除雪機および除雪用ブレード
【課題】 除雪機の前部に取り付けられた除雪用ブレードが、雪の下に隠れている瓦礫等の塊に突き当たった場合に、その塊を乗り越えることができる除雪機を提供すること。また、そのような除雪機に用いられる除雪用ブレードを提供すること。
【解決手段】 本発明の除雪機１の前部に支持されている除雪用ブレード３は、除雪面３１ａとエッジ面３２ａとを備えている。除雪に際して、除雪用ブレード３が地面と接した状態では、エッジ面３２ａは前傾した状態で、その下端３２ｂが地面と接している。除雪用ブレード３が瓦礫等の塊に突き当たった場合には、エッジ面３２ａが塊の上側面を擦りながら前進するので、除雪用ブレード３は固まりを乗り越えることができる。除雪機１が前進できなくなることがないので、除雪作業が中断しない。
【解決手段】 本発明の除雪機１の前部に支持されている除雪用ブレード３は、除雪面３１ａとエッジ面３２ａとを備えている。除雪に際して、除雪用ブレード３が地面と接した状態では、エッジ面３２ａは前傾した状態で、その下端３２ｂが地面と接している。除雪用ブレード３が瓦礫等の塊に突き当たった場合には、エッジ面３２ａが塊の上側面を擦りながら前進するので、除雪用ブレード３は固まりを乗り越えることができる。除雪機１が前進できなくなることがないので、除雪作業が中断しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、除雪用ブレードを地面に接して除雪を行う除雪機に関し、特に、その除雪用ブレードに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
除雪機としては、作業機本体の前部に除雪用ブレードを取り付けたものが知られている。図４に示すように、除雪用ブレード１００は、除雪面の下端が前方に向けて尖った部分１００ａになっており、路面から雪を削りながら除雪する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
このような形状の除雪用ブレードを備えた除雪機では、降り積もった雪の下に瓦礫や土砂の塊が隠れていた場合には、尖った部分１００ａがその塊の中に突き刺さってしまい、除雪機が前進できなくなる。こうなると、除雪作業を中断して、除雪機を一旦後退させて除雪用ブレードを塊から引き抜かなければならないので、除雪作業が滞るという問題がある。また、除雪作業を再開しても、塊が依然として雪の中に隠れているので、同じ塊に除雪用ブレードが刺さって除雪機が動けなくなってしまい、再び除雪作業が滞ることもある。
【０００４】
そこで、本発明の課題は、雪の下に隠れている瓦礫等の塊に突き当たっても、除雪用ブレードがその塊を乗り越えることができる除雪機を提供することにある。また、そのような除雪機に用いられる除雪用ブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記の課題を解決するために、本発明は、作業機本体と、当該作業機本体の前部に支持された除雪用ブレードとを備え、前記除雪用ブレードの下端を地面に接した状態で除雪する除雪機において、前記除雪用ブレードは、除雪面とエッジ面とを備えており、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接していることを特徴とする。
【０００６】
本発明の除雪機は、除雪用ブレードの下端位置に前傾するエッジ面を備えているので、除雪用ブレードが雪の下に隠れていた瓦礫等の塊に突き当たった場合でも、このエッジ面が塊の上側の面を擦接しながら前進し、除雪用ブレードが塊を乗り越えることができる。従って、除雪機が前進できなくなって除雪作業が中断してしまうことがない。
【０００７】
本発明において、前記エッジ面は、前記除雪面の下端に連続して形成されていることが好ましい。このようにすれば、板状部材の下端部分を後方に折り曲げるという簡単な加工によって除雪面とエッジ面とを備えた除雪用ブレードを製造することができる。
【０００８】
本発明の除雪機は、さらに、前記除雪用ブレードを作業機本体に支持する支持機構を備えており、前記支持機構は除雪用ブレードが下方から上方に向かう力を受けた場合には、除雪用ブレードを上方に移動可能な状態で支持していることが好ましい。このような支持機構を備えていれば、除雪用ブレードが塊を乗り越える際に、除雪用ブレードだけが上下方向に動くので、作業機本体が除雪用ブレードの上下動につられて傾斜してしまうことがなく、安全である。
【０００９】
次に、本発明は、除雪機に取り付けられる除雪用ブレードであって、除雪面と該除雪面の下端縁に連続するエッジ面とを備えており、除雪に際して当該除雪用ブレードの下端が地面と接した状態では、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の除雪機は、除雪用ブレードが瓦礫等の塊に突き当たっても、下端部分に位置するエッジ面がその塊の上側の面を擦りながら前進するので、除雪用ブレードが塊を乗り越えることができる。従って、除雪機が前進できなくなり、除雪作業が中断してしまうことがない。
【００１１】
また、本発明の除雪用ブレードは、板状部材の下端部分を後方に折り曲げるという簡単な加工によって製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
図面を参照して、本発明を適用した除雪機を説明する。図１は、本発明を適用した除雪機を模式的に示した説明図である。図２は本発明の除雪用ブレードを斜め前方から見た斜視図である。
【００１３】
本例の除雪機１は、自走式の作業機本体２と除雪用ブレード３とを備えている。除雪用ブレード３は、支持機構５によって作業機本体２の前部に支持されている。除雪機１が除雪作業を行なう際には、除雪用ブレード３の下端３２ｂが路面と丁度接するように、支持機構５が除雪用ブレード３を支持する。
【００１４】
除雪用ブレード３は除雪板３０を備えている。除雪板３０の背面には上下方向に延びる複数本のリブ３５が溶接されており、除雪板３０を補強している。除雪板３０は、作業機本体２の幅方向に長い長方形の板材であり、後方に窪んだ円弧の断面形状を備えた湾曲部分３１と、湾曲部分の下端縁から後方に向かって一定の幅で曲げられた折り曲げ部分３２とを備えている。湾曲部分３１の正面側は、路面に積もった雪を押し退けて除去したり、運搬する除雪面３１ａとなっている。除雪面３１ａと連続する折り曲げ部分３２の正面側は、除雪用ブレード３が路面に接するように支持された状態で、下端３２ｂを路面に接して前傾するエッジ面３２ａとなっている。
【００１５】
支持機構５は作業機本体２から除雪用ブレード３に向かって延びる２本の支軸５１、５２を備えており、その先端部が湾曲部分３１の裏面部分に固定されている。支持機構５は除雪用ブレード３が下方から上方に向かう力を受けた場合には、除雪用ブレード３を上方に移動可能な状態に支持している。なお、本例の支持機構５は、作業機本体側の操作によって２本の支軸５１、５２を上下左右に動かして、除雪用ブレード３を移動させることができる。また、２本の支軸５１、５２の長さを調節して、除雪面の進行方向に対する角度を調節することができる。
【００１６】
図３は、除雪機に取り付けられた除雪用ブレードが瓦礫等の塊を乗り越える状態を示した説明図である。除雪機１が前進している際に、塊に除雪用ブレード３のエッジ面３２ａが突き当たると、前進するエッジ面３２ａは反力Ｒを受ける。この分力として上に向かう力Ｆが除雪用ブレード３に働く。ここで、除雪用ブレード３は、下方から上方に向かう力を受けた場合には上方に移動可能な状態で支持機構５に支持されているので、除雪用ブレード３は上方に移動する。この結果、除雪機１の前進に伴って、エッジ面３２ａが塊の上側面を擦りながら前進することになるので、除雪用ブレード３は塊を乗り越えることができる。本例によれば、除雪用ブレードが塊に突き当たっても除雪機１が前進できなくなることがないので、除雪作業が中断することもない。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明を適用した除雪機を模式的に示した説明図である。
【図２】本発明の除雪用ブレードを斜め前方から見た斜視図である。
【図３】除雪機に取り付けられた除雪用ブレードが瓦礫等の塊を乗り越える状態を示した説明図である。
【図４】従来の除雪用ブレードを斜め前方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【００１８】
１ 除雪機
２ 作業機本体
３ 除雪用ブレード
５ 支持機構
３０ 除雪板
３１ａ 除雪面
３２ａ エッジ面
３５ リブ
５１、５２ 支軸
１００ 従来の除雪用ブレード
【技術分野】
【０００１】
本発明は、除雪用ブレードを地面に接して除雪を行う除雪機に関し、特に、その除雪用ブレードに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
除雪機としては、作業機本体の前部に除雪用ブレードを取り付けたものが知られている。図４に示すように、除雪用ブレード１００は、除雪面の下端が前方に向けて尖った部分１００ａになっており、路面から雪を削りながら除雪する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
このような形状の除雪用ブレードを備えた除雪機では、降り積もった雪の下に瓦礫や土砂の塊が隠れていた場合には、尖った部分１００ａがその塊の中に突き刺さってしまい、除雪機が前進できなくなる。こうなると、除雪作業を中断して、除雪機を一旦後退させて除雪用ブレードを塊から引き抜かなければならないので、除雪作業が滞るという問題がある。また、除雪作業を再開しても、塊が依然として雪の中に隠れているので、同じ塊に除雪用ブレードが刺さって除雪機が動けなくなってしまい、再び除雪作業が滞ることもある。
【０００４】
そこで、本発明の課題は、雪の下に隠れている瓦礫等の塊に突き当たっても、除雪用ブレードがその塊を乗り越えることができる除雪機を提供することにある。また、そのような除雪機に用いられる除雪用ブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記の課題を解決するために、本発明は、作業機本体と、当該作業機本体の前部に支持された除雪用ブレードとを備え、前記除雪用ブレードの下端を地面に接した状態で除雪する除雪機において、前記除雪用ブレードは、除雪面とエッジ面とを備えており、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接していることを特徴とする。
【０００６】
本発明の除雪機は、除雪用ブレードの下端位置に前傾するエッジ面を備えているので、除雪用ブレードが雪の下に隠れていた瓦礫等の塊に突き当たった場合でも、このエッジ面が塊の上側の面を擦接しながら前進し、除雪用ブレードが塊を乗り越えることができる。従って、除雪機が前進できなくなって除雪作業が中断してしまうことがない。
【０００７】
本発明において、前記エッジ面は、前記除雪面の下端に連続して形成されていることが好ましい。このようにすれば、板状部材の下端部分を後方に折り曲げるという簡単な加工によって除雪面とエッジ面とを備えた除雪用ブレードを製造することができる。
【０００８】
本発明の除雪機は、さらに、前記除雪用ブレードを作業機本体に支持する支持機構を備えており、前記支持機構は除雪用ブレードが下方から上方に向かう力を受けた場合には、除雪用ブレードを上方に移動可能な状態で支持していることが好ましい。このような支持機構を備えていれば、除雪用ブレードが塊を乗り越える際に、除雪用ブレードだけが上下方向に動くので、作業機本体が除雪用ブレードの上下動につられて傾斜してしまうことがなく、安全である。
【０００９】
次に、本発明は、除雪機に取り付けられる除雪用ブレードであって、除雪面と該除雪面の下端縁に連続するエッジ面とを備えており、除雪に際して当該除雪用ブレードの下端が地面と接した状態では、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の除雪機は、除雪用ブレードが瓦礫等の塊に突き当たっても、下端部分に位置するエッジ面がその塊の上側の面を擦りながら前進するので、除雪用ブレードが塊を乗り越えることができる。従って、除雪機が前進できなくなり、除雪作業が中断してしまうことがない。
【００１１】
また、本発明の除雪用ブレードは、板状部材の下端部分を後方に折り曲げるという簡単な加工によって製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
図面を参照して、本発明を適用した除雪機を説明する。図１は、本発明を適用した除雪機を模式的に示した説明図である。図２は本発明の除雪用ブレードを斜め前方から見た斜視図である。
【００１３】
本例の除雪機１は、自走式の作業機本体２と除雪用ブレード３とを備えている。除雪用ブレード３は、支持機構５によって作業機本体２の前部に支持されている。除雪機１が除雪作業を行なう際には、除雪用ブレード３の下端３２ｂが路面と丁度接するように、支持機構５が除雪用ブレード３を支持する。
【００１４】
除雪用ブレード３は除雪板３０を備えている。除雪板３０の背面には上下方向に延びる複数本のリブ３５が溶接されており、除雪板３０を補強している。除雪板３０は、作業機本体２の幅方向に長い長方形の板材であり、後方に窪んだ円弧の断面形状を備えた湾曲部分３１と、湾曲部分の下端縁から後方に向かって一定の幅で曲げられた折り曲げ部分３２とを備えている。湾曲部分３１の正面側は、路面に積もった雪を押し退けて除去したり、運搬する除雪面３１ａとなっている。除雪面３１ａと連続する折り曲げ部分３２の正面側は、除雪用ブレード３が路面に接するように支持された状態で、下端３２ｂを路面に接して前傾するエッジ面３２ａとなっている。
【００１５】
支持機構５は作業機本体２から除雪用ブレード３に向かって延びる２本の支軸５１、５２を備えており、その先端部が湾曲部分３１の裏面部分に固定されている。支持機構５は除雪用ブレード３が下方から上方に向かう力を受けた場合には、除雪用ブレード３を上方に移動可能な状態に支持している。なお、本例の支持機構５は、作業機本体側の操作によって２本の支軸５１、５２を上下左右に動かして、除雪用ブレード３を移動させることができる。また、２本の支軸５１、５２の長さを調節して、除雪面の進行方向に対する角度を調節することができる。
【００１６】
図３は、除雪機に取り付けられた除雪用ブレードが瓦礫等の塊を乗り越える状態を示した説明図である。除雪機１が前進している際に、塊に除雪用ブレード３のエッジ面３２ａが突き当たると、前進するエッジ面３２ａは反力Ｒを受ける。この分力として上に向かう力Ｆが除雪用ブレード３に働く。ここで、除雪用ブレード３は、下方から上方に向かう力を受けた場合には上方に移動可能な状態で支持機構５に支持されているので、除雪用ブレード３は上方に移動する。この結果、除雪機１の前進に伴って、エッジ面３２ａが塊の上側面を擦りながら前進することになるので、除雪用ブレード３は塊を乗り越えることができる。本例によれば、除雪用ブレードが塊に突き当たっても除雪機１が前進できなくなることがないので、除雪作業が中断することもない。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明を適用した除雪機を模式的に示した説明図である。
【図２】本発明の除雪用ブレードを斜め前方から見た斜視図である。
【図３】除雪機に取り付けられた除雪用ブレードが瓦礫等の塊を乗り越える状態を示した説明図である。
【図４】従来の除雪用ブレードを斜め前方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【００１８】
１ 除雪機
２ 作業機本体
３ 除雪用ブレード
５ 支持機構
３０ 除雪板
３１ａ 除雪面
３２ａ エッジ面
３５ リブ
５１、５２ 支軸
１００ 従来の除雪用ブレード
【特許請求の範囲】
【請求項１】
作業機本体と、
当該作業機本体の前部に支持された除雪用ブレードとを備え、
前記除雪用ブレードの下端を地面に接した状態で除雪する除雪機において、
前記除雪用ブレードは、除雪面とエッジ面とを備えており、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接していることを特徴とする除雪機。
【請求項２】
前記エッジ面は、前記除雪面の下端に連続して形成されていることを特徴とする除雪機。
【請求項３】
請求項１または２において、
前記除雪用ブレードを作業機本体に支持する支持機構を備えており、
前記支持機構は除雪用ブレードが下方から上方に向かう力を受けた場合には、除雪用ブレードを上方に移動可能な状態で支持していることを特徴とする除雪機。
【請求項４】
除雪機に取り付けられる除雪用ブレードであって、
除雪面と該除雪面の下端縁に連続するエッジ面とを備えており、
除雪に際して当該除雪用ブレードの下端が地面と接した状態では、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接することを特徴とする除雪用ブレード。
【請求項１】
作業機本体と、
当該作業機本体の前部に支持された除雪用ブレードとを備え、
前記除雪用ブレードの下端を地面に接した状態で除雪する除雪機において、
前記除雪用ブレードは、除雪面とエッジ面とを備えており、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接していることを特徴とする除雪機。
【請求項２】
前記エッジ面は、前記除雪面の下端に連続して形成されていることを特徴とする除雪機。
【請求項３】
請求項１または２において、
前記除雪用ブレードを作業機本体に支持する支持機構を備えており、
前記支持機構は除雪用ブレードが下方から上方に向かう力を受けた場合には、除雪用ブレードを上方に移動可能な状態で支持していることを特徴とする除雪機。
【請求項４】
除雪機に取り付けられる除雪用ブレードであって、
除雪面と該除雪面の下端縁に連続するエッジ面とを備えており、
除雪に際して当該除雪用ブレードの下端が地面と接した状態では、前記エッジ面が前傾した状態で、当該エッジ面の下端が地面と接することを特徴とする除雪用ブレード。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００７−１８６８５２（Ｐ２００７−１８６８５２Ａ）
【公開日】平成１９年７月２６日（２００７．７．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３６６９（Ｐ２００６−３６６９）
【出願日】平成１８年１月１１日（２００６．１．１１）
【出願人】（５０６０１２７９６）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年７月２６日（２００７．７．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１月１１日（２００６．１．１１）
【出願人】（５０６０１２７９６）
【Ｆターム（参考）】
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