説明

防爆型秤

【課題】簡単に防爆構造化を図ることができる秤を提供する。
【解決手段】秤量皿が筐体11の上面上に配置され、電池ボックスの前面板20が筐体の側面に固定され、防水・防塵フィルタを取り付けた通気孔が筐体の底面に設けられた秤10と、筐体の側面の一部と筐体の底面の全部とを覆う形状に一体成形され、電池ボックスの前面板に対応する開口が設けられたステンレスカバー30と、を備え、秤10がステンレスカバー30に嵌合されていることを特徴とする。この秤は、既存の秤10に、ステンレスの下カバー30を被せて防爆構造としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爆発性雰囲気の生じる可能性がある場所(危険場所)で使用する防爆型秤に関し、簡単な構造変更で防爆構造化を可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
危険場所で使用する電気機器は、厚生労働省が定めた防爆構造基準や国際基準に準拠した技術基準に適合していることが求められる。
こうした危険場所で使用する電気機器には、下記特許文献1に記載されているように、火花の発生を避けるための対策が種々採られている。
危険場所で使用する防爆型秤の場合、電線を通じて外部から給電すると、ショートによる火花の危険性を伴うため、通常、防爆構造の電池ボックスに電池を収納し、これを電源として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−228221公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、防爆構造の秤を一から作る場合は、設計や製造に多くの時間が掛かる。また、通常仕様の秤の中にも防爆基準を満たす構造は、数多く使われている。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、簡単に防爆構造化を図ることができる秤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の防爆秤は、秤量皿が筐体の上面上に配置され、電池ボックスの前面板が前記筐体の側面に固定され、防水・防塵フィルタを取り付けた通気孔が前記筐体の底面に設けられた秤と、前記筐体の側面の一部と前記筐体の底面の全部とを覆う形状に一体成形され、前記電池ボックスの前面板に対応する開口が設けられたステンレスカバーと、を備え、前記秤が前記ステンレスカバーに嵌合されていることを特徴とする。
この秤は、既存の秤に、ステンレスの下カバーを被せて防爆構造としている。
【0006】
また、本発明の防爆秤では、前記電池ボックスの前面板が、電池ボックス内の電池に接続される制限抵抗を収容する凹部と、前記凹部を塞ぐ蓋部材と、前記前面板を前記秤の側面に固定する取り付け孔とを有し、前記凹部は、該凹部に充填した樹脂で前記制限抵抗をモールドした後、前記蓋部材で塞がれている。
こうした構造で電池ボックスを防爆化することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、既存の秤の機能を利用しながら、簡単に既存の秤の防爆構造化を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る防爆型秤を示す斜視図
【図2】図1の防爆型秤の組み立て形態を示す図
【図3】図1の下カバーを示す図
【図4】元の秤を示す図
【図5】本発明の実施形態に係る電池ボックスを示す図
【図6】図5の電池ボックスのモールド前の状態を示す図
【図7】図5の電池ボックスの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図4は、防爆化を図ろうとする既存の秤10を示している。また、図3は、この秤10の防爆化に用いるステンレス製の下カバー30を示し、図2は、秤10に下カバー30を取り付ける状態を示している。
既存の秤10は、防水・防塵用の秤であり、筐体11の上面上に秤量皿12が配置され、筐体11の側面に電池ボックスの前面板20(図2)が固定され、図には表れていないが、防水・防塵フィルタを取り付けた通気孔が筐体11の底面に設けられている。
【0010】
下カバー30(図3)は、秤10の筐体11の底面と、筐体11の側面の一部(図4の線14の下側)とを覆う形状に一体成形され、電池ボックス位置に、電池ボックスの前面板20が露出する開口31が設けられている。
下カバー30には、さらに、秤10を固定するための取付孔32や、アジャスタ13(図2)の軸が挿通される孔33などが設けられている。
【0011】
秤10の線14上には、ゴムパッキンが配置されている。この秤10を、アジャスタ13を取り外して、下カバー30に嵌合し、ネジ34とスペーサ35とで下カバー30の所定位置に固定する。アジャスタ13は、その軸を下カバー30の下側から挿入して、秤10にねじ込む。
図1には、こうして下カバー30を取り付けて防爆化した秤を示している。
この秤は、秤10の防水・防塵機能などをそのまま利用して、防爆化を図っている。
【0012】
また、図6に示すように、電池ボックスの前面板20は、凹部21を有し、この凹部21に、電池ボックス内の電池に接続するように配線された制限抵抗22が収納されている。この制限抵抗22は、電池ボックスから安全基準を超える電力が供給されないように制限している。
図7に示すように、この凹部21に、シリコン樹脂25を充填して制限抵抗22をモールドし、その上から蓋部材23を被せて蓋をしている。図5は、凹部21を蓋部材23で蓋をした前面板20を示している。
こうした構成により電池ボックスを防爆化することができる。
【0013】
このように、元の秤の機能を使いながら、秤の防爆化が可能である。
なお、ここで示した構成は、本発明の一例であり、本発明は、それだけに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明により、秤の防爆化が容易に実施でき、各種の秤を防爆化するために本発明を用いることができる。
【符号の説明】
【0015】
10 秤
11 筐体
12 秤量皿
13 アジャスタ
14 パッキン
20 前面板
21 凹部
23 蓋部材
25 シリコン樹脂
30 下カバー
31 開口
32 取付孔
33 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量皿が筐体の上面上に配置され、電池ボックスの前面板が前記筐体の側面に固定され、防水・防塵フィルタを取り付けた通気孔が前記筐体の底面に設けられた秤と、
前記筐体の側面の一部と前記筐体の底面の全部とを覆う形状に一体成形され、前記電池ボックスの前面板に対応する開口が設けられたステンレスカバーと、
を備え、
前記秤が前記ステンレスカバーに嵌合されていることを特徴とする防爆型秤。
【請求項2】
請求項1に記載の防爆型秤であって、前記電池ボックスの前面板は、電池ボックス内の電池に接続される制限抵抗を収容する凹部と、前記凹部を塞ぐ蓋部材と、前記前面板を前記秤の側面に固定する取り付け孔とを有し、
前記凹部は、該凹部に充填した樹脂で前記制限抵抗をモールドした後、前記蓋部材で塞がれていることを特徴とする防爆型秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−13468(P2012−13468A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148397(P2010−148397)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(390041346)新光電子株式会社 (38)