説明

防火扉

【課題】付室加圧防煙時に、扉閉鎖の段階で扉面に加わる圧力を低減して容易に閉鎖でき、日常時にも扉開放に力を要しないようにした。
【解決手段】扉3は、横方向に分割された扉部3A、3B同士がヒンジで連結され、第2扉部3Bの取っ手4に連動する扉開閉機構10を備えている。扉開閉機構10は、取っ手4の開閉操作に連動して扉部3A、3B同士を結合可能とする扉連結バー11と、扉連結バー11に連動して扉枠2に連結される第1扉部3Aを扉枠2に対して係止可能とする第2扉係止バー14とを備え、取っ手4の開操作時には、扉連結バー11によって扉部3A、3B同士が結合され、第2扉係止バー14によって第1扉部3Aと扉枠2との固定が解除され、取っ手4の閉操作時には、扉連結バー11によって扉部3A、3B同士の結合が解除され、第2扉係止バー14によって第1扉部3Aが係止孔21で扉枠2に固定されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段室などに設けられる防火扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防煙対策として、火災時に煙から守るべき空間を重点化できる加圧防煙システムが知られている。この場合、とくに避難上重要な階段を守るために、付室に給気し、付室が加圧される方式(以下、付室加圧防煙という)が一般的となっている。
このような付室加圧防煙では、例えば特許文献1に開示されているような防火扉を用い、扉開放時に煙が浸入しないように、付室に隣接する火災室と付室との間に遮煙に必要な圧力差を確保している。また、付室まわりの防火扉は、すべて閉鎖された状態となるが、非難や消防活動に伴う扉開放に支障をきたさないようにする必要がある。そのため、付室廻りのすべての扉を容易に閉鎖でき、防火区画を形成し易くすることが重要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−247118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防火扉では、以下のような問題があった。
すなわち、付室に面する階段室の防火扉は、避難上、階段室側へ開く構造になっているため、風量制御によっては付室との圧力差により防火扉が開いたままの状態になり、防火区画が形成されなくなるというおそれがあった。
これに対応するため、防火扉の閉鎖力を強化することが検討されるが、一般的に防火扉に用いられるヒンジは防火扉の大きさに適合したものが使用されるので、扉の閉鎖力は制限される。つまり、防火扉の閉鎖力を高めるために大きなヒンジを用いると、扉が大きくなり過ぎて建物に対する納まりが悪くなったり、日常時の開閉に支障をきたすという問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、付室加圧防煙時に、扉閉鎖の段階で扉面に加わる圧力を低減して容易に閉鎖でき、日常時にも扉開放に力を要しない防火扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る防火扉では、扉枠に第1ヒンジを介して開閉自在に設置された扉を備えた防火扉であって、扉は、横方向に分割された複数の扉部からなり、隣り合う扉部同士が第2ヒンジを介して連結されるとともに、扉部に設けられた取っ手に連動する扉開閉機構を備えてなり、扉開閉機構は、取っ手の開閉操作に連動して隣り合う扉部同士を結合可能とする扉連結部材と、扉連結部材に連動して扉枠に連結される枠側扉部を扉枠に対して係止可能とする扉係止部材と、を備え、取っ手の開操作時には、扉連結部材によって隣り合う扉部同士が結合されるとともに、扉係止部材によって枠側扉部と扉枠との固定が解除され、取っ手の閉操作時には、扉連結部材によって隣り合う扉部同士の結合が解除されるとともに、扉係止部材によって枠側扉部が所定位置で扉枠に固定される構成としたことを特徴としている。
【0007】
本発明では、扉枠内から扉を開く際、取っ手を開操作とすることで、扉連結部材によって隣り合う扉部同士が結合されるとともに、扉係止部材によって枠側扉部と扉枠との固定が解除され、複数の扉部を一体的に結合した状態で扉を第1ヒンジで開くことができる。また、扉を扉枠内に閉じる際、取っ手を閉操作とすることで、扉連結部材によって隣り合う扉部同士の結合が解除されるとともに、扉係止部材によって枠側扉部が所定位置で扉枠に固定されることになる。このとき、扉が複数の扉部に分割され、複数の扉部が複数のヒンジによって支持されているので、階段室と付室との間に防火扉を設ける場合での付室加圧防煙時において、1枚の扉部面が受ける階段室と付室との圧力差による圧力が一枚扉で扉全面に圧力を受ける場合に比べて小さくなる。つまり、扉面への圧力差の影響を受けにくくなり、例えば扉部が2枚の場合であれば従来と同じ扉閉鎖力でも2倍近い扉面への圧力差に対して閉鎖することができ、閉鎖能力が向上することになる。
【0008】
しかも、分割されている複数の扉部を枠側扉部から順に段階的に閉鎖することができるので、扉面に加わる付室からの圧力を小さくして閉じることができ、閉鎖力の低減を図ることができる。
また、各扉部は、ヒンジの作用により自動的に閉じる方向に回動させることができるので、取っ手から手を離して前記開操作を止めることで、自動的にすべての扉部を閉鎖することが可能である。
さらに、扉を開く際には、複数の扉部を一体的に結合して容易に開くことが可能であるので、必要な扉開放力は従来のままであり、日常面での使い勝手には支障が無い。そして、開放に手間を要せず、避難に必要な幅員等の計画も行い易いという利点がある。
【0009】
また、本発明に係る防火扉では、扉連結部材は、第1付勢部材を有し、取っ手の開操作時に第1付勢部材に抗して隣り合う扉部同士を結合する構成であることが好ましい。
本発明では、取っ手の開操作を止めた時点、すなわち取っ手から手を離すことで、第1付勢部材の付勢力により扉連結部材が元の位置に戻ろうとするため、自動的に扉部同士の結合を解除することができる。
【0010】
また、本発明に係る防火扉では、扉係止部材は、第2付勢部材を有し、扉連結部材に連動して第2付勢部材に抗して枠側扉枠と扉枠とを固定する構成であることが好ましい。
本発明では、前記閉操作時に扉連結部材による扉部同士の結合が解除されると、これに連動し、扉係止部材も第2付勢部材の付勢力によって元に戻ろうとするため、枠側扉部を所定位置で扉枠に固定させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防火扉によれば、付室加圧防煙時における扉閉鎖の段階で、扉面に加わる圧力を低減して容易に閉鎖できるとともに、日常時でも扉開放に大きな力が不要となる効果を奏する。そして、1枚の扉面が受ける圧力が小さくなって閉鎖力が増大するので、扉面への圧力の影響を抑えることができ、これにより階段室と付室との圧力差によって防火扉が開いてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態による防火扉の側面図である。
【図2】図1に示す防火扉を開いた状態の平面図である。
【図3】防火扉の開閉状態を示す平面図であって、(a)は第1扉部を閉鎖した状態の図、(b)は第1扉部および第2扉部を閉鎖した状態の図である。
【図4】防火扉の扉開閉機構を示す一部破断側面図であって、閉操作時の状態の図である。
【図5】防火扉の扉開閉機構を示す一部破断側面図であって、開操作時の状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による防火扉について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による防火扉1は、ビルなどの階段室に設けられ、火災時に階段室と付室との間を閉鎖するものである。
防火扉1は、扉枠2に第1ヒンジ5Aを介して開閉自在に設置された扉3と、扉3に設けられた取っ手4に連動する扉開閉機構10とを備えている。
【0014】
図1乃至図3に示すように、扉枠2は、縦枠2a、2bと横枠2c、2dとからなり、後述する第1扉部3Aの下側に位置する下枠2dには後述する第2扉係止バー14に対応する係止孔21が設けられている。
【0015】
扉3は、横方向に分割される左右二枚の扉(図1で紙面左側を第1扉部3A(枠側扉部)とし、同じく紙面右側を第2扉部3Bとする)からなり、隣り合う扉部3A、3B同士が第2ヒンジ5Bを介して連結されている。つまり、第2扉部3Bは第1扉部3Aに対して第2ヒンジ5Bによって回動自在となっている。第1扉部3Aと第2扉部3Bは、共に同じ幅寸法に設定されている。ここで、扉枠2と第1扉部3Aとを連結する第1ヒンジ5A、および扉部3A、3B同士を連結する第2ヒンジ5Bに使用されるヒンジは、ほぼ同一の閉鎖力のものが使用されている。
そして、第1扉部3Aの第2扉部3B側(紙面右側)の側端部3aには、第2扉部3Bに設けられる後述する扉連結バー11の突出端11aを挿入出させるための凹部31が設けられている。
【0016】
扉3は、鋼製の部材からなり、とくに図示しないが一部に網入りのガラス等の防火性を有するガラスが入っていてもかまわない。なお、必要な耐火時間に合わせて、鋼材等の厚さ、防火性を有するガラスの種類や使用範囲は適宜変更可能である。
【0017】
図4および図5に示すように、第2扉部3Bの取っ手4の位置には、一対の回転板(第1回転板6A、6B)が上下方向に配置され、それぞれ周部に歯が形成された歯車状をなし、互いに噛合した状態で回転可能な状態で第2扉部3Bに軸支されている。第1回転板6Aには取っ手4が固定されており、第2回転板6Bは後述する扉連結バー11のラック11cに噛合している。つまり、取っ手4を回動させることで、第1回転板6Aが矢印E1方向に回転し、第1回転板6Aに噛合する第2回転板6Bも矢印E2方向に回転してラック11cを介して扉連結バー11をその長手方向で第1扉部3A側(紙面左側)に向けてスライドさせる構成となっている。
【0018】
図4および図5に示すように、扉開閉機構10は、取っ手4の開閉操作に連動して隣り合う第1扉部3Aおよび第2扉部3B同士を結合可能とする前記扉連結バー11(扉連結部材)と、扉連結バー11に連動して扉枠2に連結される第1扉部3Aを扉枠2に対して係止可能とする第1、第2第1扉係止バー12、14(扉係止部材)と、第1、第2係止バー12、14を連結する連結材13とを備えて概略構成されている。なお、図4および図5は、扉3の内部が見える状態となっている。
【0019】
扉連結バー11は、基端11bを扉枠2側にして長手方向を横方向に向けて配置される長尺棒材であり、取っ手4の回動により第2扉部3Bの幅方向に進退移動可能で、この進退移動によって突出端11aが第1扉部3Aの凹部31に突出可能となっている。扉連結バー11には、長手方向に沿って延びるとともに前記第2回転板6Bに噛合する前記ラック11cが形成されている。ラック11cは、第2回転板6Bの回転運動をラック11cの延びる方向の直線運動に変換するものである。つまり、扉連結バー11は、ラック11cとともに進退移動する構成となっている。
【0020】
また、扉連結バー11の基端11bには、第1ばね部材15(第1付勢部材)が設けられている。この第1ばね部材15は、扉連結バー11の突出端11aが凹部31に挿入していないときに最も収縮した通常状態であり、突出端11aが凹部31に挿入した位置に移動したときに伸びた状態となっている。
【0021】
第1扉係止バー12は、第1扉部3A内で長手方向を上下方向に向けて配置される長尺棒材であり、その上端12aが凹部31に突出可能に上下方向に進退移動する構成となっている。下端12bには、第2ばね部材16(第2付勢部材)が設けられるとともに、連結材13の他端13aに回動可能に連結されている。第1扉係止バー12は、その上端12aが凹部31の軸線方向に直交する方向で下方から挿入可能となっている。
【0022】
第2ばね部材16は、第1扉係止バー12の上端12aが凹部31内に突出した状態で、伸張した通常状態であり、前記上端12aが凹部31から抜けた位置に移動したときに縮んだ状態となっている。
なお、第1扉係止バー12の上端12aの凹部31内への突出長は、扉連結バー11の突出端11aの押圧力によって第1扉係止バー12が下方へ移動することが可能な長さとされる。
【0023】
このように、第1扉係止バー12は、通常の状態で上端12aが凹部31内に挿入された状態であり、上述した扉連結バー11の突出端11aが凹部31に挿入されたときに、その突出端11aによって上端12aが下方に向けて押圧され、第2ばね部材16の付勢に抗して下方へ移動する構成となっている。
【0024】
連結材13は、長手方向中央の回転中心13cが第1扉部3Aに回転可能に支持されており、一端13aが第1扉係止バー12の下端12bに、および他端13cが第2扉係止バー14の上端14aに扉面に平行な面内で回転可能に連結されている。連結材13の両端13a、13bにはそれぞれ貫通孔が形成されており、その貫通孔が扉係止バー12、14に形成される突出ピン(図示省略)に係合するようになっている。
つまり、図5に示すように、連結材13は、第1扉係止バー12が下方に移動することで、回転中心13cを中心にして紙面で時計回りに回動し、他端13bの上方への移動に伴って第2扉係止バー14を引き上げる構成となっている。
【0025】
第2扉係止バー14は、長手方向を上下方向に向けて配置される長尺棒材であり、その上端14aが連結材13の他端13bに回転可能に連結され、連結材13の回動によって上下方向に進退移動し、これにより下端14bが扉枠2に形成されている係止孔21に進出可能となっている。この第2扉係止バー14の下端14bには、回転自在な回転球17が設けられている。この回転球17は、扉3の開閉時において第1扉部3Aをスムーズに移動させるための車輪の機能を有している。
また、扉枠2に設けられた係止孔21は、回転球17が入り易いように孔周縁部が斜めにカットされたテーパ形状となっている。
なお、回転球17と下端14bとの間には、図示しないばね部材を設けてもよく、この場合には扉移動時の扉3の振動を吸収することができ、扉開閉時の支障が生じにくい構造にすることができる。
【0026】
次に、上述した防火扉1の作用、および防火扉1の開閉手順について図面に基づいて詳細に説明する。
図4および図5に示すように、扉枠2内から扉3を開く際、取っ手4を横向き(矢印E1方向)に倒して開操作とすることで、第1回転板6Aも取っ手4と同じ方向(矢印E1方向)に回転し、これに噛合する第2回転板6Bも矢印E2方向に回転する。そして、第2回転板6Bに噛合するラック11cを介して扉連結バー11が第1扉部3A側(図5に示す矢印X1方向)へ向けて第1ばね部材15の付勢に抗して移動し、第2扉部3Bの側端部より突出する突出端11aが凹部31内に進入して係合する。この凹部31と扉連結バー11との係合によって第2ヒンジ5Bによる回動が規制され、分割されている第1扉部3Aと第2扉部3Bとが結合された状態になる。
【0027】
次に、凹部31内において、第1扉係止バー12の上端12aが扉連結バー11の突出端11aによって押圧されて上下方向下側(矢印Y1方向)へ第2ばね部材16の付勢に抗して移動する。そして、第1扉係止バー12の下端12bに連結される連結材13が回転中心13cを中心にして紙面で時計回りに回動し、他端13bに連結される第2扉係止バー14が矢印Y2方向に引き上げられ、第2扉係止バー14の下端14b(回転球17)が扉枠2の係止孔21から抜けて外れることになる。
【0028】
このように、扉連結バー11によって隣り合う第1扉部3Aと第2扉部3B同士が結合されるとともに、扉係止バー12、14によって第1扉部3Aと扉枠2との固定が解除され、2枚の扉部3A、3Bを一体的に結合した状態で扉3を第1ヒンジ5Aによって開くことができる(図2参照)。
【0029】
次に、図2に示す開いた状態から扉3を閉める場合、扉連結バー11の基端11bに第1ばね部材15が設けられているので、扉3の開放が終わって、取っ手4を放すと、引っ張られて伸張していた第1ばね部材15が通常状態に戻ろうとする付勢力の作用により、扉連結バー11は凹部31から抜けて元の位置に戻り、取っ手4も倒した位置から垂直の元の位置に戻る。これにより、第1扉部3Aと第2扉部3Bとの結合状態が解除され、第2ヒンジ5Bで回動自在となる。
【0030】
また、第2ばね部材16も付勢力により元に戻ろうとして連結材13を回転させ、第2扉係止バー14を下方に移動させ、第2扉係止バー14の下端14bに設けられている回転球17が床面に接触することになる。そして、回転球17が扉3の開閉移動に伴って床面を転がり、第1扉部3Aの閉鎖と同時に扉枠2の係止孔21に落下するようにして進入し、これにより第1扉部3Aが扉枠2に固定される。
【0031】
このように、扉3を扉枠2内に閉じる際、取っ手4を閉操作とすることで、扉連結バー11によって隣り合う第1扉部3Aと第2扉部3B同士の結合が解除されるとともに、扉係止バー12、14によって第1扉部3Aが所定位置で扉枠2に固定されることになる。
【0032】
すなわち、扉3が2枚の扉部3A、3Bに分割され、2枚の扉部3A、3Bが複数のヒンジ5A、5Bによって支持されているので、階段室と付室との間に防火扉を設ける場合での付室加圧防煙時において、1枚の扉部面が受ける階段室と付室との圧力差による圧力が一枚扉で扉全面に圧力を受ける場合に比べて小さくなる。つまり、扉面への圧力差の影響を受けにくくなり、本実施の形態のように扉部3A、3Bが2枚の場合であれば従来と同じ扉閉鎖力でも2倍近い扉面への圧力差に対して閉鎖することができ、閉鎖能力が向上することになる。
【0033】
また、防火扉1では、図3(a)、(b)に示すように、分割されている2枚の扉部3A、3Bを第1扉部3Aから順に段階的に閉鎖することができるので、扉面に加わる付室からの圧力を小さくして閉じることができ、閉鎖力の低減を図ることができる。
また、各扉部3A、3Bは、ヒンジ5A、5Bの作用により自動的に閉じる方向に回動させることができるので、取っ手4から手を離して前記開操作を止めることで、自動的にすべての扉部3A、3Bを閉鎖することが可能である。
さらに、扉3を開く際には、2枚の扉部3A、3Bを一体的に結合して容易に開くことが可能であるので、必要な扉開放力は従来のままであり、日常面での使い勝手には支障が無い。そして、開放に手間を要せず、避難に必要な幅員等の計画も行い易いという利点がある。
【0034】
上述のように本実施の形態による防火扉では、付室加圧防煙時における扉閉鎖の段階で、扉面に加わる圧力を低減して容易に閉鎖できるとともに、日常時でも扉開放に大きな力が不要となる効果を奏する。そして、1枚の扉面が受ける圧力が小さくなって閉鎖力が増大するので、扉面への圧力の影響を抑えることができ、これにより階段室と付室との圧力差によって防火扉が開いてしまうことを防止することができる。
【0035】
以上、本発明による防火扉の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では扉3を2分割としているが、分割数はとくに限定されることはなく変更可能であり、3枚以上の扉部を設ける構成であってもかまわない。
【0036】
また、本実施の形態の扉開閉機構10の構成に限定されることもない。つまり、扉連結バー11、第1係止バー12、連結材13、第2係止バー14の位置、長さ寸法、形状、数量等の構成は扉部の寸法、分割数などに応じて適宜変更することができる。
そして、第1ばね部材15、第2ばね部材16についても、省略することも可能であり、また他の構成の付勢部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 防火扉
2 扉枠
3 扉
3A 第1扉部(枠側扉部)
3B 第2扉部
4 取っ手
5A 第1ヒンジ
5B 第2ヒンジ
6A 第1回転板
6B 第2回転板
10 扉開閉機構
11 扉連結バー(扉連結部材)
12 第1扉係止バー(扉係止部材)
13 連結材
14 第2扉係止バー(扉係止部材)
15 第1ばね部材(第1付勢部材)
16 第2ばね部材(第2付勢部材)
17 回転球
21 係止孔
31 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉枠に第1ヒンジを介して開閉自在に設置された扉を備えた防火扉であって、
前記扉は、横方向に分割された複数の扉部からなり、隣り合う前記扉部同士が第2ヒンジを介して連結されるとともに、前記扉部に設けられた取っ手に連動する扉開閉機構を備えてなり、
該扉開閉機構は、前記取っ手の開閉操作に連動して隣り合う前記扉部同士を結合可能とする扉連結部材と、前記扉連結部材に連動して前記扉枠に連結される枠側扉部を前記扉枠に対して係止可能とする扉係止部材と、を備え、
前記取っ手の開操作時には、前記扉連結部材によって隣り合う前記扉部同士が結合されるとともに、前記扉係止部材によって前記枠側扉部と前記扉枠との固定が解除され、
前記取っ手の閉操作時には、前記扉連結部材によって隣り合う前記扉部同士の結合が解除されるとともに、前記扉係止部材によって前記枠側扉部が所定位置で前記扉枠に固定される構成としたことを特徴とする防火扉。
【請求項2】
前記扉連結部材は、第1付勢部材を有し、前記取っ手の開操作時に前記第1付勢部材に抗して隣り合う前記扉部同士を結合することを特徴とする請求項1に記載の防火扉。
【請求項3】
前記扉係止部材は、第2付勢部材を有し、前記扉連結部材に連動して前記第2付勢部材に抗して前記枠側扉枠と前記扉枠とを固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の防火扉。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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