説明

防眩ハードコート剤及び防眩フィルム

【課題】 画面がぎらついたり、解像度が低下し、画像が不鮮明になるという問題点を解決する。
【解決手段】 熱或いは紫外線、又は電子線により硬化する樹脂と、不定形の無機微粒子を含有する防眩ハードコート剤であって、不定形の無機微粒子をロールミル或いはビーズミル等の混練装置を用い樹脂へ混練、分散せしめる。無機微粒子としては平均粒子径が1〜10μmのシリカを用い、樹脂固形分に対して3〜20重量%配合する。この防眩ハードコート剤を透明基材フィルムへ塗布して防眩フィルムを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示に用いるディスプレイの表面に設置する為の防眩ハードコート剤及び防眩フィルムに属する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピューター、プラズマテレビ、液晶テレビ、カーナビゲーションシステム、タッチパネル、モバイル機器、携帯電話、ポータブルゲーム機などに用いられているディスプレイでは、太陽光や蛍光灯などの光が表示画面に映り込みにより画面が見にくくなる現象が起こる。この現象が生じると、画面が見にくくなるだけでなく、この画面を長時間にわたり見続けることにより、視力低下につながる場合がある。その為、この映り込み現象を抑制する為に防眩フィルムが提供されている。このフィルムをディスプレイに貼付することにより、この現象が低減する。
【特許文献1】特公昭63−40282号公報
【特許文献2】特開平9−230103号公報
【特許文献3】特開平9−211202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
防眩フィルムは、不定形シリカが添加されたシリコーン系ハードコート剤や、アクリル系ハードコート剤をフィルムの表面に塗布し、このハードコート剤を過熱硬化または紫外線硬化、電子線硬化して得られる。例えば、特許文献1に、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂に凝集性シリカゲルを含む組成物からなる硬化皮膜層を形成し、防眩機能を持つ偏光板(特公昭63−40282号公報参照)などの技術も開示されている。しかしながら、凝集性シリカと紫外線硬化型ポリエステルアクリレートとよりなるものは、十分な防眩硬化を発現させることが出来なかった。また、従来から使用しているサイズの大きい粒子を用いた防眩フィルムは、高画素数のディスプレイに使用したとき、画面がぎらついたり、解像度が低下し、画像が不鮮明になるという問題点があった。
【0004】
また、特許文献2及び特許文献3に、所定の屈折率及び平均粒子径を有するシリカ粒子が含有されたハードコート剤と、このハードコート剤が塗布された防眩フィルムが提案されている。
【0005】
上記発明によれば、特許文献2の図1に示されるようにハードコート剤の乾燥に伴いシリカ粒子がハードコート層の表層に現れて凹凸が形成される。この凹凸が反射光を乱反射させることで防眩性を付与するものである。
【0006】
上記の防眩ハードコート剤は、シリカ粒子をバインダーに単に混合分散させたものである。その為、シリカ粒子と有機物との親和性については考慮されていない為、摺動性に課題が残る。また、シリカ粒子の分散安定性も悪く、塗工時のシリカ粒子の沈降や、シリカ粒子の凝集によりディスプレイにした際の画像のぎらつき発生や、擦れたときに粒子が脱落するといった問題もある。
【0007】
また、このハードコート剤はフィルムに塗布した後、乾燥及び硬化の工程を要する。この際にシリカ粒子同士が凝集する為、得られた防眩フィルムをディスプレイに貼り付けた際に、画面にぎらつきが発生するという問題もある。
【0008】
本発明は無機微粒子と有機物とを混合分散する際に混練装置を使用することにより、凝集している無機微粒子を安定に分散させることで、蛍光灯や太陽光などの外光の映り込みを抑え、高精細化したディスプレイに用いた場合でもぎらつきの少ない防眩フィルムを提供するものである。更に、塗工時のシリカ粒子の沈降を抑えることが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題を解決する為、本発明の請求項1に記載の発明は、不定形の無機微粒子を硬化型樹脂へ混合分散させる際、ビーズミル、ロールミル等の混練装置を用い分散させることを特徴とする防眩ハードコート剤及びその作製方法である。また、無機微粒子同士の凝集による沈降がなく、長期間静置しても無機微粒子がハードケーキ状にならないことを特徴とする防眩ハードコート剤である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記の防眩ハードコート剤において使用する無機微粒子がシリカであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記のように無機微粒子を硬化型樹脂へ、混練装置を用いて分散させてなる請求項1記載の防眩ハードコート剤を透明基材へ塗布してなることを特徴とする防眩フィルムである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は全光線透過率が90%以上であり、かつJIS K7150に定める像鮮明度の平均値が20%以上で、2mmの光学櫛で測定した値が50%以上である防眩フィルムである。
【発明の効果】
【0013】
微粒子は一般的に、その粒子径が小さくなるほど凝集しやすく、均一に分散させることが難しい。しかしながら本発明によれば、混練装置を用い粒子径を小さくすることで微粒子の凝集を抑えられ、ハードコート剤に防眩性を持ちながらぎらつきを抑え、高精細化されたディスプレイに用いても画面に悪影響を与えない防眩フィルムを得ることが出来る。更に混練装置を用い分散したハードコート剤は、凝集が抑えられることにより沈降を抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の防眩ハードコート剤は、不定形な無機微粒子をビーズミル、ロールミル等の混練装置を用い、硬化型樹脂中へ分散させたものである。また、混練装置を用いることで、微粒子の沈降を抑制した塗料である。防眩フィルムはこの防眩ハードコート剤を、基材フィルムへ塗布、硬化してなる防眩フィルムである。
【0015】
本発明に用いられる無機微粒子としては、平均粒子径が1〜10μmのものを用い、さらに好ましくは平均粒子径が1〜5μmのものを用いるとよい。粒子径が小さすぎると、十分な防眩性を得ることが出来ず、大きすぎると画面のぎらつきの原因となる。更には、微粒子が沈降しハードケーキ状になり易い。また、本発明に用いる微粒子の種類は、シリカ微粒子が望ましい。他の微粒子では屈折率が高い為、内部ヘーズが上昇し画像の鮮明度が低下してしまう。配合割合は樹脂固形分に対して3〜20重量%、より好ましくは5〜20重量%であり、下限に満たないと防眩性が劣りやすく、上限を超えると像鮮明度が劣りやすくなる。
【0016】
本発明に用いる硬化型樹脂としては、主として多官能(概ね3官能以上)のアクリレート及びメタクリレート(以下(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートと記載する場合、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。)が使用できるが、2種以上の多官能(メタ)アクリレートや低官能基数の不飽和基を持つ樹脂を併用することもできる。
【0017】
多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ハイパーブランチ型アクリレート、デンドリマー型アクリレート等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0018】
併用できる樹脂の例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラルリル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネート、(メタ)アクリルアミド、N,N-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、その他スチレン等も用いることが出来る。
【0019】
また、本発明では適宜溶剤を使用することが出来る。溶剤の例としては以下のものがあげられるが、これらに限定されるものではない。トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることもできるが、適宜併用することも出来る。
【0020】
その他、硬度向上、耐擦傷性向上、密着性向上、レベリング性向上、分散性向上、沈降防止性向上、耐光性向上、耐熱性向上、耐湿性向上等の目的で、適宜添加剤を添加することが出来る。
【0021】
本発明において使用する混練装置としては、鉄製、SUS製の二本ロール、三本ロール等のロールミル、ジルコニア、ジルコン、ガラス等のビーズを使用したビーズミル等が挙げられる。ロールミルを使用し分散する場合、特に制限されず適宜処理を行うことが出来るが、均一に分散させる為、2回以上処理を行うことが好ましい。ビーズミル法で処理を行う場合、径の大きなビーズを使用すると十分な分散効果が得られず、小さなビーズを用いると粒子が小さくなりすぎる為、分散効果は得られるものの十分な防眩効果が得られない。また、小さなビーズを用いると、処理後にビーズと塗料の分離が困難となる為、適当な大きさのビーズを選定する必要がある。好ましくは0.3mm〜1mmのビーズを用いるとよい。また、必要に応じて装置を併用することも出来る。分散処理を行う際、必要に応じて分散剤や沈降防止剤を使用することが好ましい。分散剤としては、アルキルアンモニウム塩、ポリアミノアミドとポリエステルの塩、沈降防止剤としては、カルボン酸アミド系、ウレア系、ウレア変性ウレタン系の界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
この防眩性ハードコート剤を各種基材に塗布し、ハードコート剤及び各種基材の性状に影響を与えない程度の熱或いは熱風で溶剤を揮発させた後、加熱、光照射、電子線照射等の方法により乾燥皮膜を重合させることで硬化させる。
【0023】
加熱により硬化させる際は、開始剤を添加しておく。開始剤としては、過酸化物、アゾビス化合物等を用いることが出来る。過酸化物としては過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酸化ラウリロイル、クメンハイドロ化合物、アゾビス化合物としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等を用いることが出来る。
【0024】
光により硬化させる際は、光開始剤を添加しておく。光開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4’−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等を用いることができる。市販の光開始剤としてはチバ・スペシャルティーケミカルズ社製Darocure1116、Darocure1173、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE500、IRGACURE651、IRGACURE754、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE1300、IRGACURE1800、IRGACURE1870、IRGACURE2959、IRGACURE4265、IRGACURE TPO、UCB社製ユベクリルP36、などを用いることが出来る。
【0025】
電子線により硬化させる場合は、開始剤は必要ない。
【0026】
また、この防眩ハードコート剤へ、帯電防止剤、導電性高分子、金属酸化物微粒子、金属微粒子等を添加し、帯電防止機能を付与することも出来る。帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ソルビタングリセリンエステル、アルキルポリエチレンイミン、カチオン系としてアルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン誘導体、エチレンオキサイドを骨格に持つアクリレート化合物等を用いることが出来る。また、その他にリチウムイオンなどの金属イオンを混合するイオン伝導型の帯電防止剤も用いることが出来る。導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ‐3,4‐エチレンジオキシチオフェン、及びその誘導体を用いることが出来る。金属酸化物としては、アンチモンドープ型酸化スズ(ATO)、錫ドープ型酸化インジウム(ITO)アルミニウムドープ型酸化亜鉛(AZO)、アンチモン複酸化物等を用いることが出来る。
【0027】
本発明に使用する基材フィルムは、防眩フィルムに要求される強度、後処理及び後加工によるが、通常のプラスチックより透明性に優れる材料から選定される。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、セロファン、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルテルペン、ポリエーテルスルフォン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等からなるフィルムが挙げられる。これらの基材フィルムと防眩ハードコート剤の密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法、溶剤処理法等による表面の凹凸化処理、易接着処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理等の酸化処理により表面処理が施すことができる。
【0028】
防眩ハードコート層の形成法としては、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、ディッピング法、カーテンコート法、ナイフコート法、バーコート法、ダイコート法、リップコート法、スクリーン法等の方法により形成することが出来るが、特に制限されるものではない。
【実施例1】
【0029】
アクリル系紫外線硬化型樹脂90重量部(固形分100% 商品名:ライトアクリレートDPE−6A 共栄社化学株式会社製)及び平均粒子径1.3μm(コールカウンター法)のシリカ10重量部(商品名AZ-204 東ソー・シリカ株式会社製)、分散剤0.3重量部(商品名:DISPERBYK102 ビックケミー・ジャパン株式会社製)、沈降防止剤0.2重量部(商品名:BYK411 ビックケミー・ジャパン株式会社製)を混合し、直径121mm、幅280mmの三本チルドロールにて分散し分散体(A)を得た。
【0030】
上記配合の分散体47.6重量部に、光開始剤2.4重量部(商品名:IRGACURE184 チバスペシャルティーケミカルズ株式会社製)、トルエン25重量部、イソブチルアルコール25重量部を混合、攪拌し塗工液(B)を得た。
【0031】
塗工液(B)を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(商品名:ルミラー 東レ株式会社製)に#10バーコーターにて塗布して、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、防眩フィルムを得た。
【実施例2】
【0032】
アクリル系紫外線硬化型樹脂85重量部(固形分100% 商品名:ライトアクリレートDPE−6A 共栄社化学株式会社製)及び平均粒子径1.3μm(コールカウンター法)のシリカ15重量部(商品名AZ-204 東ソー・シリカ株式会社製)、分散剤0.45重量部(商品名:DISPERBYK102 ビックケミー・ジャパン株式会社製)、沈降防止剤0.3重量部(商品名:BYK411 ビックケミー・ジャパン株式会社製)を混合し、直径121mm、幅280mmの三本チルドロールにて分散し分散体(A)を得た。
【0033】
上記配合の分散体47.6重量部に、光開始剤2.4重量部(商品名:IRGACURE184 チバスペシャルティーケミカルズ株式会社製)、トルエン25重量部、イソブチルアルコール25重量部を混合、攪拌し塗工液(B)を得た。
【0034】
塗工液(B)を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(商品名:ルミラー 東レ株式会社製)に#10バーコーターにて塗布して、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、防眩フィルムを得た。
【実施例3】
【0035】
アクリル系紫外線硬化型樹脂90重量部(固形分100% 商品名:ライトアクリレートDPE−6A 共栄社化学株式会社製)及び平均粒子径1.3μm(コールカウンター法)のシリカ10重量部(商品名AZ-204 東ソー・シリカ株式会社製)、分散剤0.3重量部(商品名:DISPERBYK102 ビックケミー・ジャパン株式会社製)、沈降防止剤0.2重量部(商品名:BYK411 ビックケミー・ジャパン株式会社製)を混合し、分散体(A)を得た。
【0036】
上記配合の分散体47.6重量部に、光開始剤2.4重量部(商品名:IRGACURE184 チバスペシャルティーケミカルズ株式会社製)、トルエン25重量部、イソブチルアルコール25重量部を混合し、1mm粒径のジルコニアビーズを使用したビーズミルにて分散し、塗工液(B)を得た。
【0037】
塗工液(B)を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(商品名:ルミラー 東レ株式会社製)に#10バーコーターにて塗布して、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、防眩フィルムを得た。
【0038】
比較例1
アクリル系紫外線硬化型樹脂90重量部(固形分100% 商品名:ライトアクリレートDPE−6A 共栄社化学株式会社製)及び平均粒子径1.3μm(コールカウンター法)のシリカ10重量部(商品名AZ-204 東ソー・シリカ株式会社製)、分散剤0.3重量部(商品名:DISPERBYK102 ビックケミー・ジャパン株式会社製)、沈降防止剤0.2重量部(商品名:BYK411 ビックケミー・ジャパン株式会社製)をディスパーで混合し、分散体(A)を得た。
【0039】
上記配合の分散体47.6重量部に、光開始剤2.4重量部(商品名:IRGACURE184 チバスペシャルティーケミカルズ株式会社製)、トルエン25重量部、イソブチルアルコール25重量部を混合、攪拌し塗工液(B)を得た。
【0040】
塗工液(B)を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(商品名:ルミラー 東レ株式会社製)に#10バーコーターにて塗布して、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、防眩フィルムを得た。
【0041】
比較例2
アクリル系紫外線硬化型樹脂85重量部(固形分100% 商品名:ライトアクリレートDPE−6A 共栄社化学株式会社製)及び平均粒子径1.3μm(コールカウンター法)のシリカ15重量部(商品名AZ-204 東ソー・シリカ株式会社製)、分散剤0.45重量部(商品名:DISPERBYK102 ビックケミー・ジャパン株式会社製)、沈降防止剤0.3重量部(商品名:BYK411 ビックケミー・ジャパン株式会社製)をディスパーで混合し、分散体(A)を得た。
【0042】
上記配合の分散体47.6重量部に、光開始剤2.4重量部(商品名:IRGACURE184 チバスペシャルティーケミカルズ株式会社製)、トルエン25重量部、イソブチルアルコール25重量部をディスパーで混合、攪拌し塗工液(B)を得た。
【0043】
塗工液(B)を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(商品名:ルミラー 東レ株式会社製)に#10バーコーターにて塗布して、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、防眩フィルムを得た。
【0044】
比較例3
アクリル系紫外線硬化型樹脂92重量部(固形分100% 商品名:ライトアクリレートDPE−6A 共栄社化学株式会社製)及び平均粒子径1.3μm(コールカウンター法)のシリカ8重量部(商品名AZ-204 東ソー・シリカ株式会社製)、分散剤0.24重量部(商品名:DISPERBYK102 ビックケミー・ジャパン株式会社製)、沈降防止剤0.16重量部(商品名:BYK411 ビックケミー・ジャパン株式会社製)をディスパーで混合し、分散体(A)を得た。
【0045】
上記配合の分散体47.6重量部に、光開始剤2.4重量部(商品名:IRGACURE184 チバスペシャルティーケミカルズ株式会社製)、トルエン25重量部、イソブチルアルコール25重量部をディスパーで混合、攪拌し塗工液(B)を得た。
【0046】
塗工液(B)を100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(商品名:ルミラー 東レ株式会社製)に#10バーコーターにて塗布して、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、防眩フィルムを得た。
【0047】
上記の通り得られた防眩ハードコート剤及び防眩フィルムについて沈降性、全光線透過率、ヘーズ、像鮮明度を測定した。各項目の測定方法及び測定結果に対する評価基準は下記の通りとする。
沈降性安定性;ガラス製のサンプル瓶にハードコート剤を8分目まで満たし、蓋を閉じアルミホイル等で遮光したものを3ヶ月間静置した。
【0048】
評価基準
合格○ :サンプル瓶を軽く振り均一に分散している。
【0049】
不合格×:サンプル瓶を軽く振っても、凝集した微粒子が元に戻らない。
全光線透過率;JIS K7361−1:1997「透明材料の全光線透過率の試験方法」に基づき、ヘイズメーター(日本電色(株)製:型式NDH2000)により測定した。
【0050】
評価基準
合格○:90%以上 不合格×:90%未満
ヘーズ;JIS K7136:2000「透明材料のヘーズの求め方」に基づき、ヘイズメーター(日本電色(株)製:型式NDH2000)により測定した。
【0051】
評価基準
合格○:3%〜15% 不合格×:3%未満、又は15%より大きい
像鮮明度;JIS K7105:1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に基づき、写像性測定器ICM−1T(スガ試験機製)を使用し透過で測定した。
【0052】
評価基準
合格○ :光学櫛 0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの測定値の平均が20%以上かつ2.0mmの測定値が50%以上
不合格×:光学櫛 0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの測定値の平均が20%未満又は2.0mmの測定値が50%未満
【0053】
【表1】

【0054】
上記の結果からわかるように、実施例のコート剤及び防眩フィルムは、沈降安定性、全光線透過率、ヘーズ、像鮮明度の全てを満たすのに対し、比較例のコート剤及び防眩フィルムでは、全てを満たすことが出来なかった。本発明により、所望の特性を全て満たす防眩ハードコート剤及び防眩フィルムを得ることが出来た。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱或いは紫外線、又は電子線により硬化する樹脂と、不定形の無機微粒子を含有する組成物であって、不定形の無機微粒子をロールミル或いはビーズミル等の混練装置を用い樹脂へ混練、分散せしめることによりなることを特徴とする防眩ハードコート剤。
【請求項2】
該無機微粒子がシリカであることを特徴とする請求項1記載の防眩ハードコート剤。
【請求項3】
請求項1に記載の防眩ハードコート剤を透明基材フィルムへ塗布してなる防眩フィルム。
【請求項4】
全光線透過率が90%以上かつ、JIS K7105に定める5種類の光学櫛で測定した像鮮明度の平均値が20%以上でありかつ2mmの光学櫛で測定した値が50%以上であることを特徴とする請求項3記載の防眩フィルム。

【公開番号】特開2008−74945(P2008−74945A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255242(P2006−255242)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】