説明

防霜ファンの散水装置

【課題】 従来、この種の防霜ファンの散水装置としては、適切なものがなく、昨今の牧草、麦藁生成地において、放射能による樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止が大きな問題となっている。この状況は、国内を戦慄させているが、有効な解決策がないのが現況である。また、その他の汚染、例えば、煤煙、粉塵等の有害物資においても同様である。
【解決手段】 本発明は、建柱に設けた防霜ファンと、防霜ファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、建柱に設けた多機能の散水ノズルと、散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成した防霜ファンの散水装置であって、散水ノズルを、前記送風領域内に向って、前進後退させる移動手段を付設する構成とした防霜ファンの散水装置である。従って、樹木、果実、葉等から有害物資の払拭が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果樹園、茶園、その他の圃場で使用されている防霜ファン、又は、今後、牧草圃場、稲藁・麦藁屋外製造所において、使用されることが望ましい、防霜ファンに関するもので、その目的は、樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭すること、又は加湿、養生、或いは防霜等を図ることを意図して、水、薬液、液肥、防虫剤の流体と、流体粒子、又は流体微粒子を噴射する防霜ファン(空中、又は地上に設けた防霜ファンであり、最適な例は、防霜ファンとのセットである。この防霜ファンには、ファンを含む考えである)の散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、牧草、稲藁・麦藁屋外製造所において、放射能による稲藁、麦藁等の汚染防止が大きな問題となっている。この汚染防止対策として、果樹園、圃場等において使用されている防霜ファンの散水装置は活用の余地がある。また、同様に、果樹園、圃場等における放射能による樹木、果実、枝、葉等の汚染防止が大きな問題となっている。そして、このような放射能による汚染は、国内を戦慄させている。
【0003】
従って、この状況を打開するには、例えば、水、薬液、液肥、防虫剤の流体と、流体粒子、又は流体微粒子を、比較的、多量に噴射することは、極めて、有効である。しかしながら、有効な解決策がないのが現況である。また、その他の汚染としては、例えば、煤煙、粉塵等の有害物資においても同様である。
【0004】
このような状況を解決するための手段(散水装置)は、従来技術を始として、先行文献に於いても、適切なものがないが、関連する発明として、防霜ファンと細霧冷房を組合わせた技術が有る。例えば、本出願人が提案する、特開2010−68740号公報の「農作物の生育を制御する細霧冷却装置」の発明とか、特開2006−109804号公報の「多頭式(多頭方式:数基)の高所式ファンを利用した防霜装置と、その防霜方法」の発明がある。これらの発明は、有益であることは、理解できる。しかし、本発明が意図する、散水ノズルとファンとの組合わせを利用し、水粒子の噴霧し、比較的、大量の水による放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭するまでは到っていないと考えられる。
【0005】
また、散水に関する他の分野として、例えば、次のような文献が見当たる。文献1は、特開2002−357695号公報の「除染方法および装置」がある。しかし、この発明は、明細書の[0066]において、除染槽内にスプレイ装置を設置し、除染対象物に、除染液又は洗浄水を散水するとの記載はある。しかし、具体的には、本発明が意図する、ファンと散水ノズルとで、樹木、果実、枝、葉、又は稲藁・麦藁等の対象物を、放射能による汚染防止と、その他の汚染としては、例えば、煤煙、粉塵等の有害物資による汚染解除を目的としないこと、又は水、薬液、液肥、防虫剤の流体を散水するものでない。また、文献2は、特開2004−243195号公報の「汚染土壌の浄化方法」がある。しかし、この発明は、明細書の[0010]において、舞い上がった粉塵を静めるのには散水が効果的であるが、この発明では加熱源に過熱蒸気を使用することによって散水効果を発揮させる。つまり過熱蒸気は冷却されて水に還ることを利用して、粉塵と混ざった蒸気が水に還って、粉塵を吸着して水滴となって落下して粉塵の飛散が防止され、粉塵は泥流となって回収されるとの記載はある。しかし、この文献2も、文献1と同様な改良がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−357695号公報
【特許文献2】特開2004−243195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上で説明した文献1、文献2は、散水であっても、分野が異なることと、防霜ファンと散水ノズルとの組合わせを利用し、水粒子の噴霧による放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭する構造でないこと、又は効率的かつ確実な散水を介して、放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭する構造でないこと、或いは水、薬液、液肥、防虫剤の流体と、この流体粒子、又はこの流体微粒子(水、水粒子、又は微粒子とする)を噴射できる防霜ファンの散水装置に関する発明でない。
【0008】
そこで、本発明は、請求項1において、多機能、即ち、水、水粒子、又は微粒子であって、かつ強弱の流体を噴射できる散水ノズルを、建柱、又は柱に付設し(設け)、この噴射ノズルからの噴射する水、水粒子、又は微粒子を、防霜ファンの送風領域内に到達させ、かつ送風領域内で消失する構成とすることで、この果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁製造所において、水、水粒子を噴霧し、比較的、大量の水による樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭することを、第一主眼とする。また、微粒子を噴霧し、果樹園、茶園、その他の圃場において、樹木、果実、葉等の加湿、養生、或いは防霜等を図ることを第二主眼とする。そして、この請求項1の目的を達成するために、請求項2−7に示した、それぞれの特徴を発揮することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、前述の意図を達成する。
【0010】
請求項1は、建柱に設けた防霜ファンと、この防霜ファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、この建柱、又は柱に設けた多機能の散水ノズルと、この散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成した防霜ファンの散水装置であって、
前記散水ノズルを、前記送風領域内に向って、前進後退させる移動手段を付設する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成するには、散水ノズルを、建柱、又は柱に旋回可能、或いは上下動可能に設ける構造が必要であるので、この構造を提案する。
【0012】
請求項2は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ベルトを介して、建柱、又は柱に設け、このベルトの弛緩と緊張とを介して、この散水ノズルを、前記建柱、又は柱に旋回可能、或いは上下動可能に設ける構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成するには、防霜ファンの安全性と、発生し易い人・飛来物の捲込み事故回避、これに纏わる余分の作業回避が計れる構造を提案する。
【0014】
請求項3は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記防霜ファンに、ガードを付設する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0015】
請求項4・5の発明は、請求項1の目的を達成するには、防霜ファンの動き、例えば、首振りと、俯角調整に基づく防霜ファンの移動に対して、散水ノズルの方向性が確保できる構造を提案する。
【0016】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記移動手段は、対のベルトに設け、かつ前記建柱、又は柱の長手方向に設けたチャンネル形状の本体と、この本体に螺着した止め螺子と、この止め螺子が貫設される長溝を備え、かつその鍔片に多数の係止用の切欠き部を有する、前記本体とベルトとの間に、スライド可能に設けたチャンネル形状の支持体とで構成し、
前記止め螺子の基端に設けた頭部が、前記長溝の溝幅より大きいことを利用し、前記本体の切欠き部を、前記支持体に係止する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0017】
請求項5は、請求項4に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記支持体の先端に軸を介して枢着した可動板と、この可動板に散水ノズルを設けるとともに、この可動板に開設した半月溝に、前記可動板及びこの支持板に設けた緊締螺子を貫設し、この緊締螺子の弛緩で、前記可動板が、前記軸を支点として可動し、この可動位置で、この緊締螺子を緊締し、この可動板を固定する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1の目的を、省エネで達成するには、この噴射ノズルの台数を、限定する必要性がある、これに適した構造の提案を意図する。
【0019】
請求項6は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、一基、又は数基とする構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1の目的を達成するには、この散水ノズルの構造を特定することと、この散水ノズルの特性と送風とを効率的にドッキングすることであり、この特性を発揮することを意図する。
【0021】
請求項7は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記散水ノズルの水、水粒子、又は微粒子を噴射する操作を、遠隔操作とする構成とした防霜ファンの散水装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、建柱に設けた防霜ファンと、防霜ファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、建柱、又は柱に設けた多機能の散水ノズルと、散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成した防霜ファンの散水装置であって、
散水ノズルを、前記送風領域内に向って、前進後退させる移動手段を付設する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0023】
これにより、請求項1は、多機能、即ち、水、水粒子、又は微粒子であって、かつ強弱でなる流体を噴射できる散水ノズルを、ファンに付設し(設け)、この噴射ノズルからの噴射する水、水粒子、又は微粒子を、ファンの送風領域内に到達させ、かつ送風領域内で消失する構成とすることで、この果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁製造所において、水、水粒子を噴霧し、比較的、大量の水による樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭することを、第一主眼とする。また、微粒子を噴霧し、果樹園、茶園、その他の圃場において、樹木、果実、葉等の加湿、養生、或いは防霜等を図ることを第二主眼とする。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
散水ノズルを、ベルトを介して、建柱、又は柱に設け、ベルトの弛緩と緊張とを介して、散水ノズルを、建柱、又は柱に旋回可能、或いは上下動可能に設ける構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0025】
これにより、請求項2は、請求項1の目的を達成するには、散水ノズルを、建柱、又は柱に旋回可能、或いは上下動可能に設ける構造が必要であるので、この構造を提案できる。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
防霜ファンに、ガードを付設する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0027】
これにより、請求項3は、請求項1の目的を達成する為には、防霜ファンの安全性と、発生し易い人・飛来物の捲込み事故回避、これに纏わる余分の作業回避が計れる構造を提案できる。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの散水装置において、
移動手段は、対のベルトに設け、かつ建柱、又は柱の長手方向に設けたチャンネル形状の本体と、本体に螺着した止め螺子と、止め螺子が貫設される長溝を備え、かつ鍔片に多数の係止用の切欠き部を有する、本体とベルトとの間に、スライド可能に設けたチャンネル形状の支持体とで構成し、
止め螺子の基端に設けた頭部が、長溝の溝幅より大きいことを利用し、本体の切欠き部を、支持体に係止する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0029】
請求項5の発明は、請求項4に記載の防霜ファンの散水装置において、
支持体の先端に軸を介して枢着した可動板と、可動板に散水ノズルを設けるとともに、可動板に開設した半月溝に、可動板及び支持板に設けた緊締螺子の弛緩で、可動板が、軸を支点として可動し、可動位置で、緊締螺子を緊締し、可動板を固定する構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0030】
これにより、請求項4・5は、請求項1の目的を達成する為には、防霜ファンの動き、例えば、首振りと、俯角調整に基づく防霜ファンの移動に対して、散水ノズルの方向性が確保できる構造を提案できる。
【0031】
請求項6の発明は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
散水ノズルを、一基、又は数基とする構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0032】
これにより、請求項6は、請求項1の目的を、省エネで達成する為には、噴射ノズルの台数を、限定する必要性がある、これに適した構造を提案できる。
【0033】
請求項7の発明は、請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
散水ノズルの水、水粒子、又は微粒子を噴射する操作を、遠隔操作とする構成とした防霜ファンの散水装置である。
【0034】
これにより、請求項7は、請求項1の目的を達成する為には、散水ノズルの構造を特定することと、この散水ノズルの特性と送風とを効率的にドッキングすることであり、この特性を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第一実施例を示した正面図
【図2】第一実施例を示した平面図
【図3】第一実施例を示した側面図
【図4】第一実施例を示した底面図
【図5】第一実施例の側面図において、送風と散水との好ましい関係を示した模式図
【図6−1】移動手段の好ましい一例を示した拡大斜視図
【図6−2】図6−1の平面図
【図7】移動手段の要部を示した拡大斜視図
【図8】第二実施例を示した正面図
【図9】第二実施例を示した平面図
【図10】第二実施例を示した側面図
【図11】第二実施例を示した底面図
【図12】第二実施例の側面図において、送風と散水との好ましい関係を示した模式図
【図13】旋回・送風・噴霧領域の好ましい、相互関係を説明する模式図
【図14】散水ノズルの散水する水の状態を示した模式図
【図15】使用状態の模式図
【発明を実施するための形態】
【0036】
先ず、各実施例で共通する防霜ファンAの好ましい一例を説明すると、この防霜ファンA(通常のファンを採用することもあり得る)は、建柱B(支持材)に被嵌する天井を備えた筒状の取付け筒1と、この取付け筒1に設けた、この取付け筒1を建柱Bに緊締する締付け螺子2と、この取付け筒1の上面に設けた略船形を呈する取付け台3と、この取付け台3に内装した減速機構を備えたモータ5と、リンク機構6でなる首振り手段C(旋回)と、この首振り手段Cの可動軸600(一定の範囲で旋回する)に設けた旋回する架台7(回転台)と、この架台7に設けた俯角調整手段Dを介して、この架台7に俯角調整自在に設けたモータベース8と、このモータベース8に設けた防霜ファン用の羽根10を回転するモータ11とで構成する。従って、この羽根10は、モータ11の回転で回転するとともに、この架台7が、首振り手段Cと可動軸600とにより首振りすることで、この首振り範囲(図13において、旋回領域Eとする)において、羽根10の回転を介して、図5、図12に示した送風領域F(送風流域)を形成する。また、送風領域Fの俯角(図5、図12に示した防霜ファンAの俯角D1)は、俯角調整手段Dを介して調整する。前述の如く、従来の防霜ファン(図示せず)への設置も可能であり、低コストと汎用性の向上、並びに経費の削減と、管理の簡便化と、従来の経験が活用できること、等の特徴がある。
【0037】
図中12は防霜ファン用のガードで、羽根10の後側に設置し、羽根10の後側から、羽根10を囲繞するが、羽根10の前側は開放1200されている。従って、このガード12は、破損した羽根10の後方への飛散(この後方への飛散が、略100%である)防止と、その事故発生回避、又は散水ノズルの点検、又は調整という新しい作業に基づいて、この散水ノズルの点検、殊に散水ノズル、又はその装置に慣れていない農作業者等の際に、発生し易い人・飛来物の捲込み事故回避、これに纏わる余分の作業(例えば、羽根10が自然風で回らないように固定する作業、監視作業等)回避等を計るのに有益である。本発明では、このガード12は、後述するように、他にも有用な役割を担っている。
【0038】
そして、図1〜図5に示した第一実施例では、環状で、吸込隙間を備えた網体形状のガード12は、モータ11の出力側に取付けたこのモータ11の外周面より大径の円板状取付け板1100の円板方向に、間隔を置いて、この円板方向に順次、その基端を設け、かつその自由端を開放1200側に設けた略半截倒U形の多数本のガード平板1201と、この多数のガード平板1201に直交する、前記基端から開放1200側に向って設けた小径から大径に亙る複数本のリング形状のガード枠体1202とで構成する。
【0039】
図中15は建柱B、又は別の柱等に設けた散水ノズルであり、この散水ノズル15からの散水Y(放水)は、図13に示すように、羽根10(防霜ファンA)の首振りによる旋回領域Eと、その送風領域Fとの重畳領域XのセンターX1に向って、噴射することであり、例えば、この重畳領域Xで、拡散され、その後、この重畳領域Xより、拡散状態で送風領域Fの先端F1に向って、運ばれる。この結果、樹木G、果実G1、葉G2、稲藁、麦藁等に残留する、例えば、放射能、煤煙、粉塵等等の有害物資を払拭できると考えられる。また、散水Yは、水、水粒子、又は微粒子を噴射するが、例えば、図14の如く、如雨露散水、シャワー散水、直射散水、又は拡散散水、或いは噴霧散水とする。そして、図15の如く、この中で、如雨露散水、直射散水では、前記有害物資の払拭に有益と考えられる。また、シャワー散水、噴霧散水では、樹木G、果実G1、葉G2等の加湿、養生、或いは防霜等が図れると考えられる。尚、散水ノズル15には、ホース16が接続されており、この散水ノズル15に所定量(比較的、大量)の水を供給するために、図示しないが、ホース16にはポンプを設ける。また、前記散水ノズル15の操作を、遠隔操作することもできる。
【0040】
また、図中20は移動手段で、この移動手段20は散水ノズル15を支持し、かつこの散水ノズル15の前進後退を受持つ構造であり、その好ましい一例を説明すると、移動手段20は、建柱B(他の柱を含む)に捲装する対のベルト21、21に、その上下端の鍔片22a、22aを貫設、又は掛止めして設け、かつ前記建柱B(柱)の長手方向B1に設けたチャンネル形状の本体22と、この本体22に貫設して螺着した止め螺子23と、この止め螺子23の軸部23aが貫設される長溝25を備え、かつ端部に折曲形成した対の鍔片26aに多数の係止用の切欠き部27を有する、本体22とベルト21との間隔28に、スライド可能に設けたチャンネル形状の支持体26とで構成する。そして、長溝25と鍔片26aに、支持体26の長手方向26bである。また、本体22と支持体26はクロスして設けられ、かつ止め螺子23を介して、このクロス状態が確保される。この支持体26の長手方向26bのスライド、即ち、移動を説明すると、止め螺子23を螺戻し、支持体26の切欠き部27を、本体22の鍔片中部22bより離間する。この操作で、支持体26は本体22の固定関係が解除されるので、この支持体26は、その長溝25を利用し、かつ止め螺子23をガイドとして、前進、又は後退可能である。そして、後述するが、この支持体26に散水ノズル15が設けられていることから、共に前進、又は後退可能である。この支持体26の前進、又は後退後において、止め螺子23を螺着する(締付ける)と、今度は、支持体26が本体22側に引付けられ、切欠き部27が本体22の鍔片中部22bに喰込み、その位置が決定される。尚、止め螺子23の頭部は、前記間隔28内にあって、ベルト21との間には、隙間28aを有する。従って、この隙間28aを利用して、前進後退する。
【0041】
図中30は散水ノズル15の可動手段(俯角調整手段Dと同じ)で、支持体26への取付け手段も兼ねる。この支持体26の先端26cに軸31を介して枢着したL字形をした可動板32と、可動板32のL時形の傾斜折曲板部32aには散水ノズル15を設けるとともに、可動板32に開設した半月溝33に、可動板32と支持体26に設けた緊締螺子35を貫設する。従って、この緊締螺子35の弛緩で、可動板32が、軸31を支点とし、かつ半月溝33に添って可動し、可動位置で、緊締螺子35を緊締し、可動板32を固定する。これにより、散水ノズル15の噴射方向が変更される。
【0042】
また、前述した建柱Bに捲装するベルト21は、この一例では、対のベルト21間に本体22が掛止め支持される。このベルト21には多数の透孔2100が開設されると共に、この透孔2100に差込み係止されるフックボルト2101が、このベルト21の一方端部に設けられている。従って、ベルト21を建柱Bに捲装した後、一方の端部を、他方の端部に重畳すると共に、両者の透孔2100を合体し、この合体透孔2100aに、前記フックボルト2101の爪を差込んで固定する構造である。従って、このフックボルト2101の緊締と弛緩とを利用して、ベルト21の捲装長さを調整できる。この調整を利用して、建柱Bの適所に、ベルト21を移動できることと、同時に建柱Bの長手方向B1において、散水ノズル15の上下位置を変更できる。この移動を、前記散水ノズル15の移動手段20による前進後退移動、並びに可動手段30による角度変更とを総合的に利用できる。
【0043】
そこで、この散水ノズル15の噴射方向と、旋回領域Eと、送風領域Fとの関係を、図5、図12と、図13を基に説明する。先ず、図13の如く、防霜ファンAによる送風流域F(送風方向)は、平面視すると、略扇形となるが、この防霜ファンAの旋回領域Eと略重なる。従って、散水ノズル15からの流体の噴射も、この送風流域Fと旋回領域Eとなることが必要となる。そこで、前述の移動手段20と、可動手段30、並びにベルト21の上下移動を十分に活用して、散水ノズル15を前進、又は後退させることと、例えば、圃場の場面に対して、適度の仰角、水平角か、又は俯角等の角度とする。このような操作と構造を利用して、その噴射方向を選択する。例えば、散水ノズル15の噴射方向は、送風領域Fの中であって、かつ旋回領域Eの中心位置(旋回領域Eと、その送風領域Fとの重畳領域XのセンターX1)に向って行うことが理想であり、図13において、平面視して、略扇形となる。また、図5等の如く、側面視して、送風領域FのセンターF1に向って噴射することが望ましい。これにより、前述の如く、重畳領域Xで、拡散され、その後、この重畳領域Xより、拡散状態で送風領域Fの先端F1に向って、運ばれる構造であって、樹木G、果実G1、葉G2等から有害物資の払拭が図れ、また、樹木G、果実G1、葉G2等の加湿、養生、或いは防霜等が図れることが考えられる。
【0044】
尚、図示しないが、水に代えて、薬液、液肥、防虫剤、その他の液体等の流体を使用する例もあり得る。この際には、この薬液、防虫剤等の流体を散布後に、水を散水Yすることも、衛生面と薬液、防虫剤等の払拭に有益である。
【符号の説明】
【0045】
1 取付け筒
2 螺子
3 取付け台
5 モータ
6 リンク機構
600 可動軸
7 架台
8 モータベース
10 羽根
11 モータ
1100 取付け板
12 ガード
1200 開放
1201 ガード平板
1202 ガード枠体
15 散水ノズル
16 ホース
20 移動手段
21 ベルト
2100 透孔
2100a 合体透孔
2101 フックボルト
22 本体
22a 鍔片
22b 鍔片中部
23 止め螺子
23a 軸部
25 長溝
26 支持体
26a 鍔片
26b 長手方向
26c 先端
27 切欠き部
28 間隔
28a 隙間
30 可動手段
31 軸
32 可動板
32a 傾斜折曲板部
33 半月溝
35 緊締螺子
A 防霜ファン
B 建柱
B1 長手方向
C 首振り手段
D 俯角調整手段
D1 俯角
E 旋回領域
F 送風領域
F1 センター
X 重畳領域
X1 センター
Y 散水
G 樹木
G1 果実
G2 葉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建柱に設けた防霜ファンと、この防霜ファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、この建柱、又は柱に設けた多機能の散水ノズルと、この散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成した防霜ファンの散水装置であって、
前記散水ノズルを、前記送風領域内に向って、前進後退させる移動手段を付設する構成とした防霜ファンの散水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ベルトを介して、建柱、又は柱に設け、このベルトの弛緩と緊張とを介して、この散水ノズルを、前記建柱、又は柱に旋回可能、或いは上下動可能に設ける構成とした防霜ファンの散水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記防霜ファンに、ガードを付設する構成とした防霜ファンの散水装置。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記移動手段は、対のベルトに設け、かつ前記建柱、又は柱の長手方向に設けたチャンネル形状の本体と、この本体に螺着した止め螺子と、この止め螺子が貫設される長溝を備え、かつその鍔片に多数の係止用の切欠き部を有する、前記本体とベルトとの間に、スライド可能に設けたチャンネル形状の支持体とで構成し、
前記止め螺子の基端に設けた頭部が、前記長溝の溝幅より大きいことを利用し、前記本体の切欠き部を、前記支持体に係止する構成とした防霜ファンの散水装置。
【請求項5】
請求項4に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記支持体の先端に軸を介して枢着した可動板と、この可動板に散水ノズルを設けるとともに、この可動板に開設した半月溝に、前記可動板及びこの支持板に設けた緊締螺子を貫設し、この緊締螺子の弛緩で、前記可動板が、前記軸を支点として可動し、この可動位置で、この緊締螺子を緊締し、この可動板を固定する構成とした防霜ファンの散水装置。
【請求項6】
請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、一基、又は数基とする構成とした防霜ファンの散水装置。
【請求項7】
請求項1に記載の防霜ファンの散水装置において、
前記散水ノズルの水、水粒子、又は微粒子を噴射する操作を、遠隔操作とする構成とした防霜ファンの散水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−42671(P2013−42671A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180430(P2011−180430)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)