説明

防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置

【課題】部品点数を少なく、且つ軽量にして、安価な消防用ホース通過孔開閉装置を提供する。
【解決手段】防火扉の下端部に形成される消防用ホース通過孔に開閉可能に蝶番2を介して小扉1を取り付け、小扉1は板金を材料として折り曲げて作られていて横長の長方形で上下方向に向く本体板部5と、この本体板部5の1つの長辺である下端に直角に連設された水平な底板部6と、この本体板部5のもう1つの長辺である上端に直角に連設され前記底板部6より幅の狭い上板部7と、この上板部7の先端に上向きに直角に連設されたマグネット取り付け板部8と、前記本体板部5の2つの短辺である左右両側に連設された側板部9,10と、この側板部9,10の内、一方の側板部9の先端から外向きに直角に張り出すように設けた前記蝶番2の取り付け板部11とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設けられる防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から建物内には火災時における煙の広がりを防止するために防火扉が設けられている。火災時には建物内に消防用ホースが引き回され、前記防火扉を閉じた状態で消防用ホースを引き回すためには防火扉の一部に消防用ホース通過孔となる開閉自在な小扉が設けられている。
【0003】
特許文献1には小扉を備えた防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置が開示されている。この特許文献1に開示されている消防用ホース通過孔開閉装置は、建物の通路を遮断すべく通路の壁面に沿って通路を開いた状態と、通路を閉じた状態との間で鉛直軸芯の周りで回動自在に前記壁面に取り付けられる防火扉の下端部に消防用ホース通過孔となる切り欠き部を形成し、この切り欠き部には防火扉にねじにて固定されるフレームと、このフレームに回動自在に支持された小扉とからなる小扉ユニットを設けてなるものである。詳しくは、特許文献1の図面にも示されるように小扉はボックス状となっており、防火扉に取り付けられるフレームは┌型となっていて、小扉の上側および蝶番部を覆っている。
【特許文献1】特開平6−319823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置の構成では、小扉はボックス状となっており、防火扉に取り付けられるフレームは┌型となっていて、小扉の上側および蝶番部を覆っている構成であり、全体として大きなものとなり、使用される材料が耐火性を必要とすることから鉄あるいはステンレスであるので、全体の重量が重く、取り扱い(持ち運び時や取り付け時など)の点で手間がかかるという問題があった。また、小扉がボックス状であることやこの小扉の上側および蝶番部を覆うフレームを必要とし、部品点数が多くなることから、コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、部品点数を少なく、且つ軽量にして、安価な消防用ホース通過孔開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置は、建物の通路を遮断すべく通路の壁面に沿って通路を開いた状態と、通路を閉じた状態との間で鉛直軸心の周りで回動可能に前記壁面に取り付けられる防火扉の下端部に消防用ホース通過孔を形成し、この消防用ホース通過孔に消防用ホース通過孔を開閉すべく蝶番を介して小扉を回動可能に取り付け、前記小扉は板金を材料として折り曲げて作られていて長方形の本体板部と、この本体板部の1つの長辺に直角に連設された板部と、この本体板部のもう1つの長辺に直角に連設され前記板部より幅の狭い板部と、この本体板部のもう1つの長辺に連設された板部の先端に外向きに直角に連設されたマグネット取り付け板部と、この本体板部の2つの短辺に連設された板部と、この2つの短辺に連設された板部の内、一方の板部の先端から外向きに直角に張り出すように設けた前記蝶番の取り付け板部とを備え、前記本体板部の背面側は空洞状態となっており、前記蝶番取り付け板部の外面に蝶番の一方の羽根板を重ねて固定してあり、蝶番の他方の羽根板は防火扉の消防用ホース通過孔の側壁面に固定され、また蝶番には小扉を消防用ホース通過孔を閉じる方向に付勢するばねが設けられており、さらに前記マグネット取り付け板部の外面にはマグネットが取り付けられ、小扉が消防用ホース通過孔を閉じた状態においてマグネットは防火扉の戸当たり板部に当接して防火扉の閉塞状態を保持するように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置は、小扉の本体板部と2つの短辺に連設された板部の内、他方の板部との連設部において防火扉側の召し合わせ板部に沿うように召し合わせ板部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置は、小扉が板金を材料として折り曲げて本体板部の背面側は空洞状態となるように作られており、この本体板部と、2つの短辺に連設された板部の一方の板部の先端から外向きに直角に張り出すように設けた蝶番取り付け板部に取り付けられる蝶番とから構成されているので、部品点数が少なく、且つ軽量となるため、安価な消防用ホース通過孔開閉装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、図1〜図8に示す第1の実施の形態について説明すると、1は蝶番2を介して鉛直軸心の周りで回動可能に防火扉3の下端部に形成された消防用ホース通過孔4に取り付けられる板金を折り曲げて作られた小扉で、この小扉1は横長の長方形で上下方向に向く本体板部5と、この本体板部5の1つの長辺である下端に直角に連設された水平な底板部6と、この本体板部5のもう1つの長辺である上端に直角に連設され前記底板部6より幅の狭い水平な上板部7と、この上板部7の先端に上向きに直角に連設されたマグネット取り付け板部8と、前記本体板部5の2つの短辺である左右両側に連設された側板部9,10と、この側板部9,10の内、一方の側板部9の先端に外向きに直角に連設された前記蝶番2の取り付け板部11とから構成されている。
【0010】
さらに詳しくは、前記底板部6の先端には上向きの折り返し片12が直角に連設され、側板部9,10の内、他方の側板部10の先端には内向きの折り返し片13が直角に連設されている。また、前記蝶番取り付け板部11の内面および一方の側板部9の内面さらには前記マグネット取り付け板部8の内面に重なるように折り曲げられた板金からなる補強板14を蝶番取り付け板部11の内面に対し溶接またはねじにより取り付けてある。このように補強板14が取り付けられた蝶番取り付け板部11の外面に蝶番2の一方の羽根板15を重ねてねじ16により固定してあり、蝶番2の他方の羽根板17は防火扉3の消防用ホース通過孔4の側壁面18にねじ19により固定される。なお、蝶番2には防火扉3に取り付けられた小扉1を消防用ホース通過孔4を閉じる方向に付勢するばね20が設けられている。さらに、前記マグネット取り付け板部8の外面には上板部7の上側位置でマグネット21がねじ止めされており、小扉1が消防用ホース通過孔4を閉じた状態においてマグネット21は防火扉3の鉄製の戸当たり板部22に当接して防火扉3の閉塞状態を保持するようになっている。
【0011】
ところで、前記小扉1は防火扉3の蝶番23による取り付け側端部とは反対側の防火扉3の端部の下端部に形成された消防用ホース通過孔4に小扉1を位置させて防火扉3に取り付けている。
【0012】
上記構成において、小扉1を備えた防火扉3は鉛直軸心の周りで回動可能に建物内の通路24の壁面25に取り付けられており、この防火扉3は通常時は建物内の通路24の壁面25に沿うように開いた状態となっており、そのとき小扉1の本体板部5は通路24側に向いている。小扉1の本体板部5の背面側は空洞状態となっているが、通常時においては通路24側からは見えず、外観的にも違和感が生じることがない。火災が発生したときは防火扉3が閉じられて通路を遮断する。消防用ホース26は防火扉3の小扉1が前記蝶番2に設けたばね20力に抗して鉛直軸心の周りで回動されて開かれて消防用ホース通過孔4を通過する。
【0013】
ところで、以上述べた第1の実施の形態において、小扉1は防火扉3の前記蝶番23による取り付け側端部とは反対側の防火扉3の端部の下端部に形成された消防用ホース通過孔4に小扉1を位置させて防火扉3に取り付けているが、小扉1の取り付け位置は防火扉3の幅方向のどの位置であっても良い。また、小扉1を水平軸芯の周りで回動自在に支持することも可能である。
【0014】
次に、図9〜図13に示す第2の実施の形態について説明すると、この第2の実施の形態では前記第1の実施の形態の小扉1の本体板部5と他方の側板部10との連設部において召し合わせ板部27を設けてある。詳しくは、召し合わせ板部27は本体板部5と他方の側板部10との間に本体板部5から側方に面一状に突出する2重構造の板部が形成されるように本体板部5と他方の側板部10との間に一体に形成されている。この召し合わせ板部27は小扉1を取り付ける防火扉3側に形成された召し合わせ板部28に沿うようになる。他の構成は前記第1の実施の形態と同様である。
【0015】
なお、前記召し合わせ板部27は別の板材を用いて繋ぎ合わせて形成するようにしても良い。
次に、図14および図15に示す第3および第4の実施の形態について説明すると、上記2つの実施の形態では一方の側板部9の先端に外向きに直角に連設された前記蝶番2の取り付け板部11を設けるとともに蝶番取り付け板部11の内面に対し補強板14を取り付け、蝶番取り付け板部11の外面に蝶番2の一方の羽根板15を重ねて取り付けているが、一方の側板部9の内面に別部品の蝶番取り付け板部29をねじ30止めなどにより取り付け、この蝶番取り付け板部29を一方の側板部9の先端から外向きに直角に張り出すように構成し、この蝶番取り付け板部29の外面に蝶番2の一方の羽根板15を重ねて取り付けるようにすることも可能である。なお、図14に示す第3の実施の形態は第1の実施の形態の変形例、図15に示す第4の実施の形態は第2の実施の形態の変形例である。他の構成は前記第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置に使用される小扉の正面側から見た斜視図である。
【図2】同小扉の背面側から見た斜視図である。
【図3】同小扉の水平断面図である。
【図4】同小扉を備えた防火扉の設置状態を示す概略平面図である。
【図5】同防火扉に対する小扉の取り付け状態を示す正面図である。
【図6】同小扉を防火扉に取り付けた状態を示す横断面図である。
【図7】同小扉を防火扉に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図8】同防火扉が閉じた状態で小扉が開かれ消防用ホースが通過した状態を示す概略平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置に使用される小扉の正面側から見た斜視図である。
【図10】同小扉の背面側から見た斜視図である。
【図11】同小扉の水平断面図である。
【図12】同小扉を防火扉に取り付けた状態を示す正面図である。
【図13】同小扉を防火扉に取り付けた状態を示す横断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における小扉の水平断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態における小扉の水平断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 小扉
2 蝶番
3 防火扉
4 消防用ホース通過孔
5 本体板部
6 底板部
7 上板部
8 マグネット取り付け板部
9,10 側板部
11 蝶番取り付け板部
12,13 折り返し片
14 補強板
15 羽根板
17 羽根板
20 ばね
21 マグネット
22 戸当たり板部
24 通路
25 壁面
26 消防用ホース
27,28 召し合わせ板部
29 蝶番取り付け板部
30 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の通路を遮断すべく通路の壁面に沿って通路を開いた状態と、通路を閉じた状態との間で鉛直軸心の周りで回動可能に前記壁面に取り付けられる防火扉の下端部に消防用ホース通過孔を形成し、この消防用ホース通過孔に消防用ホース通過孔を開閉すべく蝶番を介して小扉を回動可能に取り付け、前記小扉は板金を材料として折り曲げて作られていて長方形の本体板部と、この本体板部の1つの長辺に直角に連設された板部と、この本体板部のもう1つの長辺に直角に連設され前記板部より幅の狭い板部と、この本体板部のもう1つの長辺に連設された板部の先端に外向きに直角に連設されたマグネット取り付け板部と、この本体板部の2つの短辺に連設された板部と、この2つの短辺に連設された板部の内、一方の板部の先端から外向きに直角に張り出すように設けた前記蝶番の取り付け板部とを備え、前記本体板部の背面側は空洞状態となっており、前記蝶番取り付け板部の外面に蝶番の一方の羽根板を重ねて固定してあり、蝶番の他方の羽根板は防火扉の消防用ホース通過孔の側壁面に固定され、また蝶番には小扉を消防用ホース通過孔を閉じる方向に付勢するばねが設けられており、さらに前記マグネット取り付け板部の外面にはマグネットが取り付けられ、小扉が消防用ホース通過孔を閉じた状態においてマグネットは防火扉の戸当たり板部に当接して防火扉の閉塞状態を保持するように構成したことを特徴とする防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置。
【請求項2】
小扉の本体板部と2つの短辺に連設された板部の内、他方の板部との連設部において防火扉側の召し合わせ板部に沿うように召し合わせ板部を設けたことを特徴とする請求項1記載の防火扉における消防用ホース通過孔開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−136629(P2009−136629A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319031(P2007−319031)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(392036876)鐵矢工業株式会社 (4)
【出願人】(592163893)ジョー・プリンス竹下株式会社 (32)