説明

除塵フィルタ

【課題】密閉性容器に取り付けられる除塵フィルタにおいて、省スペースでも対応可能で、長時間の内壁面の貼付に対応できる粉塵除去性能が高い除塵フィルタを提供する。
【解決手段】 密閉性容器の内部に設置された除塵フィルタにおいて、除塵フィルタにエレクトレット化不織布を含み、且つ除塵フィルタの少なくとも片面を平滑面にすることで長時間の内壁面の貼付に対応できる粉塵の除去性能が高い除塵フィルタが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉された精密機器の容器内部に設置されたフィルタであり、高い除塵性能と設置の容易性を兼ね備えた、省スペースでも設置可能な高性能除塵フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、精密加工技術の進歩に伴い、可動構造を持ち、繰り返し動作を行う多くの精密機器が提案され、実用化され初めている。例えば、携帯電話に搭載される超小型カメラにおいては、複数のレンズで構成されたズームレンズの搭載が検討されており、近年小型化の動きが激しい人工衛星等にも可動部分を有する機器が多数搭載されている。これら精密機器は通常密閉性容器(完全密閉性容器、又は精密微細膜を介し外気と直接の接触を遮断された密閉性容器)を有し、機器内部に微細な粉塵が付着することは誤作動を起こす原因となり、その粉塵の除去は重要度を増してきている。コンピュータのハードディスク駆動装置(以下、HDDと称する)のような磁気記憶ディスクも、このような密閉性容器を持つ精密機器の1種である。
【0003】
これらに機器は、クレーンルーム内で製造され、組み立てられる前に、各部材の表面に付着した塵埃を取り除かれている。しかし、完全に除去し尽くすことは実質上不可能であり、可動部分を有する事から、組立後に粉塵が発生する事も避け難い状況にある。そこで、内部にフィルタを取り付け、取り除くことができなかった塵埃や、後から発生した塵埃を除去することが検討されてきており、後述のようにHDDにおいては10年以上前より、その内部粉塵の除去の試みが各種検討されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1では、HDDの内壁面に静電フィルタを設けたHDDが提案されている。しかしながら、当該フィルタは、繊維状の静電フィルタは両面テープ等で粘着されているため、静電フィルタと両面テープは線接着となり、接着強度が弱く、永年の使用によりフィルタが剥離し、精密機器の誤動作、故障を誘起するという問題を有していた。
【0005】
特許文献2、3では、HDDのディスクの円周状にエアフィルタを設けたHDDが提案されている。しかしながら、円周状ではスペースが小さく、軸流気流の一部しか気流の流れないため、フィルタが有効に使用されていない状況であった。
【特許文献1】特開平5−166357号公報
【特許文献2】特開平6−36497号公報
【特許文献3】特開平8−129871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は従来技術の課題を背景になされたものであり、密閉性容器に取り付けられる除塵フィルタにおいて、省スペースでも設置可能,容器内面より長期間剥がれ落ちることが無く,且つ粉塵除去性能が高い除塵フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち本発明は、(1)密閉性容器の内部に設置された除塵フィルタにおいて、除塵フィルタにエレクトレット化不織布を含み、且つ除塵フィルタの少なくとも片面が平滑面を有することを特徴とする除塵フィルタであり、(2)除塵フィルタの平滑面に、両面接着性を持つシートが積層されている事を特徴とする(1)記載の除塵フィルタである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上述べたように、密閉性容器に取り付けられる除塵フィルタにおいて、省スペースでも対応可能で、長時間の内壁面の貼付に対応できる粉塵除去性能が高いという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明にかかる除塵フィルタは、エレクトレット化不織布を含むことが好ましい。これにより、粉塵除去性能が高いフィルタが得られるからである。
エレクトレット化不織布の繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ弗化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリサルホン、ポリフェニレンオキサイド等の絶縁性有機繊維や、生分解性を有するポリ乳酸等の生分解性有機繊維を挙げることができる。特に、ポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ弗化ビニリデン、ポリカーボネート等は蓄積電荷量を大きくできて好ましい。とりわけ、ポリプロピレンは工業的にエレクトレット化し易く、かつコスト的にも安価であって好ましい。
【0010】
エレクトレット化不織布の製造方法や形態は特に限定されず、繊維は短繊維と長繊維のいずれでもよく、その集合形態として織物、編み物、不織布など種々のものを使用できるが、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布またはフィルムスプリット不織布であることが好ましく、繊維の毛羽立ちが少ないメルトブロー不織布や剛性が高いスパンボンド不織布がより好ましい。
【0011】
更に、繊維の断面も円形、三角形、矩形、異形など種々の形状のものを使用できる。繊維径は、100μm以下のものが使用でき、好ましくは0.1〜100μm、特に0.5〜20μmのものが好ましい。より好ましくは1〜10μmである。0.1μm未満は不織布が困難である。一方、100μmを越える場合は、繊維剛性が高くなり、繊維の毛羽立つ恐れがある。
【0012】
また、不織布の目付量としては、10g/m2以上のものが使用できる。10g/m2未満のものは、繊維斑が大きく、塵埃捕集効果が小さくなる恐れがある。
【0013】
また、不織布の厚みとしては、0.05〜5.0mm のものが使用できる。0.05mm未満のものは、繊維斑が大きく、塵埃捕集効果が小さくなる恐れがある。一方、5.0mmを越える場合は、密閉性容器に装着できない恐れがある。
【0014】
不織布にエレクトレット化する方法としては、例えば、コロナ荷電、電界荷電、熱間電界荷電、電子線照射などを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、高帯電量で電荷が安定的に保持されるのであれば他の荷電方法を用いてもよい。コロナ荷電、電界荷電で行う場合は、10kV/cm以上で電界強度が好ましく、15kV/cm以上の電界強度が一層好ましい。電子線照射の場合は、0.1〜1Mrad程度で照射することが好ましい。
【0015】
エレクトレット化不織布にはヒンダードフェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、トリアジン系安定剤、硫黄系安定剤、リン系安定剤、脂肪酸金属塩、結晶核剤のうち少なくとも一種類の添加剤が含有されることが好ましい。これらの添加剤を含有することにより、エレクトレット化不織布のエレクトレット性が飛躍的に向上することができる。
【0016】
上記ヒンダードフェノール系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1010、チバガイギー社製)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox1076、チバガイギー社製)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(Irganox3114、チバガイギー社製)、3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]ウンデカン(スミライザーGA−80、住友化学社製)等が挙げられる。
【0017】
上記ヒンダードアミン系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、ポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(チバガイギー製、キマソープ944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(チバガイギー製、チヌピン622LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー製、チヌピン144)等が挙げられる。
【0018】
上記トリアジン系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、前述のポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(チバガイギー製、キマソープ944LD)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバガイギー製、チヌピン1577FF)等が挙げられる。
【0019】
上記硫黄系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、ジ−ラウリル−3,3−チオジプロピオン酸エステル(DLTDP)、ジ−ステアリル−3,3−チオジプロピオン酸エステル(DSTDP)等が挙げられる。
【0020】
上記リン系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(Irgafos168、チバガイギー社製)、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリストール−ジフォスファイト(PEP−36、旭電化社製)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA、三光社製)等が挙げられる。
【0021】
上記脂肪酸金属塩として、特に限定するわけではないが、直鎖状脂肪酸基を有するものが好ましい。また脂肪酸基は炭素数10〜20のものが好ましい。具体的には、ラウリル酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル酸マグムシウム、ミリスチン酸マグムシウム、パルミチン酸マグムシウム、ステアリン酸マグムシウム等が挙げられる。
【0022】
上記結晶核剤として、特に限定するわけではないが、具体的にはリン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム(NA−10、旭電化社製)、リン酸2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム(NA−11、旭電化社製)、ロジン系結晶核剤パインクリスタルKM−1500(荒川化学社製)等が挙げられる。
【0023】
上記添加剤の含有量は、エレクトレット化不織布100重量部に対して、0.01〜5重量部であり、好ましくは0.025〜4重量部、最も好ましくは0.1〜3重量部である。含有量が少ないとエレクトレット化効果が十分ではなく、逆に含有量が多くても効果は飽和し、ブリードアウトするため好ましくない。
【0024】
本発明にかかる除塵フィルタは、少なくとも片面が平滑面を有することが好ましい。平面シートがエレクトレット化繊維等で構成された凹凸のある不織布の場合、両面テープで接着する場合は線接着となり、長期間使用するには接着性が弱く、剥がれ不良が発生し、密閉容器内に設置する除塵フィルタは剥がれ不良の確認は困難でありことから、誤動作、重大な問題を生じる危険性がある。除塵フィルタの片面を平滑面とすると、両面テープとの接着性が格段に向上し、上記危険を回避することができる。
【0025】
除塵フィルタの片面を平滑化するには、以下の各種の方法が適用可能である。
まず、エレクトレット化不織布と他材料を積層し、除塵フィルタの片面を平滑化する以下の方法が有効に利用可能である。エレクトレット化不織布とフィルムをエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等のホットメルト性を有する樹脂の網状接着シート又はタック性を有するゴム系接着樹脂等の接着性を有する接着剤で積層する方法が挙げられる。この積層用フィルムは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン等のフィルムが適用することができ、フィルムの厚みは10μm以上が好ましい。10μm未満の場合、フィルム強度の低下が大きく、取り扱い性が悪く、平滑性向上の効果が十分に得られないからである。つまりフィルムを利用し、平滑性を向上させた上で、前述の両面テープ等の接着シートを接着させる。
【0026】
他の手法として、エレクトレット化不織布より低融点の不織布を上記カレンダー加工の条件で低融点側の不織布を平滑化する方法が挙げられる。二本のロールの一本を低融点不織布の融点付近まで高温化し、他ロールは常温もしくは、エレクトレット化不織布融点の40℃以下の温度に設定する。このロール間に2枚の不織布を通過させ、低融点不織布を溶解し、平滑化することができる。このカレンダー加工時にエレクトレット化用不織布と低融点不織布を接着することができる。接着性が弱い場合は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等のホットメルト性を有する樹脂の網状接着シート又はタック性を有するゴム系接着樹脂等の接着性を有する接着剤で積層しても良い。その後、上記のエレクトレット化する方法で、片面に平滑性を有するエレクトレット化不織布を作製することできる。
【0027】
また他の手法として、エレクトレット不織布より低融点の樹脂を不織布表面に平滑に塗布する方法が挙げられる。樹脂の塗布厚みは20μm以上が好ましい。20μm未満の場合、樹脂の塗布斑が発生しやすい問題が生じる。
【0028】
上記いずれの手法においても、平面シートの片面を平滑度は、凹凸部分が平均で50μm以下、望ましくは35μm以下、さらに望ましくは20μm以下である。
【0029】
上記の除塵フィルタおよび両面テープ、枠材等の内壁面固定材は、シリコンフリー、タルクフリー、更には加熱時にアウトガスが発生しにくい材料で構成されることが好ましい。
【0030】
上記のエレクトレット化不織布を生分解性のポリ乳酸繊維を使用した場合は、積層補強材、平面シート、積層および波形構造用の接合剤は生分解性材料を使用することで、環境に配慮した除塵フィルタの作製が可能となる。
【0031】
除塵フィルタの形状は、任意の形状に加工する事ができる。例えば、周囲4面をナイフ刃により打ち抜いた直方体形状(図1参照)、周囲2面をナイフ刃で打ち抜き、他2面を熱及びレーザー等で溶融加工した形状(図2参照)、波形構造に加工した形状(図3参照)等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何等限定されるものではない。
【0033】
まず、本実施例で用いたフィルタの試験方法を以下に示す。
【0034】
(粒子の捕集性能)
3.5インチHDDの内壁面に、除塵フィルタを設置し、HDD内部から空気をサンプリングしてパーティクルカウンターKC−01(RION製)で粒子個数濃度を測定した。ディスク回転前の0.3μmの粒子個数濃度(C0)とディスク回転して40秒後の0.3μmの粒子個数濃度(C1)を計測し、下式により残存率を算出した。
[数1] 残存率(%)=C1/C0×100
【0035】
(剥離強度)
除塵フィルタと両面テープの剥離強度は、JISL1089のはく離強さに準拠して測定した。
【0036】
(実施例1)
繊維径30μm、目付300g/m2、厚み2.5mm、融点170℃のポリプロピレン製スパンボンド不織布と、融点120℃、目付量20g/m2のポリエステル製網状接着シートと、厚み50μm、融点190℃のポリエステルフィルムを重ね合わせ、カレンダー加工を行った。その後、エレクトレット化し、厚み2.5mmの除塵フィルタを得た。この除塵フィルタをサイズ30×30mmに打ち抜き、フィルム側の平滑面に日東電工(株)製両面テープ(商品名:DSP−5025)を貼り付け、HDDのディスク上部の内壁に貼り付けた。
【0037】
(実施例2)
実施例1の除塵フィルタの周囲2面をナイフ刃で打ち抜き、他2面を熱処理により端部を溶融加工し、サイズ30×30mmにした。実施1と同様に、フィルム側の平滑面に日東電工(株)製両面テープ(商品名:DSP−5025)を貼り付け、HDDのディスク上部の内壁に貼り付けた。
【0038】
(実施例3)
繊維径15μm、目付量40g/m2、厚み0.35mmのポリプロピレン/ポリエチレンの芯鞘構造の複合スパンボンド不織布と、融点120℃、目付量20g/m2のポリエステル製網状接着シートと、繊維径30μm、目付300g/m2、厚み2.5mm、融点170℃のポリプロピレン製スパンボンド不織布と、融点120℃、目付量20g/m2のポリエステル製網状接着シートと、厚み50μm、融点190℃のポリエステルフィルムを重ね合わせ、カレンダー加工を行った。その後、エレクトレット化し、厚み3.0mmの除塵フィルタを得た。この除塵フィルタのポリプロピレン/ポリエチレン複合スパンボンド不織布側に、間隔4mm、深さ1.5mmの波形構造を熱処理にて作製した。この除塵フィルタをサイズ30×30mmに打ち抜き、フィルム側の平滑面に日東電工(株)製両面テープ(商品名:DSP−5025)を貼り付け、HDDのディスク上部の内壁に貼り付けた。
【0039】
(比較例1)
実施例1の除塵フィルタを、エレクトレット化を行わずに、フィルタサイズ30×30mmに打ち抜いた。その後、フィルム側の平滑面に日東電工(株)製両面テープ(商品名:DSP−5025)を貼り付け、HDDのディスク上部の内壁に貼り付けた。
【0040】
(比較例2)
繊維径30μm、目付300g/m2、厚み2.5mm、融点170℃のポリプロピレン製スパンボンド不織布をエレクトレット化し、厚み2.5mmの除塵フィルタを得た。この除塵フィルタをサイズ30×30mmに打ち抜き、片面に日東電工(株)製両面テープ(商品名:DSP−5025)を貼り付け、HDDのディスク上部の内壁に貼り付けた。
【0041】
上述した除塵フィルタについて、先に説明した方法により0.3μmの粒子の捕集性能の測定を実施した。両面テープと平面シートの剥離強度は先に説明した方法により測定を実施した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例は短時間で粉塵除去が可能である。しかし、比較例1は実施例に対して、塵埃除去速度が遅いことが分かる。
【0044】
実施例は比較例2に対して、10以上の剥離強度を有していることから、長時間の内壁面の貼付に対応できる強度を有していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の密閉性容器に取り付けられる除塵フィルタは、省スペースでも対応可能で、長時間の内壁面の貼付に対応できる粉塵除去性能が高い除塵フィルタを提供し、密閉容器内の精密機器の信頼性が向上し、産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】表面電荷密度の測定概略図である。
【図2】周囲4面をナイフ刃により打ち抜いた直方体形状の断面図である。
【図3】周囲2面を熱処理で溶融加工した形状の断面図である。
【図4】波形構造に加工した形状の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1:測定電極
2:アース電極
3:エレクトレット化不織布
4:コンデンサー
5:電位計
6:アース
7:除塵フィルタ
8:両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉性容器の内部に設置する除塵フィルタにおいて、除塵フィルタにエレクトレット化不織布を含み、且つ少なくとも片面が平滑面を有することを特徴とする除塵フィルタ。
【請求項2】
除塵フィルタの平滑面に、両面接着性を持つシートが積層されていることを特徴とする請求項1に記載の除塵フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−75796(P2006−75796A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265330(P2004−265330)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】