説明

防犯スプレー装置

【課題】犯人に対する高い威嚇効果を発揮する防犯用スプレー装置を提供する。
【解決手段】非致死性の防犯用組成物が充填された圧力容器1と、上記防犯用組成物を噴射するノズル3と、上記ノズル3からの噴射操作を行うための操作レバー17と、警告音を発する警告ブザー8とを備え、上記操作レバー17の近傍に上記警告ブザー8から警告音の発生を開始するマイクロスイッチ7を設けたため、使用するときには、スプレー装置の設置場所から取り上げて犯人に向けてダメージ成分を噴射するときにマイクロスイッチ7をオン状態にして警告音を発することができ、犯人に対する高い威嚇効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンベ内に充填された非致死性ダメージ成分等の防犯用組成物を噴射する防犯用スプレー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、店頭や学校・金融機関等に設置される防犯スプレー装置として、下記の特許文献1および2等に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載のものは、唐辛子パウダーが充填されたスプレー缶と、スプレー缶が保持されるスプレーホルダが設けられたベースに警告ブザーが設けられ、スプレーホルダーからスプレー缶を引き抜くと、ベースに設けられた警告ブザーから警告音を発するようになっている。特許文献2に記載のものは、液状のダメージ成分と蓄圧ガスが充填されたボンベに、操作レバーとバルブおよび噴射ノズルが設けられ、操作レバーを握ることで噴射ノズルからダメージ成分を噴射するようになっている。
【特許文献1】特開2003−217044
【特許文献2】特開2004−191023
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の防犯用スプレー装置は、いざ実際に使用するときには、室内の所望の場所に設置したベースからスプレー缶を取り外して犯人に向けてスプレーすることが行われる。ところが、スプレーホルダが設けられたベースに警告ブザーが設けられていることから、警告音は発せられるもののその警告音はもともとの設置場所にあるベースから発せられて犯人に向けたスプレー缶とは全く違う場所で音が鳴り続けることになる。特にこの種のスプレー装置は、逃げようとする犯人を追いかけながらスプレー缶を犯人に向けてスプレーするものであるため、もとの設置場所で警告音が鳴り続けても犯人に対する威嚇効果としては極めて乏しい。また、スプレー缶を取り上げにいっただけで警告音が出てしまい、その時点で警告音を聞いた犯人が逃亡を開始する確率が高く、スプレー缶を持って追いかけながら犯人めがけて噴射しなければならなくなるため、ダメージ成分の命中率も低下する傾向にある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、犯人に対する高い威嚇効果を発揮する防犯用スプレー装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の防犯用スプレー装置は、防犯用組成物が充填されたボンベと、上記防犯用組成物を噴射する噴射口と、上記噴射口からの噴射操作を行うための操作部と、警告音を発する警告ブザーとを備え、上記操作部の近傍に上記警告ブザーから警告音の発生を開始するスイッチが設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
すなわち、本発明の防犯用スプレー装置は、警告音を発する警告ブザーを備え、操作部の近傍に上記警告ブザーから警告音の発生を開始するスイッチが設けられているため、いざ使用するときには、スプレー装置の設置場所から取り上げて犯人に向けて防犯用組成物を噴射するときにスイッチをオン状態にして警告音を発することができる。そして、警告音を出すことによって、犯人は一瞬止まって音の出る方を振り返る可能性が高く、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。また、犯人を追いかけながら防犯用組成物を噴射するときも警告音は鳴りつづけるので、犯人に対する高い威嚇効果を発揮する。
【0008】
本発明において、上記操作部の操作による噴射口からの防犯用組成物の噴射開始の前に、上記スイッチのオンを可能とするよう構成されている場合には、警告音によって犯人が一瞬止まって音の出る方を振り返ったときに、防犯用組成物の噴射を開始し得ることから、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。
【0009】
本発明において、上記操作部は把持によって噴射を開始する操作レバーであり、上記操作レバーは誤操作を防止する安全ピンを備え、上記スイッチは安全ピンを抜くことによりオン状態になるように構成されている場合には、操作レバーの操作を可能とする安全ピンを抜く動作により警告音が鳴り始めることから、上記操作レバーの操作による防犯用組成物の噴射開始の直前にスイッチがオンとなることから、警告音によって犯人が一瞬止まって音の出る方を振り返ったときに、防犯用組成物の噴射を開始し得ることから、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。
【0010】
本発明において、上記操作レバーは、起立状態で把持によるレバー操作を規制するとともに倒れた状態でレバー操作を可能とする起倒杆を備えており、上記スイッチは安全ピンを抜いて起倒杆が倒れることによりオン状態になるように構成されている場合には、操作レバーの操作を可能とする安全ピンを抜く動作によって起倒杆が倒れて警告音が鳴り始めることから、上記操作レバーの操作による防犯用組成物の噴射開始の直前にスイッチがオンとなることから、警告音によって犯人が一瞬止まって音の出る方を振り返ったときに、防犯用組成物の噴射を開始し得ることから、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図3は、本発明の一実施の形態の防犯用スプレー装置を示す図である。図1は断面図、図2は要部の正面図、図3は要部の断面図である。
【0012】
この防犯用スプレー装置は、密閉型の圧力容器1の上部に噴射装置15が搭載されて構成されている。上記圧力容器1は、本発明のボンベとして機能するものであり、非致死性のダメージ成分と蓄圧ガスとが充填されている。
【0013】
上記圧力容器1は、密閉可能であってしかも蓄圧ガスを充填可能に構成されている。蓄圧ガスを充填保持する程度の強度は、例えば、圧力容器1を金属製とすることで容易に実現できる。金属の種類は、鉄、ステンレス、アルミなど公知で入手容易な金属を適宜選択して用いることができる。
【0014】
圧力容器1には、蓄圧ガスや防犯用組成物を充填、補充可能な開口部を有し、当該開口部は、開閉可能に形成されている。通常、開口部には、内部の組成物の噴射を可能とする噴射装置15が装着されており、当該噴射装置15が開口部に対して脱着可能に形成されている。
【0015】
圧力容器1の形状や大きさは特に限定しないが、操作時の取り扱い等を考慮すると、容器容量が1〜2L程度であることが好ましく、例えば、細長い筒状体あるいは球状体とすることができる。筒状体は外径が30〜150mm程度で高さが100〜400mm程度とすることができる。また、球状体は外径が100〜200mm程度とすることができる。
【0016】
上記圧力容器1内に充填される防犯用組成物としては、例えば、ダメージ成分やマーキング成分があげられる。
【0017】
上記ダメージ成分としては、たとえば、目や鼻や喉などの粘膜部分を刺激し、催涙の他、くしゃみやせきを誘導するような成分を用いることができる。本組成物においては、当該ダメージ成分は、それ自体致死性がない(致死量が非常に多量)か、あるいは致死量を下回るように含有されている。
【0018】
このような成分として、具体的には、一般的な催涙成分の他、唐辛子、唐辛子抽出液(カプサイシン)、こしょう、タバスコ、酢マスタード、ワサビ系マスタードオイル等のような調味料や香辛料を挙げることができる。なお、これらのダメージ成分は、粉末であってもエキスであっても液体であっても構わない。このようなダメージ成分は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、唐辛子抽出液(カプサイシン)とワサビ系マスタードオイルを用いる。
【0019】
本組成物には、ダメージ成分の他、色、匂いなどにより容易に検出可能であって衝突物体に対して残留可能なマーキング成分を含有することもできる。マーキング成分も同時に含有させることにより、本噴射器の利点を有効利用でき、しかも犯罪捜査等に高い効果を得ることができる。なお、ダメージ成分を含まないマーキング成分含有組成物を圧力容器1に充填してマーキング用噴射器とすることもできる。
【0020】
マーキング成分としての着色料は、染料あるいは顔料とすることができる。染料及び顔料をそのまま使用することもできるし、水性あるいは油性塗料等として販売されているものを使用することもできる。塗料を用いる場合、好ましくは、水性塗料である。
【0021】
着色料による色は、好ましくは、黄色、赤色、緑色、オレンジ色などの明色とする。また、好ましくは、別途蛍光剤を併用するか、蛍光着色料を用いる。蛍光剤あるいは蛍光着色料の使用により暗中においても容易にマーキング能力を発揮することができる。なお、本組成物において、着色料は、塗料という複合的形態で含まれることが多い。
【0022】
また、皮膚表面に存在する生体物質と反応して呈色する試薬などもマーキング成分として用いることができる。例えば、タンパク質と反応するニンヒドリン試薬などを使用することができる。
【0023】
匂いを付与するマーキング成分としては、各種香料を用いることができる。香料は、ヒトのみならず警察犬などを利用した追跡に効果を発揮する。香料の種類は特に限定しないが、一般に使用されているものと区別が容易であることが好ましい。好ましくは、刺激性のある香料や異臭性のある香料である。具体的には、刺激臭を有する香料としては、植物由来の甘草(カンゾウ)、益智(ヤクチ)、生姜(ショウキュウ)等の薬草や、木香(モッコウ)、丁字(チョウジ)等の香辛料を用いることができる。また、異臭性のある香料としては、桂皮(ケイヒ)等を挙げることができる。これらの香料は、液状、粉末、粒状のいずれであってもよい。香料は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上の組み合わせとすることにより、検出性を高めることができる。
【0024】
本組成物は、ダメージ成分とマーキング成分の少なくともいずれかを含有していればよいが、少なくとも1つのダメージ成分を含有するものが好ましく、より好ましくは、着色料を含有し、さらに好ましくは、着色料と香料とを含有したものである。
【0025】
本組成物は液状である。本組成物に含まれる液状の媒体としては、特に限定しないが、水、アルコールなどの安全性が高い溶媒を使用することが好ましい。また、着色料として塗料を用いる場合、塗料のビヒクルも結果的に本組成物の液状媒体の一成分となる。
また、本組成物には、エチレングリコールなどのアルコール類を含む各種不凍液を媒体の一部あるいは全部とすることができる。この場合、寒冷地や寒冷期における使用時においても、確実にターゲティング能力を確保することができる。また、本組成物には、界面活性剤を含めることができる。界面活性剤は主として組成物の粘度を一定以上に維持するために使用される。
【0026】
上記蓄圧ガスとしては、安全性の高いガスであることが好ましい。例えば、空気や炭酸ガスの他、窒素ガス等の不活性ガスとすることができる。好ましくは、窒素ガスである。上記蓄圧ガスは、窒素等のガスが圧縮されて圧力容器1に充填される。
【0027】
上記噴射装置15は、圧力容器1内に防犯用組成物とともに充填される蓄圧ガスの圧力により、防犯用組成物を外部に噴射させる装置である。上記噴射装置15は、特に限定しないで各種公知の形態を採用することができる。この例では、圧力容器1の内部においておおよそその底部にまで到達して液状の防犯用組成物を噴射側へと送る導出管2と、弁室14を介して導出管2と連通し、弁室14内の弁12の開閉により防犯用組成物を噴射するノズル3と、上記弁12の開閉操作を行なうための操作部としての操作レバー17とを備えている。
【0028】
上記ノズル3は、防犯用組成物を噴射する本発明の噴射口として機能するものであり、拡散を抑えて直線的な噴射軌跡を形成可能に形成されていることが好ましい。すなわち、上記ノズル3は、指向性の高い噴射を可能とするような先端形状を備えている。
【0029】
上記弁12は、常時すなわち非使用時は、付勢部材としてのコイルばね13による付勢力で導出管2とノズル3との連結部位を遮断している。一方、操作レバー17の把持により、操作杆11が押し下げられて、コイルばね13の付勢力に抗してコイルばね13が圧縮され、弁12が開くようになっている。これにより、導出管2が弁室14を介してノズル3と連通し、防犯用組成物が蓄圧ガスの圧力によってノズル3から外部に噴射される。
【0030】
上記操作レバー17は、回動レバー4と固定レバー16とから構成され、噴射口としてのノズル3からの噴射操作を行うための本発明の操作部として機能するものであり、把持によって噴射を開始するよう構成されている。すなわち、ノズル3の根元近傍に根元部が固定されて後方に延びる固定レバー16の上記根元部に、回動レバー4が上下回動可能に軸支されている。そして、使用するときは、人差し指から小指までの4本の指を固定レバー16に掛けるとともに、親指の根元を回動レバー4に掛けた状態から強く握ることにより回動レバー4を下向きに回動させる。この回動により操作杆11が押し下げられて弁12が開くようになっている。
【0031】
そして、上記防犯用スプレー装置は、警告音を発する警告ブザー8をさらに備え、上記操作レバー17の近傍に上記警告ブザー8から警告音の発生を開始するスイッチとしてのマイクロスイッチ7が設けられている。
【0032】
より詳しく説明すると、上記固定レバー16の根元部近傍には、起立状態と倒伏状態との間で前後に回動する起倒杆5が軸支されている。起倒杆5は、起立状態で操作レバー17の把持によるレバー操作を規制するとともに、倒れた状態で操作レバー17のレバー操作を可能とするように構成されている。
【0033】
そして、使用しない状態では、上記起倒杆5が起立状態にされるとともに、この起立状態において、起倒杆5および操作レバー4に形成された貫通穴に安全ピン6が挿通されることにより、回動レバー4の下方への回動動作が規制され、操作レバー17の誤操作を防止するようになっている。
【0034】
上記起倒杆5にマイクロスイッチ7(図3には示していない)が取り付けられ上記マイクロスイッチ7におけるオンオフ信号をコネクタ10を介して警告ブザー8に伝達して警告ブザー8のオンオフを行ない得るようになっている。
【0035】
そして、使用しない状態では、上記起倒杆5が起立状態にされて安全ピン6が挿通されることにより起倒杆5の起立状態が維持される。この状態で、起倒杆5に取り付けられたマイクロスイッチ7のオンオフ操作部が回動レバー4に当接して押され、警告ブザー8をオフ状態にするようになっている。
【0036】
一方、使用する際には、安全ピン6を抜くことにより、起倒杆5が後方に倒れ、マイクロスイッチ7のオンオフ操作部が回動レバー4から離れて警告ブザー8をオン状態にして警告音を発するようになっている。
【0037】
このように、上記操作レバー17の操作によるノズル3からの防犯用組成物の噴射開始の前に、上記マイクロスイッチ7のオンを可能とするよう構成されている。なお、図2において符号9は圧力容器1内部の圧力を示す圧力ゲージである。
【0038】
上記防犯用スプレー装置を使用するときは、例えば、犯行に及んでいる相手あるいは逃走する相手を狙って組成物を噴射させる。このとき、まず、スプレー装置自体を設置場所から取り上げて安全ピン6を抜く、これにより、上述したように警告ブザー8がオンになって警告音が鳴り始める。そして、操作レバー17を操作して防犯用組成物を犯人めがけて噴射することが行なわれる。
【0039】
以上のように、上記防犯用スプレー装置によれば、警告音を発する警告ブザー8を備え、操作レバー17の近傍に上記警告ブザー8から警告音の発生を開始するマイクロスイッチ7が設けられているため、いざ使用するときには、スプレー装置の設置場所から取り上げて犯人に向けて防犯用組成物を噴射するときにマイクロスイッチ7をオン状態にして警告音を発することができる。そして、警告音を出すことによって、犯人は一瞬止まって音の出る方を振り返る可能性が高く、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。また、犯人を追いかけながら防犯用組成物を噴射するときも警告音は鳴りつづけるので、犯人に対する高い威嚇効果を発揮する。
【0040】
また、上記操作レバー17の操作によるノズル3からの防犯用組成物の噴射開始の前に、上記マイクロスイッチ7のオンを可能とするよう構成されているため、警告音によって犯人が一瞬止まって音の出る方を振り返ったときに、防犯用組成物の噴射を開始し得ることから、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。
【0041】
また、上記操作レバー17は把持によって噴射を開始するものであり、上記操作レバー17は誤操作を防止する安全ピン6を備え、上記マイクロスイッチ7は安全ピン6を抜くことによりオン状態になるように構成されているため、操作レバー17の操作を可能とする安全ピン6を抜く動作により警告音が鳴り始めることから、上記操作レバー17の操作による防犯用組成物の噴射開始の直前にマイクロスイッチ7がオンとなることから、警告音によって犯人が一瞬止まって音の出る方を振り返ったときに、防犯用組成物の噴射を開始し得ることから、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。
【0042】
また、上記操作レバー17は、起立状態で把持によるレバー操作を規制するとともに倒れた状態でレバー操作を可能とする起倒杆5を備えており、上記マイクロスイッチ7は安全ピン6を抜いて起倒杆5が倒れることによりオン状態になるように構成されているため、操作レバー17の操作を可能とする安全ピン6を抜く動作によって起倒杆5が倒れて警告音が鳴り始めることから、上記操作レバー17の操作による防犯用組成物の噴射開始の直前にマイクロスイッチ7がオンとなることから、警告音によって犯人が一瞬止まって音の出る方を振り返ったときに、防犯用組成物の噴射を開始し得ることから、防犯用組成物の命中率を高めるとともに、命中したときに与えるダメージ等も大きくすることができる。
【0043】
また、使用しない状態において、上記起倒杆5が起立状態にされて安全ピン6が挿通され、起倒杆5の起立状態が維持された状態で、起倒杆5に取り付けられたマイクロスイッチ7のオンオフ操作部が回動レバー4に当接して押されて警告ブザー8のオフ状態を維持し、使用する際には、安全ピン6を抜くことにより起倒杆5が後方に倒れ、マイクロスイッチ7のオンオフ操作部が回動レバー4から離れて警告ブザー8をオン状態にして警告音を発するようになっている。このため、使用しないときは確実に警告ブザー8のオフ状態を維持するとともに、いざ使用する際には、安全ピン6を抜いて起倒杆5を倒すことで確実に警告ブザー8をオン状態にして警告ブザー8を鳴らし始めることができるようになっている。
【0044】
そして、上記防犯用スプレー装置は、圧縮ガスによる蓄圧式であり、かつ指向性の高い噴射を実現することができるため、相手の顔などをめがけて、一直線に正確に狙うことができる。また、かかる噴射の圧力そのものによっても強い衝撃を相手に与えることができる。また、噴射された相手に到達した組成物は、直接相手の口腔、鼻腔、眼等の粘膜に付着され、適当なダメージを付与する。一方、衝撃の反動で周囲に飛散することにより二次的に口、鼻、目等の粘膜に付着され、また、鼻腔や口腔等に吸引され、ダメージを付与する。さらに、マーキング成分が含有されているときには、直接あるいは二次的に相手の表面に付着し、相手をマーキングすることができる。
【0045】
このように、本防犯用スプレー装置は、高いターゲティング性を有していることから、一次ダメージと二次ダメージとを生じさせて相乗的にダメージを増大させることができる。以上のことから、相手にダメージを与えて身の安全を確保して、警察への通報などの時間を十分確保することができる。また、本防犯用スプレー装置は、離れた距離から操作可能であるので、犯罪遭遇時あるいは犯罪の危機が迫ろうとする時に、自分の身の安全性が高くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態の防犯用スプレー装置を示す断面図である。
【図2】上記防犯用スプレー装置の要部を示す正面図である。
【図3】上記防犯用スプレー装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1:圧力容器
2:導出管
3:ノズル
4:回動レバー
5:起倒杆
6:安全ピン
7:マイクロスイッチ
8:警告ブザー
9:圧力ゲージ
10:コネクタ
11:操作杆
12:弁
13:コイルばね
14:弁室
15:噴射装置
16:固定レバー
17:操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯用組成物が充填されたボンベと、上記防犯用組成物を噴射する噴射口と、上記噴射口からの噴射操作を行うための操作部と、警告音を発する警告ブザーとを備え、上記操作部の近傍に上記警告ブザーから警告音の発生を開始するスイッチが設けられていることを特徴とする防犯用スプレー装置。
【請求項2】
上記操作部の操作による噴射口からの防犯用組成物の噴射開始の前に、上記スイッチのオンを可能とするよう構成されている請求項1記載の防犯用スプレー装置。
【請求項3】
上記操作部は把持によって噴射を開始する操作レバーであり、上記操作レバーは誤操作を防止する安全ピンを備え、上記スイッチは安全ピンを抜くことによりオン状態になるように構成されている請求項1または2記載の防犯用スプレー装置。
【請求項4】
上記操作レバーは、起立状態で把持によるレバー操作を規制するとともに倒れた状態でレバー操作を可能とする起倒杆を備えており、上記スイッチは安全ピンを抜いて起倒杆が倒れることによりオン状態になるように構成されている請求項3記載の防犯用スプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−192043(P2008−192043A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27818(P2007−27818)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【出願人】(390010342)エア・ウォーター防災株式会社 (56)
【Fターム(参考)】