説明

防犯シート及び防犯シートの使用方法

【課題】侵入者が警戒しにくい防犯用器具を提供する。
【解決手段】防犯シート101は、基層シートと粘着シートとを備える。基層シートの上面には、意匠模様が設けられている。粘着シートは、透光性を有する素材で形成される。粘着シートは、基層シートの上面に積層される。所定の警戒領域202には、防犯シート101と、意匠模様と同じ柄を上面に有する設置物301とが、時間帯に応じて交互に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗や住居における不法な侵入者が侵入しやすい箇所に設置され、この侵入者を捕らえる防犯シート、及び、この防犯シートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗や住居への不法侵入事件が多発している。不法な侵入者は、わざわざ建造物の窓等をこじ開けて侵入するのではなく、敢えて建造物の出入口から堂々と侵入することがある。このような侵入者を捕らえるための発明の一例として、特許文献1に記載の防犯用マットがある。
【0003】
特許文献1に記載の防犯用マットは、マット本体aの上面に粘着剤層bを設けて構成されるもので、警戒領域に配置されて使用される。特許文献1によれば、この防犯用マットは、例えば、貴金属等高級ブランド品の盗難に対し、犯行者の行為を遅らせて犯行時間の長時間化を促し、犯行者の逃亡前の警備員の現場への急行を確保することにより防犯効果を高め、物証の遺留を確保して捜査の短期化を可能とする、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−195179号公報(段落0007〜0011、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の防犯用マットは、例えば、不法侵入が生じやすい時間帯(夜間、店舗の休業時間中等)に警戒領域(玄関口、店舗出入口等)に設置される。一方、この防犯用マットは、一般に、不法侵入が生じにくい時間帯(昼間、店舗の営業時間中等)には撤去される。さらには、防犯用マットが設置されていた警戒領域に、来客用のマットを設置することも行われている。なぜならば、防犯用マットは、不法な侵入者を捕らえるためのものであって、明らかに不法な侵入者でない者(居住者、来客等)を捕らえるべきではないからである。
【0006】
ところが、このような防犯用マットの設置及び撤去をする運用を日常的に行っていると、侵入者は、警戒領域に設置されている物体を見て警戒してしまうおそれが生じる。
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、侵入者が警戒しにくい防犯用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防犯シートは、上面に意匠模様が設けられた基層シートと、透光性を有し、前記基層シートの上面に積層される粘着シートと、を備える。
【0009】
本発明の防犯シートの使用方法は、上記の防犯シートを所定の警戒領域に設置する第1の工程と、前記意匠模様と同じ柄を上面に有する設置物を前記警戒領域に設置する第2の工程と、を交互に行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粘着シートを透過して意匠模様を侵入者に視認させ、防犯シートを来客用のマット等の設置物であるかのように錯覚させることができる。つまり、侵入者が警戒しにくい防犯用器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】防犯シートが設置された店舗の平面図である。
【図2】防犯シートの平面図である。
【図3】防犯シートの側面図である。
【図4】意匠模様の一例である。
【図5】意匠模様の一例である。
【図6】意匠模様の一例である。
【図7】防犯シートの別の使用方法を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、図1ないし図7に基づいて説明する。本実施の形態では、店舗201に設置される防犯シート101への適用例について説明する。図1は、防犯シート101が設置された店舗201の平面図である。
【0013】
防犯シート101は、平面視矩形形状の柔軟性を有するシートである。一例として、この防犯シート101の横幅は690mmであり、縦幅は410mmである。この防犯シート101は、事業所、コンビニ等の店舗201についての防犯のために、不法侵入が生じやすい時間帯に、不法な侵入者が侵入しやすい警戒領域202に設置される。例えば、店舗201では、この店舗201への出入口となるドア203の付近が警戒領域202である。そこで、防犯シート101は、店舗201の閉店した後に、ドア203の近傍に設置される。別の一例として、防犯シート101は、住居についての防犯にも用いることができる。この場合、一般住居でその居住者が全て旅行に出かけるときや、居住者が寝静まった深夜等に、玄関に設置される。
【0014】
図2は、防犯シート101の平面図である。防犯シート101は、基層シート102と、粘着シート103とを備える。
【0015】
基層シート102は、ニトリルゴム(NBR)等のゴム素材で、平坦なシート状に形成される。別の実施の形態として、基層シート102は、ゴム以外の素材、例えば合成樹脂等の樹脂素材で形成されてもよい。
【0016】
粘着シート103は、透光性を有する素材で平坦なシート状に形成される。一例として、粘着シート103は、ポリエチレンテレフタラート(PET)で形成される。粘着シート103は、基層シート102の上面102aに積層され、基層シート102に対して固定的に取り付けられる。粘着シート103は、基層シート102の上面102aで、縁から余白104を残した残りのほぼ全ての領域に広がる。別の実施の形態として、粘着シート103は、基層シート102の上面102aの一部に積層されていてもよい。
【0017】
図3は、防犯シート101の側面図である。図2及び図3を参照する。基層シート102の上面102aには、意匠模様105が設けられる。意匠模様105の例は、図4ないし図6に基づいて後述する。この意匠模様105は、例えば、シリコーン系の素材を含むインクを用い、シルクスクリーン印刷やエアーブラシを使った塗装などの工法によって、基層シート102の上面102aに印刷される。意匠模様105は、基層シート102の上面102aで、縁から余白104を残した残りのほぼ全ての領域を占める。
【0018】
基層シート102の下面102bには、滑り止めのための、細かな凸凹106が形成される。
【0019】
粘着シート103の上面103aには、透光性を有する強粘性の粘着剤107が塗布される。この粘着剤107には、例えば、ポリブテンを含むものを採用できる。
【0020】
ところで、防犯シート101は、更に、保護シート108を備える。保護シート108は、平面視矩形形状の柔軟性を有するシートであり、粘着剤107に対して剥離自在となる素材で形成される。保護シート108は、例えば、シリコーンゴムで形成される。保護シート108の両面のいずれに対しても、接着剤等の粘着性の物質は塗布されない。
【0021】
保護シート108は、粘着シート103を覆い隠すのに十分な程に大きい。この保護シート108は、粘着シート103の上面103aに積層される。保護シート108の端部には、雄スナップボタン109が取り付けられる。雄スナップボタン109は、基層シート102の余白104に取り付けられた雌スナップボタン110に嵌合して、基層シート102と保護シート108とを着脱自在に取り付ける。ここに、雄スナップボタン109と雌スナップボタン110とは、保護シート108を基層シート102に着脱自在に取り付けるための取付部111を構成する。取付部111は、図2に示すように、防犯シート101の一の辺に沿って並べて設けられる。
【0022】
図4ないし図6は、いずれも、意匠模様105の一例である。意匠模様105には、図4に示すような絨毯柄、図5に示すような畳柄、及び、図6に示すようなニードルパンチカーペットの表面柄のいずれも採用できる。なお、意匠模様105に用いられる柄は、これらに限られることはなく、店舗201や住居の床面に通常用いられる柄であればよい。そして、撮影によって得られた画像データ(例えば、絨毯柄の画像データ)を印刷することで、基層シート102の上面102aに意匠模様105が設けられる。
【0023】
図1及び図3を参照する。防犯シート101の使用方法について述べる。店員(図示せず)は、防犯シート101を、不法侵入が生じやすい時間帯(夜間、店舗の休業時間中等)に、店舗201の警戒領域202に設置する。そして、店員は、不法侵入が生じにくい時間帯(昼間、店舗の営業時間中等)が来たら、来客に備え、警戒領域202から防犯シート101を撤去する。そして、店員は、防犯シート101に設けられた意匠模様105と同じ柄が上面に設けられている設置物301を、警戒領域202に設置する。
【0024】
ここで、防犯シート101を撤去するとき、店員は、雄スナップボタン109を雌スナップボタン110に嵌合して保護シート108を基層シート102に取り付け、保護シート108で粘着シート103を覆う。これにより、店員は、粘着シートに触れること無く、防犯シート101を撤去することができる。一方、防犯シート101を設置するとき、店員は、雄スナップボタン109と雌スナップボタン110とを離反させ、保護シート108を剥がして粘着シート103を露出させる。
【0025】
店員は、日々、このようにして、警戒領域202に対して、防犯シート101と設置物301とを交互に設置する。このように防犯シート101が使用されると、侵入者は、透光性のある粘着シート103を通して見える意匠模様105を視認して、防犯シート101を、日常的に設置されている設置物301であるかのように錯覚する可能性が高い。このため、侵入者が警戒せずに防犯シート101の粘着シート103を踏む確率が高くなる。そして、侵入者が履く靴(図示せず)の底に強く付着した粘着剤107は、侵入者を捕らえる。これにより、侵入者が暴れ、不法侵入が発見されやすくなる。また、侵入者が粘着剤107から逃れたとしても、侵入者の靴の底に付着した粘着剤107は、店舗201における警戒領域202の周辺の床面にへばりつく。このため、侵入者の特定が容易になる。
【0026】
図7は、防犯シート101の別の使用方法を示す側面図である。店員は、不法侵入が生じにくい時間帯(昼間、店舗の営業時間中等)になって来客のために設置物301を設置するときに、警戒領域202に設置されている防犯シート101の粘着シート103の上面103aに、保護シート108を積層配置し、保護シート108の上面108aに設置物301を設置することもできる。この使用方法によれば、店員は、不法侵入が生じにくい時間帯に防犯シート101を警戒領域202から撤去する必要がない。さらに、防犯シート101を保管しておくための保管スペースを店舗201に設ける必要もない。
【符号の説明】
【0027】
101 防犯シート
102 基層シート
102a 基層シートの上面
103 粘着シート
103a 粘着シートの上面
105 意匠模様
108 保護シート
202 警戒領域
301 設置物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に意匠模様が設けられた基層シートと、
透光性を有し、前記基層シートの上面に積層される粘着シートと、
を備える防犯シート。
【請求項2】
前記粘着シートの上面に剥離自在に積層される保護シートを更に備える、
請求項1記載の防犯シート。
【請求項3】
前記意匠模様は、絨毯柄、畳柄、ニードルパンチカーペットの表面柄からなる群から選択された一の柄である、
請求項1又は2記載の防犯シート。
【請求項4】
上面に意匠模様が設けられた基層シートと、透光性を有し、前記基層シートの上面に積層される粘着シートとを備える防犯シートを所定の警戒領域に設置する第1の工程と、
前記意匠模様と同じ柄を上面に有する設置物を前記警戒領域に設置する第2の工程と、
を交互に行う、防犯シートの使用方法。
【請求項5】
前記第2の工程は、
前記警戒領域に設置されている前記防犯シートの前記粘着シートの上面に、前記粘着シートに対して剥離自在の保護シートを積層配置する工程と、
前記保護シートの上面に前記設置物を設置する工程と、
を含む、請求項4記載の防犯シートの使用方法。
【請求項6】
前記意匠模様は、絨毯柄、畳柄、ニードルパンチカーペットの表面の柄からなる群から選択された一の柄である、
請求項4又は5記載の防犯シートの使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−257937(P2011−257937A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131231(P2010−131231)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(594063670)株式会社SHIMADA (12)
【Fターム(参考)】