説明

防護服素材の浸透試験方法と装置

【課題】 作業者の動作に起因する防護服素材のたわみや、作業に伴う発汗作用による素材の湿潤条件などの模擬的再現が可能であり、かつ、再現性、信頼性、効率性及び安全性に優れた防護服素材の浸透試験方法と、それに用いられる浸透試験装置を提供する。
【解決手段】 防護服素材を被検体としてその浸透性を評価するにあたり、開口を有する流入側チャンバー及びその開口周囲の流入側フランジ面を有する流入側固定ホルダーと、開口を有する流出側チャンバー及びその開口周囲の流出側フランジ面を有する流出側固定ホルダーと、被検体の加圧によるたわみを模擬する機構とを有する被検体固定ホルダーを用意し、流入側チャンバーの流入側フランジ面と流出側チャンバーの流出側フランジ面の間に被検体を挟んで固定し、流入側チャンバー内にトレーサ流体を充填し、流入側チャンバー内を加圧し、被検体を通過して流出側チャンバーに浸透するトレーサ流体を観察する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護服に使用される衣服の素材の耐浸透性に基づく安全性を試験するための浸透試験方法及び浸透試験装置に関する。特に、防護服素材のたわみを一定限度に模擬した条件にて、防護服素材に片面からトレーサ流体による圧力を印加することにより、防護服素材を透過・浸透してくるトレーサ流体を観察又は検査する浸透試験方法と、それに用いられる浸透試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
JIS L1912「医療用不織布試験方法」はASTM-F1670(1997)に準拠して試験方法が規格化されており、トレーサとして人工血液による試験方法が記述されているが、主に米国ではその試験方法がこれまでに試みられてきた。人工血液等による透過試験は現実性があり、精製水よりも粘性・表面張力などが異なり、より現実的な血液及び体液の代用として生物的危険物質の評価方法といえる。しかしながら、最も防護服に使用される衣服の素材=被検体、特に作業者の動作に起因する被検体のたわみ=繊維質の拡張現象、作業に伴う発汗作用による衣服の素材の気候性として湿潤条件などによって、従来の浸透性試験では過大評価されることがあった。例えば、防護服に使用される衣服は、着用者の作業条件と下着などの条件によって発汗作用が伴い、その時には防護服の気候性として湿潤条件になり、衣服の透過性能に大きく影響する。また、従来の浸透性試験は再現性と信頼性に乏しく、効率性、応用性、安全性などにも問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前述従来の試験方法と装置における課題に鑑み、特に作業者の動作に起因する防護服素材のたわみや、作業に伴う発汗作用による素材の湿潤条件などの模擬的再現が可能であり、かつ、再現性、信頼性、効率性及び安全性に優れた防護服素材の浸透試験方法と、それに用いられる浸透試験装置を提供することを目的とする。
【0004】
このような背景から、本発明者らは、防護服に使用されている布地等の素材を被検体として固定することができ、かつ、その素材を隔壁としてトレーサ流体の流入側チャンバーと流出側チャンバーを有するホルダーを有する固定ホルダーを開発することにより、試験時の安全性を確保することができることに着目した。また、先に述べたように、防護服の着用に際しては、作業に伴う発汗作用による衣服の素材の気候性として湿循条件などによって、素材そのものものが汗等で濡れた状態になり、素材のそのものが汗等による水分によって素材厚さ方向が飽和状態になるが、トレーサ流体の流出側にもチャンバーを設けることにより、流出側チャンバーを液相雰囲気とすることにより、それらの現象と状態を模擬することが可能となることに着目した。更に、防護服に使用される衣服の素材=被検体、特に作業者の動作に起因する被検体のたわみ=繊維質の拡張現象、特に素材特有の個々の織物特性などによってたわみ方が大きく異なり、織り方、素材の繊維系、密度、厚みなどによって相違するが、そのたわみをトレーサ流体による加圧により調整することができることに着目した。
すなわち、本発明は、下記の浸透試験方法及び浸透試験装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)防護服素材を被検体とする浸透試験方法であって、
開口を有する流入側チャンバー及びその開口周囲の流入側フランジ面を有する流入側固定ホルダー;及び
開口を有する流出側チャンバー及びその開口周囲の流出側フランジ面を有する流出側固定ホルダーを用意し、
流入側固定ホルダー、流出側固定ホルダー及び被検体を、被検体の周縁部が流入側チャンバーの流入側フランジ面と流出側チャンバーの流出側フランジ面の間に挟まれるように配置して圧締し、流入側チャンバー内にトレーサ流体を充填し、次いで、流出側チャンバーを圧力に対して開放系にした状態で、被検体の加圧によるたわみを調節しながら流入側チャンバー内を加圧し、被検体を通過して流出側チャンバーに浸透するトレーサ流体を観察及び/又は検査する防護服素材の浸透試験方法。
【0006】
(2) トレーサ流体が、人工血液、染料、精製水及び生物学的又は化学物質的危険物質を含む液相媒体からなる群から選ばれる液体トレーサである(1)に記載の浸透試験方法。
(3) トレーサ流体が、血液媒介性病原体を含有する液相媒体である(1)又は(2)に記載の浸透試験方法。
【0007】
(4) トレーサ流体が液体トレーサであり、被検体を通過して流出側に浸透する液体トレーサの液滴を観察する(1)、(2)又は(3)に記載の浸透試験方法。
(5) トレーサ流体を充填した流入側チャンバー内の加圧を、流出側チャンバーに液体を充填し、かつ、流出側チャンバーを圧力に対して開放系にした状態で行なう(1)、(2)又は(3)に記載の浸透試験方法。
【0008】
(6) 防護服素材である被検体の浸透性を試験するために用いられる浸透試験装置であって、 開口を有する流入側チャンバー及びその開口周囲の流入側フランジ面を有する流入側固定ホルダー;開口を有する流出側チャンバー及びその開口周囲の流出側フランジ面を有する流出側固定ホルダー;流入側固定ホルダー、流出側固定ホルダー及び被検体を、被検体の周縁部が流入側固定ホルダーの流入側フランジ面と流出側固定ホルダーの流出側フランジ面の間に挟まれて固定されるように配置して圧締するための圧締部材;及び、圧締後の被検体の固定されていない部分の加圧による流出側チャンバー内へのたわみを調節するためのたわみ模擬機構を有する被検体固定ホルダー、
上記圧締後の被検体固定ホルダーを支持する被検体固定ホルダー支持装置、並びに、
流入側チャンバーに圧縮空気を供給する圧縮空気供給ライン
を有する浸透試験装置。
【0009】
(7) 被検体固定ホルダーが、
圧締後に流入側固定ホルダー内容物が流入側固定ホルダーと流出側固定ホルダーとの間の隙間からリークすることを防止するバイパスリーク防止機構;及び
圧締時及び圧締後に被検体が捩れることを防止する捩れ防止機構;
を有する(6)に記載の浸透試験装置。
【0010】
(8) 被検体固定ホルダーが、耐腐食性を有する金属及び/又はプラスチックで形成されている(6)又は(7)に記載の浸透試験装置。
(9) 流出側チャンバーに液体を供給する液体供給手段を有する(6)〜(8)のいずれかに記載の浸透試験装置。
【0011】
(10) 被検体固定ホルダー支持装置が、立垂するパネル及びパネルから水平に長さ方向に突出する互いに平行な2本の支持ピンを有し、該2本の支持ピンが固定ホルダーの外周の2位置で固定ホルダーと線接触して支持するものである(6)〜(9)のいずれかに記載の浸透試験装置。
(11) 流出側チャンバーの開口と相対する底面が透明部材で覆われた観察窓を形成している(6)〜(10)のいずれかに記載の浸透試験装置。
【0012】
(12) 圧縮空気供給ラインが、脈動抑制機構及び抑制阻止機構を有すると共に、圧締後の被検体固定ホルダーに個別に、又は、複数の圧締後の被検体固定ホルダーに同時に圧縮空気を供給する多岐系並列供給方式のものである(6)〜(11)のいずれかに記載の浸透試験装置。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によるトレーサ流体による防護服素材の透過試験方法と装置は、防護服に使用されている素材について、生物学的物質或いは化学的危険物質による過酷条件に際して、その時の使用者側に対する浸透性能など安全性評価に資することができる。また、素材に固有するバラツキ、再現性などの評価においても評価が良好である。これにより例えば、浸透試験の再現性と作業性等に効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の浸透試験方法に用いられるトレーサ流体は、液体であっても気体であってもよい。液体トレーサの例としては、例えば、人工血液、染料、精製水、及び、血液媒介性病限定等の生物学的危険物質や化学物質的危険物質を含む液相媒体などが挙げられる。この液相媒体としては、人工血液、染料、精製水など、特に限定はない。気体トレーサとしては、気体状のものであれば特に制限はなく、例えば、生物学的又は化学物質的危険物質を含む気相媒体などが挙げられる。トレーサ流体による化学的危険物質の評価に際しては、防護服素材の浸透性の他、化学的危険物質に対する耐化学的特性(劣化現象)などの評価も可能である。
試験条件は、原則的にはJIS L1912「医療用不織布試験方法」に準拠する。
【0015】
流出側チャンバーは、何も充填しなくてもよく、或いは、液体を充填してもよい。例えば、生物学的危険物質による被検体の浸透試験は、流出側チャンバーに液体媒体を充填して試験を行なうことにより、防護服素材が湿潤した状態での浸透を模擬することができる。この場合、流入側チャンバーにはトレーサ流体として生物学的危険物質を含む液相媒体を充填、流出側チャンバーにも精製水等の媒体を充填した状態で、それぞれエア抜きをする。この状態が防護服素材が湿潤状態に達した状態である。
【0016】
流入側及び流口側チャンバーには、それぞれ単独の循環系統が装備されていてもよい。この方法は、トレーサ流体が生物学的危険物質を含む場合に特に有効である。試験に際しては、流入側チャンバー内には任意の圧力を特定時間維持する。同時に流出側チャンバーにおいても、循環系統を同時に稼働させる。被検体から浸透してくる生物学的危険物質を循環系統内の特殊フィルタにて捕捉し、培養等の生物学的な処置を施してから浸透率を次式から求めることができる。
湿潤時の浸透率 (%)=[1−(流出側チャンバー内の生物学的危険物質数量/流入側チャンバー内の生物学的危険物質数量)]×100
【0017】
化学的危険物質による被検体の浸透試験は、例えば、素材の流入側チャンバー内に一定圧力にてトレーサ気体を供給し、流入側チャンバー内のトレーサ流体と流出側チャンバー内に浸透してくるトレーサ気体をガス測定器或いはガスサンプリング装置にて採取し、流入・流出側のガス濃度をそれぞれ分析した結果より浸透率を次式から求める。
トレーサガスの浸透率 (%)=[1−(流出側チャンバー内のガス濃度/流入側チャンバー内のガス濃度)]×100
【0018】
本発明の浸透試験装置において、被検体固定ホルダーの材質としては、耐腐食性を有する金属及び/又は合成樹脂を用いることが好ましい。耐腐食性を有する金属としては、例えばステンレス鋼が好ましく、合成樹脂としては、耐久性、耐薬品性に優れるポリカーボネート等が好ましい。
以下、本発明の一実施態様である図1〜図7に示される浸透試験装置と、それを用いる浸透試験の態様について、説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施態様の浸透試験装置の正面図である。被検体固定ホルダー1が被検体固定ホルダー支持装置2により支持されている。被検体固定ホルダー1は、流入側固定ホルダー3(図2を参照。図1では流出側固定ホルダー4の裏面に隠れているので図示せず。)と流出側固定ホルダー4とを、被検体及びたわみ模擬機構を内蔵した状態で圧締して固定されている。流入側固定ホルダー3には、トレーサ流体を加圧するための圧縮空気が圧縮空気供給ライン5から供給されるが、圧縮空気供給ライン5は、簡略化のために系統図で示した。圧縮空気供給ラインとしては、例えば、コンプレッサー5aとコンプレッサーと被検体固定ホルダー1を接続する供給配管5bを有するものが用いられる。供給配管5bには、空気中の不純物を除去するためのエアフィルタ、圧力調整弁、圧力計、加圧時のトレーサ流体の逆流を防止するための逆止弁、切替弁などを設けることが好ましい。また、加圧の脈動を防ぐために、サージタンクなどの脈動抑制機構を設けることが好ましい。更に、過負荷時の圧力抑制阻止ができるように、圧力逃弁等の圧力抑制阻止機構を設けることが好ましい。この実施態様では、供給配管5bを多岐系並列供給方式としており、それにより、複数の被検体固定ホルダーを用いて同じ加圧条件で、又は、2種類以上の加圧条件で試験を行なうことが可能となる。また、多岐系並列供給方式とすることにより、被検体の透過試験の複数回の再現性を同時にできるため、素材特有のバラツキ特性と再現性など精度の高い試験ができる。さらに被検体の種類にも対応でき、効率良く同時に試験が実施できるで、素材の性能比較ができる。勿論、単列供給方式としてもよい。
【0020】
この実施態様における被検体固定ホルダー1は円柱状であり、流出側固定ホルダー4の端面に観察用の観察窓6を有している。被検体固定ホルダー支持装置2は、立垂するパネル7と、パネル7から水平に長さ方向に突出する互いに平行な2本の支持ピン8からなる。この2本の支持ピン8が被検体固定ホルダー1の外周の2位置で被検体固定ホルダー1と線接触して支持しており、被検体固定ホルダー1は、観察窓6を有する端面を正面にして支持されている。この実施態様では、4つの被検体固定ホルダーを支持することができるように、4対の支持ピン8が設けられているが、1つの被検体固定ホルダーを支持するものであってもよいし、4つ以外の複数を支持するものであってもよい。各支持ピン8は、先端にフランジを有する。この被検体固定ホルダー支持装置2によれば、被検体固定ホルダー1を自由度をもつワンタッチ方式で支持することができる。従って、試験準備のためのスペーサー流体の注入、エア抜きなどの操作を、容易かつ安全に行なうことができる。各支持ピン8は先端にフランジを有し、被検体固定ホルダー1の落下を防ぎ、安全に支持することができる。固定装置は、安全性を考慮して安全キャビネットに据付けることが好ましい。固定装置の据え付け高さは、安全キャビネットの有効高さ、人間工学的な操作高さ、試験時透過してくる液滴形態を観察できる高さに、適宜、調整が可能である。
【0021】
図2は、図1の被検体固定ホルダー1の流入側固定ホルダー3を示す図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は図2(a)のA−A断面図である。流入側固定ホルダー3は円板形状の金属製であり、円板形状の片面中央部に円形の開口を有する円柱状の流入側チャンバー9を有し、円板形状の同じ面であって流入側チャンバー9の周囲に流入側フランジ面10を有する。軽量化のため、円板形状の一部を肉薄としているが、肉薄とすることは必須ではない。この実施態様では、圧締部材として固定ボルトを用い、流入側フランジ面10から裏面に貫通するに4つの固定ボルト穴11が形成されている。流入側チャンバー9は、その内壁上部から流入側固定ホルダー3をその外周部上部まで貫通する流入側注入口12を有し、圧縮空気供給ラインの供給配管と接続されると共に、ここから流入側チャンバー9へのトレーサ流体の充填、エア抜きが行なわれる。さらに流入側チャンバー9は、その内壁下部から流入側固定ホルダー3の外周部下部まで貫通する流入側ドレン口13を有し、試験終了後、ここからトレーサ流体が抜き出される。試験時には、流入側ドレン口13に、バルブ付き配管(図示せず)が連結される。流入側チャンバー9を循環系とする場合には、流入側注入口12と流入側ドレン口13とを循環配管により連結する。
【0022】
図3は、図1の被検体固定ホルダー1の流出側固定ホルダー4を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は左側面図、図3(c)は図3(a)のA−A断面図である。流出側固定ホルダー4は、流入側固定ホルダー3と同直径の円板形状であり、円板形状の片面中央に円形の開口を有する流出側チャンバー15を有し、円板形状の同じ面であって流出側チャンバー15の周囲に流出側フランジ面16を有する。流出側チャンバー15はステップ付きの円筒形状であり、開口側から、最も直径の大きい大径部19、大径部19より直径の小さい中径部20、及び更に直径の小さい小径部21の3部分が、順次2つの環状ステップ17及び18を介して連続している。大径部19の直径は、流入側チャンバー9の直径より大きい。流出側チャンバー15の開口と流出側フランジ面16の外縁との間に、O−リング溝22が設けられており、O−リング溝22には、バイパスリーク防止機構として、弾性を有するO−リング23がはめ込まれている。O−リング23の肉厚はO−リング溝22の深さよりも大きく、流出側フランジ面16から部分的に突出している。従って、流入側固定ホルダー3と流出側固定ホルダー4との圧締後、流入側固定ホルダー3の内容物が流入側固定ホルダー3と流出側固定ホルダー4との間の隙間からリークすることを防止することができる。O−リング23の材質は、合成ゴムであることが好ましい。O−リング溝22と流出側チャンバー15の開口との間には、環状細溝24が形成されており、被検体を配置する際の位置決めガイドとなると共に、圧締後の加圧時に被検体の加圧による位置ずれ等を防止する役割を果たす。流出側チャンバー15は、その内壁上部から流出側固定ホルダー4の外周部上部に貫通する流出側注入口25を有する。流出側チャンバー15に液体等を充填する場合には、この流出側注入口25から液体の充填、エア抜きが行なわれる。さらに流出側チャンバー15は、その内壁下部から流出側固定ホルダー4の外周部下部に貫通する流出側ドレン口26を有し、試験終了後、ここから内容物が抜き出される。試験時には、流出側ドレン口26に、バルブ付き配管(図示せず)が連結される。流出側チャンバー15を循環系とする場合には、流出側注入口25と流出側ドレン口26とを循環配管により連結する。また、流出側固定ホルダー4にも、圧締時に流入側固定ホルダー3を貫通する4つの固定ボルト穴11とそれぞれ連通する位置に、4つの有底の固定ボルト穴27が流出側フランジ面16から形成されている。更に、流出側フランジ面16の2位置に、ガイドピン28が立設されている。被検体固定ホルダーの組立て時に、これら2本のガイドピン28を、流入側固定ホルダー3の流入側フランジ面10の相対位置に形成された2つのガイドピン孔14に挿入することにより、流入側固定ホルダー3と流出側固定ホルダー4とのゆがみやずれ、及び、それに伴う被検体の捩れを起こさずに配置及び圧締することができる。すなわち、この実施態様では、このガイドピン28とガイドピン孔14が、捩れ防止機構として機能する。固定ボルト穴27及びガイドピン28は、いずれもO−リング溝22の外側に設けられる。
【0023】
この実施態様におけるたわみ模擬機構は、上記の流出側チャンバー15のステップ付きの円筒形状と、図4に示す1個の可撓性スクリーン29、1個のスリットリング30と、2個のカラーリング31で構成される。スリットリング30の厚み、及び、カラーリング31の厚み及び個数は、特に制限はないが、厚みの合計が環状ステップ17と18の間の高さと同じになるようにすることが好ましい。スリットリング30はリングの枠内に4つのスリットが並列しているが、そのスリット形状に特に制限はなく、格子状であってもよい。カラーリングは、リングの枠内が中空である。可撓性スクリーン29は円形の編み目格子状物であり、その直径は流出側チャンバー15の大径部19内に嵌合する大きさである。スリットリング30及びカラーリング31の外径は、流出側チャンバー15の中径部20内に嵌合する大きさであり、それらを所定の順番で流出側チャンバー15内に挿入し、リングの枠部分が中径部20の環状ステップ18上に位置するように載置することにより、スリットリング30を所望の位置に固定することができる。図3(a)に示す流出側固定ホルダー4の流出側チャンバー15内にスリットリング30を挿入した状態を、図5に示す。可撓性スクリーン29は、周辺部を大径部19の環状ステップ17上に載置して配置される。可撓性スクリーン29の材質としては合成樹脂が好ましく、スリットリング30及びカラーリング31の材質は、剛性及び耐食性に優れる点で、ステンレス鋼等の金属であることが好ましい。
【0024】
流出側固定ホルダー4は、流出側フランジ面16及び開口を有する面から流出側チャンバー15の底部までの厚みが金属部分32であり、残部厚みの部分は、透明部材33で構成されている。従って、流出側チャンバーの開口と相対する底面が透明部材で覆われた観察窓34となっており、試験時には、被検体を透過して流出側チャンバーに浸透してくるトレーサ流体の液滴の形状や状態を目視で安全に観察することや、静止又は動画撮影することが可能である。金属部分32の観察窓34側の面には、観察窓34の外側に環状の溝が形成されており、溝の深さより肉厚なシール用の弾性を有し、溝の深さより肉厚なO−リング35がはめ込まれている。金属部分32と透明部材33とは、観察窓の外側の4箇所で透明部材固定ボルト37によって圧締されており、O−リング35によって観察窓34からのリークが防止される。透明部材33の材質は、ガラス、合成樹脂等、透明であれば特に制限はないが、ポリカーボネート等の合成樹脂が好ましい。O−リング35の材質は、合成ゴムであることが好ましい。
【0025】
図6及び図7に、浸透試験を行なうために被検体固定ホルダー1を組立てた状態を示す。図6(a)は組立てられた被検体固定ホルダー1の正面図、図6(b)は右側面図、図7(a)は図6(a)のA−A拡大断面図、図7(b)は図6(a)のA−A拡大端面図である。流入側固定ホルダー3と流出側固定ホルダー4とは、上記のガイドピン28とガイドピン孔14のはめ込みによってガイドされ、流入側チャンバー9の開口と流出側チャンバー15の開口を対向させて位置決めされ、4つの固定ボルト38で圧締されている。流出側チャンバー15の中径部20内に、カラーリング31、スリットリング30及びカラーリング31が、この順で挿入されている。流出側チャンバー15の大径部19には、円形の可撓性スクリーン29が、その周縁部を大径部19の環状ステップ17に接してはめ込まれている。その可撓性スクリーン29と流入側チャンバー9の間では、防護服素材から円形に切断された被検体36が、周縁部を流入側固定ホルダー3の流入側フランジ面10と流出側固定ホルダー4の流出側フランジ面16との間に挟まれて固定されている。被検体36の外縁は、流出側固定ホルダー4のO−リング溝22と環状細溝24との間に位置している。そのため、環状細溝24の位置では、圧締の圧力によって被検体36が環状細溝24内にめりこみ、浸透試験時の加圧時にも位置ずれすることがなく、素材の延伸によるたわみを、より有効に再現することができる。
【0026】
図8は、図6及び図7に示した組立てた被検体固定ホルダー1を用いて浸透試験を行なった場合の、たわみ模擬機構の作用を示す断面図である。なお、非循環系で行なう浸透試験時には、流入側固定ホルダー3の流入側ドレン口13に連結されたバルブ付き配管(図示せず)のバルブは閉じられている。流入側チャンバー9内に充填されたトレーサ流体(図示せず)の加圧により、可撓性スクリーン29と被検体36とが、流出側チャンバー15に向かい、最大限スリットリング30に至るまでたわむ。より延伸しやすい素材を被検体とする場合など、さらに大きなたわみを再現したい場合には、環状ステップ18に接しているカラーリング31とスリットリング30を入れ替えることにより、被検体のたわみを更に大きくすることができる。この実施態様では、2つのカラーリング31及びスリットリング30の位置の入れ替えにより、全くたわみのない状態と2段階のたわみ状態での浸透試験が可能である。
【0027】
次に、上記のようにして組立てた被検体固定ホルダー1を用いて浸透試験を行なう操作の例について説明する。被検体を固定して組立てた被検体固定ホルダー1を、図1に示すように、安全キャビネット(図示せず)内に据付けされている被検体固定ホルダー支持装置2に、ワンタッチ方式により被検体固定ホルダー1を支持する。その際には、被検体固定ホルダー1の観察窓34が操作側・観察面になるように支持する。試験に必要なトレーサ流体を選択して、液体トレーサの場合には、流入側チャンバー9の流入側ドレン口13に連結した配管のバルブを閉じ、流入側チャンバー9内に一定量注入し、エア抜きなどを行って試験条件の準備をして、試験開始前の状況を観察する。次いで、圧縮空気供給ライン5により一定条件の圧力と保持時間を確保した状態において、被検体36から流出側チャンバー15側に浸透してくる液滴状態を観察窓34から直視することにより、被検体36の浸透性を評価する。図9に、実際に人工血液をトレーサー流体として浸透試験を行なったときの観察窓34から観察された状態の写真を示す。
【0028】
生物学的危険物質を含む液体トレーサを用いる試験方法の一例では、事前に装置の洗浄・消毒などの処理を行い、流入側固定ホルダー3に循環系の配管を施し、流入側チャンバー及び循環系配管内に、一定量の液体トレーサを充填する。流出側固定ホルダー4にも循環系の配管を施し、流出側チャンバー15及び循環系配管内に精製水を充填する。この状態では被検体36の流出側チャンバー15側の面が液相にて飽和され、防護服内側の発汗状態が模擬される。試験開始には流入側固定ホルダー3と流出側固定ホルダー4の循環系のポンプを同時運転し、その後、圧縮空気供給ライン5により一定条件の圧力と保持時間を確保する。このようにすることにより、生物的危険物質を含む液相側=被検体の流入側には一定圧力に維持されるため、液相を介して生物的危険物質が透過=浸透現象が模擬できると共に、被検体を気候性条件にすることができる。
【0029】
例えば、血液媒介病原体を含む液体トレーサを用いる場合には、微生物学的な事前の消毒、懸濁液処及び培地の処理調整を行い、試験後の液体トレーサ回収については流入側固定ホルダー3及び流出側固定ホルダー4の循環系配管をドレンし、メンブレンフィルタ等で各液体をろ過し、各試料について生物的培養と計測を行い、浸透性を評価する。
【0030】
その応用として気体トレーサを用いる試験方法においては、流入側固定ホルダー3の流入側ドレン口13及び流出側固定ホルダー4の流出側ドレン口26に、ガス測定器或いはガスサンプラを装備し、両者を循環系とし、流入側チャンバー9内に一定量のガスを充填し、ガス濃度の測定を開始する。同時に、流出側チャンバー15の循環系も測定を開始し、一定時間後のガス濃度を測定し、流出側の経過時間とガス濃度の関係を求めることにより、ガスにたいする被検体の浸透性を評価することができる。さらに、気体トレーサによる被検体の表面等におけるダメージ(酸性ガスなどによる腐食・劣化現象)も観察することができる。
【実施例】
【0031】
図1〜図8に示す被検体固定ホルダー1、被検体固定ホルダー支持装置2及び圧縮空気供給ライン5を用意した。流入側固定ホルダー3と、流出側固定ホルダー4の金属部分32はステンレス鋼製とし、流出側固定ホルダー4の透明部材33としてはポリカーボネートを用いた。流入側チャンバー9は開口の直径を60mm、容量を50ccとし、流出側チャンバー15の環状ステップ17と環状ステップ18との段差は12mm、スリットリング30及び2つのカラーリング31は、いずれも厚み4mmとした。
【0032】
流出側固定ホルダー4を流出側チャンバー15の開口が上面になるよう配置し、流出側チャンバー15の中径部20内にスぺーサ用の2つのカラーリング31とスリットリング30とをカラーリング31、スリットリング30、カラーリング31の順で挿入し、被検体の試験圧力によるたわみ空間を模擬できるように事前準備する。さらに、可撓性スクリーン29を流出側チャンバー15の大径部19に装着し、その上に被検体36を流出側フランジ面16の環状細溝24を覆うように載せた。次いで、流出側フランジ面16のO−リング溝22に気密用のO−リング23(合成ゴム製)を挿入した後、その流出側固定ホルダー4上に、流入側固定ホルダー3を流入側フランジ面10を有する面を下面にして、2つのガイドピン孔14に2つのガイドピン28をそれぞれ挿入させながらゆっくりと載せた。この状態において、流入側固定ホルダー3と流出側固定ホルダー4とを、圧締用の4本の固定ボルト38とワッシャで締め付け固定した。この作業によって、被検体36の圧着固定部分は完全に上下ホルダーのフランジ面に密着されて、かつ被検体の断面方向からの漏れも、被検体の捩れもないようにセットできた。
【0033】
流入側固定ホルダー3及び流出側固定ホルダーの流入側注入口12、流出側注入口25、流入側ドレン口13及び流出側ドレン口26には、それぞれ注入、循環、ドレン等のバルブが付帯されているが、それぞれのバルブは全閉した状態にして、試験に数に対応した数のセットされた被検体固定ホルダー1を準備した。
【0034】
図1に示す被検体固定ホルダー支持装置2は、相互汚染、拡大防止などの安全性を考慮して安全キャビネットに据付けた。この被検体固定ホルダー支持装置2には被検体固定ホルダー1を4個支持でき、装置下部には受皿による安全対策が施されている。被検体固定ホルダー支持装置2の高さは、試験時に浸透してくる液滴形態を観察できる高さに調節した。この被検体固定ホルダー支持装置2に被検体固定ホルダー1を装着したが、ワンタッチ方式でかつ自由度を有する支持を実現することができた。支持は、被検体固定ホルダー1の観察窓34を有する面が正面方向になるように行い、試験時に浸透してくる液滴形態を直視・観察できるようにした。これにより、試験準備のためのトレーサの注入、エア抜きなどの操作が安全にかつ容易にできる。
【0035】
ここではトレーサ流体のうち、代表的な人工血液を用いた実施例について試験方法を記述する。
容器に封入されている人工血液を、一旦ほかの容器に移して撹拌等にて均一性を確保した。それをトレーサ流体としてシリンジに一定計量したものを、流入側固定ホルダー3の流入側注入口12に挿入し、その部分にあるバルブを全開し、流出側ドレン口13にあるバルブを閉じてから人工血液を注入する。このときの注入量は、流入側チャンバー9内にエアーが残らないように注入量を調整し、流入側注入口12のバルブを再び全閉にする。この操作は、被検体固定ホルダー支持装置2に装着された全ての被検体固定ホルダー1について実施する。
【0036】
圧縮空気供給ライン5は、圧縮空気の供給源としてリニア方式コンプレサーとサージタンクにより脈動抑制機構を有している。供給配管にはエアフィルタ、圧力調整弁、圧力計、逆止弁、切替弁を装備し、過負荷時の圧力抑制阻止ができる圧力逃弁を併用し、試験後の加圧時のトレーサ逆流を安全に防止できる構造とした。供給配管は、試験が同時に2種類の条件で運転することも可能なように、多岐系並列供給方式の構造とした。多岐系並列供給配管の先端部にあるカプラと、被検体固定ホルダー支持装置2に支持された各被検体固定ホルダー1の流入側固定ホルダー3のカプラをそれぞれ個別に接続した。
圧縮空気供給ラインの減圧弁を0に調整し、この装置を運転開始する。この状態でサージタンク内の圧力計が指示されていることを確認する。さらに、この装置の圧力逃弁以外の流入側固定ホルダーのバルブを全閉にする。
【0037】
試験方法は、圧縮空気供給ラインによって、次のa〜dに示す通り一定時間毎に圧力を調整し、その時の被検体からの浸透してくる液滴について、被検体固定ホルダー1の観察窓34から観察・記録する。必要に応じて写真叉は動画撮影にて記録した。
a:圧力=0 kPaで5分間維持し、その時の状況を観察する。
b:その後、圧力を1.75kPaに上昇させ、5分間維持して観察する。
c:さらに圧力を3.5kPa、7kPa、14kPa、20kPaの順に維持・上昇させる。
d:この間で、被検体からの浸透が認められる場合は、試験を終了する。
表1に、被検体の素材として表示の不織布素材を用いた浸透試験結果を示し、表2に、被検体の素材として表示の織物素材を用いた浸透試験結果を示す。綿100%繊維の織布では、試験前に浸透してくるので、試験ができない特性を有しているが、他の素材の織布叉は表面等にラミネート処理を施した繊維の織布はある程度の耐浸透性を有していた。表中、○は、被検体からの人工血液の浸透が目視で認められたことを意味する。
【0038】
この結果より、防護服に使用されている素材に対する人工血液の浸透性能が評価できる。特に、トレーサ流体として精製水叉は染料などに比して異なる評価手法であり、評価結果は厳しくかつ安全側に評価されることが特長である。したがってバイオハザード的な要素として、病院内での手術時など人体から誘発される血液暴露、看護師、医師の注射器操作、研究機関における微生物等の実験研究による操作など、生物学的危険物質の影響は計り知れないものがあり、その防護手段としての評価方法の一助に大きく貢献できる。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の浸透試験装置の一態様を示す立面図。
【図2】図1の浸透試験装置に用いられる流入側固定ホルダーを示す図であり、図2(a)は立面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は図2(a)のA−A断面図である。
【図3】図1の浸透試験装置に用いられる流出側固定ホルダーを示す図であり、図3(a)は立面図、図3(b)は左側面図、図3(c)は図2(a)のA−A断面図である。
【図4】図1の浸透試験装置に用いられるたわみ模擬機構の一部を示す斜視図。
【図5】図3(a)に示す流出側固定ホルダーにスリットリングを装着した状態を示す立面図。
【図6】図1の浸透試験装置に用いられる被検体固定ホルダーを示す図であり、図6(a)は立面図、図6(b)は図6(a)の右側面図である。
【図7】図7(a)は図6(a)の拡大A−A断面図であり、図7(b)は図6(a)の拡大A−A端面図である。
【図8】図7(a)の被検体固定ホルダーにおいて、たわみ模擬機構が作用している状態を示す断面図。
【図9】図1に示す浸透試験装置を用い、人工血液をトレーサ流体として用いて浸透試験を行なったときの浸透試験画像。
【符号の説明】
【0042】
1 被検体固定ホルダー
2 被検体固定ホルダー支持装置
3 流入側固定ホルダー
4 流出側固定ホルダー
5 圧縮空気供給ライン
6、34 観察窓
7 パネル
8 支持ピン
9 流入側チャンバー
10 流入側フランジ面
12 流入側注入口
13 流出側ドレン口
15 流出側チャンバー
16 流出側フランジ面
17、18 環状ステップ
19 大径部
20 中径部
21 小径部
23 O−リング
25 流出側注入口
26 流出側ドレン口
29 可撓性スクリーン
30 スリットリング
31 カラーリング
36 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護服素材を被検体とする浸透試験方法であって、
開口を有する流入側チャンバー及びその開口周囲の流入側フランジ面を有する流入側固定ホルダー;及び
開口を有する流出側チャンバー及びその開口周囲の流出側フランジ面を有する流出側固定ホルダーを用意し、
流入側固定ホルダー、流出側固定ホルダー及び被検体を、被検体の周縁部が流入側チャンバーの流入側フランジ面と流出側チャンバーの流出側フランジ面の間に挟まれるように配置して圧締し、流入側チャンバー内にトレーサ流体を充填し、次いで、流出側チャンバーを圧力に対して開放系にした状態で、被検体の加圧によるたわみを調節しながら流入側チャンバー内を加圧し、被検体を通過して流出側チャンバーに浸透するトレーサ流体を観察及び/又は検査する防護服素材の浸透試験方法。
【請求項2】
トレーサ流体が、人工血液、染料、精製水及び生物学的又は化学物質的危険物質を含む液相媒体からなる群から選ばれる液体トレーサである請求項1に記載の浸透試験方法。
【請求項3】
トレーサ流体が、血液媒介性病原体を含有する液相媒体である請求項1又は2に記載の浸透試験方法。
【請求項4】
トレーサ流体が液体トレーサであり、被検体を通過して流出側に浸透する液体トレーサの液滴を観察する請求項1、2又は3に記載の浸透試験方法。
【請求項5】
トレーサ流体を充填した流入側チャンバー内の加圧を、流出側チャンバーに液体を充填し、かつ、流出側チャンバーを圧力に対して開放系にした状態で行なう請求項1、2又は3に記載の浸透試験方法。
【請求項6】
防護服素材である被検体の浸透性を試験するために用いられる浸透試験装置であって、 開口を有する流入側チャンバー及びその開口周囲の流入側フランジ面を有する流入側固定ホルダー;開口を有する流出側チャンバー及びその開口周囲の流出側フランジ面を有する流出側固定ホルダー;流入側固定ホルダー、流出側固定ホルダー及び被検体を、被検体の周縁部が流入側固定ホルダーの流入側フランジ面と流出側固定ホルダーの流出側フランジ面の間に挟まれて固定されるように配置して圧締するための圧締部材;及び、圧締後の被検体の固定されていない部分の加圧による流出側チャンバー内へのたわみを調節するためのたわみ模擬機構を有する被検体固定ホルダー、
上記圧締後の被検体固定ホルダーを支持する被検体固定ホルダー支持装置、並びに、
流入側チャンバーに圧縮空気を供給する圧縮空気供給ライン
を有する浸透試験装置。
【請求項7】
被検体固定ホルダーが、
圧締後に流入側固定ホルダー内容物が流入側固定ホルダーと流出側固定ホルダーとの間の隙間からリークすることを防止するバイパスリーク防止機構;及び
圧締時及び圧締後に被検体が捩れることを防止する捩れ防止機構;
を有する請求項6に記載の浸透試験装置。
【請求項8】
被検体固定ホルダーが、耐腐食性を有する金属及び/又は合成樹脂で形成されている請求項6又は7に記載の浸透試験装置。
【請求項9】
流出側チャンバーに液体を供給する液体供給手段を有する請求項6〜8のいずれかに記載の浸透試験装置。
【請求項10】
被検体固定ホルダー支持装置が、立垂するパネル及びパネルから水平に長さ方向に突出する互いに平行な2本のピンを有し、該2本のピンが固定ホルダーの外周の2位置で固定ホルダーと線接触して支持するものである請求項6〜9のいずれかに記載の浸透試験装置。
【請求項11】
流出側チャンバーの開口と相対する底面が透明部材で覆われた観察窓を形成している請求項6〜10のいずれかに記載の浸透試験装置。
【請求項12】
圧縮空気供給ラインが、脈動抑制機構及び抑制阻止機構を有すると共に、圧締後の被検体固定ホルダーに個別に、又は、複数の圧締後の被検体固定ホルダーに同時に圧縮空気を供給する多岐系並列供給方式のものである請求項6〜11のいずれかに記載の浸透試験装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−300629(P2006−300629A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120707(P2005−120707)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(591222245)国立感染症研究所長 (48)
【出願人】(305020044)株式会社伊部鉄工所 (1)