説明

除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機

【課題】レーキ爪の強度を維持しながら除塵機のレーキの爪ピッチを小さく設定できるようにした除塵機のレーキを提供すること。
【解決手段】各レーキ爪1を板材で構成するとともに、各レーキ爪1を構成する板材の間にスペーサ2を挟み、通しボルト3を用いて組み立ててレーキ爪組立体を形成し、このレーキ爪組立体をレーキ本体4に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道、河川排水、上水道等の各種設備で使用される除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、特に下水道設備では、合流改善を目的として細かいゴミまで取り除くニーズが増加し、このため除塵機のスクリーンの目幅が従来のものより小さくなる傾向がある。
これに伴いスクリーン目の間に噛み込み、スクリーンに捕捉されたゴミを掻き揚げるレーキの爪ピッチを小さくする必要が生じてきた。
【0003】
ところで、従来、除塵機のレーキは、レーキ爪を、板材に切れ目を入れて形成したり、板材を溶接でレーキ本体に取り付けること等によって製作していた(例えば、特許文献1参照)が、上記要請から爪ピッチを小さく設定するようにすると、レーキ爪の強度、溶接作業等の点で、従来の構造、製作方法では対応できなくなってきている。
より具体的には、除塵機のレーキの爪ピッチを小さくするには、従来の構造、製作方法では次の要請にこと得ることが困難であった。
1.スクリーンの目幅が小さくなった場合、従来のようにレーキ爪がスクリーンに噛み込む深さが浅いと、ゴミが残り目詰まりするおそれがあり、スクリーンの奥まで噛み込む深掻き形にする必要がある。
2.深掻き形の場合、爪が従来のものより長くなり、厚板を切断したレーキ爪は強度不足で使用できない。
3.強度を確保するために、深掻き形のレーキ爪は板材を使用した構造になる。しかし、従来のようにレーキ爪を本体に溶接で取り付けるには、爪ピッチが小さいためにスペースがなく、溶接作業ができない。溶接で取り付けられたとしても、溶接歪の修正に多くの作業時間を必要とした。
4.万一レーキ爪が破損した場合、破損したレーキ爪のみを交換することができず、該当するブロック1式を取り替える必要があり、交換費用がかかり不経済であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−62721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、レーキ爪の強度を維持しながら除塵機のレーキの爪ピッチを小さく設定できるようにした除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の除塵機のレーキは、各レーキ爪を板材で構成するとともに、各レーキ爪を構成する板材の間にスペーサを挟み、通しボルトを用いて組み立ててレーキ爪組立体を形成し、該レーキ爪組立体をレーキ本体に取り付けてなることを特徴とする。
【0007】
この場合において、レーキ爪組立体をスペーサに突設したレーキ爪取付ボルトによって、レーキ本体に取り付けることができる。
【0008】
また、レーキ爪組立体を構成する各レーキ爪の上面のレーキ本体側の縁部に、平板材からなるレーキ上板を平面状に配設することによって当接させるとともに、前記各レーキ爪の下面のレーキ本体側の縁部に、板材からなるレーキ爪止め板を配設することによって当接させることができる。
【0009】
また、本発明の除塵機は、上記のレーキを備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、スクリーンのスクリーン目に噛み込むレーキ爪の位置を異ならした複数種類のレーキを備えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機は、以下の効果を奏するものである。
1.目幅が小さく、レーキの爪ピッチが小さい場合でも、容易に製作することができる。
2.レーキ爪組立体は、軽量で組み立ての作業が容易であり、作業時間も短くできる。
3.スペーサを挟んで組み立てるため、レーキ爪のピッチを正確に保持して製作することができ、レーキ爪がスクリーンに当たって、変形する等のトラブルを防止できる。
4.スペーサを挟んで組み立てるため、万一レーキ爪が破損しても、破損したレーキ爪のみを交換することができ、経済的である。
5.溶接で取り付けた場合の歪修正が不要であり、作業時間も短くできる。
【0012】
また、レーキ爪組立体をスペーサに突設したレーキ爪取付ボルトによって、レーキ本体に取り付けるようにすることにより、レーキ爪組立体をレーキ本体に簡単に取り付けることができ、特に、この取付構造を採用することによって、レーキの幅方向の寸法が大きくならず、除塵機の形状をコンパクトにすることができる。
【0013】
また、レーキ爪組立体を構成する各レーキ爪の上面のレーキ本体側の縁部に、平板材からなるレーキ上板を平面状に配設することによって当接させるとともに、前記各レーキ爪の下面のレーキ本体側の縁部に、板材からなるレーキ爪止め板を配設することによって当接させることにより、レーキ爪組立体をレーキ本体に確実に取り付けることができるとともに、スクリーンに捕捉された大きなゴミをレーキ上板によって掻き揚げることができ、レーキの耐力を向上することができる。
【0014】
また、除塵機に、スクリーンのスクリーン目に噛み込むレーキ爪の位置を異ならした複数種類のレーキを備えるようにすることによって、レーキ毎のレーキ爪の数が少なくなり、レーキ爪のピッチ間の寸法を大きくとることができ、組み立ての作業が容易であり、作業時間も短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のレーキを備えた除塵機の一実施例を示す側面図である。
【図2】同除塵機の要部の拡大図である。
【図3】本発明の除塵機のレーキの一実施例を示す側面図である。
【図4】同レーキを示す平面図(図2のX−X断面図)である。
【図5】本発明のレーキを備えた除塵機の変形実施例を示す側面図である。
【図6】同除塵機に用いるレーキを示す平面図(図2のX−X断面図に対応)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図4に、本発明の除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機の一実施例を示す。
【0018】
図1に示すように、この除塵機Aは、いわゆる自動除塵機と呼ばれるもので、スクリーンSと複数のレーキRとより構成し、レーキRを上下のスプロケットSp、Sp(通常、上部のスプロケットSpを駆動機構(図示省略)により駆動するようにする。)間に掛け渡した駆動チェーンChに取り付け、ガイドレール(図示省略)等のガイド機構に沿って移動させることにより、スクリーンSに捕捉されたゴミを掻き揚げ、搬出コンベアCo等の搬出機構に排出するようにしている。
【0019】
この場合において、スクリーンSは、所定の目幅となるように多数のスクリーンバーを並設したものからなり、特に限定されるものではないが、スクリーンバーを構成する板材の間にスペーサSsを挟み、通しボルトSbを用いて組み立てたものを好適に用いることができる。
【0020】
また、レーキRは、各レーキ爪1を板材で構成するとともに、各レーキ爪1を構成する板材の間にスペーサ2を挟み、通しボルト3を用いて組み立ててレーキ爪組立体を形成し、このレーキ爪組立体をレーキ本体4に取り付けて構成するようにしている。
【0021】
この場合、レーキ爪組立体をスペーサ2に突設したレーキ爪取付ボルト5によって、レーキ本体4に取り付けるようにしている。
これにより、レーキ爪組立体をレーキ本体4に簡単に取り付けることができ、特に、この取付構造を採用することによって、レーキRの幅方向の寸法が大きくならず、除塵機Aの形状をコンパクトにすることができる。
【0022】
また、本実施例においては、レーキ爪組立体をスペーサ2に突設したレーキ爪取付ボルト5によって、レーキ本体4に取り付ける際に、レーキ爪組立体とレーキ本体4との間にライナー板9を介在させることにしている。
このライナー板9は、レーキ本体4にレーキ爪組立体の背面を密着させるために、レーキ爪組立体の各レーキ爪1を構成する板材の背面を面一に揃えるために設けられている。
【0023】
なお、レーキ爪組立体をレーキ本体4に取り付ける取付構造は、本実施例のものに限定されず、例えば、レーキ側板6を延設し、このレーキ側板6に通しボルト3を直接固定する取付構造を採用することもできる。
【0024】
また、本実施例においては、レーキ爪組立体を構成する各レーキ爪1の上面のレーキ本体4側の縁部(本実施例においては、切欠部11を形成するようにしている。)に、平板材からなるレーキ上板7を平面状に配設することによって当接させるとともに、各レーキ爪1の下面のレーキ本体4側の縁部に、板材からなるレーキ爪止め板8を配設することによって当接させるようにしている。
これにより、レーキ爪組立体をレーキ本体4に確実に取り付けることができるとともに、スクリーンSに捕捉された大きなゴミをレーキ上板7によって掻き揚げることができ、レーキRの耐力を向上することができる。
【0025】
ところで、本実施例においては、除塵機Aに備える複数のレーキに、同一構造のレーキR、具体的には、スクリーンSのすべてのスクリーン目に噛み込むレーキ爪1を有するレーキRを用いるようにしたが、図5〜図6に示す変形実施例のように、スクリーンSのスクリーン目に噛み込むレーキ爪1の位置を異ならした複数種類のレーキRa、Rb(本実施例においては、スクリーンSのスクリーン目に1つ置きに噛み込むレーキ爪1を有するレーキRaと、このレーキRaとは、位相を変えたレーキ爪1を有するレーキRb)を用い、レーキRaとレーキRbを1つ置きに配置するようにしたり、さらに、スクリーンSのスクリーン目に2つ置き又はそれ以上の間隔をあけて噛み込むレーキ爪1を有するレーキを用いるようにする(この場合、位相を変えたレーキ爪1を有する3種類又はそれ以上の種類のレーキを用い、そのすべてを配置するようにする必要がある。)こともできる。
これにより、レーキRa、Rb毎のレーキ爪1の数が少なくなり、レーキ爪1のピッチ間の寸法を大きくとることができ、組み立ての作業が容易となり、作業時間も短くできる。
【0026】
以上、本発明の除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の除塵機のレーキ及びそのレーキを備えた除塵機は、レーキ爪の強度を維持しながら除塵機のレーキの爪ピッチを小さく設定できるという特性を有していることから、自動除塵機、U形除塵機、ローラチェーン式除塵機等の各種除塵機の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
S スクリーン
R レーキ
Ra レーキ
Rb レーキ
1 レーキ爪
2 スペーサ
3 通しボルト
4 レーキ本体
5 レーキ爪取付ボルト
6 レーキ側板
7 レーキ上板
8 レーキ爪止め板
9 ライナー板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各レーキ爪を板材で構成するとともに、各レーキ爪を構成する板材の間にスペーサを挟み、通しボルトを用いて組み立ててレーキ爪組立体を形成し、該レーキ爪組立体をレーキ本体に取り付けてなることを特徴とする除塵機のレーキ。
【請求項2】
レーキ爪組立体をスペーサに突設したレーキ爪取付ボルトによって、レーキ本体に取り付けてなることを特徴とする請求項1記載の除塵機のレーキ。
【請求項3】
レーキ爪組立体を構成する各レーキ爪の上面のレーキ本体側の縁部に、平板材からなるレーキ上板を平面状に配設することによって当接させるとともに、前記各レーキ爪の下面のレーキ本体側の縁部に、板材からなるレーキ爪止め板を配設することによって当接させてなることを特徴とする請求項1又は2記載の除塵機のレーキ。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のレーキを備えたことを特徴とする除塵機。
【請求項5】
スクリーンのスクリーン目に噛み込むレーキ爪の位置を異ならした複数種類のレーキを備えたことを特徴とする請求項4記載の除塵機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−17629(P2012−17629A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157021(P2010−157021)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】