説明

防音カバーの取付構造

【課題】防音カバーの端末部と相手部品の間の隙間から外部に漏れる音を少なくすることができる防音カバーの取付構造を提供する。
【解決手段】外周縁部13と騒音源である相手部品14の間にシール材15を介在させて相手部品14を覆って取り付けられる防音カバーの取付構造において、防音カバー11を相手部品14に押し付け、シール材15が圧縮された状態にして防音カバー11を相手部品14に取り付けようにした。これにより、防音カバーの端末部と相手部品の間の隙間から外部に漏れる音を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音源から外部に漏れる騒音を低減するために騒音源を覆って取り付ける防音カバーの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、騒音源となる機器・構造物、例えば自動車のエンジンルームには、エンジン等の機器類の保護及び振動低減並びに騒音低減等のために、防音カバー(または遮音カバーとも言う)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は、従来における防音カバーの取付構造の一例を示すものである。同図において、防音カバー51は、所望の形状に形成してなる例えば樹脂材(または鉄板)等の内面に、吸音部材として熱可塑性樹脂材(例えば、ウレタンフォーム材)52等を貼り合わせたものである。また、その防音カバー51における外周縁部53の端末部53aは、相手部品54側に向けて略直角に折り曲げられている。
【0004】
さらに、防音カバー51における外周縁部53の内面には、端末部53aに沿わせるようにしてシール材55が接着剤等の固定手段を用いて取り付けられている。ここでのシール材55は、端末部53aよりも相手部品54側に大きく突出された状態にして取り付けられている。そして、防音カバー51は、相手部品54の必要部分を覆い、かつ、シール材55を相手部品54に密着させた状態で配置され、さらにボルト等の固定手段を用いて相手部品54に固定・装着して取り付けられる。
【0005】
また、シール材55は、端末部53aよりも相手部品54側へ大きく突出された状態にして取り付けられているので、防音カバー51が相手部品55に取り付けられた状態では、端末部53aと相手部品54の間に隙間σが設けられ、この隙間σで防音カバー51が相手部品54と直接接触しないようにし、相手部品54側の振動・騒音が防音カバー51側に直接伝わらないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−213684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の防音カバーの取付構造では、防音カバーの端末部と相手部品の間の隙間σから外部に漏れる音が大きく、問題となっていた。
【0008】
そこで、本件出願人等は、防音カバーの端末部と相手部品の間の隙間σから外部に漏れる音を少なくするために、日夜、研究を色々と重ねた結果、シール材の厚み、幅、圧縮率等を最良の状態に設定すること、及び、端末部の形状を所定の形状に設定して相手部品(騒音源)に取り付けることにより、端末部と相手部品の間の隙間σから漏れる音を少なくできることが分かった。
【0009】
したがって、本発明は、防音カバーの端末部と相手部品の間の隙間から外部に漏れる音を少なくすることができる防音カバーの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る防音カバーの取付構造は、外周縁部と騒音源の間にシール材を介在させて、該騒音源を覆って取り付けられる防音カバーの取付構造において、前記防音カバーを前記騒音源に押し付け、前記シール材を圧縮させて前記防音カバーを前記騒音源に取り付けてなる。
【0011】
この構成によれば、防音カバーを騒音源に取り付ける際、防音カバーを騒音源に押し付け、シール材を圧縮させて防音カバーを前記騒音源に取り付けると、シール材を単に防音カバーと騒音源の間に介在させて取り付けた場合に比べてシール材による遮音性が良くなり、防音カバーと騒音源の隙間からの音漏れが低減する。
【0012】
上記構成において、前記防音カバーの取付前における前記シール材の厚みとシール材幅の比率を100:100〜100:250とし、かつ前記防音カバーの取付時に前記シール材の元厚に対して45%〜75%の圧縮率となるように防音カバーを取り付けると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。
【0013】
上記構成において、前記防音カバーの取付前における前記シール材の厚みとシール材幅の比率を100:100〜100:200とし、かつ前記防音カバーの取付時に前記シール材の元厚に対して55%〜65%の圧縮率となるように防音カバーを取り付けると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。
【0014】
上記構成において、前記防音カバーの外周縁部の形状を、前記騒音源側の部品に対して水平に形成してなる構造とすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。
【0015】
上記構成において、前記外周縁部の外周端に、該外周端から前記騒音源側へ略直角に延出して前記シール材の側面に沿って配設される端末部を設けてなる構造とすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、端末部がシール材の支えとなり、シール材が倒れるのを防ぐことができる。
【0016】
上記構成において、前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配設される垂直部と、該垂直部の先端部分から外側へ向かって略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面逆L字状に形成してなる端末部を設けてなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。
【0017】
上記構成において、前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配設される垂直部と、該垂直部の先端近傍から外側へ向かって略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対し略水平に配設される水平部とを有して、断面横向きT字状に形成してなる端末部を設けてなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、水平部がシール材を騒音源側の部品に押し付けるときに垂直部がシール材の支えとなり、シール材が倒れるのを防ぐことができる。
【0018】
上記構成において、前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配置される垂直部と、該垂直部の先端部分から内側へ向かって略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面L字状に形成してなる端末部を設けてなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。
【0019】
上記構成において、前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配置された垂直部と、該垂直部の先端部分から内側と外側へ向かって各々略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面逆T字状に形成してなる端末部を設けてなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。
【0020】
上記構成において、前記水平部の各先端部分からそれぞれ前記騒音源の方向に向かって垂直方向に延びる折り曲げ部を設けて、前記垂直部の先端部分に下向きコ字状部を形成し、前記シール材を該コ字状部内に収納配置してなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、下向きコ字状部を形成している折り曲げ部がシール材の支えとなり、シール材が倒れるのを防ぐことができる。
【0021】
上記構成において、前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配設される垂直部と、該垂直部の先端近傍から内側と外側へ向かって各々略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面十字状に形成してなる端末部を設けてなる構造にすると、水平部がシール材を騒音源側の部品に押し付けられるとき、垂直部の先端部分もシール材の水平面から該シール材内部に食い込み、シール材と端末部の一体感が得られ、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、水平部がシール材を騒音源側の部品に押し付けるときに垂直部がシール材の支えとなり、シール材が倒れるのを防ぐことができる。
【0022】
上記構成において、前記水平部の各先端部分からそれぞれ前記騒音源に向かって垂直方向に延びる折り曲げ部を設けて、前記垂直部の先端部分左右両側にそれぞれ下向きコ字状部を形成し、前記シール材の一部を該コ字状部内に収納配置してなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、折り曲げ部がシール材の支えとなり、シール材が倒れるのを防ぐことができる。
【0023】
上記構成において、前記端末部と前記騒音源との間の隙間に、1mm〜6mmでなる隙間を設けてなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、シール材の厚みを薄くすることができるため、材料コストを低く抑えることができる。
【0024】
上記構成において、前記シール材の幅を、前記端末部の幅と略等しい3mm〜15mmに設定してなる構造にすると、防音カバーとシール材による遮音性をさらに良くすることができる。また、シール材の幅を狭くすることができるため、材料コストを低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0025】
発明によれば、防音カバーを騒音源に取り付ける際、防音カバーを騒音源に押し付けてシール材を圧縮させ、シール材を圧縮した状態にして防音カバーを騒音源に取り付けるので、シール材を単に防音カバーと騒音源の間に介在させて取り付けた場合に比べてシール材による遮音性が向上し、防音カバーと騒音源の隙間からの音漏れ少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例に係る防音カバーの取付構造を用いて防音カバーを相手部品に取り付けた状態を示す断面図である。
【図2】第1実施例における取付構造の遮音特性を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る防音カバーの取付構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施例に係る防音カバーの取付構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施例に係る防音カバーの取付構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第5実施例に係る防音カバーの取付構造を示す断面図である。
【図7】第5実施例の一変形例として示す取付構造の断面図である。
【図8】第5実施例の他の変形例として示す取付構造の断面図である。
【図9】第5実施例のさらに他の変形例として示す取付構造の断面図である。
【図10】従来の防音取付構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の第1実施例に係る防音カバーの取付構造を示す断面図である。同図において、防音カバー11は、所望の形状に形成してなる例えば樹脂材(または鉄板、発泡体、繊維体等)の内面に、吸音部材としての熱可塑性樹脂材(例えば、ウレタンフォーム材)12等を貼り合わせたものである。また、その防音カバー11における外周縁部13は、例えば、エンジン等の騒音発生源14(以下、「相手部品14」と言う)の被装着部に対して略水平に形成されている。さらに、外周縁部13の最外周端には、相手部品14側に向けて略直角に折り曲げられてなる端末部13aが連続または非連続な状態で、ほぼ全周に亘って設けられている。
【0029】
また、防音カバー11の外周縁部13の内面にはシール材15が、端末部13aに沿い、かつ、相手部品14に対して略水平な状態にして、接着剤等の固定手段を用いて固定・接着されている。なお、シール材15は、独立気泡、または連続気泡、あるいは独立と連続が複合した発泡体(例えばポリウレタン系、あるいはゴム系の発泡体等)である。
【0030】
そして、防音カバー11を相手部品14に取り付ける際、その防音カバー11は相手部品14の必要部分を覆って相手部品14上に配置される。また、その取付時、防音カバー11を相手部品14にシール材15を介して押し付け、そのシール材の厚みで端末部13aの先端部と相手部品14との間に隙間σを設けて、端末部13aが相手部品14と直接接触しないようにし、さらにボルト等の固定手段を用いて固定・装着して取り付けられる。
【0031】
なお、防音カバー11を相手部品14に取り付ける際、シール材15は防音カバー11の外周縁部13と相手部品14の間に隙間なく軽く接した状態、または強く圧縮された状態で密着される。
【0032】
ここで、本件出願人は、防音カバー11の端末部13aと相手部品14との間の隙間σの大きさ、及び、シール材15の圧縮前における厚みtと圧縮後における幅Wの関係並びにシール材15に対する圧縮率(%)を変えて実験を試みたところ、遮音性能について次のような結果が得られた。
【0033】
まず、防音カバー11の端末部13aと相手部品14の間の隙間σに関しては、隙間はできるだけ狭くし、好ましくは1mm〜6mmに設定すると音漏れを小さくできることが分かった。
【0034】
次に、圧縮前におけるシール材15の厚みtと圧縮後におけるシール材15の幅Wの関係では、t:W=100:100〜100:250とし、
【0035】
防音カバー11を相手部品14に押し付けるときのシール材15の圧縮率は、45%〜75%にすると良い遮音性能(dB)が得られることがわかった。
【0036】
なお、図2は、今回の実験で得られたシール材15の圧縮率(%)と遮音性能(dB)の関係を示す特性図である。この実験では、相手部品(騒音源)から250Hz〜6300Hzの騒音を発生させ、元厚が10mmであるシール材のシール材圧縮率と騒音性能の関係を平均値で比較したものであり、符号イで示す曲線はシール材厚み:シール幅を100:150とした場合の特性図、符号ロで示す曲線はシール材厚み:シール幅を100:200とした場合の特性図、符号ハで示す曲線はシール材厚み:シール幅を100:250とした場合の特性図、符号ニで示す曲線はシール材厚み:シール幅を100:100とした場合の特性図、符号ホで示す曲線はシール材厚み:シール幅を100:300とした場合の特性図、符号ヘで示す曲線はシール材厚み:シール幅を100:75とした場合の特性図である。
【0037】
この実験では、防音カバー11の取付前におけるシール材15の厚みとシール材幅の比率を100:100〜100:250とし、かつ防音カバー11の取付時にシール15の元厚に対して45%〜75%の圧縮率となるように防音カバー11を取り付けると良い遮音性能(dB)が得られることがわかった。
【0038】
また、特に高い遮音性能を要求される構造物において最適な遮音を行うには、防音カバー11の取付前におけるシール材15の厚みとシール材幅の比率を100:150〜100:200とし、かつ防音カバー11の取付時にシール15の元厚に対して55%〜65%の圧縮率となるように防音カバー11を取り付けると良いことがわかった。
【0039】
なお、ここでシール材15の圧縮率が45%以下に下がると、遮音性能が低下かる原因を究明すると、次のようなことが分かった。すなわち、シール材15の圧縮率が45%以下になるとシール材15の密度も小さくなる。そして、シール材15の密度が小さくなる程、シール材15自体から抜ける音が透過し易くなり、遮音性が悪くなるためである。また、一般的に、材料は密度が高い(重量が重い)程、遮音性が良くなる。連続気泡の場合、それに加えて、通気性が多くなり、より音が透過し易くなり、遮音性が悪くなる。
【0040】
一方、シール材15の圧縮率を上げると、遮音性能が低下する原因を究明すると、次のようなことが分かった。すなわち、シール材15の圧縮率を上げると、シール材15の密度が大きくなり、音が透過しにくくなるが、ある圧縮率(例えば75%) を超えると、遮音性が悪くなる。これはシール材の圧縮率が高いと、シール材自体が硬くなり、相手部品(騒音源)からの振動をシール材15を通じて防音カバー11へ伝達し易くして、防音カバー11が振動するようになるためである。よって、シール面からの音の透過は小さくなるが、それ以上に防音カバー11面の振動による音の発生の方が大きくなり、遮音性能が悪化する。
【0041】
したがって、この第1実施例による防音カバーの取付構造のように、防音カバー11を相手部品14に押し付け、例えば上述したように厚みtと幅Wの関係を持たせてシール材15を図1に示すように厚みtまで圧縮させ、防音カバー11と相手部品14の間に所定の隙間σ(好ましくは1mm〜6mm)を設けて防音カバー11を相手部品14側に取り付けると、より良い遮音性能が確保でき、音漏れの少ない取付構造を得ることができることになる。
【0042】
図3は、本発明に係る防音カバーの取付構造の第2実施例を示すものである。この第2実施例の構造は、防音カバー11の端末部13aの形状を、相手部品14に対して垂直に配設される垂直部16aと、該垂直部16aの先端部分から外側に向かって略直角に延出し、かつ、相手部品14に対して略水平に配設される水平部16bを一体に設けて、断面逆L字形状に形成してなるものである。そして、防音カバー11の水平部16bの下面(相手部品14と対向している面)に、前記シール材15が接着剤等の固定手段を用いて固定・接着されている。
【0043】
この第2実施例の取付構造では、防音カバー11を相手部品14に取り付ける際、防音カバー11を相手部品14にシール材15を介して押し付け、さらにボルト等の固定手段を用いて相手部品14に固定・装着して取り付けられる。
【0044】
なお、この取り付けの際における圧縮前のシール材15の厚みtと圧縮後のシール材15の幅Wの関係、及び、隙間σの設定は、第1実施例の場合と同じである。また、この第2実施例の構造では、水平部16bの幅Wは約3mm〜15mmで、好ましくは約5mm〜10mmである。さらに、シール材15の圧縮後の幅Wは約3mm〜15mmで、水平部16bの幅Wとほぼ同じに設定する。
【0045】
したがって、この第2実施例の防音カバーの取付構造のように、端末部13aの水平部16bの幅Wが約3mm〜15mm、シール材15の圧縮後の幅Wが約3mm〜15mmとなるように形成して、防音カバー11を相手部品14に押し付けてシール材15を第1実施例と同じように圧縮させ、この状態で防音カバー11を相手部品14側に取り付けると、より良い遮音性能が確保できて音漏れの少ない取付構造を得ることができることになる。
【0046】
図4は、本発明に係る防音カバーの取付構造の第3実施例を示すものである。この第3実施例の構造は、防音カバー11の端末部13aの形状を、相手部品14に対して垂直に配設される垂直部16aと、該垂直部16aの先端近傍から外側に向かって略直角に延出し、かつ、相手部品14に対して略水平に配設される水平部16cとを一体に設けて、断面横向きT字状に形成したものである。そして、垂直部16aと水平部16cの交点部分にシール材15を位置決め当接させた状態にして、水平部16cの下面にシール材15が接着剤等の固定手段を用いて固定・接着されている。
【0047】
この第3実施例の構造では、防音カバー11を相手部品14に取り付ける際、端末部13a(垂直部16a)の先端部と相手部品14の間に隙間σ(好ましくは1mm〜6mm)を設けるようにして、防音カバー11を相手部品14にシール材15を介して押し付け、さらにボルト等の固定手段を用いて相手部品14に固定・装着して取り付けられる。
【0048】
なお、この取り付けの際における圧縮前のシール材15の厚みtと圧縮後のシール材15の幅Wの関係、及び、隙間σの設定は、第1,2実施例の場合と同じである。また、この第3実施例の構造における水平部16cの幅Wは第2実施例における水平部16bの幅Wとほぼ同じ約3mm〜15mmで、好ましくは約5mm〜10mmである。さらに、シール材15の圧縮後の幅Wも水平部16cの幅Wとほぼ同じ約3mm〜15mmに設定する。
【0049】
したがって、この第3実施例の防音カバーの取付構造でも、より良い遮音性能が確保できて音漏れの少ない取付構造を得ることができることになる。また、垂直部16aと水平部16cの交点部分にシール材15を位置決め当接させた状態にして取り付けるので、防音カバー11に対して正確な位置にシール材15を簡単に取り付けることができる。
【0050】
図5は、本発明に係る防音カバーの取付構造の第4実施例を示すものである。この第4実施例の構造は、防音カバー11の端末部13aの形状を、相手部品14に対して垂直に配設される垂直部16aと、該垂直部16aの先端部分から内側に向かって略直角に延出し、かつ、相手部品14に対して略水平に配設される水平部16dを、一体に設けて断面L字形状に形成したものである。そして、防音カバー11の水平部16dの下面(相手部品14と対向している面)に、前記シール材15が接着剤等の固定手段により固定・接着されている。
【0051】
この第4実施例の構造では、防音カバー11を相手部品14に取り付ける際、防音カバー11を相手部品14にシール材15を介して押し付け、さらにボルト等の固定手段を用いて相手部品14に固定・装着して取り付けられる。
【0052】
なお、この取り付けの際における圧縮前のシール材15の厚みtと圧縮後のシール材15の幅Wの関係は、第1〜第3実施例の場合と同じである。また、この第4実施例の構造では、第2実施例の場合と同じように、水平部16bの幅Wは約3mm〜15mmで、好ましくは約5mm〜10mmである。さらに、シール材15の圧縮後の幅Wは約3mm〜15mmで、水平部16bの幅Wとほぼ同じに設定する。
【0053】
したがって、この第4実施例の防音カバーの取付構造も、より良い遮音性能が確保できて音漏れの少ない取付構造を得ることができることになる。
【0054】
図6は、本発明に係る防音カバーの取付構造の第5実施例を示すものである。この第5実施例の構造は、防音カバー11の端末部13aの形状を、相手部品14に対して垂直に配設される垂直部16aと、該垂直部16aの先端部分から外側と内側に向かって略直角に延出し、かつ、相手部品14に対して略水平に配設される水平部16e,16fを、一体に設けて断面逆T字形状に形成してなるものである。そして防音カバー11の水平部16e,16fの各下面(相手部品14と対向している面)に、前記シール材15が接着剤等の固定手段により固定・接着して取り付けている。
【0055】
この第5実施例の構造では、防音カバー11を相手部品14に取り付ける際、防音カバー11を相手部品14にシール材15を介して押し付け、さらにボルト等の固定手段を用いて相手部品14に固定・装着して取り付けられる。
【0056】
なお、この取り付けの際における圧縮前のシール材15の厚みtと圧縮後のシール材15の幅Wの関係は、第1〜第4実施例の場合と同じである。また、この第5実施例の構造では、水平部16e,16fの幅Wは第2〜第4実施例の場合と同様に約3mm〜15mmで、好ましくは約5mm〜10mmである。さらに、シール材15の圧縮後の幅Wも第2〜第4実施例の場合と同様に約3mm〜15mmで、水平部16bの幅Wとほぼ同じに設定する。
【0057】
したがって、この第5実施例の防音カバーの取付構造も、より良い遮音性能が確保できて音漏れの少ない取付構造を得ることができることになる。
【0058】
図7は、第5実施例の一変形例を示すもので、水平部16e,16fの各先端部分に、その先端部分から下側(相手部品14側)に向かって略直角に折り曲げられた折り曲げ部17a,17bを設けて、垂直部16aの下側に下向きコ字状部を設けたものである。そして、水平部16e,16fにシール材15を取り付ける際、左右の折り曲げ部17a,17bでシール材15を挟んで倒れを防止した状態にし、シール材15を水平部16e,16fの各下面(相手部品14と対向している面)に接着剤等の固定手段で固定・接着して取り付けているようにしたものであり、他の構造は第5実施例の場合と同じである。
【0059】
図8は、第5実施例の他の変形例を示すもので、端末部13aの形状を、垂直部16aと、その垂直部16aの先端近傍からそれぞれ内側と外側へ向かって略直角に延びる水平部16e,16fとを設けて断面概略十字状に形成して形状としたものである。そして、水平部16e,16fにシール材15を取り付ける際、水平部16e,16fの下側へ延出している垂直部16aの一部18aをシール材15内に食い込ませた状態にして、シール材15を水平部16e,16fの各下面(相手部品14と対向している面)に接着等の固定手段で固定・接着して取り付けているようにしたものであり、他の構造は第5実施例の場合と同じである。
【0060】
図9は、第5実施例の更に他の変形例を示すもので、端末部13aの形状を、垂直部16aと、その垂直部の先端近傍からそれぞれ内側と外側へ向かって略直角に延びる水平部16e,16fを一体に設けるとともに、さらに水平部16e,16fの各先端部分に、その先端部分から下側(相手部品14側)に向かって略直角に折り曲げられた折り曲げ部17a,17bを一体に設けて、垂直部16aの下側左右両側にそれぞれ下向きコ字状部を設けたものである。そして、水平部16e,16fにシール材15を取り付ける際、左右の折り曲げ部17a,17bでシール材15を挟むとともに、水平部16e,16fの下側へ延出している垂直部16aの一部18aをシール材15内に食い込ませて倒れを防止した状態にし、シール材15を水平部16e,16fの各下面(相手部品14と対向している面)に接着剤等の固定手段により固定・接着して取り付けているようにしたものであり、他の構造は第5実施例の場合と同じである。
【0061】
以上、エンジンルーム内でエンジンから発生する騒音を防止する防音カバーの取付構造として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばトランスミッション用の防音カバーを取り付ける構造やドアトリムをドアに取り付ける構造等としても適用することができるものである。したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、このような取付構造にも及ぶものである。
【符号の説明】
【0062】
11 防音カバー
12 熱可塑性樹脂材(吸音部材)
13 外周縁部
13a 端末部
14 相手部品(騒音源)
15 シール材
16a 垂直部
16b 水平部
16c 水平部
16d 水平部
16e 水平部
16f 水平部
17a,17b 折り曲げ部
18a 垂直部の一部
σ 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁部と騒音源の間にシール材を介在させて、該騒音源を覆って取り付けられる防音カバーの取付構造において、
前記防音カバーを前記騒音源に押し付け、前記シール材を圧縮させて前記防音カバーを前記騒音源に取り付けてなることを特徴とする防音カバーの取付構造。
【請求項2】
前記防音カバーの取付前における前記シール材の厚みとシール材幅の比率を100:100〜100:250とし、かつ前記防音カバーの取付時に前記シール材の元厚に対して45%〜75%の圧縮率となるように防音カバーを取り付けることを特徴とする請求項1記載の防音カバーの取付構造。
【請求項3】
前記防音カバーの取付前における前記シール材の厚みとシール材幅の比率を100:100〜100:200とし、かつ前記防音カバーの取付時に前記シール材の元厚に対して55%〜65%の圧縮率となるように防音カバーを取り付けることを特徴とする請求項1記載の防音カバーの取付構造。
【請求項4】
前記防音カバーの外周縁部の形状を、前記騒音源側の部品に対して水平に形成してなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項5】
前記外周縁部の外周端に、該外周端から前記騒音源側へ略直角に延出して前記シール材の側面に沿って配設される端末部を設けてなることを特徴とする請求項4記載の防音カバーの取付構造。
【請求項6】
前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配設される垂直部と、該垂直部の先端部分から外側へ向かって略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面逆L字状に形成してなる端末部を設けてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項7】
前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配設される垂直部と、該垂直部の先端近傍から外側へ向かって略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対し略水平に配設される水平部とを有して、断面横向きT字状に形成してなる端末部を設けてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項8】
前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配置される垂直部と、該垂直部の先端部分から内側へ向かって略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面L字状に形成してなる端末部を設けてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項9】
前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配置された垂直部と、該垂直部の先端部分から内側と外側へ向かって各々略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面逆T字状に形成してなる端末部を設けてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項10】
前記水平部の各先端部分からそれぞれ前記騒音源の方向に向かって垂直方向に延びる折り曲げ部を設けて、前記垂直部の先端部分に下向きコ字状部を形成し、前記シール材を該コ字状部内に収納配置してなることを特徴とする請求項9記載の防音カバーの取付構造。
【請求項11】
前記外周縁部の外周端に、前記騒音源側の部品に対して垂直に配設される垂直部と、該垂直部の先端近傍から内側と外側へ向かって各々略直角に延出し、前記騒音源側の部品に対して略水平に配設される水平部とを有して、断面十字状に形成してなる端末部を設けてなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項12】
前記水平部の各先端部分からそれぞれ前記騒音源に向かって垂直方向に延びる折り曲げ部を設けて、前記垂直部の先端部分左右両側にそれぞれ下向きコ字状部を形成し、前記シール材の一部を該コ字状部内に収納配置してなることを特徴とする請求項11記載の防音カバーの取付構造。
【請求項13】
前記端末部と前記騒音源との間の隙間に、1mm〜6mmでなる隙間を設けてなることを特徴とする請求項4〜請求項12にいずれかに記載の防音カバーの取付構造。
【請求項14】
前記シール材の幅を、前記端末部の幅と略等しい3mm〜15mmに設定してなることを特徴とする請求項4〜請求項13にいずれかに記載の防音カバーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−122424(P2012−122424A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274613(P2010−274613)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)