陰極酸化アルミニウムテンプレートによる酸化マンガンナノチューブまたはナノロッドを製造する方法
本発明は、陰極酸化アルミニウム(AAO)テンプレートを用いた酸化マンガンナノチューブ/ナノロッド製造法に関する。本発明の方法では、溶媒を使用せず、酸化マンガン前駆体と陰極酸化アルミニウムテンプレートのみを用いて酸化マンガンナノチューブ/ナノロッドを穏やかな条件で製造する。サイズが均一なナノチューブ/ナノロッドは、真空濾過装置を用いる真空成形プロセスによって酸化マンガン前駆体を陰極酸化アルミニウムテンプレート表面上に吸着させてナノチューブ/ナノロッドの形状を維持し、酸化マンガンナノチューブを乾燥させることによって容易に入手できる。本発明の方法により作製された酸化マンガンナノチューブ/ナノロッドは、経済的な水素貯蔵庫、リチウム二次電極、または自動車あるいは他の輸送手段のエネルギー貯蔵庫として使用し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒を使用せず、経済的かつ効率的な方法で、陰極酸化アルミニウムテンプレート(AAO)および酸化マンガン前駆体のみを用いて酸化マンガンナノチューブまたはナノロッドを製造し得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、陰極酸化アルミニウム(以後AAO)テンプレートにおける化学蒸着法によるカーボンナノチューブの合成、AAOテンプレートの内壁におけるナトリウムを含むナノチューブの形成、およびAAOテンプレートを用いたLiMn2O4ナノワイヤーの合成など、AAOテンプレートを用いてナノ構造を合成しようとする試みは数多くあった。
【0003】
概して、AAOテンプレートを用いたナノ構造の製造(合成)法の利点は、製造されるナノ構造が垂直かつ均一な円柱形を有し、密度が高いことである。AAOテンプレートはナノチューブ/ナノロッドを生成する反応に直接関与しないが、ナノ構造の物理的形状に対して多くの影響を及ぼす。
【0004】
ナノ構造は、様々な工業分野で多様な目的のために使用され得るものであり、典型的には水素を貯蔵するためのエネルギー貯蔵庫の役割を果たしている。
【0005】
水素は、枯渇の可能性がほとんどないあるいはまったくない無限のクリーン資源であると認知されている。これは水素が地球上の水から得られ、燃焼後水へ再循環されるためである。水素(エネルギー)は燃焼時に水以外の汚染物質を発生させないクリーンエネルギーであるため、様々な輸送手段または発電所システムを含む、ほとんど全ての分野で使用され得る。
【0006】
しかし、このような水素エネルギーの使用上の問題は、便利で経済的かつ安全な水素貯蔵システムがまだ開発されていないことである。
【0007】
従来の水素貯蔵法には、100気圧を超える圧下の高圧容器に水素を圧縮し貯蔵する物理的方法があるが、このような高圧容器を輸送手段上で使用することは、安全面で極めて危険である。水素を貯蔵する別の物理的方法には、沸点(20.3K)よりも低い極低温で水素を貯蔵する方法がある。この方法は、貯蔵する水素の量を減らすことで大量の水素を貯蔵し得る点で有利であるが、極低温を維持するための追加システム(冷却システム)が必要とされるため、経済面で極めて不利である。
【0008】
一方、水素貯蔵合金を用いて水素を貯蔵する化学的方法には水素貯蔵効率が高いという利点があるが、水素の貯蔵および放出が繰り返し実行され、不純物によって水素貯蔵合金が変形するため、水素貯蔵能が経時的に低下するという問題がある。さらに、合金は水素貯蔵媒体として使用されるため、単位体積あたりの重量が増加し、水素貯蔵媒体を輸送手段上で使用することが困難になる。
【0009】
水素を貯蔵するさらに別の方法には、固形材料で水素ガスを吸収し、貯蔵する方法がある。このような吸収法の中でもカーボンナノチューブまたはカーボンナノ構造材料を用いた水素貯蔵法の効率に関する様々な報告によれば、水素貯蔵効率は10重量%より大幅に高い。しかし、このような結果は再現性に欠けるため、こうした研究の多くは依然として進行中である。
【0010】
したがって、多くの研究は水素貯蔵法を開発し、米国エネルギー省(DOE)が設定した水素貯蔵目標である6.5%をこえる水素貯蔵効率、安全性、および経済効率を確保し、上述の問題を排除しようと現在進めているところである。
【0011】
電子情報電気通信デバイスおよび小型デバイスのエネルギー源であるリチウム二次電池は、リチウムイオンを可逆的に挿入・脱離できる材料で作られた陽極および陰極を含み、陽極と陰極の間に有機電解質または高分子電解質を注入することによって作製され、リチウムイオンが陽極および陰極に挿入・脱離される際の酸化/還元反応によって電気エネルギーを生ずる。リチウム二次電池の陰極活性物質である炭素系材料(非晶炭素または結晶炭素等)を主に使用する。陽極活性物質にはLiCoO2、LiNiO2、およびLiMn2O4があり、層状構造を有するあるいは結晶中に細流形のスペースを含むため、リチウムを吸収・放出し得る。酸化マンガン系陽極活性物質は温度変化に対し不安定であるが、他の活性物質と比較して廉価かつ環境にも無害であり、エネルギー密度が高いため、しばしば使用される。
【0012】
リチウムイオン二次電池において、陽極の充電/放電能は、粒子のサイズおよび構造によって異なる。具体的には、活性物質の粒子サイズが減少するとリチウムイオンの分散速度が増加し、陽極の充電/放電能が増大する。また、リチウムイオンが容易に分散し得る粒子構造を活性物質が有する場合も、陽極自体の充電/放電能は増加し得る。さらに、結晶構造の安定性は可逆性と密接に関係し、電池のサイクル寿命とも密接に関係する。したがって、異物を含まず、優れた結晶度を有する粉末の作製は、電池の性能を決定付ける重要な技術である。
【0013】
しかし、複合酸化金属を作製する以前の方法には、様々な複雑なステップを実行し、多くの施設や長期の時間が必要とされるという問題がある。複合酸化金属を合成する以前の方法においても、合成温度が高い、反応物質の粒子サイズが比較的大きい、そして活性物質の物理的特性(粒子の形状または表面特徴等)をコントロールするのが困難であるため、酸化物など限られた開始材料を使用しなければならない。したがって、単純な作製方法を用いてナノチューブの形態で純粋なLiMn2O4系化合物を入手し得るならば、リチウム二次電池の陽極活性物質としてこれらを適用してもよい。
【0014】
これまでナノチューブの形態で化合物を二次電池の陽極活性物質として使用した例はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、溶媒を使用せず、酸化マンガン前駆体および陰極酸化アルミニウムテンプレートのみを用いて均一なナノサイズの孔を有する酸化マンガンナノチューブ/ナノロッドを穏やかな条件で効率よく製造し得る方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、充電/放電能が高く、サイクル寿命が長いため優れた性能を有し、前述の方法で製造されたリチウム含有酸化マンガンナノチューブを含むリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するため、本発明は酸化マンガンナノチューブを製造する方法、すなわち真空ユニットと貯蔵ユニットの間に挿入したAAOテンプレートにより酸化マンガン前駆体を真空濾過し、酸化マンガンをAAOテンプレート表面上に吸着させる真空濾過ステップと、真空濾過ステップ後にAAOテンプレートに吸着させた酸化マンガン前駆体を加熱および乾燥させ、テンプレートの表面上に吸着させた酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップと、酸化ステップ後にNaOHまたはKOH水溶液中に、酸化させた酸化マンガンを吸着させたAAOテンプレートを浸漬させ、AAOテンプレートのみを溶解する溶解ステップと、溶解ステップで生成されるAAO溶液から固形の酸化マンガンナノチューブを分離する濾過ステップと、AAO溶液から分離された酸化マンガンナノチューブを乾燥させる乾燥ステップと、酸化マンガンナノチューブを乾燥させて不純物を除去する焼成ステップとを含む方法を提供する。
【0018】
本発明の別の態様によれば、酸化マンガンナノロッドを製造する方法、すなわちAAOテンプレートの表面をシランで処理し、表面を改良するステップと、表面を加熱したAAOテンプレートを真空成形装置に取り付けるステップと、酸化マンガンナノチューブを製造する前述の方法ステップを順次実行するステップを含む方法を提供する。AAOテンプレートをシランで処理するステップは、陰極酸化アルミニウムテンプレート0.174gをH2O 1.8〜9 g、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン1.89〜8.96 g、および低級アルコール500 mLの混合溶液中に5〜20分間浸漬し、浸漬させたAAOテンプレートを混合溶液から取り出す浸漬ステップと、浸漬ステップ後にAAOテンプレートの表面を低級アルコールで洗浄し、次にAAOテンプレート表面上に希ガスを吹き込む第1乾燥ステップと、乾燥させたAAOテンプレートを80〜120°Cの温度で5〜10分間処理する第2乾燥ステップとを含み得る。本明細書で使用される通り、「低級アルコール」は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、C1〜C5アルコールを意味する。
【0019】
真空濾過ステップにおける酸化マンガン前駆体として、本発明の実施例ではMn(NO3)2・H2Oを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乾燥ステップでAAOテンプレート上に吸着させて酸化マンガンを形成し、使用前に溶媒に溶解する必要がない液相であれば、本発明ではいかなる材料を使用してもよい。本発明の実施形態によれば、ナノチューブを製造する前のプロセスとは異なり、均一なナノサイズの孔を有する純粋な酸化マンガンナノチューブは、溶媒を使用せずに穏やかな条件で合成し得る。溶媒を使用する場合、溶媒または溶媒に含まれる極微量の他の化合物は不純物の役割を果たし得る。しかし、本発明によれば、溶媒は使用しないため、溶媒を起因とする不純物に関する懸念はない。
【0020】
また、AAOテンプレートは、好ましくは孔サイズが180〜250 nm、厚さ40〜80μmである。孔サイズの平均が180 nm未満のテンプレートを使用する場合、結果として生じるナノチューブの形状は正確に形成されない。一方、孔サイズが250 nmを超えるAAOテンプレートは、ナノ構造体、特にエネルギー貯蔵庫として使用されるナノ構造体を形成するには不適切である。
【0021】
真空濾過ステップにおいては、酸化マンガン前駆体は、AAOテンプレートを十分湿潤させ得る量で使用しなければならないため、酸化マンガン前駆体の使用量はテンプレートのサイズによって決まる。テンプレートが十分湿潤していなければ、酸化マンガン前駆体は湿潤されていない部分上には吸着されないため、酸化マンガン前駆体を十分用いてテンプレートを完全に湿潤させなければならない。テンプレートへの吸着後に残る酸化マンガン前駆体部分は除去するため、酸化マンガン前駆体を過剰に使用してもよい。しかし、この場合、経済面で大きな損失が出るため、AAOテンプレートのサイズを考慮して、酸化マンガン前駆体は、好ましくは適量で使用する。
【0022】
酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップは、好ましくは酸素存在下にて80〜150°Cの温度で1〜4時間実行するため、吸着させた酸化マンガン前駆体は十分に酸化され得る。本明細書で使用される通り、「酸素存在下」とは、酸化マンガン前駆体を熱処理するにあたって、この前駆体と反応する酸素が存在しなければならないことを意味する。したがって、前駆体を熱処理する際には、乾燥機に充填された酸素ガスも酸素供給のために使用してもよいが、経済的負担が生じるため、前駆体の熱処理は空気存在下で十分に実行する。
【0023】
溶解ステップで使用されるNaOHまたはKOH水溶液の濃度は、好ましくは1〜5 Mである。水溶液は、好ましくはAAOテンプレート0.174 g当たり50 mLを超える量で使用し、AAOテンプレートを十分に溶解する。
【0024】
溶解ステップで溶解されたAAOテンプレートは、固形物として残っている酸化マンガンナノチューブから濾過により分離される。濾過ステップではナノチューブを純水で十分に洗浄し、溶解したAAOテンプレートを含むNaOHまたはKOH溶液をナノチューブに残さない。本発明により濾過ステップで得られた酸化マンガンナノチューブは少量の水を含むため、80〜150°Cの温度で1〜4時間乾燥させ、水を除去する。乾燥後、酸化マンガンナノチューブを450〜550°Cで2〜3時間焼成し、水だけでなくナノチューブに残る不純物も除去し得る。
【0025】
乾燥ステップおよび焼成ステップにより得られた酸化マンガンナノチューブは、蒸留水に溶解したリチウム前駆体溶液中に浸漬し、次にリチウムに吸着した酸化マンガンナノチューブのみをこの溶液から分離し、減圧下の乾燥した空気中で乾燥させる。次に、リチウムが吸着した酸化マンガンナノチューブを、酸素存在下にて80〜150°Cの温度で1〜4時間熱処理することにより酸化する。続いて、酸化させたナノチューブを450〜550°Cの電気炉で2〜3時間焼成する。このようにして、リチウムを含む酸化マンガンナノチューブを製造し得る。
【0026】
本発明の実施例についてMn2O3ナノチューブ製造の観点からのみで記載したが、本発明により、酸化数、酸化時間、および酸化雰囲気によって酸化数が異なる酸化マンガンナノチューブを製造し得る。
【0027】
リチウム前駆体は、水酸化リチウム、ハロゲン化物、硝酸、炭酸、または硫酸であり、酸化マンガン前駆体とリチウム前駆体のモル比は、好ましくは1:0.1〜10である。より好ましくは、酸化マンガン前駆体に対しリチウム前駆体はモル比1:1〜3で添加される。本発明によるリチウム含有酸化マンガンナノチューブは、リチウムイオン二次電池の材料として適用し得る。
【0028】
リチウム前駆体水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜5 Mである。酸化マンガン前駆体およびリチウム前駆体を上述のモル比で使用する際、水溶液の濃度が過度に低い場合は、リチウムを酸化マンガンナノチューブに添加したときの効率が減少する可能性があり、水溶液の濃度が過度に高い場合は、酸化マンガンナノチューブはリチウム水溶液中に十分に浸漬されない。
【0029】
これまで酸化リチウムナノ粒子を含む電極材料に関して多くの研究が実施されてきたが、ナノチューブを含む電極材料に関する研究は一部でしか実施されていない。現在市販されているリチウムイオン二次電池の陽極活性物質には、LiCoO2、LiMnO2等があり、これらの材料は高結晶度を特徴としている。陽極活性物質の結晶度が高い場合、活性物質の構造は、電池の充電/放電による量の変化およびこの量の変化によるストレスによって破壊されるため、電池は理論上獲得できる容量を示すことができず、サイクル寿命が短くなる。ナノチューブから構成される陽極材料がこれらの問題を解決すると考えられる。これらの材料は結晶度が低く、構造が安定維持されるため、電池の充電/放電サイクルが改善される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、サイズが均一なナノチューブ/ナノロッドは、先行技術による金属ナノチューブ製造では不純物として作用する溶媒を使用せず、遷移金属前駆体とAAOテンプレートを用いて穏やかな条件で製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以後、本発明の構造、操作、および効果について、添付図および下の実施例を参照しながら詳細に説明する。しかし、これらの実施例は例示を目的としているだけであり、本発明の適用範囲を制限すると解釈されるものではないことを理解する。
【実施例1】
【0032】
酸化マンガンナノチューブの製造
【0033】
本実施例において酸化マンガンナノチューブを製造するため、硝酸(II)マンガン水和物(Mn(NO3)2・xH2O、98%、Aldrich)を使用し、テンプレートとして陽極47(Whatman)を使用した。テンプレートの主成分は陰極酸化アルミニウム(AAO)であった。このテンプレートの重要な物理的特性を下の表1に示す。
【0034】
図5に示される通り、まずAAOテンプレートを真空成形システムの貯蔵ユニット1とホルダー3の間に挿入し、システムにしっかりと取り付けた。次に(Mn(NO3)2・xH2O 1.79gを貯蔵ユニット1に入れ、真空ポンプ等ガス取込装置を用いて真空ユニット4内部を排気し、減圧した。
【0035】
次に真空ユニット4の内圧を下げ、貯蔵ユニットに充填したMn(NO3)2・xH2Oの大半をテンプレート2から真空ユニット4へ流し込み、一部をテンプレート2の表面上に吸着させた。真空ユニットを減圧下で約10分間維持したため、テンプレートの孔にMn(NO3)2・xH2Oは残らなかった。
【0036】
次にテンプレート2を真空成形システムから分離し、真空乾燥機において約40°Cで20分間乾燥させた。乾燥させたテンプレートを約100°Cの空気中で3時間引き続き乾燥させ、十分に酸化させた。
【0037】
次に酸化マンガン前駆体に吸着させた酸化テンプレートを1M NaOH溶液60 ml中に約1時間浸漬させ、テンプレート2を溶解させた。次にテンプレート溶液を蒸留水で十分に洗浄し、液体成分(溶液部分)と固形成分(ナノチューブ)に分離した。
【0038】
得られた固形成分に若干の水が含まれていたため、約100°Cの空気中で3時間加熱して水を除去し、約500°Cで約2時間焼成した。このようにして、ナノサイズの酸化マンガン粒子からなる酸化マンガンナノチューブが得られた。
【0039】
【表1】
【0040】
図1および図2は、本実施例の方法により作製された酸化マンガンナノチューブのSEM(走査型電子顕微鏡)写真およびTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。写真にみられる通り、本実施例おいて製造された酸化マンガンナノチューブには、ナノサイズの粒子からなる壁が含まれ、サイズが均一かつ表面積が極めて大きく、ナノチューブが水素を貯蔵するのに非常に有利な構造を有することを示している。
【0041】
図3は、本実施例において製造された酸化マンガンナノチューブのエネルギー分散スペクトルを示し、図3にみられる通り、ナノチューブはマンガンと酸素のみからなる。図4にみられる通り、製造された酸化マンガンナノチューブはMn2O3構造を有する。
【実施例2】
【0042】
酸化マンガンナノロッドの製造
【0043】
硝酸(II)マンガン水和物(Mn(NO3)2・xH2O、98%、Aldrich)を酸化マンガン前駆体として使用し、陽極47(Whatman)については表面を3‐アミノプロピルトリメトキシシランで処理し、テンプレートとして使用した。
【0044】
まずテンプレートは、H2O 5g、2‐プロパノール180 g、および3‐アミノプロピル5 gの混合溶液中に10分間浸漬することによって表面処理した。次に混合溶液からテンプレートを取り出し、その表面を2‐プロパノール溶液で洗浄し、N2ガスの吹き込みによって自然乾燥させ、テンプレートを100°Cで8分間加熱することによって乾燥させた。上述の手続きを3回繰り返した。
【0045】
次に表面処理したテンプレートを、上述の酸化マンガンナノチューブの製造で使用した真空濾過装置により濾過し、実施例1と同じプロセスにかけて酸化マンガンナノロッドを製造した。
【0046】
図6および図7は、本実施例により作製された酸化マンガンナノロッドのSEM(走査型電子顕微鏡)写真およびTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。写真にみられる通り、真空成形装置に取り付けられたシラン処理したAAOテンプレートに酸化マンガン前駆体を通すことによって製造された酸化マンガンナノロッドは、ナノサイズの多数のフレークからなる構造を有する。
【比較実施例1】
【0047】
水溶液における酸化マンガン前駆体を用いた酸化マンガン粒子の調製
【0048】
硝酸(II)マンガン水和物(Mn(NO3)2・xH2O、98%、Aldrich)を酸化マンガン前駆体として使用し、テンプレートとして陽極47(Whatman)を使用した。
【0049】
酸化マンガン粒子は、蒸留水1 mlで希釈した酸化マンガン前駆体0.01モルを使用したことを除けば、実施例1と同じプロセスで調製した。
【0050】
図8は、本比較実施例1の方法により作製された酸化マンガン粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。図8にみられる通り、蒸留水に溶解した酸化マンガン前駆体を用いたとき、チューブおよびロッドの形状は形成されなかった。
【実施例3】
【0051】
リチウム含有酸化マンガンナノチューブの製造
【0052】
実施例1で製造された酸化マンガンナノチューブは、1 M硝酸リチウム(LiNO3)水溶液中に1時間浸漬し、リチウムに吸着した酸化マンガンナノチューブのみをこの溶液から分離し、真空乾燥機において40°Cで4時間乾燥させた。次にリチウムが吸着した酸化マンガンナノチューブを乾燥機において100°Cの空気中で3時間乾燥させ、乾燥させたリチウムが吸着した酸化マンガンを電気炉において500°Cの空気中で2時間焼成し、リチウム含有酸化マンガンナノチューブを製造した。
【0053】
図9は、リチウム含有酸化マンガンナノチューブのX線回析パターンのグラフである。図9にみられる通り、酸化マンガンナノチューブは、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)の典型的なX線回析パターンを示した。図10は、リチウム含有酸化マンガンナノチューブのSEM写真である。図10にみられる通り、ナノチューブの形状は、その上にリチウムを付加しても維持された。
【0054】
リチウム含有酸化マンガンナノチューブについて、エネルギー最小化による分子動力学的方法によってシミュレートした。
【0055】
図11は、LiMnO2ナノチューブのコンピューター・シミュレーションの結果を示す。図11にみられる通り、酸化マンガンナノチューブのスペースにリチウムイオンが存在している。
【実施例4】
【0056】
リチウム含有酸化マンガンナノチューブを含む二次電池の電気容量試験
【0057】
実施例3で製造された酸化マンガンナノチューブ、Super P Black、およびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を重量比85:10:5で混合し、その上に結合剤としてPVDF/NMP(N‐メチル‐2‐ピロリドン)を4%の比率で付加し、電極混合物を調製した。この電極混合物を10μm厚さの銅薄膜の片面上に塗布した。次に結果として生じる塗膜を100°Cで10時間乾燥させ、室温まで冷却し、厚さを60μmから40μmまで圧縮した(約70%のレベル)。圧縮させた塗膜を10 mm厚さのディスクで押抜き、リチウム対極(FMC)と分離器(Tonen)を用いて2032電池を作製した。
【0058】
本実施例で製造されたリチウム二次電池LiMn2O4電極の酸化還元特徴(電気化学反応および安定性)について調べるため、二次電池のボルタンモグラムを測定した。測定結果を図12および図13に示す。図12は、リチウム二次電池の電解液である1M LiPF6EC(エチレンカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)電解質塩において走査速度0.02 mV/秒、1.8 V〜4.2 Vの範囲の電位で測定したサイクリックボルタンモグラムである。図13は、上述の電解質において走査速度2 mV/秒、5.5 V〜4.5 Vの範囲の電位で複数回測定したサイクリックボルタンモグラムである。
【0059】
図14は、LiMn2O4電極の酸化/還元電位に基づいてインピーダンス特徴を測定することによって得た典型的なナイキストのグラフである。周波数領域は、5 mHz〜1000 kHzである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の製造法によって得られた遷移金属ナノチューブまたはナノロッドは、特定の表面積が極めて大きいため、比較的少量で大量の水素を貯蔵し、貯蔵した水素を安全に輸送することができる。また、ナノチューブまたはナノロッドは水素貯蔵庫の役割を果たすことも可能であり、リチウム二次電池の電極として使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのSEM写真。
【図2】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのTEM写真。
【図3】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのエネルギー分散スペクトルを示すグラフ。
【図4】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのX線回析パターンのグラフ。
【図5】本発明による酸化マンガンナノチューブ製造において使用される真空濾過装置図。
【図6】本発明の別の実施形態により製造された酸化マンガンナノロッドのSEM写真。
【図7】本発明の別の実施形態により製造された酸化マンガンナノロッドのTEM写真。
【図8】酸化マンガン前駆体を蒸留水に溶解することによって調製される酸化マンガン粒子のSEM写真。
【図9】本発明の1つの実施形態によるリチウム含有酸化マンガンナノチューブのX線回析パターンのグラフ。
【図10】本発明の1つの実施形態によるリチウム含有酸化マンガンナノチューブのSEM写真。
【図11】LiMnO2ナノチューブのコンピューター・シミュレーション図。
【図12】実施例4で製造されたリチウム二次電池の走査速度0.02 mV/秒で測定したサイクリックボルタンモグラム。
【図13】実施例4で製造されたリチウム二次電池の走査速度0.02 mV/秒で測定したサイクリックボルタンモグラム。
【図14】実施例4で製造されたLiMn2O4電極の酸化/還元電位によるインピーダンスの特徴を示すグラフ。
【符号の説明】
【0062】
1:貯蔵ユニット
2:テンプレート
3:ホルダー
4:真空ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒を使用せず、経済的かつ効率的な方法で、陰極酸化アルミニウムテンプレート(AAO)および酸化マンガン前駆体のみを用いて酸化マンガンナノチューブまたはナノロッドを製造し得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、陰極酸化アルミニウム(以後AAO)テンプレートにおける化学蒸着法によるカーボンナノチューブの合成、AAOテンプレートの内壁におけるナトリウムを含むナノチューブの形成、およびAAOテンプレートを用いたLiMn2O4ナノワイヤーの合成など、AAOテンプレートを用いてナノ構造を合成しようとする試みは数多くあった。
【0003】
概して、AAOテンプレートを用いたナノ構造の製造(合成)法の利点は、製造されるナノ構造が垂直かつ均一な円柱形を有し、密度が高いことである。AAOテンプレートはナノチューブ/ナノロッドを生成する反応に直接関与しないが、ナノ構造の物理的形状に対して多くの影響を及ぼす。
【0004】
ナノ構造は、様々な工業分野で多様な目的のために使用され得るものであり、典型的には水素を貯蔵するためのエネルギー貯蔵庫の役割を果たしている。
【0005】
水素は、枯渇の可能性がほとんどないあるいはまったくない無限のクリーン資源であると認知されている。これは水素が地球上の水から得られ、燃焼後水へ再循環されるためである。水素(エネルギー)は燃焼時に水以外の汚染物質を発生させないクリーンエネルギーであるため、様々な輸送手段または発電所システムを含む、ほとんど全ての分野で使用され得る。
【0006】
しかし、このような水素エネルギーの使用上の問題は、便利で経済的かつ安全な水素貯蔵システムがまだ開発されていないことである。
【0007】
従来の水素貯蔵法には、100気圧を超える圧下の高圧容器に水素を圧縮し貯蔵する物理的方法があるが、このような高圧容器を輸送手段上で使用することは、安全面で極めて危険である。水素を貯蔵する別の物理的方法には、沸点(20.3K)よりも低い極低温で水素を貯蔵する方法がある。この方法は、貯蔵する水素の量を減らすことで大量の水素を貯蔵し得る点で有利であるが、極低温を維持するための追加システム(冷却システム)が必要とされるため、経済面で極めて不利である。
【0008】
一方、水素貯蔵合金を用いて水素を貯蔵する化学的方法には水素貯蔵効率が高いという利点があるが、水素の貯蔵および放出が繰り返し実行され、不純物によって水素貯蔵合金が変形するため、水素貯蔵能が経時的に低下するという問題がある。さらに、合金は水素貯蔵媒体として使用されるため、単位体積あたりの重量が増加し、水素貯蔵媒体を輸送手段上で使用することが困難になる。
【0009】
水素を貯蔵するさらに別の方法には、固形材料で水素ガスを吸収し、貯蔵する方法がある。このような吸収法の中でもカーボンナノチューブまたはカーボンナノ構造材料を用いた水素貯蔵法の効率に関する様々な報告によれば、水素貯蔵効率は10重量%より大幅に高い。しかし、このような結果は再現性に欠けるため、こうした研究の多くは依然として進行中である。
【0010】
したがって、多くの研究は水素貯蔵法を開発し、米国エネルギー省(DOE)が設定した水素貯蔵目標である6.5%をこえる水素貯蔵効率、安全性、および経済効率を確保し、上述の問題を排除しようと現在進めているところである。
【0011】
電子情報電気通信デバイスおよび小型デバイスのエネルギー源であるリチウム二次電池は、リチウムイオンを可逆的に挿入・脱離できる材料で作られた陽極および陰極を含み、陽極と陰極の間に有機電解質または高分子電解質を注入することによって作製され、リチウムイオンが陽極および陰極に挿入・脱離される際の酸化/還元反応によって電気エネルギーを生ずる。リチウム二次電池の陰極活性物質である炭素系材料(非晶炭素または結晶炭素等)を主に使用する。陽極活性物質にはLiCoO2、LiNiO2、およびLiMn2O4があり、層状構造を有するあるいは結晶中に細流形のスペースを含むため、リチウムを吸収・放出し得る。酸化マンガン系陽極活性物質は温度変化に対し不安定であるが、他の活性物質と比較して廉価かつ環境にも無害であり、エネルギー密度が高いため、しばしば使用される。
【0012】
リチウムイオン二次電池において、陽極の充電/放電能は、粒子のサイズおよび構造によって異なる。具体的には、活性物質の粒子サイズが減少するとリチウムイオンの分散速度が増加し、陽極の充電/放電能が増大する。また、リチウムイオンが容易に分散し得る粒子構造を活性物質が有する場合も、陽極自体の充電/放電能は増加し得る。さらに、結晶構造の安定性は可逆性と密接に関係し、電池のサイクル寿命とも密接に関係する。したがって、異物を含まず、優れた結晶度を有する粉末の作製は、電池の性能を決定付ける重要な技術である。
【0013】
しかし、複合酸化金属を作製する以前の方法には、様々な複雑なステップを実行し、多くの施設や長期の時間が必要とされるという問題がある。複合酸化金属を合成する以前の方法においても、合成温度が高い、反応物質の粒子サイズが比較的大きい、そして活性物質の物理的特性(粒子の形状または表面特徴等)をコントロールするのが困難であるため、酸化物など限られた開始材料を使用しなければならない。したがって、単純な作製方法を用いてナノチューブの形態で純粋なLiMn2O4系化合物を入手し得るならば、リチウム二次電池の陽極活性物質としてこれらを適用してもよい。
【0014】
これまでナノチューブの形態で化合物を二次電池の陽極活性物質として使用した例はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、溶媒を使用せず、酸化マンガン前駆体および陰極酸化アルミニウムテンプレートのみを用いて均一なナノサイズの孔を有する酸化マンガンナノチューブ/ナノロッドを穏やかな条件で効率よく製造し得る方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、充電/放電能が高く、サイクル寿命が長いため優れた性能を有し、前述の方法で製造されたリチウム含有酸化マンガンナノチューブを含むリチウム二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するため、本発明は酸化マンガンナノチューブを製造する方法、すなわち真空ユニットと貯蔵ユニットの間に挿入したAAOテンプレートにより酸化マンガン前駆体を真空濾過し、酸化マンガンをAAOテンプレート表面上に吸着させる真空濾過ステップと、真空濾過ステップ後にAAOテンプレートに吸着させた酸化マンガン前駆体を加熱および乾燥させ、テンプレートの表面上に吸着させた酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップと、酸化ステップ後にNaOHまたはKOH水溶液中に、酸化させた酸化マンガンを吸着させたAAOテンプレートを浸漬させ、AAOテンプレートのみを溶解する溶解ステップと、溶解ステップで生成されるAAO溶液から固形の酸化マンガンナノチューブを分離する濾過ステップと、AAO溶液から分離された酸化マンガンナノチューブを乾燥させる乾燥ステップと、酸化マンガンナノチューブを乾燥させて不純物を除去する焼成ステップとを含む方法を提供する。
【0018】
本発明の別の態様によれば、酸化マンガンナノロッドを製造する方法、すなわちAAOテンプレートの表面をシランで処理し、表面を改良するステップと、表面を加熱したAAOテンプレートを真空成形装置に取り付けるステップと、酸化マンガンナノチューブを製造する前述の方法ステップを順次実行するステップを含む方法を提供する。AAOテンプレートをシランで処理するステップは、陰極酸化アルミニウムテンプレート0.174gをH2O 1.8〜9 g、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン1.89〜8.96 g、および低級アルコール500 mLの混合溶液中に5〜20分間浸漬し、浸漬させたAAOテンプレートを混合溶液から取り出す浸漬ステップと、浸漬ステップ後にAAOテンプレートの表面を低級アルコールで洗浄し、次にAAOテンプレート表面上に希ガスを吹き込む第1乾燥ステップと、乾燥させたAAOテンプレートを80〜120°Cの温度で5〜10分間処理する第2乾燥ステップとを含み得る。本明細書で使用される通り、「低級アルコール」は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、C1〜C5アルコールを意味する。
【0019】
真空濾過ステップにおける酸化マンガン前駆体として、本発明の実施例ではMn(NO3)2・H2Oを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乾燥ステップでAAOテンプレート上に吸着させて酸化マンガンを形成し、使用前に溶媒に溶解する必要がない液相であれば、本発明ではいかなる材料を使用してもよい。本発明の実施形態によれば、ナノチューブを製造する前のプロセスとは異なり、均一なナノサイズの孔を有する純粋な酸化マンガンナノチューブは、溶媒を使用せずに穏やかな条件で合成し得る。溶媒を使用する場合、溶媒または溶媒に含まれる極微量の他の化合物は不純物の役割を果たし得る。しかし、本発明によれば、溶媒は使用しないため、溶媒を起因とする不純物に関する懸念はない。
【0020】
また、AAOテンプレートは、好ましくは孔サイズが180〜250 nm、厚さ40〜80μmである。孔サイズの平均が180 nm未満のテンプレートを使用する場合、結果として生じるナノチューブの形状は正確に形成されない。一方、孔サイズが250 nmを超えるAAOテンプレートは、ナノ構造体、特にエネルギー貯蔵庫として使用されるナノ構造体を形成するには不適切である。
【0021】
真空濾過ステップにおいては、酸化マンガン前駆体は、AAOテンプレートを十分湿潤させ得る量で使用しなければならないため、酸化マンガン前駆体の使用量はテンプレートのサイズによって決まる。テンプレートが十分湿潤していなければ、酸化マンガン前駆体は湿潤されていない部分上には吸着されないため、酸化マンガン前駆体を十分用いてテンプレートを完全に湿潤させなければならない。テンプレートへの吸着後に残る酸化マンガン前駆体部分は除去するため、酸化マンガン前駆体を過剰に使用してもよい。しかし、この場合、経済面で大きな損失が出るため、AAOテンプレートのサイズを考慮して、酸化マンガン前駆体は、好ましくは適量で使用する。
【0022】
酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップは、好ましくは酸素存在下にて80〜150°Cの温度で1〜4時間実行するため、吸着させた酸化マンガン前駆体は十分に酸化され得る。本明細書で使用される通り、「酸素存在下」とは、酸化マンガン前駆体を熱処理するにあたって、この前駆体と反応する酸素が存在しなければならないことを意味する。したがって、前駆体を熱処理する際には、乾燥機に充填された酸素ガスも酸素供給のために使用してもよいが、経済的負担が生じるため、前駆体の熱処理は空気存在下で十分に実行する。
【0023】
溶解ステップで使用されるNaOHまたはKOH水溶液の濃度は、好ましくは1〜5 Mである。水溶液は、好ましくはAAOテンプレート0.174 g当たり50 mLを超える量で使用し、AAOテンプレートを十分に溶解する。
【0024】
溶解ステップで溶解されたAAOテンプレートは、固形物として残っている酸化マンガンナノチューブから濾過により分離される。濾過ステップではナノチューブを純水で十分に洗浄し、溶解したAAOテンプレートを含むNaOHまたはKOH溶液をナノチューブに残さない。本発明により濾過ステップで得られた酸化マンガンナノチューブは少量の水を含むため、80〜150°Cの温度で1〜4時間乾燥させ、水を除去する。乾燥後、酸化マンガンナノチューブを450〜550°Cで2〜3時間焼成し、水だけでなくナノチューブに残る不純物も除去し得る。
【0025】
乾燥ステップおよび焼成ステップにより得られた酸化マンガンナノチューブは、蒸留水に溶解したリチウム前駆体溶液中に浸漬し、次にリチウムに吸着した酸化マンガンナノチューブのみをこの溶液から分離し、減圧下の乾燥した空気中で乾燥させる。次に、リチウムが吸着した酸化マンガンナノチューブを、酸素存在下にて80〜150°Cの温度で1〜4時間熱処理することにより酸化する。続いて、酸化させたナノチューブを450〜550°Cの電気炉で2〜3時間焼成する。このようにして、リチウムを含む酸化マンガンナノチューブを製造し得る。
【0026】
本発明の実施例についてMn2O3ナノチューブ製造の観点からのみで記載したが、本発明により、酸化数、酸化時間、および酸化雰囲気によって酸化数が異なる酸化マンガンナノチューブを製造し得る。
【0027】
リチウム前駆体は、水酸化リチウム、ハロゲン化物、硝酸、炭酸、または硫酸であり、酸化マンガン前駆体とリチウム前駆体のモル比は、好ましくは1:0.1〜10である。より好ましくは、酸化マンガン前駆体に対しリチウム前駆体はモル比1:1〜3で添加される。本発明によるリチウム含有酸化マンガンナノチューブは、リチウムイオン二次電池の材料として適用し得る。
【0028】
リチウム前駆体水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜5 Mである。酸化マンガン前駆体およびリチウム前駆体を上述のモル比で使用する際、水溶液の濃度が過度に低い場合は、リチウムを酸化マンガンナノチューブに添加したときの効率が減少する可能性があり、水溶液の濃度が過度に高い場合は、酸化マンガンナノチューブはリチウム水溶液中に十分に浸漬されない。
【0029】
これまで酸化リチウムナノ粒子を含む電極材料に関して多くの研究が実施されてきたが、ナノチューブを含む電極材料に関する研究は一部でしか実施されていない。現在市販されているリチウムイオン二次電池の陽極活性物質には、LiCoO2、LiMnO2等があり、これらの材料は高結晶度を特徴としている。陽極活性物質の結晶度が高い場合、活性物質の構造は、電池の充電/放電による量の変化およびこの量の変化によるストレスによって破壊されるため、電池は理論上獲得できる容量を示すことができず、サイクル寿命が短くなる。ナノチューブから構成される陽極材料がこれらの問題を解決すると考えられる。これらの材料は結晶度が低く、構造が安定維持されるため、電池の充電/放電サイクルが改善される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、サイズが均一なナノチューブ/ナノロッドは、先行技術による金属ナノチューブ製造では不純物として作用する溶媒を使用せず、遷移金属前駆体とAAOテンプレートを用いて穏やかな条件で製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以後、本発明の構造、操作、および効果について、添付図および下の実施例を参照しながら詳細に説明する。しかし、これらの実施例は例示を目的としているだけであり、本発明の適用範囲を制限すると解釈されるものではないことを理解する。
【実施例1】
【0032】
酸化マンガンナノチューブの製造
【0033】
本実施例において酸化マンガンナノチューブを製造するため、硝酸(II)マンガン水和物(Mn(NO3)2・xH2O、98%、Aldrich)を使用し、テンプレートとして陽極47(Whatman)を使用した。テンプレートの主成分は陰極酸化アルミニウム(AAO)であった。このテンプレートの重要な物理的特性を下の表1に示す。
【0034】
図5に示される通り、まずAAOテンプレートを真空成形システムの貯蔵ユニット1とホルダー3の間に挿入し、システムにしっかりと取り付けた。次に(Mn(NO3)2・xH2O 1.79gを貯蔵ユニット1に入れ、真空ポンプ等ガス取込装置を用いて真空ユニット4内部を排気し、減圧した。
【0035】
次に真空ユニット4の内圧を下げ、貯蔵ユニットに充填したMn(NO3)2・xH2Oの大半をテンプレート2から真空ユニット4へ流し込み、一部をテンプレート2の表面上に吸着させた。真空ユニットを減圧下で約10分間維持したため、テンプレートの孔にMn(NO3)2・xH2Oは残らなかった。
【0036】
次にテンプレート2を真空成形システムから分離し、真空乾燥機において約40°Cで20分間乾燥させた。乾燥させたテンプレートを約100°Cの空気中で3時間引き続き乾燥させ、十分に酸化させた。
【0037】
次に酸化マンガン前駆体に吸着させた酸化テンプレートを1M NaOH溶液60 ml中に約1時間浸漬させ、テンプレート2を溶解させた。次にテンプレート溶液を蒸留水で十分に洗浄し、液体成分(溶液部分)と固形成分(ナノチューブ)に分離した。
【0038】
得られた固形成分に若干の水が含まれていたため、約100°Cの空気中で3時間加熱して水を除去し、約500°Cで約2時間焼成した。このようにして、ナノサイズの酸化マンガン粒子からなる酸化マンガンナノチューブが得られた。
【0039】
【表1】
【0040】
図1および図2は、本実施例の方法により作製された酸化マンガンナノチューブのSEM(走査型電子顕微鏡)写真およびTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。写真にみられる通り、本実施例おいて製造された酸化マンガンナノチューブには、ナノサイズの粒子からなる壁が含まれ、サイズが均一かつ表面積が極めて大きく、ナノチューブが水素を貯蔵するのに非常に有利な構造を有することを示している。
【0041】
図3は、本実施例において製造された酸化マンガンナノチューブのエネルギー分散スペクトルを示し、図3にみられる通り、ナノチューブはマンガンと酸素のみからなる。図4にみられる通り、製造された酸化マンガンナノチューブはMn2O3構造を有する。
【実施例2】
【0042】
酸化マンガンナノロッドの製造
【0043】
硝酸(II)マンガン水和物(Mn(NO3)2・xH2O、98%、Aldrich)を酸化マンガン前駆体として使用し、陽極47(Whatman)については表面を3‐アミノプロピルトリメトキシシランで処理し、テンプレートとして使用した。
【0044】
まずテンプレートは、H2O 5g、2‐プロパノール180 g、および3‐アミノプロピル5 gの混合溶液中に10分間浸漬することによって表面処理した。次に混合溶液からテンプレートを取り出し、その表面を2‐プロパノール溶液で洗浄し、N2ガスの吹き込みによって自然乾燥させ、テンプレートを100°Cで8分間加熱することによって乾燥させた。上述の手続きを3回繰り返した。
【0045】
次に表面処理したテンプレートを、上述の酸化マンガンナノチューブの製造で使用した真空濾過装置により濾過し、実施例1と同じプロセスにかけて酸化マンガンナノロッドを製造した。
【0046】
図6および図7は、本実施例により作製された酸化マンガンナノロッドのSEM(走査型電子顕微鏡)写真およびTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。写真にみられる通り、真空成形装置に取り付けられたシラン処理したAAOテンプレートに酸化マンガン前駆体を通すことによって製造された酸化マンガンナノロッドは、ナノサイズの多数のフレークからなる構造を有する。
【比較実施例1】
【0047】
水溶液における酸化マンガン前駆体を用いた酸化マンガン粒子の調製
【0048】
硝酸(II)マンガン水和物(Mn(NO3)2・xH2O、98%、Aldrich)を酸化マンガン前駆体として使用し、テンプレートとして陽極47(Whatman)を使用した。
【0049】
酸化マンガン粒子は、蒸留水1 mlで希釈した酸化マンガン前駆体0.01モルを使用したことを除けば、実施例1と同じプロセスで調製した。
【0050】
図8は、本比較実施例1の方法により作製された酸化マンガン粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。図8にみられる通り、蒸留水に溶解した酸化マンガン前駆体を用いたとき、チューブおよびロッドの形状は形成されなかった。
【実施例3】
【0051】
リチウム含有酸化マンガンナノチューブの製造
【0052】
実施例1で製造された酸化マンガンナノチューブは、1 M硝酸リチウム(LiNO3)水溶液中に1時間浸漬し、リチウムに吸着した酸化マンガンナノチューブのみをこの溶液から分離し、真空乾燥機において40°Cで4時間乾燥させた。次にリチウムが吸着した酸化マンガンナノチューブを乾燥機において100°Cの空気中で3時間乾燥させ、乾燥させたリチウムが吸着した酸化マンガンを電気炉において500°Cの空気中で2時間焼成し、リチウム含有酸化マンガンナノチューブを製造した。
【0053】
図9は、リチウム含有酸化マンガンナノチューブのX線回析パターンのグラフである。図9にみられる通り、酸化マンガンナノチューブは、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)の典型的なX線回析パターンを示した。図10は、リチウム含有酸化マンガンナノチューブのSEM写真である。図10にみられる通り、ナノチューブの形状は、その上にリチウムを付加しても維持された。
【0054】
リチウム含有酸化マンガンナノチューブについて、エネルギー最小化による分子動力学的方法によってシミュレートした。
【0055】
図11は、LiMnO2ナノチューブのコンピューター・シミュレーションの結果を示す。図11にみられる通り、酸化マンガンナノチューブのスペースにリチウムイオンが存在している。
【実施例4】
【0056】
リチウム含有酸化マンガンナノチューブを含む二次電池の電気容量試験
【0057】
実施例3で製造された酸化マンガンナノチューブ、Super P Black、およびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を重量比85:10:5で混合し、その上に結合剤としてPVDF/NMP(N‐メチル‐2‐ピロリドン)を4%の比率で付加し、電極混合物を調製した。この電極混合物を10μm厚さの銅薄膜の片面上に塗布した。次に結果として生じる塗膜を100°Cで10時間乾燥させ、室温まで冷却し、厚さを60μmから40μmまで圧縮した(約70%のレベル)。圧縮させた塗膜を10 mm厚さのディスクで押抜き、リチウム対極(FMC)と分離器(Tonen)を用いて2032電池を作製した。
【0058】
本実施例で製造されたリチウム二次電池LiMn2O4電極の酸化還元特徴(電気化学反応および安定性)について調べるため、二次電池のボルタンモグラムを測定した。測定結果を図12および図13に示す。図12は、リチウム二次電池の電解液である1M LiPF6EC(エチレンカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)電解質塩において走査速度0.02 mV/秒、1.8 V〜4.2 Vの範囲の電位で測定したサイクリックボルタンモグラムである。図13は、上述の電解質において走査速度2 mV/秒、5.5 V〜4.5 Vの範囲の電位で複数回測定したサイクリックボルタンモグラムである。
【0059】
図14は、LiMn2O4電極の酸化/還元電位に基づいてインピーダンス特徴を測定することによって得た典型的なナイキストのグラフである。周波数領域は、5 mHz〜1000 kHzである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の製造法によって得られた遷移金属ナノチューブまたはナノロッドは、特定の表面積が極めて大きいため、比較的少量で大量の水素を貯蔵し、貯蔵した水素を安全に輸送することができる。また、ナノチューブまたはナノロッドは水素貯蔵庫の役割を果たすことも可能であり、リチウム二次電池の電極として使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのSEM写真。
【図2】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのTEM写真。
【図3】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのエネルギー分散スペクトルを示すグラフ。
【図4】本発明の1つの実施形態による酸化マンガンナノチューブのX線回析パターンのグラフ。
【図5】本発明による酸化マンガンナノチューブ製造において使用される真空濾過装置図。
【図6】本発明の別の実施形態により製造された酸化マンガンナノロッドのSEM写真。
【図7】本発明の別の実施形態により製造された酸化マンガンナノロッドのTEM写真。
【図8】酸化マンガン前駆体を蒸留水に溶解することによって調製される酸化マンガン粒子のSEM写真。
【図9】本発明の1つの実施形態によるリチウム含有酸化マンガンナノチューブのX線回析パターンのグラフ。
【図10】本発明の1つの実施形態によるリチウム含有酸化マンガンナノチューブのSEM写真。
【図11】LiMnO2ナノチューブのコンピューター・シミュレーション図。
【図12】実施例4で製造されたリチウム二次電池の走査速度0.02 mV/秒で測定したサイクリックボルタンモグラム。
【図13】実施例4で製造されたリチウム二次電池の走査速度0.02 mV/秒で測定したサイクリックボルタンモグラム。
【図14】実施例4で製造されたLiMn2O4電極の酸化/還元電位によるインピーダンスの特徴を示すグラフ。
【符号の説明】
【0062】
1:貯蔵ユニット
2:テンプレート
3:ホルダー
4:真空ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)真空ユニットと貯蔵ユニットの間に挿入したAAOテンプレートにより酸化マンガン前駆体を真空濾過し、前記酸化マンガン前駆体を前記AAOテンプレート表面上に吸着させる真空濾過ステップと、
(B)前記真空濾過ステップ後に前記酸化マンガン前駆体を吸着させたAAOテンプレートを加熱および乾燥させ、テンプレートの表面上に吸着させた前記酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップと、
(C)酸化ステップ後にNaOHまたはKOH水溶液中に、酸化させた酸化マンガンを吸着させたAAOテンプレートを浸漬させ、前記AAOテンプレートのみを溶解する溶解ステップと、
(D)前記溶解ステップで生成されるAAO溶液から固形の酸化マンガンナノチューブを分離する濾過ステップと、
(E)前記AAO溶液から分離された前記酸化マンガンナノチューブを乾燥させる乾燥ステップと、
(F)前記乾燥させた酸化マンガンナノチューブを焼成するステップとを含む、
酸化マンガンナノチューブを製造する、方法。
【請求項2】
前記酸化マンガン前駆体がMn(NO3)2・xH2Oであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陰極酸化アルミニウムテンプレートの孔サイズが180〜250 nm、厚さが40〜80μmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(A)含浸プロセスによりリチウム前駆体と水を請求項1の酸化マンガンナノチューブに付加し、前記リチウム前駆体と前記酸化マンガンナノチューブの間でイオン交換を実行してリチウムを酸化マンガンナノチューブへ付加するイオン交換ステップと、
(B)前記リチウム含有酸化マンガンナノチューブを真空乾燥する真空乾燥ステップと、
(C)前記酸化マンガンナノチューブに付加した前記リチウム前駆体を熱処理して前記リチウム前駆体を酸化させる酸化ステップと、
(D)ステップ(C)から生じる前記酸化マンガンナノチューブを450〜550°Cの温度で焼成する焼成ステップとを含む、
リチウム含有酸化マンガンナノチューブを製造する、方法。
【請求項5】
陽極活性物質として請求項4の前記リチウム含有酸化マンガンナノチューブを含む、二次電池。
【請求項6】
(A)真空ユニットと貯蔵ユニットの間に挿入したAAOテンプレートにより酸化マンガン前駆体を真空濾過し、前記酸化マンガン前駆体を前記AAOテンプレート表面上に吸着させた場合に、
(a)陰極酸化アルミニウムテンプレートをH2O 0.1〜0.5モル、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン0.01〜0.05モル、および2‐プロパノール1〜5モルの混合溶液に5〜20分間浸漬し、浸漬させたテンプレートを前記混合溶液から取り出す浸漬ステップと、
(b)前記浸漬ステップ後に前記陰極酸化アルミニウムテンプレートの表面を2‐プロパノール溶液で洗浄し、前記表面上に希ガスを吹き込む第1乾燥ステップと、
(c)第1乾燥ステップから生じる前記陰極酸化アルミニウムテンプレートを80〜120°Cの温度で5〜10分間加熱する第2乾燥ステップからなるシラン処理プロセスにより、陰極酸化アルミニウムテンプレートの表面が改良される真空濾過ステップと、
(B)前記真空濾過ステップ後に前記陰極酸化アルミニウムテンプレートに吸着させた前記酸化マンガン前駆体を加熱および乾燥させ、前記テンプレートの表面上に吸着させた前記酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップと、
(C)前記酸化ステップ後にNaOHまたはKOH水溶液中に、酸化させた酸化マンガンを吸着させた前記陰極酸化アルミニウムテンプレートを浸漬させ、前記陰極酸化アルミニウムテンプレートのみを溶解する溶解ステップと、
(D)前記溶解ステップで生成される前記陰極酸化アルミニウム溶液から固形の酸化マンガンナノロッドを分離する濾過ステップと、
(E)前記陰極酸化アルミニウム溶液から分離された前記酸化マンガンナノロッドを乾燥させる乾燥ステップと、
(F)前記乾燥させた酸化マンガンナノロッドを焼成する焼成ステップとを含む、
酸化マンガンナノロッドを製造する、方法。
【請求項7】
前記酸化マンガン前駆体がMn(NO3)2・xH2Oであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
(A)真空ユニットと貯蔵ユニットの間に挿入したAAOテンプレートにより酸化マンガン前駆体を真空濾過し、前記酸化マンガン前駆体を前記AAOテンプレート表面上に吸着させる真空濾過ステップと、
(B)前記真空濾過ステップ後に前記酸化マンガン前駆体を吸着させたAAOテンプレートを加熱および乾燥させ、テンプレートの表面上に吸着させた前記酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップと、
(C)酸化ステップ後にNaOHまたはKOH水溶液中に、酸化させた酸化マンガンを吸着させたAAOテンプレートを浸漬させ、前記AAOテンプレートのみを溶解する溶解ステップと、
(D)前記溶解ステップで生成されるAAO溶液から固形の酸化マンガンナノチューブを分離する濾過ステップと、
(E)前記AAO溶液から分離された前記酸化マンガンナノチューブを乾燥させる乾燥ステップと、
(F)前記乾燥させた酸化マンガンナノチューブを焼成するステップとを含む、
酸化マンガンナノチューブを製造する、方法。
【請求項2】
前記酸化マンガン前駆体がMn(NO3)2・xH2Oであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陰極酸化アルミニウムテンプレートの孔サイズが180〜250 nm、厚さが40〜80μmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(A)含浸プロセスによりリチウム前駆体と水を請求項1の酸化マンガンナノチューブに付加し、前記リチウム前駆体と前記酸化マンガンナノチューブの間でイオン交換を実行してリチウムを酸化マンガンナノチューブへ付加するイオン交換ステップと、
(B)前記リチウム含有酸化マンガンナノチューブを真空乾燥する真空乾燥ステップと、
(C)前記酸化マンガンナノチューブに付加した前記リチウム前駆体を熱処理して前記リチウム前駆体を酸化させる酸化ステップと、
(D)ステップ(C)から生じる前記酸化マンガンナノチューブを450〜550°Cの温度で焼成する焼成ステップとを含む、
リチウム含有酸化マンガンナノチューブを製造する、方法。
【請求項5】
陽極活性物質として請求項4の前記リチウム含有酸化マンガンナノチューブを含む、二次電池。
【請求項6】
(A)真空ユニットと貯蔵ユニットの間に挿入したAAOテンプレートにより酸化マンガン前駆体を真空濾過し、前記酸化マンガン前駆体を前記AAOテンプレート表面上に吸着させた場合に、
(a)陰極酸化アルミニウムテンプレートをH2O 0.1〜0.5モル、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン0.01〜0.05モル、および2‐プロパノール1〜5モルの混合溶液に5〜20分間浸漬し、浸漬させたテンプレートを前記混合溶液から取り出す浸漬ステップと、
(b)前記浸漬ステップ後に前記陰極酸化アルミニウムテンプレートの表面を2‐プロパノール溶液で洗浄し、前記表面上に希ガスを吹き込む第1乾燥ステップと、
(c)第1乾燥ステップから生じる前記陰極酸化アルミニウムテンプレートを80〜120°Cの温度で5〜10分間加熱する第2乾燥ステップからなるシラン処理プロセスにより、陰極酸化アルミニウムテンプレートの表面が改良される真空濾過ステップと、
(B)前記真空濾過ステップ後に前記陰極酸化アルミニウムテンプレートに吸着させた前記酸化マンガン前駆体を加熱および乾燥させ、前記テンプレートの表面上に吸着させた前記酸化マンガン前駆体を酸化させる酸化ステップと、
(C)前記酸化ステップ後にNaOHまたはKOH水溶液中に、酸化させた酸化マンガンを吸着させた前記陰極酸化アルミニウムテンプレートを浸漬させ、前記陰極酸化アルミニウムテンプレートのみを溶解する溶解ステップと、
(D)前記溶解ステップで生成される前記陰極酸化アルミニウム溶液から固形の酸化マンガンナノロッドを分離する濾過ステップと、
(E)前記陰極酸化アルミニウム溶液から分離された前記酸化マンガンナノロッドを乾燥させる乾燥ステップと、
(F)前記乾燥させた酸化マンガンナノロッドを焼成する焼成ステップとを含む、
酸化マンガンナノロッドを製造する、方法。
【請求項7】
前記酸化マンガン前駆体がMn(NO3)2・xH2Oであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−513472(P2009−513472A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537588(P2008−537588)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004278
【国際公開番号】WO2007/049880
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(505280369)コリア ベーシック サイエンス インスティテュート (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004278
【国際公開番号】WO2007/049880
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(505280369)コリア ベーシック サイエンス インスティテュート (11)
【Fターム(参考)】
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