説明

防虫ネット

【課題】通気性を保ち、機械的強度を向上させ、かつ防虫効果を高めることができる防虫ネットを提供する。
【解決手段】防虫ネット10は農作物を栽培するネットハウスAを構成するものである。防虫ネット10は多数の孔12を形成するフィルム基材11と、フィルム基材11の孔12内に設けられた線状部材15とを有している。孔12を有するフィルム基材11は機械的強度を保ち、通気性を維持する。フィルム基材11の孔12内に設けられた線状部材15によって防虫効果を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫が侵入するのを防止することができる農業分野で用いられる防虫ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業分野で使用される防虫ネットは、縦糸と横糸とを略同一の間隔でネット状に織って形成したネットとなっている。この防虫ネットは、縦糸および横糸を織ることにより形成された多数の孔を含む。
【0003】
しかしながら、防虫効果を高めるために孔を小さくしようとする場合に、孔を小さくする前の防虫ネットの通気性を維持するために、小さい孔を数多く形成する必要が生じる。小さい孔を数多く形成するためには縦糸と横糸の幅(太さ)を小さくする必要があるが、この場合は縦糸および横糸の強度が低下するため防虫ネット全体の機械的強度が低下し、防虫ネットが部分的に破損することも考えられる。
【0004】
また、防虫効果を高めるために孔を小さくしようとしても、形成できる孔の大きさには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−129854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、通気性および機械的強度を低下させることなく、防虫効果を向上させることができる防虫ネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フィルム基材に複数の孔が設けられた平板状ネット部材と、ネット部材に接着され、各孔内に延びる複数の線状部材または帯状部材とを備えたことを特徴とする防虫ネットである。
【0008】
本発明は、各孔内において各線状部材または帯状部材は、連結せずに設けられていることを特徴とする防虫ネットである。
【0009】
本発明は、線状部材または帯状部材の幅は、ネット部材の最小幅より小さいことを特徴とする防虫ネットである。
【0010】
本発明は、ネット部材および線状部材または帯状部材のうち、少なくとも一方は切断時に切断面が毛羽立つことを特徴とする防虫ネットである。
【0011】
本発明は、線状部材または帯状部材は粘着剤を含むことを特徴とする防虫ネットである。
【0012】
本発明は、線状部材または帯状部材は防虫剤を含むことを特徴とする防虫ネットである。
【0013】
本発明は、複数の孔が設けられた一対の平板状ネット部材を備え、一方のネット部材と他方のネット部材は、互いの孔の位置がずれるよう積層されていることを特徴とする防虫ネットである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、防虫ネットの通気性および機械的強度を低下させることなく、かつ防虫ネットの防虫効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は、防虫ネットの第1の実施の形態を示す図であり、図1(b)は防虫ネットの孔を示す図。
【図2】図2(a)(b)は、防虫ネットの第2の実施の形態を示す図。
【図3】図3(a)(b)は、防虫ネットの変形例を示す図。
【図4】図4(a)(b)(c)(d)は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図5】図5は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図6】図6は、ネットハウスを示す斜視図。
【図7】図7は、防虫ネットの更に他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の実施の形態
次に図1(a)(b)および図6により本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0017】
このうち図1(a)は防虫ネットの概略を示す図であり、図1(b)は防虫ネットの孔を示す拡大図である。また図6はネットハウスを示す図である。
【0018】
図1(a)(b)および図6に示すように、防虫ネット10は、例えば野菜や果物等の農作物を栽培するネットハウスAを構成するものであり、フレームBにこの防虫ネット10を取付けることにより、農作物栽培用のネットハウスAが得られる。
【0019】
このような防虫ネット10は、多数の孔12を有する平板状のフィルム基材(ネット部材)11と、フィルム基材11の孔12内に設けられた多数の線状部材15とを備えている。
【0020】
この場合、多数の孔12を有するフィルム基材11は、フィルム基材11を準備し、このフィルム基材11に対してパンチング加工、打ち抜き加工、エッチング加工を施すことによって、多数の孔12を開孔することにより得られる。
【0021】
図1(a)において、左右または上下のいずれか2つの孔12間のフィルム基材11の幅L、あるいは斜め方向に配置されたいずれか2つの孔12間、例えば右上と左下の2つの孔12間のフィルム基材11の幅Lのうち、最小のものが、フィルム基材11の最小幅となる。
【0022】
フィルム基材11としては樹脂製の樹脂フィルムまたは樹脂薄板(以下、「樹脂フィルム」と言う)あるいは金属フィルムまたは金属薄板(以下、「金属フィルム」と言う)を用いることができ、いずれの場合も樹脂フィルムあるいは金属フィルムに対してパンチング加工、打ち抜き加工、エッチング加工を施すことによって、多数の孔12を開孔することができる。
【0023】
このようにフィルム基材11を準備し、フィルム基材11に対してパンチング加工、打ち抜き加工、エッチング加工を施して多数の孔12を有するフィルム基材11が得られるので、フィルム基材11の表面を平滑に保つことができる。このため後述のようにフィルム基材11に線状部材15を接着する際、この線状部材15を容易にフィルム基材11の表面に接着することが可能となる。
【0024】
また線状部材15は孔12内において虫を通さない防虫効果をもち、虫通過阻害部材として機能する。
【0025】
なお、後述のようにフィルム基材11が樹脂フィルムからなり、多数の線状部材15が樹脂製の線状部材からなる場合、フィルム基材11と線状部材15を互いに重ね合わせ、熱プレスを施すことにより、フィルム基材11に線状部材15を接着することができる。
【0026】
またフィルム基材11が金属フィルムからなり、多数の線状部材15が樹脂製の線状部材からなる場合、フィルム基材11に線状部材15を接着剤を用いて接着することができる。
【0027】
なお、図1(a)(b)に示すように、フィルム基材11の孔12内において、各線状部材15は互いに接続されることなく、独立して連結せずに設けられていてもよく、互いに一部接続されていてもよい。
【0028】
(フィルム基材11および線状部材15)
次にフィルム基材11および線状部材15の材料について述べる。このうち、フィルム基材11としては以下のような材料を利用することができる。
【0029】
フィルム基材11としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ナイロン、ポリオレフィンなどの樹脂フィルムを用いることができる。
【0030】
このような樹脂フィルムは、透光性があり植物成育のための採光を妨げることはない。また、透光性を絞ってネットハウスA内部の温度上昇を防ぐ場合は、酸化チタンなどを混ぜた樹脂フィルムを用いることができる。この場合、酸化チタン等を混ぜる割合を自由に調整し、透光性を制御できる。
【0031】
また樹脂フィルムを発泡させフィルム基材11に保温性能を付与するなどの機能付加を施してもよい。
【0032】
なお、樹脂フィルムは複数材料を積層した多層フィルムからなっていてもよく、引っ張りに強いポリエチレンと突き刺しに強いナイロンを積層したフィルムを利用し、引っ張り、突き刺し共に強いフィルムを利用することができる。
【0033】
さらにフィルム基材11として金属フィルムを用いてもよい。この場合、金属フィルムとしてアルミ板、ステンレス板、銅板などを利用することができる。金属フィルムの表面は金属光沢があるため、虫に対する忌避効果が期待できる。また金属フィルムは数年間の経年変化による伸びや縮みも樹脂フィルムより少ない。
【0034】
さらに多数の線状部材15としては、フィルム基材11と同様の材料、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ナイロン、ポリオレフィン等の樹脂を用いることができる。また線状部材15として金属製の線状部材を用いてもよい。
【0035】
さらにまたフィルム基材11および線状部材15として、切断された場合に切断面が毛羽立つ材料を用いてもよい。
【0036】
このようにフィルム基材11および線状部材15が切断時に毛羽立つことにより、孔12内に毛羽立った微細毛を形成することができ、孔12の防虫効果を高めることができる。
【0037】
なお、このような切断面が毛羽立つ材料としては、ポリエチレンを延伸させたスズランテープが考えられる。
【0038】
また線状部材15中に、虫を粘着して捕獲するため粘着剤を混入してもよい。また線状部材15中に虫を殺虫するための防虫剤を混入してもよい。
【0039】
(粘着剤)
まず線状部材15中に混入される粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを用いることができるが、これらの中で、粘着性能の点からアクリル系粘着剤が好ましく、特にアクリル系二液架橋型粘着剤が好適である。
【0040】
また粘着剤としては、天然ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、シリコン系共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、マレイン酸およびその無水物の共重合体、ポリエチレンイミン、メラミン樹脂、尿素樹脂が利用できる。
【0041】
さらに粘着剤としては、従来の捕虫シートと同様のものでよく、フッ素樹脂系、ケイ素樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系のどれかが好ましい。また、ポリブテン系のものも用いられる。
【0042】
また粘着剤としては、分子量が1万〜50万、且つ不飽和度が5モル%以下の高分子エラストマーと、分子量100〜1万の軟化剤とからなる粘着剤組成物を用いてもよい。
【0043】
高分子エラストマーとしては、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンゴム、アクリルゴム等から選ばれた少なくとも一種がこの発明では特に限定されることなく好適に使用できる。特にポリイソブチレンゴムとブチルゴムは後述する軟化剤との相溶性が適度であり、飛翔害虫に対して優れた捕獲能力を示すのでより好ましく使用される。また、200〜800nmにおける波長透過率が90%以上の無色透明、白色又は淡黄色の色調を有する高分子エラストマーを使用すると、シート、フィルム等からなる粘着剤基材の色相を著しく阻害しないため、色に対する害虫の習性を利用した積極的な誘引を行うことができる。
【0044】
軟化剤としては液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、ポリブデン、液状ポリイソブチレン等の中から選ばれた少なくとも一種が限定されることなく好適に使用される。
【0045】
(防虫剤)
防虫剤としては、ペルメトリン、デルタメストリン等のピレスロイド化合物;クロチアニジン、ジノテフラン等のネオニコチノイド化合物;フィプロニル、エチプロール等のアリールピラゾール化合物;フェノカルブ、メトキシジアゾン等のカーバメート化合物;フェニトロチオン等の有機リン化合物があげられる。
【0046】
また防虫剤として、ペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、d−レスメトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン等を用いることができる。
【0047】
図1(a)(b)において、フィルム基材11の孔12内に更に多数の線状部材15が設けられているので、孔12の形状を大きく維持することにより、通気性を維持することができ、さらに孔12内に多数の線状部材15を設けることにより防虫効果も高めることができる。またフィルム基材11に小さな形状をもつ孔12を多数設ける必要がなくなるため、防虫ネット10全体の機械的強度が低下することもない。
【0048】
このように孔12を有するフィルム基材11が通気性と機械的強度を保つ構造をもち、線状部材15が防虫効果を有する構造をもつよう、フィルム基材11の機能と線状部材15の機能を分離させたことによって、防虫ネット10全体として、通気性を保ち、機械的強度を向上させ、かつ防虫効果を高めることができる。
【0049】
なお多数の孔12を有するネット部材が、フィルム基材11に多数の孔12を開孔して得られる旨、説明したが、これに限らず糸を編み込むことにより多数の孔12を有するネット部材11を作製してもよい。
【0050】
第2の実施の形態
次に図2(a)(b)〜図5により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
まず図2(a)に示す実施の形態において、防虫ネット20は多数の孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、フィルム基材21の孔22内に設けられた複数の帯状部材25aとを備えている。
【0052】
この場合、多数の孔22を有するフィルム基材21は、フィルム基材21を準備し、このフィルム基材21に対して孔22を開孔することにより得られる。
【0053】
またフィルム基材21は、縦線部21aと、縦線部21aと同一の幅(太さ)を有する横線部21bとを有し、フィルム基材21は多数の孔22を有する。
【0054】
また、縦線部21aおよび横線部21bに接着された帯状部材25aは孔22内において虫を通さない防虫効果をもち、虫通過阻害部材として機能する。
【0055】
図2(a)(b)において、縦線部21aと横線部21bは同一の幅(太さ)を有するため、縦線部21aと横線部21bの幅がフィルム基材21の最小幅となる。但し、縦線部21aと横線部21bの幅が異なる場合、縦線部21aと横線部21bの幅のうち、最小のものがフィルム基材21の最小幅となる。
【0056】
上述のように図2(a)において、縦線部21aと横線部21bとからなるフィルム基材21に形成された孔22内には、帯状部材25aが設けられており、帯状部材25aの幅(太さ)は縦線部21aおよび横線部21bの幅(太さ)より大きくなっている。また帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bに接着されているが、孔22内において各々互いに独立しており、連結されていない。
【0057】
このように孔22内において、帯状部材25aを互いに独立して設けることにより、孔22の周長を長くさせることができ、虫が接触する領域を増大させることができる。
【0058】
なお、図2(b)に示すように、縦線部21aと横線部21bとからなるフィルム基材21に形成された孔22内に、虫通過阻害部材として、複数の線状部材25bを設けてもよい。この場合、線状部材25bの幅(太さ)は縦線部21aおよび横線部21bの幅(太さ)より小さくなっている。
【0059】
図2(b)に示すように、この線状部材25bは縦線部21aおよび横線部21bに接着されているが、孔22内において各々互いに分離して独立しており、連結されていない。
【0060】
このように孔22内において、線状部材25bを互いに独立して設けることにより、孔22の周長を長くさせることができ、虫が接触する領域を増大させることができる。
【0061】
(フィルム基材、帯状部材25aおよび線状部材25b)
次に図2(a)(b)に示すフィルム基材21と、帯状部材25aと、線状部材25bの材料について以下詳述する。
【0062】
縦線部21aおよび横線部21bとしては以下のような材料を利用することができる。
【0063】
すなわちフィルム基材21として、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ナイロン、ポリオレフィンなどの樹脂フィルムを用いることができる。
【0064】
このような樹脂フィルムは、透光性があり植物成育のための採光を妨げない。また、透光性を絞ってネットハウスA内部の温度上昇を防ぐ場合は、酸化チタンなどを混ぜた樹脂フィルムを用いることができる。この場合、酸化チタン等を混ぜる割合を自由に調整し、透光性を制御できる。
【0065】
またこのような樹脂フィルムに、発泡させ保温性能を付与するなどの機能付加を施してもよい。
【0066】
なお、樹脂フィルムは複数材料を積層した多層フィルムからなっていてもよく、引っ張りに強いポリエチレンと突き刺しに強いナイロンを積層したフィルムを利用し、引っ張り、突き刺し共に強いフィルムを利用することができる。
【0067】
さらにフィルム基材21として金属フィルムを用いてもよい。この場合、金属フィルムとしてアルミ板、ステンレス板、銅板などを利用することができる。金属フィルムは金属光沢があるため、虫に対する忌避効果が期待できる。また数年間の経年変化による伸びや縮みも樹脂フィルムより少ない。
【0068】
さらに帯状部材25aおよび線状部材25bとしては、フィルム基材21と同様の材料、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ナイロン、ポリオレフィン等の樹脂を用いることができる。また帯状部材25aおよび線状部材25bとして、金属製の帯状部材および線状部材を用いてもよい。
【0069】
なお、縦線部21aと横線部21bとからなるフィルム基材21が樹脂フィルムからなり、帯状部材25aあるいは線状部材25bが樹脂製材料からなる場合、フィルム基材21と、帯状部材25aあるいは線状部材25bを互いに重ね合わせ、熱プレスを施すことにより、フィルム基材21に帯状部材25aあるいは線状部材25bを接着することができる。
【0070】
またフィルム基材21が金属フィルムからなり、帯状部材25aあるいは線状部材25bが樹脂製の材料からなる場合、フィルム基材21に帯状部材25aあるいは線状部材25bを接着剤を用いて接着することができる。
【0071】
さらにまたフィルム基材21、帯状部材25aおよび線状部材25bとして、切断された場合に切断面が毛羽立つ材料を用いてもよい。
【0072】
このようにフィルム基材21、帯状部材25aおよび線状部材25bが切断時に毛羽立つことにより、孔22内に毛羽立った微細毛を形成することができ、孔22の防虫効果を高めることができる。
【0073】
なお、このような切断面が毛羽立つ材料としては、ポリエチレンを延伸させたスズランテープが考えられる。
【0074】
また図2(a)(b)において、虫通過阻害部材を構成する帯状部材25aおよび線状部材25b中に粘着剤および防虫剤を混入してもよい。
【0075】
帯状部材25aおよび線状部材25b中に混入される粘着剤および防虫剤としては、第1の実施の形態において説明したものと同様のものを用いることができる。
【0076】
図2(a)(b)において、フィルム基材21にパンチング加工、エッチング加工を施すことによって孔22を有するフィルム基材21を形成することができ、この孔22内に複数の帯状部材25aあるいは線状部材25bが設けられているので孔22の形状を大きく維持することにより通気性を維持することができ、さらに孔22内に複数の帯状部材25aあるいは線状部材25bを設けることにより、孔22の周長を長くさせることができ、虫が接触する領域を増大させることができ、防虫効果を高めることができる。また孔22を小さくするために縦線部21aおよび横線部21bの幅(太さ)を過度に小さくする必要がないので防虫ネット20全体として機械的強度が低下することもない。
【0077】
このように縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材21が通気性と機械的強度を保つ構造をもち、帯状部材25aおよび線状部材25bが防虫効果を有する構造をもつよう、縦線部21aと横線部21bとからなるフィルム基材21の機能と、帯状部材25aおよび線状部材25bの機能を分離させたことによって、防虫ネット20全体として、通気性を保ち、機械的強度を向上させ、かつ防虫効果を高めることができる。
【0078】
なお、多数の孔22を有するネット部材21がフィルム基材21に多数の孔22を開孔して得られる旨、説明したが、これに限らず糸を編み込むことにより多数の孔22を有するネット部材21を作製してもよい。
【0079】
本発明の変形例
次に図3(a)(b)により本発明の変形例について説明する。
【0080】
なお図3(a)(b)における本発明の変形例において、図2(a)(b)に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0081】
まず、図3(a)において、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の線状部材25bとを備えている。
【0082】
このうち、線状部材25bの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅(太さ)よりかなり小さくなっている。
【0083】
また各線状部材25bは孔22内において虫を通さない防虫効果をもち、虫通過阻害部材として機能し、孔22内において互いに接続されている。
【0084】
図3(a)において、孔22内の線状部材25bは、短く細い糸キレにより形成されており、孔22内の通気性、すなわち開孔面積をほとんど低下させることなく孔22内を線状部材25bにより埋めて、孔22内で虫が接触する領域を増大させることができ、防虫効果を高めることができる。
【0085】
また、図3(b)に示すように、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の線状部材25bとを備えている。
【0086】
このうち、線状部材25bの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅(太さ)よりかなり小さくなっている。
【0087】
また各線状部材25bは孔22内において虫を通さない防虫効果をもち、虫通過阻害部材として機能し、孔22内において互いに接続されている。
【0088】
図3(b)において、孔22内の線状部材25bは、細長い直線状の部材により形成されており、孔22内の通気性、すなわち開孔面積をほとんど低下させることなく孔22内を線状部材25bにより埋めて、孔22内で虫が接触する領域を増大させることができ、防虫効果を高めることができる。
【0089】
次に図4(a)(b)(c)(d)により本発明の更なる変形例について説明する。
【0090】
なお、図4(a)(b)(c)(d)における本発明の変形例において、図2(a)(b)に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0091】
まず図4(a)において、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の帯状部材25aとを備えている。
【0092】
このうち、帯状部材25aの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅と同一となっている。また各帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと平行に延び、孔22内において互いに接続され、接続部25Aを形成している。
【0093】
図4(a)において、帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと同一材料からなり、上述のように縦線部21aおよび横線部21bと同一幅(太さ)をもっている。
【0094】
このため、ネット部材21を作製するため用いられる縦線部21aおよび横線部21bの余った材料を帯状部材25として用いることができ、防虫ネット20の製造コストを低減させ、製造効率向上を図ることができる。
【0095】
また、図4(b)において、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の帯状部材25aとを備えている。
【0096】
このうち、帯状部材25aの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅と同一となっている。また各帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと平行に延び、孔22内において互いに接続されることなく、互いに分離して独立している。このため、孔22の周長を長くさせることができ、虫が接触する領域を増大させることができる。
【0097】
図4(b)において、帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと異なる材料からなり、上述のように縦線部21aおよび横線部21bと同一幅(太さ)をもっている。
【0098】
さらに、図4(c)において、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の帯状部材25aとを備えている。
【0099】
このうち、帯状部材25aの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅と同一となっている。また各帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと平行に延び、孔22内において互いに接続されて接続部25Aを形成している。そしてこの接続部25Aを中心として向い合う一方の帯状部材25aと、他方の帯状部材25aは一直線を構成することなく、互いにわずかにずれている。
【0100】
図4(c)において、帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと同一材料からなり、上述のように縦線部21aおよび横線部21bと同一幅(太さ)をもっている。
【0101】
また、図4(d)において、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の帯状部材25aとを備えている。
【0102】
このうち、帯状部材25aの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅と同一となっている。また各帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと平行に延びるとともに、孔22内において互いに接続されて、接続部25Aを形成する。図4(d)において各帯状部材25aは複数の孔22に渡って細長状に延びているため、フィルム基材21に対して帯状部材25aを容易に取付けることができる。
【0103】
図4(d)において、帯状部材25aは縦線部21aおよび横線部21bと異なる材料からなり、上述のように縦線部21aおよび横線部21bと同一幅(太さ)をもっている。
【0104】
次に図5により本発明の変形例について説明する。
【0105】
なお図5における本発明の変形例において、図2(a)(b)に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
図5において、防虫ネット20は縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有するフィルム基材(ネット部材)21と、孔22内に設けられた複数の線状部材25bとを備えている。
【0107】
このうち、線状部材25bの幅(太さ)は、縦線部21aおよび横線部21bの幅(太さ)よりかなり小さくなっている。
【0108】
また各線状部材25bは孔22内において虫を通さない防虫効果をもち、虫通過阻害部材として機能し、孔22内において互いに接続されている。
【0109】
図5において、孔22内の線状部材25bは、短く細い糸キレにより形成されており、孔22内の通気性、すなわち開孔面積をほとんど低下させることなく孔22内を線状部材25bにより埋めて、防虫効果を高めることができる。
【0110】
また図5に示すようにフィルム基材(ネット部材)21に、孔22内へ延びる突出部材26が設けられている。この突出部材26は孔22内へ延びて孔22の開孔率を低減させるため、虫を通さない防虫効果をもつ虫通過阻害部材として機能する。
【0111】
また、この突出部材26は、粘着剤および防虫剤を含んでいる。
【0112】
図5において、粘着剤および防虫剤を含む突出部材26を設けることにより、これら粘着剤および防虫剤をこの突出部材26中に集中させることができ、防虫ネット20に粘着剤および防虫剤を容易に混入させることができる。
【0113】
また突出部材26中に粘着剤および防虫剤を集中させることにより、粘着剤および防虫剤の効果を高めることができる。
【0114】
さらにまた、図7に示すように防虫ネット20が、縦線部21aと横線部21bとからなり孔22を有する一対のフィルム基材(ネット部材)21を互いに積層することにより構成されていてもよい。図7において、下方に位置する一方のネット部材21と、上方に位置する他方のネット部材の孔22は、各々の孔22が互いにずれるよう積層されている。これにより、一方のネット部材の孔22内にさらに他方のネット部材の縦線部21aと横線部21bが重なっているので、孔22の形状を大きく維持することにより、通気性を維持することができ、さらに孔22内に他方のネット部材の縦線部21aと横線部21bが重なっていることにより防虫効果も高めることができる。またフィルム基材21に小さな形状をもつ孔22を多数設ける必要がなくなるため、防虫ネット20全体の機械的強度が低下することもない。
【0115】
このように孔22を有するフィルム基材21が通気性と機械的強度を保つ構造をもち、下方に位置する一方のネット部材21と、上方に位置する他方のネット部材の各々の孔22が互いにずれるように積層する構造をもつようにさせたことによって、防虫ネット10全体として、通気性を保ち、機械的強度を向上させ、かつ防虫効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0116】
10 防虫ネット
11 フィルム基材
12 孔
15 線状部材
20 防虫ネット
21 フィルム基材
21a 縦線部
21b 横線部
22 孔
25a 帯状部材
25b 線状部材
A ネットハウス
B フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材に複数の孔が設けられた平板状ネット部材と、
ネット部材に接着され、各孔内に延びる複数の線状部材または帯状部材とを備えたことを特徴とする防虫ネット。
【請求項2】
各孔内において各線状部材または帯状部材は、連結せずに設けられていることを特徴とする請求項1記載の防虫ネット。
【請求項3】
線状部材または帯状部材の幅は、ネット部材の最小幅より小さいことを特徴とする請求項1または2記載の防虫ネット。
【請求項4】
ネット部材および線状部材または帯状部材のうち、少なくとも一方は切断時に切断面が毛羽立つことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項5】
線状部材または帯状部材は粘着剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項6】
線状部材または帯状部材は防虫剤を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項7】
複数の孔が設けられた一対の平板状ネット部材を備え、
一方のネット部材と他方のネット部材は、互いの孔の位置がずれるよう積層されていることを特徴とする防虫ネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate