対して下方機能要素20を保護することである。
【0120】
以上のように記載されたこの発明によれば、現在知られている靴の制約を克服して、より簡単である構造を有するとともに効果的に防水靴を得ることのできる、防水性の甲革および底革を有する靴を提供することによって、意図された上記ねらいおよび上記諸目的が達成される、ということが実際にわかった。
【0121】
中底の縁部と、甲革機能要素の端縁へ結合された密封用バンドによって形成された甲革組付体の縁部との結合は、密封材料の一部における下方機能要素の上記バンドと甲革機能要素の端縁との効果的な把持のために、それらの間に相互防水性密封部を形成するように、実際に準備される。
【0122】
この発明による靴によれば、甲革機能要素と甲革との間に浸入した水が収容されるおそれのある隙間をもたらすことがないように、甲革機能要素がそこへ接着されるかあるいはそこへラミネートされるという事実による結果、その甲革の内側における水の停滞を防止することが可能である。
【0123】
具体的には、この発明による靴によれば、その甲革の内側における水の停滞が防止されることで、ユーザーの足を温かくかつ乾いた状態に維持することが保証される。
【0124】
さらにまた、この発明による靴によれば、その甲革の内側における水の停滞が防止されることで、足挿入領域から外側への水蒸気の効果的な透過が可能になり、さらに、軽量であって、湿ったときには容易かつ迅速に乾燥することが可能になる。
【0125】
さらにまた、この発明による靴によれば、密封材料が下方機能要素の帯域と甲革機能要素の端縁との密封を容易にする結果、上記帯域が透過性であるときにはそれを支持する密封用バンドを通って、あるいは上記帯域が透過性であるときにはそれと相まってそこへ到達する、その中への水の浸入を防止するための密封が容易である。
【0126】
さらにまた、この発明による靴は、効果的かつ永続的に防水性であるともに、その一部である甲革機能要素のおかげで甲革組付体を通して、かつ、下方機能要素が設けられているおかげで透湿性であるその底部材を通して、透湿性である。
【0127】
この発明による靴はさらにまた、構造的に簡単であって、履いて、また、使用して快適である。
【0128】
以上のように構想されたこの発明は、そのすべてが特許請求の範囲の適用範囲内にある多数の修正および変形を受けることができ、すべての細部は技術的に同等の他の諸要素で置き換えることができる。
【0129】
実際に、使用された材料は、それらが特定の用途と両立する限り、不確定な形状および寸法とともに、諸要件および最新技術による任意のものであってよい。
【0130】
この出願が優先権を主張するイタリア特許出願第PD2010A000037号における開示は、参照によってこの明細書の中に組み入れられる。
【0131】
任意の請求項において言及された技術的特徴は参照符号に従うものであり、それらの参照符号は、請求項の理解度を増大する目的だけのために含まれており、従って、そのような参照符号は、そのような参照符号によって例示として特定されたそれぞれの要素の解釈に制限的な効果を持つものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性・透湿性の甲革および底革を有する靴(10)であって、
透湿性あるいは有孔の外側甲革(12)、透湿性の内側ライニング(13)、およびこれらの間の、水蒸気に関して透過性であって液体状態にある水に関して不透過性である甲革機能要素(14)を層状に少なくとも備える甲革組付体(11)と、
前記甲革組付体(11)へ結合され、かつ、少なくとも1つの防水性・透湿性領域(A)を有している中底(15)と、
前記中底(15)から到来する水蒸気の消散を可能にするために、前記少なくとも1つの防水性・透湿性領域(A)に設けられた透湿性領域(B)を有する底革付き底部材(16)と
を備えてなり、
前記甲革機能要素(14)は、前記甲革(12)へ、それに接着されるように実質的に固定状に結合され、前記甲革(12)は、密封用バンド(17)のある前記中底(15)へ向かって終わり、前記密封用バンド(17)は、前記甲革機能要素(14)の端縁(18)によって少なくとも部分的に被覆され、前記密封用バンド(17)および前記端縁18)は、前記中底(15)の周囲縁部(19)と一体化されており、
前記中底(15)は、水蒸気に関して透過性であって液体状態にある水に関して不透過性である少なくとも1つの下方機能要素(20)を選択的に備えているかあるいはそれに結合されており、
前記防水性・透湿性領域(A)は、前記少なくとも1つの下方機能要素(20)と前記底革付き底部材(16)との間に介在されるように配置された少なくとも1つの透湿性保護要素(21)によって、前記少なくとも1つの下方機能要素(20)の上に実質的に形成され、前記下方機能要素(20)は、前記防水性・透湿性領域(A)の周囲にあって前記保護要素(21)によって被覆されていない少なくとも1つの帯域(22)を有し、
相互防水性密封部が、前記密封用バンド(17)における前記甲革機能要素(14)と、前記帯域(22)における前記少なくとも1つの下方機能要素(20)との間に設けられている
ことを特徴とする靴。
【請求項2】
前記中底(15)は、透湿性あるいは有孔であって前記下方機能要素(20)へ接合されかつ前記要素(20)に関してこの靴(10)の内側へ向けられた少なくとも1つの構造層(24)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記密封用バンド(17)は、その幅が実質的に8mm〜12mmからなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の靴。
【請求項4】
前記密封用バンド(17)は、密封材料(23,123)に関して透過性であり、前記相互防水性密封部は、防水性密封部を形成するために前記帯域(22)を把持するとともに、防水性密封部を形成するために、前記甲革機能要素(14)の端縁(18)を把持するように前記密封用バンドを透過する密封材料(23,123)によって設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の防水性・透湿性靴。
【請求項5】
前記密封用バンド(17)は、テープ状であることと、横断繊維のある構造、クモの巣状構造、編地構造、織地構造、3次元布地構造の中から選択された構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の靴。
【請求項6】
前記密封用バンド(17)は、テープ状であることと、その2つの長手側縁(26a,26b)に沿って相異なる方法で弾性変形するものであって、前記長手側縁(26a,26b)のうちの第1長手側縁(26a)が前記甲革(12)の本体(12a)の端縁へ結合されているとともに、前記長手側縁(26a,26b)のうちの第2長手側縁(26b)が、前記本体(12a)の前記端縁によって、かつ、前記密封用バンド(17)が結合する前記中底(15)の縁部(19)によって、対応して採用された、同一の角度に内在された異なる円弧長さを補償するために、前記縁部(19)へ結合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の靴。
【請求項7】
前記密封用バンド(17)は、
横断繊維のある構造、クモの巣状構造、編地構造、織地構造、3次元布地構造の中から選択された構造を有している中央部と、
この中央部に対して側方にあり、単一体を形成し、前記長手側縁(26a,26b)を形成している2つの弾性バンドと
を備えていることを特徴とする請求項6に記載の靴。
【請求項8】
前記密封用バンド(17)は、防水性ポリマー材料から作られており、前記相互防水性密封部は、前記密封用バンド(17)と前記密封材料(23,123)との協働によって設けられ、前記密封用バンド(17)は、防水性密封部をもたらすために、前記端縁(18)へ密接状に接着され、前記密封材料(23,123)は、防水性密封部を形成するために、前記密封用バンド(17)と前記下方機能要素(20)とを前記帯域(22)で把持していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の防水性・透湿性靴。
【請求項9】
前記帯域(22)は、実質的に5mm〜8mmからなる幅を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の靴。
【請求項10】
前記甲革機能要素(14)および前記少なくとも1つの下方機能要素(20)は、発泡ポリテトラフルオロエチレン、すなわちe−PTFE、ポリウレタン、すなわちPUなどの中から選択された防水性・透湿性ポリマー材料から作られていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の靴。
【請求項11】
前記少なくとも1つの保護要素(21)は、加水分解に対して抵抗性があって透湿性であるとともにフェルト、不織布などの中から選択され、撥水性であるように処理されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の靴。
【請求項12】
前記密封材料(23)は、前記底革付き底部材(16)の少なくとも一部が前記中底(15)へ結合された前記甲革組付体(11)の上にオーバーモールドされたときに、前記底革付き底部材(16)の前記少なくとも一部を構成する材料からなっていることを特徴とする請求項4〜11のいずれか1つに記載の靴。
【請求項13】
前記密封材料(123)は、前記密封用バンド(17)の上へ、前記帯域(22)の上へ、さらにそれらの接続領域の上へ塗布される密封用接着剤からなっていることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1つに記載の靴。
【請求項14】
前記密封材料(123)は、前記密封用バンド(17)へ、前記帯域(22)へ、さらにそれらの接続領域へ結合するように設計されたその部分で、前記底革付き底部材(16)の上に塗布される密封用接着剤からなっていることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1つに記載の靴。
【請求項15】
前記ライニング(13)のフラップ(28)は、前記端縁(18)が、前記フラップ(28)から自由であるその自由部分(18a)を有し、露出された状態におかれるように、前記端縁(18)へ結合されており、前記端縁(18)および前記密封用バンド(17)は、「AGOラスティング」として知られた作業方法によって、結合され、折り曲げられ、かつ、前記中底(15)の前記縁部(19)の下方で接着剤接合されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の靴。
【請求項16】
前記自由部分(18a)は、実質的に10mm〜15mmからなる幅を有していることを特徴とする請求項15に記載の靴。
【請求項17】
前記ライニング(13)のフラップ(28)は、第4縫い目(31)によって、前記縁部(19)へ結合され、前記端縁(18)および前記密封用バンド(17)は、「AGOラスティング」として知られた作業方法によって、結合され、折り曲げられ、かつ、前記縁部(19)の下方で接着剤接合されていることを特徴とする1〜16のいずれか1つに記載の靴。
【請求項18】
前記第4縫い目(31)は、Strobel型のものか、あるいは「ジグザグ」として知られた型のものであることを特徴とする請求項17に記載の靴。
【請求項19】
前記ライニング(13)のフラップ(28)、前記端縁(18)および前記密封用バンド(17)は、第3縫い目(30)によって前記縁部(19)と一体化されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の靴。
【請求項20】
前記第3縫い目(30)は、Strobel型のものか、あるいは「挟み縫い付け」として知られた型のものの中から選択的に決定された型のものであることを特徴とする請求項19に記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−519407(P2013−519407A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552331(P2012−552331)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050921
【国際公開番号】WO2011/098344
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(502346105)ジェオックス エス.ピー.エー. (27)
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Feltrina Centro 16,31044 MONTEBELLUNA(Treviso),Localita Biadene,ITALY
【Fターム(参考)】