説明

防犯ネジ

【課題】 六角ボルト頭、ナットに装着カバーを確実にブラインドリベットあるいはドライブリベットで六角ボルト頭、ナットに固定でき、作業工具では外せない防犯ネジ機構を提供する。
【解決手段】 六角ボルト頭部分を構成する六角部材に、ドライブリベットあるいはブラインドリベットの先端部挿入できる穴をあけ、更に、リベット挿入穴径の一部を残し、反対側から六角穴付き止めネジや寸切りネジを装着できるよう指定されたネジピッチを切り、リベット先端挿入穴との間の一部をネジ下穴径で残し、六角穴付き止めネジを固定装着し、リベット先端部が六角ボルト頭内で開くような空間部を形成した特殊六角ボルトにリベットの先端部が貫通できる穴をあけた装着カバーを被せ、リベットを挿入し、ドライブリベットのピンを叩くか、あるいはブラインドリベットのシャフトを引くことで、特殊六角ボルト頭内の空間部でリベット先端部が広がり、ボルト頭から装着カバーが外れないようにした防犯ネジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボルト、ナットが作業工具では外せないようにした、イタズラや盗難を未然に防ぐ事を目的とした防犯用特殊ボルト、特殊長ナットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ネジは簡単に締め、緩める事の利便性が重要視され、この利便性ゆえにネジは工作機械から日常用品等の殆どの製品、商品に使用、利用され、ネジがなければ生活が成り立たないと言っても決して過言ではない。
【0003】
しかし、複雑な社会情勢になってきた昨今では、簡単にネジを緩めたり、外したりできることが、逆にイタズラや窃盗、凶悪犯罪に利用されるようになった。安全であるべき児童公園の遊戯具のネジが外され子供が大怪我をしたり、公園の備品が何者かに持ち去られたり、歩道の手摺り等のネジが外され危険な状態であったり、鉄塔が倒されたり等のイタズラから、橋梁のアルミ製の高欄が一晩のうちに持ち去られ、高級外車やRV車等の窃盗や、盗難車輌の何倍ものナンバープレートが盗まれ、盗難車輌のナンバープレートを付け替える事で、盗難車輌の発見を遅らせたり、さらに凶悪な二次犯罪に利用されている。
【0004】
そこで特殊工具を利用したイタズラ防止ネジが出現してきた。コンピューターのハードディスクや電化製品のブラックボックス等のネジやイタズラ防止に利用されてきたが、特殊ネジ用の工具が市場で簡単に購入できるようになりイタズラ防止や盗難防止の効果が薄れてきた。
【0005】
ボルト、ナットにアルミ製のカバーをカシメで固定する方法は電力会社の鉄塔等に利用されているが、アルミのカバーをカシメで固定した場合、強力に固定する事ができず、マイナスドライバー等で簡単にカバーを外す事が可能である。
【0006】
大型の六角ボルト頭にネジを切り、プラスチック製のカバーを六角ボルトで固定する方法もあるが、これもレンチで簡単に外す事ができる。
【0007】
2、3年前に神戸市の公園の滑り台のネジが外され、児童が大怪我をした事件が発生した。その対策に神戸市は遊戯具のネジを溶接で固定した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来技術の問題点を解決する事を意図して、防犯ネジを固定する作業工程では特殊レンチ等、特別な工具を使用するのではなく、本発明は、ネジの取り付け作業は通常の作業工具で行い、ネジを外す場合は従来の作業工具では外すことのできないネジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特殊加工した六角ボルト頭や長ナットに直接、作業工具でトルクを伝えられないように、金属製のカバーをドライブリベットあるいはブラインドリベットで特殊六角ボルト頭、蓋付き長ナットに固定する事を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防犯ネジは特殊六角ボルト頭内、蓋付き長ナット内で、リベット先端部が広がる空間を形成する製造法を確立した事で、ドライブリベットあるいはブラインドリベットで特殊六角ボルト頭、蓋付き長ナットに装着カバーを取り付け、作業工具で六角頭、ナットにトルクを伝えられないように構成した。この特殊六角ボルト、蓋付き長ナットは、ともに比較的簡単な製造方法で製造可能で、多品種の特殊六角ボルト、蓋付き長ナットを安価に提供できる。
【0011】
特殊六角ボルト頭、蓋付き長ナットに装着カバーをドライブリベットやブラインドリベットで固定することで、スパナ、メガネレンチ、パイプレンチ、プライヤー等の作業工具では外す事ができず、電動ドリル、グライダー等の電動工具でリベットの頭を破壊して装着カバーを外す為に、取り外し作業に時間がかかり、防犯効果は確実に上がると想定される。玄関の鍵を一カ所から二カ所に増やすだけで、防犯効果があることは衆知の事実である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1及び図2は、この発明の1実施形態を示し、図1は車輌のナンバープレート4を固定金具5に特殊六角ボルトで固定し、装着カバー1を被せ特殊六角ボルト9にリベット2で固定した実施例の側面図で、図2は図1の断面図である。
【0013】
装着カバー1と六角ボルト頭6とをリベット2により、固定されることにより、六角ボルト頭6は装着カバー1で包まれ六角ボルト頭6にトルクを伝える事ができない。六角ボルト頭6の内部にはネジピッチ8を途中まで切り、六角穴付き止めネジ3は切られたネジピッチ8より奥に進む事ができず、六角ボルト頭6の内部には六角穴付き止めネジ3との間に空間を作り、リベット2が六角ボルト頭6内部で広がり、リベット2の先端部が六角頭内部で広がる事を可能にしたことで、装着カバー1と六角ボルト頭6をリベット2で固定でき、従来のカバー固定方法に比べ、より強力に固定できる。
【0014】
このように本発明の防犯ネジは、M6サイズの防犯ネジ用としてのブラインドリベットのリベット先端部の外径3.2ミリのステンレス製の場合、引張り強度は284kgfとされており、人力でリベット2を外す事は極めて困難で、電動工具でリベット頭を破壊しカバーを外さないかぎり、ボルト、ナットを外す事ができない。
【実施例】
【0015】
実施例を揚げて本発明を更に詳しく説明をするが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
図1は特殊六角ボルト9でナンバープレート4を固定金具5に固定し、装着カバー1を六角ボルト頭6に被せ、リベット2で固定した実施例1である。
【0016】
図2は図1の断面図でリベット2で装着カバー1と六角ボルト頭6をリベット2で固定した構造を示し、六角ボルト頭6と六角穴付き止めネジ3との内部形状を示す。
【0017】
図3と図4は六角ボルト頭6の側面図と断面図である。リベット挿入穴7とネジピッチ8の形状を示す。
【0018】
図5は特殊六角ボルト9の実施例1の側面図で六角ボルト頭6と六角穴付き止めネジ3を組立、溶接、接着剤等で固定した特殊六角ボルト9の実施例1である。
【0019】
図6は特殊六角ボルト9の実施例2の側面図で、図7は図6の断面図である。ボルトは多くのサイズがあり、多くのサイズに対応すべき、製造実施例で六角ボルト頭にリベット先端部が広げるための穴をあけ、リベット挿入穴7を設けた蓋10で穴を塞いだ特殊六角ボルト9の実施例2の図で、リベット2で装着カバー1が固定できる特殊六角ボルト9の製法実施例2である。
【0020】
図8は木ネジ12、タッピンネジ12に装着カバー1が取り付けられるよう六角ボルト頭6を取り付けた側面図である。図9は図8の断面図で木ネジ12にタップ8を切った六角ボルト頭6を装着した特殊六角頭木ネジの製法実施例3である。
【0021】
図10は蓋付き長ナット13の側面図で、図11は図10の断面図で蓋付き長ナット13にリベット2が挿入できるリベット挿入穴7をあけた蓋10を長ナットに溶接、接着剤等で固定し、六角ボルト頭6に装着カバー1をリベット2で固定し、特殊六角ボルト9のネジ先端部部に蓋付き長ナット13を取り付け、装着カバー1をリベット2で固定した特殊六角ボルト頭、蓋付き長ナット画側に装着カバー1をリベット2で固定できるようにし、ナット、ボルト頭の両側に装着カバー1を固定できるようにした実施例4である。
【0022】
図12は装着カバー1の側面図で、図13は図12の断面図でリベット2の頭を沈み込ませることでリベット2をニッパー等で切断や簡単に破壊できないようにした、リベット保護穴14の形状である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
最近、犯罪が凶悪化しており、何百キロもある金庫が持ち去られたり、盗難車が激増しており、逃亡目的や摘発を逃れるために盗難車のナンバープレートを付け替えるために、盗難車の何倍ものナンバープレートが盗まれており、ナンバープレートの盗難対策に、警察も対策に苦慮しているのが現状である。
【0024】
近年、アルミ製の門扉が盗難にあったり、橋梁のアルミ製の高欄が盗まれたり、屋外の設備、施設がイタズラや盗難目的でネジを外される事件が多く発生しており、本発明はこうした対策に、安価で、簡単な作業で取り付け、電動工具を使用しなければ外れないネジの提供で産業上の利用可能性、効果はきわめて高いと想定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】特殊六角ボルト頭に装着カバーをドライブリベットあるいはブラインドリベットで固定した説明図である。(実施例1)
【図2】図1の断面説明図。
【図3】六角ボルト頭の側面図で特殊六角ボルトの実施例1の部品図。
【図4】図3の断面図で六角ボルト頭の製造実施例1の説明図。
【図5】図3の六角ボルト頭に六角穴付き止めネジを装着固定した特殊六角ボルトの側面図。(実施例1)
【図6】特殊六角ボルトの側面図であり、六角ボルト頭にリベット先端部が広がる事ができる空間を保持できる穴をあけ、リベット挿入穴をあけた蓋を溶接、接着した説明図。(実施例2)
【図7】図6の特殊六角ボルトの断面説明図。
【図8】木ネジ、タッピンネジに図3の六角ボルト頭を装着固定用ネジ部に固定した側面図。(実施例3)
【図9】図8の断面説明図。
【図10】蓋付き長ナットの側面図。(実施例4)
【図11】図10の断面説明図。
【図12】装着カバーの側面図。
【図13】図12の断面説明図。
【符号の説明】
【0026】
1 装着カバー
2 ドライブリベット(ブラインドリベット)
3 六角穴付き止めネジ(寸切りネジ)
4 固定物(例、ナンバープレート)
5 固定金具
6 六角ボルト頭
7 リベット挿入穴
8 ネジピッチ
9 特殊六角ボルト
10 リベット挿入穴付き蓋
11 リベット先端用空間
12 木ネジ、タッピンネジ部
13 蓋付き長ナット
14 リベット保護穴
15 特殊六角頭木ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
六角ボルト頭部分を構成する六角形部材にドライブリベットあるいはブラインドリベットのリベット先端部分が挿入できる穴をあけ、その穴径の一部の長さを残し、反対側から六角穴付き止めネジや寸切りネジ等が装着できるように、指定されたネジピッチを切り、リベット先端挿入穴との間の一部をネジ下穴径で残し、それに六角穴付き止めネジ等を装着固定し、リベット先端部を広げる事が可能な空間部を形成した特殊六角ボルトと、特殊六角ボルトのボルト頭部分に被せる装着カバーとで構成し、リベット先端部分が貫通できる穴をあけた装着カバーを特殊ボルト頭に被せ、リベットを挿入し、ドライブリベットのピンを叩くか、あるいはブラインドリベットのシャフトをハンドリベッター等で引き抜き、特殊ボルト頭内の空間部で、リベット先端部が広がる事で、特殊六角ボルト頭から装着カバーが外れないようにした防犯ネジ。
【請求項2】
六角ボルト頭の内部を、ドライブリベットあるいはブラインドリベットの先端部を広げる事が可能な、空間を形成できる穴をあけ、その穴の上部部分にリベット先端部が挿入できる穴をあけた蓋を溶接あるいは接着剤等で固定し、ボルト頭に装着カバーを装着し、リベット挿入穴からドライブリベットあるいはブラインドリベットを挿入させ、ドライブリベットのピンを叩くか、あるいはブラインドリベットのシャフトを引き抜き、ボルト頭内に形成した空間内でリベットの先端部を広げ、六角ボルト頭から装着カバーが外れないようにした防犯ネジ。
【請求項3】
長ナットにドライブリベットあるいはブラインドリベットの先端部が挿入できる穴をあけた蓋を、溶接あるいは接着剤等で固定した蓋付き長ナットに、装着カバーを装着し装着カバーが蓋付き長ナットに、リベットで固定され外れないようにした、請求項1、請求項2に記載された防犯ネジのボルト頭と蓋付き長ナット両側に装着カバーをドライブリベットあるいはブラインドリベットで固定できるようにした特殊六角ボルト頭、蓋付き長ナットの両側に装着カバーが装着固定できる防犯ネジ。
【請求項4】
タッピンネジや木ネジ等のネジ部と請求項1に記載された六角ボルト頭部分が装着固定できるよう、装着用ネジを切ったタッピンネジや木ネジ等に六角ボルト頭部分を溶接、接着固定し、装着カバーを被せ、ドライブリベットあるいはブラインドリベットで装着カバーを固定し、作業工具等で外せないようにした防犯ネジ。
【請求項5】
装着カバーはリベット頭が沈み込めるように、装着カバーのリベット装着穴の上部をリベット頭外径より少し広げ、リベット頭が装着カバーから飛び出ない事を特徴とした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に記載された防犯ネジ。
【請求項6】
装着カバーは切削加工で製造された請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に記載された防犯ネジ用装着カバー。
【請求項7】
装着カバーはプレス加工で製造された請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に記載された防犯ネジ用装着カバー。
【請求項8】
装着カバーはダイキャスト加工で製造された請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に記載された防犯ネジ用装着カバー。
【請求項9】
装着カバーはパイプをカットし、パイプ外径と同等外径の円形蓋を作り、リベット頭外径より少し大きめの穴をあけ、リベット頭外径より大きな円形板に、リベット先端部が貫通できる穴をあけ、円形蓋の下側に溶接、接着材で固定した円形蓋をパイプに溶接、接着をした、請求項1、請求項2、請求項3,請求項4に記載された防犯ネジ用装着カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−2676(P2008−2676A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200011(P2006−200011)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(505082774)株式会社大竹 (8)