説明

除雪機

【課題】簡単な操作で投雪シュータの投雪方向を素早く調節可能とする。
【解決手段】投雪シュータ11を旋回モータ31にて旋回可能に構成した除雪部2を備える除雪機1において、前記旋回モータ31の動作を制御する制御手段40と、該旋回モータ31の動作を操作する旋回操作レバー41と、該旋回モータ31の動作速度を変更する切替スイッチ52とを設けて、該制御手段40に旋回操作レバー41と切替スイッチ52とを接続し、該切替スイッチ52の操作状態に応じて旋回モータ31の動作速度を変更するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投雪シュータを旋回アクチュエータにて旋回可能に構成した除雪部を備える除雪機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、除雪機においては、雪を掻き込む掻込オーガや、該掻込オーガからの雪を上方へ跳ね飛ばすブロワや、該ブロワからの雪を案内して排出する投雪シュータなどからなる除雪部が備えられ、該除雪部の投雪シュータをアクチュエータで旋回可能に構成することで、該投雪シュータの投雪方向が変更可能となっていた。そして、このような除雪機において、投雪シュータの旋回速度を切替可能としたものが公知となっている。
【特許文献1】特開2005−180040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
除雪作業時において、投雪位置が除雪機の進行にともなって機体に対してあまり変わらず、投雪シュータの投雪方向を大きく変える必要がない場合には、投雪シュータの旋回速度は低速であるほうが、投雪シュータの投雪方向を調節しやすい。ところが、投雪シュータの投雪位置が折り返し作業時などでは機体に対して大きく変わり、投雪シュータの投雪方向を大きく変える必要がある場合、投雪シュータの旋回速度が低速、または、常に一定速度であると、折り返し時に投雪方向を変えるための時間を長く必要とし、作業能率の低下をきたす不具合が生じるため、投雪シュータの旋回速度は低速から高速もしくは高速から低速に切替可能であることが望ましい。
【0004】
そこで、特許文献1で開示されるような技術が提案されているが、この技術では投雪シュータを異なる旋回速度で旋回させるために操作手段が複数、つまり投雪シュータを自動旋回させる旋回操作手段と、手動旋回させる旋回操作手段とがあるため、旋回速度を切り替えようとするたびに旋回操作手段を変更せねばならず、旋回操作手段の操作が煩雑となり、操作性が十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、投雪シュータを旋回アクチュエータにて旋回可能に構成した除雪部を備える除雪機において、前記旋回アクチュエータの動作を制御する制御手段と、該旋回アクチュエータの動作を操作する旋回操作手段と、該旋回アクチュエータの動作速度を変更する切替手段とを設けて、該制御手段に操作手段と切替手段とを接続し、該切替手段の操作状態に応じて旋回アクチュエータの駆動速度を変更するように構成したものである。
【0007】
請求項2においては、前記切替手段を前記旋回操作手段に付設したものである。
【0008】
請求項3においては、前記切替手段を前記旋回操作手段と兼用したものである。
【0009】
請求項4においては、前記旋回操作手段の傾倒角度に応じて前記旋回アクチュエータの動作速度を無段階に変更するように構成したものである。
【0010】
請求項5においては、前記投雪シュータの上端部にデフレクタを傾動アクチュエータで上下方向に傾動可能に設けて、該傾動アクチュエータを前記制御手段に接続し、前記切替手段の操作状態に応じて傾動アクチュエータを動作させて、該デフレクタを強制的に下方向に傾動させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、前記投雪シュータを旋回させるときに、その旋回速度を切替手段で速くなるように切り替えることが可能となり、旋回操作手段のみの簡単な操作で投雪シュータの投雪方向を素早く適切な投雪方向に調節することができる。したがって、投雪シュータの投雪方向が限られる場合でも作業効率を損なうことなく、除雪作業を行うことができる。
【0013】
請求項2においては、前記旋回操作手段を操作して投雪シュータを旋回させるときに、該旋回操作手段と切替手段とを同時に片手で操作することが可能となり、操作性が向上する。
【0014】
請求項3においては、前記旋回操作手段の操作だけで、旋回アクチュエータを回転動作させるとともに、その動作速度を変更することが可能となり、操作の簡略化を図ることができる。
【0015】
請求項4においては、前記投雪シュータを状況に応じて適切な旋回速度で旋回させることが可能となり、除雪作業時の作業効率を向上させることができる。
【0016】
請求項5においては、機体を方向転換した場合などで、前記投雪シュータを高速で旋回させる時に、該投雪シュータからの雪が投雪したくない場所に排出されるのをできるだけ防止することができる。さらに、投雪シュータからの雪が周辺の歩行者や走行中の車両などに向かって投雪されるのを防止して、安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施例に係る除雪機の全体側面図、図2は制御ブロック図、図3は別実施例の制御ブロック図である。
【0019】
まず、除雪機1の全体構成について図1を用いて説明する。
【0020】
図1に示すように、除雪機1は、機体前部に配設された除雪部2と、該除雪部2の後方に配設された駆動部3と、該駆動部3の下方に配設された走行部4と、駆動部3後方の機体後部に配設された運転操作部5とで構成されている。
【0021】
前記除雪部2では、機体フレーム6の前部に連設されたブロワハウジング7にブロワ8が内設され、該ブロワハウジング7の前部にオーガハウジング9が連接されて、これに掻込オーガ10が回転軸が左右方向となるように内設され、また該ブロワハウジング7の上部に投雪シュータ11が水平旋回可能に立設されている。
【0022】
そして、前記除雪部2は、掻込オーガ10により雪をオーガハウジング9中央に掻き込んでこれをブロワハウジング7に送り、ブロワ8で掻込オーガ10からの雪をブロワハウジング7の上方へ跳ね飛ばし、投雪シュータ11にてブロワ8からの雪を任意の投雪方向に案内して排出することで、積雪を除去することができるように構成されている。
【0023】
前記駆動部3では、機体フレーム6に変速装置が内設され、該機体フレーム6の上部にエンジン15が載置されている。エンジン15の動力は出力軸15aから出力され、除雪部2及び走行部4に伝達可能とされている。こうしてエンジン15からの動力が、除雪部2に伝達されることによりブロワ8および掻込オーガ10が回転駆動され、また変速装置で変速されたのち、走行部4に伝達されることにより駆動軸16に嵌装された駆動スプロケット17・17が回転駆動されるようになっている。
【0024】
前記走行部4では、機体フレーム6の前下部に駆動スプロケット17・17を左右両側に嵌装した駆動軸16が回動可能に横架支承され、機体フレーム6後下部に従動スプロケット18・18を左右両側に嵌装した後車軸19が回動可能に横架支承されている。そして、左右それぞれの駆動スプロケット17と従動スプロケット18とに無端クローラベルト20が巻回されてクローラが形成され、この左右一対のクローラにてクローラ式走行装置が構成されている。
【0025】
前記運転操作部5では、前記機体フレーム6の左右両側後部より斜め後上方に操向ハンドル21が突出され、該操向ハンドル21上部の左右両側それぞれにエンジン15から走行部4への動力を断接するための走行クラッチレバー24と、エンジン15から除雪部2への動力を断接するための除雪クラッチレバー25とが設けられている。そして、両クラッチレバー24・25の間に走行部4の走行速度を変速する変速装置を操作するための走行変速レバー26や、後述する投雪シュータ11を左右に旋回させるための旋回操作手段などが設けられている。
【0026】
前記走行クラッチレバー24は、操向ハンドル21を握りながらでも握れるように設けられ、該操向ハンドル21とともに握られているときに作動し、放すと停止するデッドマンクラッチレバーとなっている。また、走行クラッチレバー24と除雪クラッチレバー25は、いずれも操向ハンドル21の握部近傍に配置されており、走行クラッチレバー24と除雪クラッチレバー25はいずれもクラッチOFF操作位置に付勢され、走行クラッチレバー24をONにした状態で除雪クラッチレバー25をONにすると、除雪クラッチONの操作位置でロックすることができるように構成されている。
【0027】
次に、本発明の要部の構成について説明する。
【0028】
前記除雪機1において、除雪部2では投雪シュータ11が旋回アクチュエータにて水平旋回可能に構成されている。本実施例では、旋回アクチュエータは旋回モータ31として電動モータを用いて構成され、該旋回モータ31の正逆転動作によりウォームギヤ機構32を介して投雪シュータ11を左右方向に旋回させることができるようになっている。なお、旋回アクチュエータはモータに限るものではなく、シリンダなどを用いて構成することもできる。
【0029】
前記旋回モータ31は、ブロワハウジング7上に固設され、投雪シュータ11の下端部近傍に配置されている。旋回モータ31の出力軸にはウォーム32aが固設され、これが投雪シュータ11の下端部外周に固設されたウォームホイール32bと噛合されて、旋回モータ31の正逆転動作によりウォーム32aが正逆転することで、ウォームホイール32bを回転させて投雪シュータ11を左右方向に旋回させることができるように構成されている。こうして、投雪シュータ11を所定の範囲で旋回させて、該投雪シュータ11から排出される雪の投雪方向が任意に変更できるようになっている。
【0030】
また、前記投雪シュータ11の上端部にはデフレクタ35が設けられ、これが傾動アクチュエータにて傾動可能に構成されている。本実施例では、傾動アクチュエータは傾動シリンダ36として電動シリンダを用いて構成され、該傾動シリンダ36の伸縮動作によりデフレクタ35を上下方向に所定の範囲で傾動させて、投雪シュータ11から排出される雪の投雪角度を変更してその投雪距離を調整することができるようになっている。なお、傾動アクチュエータはシリンダに限るものではなく、モータなどを用いて構成することもできる。
【0031】
前記デフレクタ35は、投雪シュータ11の上端後部に枢支軸37にて枢支され、該枢支軸37を中心として投雪シュータ11に対して上下方向に傾動可能に嵌着されている。そして、デフレクタ35下部と投雪シュータ11上端部それぞれの背面にブラケットが設けられ、両ブラケットの間に傾動シリンダ36が介装されて、該傾動シリンダ36が伸縮動作することで、デフレクタ35を上下方向に傾動することができるように構成されている。こうして、投雪シュータ11から放出される雪は、デフレクタ35を上方向に傾動させるに従って機体から離れた場所に排出でき、下方向に傾動させるに従って機体の近くの場所に排出することができるようになっている。
【0032】
図2に示すように、前記旋回モータ31と傾動シリンダ36とは、機体の任意位置に配設された制御手段40に接続されている。また、旋回モータ31を正逆転動作させる旋回操作手段や、傾動シリンダ36を伸縮動作させるための傾動操作手段が制御手段40に接続されている。そして、制御手段40が旋回操作手段の操作に応じて旋回モータ31の正逆転動作を制御することにより投雪シュータ11を旋回させ、傾動操作手段の操作に応じて傾動シリンダ36の伸縮動作を制御することでデフレクタ35を傾動させることができるように構成されている。
【0033】
前記旋回操作手段は旋回操作レバー41などで構成され、運転操作部5に左右方向に回動可能に設けられている。そして、旋回操作レバー41の回動基部にスイッチ42L・42Rが設けられ、これが制御手段40に接続されて、旋回操作レバー41が操作されて左または右方向に回動されると、スイッチ42Lまたは42RがONとなり、その信号が制御手段40に送られ、これに基づいて旋回モータ31が正転または逆転動作して、投雪シュータ11が左または右方向に旋回されるようになっている。また、旋回操作レバー41から手を放すと、中立位置に戻りスイッチ42Lまたは42RがOFFとなり旋回が停止する構成となっている。
【0034】
なお、左右の最大旋回位置にリミットスイッチを設け、最大旋回位置に達するとリミットスイッチをONして、投雪シュータ11が自動的に停止する構成とすることもできる。また、投雪シュータ11の基部に角度検知手段を設けて旋回位置を検知し、設定角度で停止するように構成することも可能である。さらに、左右の投雪角度を設定する設定器を配設し、該設定器により左右の投雪角度を設定して、除雪位置の終端で折り返し作業する場合に、スイッチやレバー等で反転操作を行うと、自動的に左または右に反転するように構成することも可能である。
【0035】
前記傾動操作手段は傾動操作レバー43などで構成され、運転操作部5に前後方向に回動可能に設けられている。傾動操作レバー43の回動基部にはスイッチ44a・44bが設けられ、これが制御手段40に接続されて、傾動操作レバー43が操作されて上または下向操作位置まで回動されると、スイッチ44aまたは44bがONとなり、その信号が制御手段40に送られ、これに基づいて傾動シリンダ36が伸長または収縮動作して、デフレクタ35が枢支軸37を中心として上または下方向に傾動されるようになっている。なお、旋回操作手段と傾動操作手段とは一つのレバーで兼用して構成することも可能である。
【0036】
ここで、前記傾動操作レバー43によるデフレクタ35は、除雪クラッチがOFF(切)状態となると、傾動操作レバー43の傾動操作にかかわらず、最も下方向に強制的に傾動するように構成され、除雪クラッチがON(入)状態となると、傾動操作レバー43の傾動操作で投雪角度を設定することができるように構成されている。
【0037】
具体的には、運転操作部5に前記除雪クラッチレバー25のONもしくはOFF操作位置を検知する手段として除雪スイッチ28が設けられ、図2に示すように、これが制御手段40に接続される。そして、除雪クラッチレバー25が操作されてクラッチOFF操作位置まで回動されると、除雪スイッチ28がOFFとなり、その信号が制御手段40に送られ、これに基づいて傾動シリンダ36が伸長動作して、デフレクタ35が下方向に傾動されるように構成される。こうして、除雪作業開始時に、除雪クラッチレバー25を「入」操作したと同時に意図しない方向に雪が放出されることがないようになっている。
【0038】
そして、前記旋回操作手段、即ち旋回操作レバー41にて投雪シュータ11を左または右方向に旋回させる構成において、該投雪シュータ11の旋回速度を切り替えるための切替手段が設けられている。該切替手段は、たとえば押しボタン式の切替スイッチ52で構成され、運転操作部5で旋回操作レバー41の近傍に配置されている。本実施例では、切替スイッチ52は旋回操作レバー41の握部の先端に配置され、旋回操作レバー41と同時に片手で操作できるようになっている。なお、切替手段は押しボタン式のスイッチに限るものではなく、レバーなどで構成することも可能である。
【0039】
前記切替スイッチ52はその押圧操作のたびにONもしくはOFFに切替可能とされ、前記制御手段40に接続されている。そして、切替スイッチ52が一度押圧操作されONにされると、その信号が制御手段40に送られ、これに基づいて旋回モータ31の動作速度が増大するように変更され、もう一度押圧操作されOFFにされると、その信号が制御手段40に送られ、これに基づいて旋回モータ31の動作速度が減少する、つまり元の動作速度に戻るように変更される構成となっている。
【0040】
また、前記切替スイッチ52が一度押圧操作されONにされた場合には、制御手段40により傾動操作レバー43の操作よりも優先して傾動シリンダ36が伸長動作されて、デフレクタ35が強制的に下方向に傾動されるように構成されている。これによって、投雪シュータ11を高速で旋回させるときは、投雪作業をせずに投雪方向を変更する場合であるため、デフレクタ35を下方に向けてたとえ雪が放出されても機体周囲に排出されるようになっている。
【0041】
つまり、方向転換した後などで、投雪方向を大きく変更する場合に、通常のデフレクタ35の角度で旋回させると、投雪してはならない場所にも投雪する可能性があり、また、場所によっては歩行者や通行車等に雪を吹きつける可能性があるため、切替スイッチ52を操作して投雪シュータ11を高速で旋回させるときに、該投雪シュータ11から排出される雪を作業場所から離れた場所に放出させずに、下方に放出するようになっている。
【0042】
よって、前記切替スイッチ52を押圧操作してONにし、この状態で旋回操作レバー41を操作すると、供給電圧が増大されて、旋回モータ31が元よりも増大した動作速度で正転または逆転動作するため、投雪シュータ11の旋回速度が高速になる。そして、切替スイッチ52をもう一度押圧操作してOFFにし、この状態で旋回操作レバー41を回動操作すると、旋回モータ31が元の動作速度で正転または逆転駆動するため、投雪シュータ11の旋回速度が低速、つまり切替スイッチ52を押圧操作せずにOFFにした場合の元の旋回速度になる。
【0043】
なお、前記旋回モータ31の動作速度は、たとえば前述のように供給電圧を変更したり、インバータで周波数を変更したりすることによって、増大もしくは減少するように制御される。また本実施例では、切替スイッチ52を押圧操作することにより、もう一度押圧操作するまでの間は旋回モータ31の動作速度を増大させて、投雪シュータ11の旋回速度を高速にさせることができるように構成しているが、切替スイッチ52を押圧操作している間だけ旋回モータ31の動作速度を増大させて、投雪シュータ11の旋回速度を高速にさせるように構成することも可能である。
【0044】
したがって、除雪作業時において、投雪位置が除雪機1の進行にともなって機体に対してあまり変わらず、投雪シュータ11の投雪方向を大きく変える必要がない場合には、切替スイッチ52を押圧操作せずにOFFにして、旋回操作レバー41を操作することで、旋回モータ31を元の動作速度で正転または逆転動作させて、投雪シュータ11を低速で旋回させることができるため、投雪シュータ11の投雪方向を微調節しやすくなり、投雪シュータ11を簡単に正確な投雪位置に向けることが可能となる。
【0045】
そして、投雪位置が作業時の折り返しなどにより機体に対して大きく変わり、投雪シュータ11の投雪方向を大きく変える必要がある場合には、切替スイッチ52を押圧操作してONにして、旋回操作レバー41を操作することで、旋回モータ31を元よりも増大した動作速度で正転または逆転動作させて、投雪シュータ11を高速で旋回させることができるため、投雪シュータ11を新たな投雪位置に素早く向けることが可能となる。
【0046】
以上のように、投雪シュータ11を旋回モータ(旋回アクチュエータ)31にて旋回可能に構成した除雪部2を備える除雪機1において、前記旋回モータ31の動作を制御する制御手段40と、該旋回モータ31の動作を操作する旋回操作レバー(旋回操作手段)41と、該旋回モータ31の動作速度を変更する切替スイッチ(切替手段)52とを設けて、該制御手段40に旋回操作レバー41と切替スイッチ52とを接続し、該切替スイッチ52の操作状態に応じて旋回モータ31の動作速度を変更するように構成したことにより、投雪シュータ11を旋回させるときに、その旋回速度を切替スイッチ52で速くなるように切り替えることが可能となり、旋回操作レバー41のみの簡単な操作で投雪シュータ11の投雪方向を素早く適切な投雪方向に調節することができる。したがって、投雪シュータ11の投雪方向が限られる場合でも作業効率を損なうことなく、除雪作業を行うことができる。
【0047】
また、前記除雪機1において、前記切替スイッチ52を前記旋回操作レバー41に付設したことにより、旋回操作レバー41を操作して投雪シュータ11を旋回させるときに、該旋回操作レバー41と切替スイッチ52とを同時に片手で操作することが可能となり、操作性が向上する。
【0048】
また、前記除雪機1において、前記投雪シュータ11の上端部にデフレクタ35を傾動シリンダ(傾動アクチュエータ)36で上下方向に傾動可能に設けて、該傾動シリンダ36を前記制御手段40に接続し、前記切替スイッチ52の操作状態に応じて傾動シリンダ36を動作させて、該デフレクタ35を強制的に下方向に傾動させるように構成したことにより、機体を方向転換した場合などで、前記投雪シュータ11を高速で旋回させる時に、該投雪シュータ11からの雪が作業場所から離れた投雪したくない場所に排出されるのをできるだけ防止することができる。さらに、投雪シュータ11からの雪が周辺の歩行者や走行中の車両などに向かって投雪されるのを防止して、安全性を高めることができる。
【0049】
また、投雪シュータ11の旋回速度を切り替えるための切替手段を、前述の実施例では、旋回操作手段と別体として構成しているが、次の別実施例のように旋回操作手段で兼用するように構成することも可能である。
【0050】
たとえば、旋回操作手段は前記同様に旋回操作レバー41とされて、その左または右方向への操作時の回動角度に応じて旋回速度を速くするように構成される。すなわち、旋回操作レバー41の回動基部には、前記スイッチ42の代わりにポテンショメータなどの当該旋回操作レバー41の回動角度を検出する検出手段55が設けられ、図3に示すように、これが制御手段40に接続される。そして、旋回操作レバー41が操作されて左または右方向に回動されると、その回動角度を検出手段55で検出して、その信号を制御手段40に送り、これに基づいて旋回モータ31が正転または逆転動作するように制御される。
【0051】
前記旋回操作レバー41の操作時において、制御手段40では該旋回操作レバー41の回動角度からその操作状態を検知し、その操作状態に応じて旋回モータ31の回転方向が制御されると同時に、旋回モータ31の動作速度が制御される。旋回モータ31の動作速度は、旋回操作レバー41が操作されてその回動角度が大きくなるに従って増大し、逆にその回動角度が小さくなるに従って減少するように制御される。
【0052】
つまり、前記旋回操作レバー41を操作して中立位置から左または右方向に回動させることによって、旋回モータ31の動作速度を増大させていき、投雪シュータ11の旋回速度を徐徐に速くすることができるように構成される。言い換えれば、旋回操作レバー41を操作して左または右方向に最大に回動した位置から中立位置に回動させることによって、旋回モータ31の動作速度を減少させていき、旋回速度を徐徐に遅くすることができるように構成される。これにより、旋回操作レバー41の操作状態に応じて、旋回モータ31の動作速度を無段階に変更して、投雪シュータ11の旋回速度を任意に切り替えて調整することができるようになる。
【0053】
このように、前記除雪機1において、前記切替手段を前記旋回操作レバー(旋回操作手段)41と兼用することにより、該旋回操作レバー41の操作だけで、旋回モータ(旋回アクチュエータ)31を正転または逆転動作させるとともに、その動作速度を変更することが可能となり、操作の簡略化を図ることができる。
【0054】
さらに、前記除雪機1において、前記旋回操作レバー41の傾倒角度に応じて旋回モータ31の動作速度を無段階に変更するように構成することにより、投雪シュータ11を状況に応じて適切な旋回速度で旋回させることが可能となり、除雪作業時の作業効率を向上させることができる。また、設定角度以上まで旋回操作レバー41を傾倒すると、投雪シュータ11は高速で旋回することになるので、前記同様に、デフレクタ35を強制的に下方向に傾動させるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例に係る除雪機の全体側面図。
【図2】制御ブロック図。
【図3】別実施例の制御ブロック図。
【符号の説明】
【0056】
1 除雪機
2 除雪部
11 投雪シュータ
31 旋回モータ(旋回アクチュエータ)
35 デフレクタ
36 傾動シリンダ(傾動アクチュエータ)
40 制御手段
41 旋回操作レバー(旋回操作手段)
52 切替スイッチ(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投雪シュータを旋回アクチュエータにて旋回可能に構成した除雪部を備える除雪機において、前記旋回アクチュエータの動作を制御する制御手段と、該旋回アクチュエータの動作を操作する旋回操作手段と、該旋回アクチュエータの動作速度を変更する切替手段とを設けて、該制御手段に操作手段と切替手段とを接続し、該切替手段の操作状態に応じて旋回アクチュエータの駆動速度を変更するように構成したことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記切替手段を前記旋回操作手段に付設したことを特徴とする請求項1に記載の除雪機。
【請求項3】
前記切替手段を前記旋回操作手段と兼用したことを特徴とする請求項1に記載の除雪機。
【請求項4】
前記旋回操作手段の傾倒角度に応じて前記旋回アクチュエータの動作速度を無段階に変更するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の除雪機。
【請求項5】
前記投雪シュータの上端部にデフレクタを傾動アクチュエータで上下方向に傾動可能に設けて、該傾動アクチュエータを前記制御手段に接続し、前記切替手段の操作状態に応じて傾動アクチュエータを動作させて、該デフレクタを強制的に下方向に傾動させるように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の除雪機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−332598(P2007−332598A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163696(P2006−163696)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】