説明

除菌消臭機能を有するマイクロホン

【課題】
FM波や赤外線を利用したワイヤレスマイクにおいて、マイクロホン保守者や利用者が風防を外したりする手間もなく、通常の充電作業において、何ら特別な操作も要さず自動的に風防内部を除菌消臭することができるマイクロホンの提供を課題とする。
【解決手段】
マイクロホンの風防内部に除菌消臭剤を継続的に噴霧する噴霧手段の噴霧開始と、噴霧終了時間の制御を、所定の充電器からの充電開始に基づき行うことにより、マイクロホン保守者や利用者が、風防を外したりする手間もなく、自動的に風防内部を除菌消臭できるマイクロホンを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌消臭を自動的に行うことができる、充電による動作機能を有するマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロホンとは、講習会や結婚式場等、利用者が演説やスピーチを行う時に使用されており、今日では、カラオケボックス等において利用者が楽曲を歌唱する際に利用されている。このマイクロホンは、不特定多数の利用者が代わる代わる利用するものであり、マイクロホンヘッド、すなわち、風防には各々の利用者が利用する度に唾液等が吹きかけられ、細菌が付着し異臭等の原因となる。そのため、利用者によっては衛生的に問題があると思い、マイクロホンを利用することを敬遠する利用者もいる。このようなマイクロホンの除菌消臭手法として、特許文献1では、マイクロホンの風防に取付けられるプロテクターの上半部および、下半部の表面に短繊維を設け、短繊維に除菌消臭剤を吸着させることにより、除菌消臭効果を得る技術が開示されている。また、特許文献2では、マイクロホンスタンドに取付けられた、殺菌灯を用いてマイクロホンの殺菌消臭を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開平06−38287号公報
【特許文献2】実開平03−24795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
すなわち、特許文献1では、マイクロホンの風防に取付けられるプロテクターを用いて除菌消臭を行うもので、除菌消臭効果が薄れた場合には、定期的なプロテクターの交換にて対応している。また、特許文献2では、外部に取付けられた殺菌灯を用いてマイクロホンを殺菌消臭するものである。しかしながら、これら従来の技術では、風防内部まで確実に殺菌を行ったり、除菌消臭するものではない。そもそも、風防外部は容易に除菌消臭ができるが、風防内部は、風防を一々外さなければならないため、容易にできるものではない。そこで、本発明では、上記従来の不都合を鑑み、特に、充電による動作機能を有するマイクロホンにおいて、マイクロホン保守者や利用者が、風防を外したりする手間もなく、通常の充電作業において、何ら特別な操作も要さず自動的に風防内部を除菌消臭することができるマイクロホンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を鑑み、本発明の除菌消臭機能を有するマイクロホンとは、FM波や赤外線を利用したワイヤレスマイクといった、充電による動作機能を有するマイクロホンにおいて、グリップ内部に除菌消臭剤を収めた除菌消臭剤収納部と、風防内部にこの除菌消臭剤を継続的に噴霧する噴霧手段と、所定の充電器からの充電開始時を認識し、充電開始時からの所定時間経過後に、噴霧手段の噴霧開始と噴霧終了を制御する噴霧制御手段が設けられていることにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の請求項1記載の除菌消臭機能を有するマイクロホンとは、充電による動作機能を有するマイクロホンにおいて、風防内部に除菌消臭剤を継続的に噴霧する噴霧手段の噴霧開始と噴霧終了時間を制御し、所定の充電器からの充電開始に基づき行うことにより、マイクロホン保守者や利用者が、風防を外したりする手間もなく、通常の充電作業において、何らの特別な操作も要さず自動的に風防内部を除菌消臭することができる。そして、人為的な行為が必要なく自動的に風防内部の除菌消臭が容易になり衛生面の問題も解消されることで、マイクロホンを利用することを敬遠していた利用者でも、利用することが可能となる効果を奏する。
【0006】
以下に、本発明のマイクロホンについて最適な実施例を挙げ、先ず。図1に示す本マイクロホンの主要構成部のブロック構成図について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明のマイクロホン(1)の主要構成部のブロック構成図である。本実施例のマイクロホン(1)は、入力された音や音声を電気信号に変換するものであり、変換された電気信号は、アンプを介して増幅されたスピーカーにて音や音声が出力されるものである。具体的には、マイクロホン(1)は、各種機能手段から構成されており、利用者が発音した音声が圧電変換ユニット(3)に入力されたならば、入力された音声による音圧を電気信号に変換し、出力制御手段(2)は、変換された電気信号を赤外線通信部(4)を用いて出力する。そして、出力された電気信号はアンプに入力され、増幅された後にスピーカーにて出力される。
【0008】
そして、利用者がマイクロホン(1)を、所定の充電器に挿入することにより、マイクロホンの充電端子部と充電器の充電端子部が接触されたならば、充電処理が開始されたと制御弁の含む噴霧制御手段(5)は認識し、当該開始時から所定時間経過後に、除菌消臭剤収納部に収納されている除菌消臭剤を、噴霧手段(6)にてマイクロホン風防内部に噴霧する。
【0009】
次に、図2に示す本マイクロホンの内部構成図ついて説明する。
【0010】
図2は、本マイクロホンの内部構成図を示すものであり、本発明のマイクロホンは、外観的には風防(M1)とグリップ部(M2)からなり、風防内部には、入力された音声による音圧を電気信号に変換する圧電変換ユニット(M3)、グリップ部(M2)下部には、変換された電気信号を赤外線に変換し無線出力する赤外線発光ユニット(M4)が設けられている。
【0011】
そして、利用者がマイクロホンを充電器の挿入部(C1)に挿入することにより、マイクロホンの充電端子部(M6)と、充電器の充電端子部(C2)が接触し充電が開始される。この充電開始処理が充電池ユニット(M7)を介して、噴霧制御手段(M8)により認識されたならば、噴霧制御手段(M8)は内部に設けられているタイマーを起動し、タイマーが予め定められた所定時間を計測したならば、噴霧手段(M9)に接続されている制御弁(M10)を開放し、除菌消臭剤収納部(M5)に加圧状態で収納されている除菌消臭剤を、風防(M1)内部に噴霧する。
【0012】
次に、図3の、除菌消臭処理を示すフローと、図4の除菌消臭処理を時系列に示す図について説明する。
【0013】
図3は、除菌消臭処理を示すフローであり、先ずは利用者がマイクロホンを充電器に挿入することにより、マイクロホンの充電処理が開始され(S1)、当該処理開始から所定時間経過されたならば(S2)、風防内部に除菌消臭剤の噴霧を開始し(S3)、除菌消臭剤が所定時間噴霧されたならば(S4)、除菌消臭剤の噴霧を終了する(S5)。なお、本実施例では、このように、本マイクロホン内部の除菌消臭処理は「1サイクル」、すなわち、充電開始時から1つの所定経過時間を設定しているが、本発明では、これに限定されず、所定経過時間を複数設定し、マイクロホンが充電されている時間が長時間となったときに、「複数サイクル」で除菌消臭剤の噴霧を実施させても構わない。これは、充電処理の長さが、マイクロホンの利用時間の長さに対応していることが多々あり、これにサイクル数を対応付けているからである。例えば、充電処理30分毎に、10秒間除菌消臭剤を噴霧するように構成してもよいものである。
【0014】
次に図4は、除菌消臭処理を時系列に示す図であり、マイクロホンの充電処理が開始され、噴霧制御手段のタイマーが充電時間を計測し、タイマーが予め定められた所定時間、すなわち、噴霧開始時間(例えば「5分」)に達したならば、噴霧手段にて除菌消臭剤を噴霧し、予め定められた所定時間(例えば「5秒」)、除菌消臭剤を噴霧したならば、除菌消臭剤の噴霧を終了し、残りの時間は引き続き充電処理を行う。なお、充電処理の開始から除菌消臭剤が噴霧される噴霧開始までの所定時間とは、充電処理が開始されて直ぐ(「0」時間)でも良いが、実際にマイクが充電器に挿入される際、いきなり除菌消臭剤が噴霧されると、始めての利用者を驚かせたり、あるいは、噴霧量が多い場合には、利用者にかかったりすることもあり、使用する状況を考慮し、充電処理が開始され一定の時間経過とした方が好ましい。また、除菌消臭剤を噴霧している途中で、マイクロホンが充電器から取り外された場合には、強制的に噴霧を中止するように構成しても構わない。
【0015】
このマイクロホンによれば、マイクロホン保守者や利用者が、風防を外したりする手間もなく、通常の充電作業において、何らの特別な操作も要さず自動的に風防内部を除菌消臭することができ、すなわち、従来、マイクロホン保守者が、人為的に除菌消臭作業(例えば、除菌消臭スプレー噴霧など)に委ねていたため、保守者の怠りやミスによって除菌消臭が行えなかったことによる衛生面の不都合も、本発明では、確実に自動的に風防内部の除菌消臭ができるようになり、この衛生面の問題も解消され、マイクロホンを利用することを敬遠していた利用者でも、利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本マイクロホンの主要構成部のブロック構成図
【図2】本マイクロホンの内部構成図
【図3】除菌消臭処理を示すフロー
【図4】除菌消臭処理を時系列に示す図
【符号の説明】
【0017】
1 マイクロホン
2 出力制御手段
3 圧電変換ユニット
4 赤外線通信部
5 噴霧制御手段
6 噴霧手段
M1 風防
M2 グリップ部
M3 圧電変換ユニット
M4 赤外線通信部
M5 除菌消臭剤収納部
M6
充電端子部
M7
充電池ユニット
M8
噴霧制御手段
M9
噴霧手段
M10 制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電による動作機能を有するマイクロホンにおいて、グリップ内部に除菌消臭剤を収めた除菌消臭剤収納部と、風防内部に当該除菌消臭剤を継続的に噴霧する噴霧手段と、所定の充電器からの充電開始時を認識し、当該開始時からの所定時間経過後に、前記噴霧手段の噴霧開始と噴霧終了を制御する噴霧制御手段と、が設けられていることを特徴とする除菌消臭機能を有するマイクロホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−272680(P2009−272680A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118862(P2008−118862)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)