説明

陳列棚の照明器具

【課題】
棚柱の間隔に合わせて照明器具の電源供給端子の左右の位置を自在に調整できるようにすると共に、棚受金具の長さに合わせて照明器具の前後の位置を自在に調整できるようにする。
【解決手段】
照明器具13には一対の電源供給端子14、15が取り付けられ、電源供給端子14は棚受金具6と接触して照明器具13にプラス電源を、また電源供給端子15は棚受金具7と接触してマイナス電源を供給できるように構成される。また照明器具13は電源供給端子14及び15を介して棚板8と棚柱1及び2との間に挟み込まれることで位置決めされるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を陳列展示するための陳列棚の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陳列棚の照明装置としては特許文献1に、棚柱と棚受け金物に直接電気を流して照明する技術が開示されている。また、特許文献2に、テープ状LED基板を陳列棚の照明器具として用いた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344507号公報
【特許文献2】特開2010−170970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、陳列棚の棚柱と爪の付いた絶縁された棚受け金物に、12Vを主とする低い電圧の電気を直接流し、スポットライトのような照明器具を使用する構成であるため、棚全体を明るく照らすことができないという問題点がある。
また、前記スポットライトに変えて例えば低電圧で駆動する蛍光灯のような照明器具で棚全体を照明する方法が考えられるが、照明器具自体が大きく、せっかくの陳列範囲を狭めてしまうという問題点がある。特に、オープン形式の陳列棚の他にガラスショーケースのような美観を重要視する陳列棚には不向きである。
【0005】
特許文献2に記載の技術によれば、複数のLEDを直線的に配設されたテープ状の基板を装着したアルミ形材からなる器具本体と該器具本体の全幅を覆う透明樹脂カバーを備えたショーケース及びディスプレイ棚等の棚下に設置される棚下照明器具に於いて、器具本体のLED基板装着面がへの字型に形成されると共に該透明樹脂カバーが扁平の略U字型である照明器具が開示されているが、この照明器具は一定の長さに設定されてしまうため、陳列棚の幅寸法に合わせた適切な長さに設定することができないという問題点がある。
【0006】
本件出願人が先に出願した特願2010−199339号において、棚柱と棚受金具に低電圧の電源を通電する陳列棚において、金属製の棚受金具を左右の棚柱の嵌合穴へそれぞれ固定し、棚板を乗せることで棚の上下位置を決め、複数の棚板の下面に、複数の高輝度LED発行体を列状に並べて配置されたLEDテープを貼付し、該LEDテープの両端子がそれぞれ前記棚受金具と接触するように構成し、前記棚板と一体的に照明体を構成することによって前記特許文献1の問題点を改善した。この発明では、新規に製作する陳列棚では全く問題がないが、既に設置済みの陳列棚に適用しようとする場合、既存の棚は棚板の幅や棚柱の間隔が棚によって異なり、棚受金具の形状がマチマチなためにこれらに対応するための施工作業が極めて煩雑になるという問題点がある。
【0007】
本発明は係る課題に鑑みてなされたもので、棚柱と棚受金具に低電圧の電源を通電する陳列棚であって複数のLEDを直線的に配設されたテープ状の基板を備えた陳列棚の照明器具において、棚柱の間隔に合わせて照明器具の電源供給端子の左右の位置を自在に調整できるようにすると共に、照明器具自体と電源供給端子を棚板と棚受金具との間に挟み込んで位置決めすることで棚受金具の長さに合わせて照明器具の前後の位置を自在に調整できるように構成し、照明器具陳列棚への設置を極めて簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の陳列棚の照明器具は、
棚柱と棚受金具に低電圧の電源を通電する陳列棚に設置され、複数のLEDを直線的に配設されたテープ状の基板を備えた陳列棚の照明器具において、
中央にLED素子を、前後にプラス端子帯及びマイナス端子帯を夫々帯状に配置したテープ状のLED基板と、
中央開口部に前記LED基板を貼付し前後にU字型のスライド溝を有する帯状の器具本体と、
器具本体のスライド溝に嵌合して棚受金具とLED基板のプラス端子帯またはマイナス端子帯とを通電する一対の電源供給端子とからなり、
棚柱の間隔に合わせて電源供給端子の左右の位置を自在に調整すると共に、照明器具自体と電源供給端子を棚板と棚受金具との間に挟み込んで位置決めすることで棚受金具の長さに合わせて電源供給端子の前後の位置を自在に調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述のように、本発明の陳列棚の照明器具は、左右一対の電源供給端子が器具本体のスライド溝に嵌合して左右に自在にスライドさせることができ、棚柱の位置に合わせることができ、また、照明器具本体は電源供給端子を介して棚板と棚受金具との間に挟み込まれて位置決めされるので、棚受金具の長さ或いは棚板の幅に合わせて前後の位置を自在に調整することができる。したがって、既に設置済みの陳列棚への照明器具の設置が極めて簡単となる大きな効果がある。
【0010】
また、照明器具が棚板と棚受金具とに挟み込まれて位置決めされるので、1枚の棚板に複数の照明器具を簡単に設置でき、必要に応じて明るい照明ができる効果がある。
【0011】
また、テープ状のLED基板は中央にLED素子を、前後にプラス端子帯及びマイナス端子帯を夫々帯状に配置したので、LED素子間の数cm単位で自在の寸法に切断して使用でき、棚板の幅に合わせた寸法とすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を示す第一実施例について図1〜図9に基づいて説明する。まず、図1は特願2010−199339号の発明の概要を説明する概念図である。
1は金属製の左側棚柱、2は右側棚柱で、それぞれ電源アダプター3のプラス端子とマイナス端子に接続され、電源アダプター3はスイッチ4と交流電源プラグ5を介して交流電源へ接続され、前記棚柱1、2へ直流12Vを供給するように構成されている。
6、7は金属製の棚受金具で、前記左右の棚柱1、2の嵌合穴へそれぞれ固定され、棚板8を乗せることで棚の上下位置を決める。上部棚板8はこの実施例ではガラス製とし、その下面には、複数の高輝度LED発行体を列状に並べて配置されたLEDテープ9が貼付され、該LEDテープ9の両端の端子(プラス端子10及びマイナス端子11)がそれぞれ前記棚受金具6、7と接触するように構成される。なお、12は下部棚板でこの上に商品が展示され、図1の破線の矢印で表したように前記LEDテープ9の発光により商品が照明される。
【0013】
図2は本発明の概要を示す概念図で、照明器具13には一対の電源供給端子14、15が取り付けられ、電源供給端子14は棚受金具6と接触して照明器具13にプラス電源を、また電源供給端子15は棚受金具7と接触してマイナス電源を供給できるように構成される。また照明器具13は電源供給端子14及び15を介して棚板8と棚柱1及び2との間に挟み込まれることで位置決めされる。ここで矢印16に示すように、棚柱2の位置が内側にある場合は、電源供給端子15を内側にスライドさせて棚柱2の位置の合わせることができる。矢印17に示すように、必要に応じて照明器具13を前後の移動させることができる。
【0014】
図3は照明器具13の全体を現す詳細図で、(1)は正面図、(2)は底面図、(3)は右側面図である。照明器具13は、棚板8と棚柱1との間に電源供給端子14(15)を介して挟み込まれて位置決めされ、器具本体18の内側に貼付されたLED基板19へ電源を供給することができる。なお、器具本体18は両面粘着テープ20等で固定してもよい。
【0015】
図4(1)は照明器具13が棚板8と棚受金具15とに挟み込まれた状態をさらに詳しく説明する右側面図で、(2)は照明器具13を棚板8に設けられたくぼみに埋め込んだ他の実施例である。この実施例では、照明器具13の前後の位置は固定されるものの、照明器具13自体が棚板8に内臓され、美観に優れたスマートなものとすることができる。
【0016】
図5はLED基板19の詳細を示すもので、(1)は正面図、(2)は底面図、(3)は右側面図である。LED基板19は、複数のLED20を直線的に配設されたテープ状の基板で、LED20はLED基板19上の中央で並列接続され、前後にプラス端子帯21とマイナス端子帯22とを構成しているので、プラス端子帯21およびマイナス端子帯22のどの位置から電源を供給しても全部のLEDが点燈する。23はテープ状の基板を前記器具本体18の貼付するための粘着テープである。
【0017】
図6は器具本体18の詳細を示し、(1)は正面図、(2)は底面図、(3)は右側面図である。器具本体18は透明性の高いプラスティックなどで形成され、前後にU字型のスライド溝24及び25を有する帯状で、棚板の幅に合わせて適宜寸法に容易に切断して使用できるものである。26は両面テープなどで必要に応じて棚板などに貼付できるようになされている。
【0018】
図7は電源供給端子14(15)の詳細を示すもので、(1)は正面図、(2)は底面図、(3)は右側面図、(4)は(2)部分の左断面図、(5)は(2)部分の右断面図である。電源供給端子14の本体26は強化プラスティックなどの絶縁体で形成され、左右腕部27、28の上部には導電性の板バネ接触子29、30が取り付けられ、接触子29は前記LED基板19のプラス端子帯21と通電するようになされ、左右腕部27、28が前記器具本体18のスライド溝24、25に嵌合してスライド移動できるようになされている。31、32は板バネ状の接触子で複数個設置され、前記棚受金具6(7)と接触して通電するものである。なお、左右腕部27、28の接触子29、30の内の一方が接触子31及び32と通電できるように配線33されている。
【0019】
図8は棚受金具と電源供給端子との接触状態を表した模式図で、(1)は棚受金具34の断面がL字状の場合で、この場合は電源供給端子14の接触子31と面状に接触させ、(2)は棚受金具35がI字上であって、この場合は接触子32と接触できるように構成される。また、図9の(3)はショーケースのように棚側面36に複数設けたダボ穴37に棚板8を載せる形式のダボ金具38を嵌合させる形式の場合を示し、この場合は前記図6で説明した電源供給端子14(15)に設けられたU字型のダボ案内板39でダボ38が固定されるとともに、接触子32で通電できるように構成されている。
【0020】
これによって、通常使用されている棚受金具の形状がL字型であっても、I字型であっても、さらにダボ金具式であっても電源供給端子が違いを吸収することで、多くの陳列棚に利用することができる。
【0021】
図10は本発明の第二実施例を示すもので、(1)は正面図、(2)は底面図、(3)は接続アダプターの正面図、(4)は接続アダプターの右側面図である。この実施例では、照明器具40が例えば予め全長90cmで、照明器具41が全長30cmとされ、該照明器具40と41とを接続アダプター42で連結して用いるようにしたものである。照明器具40、41の両端には夫々差込穴が設けられ、接続アダプター42の上下両端に設置された板バネ状の差込部43が差込穴に差し込まれることによって、照明器具40と41が連結され、前記LED基板のプラス端子帯及びマイナス端子帯が夫々接続される。
【0022】
これによって、照明器具を例えば全長90cm、60cmあるいは30cmと予め規定した寸法として、複数の該照明器具を接続アダプターで連結して用い、照明器具を順次連結することで長尺の棚にも容易に本発明の照明器具を利用できる効果がある。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、様々な態様で実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の概要を説明する概念図である。
【図2】本発明の概要を説明する概念図である。
【図3】照明器具の全体を現す詳細図である。
【図4】照明器具の設置状態を表す詳細図である。
【図5】LED基板の詳細図である。
【図6】器具本体の詳細図である。
【図7】電源供給端子の詳細図である。
【図8】棚受金具と電源供給端子との接触状態を表した模式図である。
【図9】棚受金具と電源供給端子との接触状態を表した模式図である。
【図10】第二実施例の構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1、2・・・・・棚柱
3・・・・・・・電源アダプター
6、7・・・・・棚受金具
8・・・・・・・棚板
13・・・・・・照明器具
14、15・・・電源供給端子
18・・・・・・器具本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚柱と棚受金具に低電圧の電源を通電する陳列棚に設置され、複数のLEDを直線的に配設されたテープ状の基板を備えた陳列棚の照明器具において、
中央にLED素子を、前後にプラス端子帯及びマイナス端子帯を夫々帯状に配置したテープ状のLED基板と、
中央開口部に前記LED基板を貼付し前後にU字型のスライド溝を有する帯状の器具本体と、
器具本体のスライド溝に嵌合して棚受金具とLED基板のプラス端子帯またはマイナス端子帯とを通電する一対の電源供給端子とからなり、
棚柱の間隔に合わせて電源供給端子の左右の位置を自在に調整すると共に、照明器具自体と電源供給端子を棚板と棚受金具との間に挟み込んで位置決めすることで棚受金具の長さに合わせて電源供給端子の前後の位置を自在に調整することを特徴とする陳列棚の照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−134040(P2012−134040A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285908(P2010−285908)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(510240321)
【Fターム(参考)】