説明

防災監視設備及び警報器

【課題】スピーカの音圧測定試験中に火災が発生した場合の対応を適切かつ迅速に行えるようにする。
【解決手段】音圧測定試験処理部32は、試験エリアを指定する試験エリア設定操作と試験開始を指示する試験実行操作に基づいて、所定パターンの音声警報信号の内の音圧測定を行う所定の信号箇所を、試験エリアのスピーカから試験音として繰返し出力させる。試験中に火災発生を判別した場合、音圧測定試験を中断し、所定パターンの音声警報信号を生成して火災発生場所に対応したスピーカから火災警報音を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災監視盤で火災を監視して火災発生時に音声警報用のスピーカに火災発生のメッセージと警報音を含む音声警報信号を送って警報させる防災監視設備及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災発生時に音声警報用のスピーカから、火災が発生したことを示す音声メッセージと警報音を含む音声警報を出力する防災監視設備としては、集合住宅の防災監視設備がある。
【0003】
集合住宅の防災監視設備にあっては、住戸内に設置したスピーカを持ったインターホン子機付きの住戸用火災受信機から引き出された感知器回線に火災感知器を接続して住戸毎に火災を監視しており、各住戸の住戸用火災受信機を更に管理人室などに設置した防災監視盤に接続して集中監視している。
【0004】
またロビー、階段、廊下などの共用部に対し防災監視盤から引き出された感知器回線に火災感知器を接続し、直接火災を監視している。
【0005】
このような防災監視設備にあっては、火災発生時に防災監視盤において音声合成により生成した近隣火災警報の音声警報信号を、火災発生階および直上階の住戸用火災受信機に送ってそのスピーカから火災警報音を出力させており、同時に火災発生階及び直上階の共用部に設置されたスピーカを回線選択して同じ音声警報信号を送って火災警報音を出力させている。
【0006】
図8(A)は、近隣火災警報音を出力させる音声警報信号のパターンであり、第1シグナル、メッセージ、第1シグナル、メッセージ及び第2シグナルで構成される。ここで第1シグナルは図9(B)のように、「フィン フォン フィン フォン フィン フォン」という警報音であり、基本波形は鋸波とし、第1音をフィン(740Hz)0.5秒、第2音をフォン(494Hz)0.5秒とし、これを1単位として3回繰り返す。
【0007】
メッセージは、図8(C)のように、例えば「火事です。火事です。」、「○○階廊下で火災が発生しました。」、「安全を確認の上避難してください。」とする。最後の第2シグナルは、「フィッ」、「フィッ」、「フィッ」という警報音であり、詳細には300Hzから2KHzまでの0.5秒間のスイープ音としている。
【0008】
このような防災監視設備にあっては、設備の施工時及び定期点検時などに共用部に設置しているスピーカから所要の音量がでることを確認するため、音圧測定試験を行っている。この音圧測定試験は図8の音声警報信号の内の信号振幅が一定で周波数を変化させていることにより音圧が最も確保できるスイープ音(警報音)を使用した第2シグナルについて行っている。
【0009】
しかしながら、第2シグナルを試験音とした音圧測定試験にあっては、火災警報音の出力を開始してから第2シグナルの試験音が出力されるまで測定者は待たなければならない。また、第2シグナルは図8(D)のように一定間隔をあけて鳴動するため、測定者は騒音計の指針が揺れる中、そのピーク値を読み取る必要があり、その読み取りに失敗した場合は、再度第2シグナルの試験音が出力されるまでの間待つ必要があった。
【0010】
そこで音圧測定試験では、音声警報信号の中の音圧測定試験に適した第2シグナルによる試験音を連続して出力し、音声警報信号の中の、例えば最後の第2シグナル音が出力される測定タイミングまで待つことなく音圧測定試験ができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−016971号公報
【特許文献2】特開平5−282566号公報
【特許文献3】特開2000−003486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、このような従来の防災監視設備における音圧測定試験にあっては、試験中に住戸用火災受信機を設置している住戸で万一火災が発生した場合、防災監視盤は住戸用火災受信機からの火災確認信号を受信して火災代表表示、火災発生を報知する主音響メッセージの出力、火災発生住戸を示す地区表示などを行い、更に、火災発生階および直上階の住戸受信機のスピーカおよび廊下などの共用部に設置したスピーカから、図9に示したような所定パターンの火災警報音を出力する。
【0013】
しかしながら、音圧測定試験を指定した試験エリアに設置したスピーカは、第2シグナルにより試験音の連続出力中であることから、防災監視盤で試験停止操作を行わないと試験エリアに対し火災警報音を出力することができず、火災警報音が正常に出力されるまでに手間と時間がかかるという問題がある。
【0014】
また従来の防災監視設備における音圧測定試験にあっては、試験画面などによる回線番号の入力により試験エリアを設定した状態で実行スイッチを押すことで、試験エリアのスピーカから第2シグナルによる試験音を連続出力して音圧測定試験を実行しているが、試験エリアを設定した後に試験エリアにおける騒音計の設置に手間取った場合には、長時間に亘り本来の火災警報音を出力する機能が失われるという問題がある。
【0015】
また試験終了操作は、試験を開始した後に有効になる操作であり、試験エリアを変更するために試験を開始する前に試験終了操作を判別しても無視され、必要のない試験エリアについて第2シグナルによる試験音の連続出力を行わないと試験終了操作が有効に機能せず、試験エリアの設定変更が煩雑になるという問題もある。
【0016】
本発明は、スピーカの音圧測定試験中に火災が発生した場合の対応を適切かつ迅速に行える防災監視設備及び警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するため本発明は、
火災感知器の火災検出により火災発生を判別した場合、火災発生を示すメッセージ及び警報音を含む所定パターンの音声警報信号を生成して火災発生場所に対応した所定の音響変換器(スピーカ)から火災警報音を出力させる監視制御部と、
音圧測定試験の試験エリアを指定する試験エリア設定操作と試験開始を指示する試験実行操作に基づいて、音声警報信号の内の音圧測定を行う所定の信号箇所を、試験エリアの音響変換器から試験音として繰返し出力させる音響測定試験を実行する音圧測定試験処理部と、
を備えた防災監視設備に於いて、
音圧測定試験処理部は、試験中に監視制御部により火災発生を判別した場合、音圧測定試験を中断し、音声警報信号を生成して火災発生場所に対応した所定の音響変換器から火災警報音を出力させることを特徴とする。
【0018】
ここで、音圧測定試験処理部は、試験中に監視制御部により火災発生を判別した場合、試験音を途中で中断した後に火災警報音を出力させる。
【0019】
また、音圧測定試験処理部は、試験中に監視制御部により火災発生を判別した場合、試験音を中断した後に試験中に火災が発生したことを示すメッセージを含む所定パターンの音声警報信号を生成して火災警報音を出力させる。
【0020】
音圧測定試験処理部は、試験エリア設定操作を判別した後に所定時間を経過しても試験実行操作を判別しない場合または試験終了操作を判別した場合、音圧測定試験を解除する。
【0021】
本発明は、
火災発生を判別した場合、火災発生を示すメッセージ及び警報音を含む所定パターンの音声警報信号を生成して音響変換器から火災警報音を出力させる監視制御部と、
音圧測定試験の試験開始を指示する試験実行操作に基づいて、音声警報信号の内の音圧測定を行う所定の信号箇所を、音響変換器から試験音として繰返し出力させる音響測定試験を実行する音圧測定試験処理部と、
を備えた警報器に於いて、
音圧測定試験処理部は、試験中に監視制御部により火災発生を判別した場合、音圧測定試験を中断し、音声警報信号を生成して音響変換器から火災警報音を出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明してきたように本発明によれば、防災監視盤側で設定した試験エリアのスピーカから、火災警報音の中の音圧測定試験に適した信号箇所を試験音として繰り返し出力している試験中に火災発生が判別された場合、試験音を出力する音圧測定試験を中断して火災発生場所に対応した所定パターンの火災警報音を出力させるため、防災監視盤に戻って試験停止操作を必要とすることなく、試験エリアのスピーカからも火災警報音を出力させることができ、試験中に万一火災が発生しても、試験エリアを含めて例えば火災発生階と直上階に適切に火災警報音を出力させることで、試験中の火災発生に対し適切に対応できる。
【0023】
また試験中に火災が発生した場合、試験エリアについては、試験音を途中で中断して火災発生場所を示す音声メッセージを含む火災警報音が出力され、試験音から明確に区別した火災報知ができる。
【0024】
また音圧測定試験のための試験音を中断して火災発生場所を示す音声メッセージを含む火災警報音を出力する場合、試験中に火災が発生したことを示す音声メッセージを入れた火災警報音を出力することで、試験中に火災が発生したことが確実に伝わり、試験音から明確に区別できるため、火災発生に対し初期消火や避難を迅速に行うことができる。
【0025】
また音圧測定試験のために試験エリアを設定して試験実行操作を行わないでいると、所定時間後に音圧測定試験が自動的に解除され、試験エリアを設定したまま本来の火災警報音の出力機能が失われる状態を必要最小限に抑え、火災監視の信頼性を高めることがでる。
【0026】
また音圧測定試験のために試験エリアを設定した後に、試験終了操作を判別すると試験を実行していなくとも音圧測定試験を解除することができ、試験エリアの設定を誤ったとき等に、変更したいような場合、簡単に既に設定している試験エリアの設定を解除して最初からやり直すことができ、音圧測定試験の操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明で使用される防災受信盤を示した説明図
【図2】図1の防災監視盤の表示操作部を拡大して示した説明図
【図3】本発明による防災監視設備の実施形態を示したブロック図
【図4】図3の防災監視盤に設けた主制御部と音声合成部を取り出したブロック図
【図5】本発明の音圧測定試験で出力する第2シグナルの説明図
【図6】本発明の音圧測定試験で使用する作業画面の説明図
【図7】本発明による音圧測定試験処理のフローチャート
【図8】近隣火災警報に使用する音声パターンの説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明の防災監視設備で使用される防災監視盤の説明図である。図1において、防災監視盤1は集合住宅の管理人室などに設置されており、図示のように盤正面に火災監視部2を構成する火災発報代表灯などの表示器や各種の操作スイッチが設けられ、また共同玄関の集合玄関機や各住戸のインターホン設備と通話が可能なインターホン親機3としてのハンドセットとキースイッチが設けられている。
【0029】
図2は図1の防災監視盤1を拡大して表わしている。火災監視部2には液晶表示部4が設けられており、この液晶表示部4に、火災監視時にあっては監視中であることを示す監視画面が表示され、また監視中に火災受信が行われると火災画面に切り換わり、火災発生場所を示す地区名称を順次表示する。
【0030】
また液晶表示部4は、本発明が対象としている音圧測定試験を行う際の作業画面として使用される。液晶表示部4の右側には火災代表灯や、火災や障害の表示画面が液晶表示部4に切替表示されることに対応して点灯する発報表示、住戸警報表示、盤障害表示、回線障害表示などの表示灯に加え、液晶表示部4に表示する発報表示画面などの表示画面を切り換える画面選択キー、1画面に表示する警報情報が複数存在して一度に液晶画面に表示できないときに、警報情報をスクロールさせて表示させるためのシフトキー、警報復旧キーなどのキースイッチが設けられている。
【0031】
液晶表示部4の下部にはインターホン親機3が設けられており、ハンドセットの右側にキースイッチ5を設けている。キースイッチ5は0,1,・・・9の番号キー以外に*キー及び#キーを設け、更にその下側にインターホン制御のための取消キー、呼出キー、メッセージリセットキー、メッセージセットキーなどを設けており、更にキースイッチ5の下側には解錠キー、住戸音響停止キー、呼出音量の調整キーなどが設けられている。
【0032】
インターホン親機3の右側には、交流電源、予備電源動作中、スイッチ注意、障害代表、地区音響完全停止中、電話、発信機、蓄積中、諸表示1,2,3が示された各種の表示灯が設けられる。
【0033】
その下には、防災監視盤1の主音響を停止する音響停止スイッチ8と、各住戸や共用部の警報を一時停止する地区音響一時停止スイッチ9が設けられる。
【0034】
更に、その下に液晶表示部4を使用した地区名称の登録作業やその他項目選択などに使用するスイッチとして実行スイッチ6及び前画面スイッチ7が配置されている。実効スイッチ6は、音圧測定試験の際に、音圧測定試験の実行操作を指示するスイッチとして機能する。また前画面スイッチ7は、音圧測定試験の際に、音圧測定試験の終了操作を指示するスイッチとして機能する。
【0035】
また、実行スイッチ6及び前画面スイッチ7の右側には試験復旧、蓄積解除、保守音響停止、地区音響一斉鳴動の各表示灯と、地区音響一斉鳴動および復旧の各スイッチ設けられ、一番下側には非常電話用のジャックが設けられている。
【0036】
図3は本発明の火災報知設備の全体的な構成を示したブロック図である。図3において、防災監視盤1からは、各住戸側に対し伝送線28と通話線29が引き出され、この伝送線28と通話線29に対し住戸用火災受信機10が住戸毎に接続されている。
【0037】
住戸用火災受信機10は住戸用制御部11を備え、住戸用制御部11は制御部12、防災監視盤との火災情報や通話制御情報などの伝送を行う伝送回路13、インターホンなどの音声のやり取りを行う通話回路14、所定パターンの火災警報音などを出力させる音声警報信号や試験音を出力させる信号を生成する音声合成部15から構成されている。
【0038】
また住戸用制御部11に対しては、火災表示灯21、集合玄関機や防災監視盤と通話を行うインターホン機能のハンドセット22、トランジスタ23により作動されるリレー24、音声合成部15からの音声信号を増幅するアンプ25と住戸用スピーカ26が設けられている。
【0039】
感知器回線18には住戸内の火災を監視する住戸用火災感知器20が接続され、また終端には終端抵抗19が接続されている。住戸用制御部11の構成の一部又は全部はMPU(マイクロプロセッサ)の制御機能で実現することができる。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0040】
更に住戸用火災受信機10に対しては、住戸玄関口などに設置されたドアホン27が接続されている。このドアホン27には火災検出時に火災警報表示を行う戸外表示器27aが設置されている。
【0041】
ここで防災監視盤1と住戸用火災受信機10との間の伝送線28による伝送は、住戸用火災受信機10側に固有のアドレスを設定し、防災監視盤1からのアドレスの指定による住戸用火災受信機10の呼出しで信号を伝送するいわゆるR型伝送方式を採用している。住戸用受信機10へのアドレスの設定は、ディップスイッチなどで構成されるアドレス設定部16で行われる。
【0042】
また住戸用制御部11の制御出力によりオン、オフされるトランジスタ23の負荷となるリレー24は、切替リレー接点24a,24bを備えている。切替リレー接点24aは通常監視状態では通話線29を通話回路14に接続し、防災監視盤からのインターホン親機と住戸用火災受信機10に設けているハンドセット22との間での通話ができるようにしている。
【0043】
また切替リレー接点24bは、図示のように通常監視状態では音声合成部15側に閉じており、インターホンの呼出音や住戸用火災受信機10で火災感知器20からの発報信号により火災監視部17が火災を検知した際に住戸内に音声警報を出すようにしている。
【0044】
リレー24は、防災監視盤1から火災判断に基づく近隣火災警報や全館一斉鳴動のための火災警報音を出力するための音声警報出力制御信号を伝送回路13を介して制御部12で受けた際に、制御部12によるトランジスタ23のオンにより駆動され、切替リレー接点24a,24bを破線のように切り替え、防災監視盤1からの通話線29による近隣火災警報のための音声警報信号を直接アンプ25に加え、住戸用スピーカ26から直上階または出火階の住戸に対する近隣火災警報や全館一斉鳴動の火災警報音を出力できるようにしている。
【0045】
防災監視盤1はMPUを用いた主制御部30を備え、主制御部30は、そのプログラム制御により監視制御部31と本発明による音圧測定試験処理部32としての機能を備えている。もちろんMPUで構成される主制御部30には、ROMやRAMなどが設けられている。なお、これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0046】
主制御部30に対しては液晶表示部4と操作部33が接続される。液晶表示部4及び操作部33の構成は、図1及び図2のようになる。また主制御部30に対しては主音響用音声合成部43が設けられ、その出力にアンプ44を介して主音響用スピーカ(主音響用音響変換器)45を接続している。
【0047】
また防災監視盤1にはインターホン制御部34が設けられ、伝送回路35と通話回路36の機能が設けられている。このインターホン制御部34に設けた伝送回路35は、伝送線28を介して接続された住戸側の住戸用火災受信機10及び防災監視盤1に内蔵している中継器40のアドレスを指定して、制御信号(制御コマンド)やデータの伝送を行うR型伝送機能を実現する。
【0048】
防災監視盤1に設けている中継器40からは集合住宅の共用部に対し共用部感知器回線41が引き出され、ここに共用部用火災感知器42及び終端に終端抵抗43を接続している。なお、共用部の大きさや数により適宜中継器40、共用部用火災感知器42が設けられる。
【0049】
また伝送回路35及び通話回路36に対しては集合玄関機38が接続される。このため集合玄関機38とインターホン制御部34に接続しているインターホン親機のハンドセット37との通話、また住戸用火災受信機10のハンドセット22との間で集合玄関ドアの開閉制御や通話ができるようにしている。
【0050】
防災監視盤1の主制御部30に対しては近隣火災警報用の音声合成部46が設けられ、その出力はパワーアンプ47を介して回線選択部49に接続されている。回線選択部49に対しては共用部に設置された共用部スピーカ(共用部音響変換器)50a〜50nが回線単位に接続されている。
【0051】
回線選択部49の選択制御は、主制御部30に対し設けた入出力制御部48により行われる。即ち主制御部30で住戸用火災受信機10からの火災確認信号または中継器40からの火災信号の受信に基づいて火災及び火災発生地区を判断すると、入出力制御部48に対し例えば近隣火災警報であれば出火階及び直上階の共用部に対する回線選択を指示し、これに基づき入出力制御部48が出火階及び直上階に対応した回線選択部49に設けているリレーを作動し、その接点をオンすることで、パワーアンプ47の出力に出火階及び直上階の共用部に設けている共用部スピーカ50a〜50nの内の対応するスピーカを接続する。
【0052】
同時に主制御部30は、インターホン制御部34の伝送回路35を介して出火階及び直上階の住戸の住戸用火災受信機10に対し、そのアドレスを指定して音声警報出力制御信号を送り、トランジスタ23のオンによるリレー24の駆動で切替リレー接点24a,24bを破線側に切り替える。
【0053】
更にインターホン制御部34においてトランジスタ51、リレー52、切替リレー52aで構成される切替回路が設けられ、主制御部30からの音声警報出力制御信号によりトランジスタ51を駆動することでリレー52を作動し、その切替リレー接点52aを同じく破線側に切り替え、この状態で音声合成部46より近隣火災警報の音声警報信号を出力することで、出火階及び直上階の近隣住戸及び共用部のスピーカから近隣火災警報の火災警報音を出力できるようにしている。
【0054】
更に防災監視盤1には電源部53が設けられ、商用AC100Vにより内部に対する直流電源電圧を作り出している。
【0055】
次に図3の防災監視設備における動作を説明する。住戸用火災受信機10を設置しているある住戸で火災が発生したとすると、住戸用火災感知器20が発報し、発報信号を火災監視部17で受信し、火災監視部17からの火災発報信号を受けて住戸用制御部11は、その制御部12により火災表示灯21を点灯し、併せてドアホン27に設けている戸外表示器27aを点滅する。
【0056】
また音声合成部15を作動し、住戸用スピーカ26より例えば「火災感知器が作動しました。火災を確認してください。」などの音声メッセージの火災警報音を出力させる。
【0057】
このような住戸用火災受信機10における火災受信の動作に対し、居住者が火災を確認したならば、図示しない火災確認釦を操作すると、伝送線28により防災監視盤1に対し火災確認信号が送出される。
【0058】
また火災確認釦を操作しなくとも、火災受信から予め一定時間例えば2〜5分以内に定めた一定時間を経過すると、自動的に伝送線28より防災監視盤1に対し火災確認信号を送出する。なお火災受信から一定時間を経過する前に住戸用火災受信機10に設けられる警報音停止釦や復旧釦を操作すると、防災監視盤1に対する火災確認信号の送出は行われず初期状態に復旧する。
【0059】
防災監視盤1は、火災発生住戸の住戸用火災受信機10からの火災確認信号をインターホン制御部34の伝送回路35を経由して主制御部30で受信すると、その監視制御部31の機能により火災及び火災発生住戸を判断し、主音響用音声合成部43を作動して所定パターンの音声警報信号を生成してアンプ44により増幅した後、主音響用スピーカ45より火災発生を示す主音響の火災警報音として、例えば「火事です。火事です。○○階△△△△号室で火災が発生しました。」などを出力する。
【0060】
同時に、液晶表示部4に火災発生住戸として「○○階△△△△号室で火災発生」などの地区名称(火災発生住戸)を表示する。また図2の防災監視盤1において、火災代表表示や液晶表示部4に火災発報画面が表示されていることを示す発報表示灯の点灯を行わせる。
【0061】
続いて主制御部30は火災発生住戸から、その火災発生階の住戸及び直上階の住戸、更に共用部のアドレスを認識し、火災発生階及び直上階の住戸にインターホン制御部34の伝送回路35経由でアドレスを指定して近隣火災警報のために音声警報出力制御信号を送る。
【0062】
このため火災発生階の住戸及び直上階の住戸にあっては、住戸用火災受信機10の住戸用制御部11において防災監視盤1からの音声警報出力制御信号が判別され、リレー24の作動で切替リレー接点24a,24bを破線側に切り替え、また防災監視盤1においてもインターホン制御部34が制御出力によりリレー52を作動し、切替リレー接点52aを破線側に切り替え、音声合成部46の出力を通話線29に接続する。
【0063】
同時に主制御部30は入出力制御部48に火災発生階及び直上階の共用部の回線選択のための制御指示を行い、これを受けて回線選択部49の火災発生階及び直上階の回線に対応したリレーが作動され、出火階及び直上階の共用部スピーカがパワーアンプ47の出力に接続される。
【0064】
このような近隣火災警報の出力制御が済んだ状態で、主制御部30は音声合成部46を作動し、近隣火災警報のための所定パターンの音声警報信号を生成して出力する。この近隣火災警報の音声警報信号は、図9に示したように、第1シグナルとして「フィン フォン フィン フォン フィン フォン」という警報音を出した後、警報メッセージとして「火事です。火事です。○○階△△△△号室で火災が発生しました。安全を確認の上避難してください」との出力を行い、これを2回繰り返し、最後に「フィッフィッフィッ」というスイープ警報音の第2シグナルを出し、全体を繰り返す。
【0065】
このような近隣火災警報用の音声合成部46からの音声警報信号により、出火階及び直上階の住戸用火災受信機10の住戸用スピーカ26、更に出火階及び直上階の共用部に設けている共用部スピーカより、近隣火災警報用の火災警報音の出力が行われる。なお火災警報時にあっては通話線29は火災警報のために使用されることから、インターホン機能は停止されることになる。
【0066】
一方、共用部での火災発生に対しては中継器40で共用部用火災感知器42からの発報信号を受信して火災信号をインターホン制御部34の伝送回路35に出力し、この場合にも住戸用火災受信機10からの火災確認信号を受信した場合と同様にして、出火場所を共用部と判断した火災警報制御が行われる。
【0067】
次に図3の防災監視盤1の主制御部30に設けている音圧測定試験処理部32について説明する。
【0068】
図4は図3の主制御部30と音声合成部46を取り出し、音声合成部46の回路構成を一例として示している。主制御部30に設けた音圧測定試験処理部32は、音圧測定試験を行う共用部の地区指定(試験エリアの指定)に基づいて、指定地区に設置された共用部用スピーカを接続した回線を選択し、図5に示すような火災時に発生する近隣火災警報の音声警報信号の内、音圧測定を行うにあたって音圧を最も確保できる試験音として第2シグナルの繰り返しパターンとなる音声信号を出力させる。
【0069】
音声合成部46は音声合成IC54と音声データROM58で構成されている。主制御部30はIOポートにより音声合成IC54を制御し、音声データROM58に格納されている様々な音声データ信号を繋げて1つの音声警報信号を生成する。
【0070】
即ち主制御部30は、7ビットの音声アドレスにより音声データを指定し、スタート信号を入力することにより音声合成IC54からの音声データに対応したアナログの音声警報信号の発生を開始する。音声合成IC54で発生された音声警報信号は、内蔵しているローパスフィルタ56により高周波ノイズをカットした後、パワーアンプ47により増幅され、図3の回線選択部49を介して共用部スピーカに出力される。また音声合成IC54のローパスフィルタ56の出力は直接、通話線29から住戸用火災受信機2にも送出される。
【0071】
音圧測定試験処理部32は音圧測定試験の際に、音声合成IC54に対し図5における「フィッ」のスイープ警報音を発生するための音声アドレスを指定した状態でスタート信号の入力を繰り返すことで、連続する第2シグナルの音声警報信号を試験信号として出力させる。
【0072】
音圧測定試験時における共用部の地区指定(試験エリアの指定)は、防災監視盤1に設けている液晶表示部4を使用して行われる。図6(A)は音圧測定試験の際の液晶表示部4の表示画面であり、画面の上半分が「防災設備監視中」の表示をもつ監視画面60であり、下半分が音圧測定試験画面62となっている。
【0073】
この音圧測定試験画面62は、液晶表示部4のメニュー画面の中からメニュー項目「各種試験」を押すことで、音圧測定試験画面62に切り替わる。音圧測定試験画面62に対し、図1及び図2に示した防災監視盤1のテンキー5を使用して、例えば回線設定枠63に示すように回線番号「01」を入力設定し、続いて実行キー6を押すことで試験実効操作が判別され、音圧測定試験のための試験音の出力、即ち音圧測定試験が実行される。なお、全回線を鳴動させる場合は回線番号「99」を設定して実行キー6を押す。
【0074】
この実行キー6の試験実行操作により、主制御部30の音圧測定試験処理部32が入出力制御部48に対し指定された回線番号データを与え、これにより回線選択部49が指定された試験回線に対応したリレー接点を閉じ、パワーアンプ47の出力に、指定した回線番号を共用部に設置している共用部用スピーカを接続する試験エリアの設定動作が行われる。
【0075】
同時に音圧測定試験処理部32は、実行キー6の試験実行操作に基づき、図4に取り出して示すように、音声合成部46の音声合成IC54に対し第2シグナルの音声警報信号を発生させるための音声アドレスとスタート信号を出力し、これにより音声合成IC54より図5に示すような第2シグナルの音声警報信号が出力され、パワーアンプ47で増幅された後、回線選択部49を通り、このとき選択されている回線の共用部に設置している共用部スピーカから第2シグナルの音声警報信号によるスイープ警報音のみを試験音として連続的に出力させる。
【0076】
共用部スピーカの音圧測定試験は、スピーカから1m離れた位置に騒音計を設置し、その騒音計のピーク値としては、放送区域の広さによって変化するが、100平方メートルを超える放送区域の場合は、92dB/m以上の測定値が得られれば良い。
【0077】
ここで、音圧測定試験処理部32は、テンキー5を使用して、例えば回線設定枠63に示すように回線番号「01」を入力設定した後に、実行キー6の試験実行操作を判別せずに所定時間の経過を判別すると、音圧測定試験は実行されないものと判断し、音圧測定試験画面62の回線設定枠63に入力設定している回線番号「01」をクリアして音圧測定試験を解除し、メニュー項目として「各種試験」が表示されたメニュー画面に戻す。
【0078】
また、音圧測定試験処理部32は、テンキー5を使用して、例えば回線設定枠63に示すように回線番号「01」を入力設定した後に、図2に示した前画面スイッチ7の操作を判別した場合、音圧測定試験の終了操作有りを判別して音圧測定試験を解除する。この場合にも音圧測定試験画面62はメニュー項目として「各種試験」が表示されたメニュー画面に戻る。
【0079】
音圧測定試験の解除動作は、実行キー6を操作せずに所定時間が経過したこと、又は前画面スイッチ7による試験終了操作を主制御部30の音圧測定試験処理部32で判別すると、入出力制御部48に対しリセット信号が出力され、これにより回線選択部49が指定していた試験回線に対応したリレー接点を開き、パワーアンプ47の出力から、指定した回線番号を共用部に設置している共用部用スピーカとの接続を切り離し、試験エリアの設定解除動作が完了する。
【0080】
このため音圧測定試験画面62に切替えた状態でテンキー5により試験エリアを設定するための回線番号を誤って入力設定した場合や、回線番号を入力設定した後に試験エリアを変更したい場合には、所定時間の経過を待つか、前画面スイッチ7を操作することで、音圧測定試験が解除され、簡単かつ容易に試験エリアを設定するための回線番号の入れ直しを行うことができる。
【0081】
図6(A)の音圧測定試験画面62を使用してテンキー5により回線番号を入力設定して実行キー6を操作すると音圧測定試験が開始され、図6(B)の試験中画面63に切り替わる。この試験中画面63の状態において試験エリアで音圧測定試験が終了したならば、図2の前画面スイッチ7を押すことで音圧測定試験処理が終了する。
【0082】
即ち、前画面スイッチ7を押すと図4の主制御部30により試験終了操作が判別され、音声合成IC54に対しリセット信号が出力され、音声合成IC54による第2シグナルの音声警報信号の出力が停止する。
【0083】
一方、音圧測定試験処理部32は、音圧測定試験中(第2シグナルの音声警報信号によるスープ警報音の出力中)に、監視制御部31により住戸用火災受信機10からの火災確認信号または中継器40による共用部用火災感知器42からの発報信号により火災発生を判別した場合、試験エリアのスピーカから第2シグナルに基づくスイープ警報音を試験音として繰り返し出力している音圧測定試験を中断し、火災発生場所に対応した火災警報音の出力を行なわせる。
【0084】
即ち、音圧警報試験中に、防災監視盤1が、火災発生住戸の住戸用火災受信機10からの火災確認信号をインターホン制御部34の伝送回路35を経由して主制御部30で受信すると、その監視制御部31の機能により火災及び火災発生住戸を判断し、主音響用音声合成部43を作動して所定パターンの音声警報信号を生成してアンプ44により増幅した後、主音響用スピーカ45より火災発生を示す主音響の火災警報音を出力する。
【0085】
同時に、液晶表示部4に火災発生住戸として地区名称(火災発生住戸)を表示する。また図2の防災監視盤1において、火災代表表示や液晶表示部4に火災発報画面が表示されていることを示す発報表示灯の点灯を行わせる。
【0086】
続いて主制御部30は火災発生住戸から、その火災発生階の住戸及び直上階の住戸、更に共用部のアドレスを認識し、火災発生階及び直上階の住戸にインターホン制御部34の伝送回路35経由でアドレスを指定して近隣火災警報のために音声警報出力制御信号を送る。
【0087】
このため火災発生階の住戸及び直上階の住戸にあっては、住戸用火災受信機10の住戸用制御部11において防災監視盤1からの音声警報出力制御信号が判別され、リレー24の作動で切替リレー接点24a,24bを破線側に切り替え、また防災監視盤1においてもインターホン制御部34が制御出力によりリレー52を作動し、切替リレー接点52aを破線側に切り替え、音声合成部46の出力を通話線29に接続する。
【0088】
同時に主制御部30は入出力制御部48に火災発生階及び直上階の共用部の回線選択のための制御指示を行い、これを受けて回線選択部49の火災発生階及び直上階の回線に対応したリレーが作動され、出火階及び直上階の共用部スピーカがパワーアンプ47の出力に接続される。
【0089】
このため火災発生階の住戸及び直上階の住戸にあっては、住戸用火災受信機10の住戸用制御部11において防災監視盤1からの音声警報出力制御信号が判別され、リレー24の作動で切替リレー接点24a,24bを破線側に切り替え、また防災監視盤1においてもインターホン制御部34が制御出力によりリレー52を作動し、切替リレー接点52aを破線側に切り替え、音声合成部46の出力を通話線29に接続する。
【0090】
同時に主制御部30は入出力制御部48に火災発生階及び直上階の共用部の回線選択のための制御指示を行い、これを受けて回線選択部49の火災発生階及び直上階の回線に対応したリレーが作動され、出火階及び直上階の共用部スピーカがパワーアンプ47の出力に接続される。
【0091】
このような近隣火災警報の出力制御が済んだ状態で、主制御部30は音声合成部46による第2シグナルの音声警報信号の生成を中断し、火災及び火災発生住戸の判断結果に基づき音声合成部46を作動し、近隣火災警報のための所定パターンの音声警報信号を生成して出力する。この近隣火災警報の音声警報信号は、図9に示したように、第1シグナルと警報メッセージを2回繰り返し、最後に第2シグナルを出し、全体を繰り返す火災警報音を出力させる。
【0092】
ここで試験エリアが火災発生階または直上階に含まれていた場合には、試験エリアのスピーカから出力している第2シグナルの試験音である「フイッ フィッ フイッ」の繰り返しが途中で中断され、近隣火災警報のための火災警報音を出力する。例えば「フイッ フィン フォン フィン フォン フィン フォン 火事です。火事です。○○階△△△△号室で火災が発生しました。安全を確認の上避難してください フイッ フィッ フイッ」を出力する。
【0093】
また試験エリアで第2シグナルの試験音を中断して近隣火災警報のための災警報音の出力に切替える場合、警報メッセージを試験中に火災が発生したことを示す内容、例えば「試験中に本火災が発生しました」等の内容を含んだ火災警報音とする。具体的には「火事です。火事です。試験中に○○階△△△△号室で本火災が発生しました。安全を確認の上避難してください」等とする。
【0094】
このように火災警報音の警報メッセージ中に試験中に火災が発生したことを示すメッセージを含ませることで、試験中断後の火災警報音を音圧測定用の試験音と誤認することを防止し、試験エリアでの火災報知を適切に行い、迅速な初期消火や避難を可能とする。
【0095】
一方、試験エリアが火災発生階または直上階以外の場合には、第2シグナルによる試験音の出力を中断するだけでは状況が不明であることから、火災発生階及び直上階と同様、近隣火災警報のための火災警報音の出力に切替える。このため試験エリアが火災発生階または直上階といった近隣火災警報の対象エリアでなくとも、音圧測定試験を中断して火災発生の状況を適切に知らせることができる。
【0096】
図7は主制御部30に設けた音圧測定試験処理部32による処理動作のフローチャートである。なお、図7のフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等ができる。
【0097】
図7の音圧測定試験処理にあっては、ステップS1で図6(A)のような音圧測定試験画面62を使用して試験エリアの回線番号を設定した後、ステップS2で実行スイッチ6をオン操作による試験実行操作の有無を判別している。ステップS2で実行スイッチ6による試験実行操作有りが判別されるとステップS3に進み、設定した試験エリアの回線番号に対応した共用部の回線選択リレーを駆動して試験エリアのスピーカを選択し、続いてステップS4で音声合成部46の作動により第2シグナルの音声警報信号を繰り返し出力し、試験エリアのスピーカから音圧測定試験のための試験音を出力させる。
【0098】
この第2シグナルの音声警報信号による試験音の出力中にあっては、ステップS5で火災発生の有無を判別しており、火災発生無しが判別されるとステップS6に進み、試験終了操作の有無を判別している。試験エリアに設置した騒音計により音圧測定試験が終了したならば、防災監視盤1の前画面スイッチ7を操作して試験終了を指示する。ステップS6で前画面スイッチ7の操作による試験終了操作有りを判別すると、試験エリアのスピーカからの試験音の出力を停止して一連の音圧測定試験を終了する。
【0099】
一方、ステップS2で実行スイッチ6による試験実行操作有りが判別されない場合はステップS7に進み、前画面スイッチ7の操作による試験終了の有無を判別しており、試験終了操作有りを判別するとステップS9に進み、音圧測定試験を解除する。即ち、図6(A)に示した音圧測定試験画面62を前画面となるメニュー画面に戻し、ステップS1で設定した試験エリアの回線番号をクリアする。
【0100】
またステップS7で試験終了操作有りが判別されなかった場合はステップS8に進み、ステップS1の試験エリアの回線番号の設定からの時間が所定時間経過したか否か判別しており、実行スイッチ6の試験実行指示有りが判別されずにステップS8で所定時間経過が判別されると、ステップS9に進んで音圧測定試験を解除する。この場合の音圧測定試験の解除も、図6(A)に示した音圧測定試験画面62を前画面となるメニュー画面に戻し、ステップS1で設定した試験エリアの回線番号をクリアする。
【0101】
またステップS4で試験エリアのスピーカから第2シグナルの試験音を出力中にステップS5で火災発生(住戸用火災受信機10からの火災確認信号または共用部用火災感知器42からの発報信号受信)を判別すると、ステップS10に進み、音圧測定試験を中断する。この音圧測定試験の中断は、試験エリアのスピーカから出力している第2シグナルによる試験音を停止する。
【0102】
続いてステップS12で火災発生場所に対応して出火階と直上階の住戸および共用部に設けているスピーカを選択する。住戸用火災受信機10のスピーカ選択は、住戸用制御部11において防災監視盤1からの音声警報出力制御信号が判別され、リレー24の作動で切替リレー接点24a,24bを破線側に切り替え、また防災監視盤1においてもインターホン制御部34が制御出力によりリレー52を作動し、切替リレー接点52aを破線側に切り替え、音声合成部46の出力を通話線29に接続する。
【0103】
また共用部のスピーカ選択は、主制御部30が入出力制御部48に火災発生階及び直上階の共用部の回線選択のための制御指示を行い、これを受けて回線選択部49の火災発生階及び直上階の回線に対応したリレーが作動され、出火階及び直上階の共用部スピーカがパワーアンプ47の出力に接続される。
【0104】
続いてステップS12で試験エリアが出火階または直上階か否か判別し、出火階または直上階でないことを判別するとステップS13に進み、試験エリアのスピーカを選択する。なお、ステップS10の音圧測定試験の中断で、試験エリアのスピーカ選択を解除していない場合は、ステップS12,S13の処理は不要となる。
【0105】
続いてステップS14で近隣火災警報の音声警報信号を生成し、出火階、直上階
及び試験エリアのスピーカから図9(A)のパターンとなる近隣火災警報のための火災警報音を出力する。この近隣火災警報の音声警報信号による火災警報音には、試験中に火災が発生したことを示す音声メッセージを含ませることが望ましい。
【0106】
近隣火災警報のための火災警報音の出力中にあってはステップS15で警報停止操作の有無を判別しており、図2の防災監視盤1に設けた例えば音響停止スイッチ8による警報停止操作有りを判別すると、近隣火災警報のための火災警報音を停止して一連の処理を終了する。
【0107】
なお上記の実施形態は集合住宅の共用部に設置されているスピーカの音圧測定試験を例にとるものであったが、本発明はこれに限定されず、集合住宅以外の構造物の防災監視設備で共用部などに設置されているスピーカの音圧測定につき、同様に適用することができる。
【0108】
例えばビル用の防災監視設備であれば、火災発生階のみを特定して音声警報を行うようにしても良く、この場合にも、本発明の音圧測定試験を適用できる。この場合は、共用部のスピーカの音圧測定には限定されず、フロア内のスピーカの音圧測定を行っても良い。
【0109】
また上記の実施形態にあっては、火災時の音声信号に含まれるスイープ音の連続音となる第2シグナルを音圧測定用鳴動パターンとして音声合成により出力させる場合を例にとっているが、音圧測定に適した警報音を含む音声信号であれば、火災時に発生する音声信号の適宜の部分を使用して連続出力させるようにしても良い。
【0110】
また本実施形態においては、第1シグナル、メッセージ、第2シグナルの繰り返しによる音声信号の出力パターンで音声警報を行っているが、音声信号の出力パターンはこれに限定されるものではない。更に音声警報は近隣火災警報に限定されず、最初から一斉鳴動を行う設備でも本発明を適用できる。
【0111】
また、音声警報信号の内のメッセージは特に火災発生場所を特定する必要はなく、単に火災発生を示すメッセージであっても良い。
【0112】
また、本発明は防災設備に限定されず、住宅用火災警報器として知られた住警器や適宜の異常を検知して警報する警報器の音圧測定試験に適用することができる。
【0113】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0114】
1:防災監視盤
2:火災監視部
3:インターホン親機
4:液晶表示部
5:テンキー
6:実行スイッチ
7:前画面スイッチ
10:住戸用火災受信機
11:住戸用制御部
12:制御部
13,35:伝送回路
14,36:通話回路
15:住戸用音声合成部
16:アドレス設定部
17:火災監視部
18:住戸感知器回線
20:住戸用火災感知器
21:火災表示灯
22,37:ハンドセット
23,51:トランジスタ
24,52:リレー
24a,24b,52a:切替リレー接点
25,44:アンプ
26:住戸用スピーカ
27:ドアホン
27a:戸外表示器
28:伝送線
29:通話線
30:主制御部
31:監視制御部
32:音圧測定真処理部
33:操作部
34:インターホン制御部
38:集合玄関機
40:中継器
41:共用部感知器回線
42:共用部用火災感知器
43:主音響警報用音声合成部
45:主音響警報用スピーカ
46:音声合成部
47:パワーアンプ
48:入出力制御部
49:回線選択部
50:共用部用スピーカ
53:電源部
54:音声合成IC
56:ローパスフィルタ
58:音声データROM
60:通常監視画面
62:音圧測定試験画面
63:回線番号設定枠
64:試験中画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器の火災検出により火災発生を判別した場合、火災発生を示すメッセージ及び警報音を含む所定パターンの音声警報信号を生成して火災発生場所に対応した所定の音響変換器から火災警報音を出力させる監視制御部と、
音圧測定試験の試験エリアを指定する試験エリア設定操作と試験開始を指示する試験実行操作に基づいて、前記音声警報信号の内の音圧測定を行う所定の信号箇所を、試験エリアの音響変換器から試験音として繰返し出力させる音響測定試験を実行する音圧測定試験処理部と、
を備えた防災監視設備に於いて、
前記音圧測定試験処理部は、試験中に前記監視制御部により火災発生を判別した場合、前記音圧測定試験を中断し、前記音声警報信号を生成して火災発生場所に対応した所定の音響変換器から火災警報音を出力させることを特徴とする防災監視設備。
【請求項2】
請求項1記載の防災監視設備に於いて、前記音圧測定試験処理部は、試験中に前記監視制御部により火災発生を判別した場合、前記試験音を途中で中断した後に前記火災警報音を出力させることを特徴とする防災監視設備。
【請求項3】
請求項1記載の防災監視設備に於いて、前記音圧測定試験処理部は、試験中に前記監視制御部により火災発生を判別した場合、前記試験音を中断した後に試験中に火災が発生したことを示すメッセージを含む所定パターンの音声警報信号を生成して火災警報音を出力させることを特徴とする防災監視設備。
【請求項4】
請求項1記載の防災監視設備に於いて、前記音圧測定試験処理部は、前記試験エリア設定操作を判別した後に所定時間を経過しても前記試験実行操作を判別しない場合または試験終了操作を判別した場合、前記音圧測定試験を解除することを特徴とする防災監視設備。
【請求項5】
火災発生を判別した場合、火災発生を示すメッセージ及び警報音を含む所定パターンの音声警報信号を生成して音響変換器から火災警報音を出力させる監視制御部と、
音圧測定試験の試験開始を指示する試験実行操作に基づいて、前記音声警報信号の内の音圧測定を行う所定の信号箇所を、前記音響変換器から試験音として繰返し出力させる音響測定試験を実行する音圧測定試験処理部と、
を備えた警報器に於いて、
前記音圧測定試験処理部は、試験中に前記監視制御部により火災発生を判別した場合、前記音圧測定試験を中断し、前記音声警報信号を生成して音響変換器から火災警報音を出力させることを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−128764(P2012−128764A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281275(P2010−281275)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】