説明

除染システム

【課題】水シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、短時間で且つより確実に、汚染物質(B物質またはC物質で汚染された人体)で汚染された人体を除染することができる、除染システムを提供することを課題とする。
【解決手段】汚染物質(例えば、NBC(nuclear、biological、chemical)物質)で汚染された人体を除染する除染システム1であって、汚染物質で汚染された人体を除染室41に溜められたオゾン水に浸からせることによって、汚染物質で汚染された人体を除染するように構成されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の汚染物質で汚染された人体を除染する除染システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の汚染物質で汚染された人体を除染する除染システムに関する技術は公知となっている。前記種々の汚染物質には、例えば、NBC(nuclear、biological、chemical)物質がある。N(nuclear)物質による汚染には、核兵器や原発事故等による放射能汚染がある。B(biological)物質による汚染には、生物兵器による天然痘ウイルスや炭素菌等の汚染がある。C(chemical)物質による汚染には、化学兵器によるサリンやマスタードガス等の汚染がある。
このような除染システムでは、テント内に配置されたシャワーから吐出される水を掛けることによって汚染物質で汚染された人体を除染する(特許文献1参照)。つまり、このような除染システムでは、水の水流によって汚染物質を人体から剥離するように洗い流して除染する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−250793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような除染システムでは、汚染物質で汚染された人体を確実に除染するためには、長時間に亙って水を人体に掛け続けることを要する。
また、このような除染システムでは、人体の汚染された部分に水を掛けなければ当該人体を除染することができないが、人体の汚染された部分に漏れなくシャワーによって水を掛けることは困難であり、人体を十分に除染できていない状態で除染作業を終えてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、水シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、短時間で且つより確実に、汚染物質で汚染された人体を除染することができる、除染システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、汚染物質で汚染された人体を除染する除染システムであって、前記汚染物質で汚染された人体を除染室に溜められたオゾン水に浸からせることによって、前記汚染物質で汚染された人体を除染するように構成されるものである。
【0008】
請求項2においては、前記除染室内の気体を前記除染室外に排気可能に構成される排気装置を有するものである。
【0009】
請求項3においては、前記除染室は、前記オゾン水が溜められた除染室内を前記汚染物質で汚染された人が歩行可能に構成されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記除染室は、前記除染室に溜められたオゾン水中に水流を発生させる水流発生装置を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
即ち、本発明によれば、シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、短時間で且つより確実に、汚染物質(B物質またはC物質で汚染された人体)で汚染された人体を除染することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る除染システムの全体的な構成を示したブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る除染システムの除染部を示した正面模式図。
【図3】同じく平面模式図。
【図4】(1)同じく正面模式図、(2)同じく正面模式図、(3)同じく正面模式図。
【図5】同じく正面模式図。
【図6】同じく正面模式図。
【図7】同じく正面模式図。
【図8】同じく正面模式図。
【図9】同じく正面模式図。
【図10】除染される人を示した斜視図。
【図11】同じく斜視図。
【図12】本発明の実施形態に係る除染システムの除染部を示した正面模式図。
【図13】同じく斜視模式図。
【図14】本発明の実施形態に係る除染システムの再生部を示したブロック図。
【図15】本発明の実施形態に係る除染システムの全体的な構成を示したブロック図。
【図16】本発明の実施形態に係る除染システムの除染部を示した正面模式図。
【図17】本発明の実施形態に係る除染システムの除染部を示した正面模式図。
【図18】本発明の実施形態に係る除染システムの全体的な構成を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、発明の実施形態に係る除染システム1を図1から図18を用いて説明する。
除染システム1は、種々の汚染物質で汚染された人体を除染するものである。前記種々の汚染物質には、NBC(nuclear、biological、chemical)物質がある。
除染システム1は、図1に示すように、タンク2と、オゾン水生成装置3と、除染部4と、を備える。
【0015】
除染システム1のタンク2は、原料水(水)が溜められるものである。タンク2に溜められた原料水は、オゾン水生成装置3に供給される。
除染システム1のオゾン水生成装置3は、配管を介してタンク2に接続される。オゾン水生成装置3は、タンク2から配管を介して供給される原料水からオゾン水を生成するものである。ここで、オゾン水とは、水にオゾン(O3)を溶解されてなるものである。
オゾン水生成装置3によって生成されたオゾン水は、温度調節装置によって、当該オゾン水を掛けられた人(除染される人)が冷た過ぎるまたは熱すぎる等と感じないような所定の温度に温度調節(例えば、26度〜40度に昇温また降温)されて、除染部4に供給される。
【0016】
除染システム1の除染部4では、汚染物質で汚染された人体の除染がおこなわれる。除染部4は、図2または図3に示すように、除染室41と、排気装置42と、を有する。
除染システム1における除染部4の除染室41は、配管を介してオゾン水生成装置3に接続されて、温度調節装置によって温度が調節されたオゾン水が除染室41内に溜められるように構成される。
除染部4の除染室41は、汚染物質で汚染された人が除染室41内で立った状態で肩までオゾン水に浸ることができるように構成される。
【0017】
このようにして、除染システム1は、汚染物質で汚染された人体を除染部4の除染室41に溜められたオゾン水にその肩まで浸からせることによって、当該汚染物質で汚染された人体を除染するように構成される。このため、除染システム1では、汚染物質で汚染された人体のうち除染部4の除染室41に溜められたオゾン水に浸かっている部分に、より確実にオゾン水を接触させることができる。
また、除染システム1では、人体を汚染する汚染物質がB(biological)物質の場合には、B物質は、前記汚染物質で汚染された人が浸かっているオゾン水によって殺菌されることとなる。人体を汚染する汚染物質がC(chemical)物質の場合には、C物質は、前記汚染物質で汚染された人が浸かっているオゾン水によって分解されることとなる。
このように、除染システム1では、除染部4の除染室41に溜められたオゾン水に浸かることによって除染がおこなわれるとともに、B物質が殺菌され、また、C物質が分解される。
このため、除染システム1によれば、シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、短時間で且つより確実に、汚染物質(B物質またはC物質で汚染された人体)で汚染された人体を除染することができる。
【0018】
また、除染システム1では、人体を汚染する汚染物質がN(nuclear)物質の場合には、N物質は、オゾン水におけるコロイドを凝集する作用によって人体から剥離した後に凝集されることとなる。このため、除染システム1では、除染に用いたオゾン水の排水をろ過する際に、目の細かいフィルタを用いることなく、当該凝集されたN物質を容易に捕集することができ、当該排水からN物質を取除く処理をより容易におこなうことができる。
除染システム1では、人体を汚染する汚染物質が抵抗性の弱いB物質の場合には、B物質は消毒されて無害化されるので、前記排水に含まれるB物質の消毒処理が不要となる。人体を汚染する汚染物質が抵抗性の強いB物質の場合には、汚染物質に汚染された人体がオゾン水に浸かってから当該オゾン水が排水されていく過程においてB物質の消毒が進行するので、前記排水に含まれるB物質のその後の消毒処理を容易におこなうことができる。
除染システム1では、人体を汚染する汚染物質が易分解性のC物質の場合は、C物質は分解されて無害化されるので、前記排水に含まれるC物質の分解処理が不要となる。人体を汚染する汚染物質が難分解性のC物質の場合には、汚染物質に汚染された人体がオゾン水に浸かってから当該オゾン水が排水される過程においてC物質の分解が進行するので、前記排水に含まれるC物質のその後の分解処理を容易におこなうことができる。
したがって、除染システム1によれば、N物質が凝集され、B物質が消毒され、また、C物質が分解されるので、水によって除染するものに比べて、前記排水の処理を容易におこなうことができる。
なお、オゾンは短時間で酸素に戻るため、除染システム1では、前記排水に対するオゾンの中和処理は不要である。
【0019】
除染システム1の除染部4は、まず、汚染物質で汚染された人をオゾン水の溜められていない状態の除染部4の除染室41内に入らせ(図4(1)参照)、次いで、除染室41の給水孔41aからオゾン水を給水して前記除染室41内にオゾン水を溜めて汚染物質の除染をおこない(図4(2)参照)、汚染物質の除染が終了すると前記除染室41に溜められたオゾン水を除染室41の排水孔41bから排水する(図4(3)参照)、ように構成してもよい。
【0020】
除染システム1における除染部4の除染室41は、図5に示すように、除染室41内に腰掛を設け、汚染物質で汚染された人が除染室41内で前記腰掛に座った状態で肩までオゾン水に浸ることができるように構成してもよい。
【0021】
除染システム1における除染部4の排気装置42は、除染室41内の気体を除染室41外に排気可能に構成される。除染部4の排気装置42は、図2または図3に示すように、ダクト43と、吸引ファン44と、排気筒45と、で構成される。
【0022】
除染システム1の除染部4における排気装置42のダクト43は、除染室41の側壁から外側に突出するようにして除染室41の側壁に沿って配置される。除染部4における排気装置42のダクト43は、その内部と、除染室41におけるオゾン水が溜められる部分より上方の部分と、が連通するように構成される。
除染部4における排気装置42の吸引ファン44は、ダクト43から外側に突出するように配置される。除染部4における排気装置42の吸引ファン44は、除染室41内の気体をダクト43側に吸引可能に構成される。
除染部4における排気装置42の排気筒45は、除染室41外において吸引ファン44から上方に延出するように配置される。
このように構成される除染部4の排気装置42では、吸引ファン44が吸引動作をおこなうことにより、除染室41内の気体が、ダクト43側に吸引されて、ダクト43および吸引ファン44を介して排気筒45の上端の開口から排出されることとなる。
【0023】
以上のようにして、除染システム1の除染部4における排気装置42は、除染室41内の気体を除染室41外に排気する。
このため、除染システム1によれば、汚染物質で汚染された人体の除染をおこなっている際に、通常はオゾン水からはオゾンガスが気散しないが、仮にオゾン水の水面からオゾンガスが気散した場合においても、当該汚染物質で汚染された人が当該オゾンガスを吸引等して影響を受けないように、当該オゾンガスを除染室41外に排気することができる。
【0024】
また、除染システム1の除染部4における排気装置42は、図6に示すように、ダクト43と、給気ファン46と、で構成してもよい。
除染システム1の除染部4における排気装置42のダクト43は、除染室41の側壁から外側に突出するようにして除染室41の側壁に沿って配置される。除染部4における排気装置42のダクト43は、その内部と、除染室41におけるオゾン水が溜められる部分より上方の部分と、が連通するように構成される。除染部4における排気装置42のダクト43は、その外側(除染室41と反対側)の面に、ダクト43の内部に貫通する排気口を有する。
除染システム1の除染部4における排気装置42の給気ファン46は、除染室41の天井部に配置される。除染部4における排気装置42の給気ファン46は、除染室41外から除染室41内に空気を供給して、除染室41内の気体をダクト43側に押出すことができるように構成される。
このように構成される除染部4の排気装置42では、給気ファン46が給気動作をおこなうことにより、除染室41内の気体が、ダクト43側に押出されて、ダクト43の排気口から排出されることとなる。
【0025】
また、除染システム1の除染部4における排気装置42は、図7に示すように、ダクト43と、排気ファン47と、で構成してもよい。
除染システム1の除染部4における排気装置42のダクト43は、除染室41の側壁から外側に突出するようにして除染室41の側壁に沿って配置される。除染部4における排気装置42のダクト43は、その内部と、除染室41におけるオゾン水が溜められる部分より上方の部分と、が連通するように構成される。除染部4における排気装置42のダクト43は、その外側(除染室41と反対側)の面に、ダクト43の内部に貫通する排気口を有する。
除染システム1の除染部4における排気装置42の排気ファン47は、ダクト43の二つの排気口の外側にそれぞれ配置される。除染部4における排気装置42の排気ファン47は、除染室41内の気体をダクト43側に吸引可能に構成される。
このように構成される除染部4の排気装置42では、排気ファン47が排気動作をおこなうことにより、除染室41内の気体が、ダクト43側に吸引されて、ダクト43の排気口(排気ファン47)から排出されることとなる。
【0026】
除染システム1の除染部4における排気装置42は、その排気筒45の上端の開口、または、そのダクト43の排気口に、オゾン分解触媒が設けられる構成としてもよい。除染部4における排気装置42のオゾン分解触媒は、排気装置42における排気筒45の上端の開口から排気されるオゾンガス、または、ダクト43の排気口から排気されるオゾンガスを、酸素に戻すことができるように構成される。
このように構成されることにより、除染システム1では、前記除染部4の除染室41外にオゾンガスを排気する際に、当該オゾンガスが酸素に戻されることとなる。
また、除染部4における排気装置42の排気筒45、または、排気装置42のダクト43の排気口に、ヘパフィルターを配置してもよい。
【0027】
除染システム1における除染部4の除染室41は、図8に示すように、オゾン水が溜められた除染室41内を、汚染物質で汚染された人が歩行可能な大きさに構成してもよい。
このように除染部4の除染室41を構成して、汚染物質で汚染された人にオゾン水が溜められた除染室41内を歩行させることにより、汚染物質を人体から剥離させることができる。
また、このように除染部4の除染室41を構成することにより、汚染物質で汚染された複数の人体の除染を同時におこなうことができる。
【0028】
除染システム1における除染部4の除染室41は、図9に示すように、除染室41に溜められたオゾン水中に水流を発生させる水流発生装置48を備える構成としてもよい。
水流発生装置48は、除染室41の内壁に複数台配置される。水流発生装置48・48・・・は、これから除染室41に溜められたオゾン水中に気泡を噴射し、または、オゾン水を噴射すること等により、当該オゾン水中に水流が発生可能に構成される。
このように構成された除染部4の除染室41では、前記水流が発生するオゾン水に汚染物質で汚染された人が浸かると、当該水流によって汚染物質が人体から剥離されることとなる。
したがって、除染システム1によれば、シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、さらに短時間で且つより確実に、汚染物質で汚染された人体を除染することができる。
【0029】
除染システム1における除染部4は、除染室41において汚染物質で汚染された人体を除染する前に、予備除染をおこなう構成としてもよい。
除染部4において予備除染をおこなう構成としては、例えば、水が溜められる水槽を設け、当該水槽の内壁から当該水槽に溜められた水中に気泡を噴射、または、水を噴射する構成がある。そして、このような予備除染の構成では、前記水流が発生する水槽に溜められた水に汚染物質で汚染された人が浸かって、当該水流によって一部の汚染物質を人体から剥離させる。
このように、除染システム1における除染部4は、除染室41において汚染物質で汚染された人体を除染する前に、予備除染をおこなう構成とすることにより、シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、さらにより確実に、汚染物質で汚染された人体を除染することができる。
【0030】
汚染物質で汚染された人に、ゴーグル9と口マスク10とをそれぞれ装着させた状態で、除染システム1の除染部4で汚染物質の除染をおこなうようにしてもよい(図10参照)。
また、汚染物質で汚染された人に、顔面を覆うようなガスマスク11を装着させた状態で、除染システム1の除染部4で汚染物質の除染をおこなうようにしてもよい(図11参照)。
このようにすることにより、通常はオゾン水からはオゾンガスが気散しないが、仮に除染部4の除染室41内においてオゾン水からオゾンガスが気散した場合においても、汚染物質で汚染された人がオゾンガスを吸引する等によって影響を受けることなく、汚染物質の除染をおこなうことができる。
【0031】
図12に示すように、除染システム1における除染部4の除染室41に溜められたオゾン水の水面に膜部材49を浮かせた状態で、汚染物質で汚染された人体の除染をおこなってもよい。このとき、膜部材49は、汚染物質で汚染された人の周辺に配置されて、除染部4の除染室41に溜められたオゾン水の水面から気散するオゾンガスが汚染物質で汚染された人から離れて除染室41の内壁側に流れるようにする。
このようにすることにより、汚染物質で汚染された人体の除染をおこなっている際に、通常はオゾン水からはオゾンガスが気散しないが、仮にオゾン水の水面からオゾンガスが気散した場合においても、当該汚染物質で汚染された人が当該オゾンガスを吸引等して影響を受けないようにして、汚染物質の除染をおこなうことができる。
【0032】
除染システム1における除染部4の除染室41は、図13に示すように、汚染物質で汚染された人体のうち首から上の部分を除染室41外に配置した状態で、当該汚染物質で汚染された人体の除染をおこなうように構成してもよい。
除染部4の除染室41は、例えば、側部に入口41cを有するとともに、汚染物質で汚染された人体のうち首から上の部分を除染室41外に配置できるような開口41dを上部に有するような箱状に構成される。
このような構成では、汚染物質で汚染された人が、除染部4の除染室41における側部の入口41cから除染室41内に入って、上部の開口41dから頭部を除染室41の外に出す。そして、除染部4の除染室41における側部の入口41cを密封した状態で、除染室41内にオゾン水を溜めて、汚染物質で汚染された人体の除染をおこなう。
このように構成することにより、汚染物質で汚染された人体の除染をおこなっている際に、通常はオゾン水からはオゾンガスが気散しないが、仮にオゾン水の水面からオゾンガスが気散した場合においても、当該汚染物質で汚染された人が当該オゾンガスを吸引等して影響を受けないようにして、汚染物質の除染をおこなうことができる。
【0033】
除染システム1は、図1に示すように、再生部5を備える。
除染システム1の再生部5では、除染部4で除染に用いたオゾン水の排水が原料水に再生される。再生部5は、図14に示すように、粗フィルタ51と、活性炭吸着フィルタ52と、逆浸透膜浄化装置53と、汚れセンサ54と、を有する。
【0034】
除染システム1における再生部5の粗フィルタ51は、前記排水から粒経の大きい不純物(ゴミ、および、前記凝集されたN物質等)を取除くものである。
再生部5の活性炭吸着フィルタ52は、粗フィルタ51の下流側に配置される。再生部5の活性炭吸着フィルタ52は、前記粗フィルタ51で取除けなかった粒経の小さい不純物を前記排水から取除くものである。
再生部5の逆浸透膜浄化装置53は、活性炭吸着フィルタ52の下流側に配置される。再生部5の逆浸透膜浄化装置53は、前記活性炭吸着フィルタ52で不純物が取除かれた排水を、原料水として再利用できるような水質に浄化する。
再生部5の汚れセンサ54は、前記逆浸透膜浄化装置53によって浄化された排水の浄化度合(汚れ度合)を検知するものである。
【0035】
このようにして、除染システム1の再生部5では、再生部5の粗フィルタ51および活性炭吸着フィルタ52によって前記排水から不純物が取除かれ、再生部5の逆浸透膜浄化装置53によって前記不純物が取除かれた排水が浄化され、再生部5の汚れセンサ54によって前記浄化された排水の浄化度合(汚れ度合)が検知される。
そして、再生部5の汚れセンサ54によって検知された排水の浄化度合が所定の基準値を満たしている場合には、当該排水は、タンク2に供給されて原料水として再利用される。
【0036】
以上のようにして、除染システム1では、前記排水が、再生部5において原料水に再生されて、タンク2に供給されて再利用される。
このため、除染システム1では、多量の原料水を確保することを要さずに、汚染物質で汚染された人体の除染を多量におこなうことができる。
したがって、除染システム1によれば、原料水を確保(補給)することが困難な状態でも、汚染物質で汚染された多量の人体の除染をおこなうことができる。
【0037】
なお、除染システム1における再生部5の汚れセンサ54によって検知された排水の浄化度合が所定の基準値を満たしていない場合には、当該排水は、廃水として廃水槽6に供給される。
そして、前記廃水槽6に供給された廃水は、その下流側の廃水処理装置7で廃水処理がおこなわれて、廃棄されることとなる。
【0038】
また、除染システム1は、図15に示すように、オゾン水に促進酸化処理をおこなう促進酸化処理部8を備えて構成してもよい。
このようにオゾン水に促進酸化処理をおこなう促進酸化処理部8を備える構成とすることにより、除染システム1では、オゾン水による汚染物質の除染効果が高まるため、シャワーから吐出される水によって除染するものに比べて、汚染物質(B物質またはC物質)で汚染された人体をさらに容易に除染することができる。
また、このようにオゾン水に促進酸化処理をおこなう促進酸化処理部8を備える構成とすることにより、除染システム1では、オゾン水内においてOHラジカル等の活性種が生成され、オゾン水によるコロイドを凝集する作用等が向上する。このため、除染システム1では、人体を汚染する汚染物質がN物質の場合には、より確実にN物質が凝集されることとなり、前記排水をろ過して排水処理をおこなう際に、より容易にN物質を捕集することができ、当該排水からN物質を取除く処理をより容易におこなうことができる。
【0039】
除染システム1の促進酸化処理部8においてオゾン水に促進酸化処理をおこなう方法として、オゾン水に添加剤(例えば、過酸化水素、または、界面活性剤等)を添加するものがある。このように促進酸化処理部8においてオゾン水に促進酸化処理をおこなう場合には、例えば、除染部4の除染室41に溜められるオゾン水に添加装置81によって前記添加剤を添加えるようにする(図16参照)。
また、促進酸化処理部8においてオゾン水に促進酸化処理をおこなう方法として、オゾン水に紫外線を照射するものがある。このように促進酸化処理部8においてオゾン水に促進酸化処理をおこなう場合には、例えば、除染部4の除染室41の内壁に紫外線ランプ82・82を設け、当該紫外線ランプ82・82から除染室41に溜められたオゾン水に紫外線を照射するようにする(図17参照)。
【0040】
除染システム1は、オゾン水を循環させて再利用するように構成してもよい。
除染システム1は、図18に示すように、タンク2と、オゾン水生成装置3と、除染部4と、ろ過部60と、オゾン濃度計測装置70と、を備え、循環ポンプ(不図示)によってオゾン水が循環するように構成される。除染システム1は、除染部4の除染室41の排水孔41bからオゾン水生成装置3を経由して除染室41の給水孔41aに亘るように配管が設けられて、除染室41から排水されるオゾン水がオゾン水生成装置3を介して再び除染室41に給水されるように構成される。
【0041】
除染システム1のろ過部60は、除染部4(除染室41)の下流側、且つ、オゾン水生成装置3の上流側に配置される。ろ過部60は、除染部4の除染室41の排水孔41bから排水されるオゾン水をろ過して、当該オゾン水から不純物を取除くことができるように構成される。ろ過部60は、ゴミ取フィルタ61と、微粒子フィルタ62とを有する。
ろ過部60のゴミ取フィルタ61は、除染部4の除染室41の排水孔41bから排水されるオゾン水から粒経の大きいゴミ等の不純物を取除くものである。
ろ過部60の微粒子フィルタ62は、ゴミ取フィルタ61の下流側に配置され、ゴミ取フィルタ61で取除けなかった粒経の小さい不純物を前記オゾン水から取除くものである。
ろ過部60によって不純物が取除かれたオゾン水は、オゾン水生成装置3に供給される。
【0042】
除染システム1のオゾン濃度計測装置70は、除染部4の除染室41およびオゾン水生成装置3に接続される。
オゾン濃度計測装置70は、除染部4の除染室41に溜められたオゾン水のオゾン濃度を計測して、当該オゾン水の濃度に関する情報をオゾン水生成装置3に送信するように構成される。
【0043】
除染システム1は、前記オゾン濃度計測装置70からのオゾン水の濃度に関する情報に基づいて、オゾン水生成装置3から除染部4の除染室41に供給するオゾン水の濃度を決定するように構成される。
オゾン水生成装置3は、前記除染部4の除染室41に溜められたオゾン水のオゾン濃度が所定の濃度より低い場合には、ろ過部60を介して供給されるオゾン水の濃度を前記所定の濃度まで高くして、当該濃度を高くしたオゾン水を除染部4の除染室41に供給するように構成される。
【0044】
以上のようにして、除染システム1は、オゾン水を循環させて再利用するように構成される。
このため、除染システム1では、多量の原料水を確保することを要さずに、汚染物質で汚染された人体の除染を多量におこなうことができる。
したがって、除染システム1によれば、原料水を確保(補給)することが困難な状態でも、汚染物質で汚染された多量の人体の除染をおこなうことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 除染システム
2 タンク
3 オゾン水生成装置
4 除染部
5 再生部
41 除染室
42 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質で汚染された人体を除染する除染システムであって、
前記汚染物質で汚染された人体を除染室に溜められたオゾン水に浸からせることによって、前記汚染物質で汚染された人体を除染するように構成される、
除染システム。
【請求項2】
前記除染室内の気体を前記除染室外に排気可能に構成される排気装置を有する、
請求項1に記載の除染システム。
【請求項3】
前記除染室は、前記オゾン水が溜められた除染室内を前記汚染物質で汚染された人が歩行可能に構成される、
請求項1または請求項2に記載の除染システム。
【請求項4】
前記除染室は、前記除染室に溜められたオゾン水中に水流を発生させる水流発生装置を備える、
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の除染システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−36822(P2013−36822A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172424(P2011−172424)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000198330)株式会社IHIシバウラ (74)
【Fターム(参考)】