説明

防災監視盤

【課題】 操作入力器による各種操作がしやすく、また、操作入力器の収容スペースをコンパクトにして筐体サイズを小さくし、さらに、使用に際する動作をスムーズに行うこと。
【解決手段】 火災発生階の図面画像を表示する表示器が筐体内に設けられ、該筐体の表板に設けられた開口部を介して前記表示器が外部に露出する防災監視盤であって、前記表示器に表示される表示内容に対して所定の操作入力を行う操作入力器を収容する収容部と、該収容部の前面開口部を開閉自在に覆い、かつ、前傾させた時に、前記表板に対して略垂直状態で保持されるテーブルを、前記開口部内に位置する前記筐体内に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災信号等の防災情報を受けてCRT等の表示器上に火災発生階の図面画像等を表示する防災監視盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の防災監視盤は、火災信号等の防災情報を受けてCRT等の表示器上に火災発生階の図面画像等を表示するとともに、マウス、キーボード等の操作入力器により、表示器に表示される表示内容に対して所定の操作入力を行っている(例えば、特許文献1参照)。防災監視盤には、自立型と、デスク型との2種類があり、デスク型は、デスク上に表示器及び操作入力器を載置できるため、監視員は、監視や各種操作がし易い反面、広い設置スペースを必要とする。
【特許文献1】特開平11−25378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自立型は、監視員は、操作入力器を手に持って操作入力を行わなければならず、各種操作がしにくいという問題があった。また、未使用時は、操作入力器を筐体内に設けるようにすると上記デスク型のような広い設置スペースは必要ないが、筐体サイズは操作入力器の収容スペース分だけ大きくなる。そのため、操作入力器の収容スペースをできる限りコンパクトにして、筐体サイズを小さくしたい。さらに、使用に際する動作をスムーズに行いたい。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、操作入力器による各種操作がしやすく、また、操作入力器の収容スペースをコンパクトにして筐体サイズを小さくし、さらに、使用に際する動作をスムーズに行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、火災発生階の図面画像を表示する表示器が筐体内に設けられ、該筐体の表板に設けられた開口部を介して前記表示器が外部に露出する防災監視盤であって、前記表示器に表示される表示内容に対して所定の操作入力を行う操作入力器を収容する収容部と、該収容部の前面開口部を開閉自在に覆い、かつ、前傾させた時に、前記表板に対して略垂直状態で保持されるテーブルを、前記開口部内に位置する前記筐体内に設けたことを特徴とする。
【0006】
また、前記操作入力器を、該操作入力器の一部が、前記テーブルが前記表板に対して略垂直状態であるときに前記テーブルから臨むように、前記収容部に傾斜状態で収納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、操作入力器を収容する収容部と、該収容部の前面開口部を開閉自在に覆い、かつ、前傾させた時に、表板に対して略垂直状態で保持されるテーブルを、筐体内に設けたので、操作入力器の未使用時において、収容部の前面開口部はテーブルにより覆われるので美観的に優れ、かつ、使用時において、監視員は、略垂直状態に保持されたテーブルに操作入力器を載置することができ、操作入力器による各種操作がしやすい。
【0008】
またこの発明は、操作入力器としてのキーボードを、収容部に傾斜状態で収納するので、筐体奥行き方向の収容部スペースを小さくすることができ、奥行き方向の筐体サイズを小さくすることができる。また、テーブルが表板に対して略垂直状態であるときに、キーボードの上部がテーブルから臨むようになっているので、監視員は、テーブルを開けるとキーボードの位置をはっきりと確認できるので、キーボードをテーブル上に移動載置するなどの動作をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1および図2は、本発明の一実施例である防災監視盤1の正面図および右側面図であり、図3は、テーブル12を取り外した状態の化粧枠8の概略正面図であり、図4は、テーブル12を取り付けた状態の化粧枠8の概略側面図であり、図5および図6は、LCD表示器9の画面例を示す図である。
【0010】
防災監視盤1は、その筐体を、前面を開口した箱状の本体2と、該本体2の前面を開閉自在に覆う、例えば横開きの開閉扉3(表板)により構成しており、この筐体の底部には架台4が設けられている。
【0011】
開閉扉3には、開口部5が設けられている。開閉扉3の背面側には、この開口部5を内側から塞ぐように、第1化粧枠6、第2化粧枠7、第3化粧枠8が固定されている。この各化粧枠6、7、8には、表示器としてのLCD表示器9、システム状態表示操作部10、取っ手11が設けられたテーブル12がそれぞれ固定されており、開口部5を介して外部から視認可能となっている。
【0012】
LCD表示器9は、防災監視盤1に接続された火災受信機(図示略)から送出される火災信号等の防災情報を受けて火災発生階の図面画像等を表示する。システム状態表示操作部10は、詳細に表さないが、防災監視盤1の運転時、停電時、異常時に点灯する運転灯、停電灯、異常灯、及び、火災音響等を停止する音響停止スイッチが配置されている。
【0013】
図3、図4に示すように、化粧枠8は、中央に開口13(前面開口部)が設けられた略枠状に形成された枠板であり、開口13の開口端から筐体背面方向に形成された箱状の収容部15が溶着等により接合されている。
【0014】
収容部15の両側面下部において、テーブル12がその両側面下部を回転軸16によって軸支され、化粧枠8(収容部15)の開口13を起伏自在に覆うようにされている。また、収容部15の上面には、閉状態のテーブル12(図4に2点鎖線で示す)の裏面上部に対応して、マグネットキャッチ17が固定されている。さらに、収容部15の両側面下部内側には、開状態のテーブル12(図4に点線で示す)が化粧枠8に対して略垂直状態で保持されるように、テーブル12の裏面下端部が当接する位置に対応して、ストッパ18が固定されている。なお、化粧枠8は、開閉扉3と水平位置関係にある。
【0015】
これにより、テーブル12は、通常時は、マグネットキャッチ17により閉状態に維持されて開口13を覆い、また、監視員による取っ手11の操作により、テーブル12が前傾して開放され、テーブル12の裏面下端部がストッパ18に当接して、開閉扉3に対して略垂直状態で保持されることが可能となっている。そのため、テーブル12の裏面は、操作入力器(後述する)を載置するテーブルとして機能するようになる。
【0016】
また、収容部15の内部には、キーボード規制金具19及びマウス収納具21が設けられ、操作入力器としてのキーボード20及びマウス22が収容されている。これらのキーボード20及びマウス22は、監視員が、LCD表示器9に表示される表示内容に対して所定の操作入力を行うものであり、マウス22は、収容部15の背面略中央に設けられた箱状のマウス収納具21の内部に収納される。
【0017】
キーボード規制金具19は、収容部15の底面に固定され、かつ、ストッパ18の背面に近接して、ストッパ18の取付高さに到る。そして、キーボード20は、収容部15に傾斜状態で収納されている。すなわち、キーボード規制金具19の上部と収容部15の底面及び背面に当接した傾斜状態で載置されている。つまり、キーボード規制金具19は、テーブル12の前傾動作に支障がない位置で、できる限り筐体前面方向に設けられている。そして、キーボード20を傾斜状態で収納することによって、収容部15の奥行き寸法を小さくすることができ、筐体の奥行き寸法を小さくすることができる。また、キーボード20の一部(上部)が、テーブル12が開放状態のときにテーブル12から臨むように設定されている。そのため、監視員は、テーブル12を開けるとキーボード20の位置をはっきりと確認できるので、キーボード20をテーブル12上に移動載置するなどの動作をスムーズに行うことができる。
【0018】
さらに、テーブル12の軸支位置が、テーブル12を開放したときに、テーブル12全体が筐体前面から突出せず、一部(下部)が収容部15内に位置するように設定されている。具体的には、キーボード20及びマウス22が載置可能で、かつ、適度な操作スペースが得られるように突出寸法が設定されている(図4参照)。そのため、操作入力器の使用時に必要とされるテーブル12の突出部を抑制することができる。
【0019】
また、収容部15の両側面で、テーブル12の軸支される位置、ストッパ18の位置を規定しているので、これら位置が別部材で規定されている場合と比べて、組立誤差なく、テーブル12を前傾させた時に、テーブル12が開閉扉3に対して良好に略垂直状態に保持されるようにすることができる。
【0020】
このような防災監視盤1は、常時、収容部15が、テーブル12により覆われており、美観的に優れ、内部への塵埃の侵入が防止されている。また、LCD表示器9の画面には、例えば、図5に示すように、火災感知器等の端末機器をシンボル配置した所定の監視階の平面図画像が表示され、また、操作入力器による各種入力操作が行えるメニューバー等が表示されている。
【0021】
そして、火災受信機(図示略)から送出される火災信号等の防災情報を受けると、LCD表示器9に火災発生階の平面図面画像を表示して、図5に示すように、火災を検出した火災感知器51a、51bのシンボル及びこの火災感知器51a、51bが配置された警戒区域の炎シンボル52a、52bの表示を変化させる。
【0022】
監視員がこれを確認して、例えば、操作入力器により火災発生階の排煙機の運転制御を行いたい場合には、監視員は、取っ手11を前方に引っ張る。すると、テーブル12とマグネットキャッチ17との係合が解除され、テーブル12が前傾動作し、テーブル12の裏面下端部がストッパ18に当接して、前傾動作が停止し、テーブル12は、開閉扉3に対して略垂直状態で保持される。そして、テーブル12から臨んだキーボード20及びマウス22を確認し、収容部15から取り出してテーブル12の裏面上に載置する。そして、LCD表示器9を見ながら、マウス22操作によって、メニューバー表示エリアの「排煙機制御」スイッチ上にポインタを移動操作して、ダブルクリックする。すると、図6に示すように、排煙機制御画像が表示されるので、起動させたい排煙機の「起動」スイッチ上にポインタを移動操作して、ダブルクリックする。これにより、防災監視盤1から火災受信機(図示略)を介して該当排煙機に制御信号が送出されて起動する。
【0023】
この発明を利用する実施形態の防災監視盤1は、火災発生階の図面画像を表示するLCD表示器9が筐体内に設けられ、該筐体の開閉扉3に設けられた開口部5を介してLCD表示器9が外部に露出する防災監視盤1であって、LCD表示器9に表示される表示内容に対して所定の操作入力を行うキーボード20またはマウス22を収容する収容部15と、該収容部15の開口13を開閉自在に覆い、かつ、前傾させた時に、開閉扉3に対して略垂直状態で保持されるテーブル12を、開口部5内に位置する筐体内に設けた。
【0024】
これにより、キーボード20またはマウス22の未使用時において、収容部15の開口13はテーブル12により覆われるので美観的に優れ、かつ、使用時において、監視員は、略垂直状態に保持されたテーブル12にキーボード20またはマウス22を載置することができ、キーボード20またはマウス22による各種操作がしやすい。
【0025】
またこの防災監視盤1は、収容部15の両側面に、回転軸16によってテーブル12を軸支するとともに、テーブル12を前傾させた時に、テーブル12の下端部が当接して、テーブル12を開閉扉3に対して略垂直状態に保持するストッパ18を設けた。
【0026】
これにより、収容部15の両側面で、テーブル12の軸支される位置、ストッパ18位置を規定しているので、これら位置が別部材で規定されている場合と比べて、組立誤差なく、テーブル12を前傾させた時に、テーブル12が開閉扉3に対して良好に略垂直状態に保持されるようにすることができる。
【0027】
またこの防災監視盤1は、収容部15の底面に、ストッパ18の取付高さに到るキーボード規制金具19を、ストッパ18の背面に近接して設け、キーボード20を、該キーボード20の一部が、テーブル12が開閉扉3に対して略垂直状態であるときにテーブル12から臨むように、収容部15に傾斜状態で収納した。
【0028】
これにより、キーボード規制金具19はストッパ18の背面に近接しているので、テーブル12の前傾動作に支障がない位置で、できる限り筐体前面方向に設けられている。そして、キーボード20を、キーボード規制金具19の上部と収容部15の底面及び背面に当接した傾斜状態で収納するので、収容部15の奥行き寸法を小さくすることができ、筐体の奥行き寸法を小さくすることができる。また、テーブル12が開閉扉3に対して略垂直状態であるときに、キーボード20の上部がテーブル12から臨むようになっているので、監視員は、テーブル12を開けるとキーボード20の位置をはっきりと確認できるので、キーボード20をテーブル12上に移動載置するなどの動作をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例である防災監視盤1の正面図である。
【図2】上記実施例における防災監視盤1の右側面図である。
【図3】上記実施例におけるテーブル12を取り外した状態の化粧枠8の概略正面図である。
【図4】上記実施例におけるテーブル12を取り付けた状態の化粧枠8の概略側面図である。
【図5】上記実施例におけるLCD表示器9の画面例を示す図である。
【図6】上記実施例におけるLCD表示器9の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1…防災監視盤
2…本体
3…開閉扉(表板)
5…開口部
8…第3化粧枠
9…LCD表示器(表示器)
12…テーブル
13…開口(前面開口部)
15…収容部
18…ストッパ
19…キーボード規制金具
20…キーボード(操作入力器)
22…マウス(操作入力器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災発生階の図面画像を表示する表示器が筐体内に設けられ、該筐体の表板に設けられた開口部を介して前記表示器が外部に露出する防災監視盤であって、
前記表示器に表示される表示内容に対して所定の操作入力を行う操作入力器を収容する収容部と、該収容部の前面開口部を開閉自在に覆い、かつ、前傾させた時に、前記表板に対して略垂直状態で保持されるテーブルを、前記開口部内に位置する前記筐体内に設けたことを特徴とする防災監視盤。
【請求項2】
前記操作入力器を、該操作入力器の一部が、前記テーブルが前記表板に対して略垂直状態であるときに前記テーブルから臨むように、前記収容部に傾斜状態で収納したことを特徴とする請求項1記載の防災監視盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−53660(P2006−53660A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233440(P2004−233440)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】