陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラム
【課題】撮影を効率的に行うことができる陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態に係る陽電子放出コンピュータ断層撮影装置は、最小数導出部と、超過長導出部と、開始点導出部とを備える。最小数導出部は、複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。超過長導出部は、スキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。開始点導出部は、超過長が関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する。
【解決手段】実施形態に係る陽電子放出コンピュータ断層撮影装置は、最小数導出部と、超過長導出部と、開始点導出部とを備える。最小数導出部は、複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。超過長導出部は、スキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。開始点導出部は、超過長が関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用イメージングの分野において、ガンマ線検出器、特に陽電子放射断層撮影すなわちPET(Positron Emission Tomography)検出器の利用が増えている。PETイメージングにおいて、放射性医薬品は、注入、吸入、又は食物摂取により、画像化される被検体に取り込まれる。放射性医薬品の投与後、薬剤の物理的及び生体分子的な特性により、薬剤は、人体内の特定部位に集中する。薬剤の実際の空間分布、薬剤の蓄積領域の濃度、及び投与から最終排出までのプロセスの動態は全て、臨床的な重要性を持ち得る因子である。このプロセスにおいて、放射性薬剤に付着した陽電子放射体は、半減期、分岐比率などの同位元素の物理的性質に応じて、陽電子を放射する。
【0003】
放射性核種は、陽電子を放射する。放射された陽電子が電子と衝突すると、消滅イベントが発生し、陽電子及び電子は破壊される。多くの場合、消滅イベントは、約180°反対方向に放出される2つのガンマ線(511keV)を生成する。
【0004】
PET装置は、2つのガンマ線を検出し、これらの検出位置間に、直線、すなわちLOR(Line−of−response)を引くことにより、本来消滅したであろう位置を導き出すことができる。このプロセスは、相互作用のあり得る線を識別するだけであるが、そのような線を多数蓄積し、断層撮影再構成プロセスを実行することにより、本来の分布を推定することができる。2つのシンチレーションイベントの位置に加え、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)を利用することが可能な場合、TOF(time−of−flight)の計算により、LORに沿った消滅イベントの推定位置に関する情報を更に加えることができる。PET装置の時間分解能の限界が、このLORに沿った位置決めの精度を決定する。本来のシンチレーションイベントの位置を決定する際の限界が、PET装置の究極の空間分解能を決定する。一方で、同位元素の固有の特性(例えば、陽電子のエネルギー)もまた、(2つのガンマ線の陽電子の範囲及び共直線性により)特定の薬剤の空間分解能の決定に寄与する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(社)日本画像医療システム工業会編集「医用画像・放射線機器ハンドブック」名古美術印刷株式会社 平成13年、P.190−191
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撮影を効率的に行うことができる陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る陽電子放出コンピュータ断層撮影装置は、最小数導出部と、超過長導出部と、開始点導出部とを備える。前記最小数導出部は、隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。前記超過長導出部は、前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV(Field Of View)長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。前記開始点導出部は、前記超過長が前記関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、異なるイベントに対するPET装置の感度を示す図である。
【図2】図2は、1つの軸方向のFOV長にわたる代表的なPET装置の軸方向の感度特性を示す図である。
【図3】図3は、スキャンステップ毎に50%のオーバーラップを有する、マルチステップPETスキャンの軸方向の感度特性を示す図である。
【図4】図4は、固定のステップサイズを用いてスキャンされる、目標の長さのオーバーシュートを示す図である。
【図5】図5は、固定のステップサイズを用いてスキャンされる、目標の長さのオーバーシュートを示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係るスキャン方法を示す図である。
【図7】図7は、オーバーラップの割合を調節することによってアンダーシュート及びオーバーシュートが除去された第2の実施形態に係るスキャン方法を示す図である。
【図8】図8は、初期の感度特性及び定格の感度特性を示す図である。
【図9A】図9Aは、第1の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図9B】図9Bは、第2の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図9C】図9Cは、第3の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、ガンマ線又はPETのイベント情報を得るために利用可能な、実施形態に係るガンマ線検出システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のPET装置で実行される方法、PET装置及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0010】
PET装置(以下、PETスキャナ)によるガンマ線の検出プロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返されなければならない。イメージングタスクの支援にいくつのカウント(すなわち、対になったイベント)が必要になるかは、各イメージングのケースを解析することにより決定しなければならないが、現在の実務では、代表的に、100cm長の18FDG(fluoro−deoxyglucose:フルオロデオキシグルコース)の検査において、数億カウントを蓄積する必要があると規定している。この数のカウントを蓄積するために要する時間は、薬剤の注入量、PET装置の感度及びカウント性能によって決まる。
【0011】
PETスキャナは、3次元モードでカウントを収集する。これは、被検体から放射されて2つの検出器要素を横切る各LORを検出できることを意味する。このため、例えば、図1に示すように配置された2つの放射点A及びBが検出される確率は、異なる。軸線の中央部の中間にある点Bが検出される確率は、消滅イベントの2つの航程を含み、最大の立体角を有するので、最大である。点Aは、より小さい角度であるとともに、軸方向FOVの縁端にある点であり、検出される確率は最小であろう。この分析は、スキャナ全体の感度の決定に用いられる。なお、感度は、図1の右側に示すように、完全オープン型の3Dスキャナの代表的な三角形形状を有する。
【0012】
この状況の特例としては、大きい傾斜の入射角は若干の再構成アルゴリズムに対して多少の難題を引き起こす可能性があるので、エレクトロニック設計や他の方法によって、最大角度を分析から切り離す場合がある。この場合、代表的な三角形は、切り離された角度に関連したどこかの点で平坦化される。
【0013】
代表的な100cmPETの検査においては、PETスキャナの複数の軸方向FOVを必要とするので、この三角形の軸方向の感度特性は有用である。いくつかのベッド位置を加える必要がある。ユーザが要求する全長に対するPETスキャナFOVを示す。図2に示すように、画像の中央部分全体に平坦な感度が創出されるので、通常、ステップ間には、50%のオーバーラップが最適である。
【0014】
スキャン当たり50%のオーバーラップを有する同一のFOVの繰り返しを図3に示す。
【0015】
ステップサイズを一定にすると、おそらく目標の長さのアンダーシュートやオーバーシュートが生じるであろう。関心領域のサンプリング不足は選択肢とはならないので、PETスキャナは、全域を網羅するためにおそらく余分のステップを取ることになるであろう。この場合、図3の下部に示したオーバーシュートの領域は小さい。実際には、イメージングシステムは、ユーザが、可能な個別長でステップを刻むことによってのみ達成できる長さを得ることができる。いずれの方法でも、PET画像の全長は、臨床医が選択した長さをわずかにオーバーシュートすることになる。
【0016】
この影響は、図4に示すように、オーバーシュート領域が明らかにより重要である、比較的大きな軸方向FOVのPETスキャナでは深刻になる。この影響はまた、図5に示すように、必要な関心領域がより短い場合も、比例して増大する。
【0017】
別のアプローチとしては、速度特性及び全スキャンの長さをより精密に制御できる連続的なベッド運動を備えたシステムを設計することである。しかし、連続的なベッド運動は、必ずしも全てのシステムで利用できず、且つ、確実にデータの収集及び再構成に複雑さが加わる。
【0018】
したがって、図3〜図5に示すように、ステップアンドシュートシステムでは、大量の時間とカウントとが、関心領域の外側で空費されることになる。これは、同じ画像化リソース(imaging resources)をより効率的に使うことができたであろうということを意味する。
【0019】
従来のPETスキャナは、代表的な100cm長を網羅するために、16〜22cmの軸方向FOVを有する。50%のオーバーラップを伴う場合、8〜12ステップが一般に必要とされ、その結果、画像化リソースのおそらく8〜12%が、関心領域の外側で空費されることになる。肺又は頭首部のイメージングのような別の検査では、関心領域の範囲は、一般に30〜50cm長であり、そこでは、画像化リソースの空費は、20〜30%の多さになる可能性がある。
【0020】
以下の実施形態は、PETスキャナを用いたマルチステップ(multi-step)PETイメージングのステップサイズ(step-size)を最適化する新しい方法に関するものである。
【0021】
以下に説明するように、第1の実施形態に係るPETスキャナは、最小数導出部と、超過長導出部と、開始点導出部とを備える。最小数導出部は、隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。超過長導出部は、スキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。開始点導出部は、超過長が関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する。また、第1の実施形態に係るPETスキャナは、最小数のスキャンを開始点から開始することによって被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える。これらの各部は、例えば、図10を用いて後述するCPU(Central Processing Unit)170に備えられ、また、検出器モジュールなどと協働する。
【0022】
例えば、第1の実施形態においては、PETスキャナの軸方向のFOV長より大きい軸方向の範囲を有する被検体の関心領域をイメージングする方法を提案する。第1の実施形態に係るPETスキャナで実行される方法は、(1)オーバーラップスキャン(隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う)に含まれるスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を決定するステップと、(2)(1)のステップで決定されたスキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長(総量)を決定するステップと、(3)超過長(総量)が被検体の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、連続的に行うスキャンの第1のスキャンの初期開始点を決定するステップと、を含む。ここで、連続的に行うスキャンに含まれる各スキャンは、PETスキャナの軸方向のFOV長に等しい、同一の軸方向の長さを有する。また、各スキャンは、各スキャンの軸方向の長さの一定割合の分だけ、隣接するスキャンと一部重なり合う。
【0023】
また、以下に説明するように、第2の実施形態に係るPETスキャナは、組合せ導出部を備える。組合せ導出部は、隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行い、複数のスキャン全体の長さを関心領域の軸方向の範囲と一致させる場合に、スキャンの数と、各スキャンが隣接するスキャンとオーバーラップする割合との組合せを導出する。また、組合せ導出部は、割合が所定の最小値より大きくなるように、スキャンの数と割合との組合せを導出する。また、第2の実施形態に係るPETスキャナは、組合せに基づいて、複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備える。また、第2の実施形態に係るPETスキャナは、複数のスキャンに含まれる各スキャンを設定されたスキャン時間にて行うことによって、関心領域のスキャンを行うスキャン部を更に備える。これらの各部は、例えば、図10を用いて後述するCPU170に備えられ、また、検出器モジュールなどと協働する。
【0024】
例えば、第2の実施形態においては、PETスキャナの軸方向のFOV長より大きい軸方向の範囲を有する被検体の関心領域をイメージングする方法を提案する。第2の実施形態に係るPETスキャナで実行される方法は、(1)(a)オーバーラップスキャンに含まれるスキャンの数であって、関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な数と、(b)隣接するスキャンに一部重なる各スキャンの軸方向の長さのオーバーラップの割合との組合せを、決定された数で連続的に行われるオーバーラップスキャンの全長が、関心領域の軸方向の範囲と正確に等しくなるように、決定するステップと、(2)(1)のステップで決定された数と決定されたオーバーラップの割合とに基づいて、連続的に行われるスキャンのそれぞれに対してスキャン時間を設定するステップと、を含む。ここで、連続的に行うスキャンに含まれる各スキャンは、PETスキャンの軸方向のFOV長に等しい、同一の軸方向の長さを有する。
【0025】
また、以下に説明するように、第3の実施形態に係るPETスキャナは、最小数導出部と、超過長導出部と、割合導出部とを備える。最小数導出部は、許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。超過長導出部は、スキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。割合導出部は、超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、最小の割合とは異なる新しい割合を導出する。また、第3の実施形態に係るPETスキャナは、新しい割合から求められる効率性の利得E/Lに基づいて、複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備える。Eは、超過長であり、Lは、関心領域の軸方向の範囲である。また、第3の実施形態に係るPETスキャナは、最小数のスキャンを新しい割合でオーバーラップさせながら行うことによって、被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える。これらの各部は、例えば、図10を用いて後述するCPU170に備えられ、また、検出器モジュールなどと協働する。
【0026】
例えば、第3の実施形態においては、PETスキャナの軸方向のFOV長より大きい軸方向の範囲を有する被検体の関心領域をイメージングする方法を提案する。第3の実施形態に係るPETスキャナで実行される方法は、(1)オーバーラップスキャンに含まれるスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を決定するステップと、(2)(1)のステップで決定されたスキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長(総量)を決定するステップと、(3)超過長(総量)及び最小のオーバーラップの割合に基づく新しいオーバーラップの割合を決定し、それによって、超過長(総量)の新しい総量がゼロになるステップと、を含む。ここで、連続的に行うスキャンに含まれる各スキャンは、PETスキャナの軸方向のFOV長に等しい、同一の軸方向の長さを有する。また、各スキャンは、各スキャンの軸方向の長さの一定割合の分だけ、隣接するスキャンと一部重なり合う。
【0027】
以下、各実施形態を説明する。
【0028】
第1の実施形態においては、ステップの数を最小化するための試みやオーバーラップを最適化するための試みは行われないが、画像化リソースは関心領域上で最適化される。図5と図6とは同じ例を用いている。例えば、図6に示す第1スキャンの軸方向の範囲は、感度の低い部分が関心領域の外の領域に該当するように、図5に示されるそれからシフトされている。なお、「軸方向」とは、一般的には、被検体が載置される天板の長手方向、又は、天板に載置された被検体の体軸方向のことである。
【0029】
第1の実施形態において、スキャンの始め及び終わりにおける利用されない領域(以下、非利用領域)の合計は、以前と同じ大きさの領域になるが、これらの領域においてはより感度が低くなる。したがって、端から端までのスキャンの長さが一旦確立されて、少なくとも全領域をカバーするように(おそらくかなりそれ以上に)ステップの数が計算されると、PETスキャナは、端から端までのスキャンの軸方向の範囲(全軸方向の範囲)と関心領域の範囲との差異を、スキャンの始め及び終わりに分割する。
【0030】
図9Aは、第1の実施形態に係るスキャン方法のステップを示す。具体的には、ステップS901において、各ステップの固定のオーバーラップをαS(α<1)と仮定する。ここで、Sは、PETスキャナの軸方向のFOV長であり、αは、所望の感度(以下参照)に基づき決定されるものである。スキャンのステップ数nは、スキャンの距離Dが、スキャンされる関心領域の軸方向の範囲Lより大きくなるように、ステップS901において選択される。すなわち、以下の通りである。
D=S+(n−1)(1−α)S>L
更に、ステップS902においては、式W=D−Lによって、非利用領域(アンダーシュート プラス オーバーシュート)が決定される。ステップS903においては、アンダーシュートがW/2に等しくなるように、また、オーバーシュートがW/2に等しくなるように、スキャンの開始点が選択される。
【0031】
第2の実施形態において、ステップサイズは、イメージングの実際の長さに合致するように調整される。また、スキャン時間は、ステップサイズの変化を補償するように調整される。すなわち、より少なく大きいステップが、それぞれ比較的長い時間の間に画像化される一方、より多く小さいステップが、それぞれ比較的短い時間の間に画像化されるように、調整される。図7は、ステップサイズの縮小の例(上図)、ステップサイズの伸長の例(下図)、及び、対応する感度特性(profile)を示す。図7から明らかなように、ステップサイズの調整によって、軸方向の感度全体は、もはや平坦ではなくなる。
【0032】
軸方向の長さが、50%のオーバーラップを伴う2ステップ分ちょうどである場合を想定する。網羅される領域を増加しようとすると、増加した距離に対応させるべく、オーバーラップは減らされる。スキャンの長さが増加するにつれて、軸方向の感度の閾値、又は、ユーザ設定による任意の基準値に基づいた場合に、オーバーラップは、どこかの点で小さくなり過ぎる。そして、可能な限り50%を超えるオーバーラップとし、その距離に対応させるべく、第3のステップが導入される。
【0033】
図9Bは、第2の実施形態に係るスキャン方法のステップを示す。ステップS911において、スキャンされる軸方向の範囲(L)、及び、軸方向のFOV長(S)が決定される。
【0034】
ステップS912において、スキャンされる距離Dが、ちょうどLに等しくなるように、各ステップのオーバーラップの割合(α)と、スキャンのステップ数(n)との組合せが決定される。すなわち、以下の通りである。
D=S+(n−1)(1−α)S=L
第2の実施形態において、αは、所定の最小値より大きくなるように制約される。また、nは、整数であるように制約される。一般に、n−α空間には、複数の解が存在する。
【0035】
第2の実施形態において、式W=D−Lによって与えられる非利用領域(アンダーシュート プラス オーバーシュート)は、ゼロである。このように、第2の実施形態において、スキャンの開始点は、スキャンされる関心領域の先頭として選択される。
【0036】
ステップS913において、nスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間は、決定されたスキャン数n、及び、決定されたオーバーラップの割合αに基づいて設定される。一般に、PET収集は、関心領域全域について、あるカウントの総数、又は、あるカウントの密度を蓄積するように、定義される。マルチステップPET収集に含まれるシングルステップのスキャン時間は、この要求を満たすように選択される。仮に、新しいステップサイズ、及び、新しいオーバーラップの割合の両方又は一方が用いられる場合、画像化リソースを利用する全体的な効率は、ステップあたりのスキャン時間の調整に利用できる。例えば、図7に示す2つのケースを説明する。所望の定格カウント密度は、ステップあたり1分のスキャン時間で達成されるとする。所望の長さを正確に網羅する上図のケースにおいては、オーバーラップがより大きいため、3つのステップは、それぞれ50秒のスキャン時間を要するであろう。一方、下図のケースにおいては、オーバーラップがより小さいため、2つのステップは、それぞれ75秒のスキャン時間を要するであろう。一般に、オーバーラップが小さいほど、ステップあたりのスキャン時間は長くなる。
【0037】
第3の実施形態において、ステップサイズ及びスキャン方法は、上述した第1及び第2の実施形態の組合せである。ステップ間のオーバーラップ、並びに、画像の軸方向のアンダーシュート及びオーバーシュートの量を計算するために、アルゴリズムが用いられる。まず、定格ケースの場合、各ステップには固定のオーバーラップαS(α<1)が存在し、及び、各端部には非利用領域βS(β<1)が存在する。これらは、PETスキャナの軸方向のFOV長であるSの比で表現される。Lが関心領域の軸方向の範囲であり、nステップでスキャンされる場合、次の関係式が成立する。
L+2βS=S+(n−1)(1−α)S ・・・(1)
【0038】
L及びSが与えられれば、nは、適切な制約の下のα及びβに従って計算される。例えば、βについては、一定の初期値から減少することのみが許容され、αについては、0.4<α<0.6が許容されるという制約の下、この問題は、様々な最適化のアルゴリズムを用いて解かれることが可能である。
【0039】
図9Cは、第3の実施形態に係るスキャン方法のステップを示す。
【0040】
非利用領域β(β=0)及びαの最小許容値(すなわちαmin)を除き、n及びαを探索する最適化は、以下に示すように、単純である。
【0041】
ステップS921において、αがオーバーラップの割合の最小許容値αminであると仮定すると(α=αmin)、ステップの数nは、(1)式に基づき、次の整数に切り上げるround関数を用いた割り算を伴う次の方程式で導き出される。
n=round{(L−αminS)/(S−αminS)} ・・・(2)
【0042】
ステップS922において、最小許容値のオーバーラップの割合によりnステップを実行した場合の超過分の長さ(以下、超過長)であるEは、再び(1)式に基づき、次のように計算される。
E(αmin)=S+(n−1)(1−αmin)S−L ・・・(3)
【0043】
ステップS923において、(3)式で、α´=αmin+Δαとして、E(α´)=0を設定し、余分なスペースが無くなるように、結果的に最適なオーバーラップの割合α´となるΔαを解く。
α´=αmin+E(αmin)/(n−1)S ・・・(4)
【0044】
例えば、オーバーラップの割合を最小50%とし、軸方向のFOV長が20cmのPETスキャナを用いて、55cmの関心領域について検討した場合、(2)式によって計算されるステップ数は、次の通りである。
n=round{(55−(0.5)(20))/(20−(0.5)(20))}=5
しかしながら、(3)式によれば、n=5ステップによる超過長Eは、次の通りである。
E=20+(5−1)(1−0.5)(20)−55=5cm
ちょうど55cmのスキャンとなる新たなオーバーラップの割合は、(4)式によれば、次の通りである。
α´=0.5+5/(5−1)(20)=0.5625 or 56.25%
【0045】
したがって、画像化リソースの約9%(5/55)が所望の関心領域に直接対応するために用いられる。画像化リソースの約9%は、画像品質の向上に寄与すること(関心領域において9%分のカウント増)、又は、ユーザが望むように1ステップあたりのスキャン時間を9%短縮することのいずれかに使用可能である。
【0046】
32cmのPETスキャナを用いた同様の場合、n=3、E=9cm、α´=64%という結果になり、全体で16%のより良好な画像化リソースの利用がもたらされる。
【0047】
同様に、始め及び終わりの非利用領域についてもまた、更なる制約を設定することができる。実際には、ユーザは、例えば、軸方向の均一性の許容可能な変動や、最小のスライス感度など、全体的なイメージング選択を行う。場合によっては、設定された選択に従って、ステップとオーバーラップの割合との多数の組合せが存在し得る。
【0048】
図8を参照すると、総合的な感度特性が示されている(太線)。感度特性のどの所与の点も、全スキャンステップから得られた全てのデータの総和から構成されている。完全な3D収集モードでは、FOV長Sのリングが、S/2にピークがある三角形の感度特性を生成する。オーバーラップの割合αに従い、どの所与のスキャン位置における総合的感度も、1つ以上の三角形の感度特性の合計である。すなわち、C(x)=T(x)+T(x−S+αS)+...であり、この式中、T(x)は、第1の三角形であり、T(x−S+αS)は、αSの分だけ第1の三角形に一部重複している第2の(シフトした)三角形である。
【0049】
上述したように、イメージングプロトコルで目標とされる特徴は、カウントの総数(又はカウント密度)である。したがって、臨床ユーザは、最小の初期感度(スキャンの始め及び終わりの)と最大(定格)の変動値(スキャンの中央部の)を指定する。ユーザが垂直軸方向の感度により関心を持つ一方で、システムは、ユーザの感度要求を水平軸方向の動きに変換する必要がある。明らかに、最小の初期感度は、以前言及したβに正比例する。すなわち、β=0.5*(初期感度/定格感度)。同様に、オーバーラップの割合αは、定格感度に直接影響を及ぼす。上述の第2の実施形態では、オーバーラップの割合αは、ユーザが設定した定格感度に等しい最大値を有する関数C(x)をもたらす、オーバーラップの割合αを決定することによって決定されるものである。
【0050】
L=55cmとS=32cmのPETスキャナのFOV長とを有する前述の例では、1つの結果は、ステップ数n=3及びオーバーラップの割合α´=64%である。しかし、別の解は、ステップ数n=2及びオーバーラップの割合α´=22%であり、ステップ数n=4ステップ及びオーバーラップの割合α´=76%である。通常、より少ないステップ数が好ましく、且つ、均一性の制約が最高の選択肢を定義するはずである。例えば、オーバーラップの割合α´=22%のみを有する場合、一般に、PETスキャナの中央部に容認できない感度低減が生じるであろう。総合的な許容パラメータ次第では、より複雑な最適化アルゴリズムを使用することになる。
【0051】
上述の各種方法は、価値の高い画像化リソースの利用を最適化して、選ばれた関心領域に関する最高の情報を提供する。より大きな軸方向のFOV長のPETスキャナが生産され、且つ、ますます多くの応用分野でより少ないステップが要求されているので、固定のステップアンドシュートの従来の技術は、ますます不都合なものとなるであろう。
【0052】
したがって、上述した各種実施形態は、要求された撮影範囲の外側の空費される領域を最小限にするとともに、画像品質及びスキャナ感度の限度を考慮することにより、価値の高い画像化リソースの最適利用を実現する。
【0053】
図10は、ガンマ線又はPETのイベント情報を得るために利用可能な、実施形態に係るガンマ線検出システムの概略図である。なお、上述した各実施形態に係るPETスキャナは、例えば、図10に示すガンマ線検出システムを含む。図10に示すように、光電子増倍管(PMT(photomultiplier tube))135及び光電子増倍管140がライトガイド130の上方に配置され、シンチレーション結晶105のアレイがライトガイド130の下方に配置される。また、シンチレーション結晶125の第2のアレイがシンチレーション結晶105に対向して配置され、ライトガイド115と、光電子増倍管195及び光電子増倍管110とが第2のアレイの上方に配置される。光電子増倍管、ライトガイド、及びシンチレーション結晶が検出器モジュールを形成し、ガンマ線検出システムは、リング状に配置された複数の検出器モジュールを含む。
【0054】
図10に示すガンマ線検出システムにおいて試験下の被検体(不図示)からガンマ線が放射される場合、2つのガンマ線が約180°反対方向に放射される。シンチレーション結晶105及びシンチレーション結晶125において、ガンマ線が同時に、所定の制限時間内に検出された場合、シンチレーションイベントが決定される。このように、ガンマ線検出システムは、シンチレーション結晶105及びシンチレーション結晶125において同時にガンマ線を検出する。単に分かり易くするためにシンチレーション結晶105についてガンマ線検出を説明するが、当業者には自明であるように、シンチレーション結晶105に関する説明は、シンチレーション結晶125におけるガンマ線検出に同様に適用できる。
【0055】
光電子増倍管110、光電子増倍管135、光電子増倍管140、及び光電子増倍管195は、それぞれデータ収集装置150に接続されている。データ収集装置150は、各光電子増倍管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを含む。データ収集装置150は、ガンマ線の到達時間を測定する。データ収集装置150は、システムクロック(不図示)に対して識別器パルスの時間をコード化する2つの出力(光電子増倍管135及び光電子増倍管140の組合せのための出力、並びに、光電子増倍管110及び光電子増倍管195の組合せのための出力)を生成する。TOF型のPETスキャナの場合、データ収集装置150は、一般的に、15〜25ピコ秒の精度でタイムスタンプを生成する。データ収集装置150は、各光電子増倍管の信号(データ収集装置150からの4つの出力)の振幅を測定する。
【0056】
データ収集装置150の出力は、CPU170に供給され、処理される。処理ステップは、各イベントに対して、データ収集装置150の出力からのエネルギー及び検出位置、並びに、タイムスタンプ出力からの到達時間を推定するステップから成る。CPU170は、多くの修正ステップを適用することで、エネルギー、検出位置、及び到達時間の推定値の精度を向上させることができる。当業者には自明であるように、CPU170は、不連続論理ゲートとして、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、他のCPLD(Complex Programmable Logic Device)により実装可能である。FPGA又はCPLDの実装は、VHDL(Very High speed integrated circuit hardware Description Language)、Verilog、又は、他の任意のハードウェア記述言語にコード化してもよい。コードは、直接FPGA又はCPLD内の電子メモリに格納してもよい。又は、コードは、別個の電子メモリとして格納してもよい。更に、電子メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、又はフラッシュメモリなどの不揮発性であってもよい。また、電子メモリは、スタティックRAM(Random Access Memory)又はダイナミックRAMなどの揮発性であってもよい。FPGA又はCPLDと電子メモリとの間の相互作用だけでなく電子メモリも管理するために、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサなどのプロセッサを設けてもよい。
【0057】
あるいは、CPU170は、本明細書に記載の機能を実行する一組のコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムを実行できる。ここで、プログラムは、任意の上記の一時的でない電子メモリ及びハードディスク装置、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュドライブ(FLASH drive)、又は他の任意の既知の記憶媒体の両方又は一方に格納されるものである。更に、コンピュータ可読命令は、アメリカのインテル社からのキセノンプロセッサ(登録商標)、又はアメリカのアドバンストマイクロデバイセス社(AMD(Advanced Micro Devices,Inc.)からのオプテロンプロセッサ(登録商標)などのプロセッサ、及びマイクロソフトVISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple(登録商標)、Mac−OS(登録商標)などのオペレーティングシステム、及び当業者には周知の他のオペレーティングシステムとともに動作する実用向けアプリケーション、バックグラウンドデーモン、又はオペレーティングシステムの構成要素、又はそれらの組合せとして提供されてもよい。
【0058】
一旦CPU170で処理されたならば、CPU170は、処理された信号を、電子記憶装置180に保存、及び、表示部145に表示、の両方又は一方を行う。当業者には自明であるように、電子記憶装置180は、ハードディスク、CD−ROM、DVD、FLASH、RAM、ROM、又は、当業界で周知の任意の他の電子記憶装置であってもよい。表示部145は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、プラズマ表示装置、有機発光ダイオード(OLED(Organic Light Emitting Diode))、発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))、又は、当業界で周知の任意の他の表示装置により実装してもよい。このように、本明細書に提供した電子記憶装置180及び表示部145の記載は、単なる具体例であり、本提案の範囲を限定するものではない。
【0059】
図10に示すガンマ線検出システムは、また、他の外部デバイス及びユーザの両方又は一方と接続して機能するインタフェース175を含む。例えば、インタフェース175は、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、又は、当業界で周知の任意の他のインタフェースであってもよい。また、インタフェース175は、有線又は無線であってもよく、ユーザとの対話のために、キーボード及びマウスの両方又は一方、又は、当業界で周知の他のヒューマンインタフェイスデバイスを含むことができる。
【0060】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムによれば、撮影を効率的に行うことが可能になる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
105 シンチレーション結晶
125 シンチレーション結晶
145 表示部
150 データ収集装置
170 CPU
175 インタフェース
180 電子記憶装置
【技術分野】
【0001】
実施形態は、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用イメージングの分野において、ガンマ線検出器、特に陽電子放射断層撮影すなわちPET(Positron Emission Tomography)検出器の利用が増えている。PETイメージングにおいて、放射性医薬品は、注入、吸入、又は食物摂取により、画像化される被検体に取り込まれる。放射性医薬品の投与後、薬剤の物理的及び生体分子的な特性により、薬剤は、人体内の特定部位に集中する。薬剤の実際の空間分布、薬剤の蓄積領域の濃度、及び投与から最終排出までのプロセスの動態は全て、臨床的な重要性を持ち得る因子である。このプロセスにおいて、放射性薬剤に付着した陽電子放射体は、半減期、分岐比率などの同位元素の物理的性質に応じて、陽電子を放射する。
【0003】
放射性核種は、陽電子を放射する。放射された陽電子が電子と衝突すると、消滅イベントが発生し、陽電子及び電子は破壊される。多くの場合、消滅イベントは、約180°反対方向に放出される2つのガンマ線(511keV)を生成する。
【0004】
PET装置は、2つのガンマ線を検出し、これらの検出位置間に、直線、すなわちLOR(Line−of−response)を引くことにより、本来消滅したであろう位置を導き出すことができる。このプロセスは、相互作用のあり得る線を識別するだけであるが、そのような線を多数蓄積し、断層撮影再構成プロセスを実行することにより、本来の分布を推定することができる。2つのシンチレーションイベントの位置に加え、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)を利用することが可能な場合、TOF(time−of−flight)の計算により、LORに沿った消滅イベントの推定位置に関する情報を更に加えることができる。PET装置の時間分解能の限界が、このLORに沿った位置決めの精度を決定する。本来のシンチレーションイベントの位置を決定する際の限界が、PET装置の究極の空間分解能を決定する。一方で、同位元素の固有の特性(例えば、陽電子のエネルギー)もまた、(2つのガンマ線の陽電子の範囲及び共直線性により)特定の薬剤の空間分解能の決定に寄与する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(社)日本画像医療システム工業会編集「医用画像・放射線機器ハンドブック」名古美術印刷株式会社 平成13年、P.190−191
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撮影を効率的に行うことができる陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る陽電子放出コンピュータ断層撮影装置は、最小数導出部と、超過長導出部と、開始点導出部とを備える。前記最小数導出部は、隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。前記超過長導出部は、前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV(Field Of View)長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。前記開始点導出部は、前記超過長が前記関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、異なるイベントに対するPET装置の感度を示す図である。
【図2】図2は、1つの軸方向のFOV長にわたる代表的なPET装置の軸方向の感度特性を示す図である。
【図3】図3は、スキャンステップ毎に50%のオーバーラップを有する、マルチステップPETスキャンの軸方向の感度特性を示す図である。
【図4】図4は、固定のステップサイズを用いてスキャンされる、目標の長さのオーバーシュートを示す図である。
【図5】図5は、固定のステップサイズを用いてスキャンされる、目標の長さのオーバーシュートを示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係るスキャン方法を示す図である。
【図7】図7は、オーバーラップの割合を調節することによってアンダーシュート及びオーバーシュートが除去された第2の実施形態に係るスキャン方法を示す図である。
【図8】図8は、初期の感度特性及び定格の感度特性を示す図である。
【図9A】図9Aは、第1の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図9B】図9Bは、第2の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図9C】図9Cは、第3の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、ガンマ線又はPETのイベント情報を得るために利用可能な、実施形態に係るガンマ線検出システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のPET装置で実行される方法、PET装置及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0010】
PET装置(以下、PETスキャナ)によるガンマ線の検出プロセスは、多数の消滅イベントに対して繰り返されなければならない。イメージングタスクの支援にいくつのカウント(すなわち、対になったイベント)が必要になるかは、各イメージングのケースを解析することにより決定しなければならないが、現在の実務では、代表的に、100cm長の18FDG(fluoro−deoxyglucose:フルオロデオキシグルコース)の検査において、数億カウントを蓄積する必要があると規定している。この数のカウントを蓄積するために要する時間は、薬剤の注入量、PET装置の感度及びカウント性能によって決まる。
【0011】
PETスキャナは、3次元モードでカウントを収集する。これは、被検体から放射されて2つの検出器要素を横切る各LORを検出できることを意味する。このため、例えば、図1に示すように配置された2つの放射点A及びBが検出される確率は、異なる。軸線の中央部の中間にある点Bが検出される確率は、消滅イベントの2つの航程を含み、最大の立体角を有するので、最大である。点Aは、より小さい角度であるとともに、軸方向FOVの縁端にある点であり、検出される確率は最小であろう。この分析は、スキャナ全体の感度の決定に用いられる。なお、感度は、図1の右側に示すように、完全オープン型の3Dスキャナの代表的な三角形形状を有する。
【0012】
この状況の特例としては、大きい傾斜の入射角は若干の再構成アルゴリズムに対して多少の難題を引き起こす可能性があるので、エレクトロニック設計や他の方法によって、最大角度を分析から切り離す場合がある。この場合、代表的な三角形は、切り離された角度に関連したどこかの点で平坦化される。
【0013】
代表的な100cmPETの検査においては、PETスキャナの複数の軸方向FOVを必要とするので、この三角形の軸方向の感度特性は有用である。いくつかのベッド位置を加える必要がある。ユーザが要求する全長に対するPETスキャナFOVを示す。図2に示すように、画像の中央部分全体に平坦な感度が創出されるので、通常、ステップ間には、50%のオーバーラップが最適である。
【0014】
スキャン当たり50%のオーバーラップを有する同一のFOVの繰り返しを図3に示す。
【0015】
ステップサイズを一定にすると、おそらく目標の長さのアンダーシュートやオーバーシュートが生じるであろう。関心領域のサンプリング不足は選択肢とはならないので、PETスキャナは、全域を網羅するためにおそらく余分のステップを取ることになるであろう。この場合、図3の下部に示したオーバーシュートの領域は小さい。実際には、イメージングシステムは、ユーザが、可能な個別長でステップを刻むことによってのみ達成できる長さを得ることができる。いずれの方法でも、PET画像の全長は、臨床医が選択した長さをわずかにオーバーシュートすることになる。
【0016】
この影響は、図4に示すように、オーバーシュート領域が明らかにより重要である、比較的大きな軸方向FOVのPETスキャナでは深刻になる。この影響はまた、図5に示すように、必要な関心領域がより短い場合も、比例して増大する。
【0017】
別のアプローチとしては、速度特性及び全スキャンの長さをより精密に制御できる連続的なベッド運動を備えたシステムを設計することである。しかし、連続的なベッド運動は、必ずしも全てのシステムで利用できず、且つ、確実にデータの収集及び再構成に複雑さが加わる。
【0018】
したがって、図3〜図5に示すように、ステップアンドシュートシステムでは、大量の時間とカウントとが、関心領域の外側で空費されることになる。これは、同じ画像化リソース(imaging resources)をより効率的に使うことができたであろうということを意味する。
【0019】
従来のPETスキャナは、代表的な100cm長を網羅するために、16〜22cmの軸方向FOVを有する。50%のオーバーラップを伴う場合、8〜12ステップが一般に必要とされ、その結果、画像化リソースのおそらく8〜12%が、関心領域の外側で空費されることになる。肺又は頭首部のイメージングのような別の検査では、関心領域の範囲は、一般に30〜50cm長であり、そこでは、画像化リソースの空費は、20〜30%の多さになる可能性がある。
【0020】
以下の実施形態は、PETスキャナを用いたマルチステップ(multi-step)PETイメージングのステップサイズ(step-size)を最適化する新しい方法に関するものである。
【0021】
以下に説明するように、第1の実施形態に係るPETスキャナは、最小数導出部と、超過長導出部と、開始点導出部とを備える。最小数導出部は、隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。超過長導出部は、スキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。開始点導出部は、超過長が関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する。また、第1の実施形態に係るPETスキャナは、最小数のスキャンを開始点から開始することによって被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える。これらの各部は、例えば、図10を用いて後述するCPU(Central Processing Unit)170に備えられ、また、検出器モジュールなどと協働する。
【0022】
例えば、第1の実施形態においては、PETスキャナの軸方向のFOV長より大きい軸方向の範囲を有する被検体の関心領域をイメージングする方法を提案する。第1の実施形態に係るPETスキャナで実行される方法は、(1)オーバーラップスキャン(隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う)に含まれるスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を決定するステップと、(2)(1)のステップで決定されたスキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長(総量)を決定するステップと、(3)超過長(総量)が被検体の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、連続的に行うスキャンの第1のスキャンの初期開始点を決定するステップと、を含む。ここで、連続的に行うスキャンに含まれる各スキャンは、PETスキャナの軸方向のFOV長に等しい、同一の軸方向の長さを有する。また、各スキャンは、各スキャンの軸方向の長さの一定割合の分だけ、隣接するスキャンと一部重なり合う。
【0023】
また、以下に説明するように、第2の実施形態に係るPETスキャナは、組合せ導出部を備える。組合せ導出部は、隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行い、複数のスキャン全体の長さを関心領域の軸方向の範囲と一致させる場合に、スキャンの数と、各スキャンが隣接するスキャンとオーバーラップする割合との組合せを導出する。また、組合せ導出部は、割合が所定の最小値より大きくなるように、スキャンの数と割合との組合せを導出する。また、第2の実施形態に係るPETスキャナは、組合せに基づいて、複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備える。また、第2の実施形態に係るPETスキャナは、複数のスキャンに含まれる各スキャンを設定されたスキャン時間にて行うことによって、関心領域のスキャンを行うスキャン部を更に備える。これらの各部は、例えば、図10を用いて後述するCPU170に備えられ、また、検出器モジュールなどと協働する。
【0024】
例えば、第2の実施形態においては、PETスキャナの軸方向のFOV長より大きい軸方向の範囲を有する被検体の関心領域をイメージングする方法を提案する。第2の実施形態に係るPETスキャナで実行される方法は、(1)(a)オーバーラップスキャンに含まれるスキャンの数であって、関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な数と、(b)隣接するスキャンに一部重なる各スキャンの軸方向の長さのオーバーラップの割合との組合せを、決定された数で連続的に行われるオーバーラップスキャンの全長が、関心領域の軸方向の範囲と正確に等しくなるように、決定するステップと、(2)(1)のステップで決定された数と決定されたオーバーラップの割合とに基づいて、連続的に行われるスキャンのそれぞれに対してスキャン時間を設定するステップと、を含む。ここで、連続的に行うスキャンに含まれる各スキャンは、PETスキャンの軸方向のFOV長に等しい、同一の軸方向の長さを有する。
【0025】
また、以下に説明するように、第3の実施形態に係るPETスキャナは、最小数導出部と、超過長導出部と、割合導出部とを備える。最小数導出部は、許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する。超過長導出部は、スキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する。割合導出部は、超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、最小の割合とは異なる新しい割合を導出する。また、第3の実施形態に係るPETスキャナは、新しい割合から求められる効率性の利得E/Lに基づいて、複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備える。Eは、超過長であり、Lは、関心領域の軸方向の範囲である。また、第3の実施形態に係るPETスキャナは、最小数のスキャンを新しい割合でオーバーラップさせながら行うことによって、被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える。これらの各部は、例えば、図10を用いて後述するCPU170に備えられ、また、検出器モジュールなどと協働する。
【0026】
例えば、第3の実施形態においては、PETスキャナの軸方向のFOV長より大きい軸方向の範囲を有する被検体の関心領域をイメージングする方法を提案する。第3の実施形態に係るPETスキャナで実行される方法は、(1)オーバーラップスキャンに含まれるスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を決定するステップと、(2)(1)のステップで決定されたスキャンの最小数と、関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長(総量)を決定するステップと、(3)超過長(総量)及び最小のオーバーラップの割合に基づく新しいオーバーラップの割合を決定し、それによって、超過長(総量)の新しい総量がゼロになるステップと、を含む。ここで、連続的に行うスキャンに含まれる各スキャンは、PETスキャナの軸方向のFOV長に等しい、同一の軸方向の長さを有する。また、各スキャンは、各スキャンの軸方向の長さの一定割合の分だけ、隣接するスキャンと一部重なり合う。
【0027】
以下、各実施形態を説明する。
【0028】
第1の実施形態においては、ステップの数を最小化するための試みやオーバーラップを最適化するための試みは行われないが、画像化リソースは関心領域上で最適化される。図5と図6とは同じ例を用いている。例えば、図6に示す第1スキャンの軸方向の範囲は、感度の低い部分が関心領域の外の領域に該当するように、図5に示されるそれからシフトされている。なお、「軸方向」とは、一般的には、被検体が載置される天板の長手方向、又は、天板に載置された被検体の体軸方向のことである。
【0029】
第1の実施形態において、スキャンの始め及び終わりにおける利用されない領域(以下、非利用領域)の合計は、以前と同じ大きさの領域になるが、これらの領域においてはより感度が低くなる。したがって、端から端までのスキャンの長さが一旦確立されて、少なくとも全領域をカバーするように(おそらくかなりそれ以上に)ステップの数が計算されると、PETスキャナは、端から端までのスキャンの軸方向の範囲(全軸方向の範囲)と関心領域の範囲との差異を、スキャンの始め及び終わりに分割する。
【0030】
図9Aは、第1の実施形態に係るスキャン方法のステップを示す。具体的には、ステップS901において、各ステップの固定のオーバーラップをαS(α<1)と仮定する。ここで、Sは、PETスキャナの軸方向のFOV長であり、αは、所望の感度(以下参照)に基づき決定されるものである。スキャンのステップ数nは、スキャンの距離Dが、スキャンされる関心領域の軸方向の範囲Lより大きくなるように、ステップS901において選択される。すなわち、以下の通りである。
D=S+(n−1)(1−α)S>L
更に、ステップS902においては、式W=D−Lによって、非利用領域(アンダーシュート プラス オーバーシュート)が決定される。ステップS903においては、アンダーシュートがW/2に等しくなるように、また、オーバーシュートがW/2に等しくなるように、スキャンの開始点が選択される。
【0031】
第2の実施形態において、ステップサイズは、イメージングの実際の長さに合致するように調整される。また、スキャン時間は、ステップサイズの変化を補償するように調整される。すなわち、より少なく大きいステップが、それぞれ比較的長い時間の間に画像化される一方、より多く小さいステップが、それぞれ比較的短い時間の間に画像化されるように、調整される。図7は、ステップサイズの縮小の例(上図)、ステップサイズの伸長の例(下図)、及び、対応する感度特性(profile)を示す。図7から明らかなように、ステップサイズの調整によって、軸方向の感度全体は、もはや平坦ではなくなる。
【0032】
軸方向の長さが、50%のオーバーラップを伴う2ステップ分ちょうどである場合を想定する。網羅される領域を増加しようとすると、増加した距離に対応させるべく、オーバーラップは減らされる。スキャンの長さが増加するにつれて、軸方向の感度の閾値、又は、ユーザ設定による任意の基準値に基づいた場合に、オーバーラップは、どこかの点で小さくなり過ぎる。そして、可能な限り50%を超えるオーバーラップとし、その距離に対応させるべく、第3のステップが導入される。
【0033】
図9Bは、第2の実施形態に係るスキャン方法のステップを示す。ステップS911において、スキャンされる軸方向の範囲(L)、及び、軸方向のFOV長(S)が決定される。
【0034】
ステップS912において、スキャンされる距離Dが、ちょうどLに等しくなるように、各ステップのオーバーラップの割合(α)と、スキャンのステップ数(n)との組合せが決定される。すなわち、以下の通りである。
D=S+(n−1)(1−α)S=L
第2の実施形態において、αは、所定の最小値より大きくなるように制約される。また、nは、整数であるように制約される。一般に、n−α空間には、複数の解が存在する。
【0035】
第2の実施形態において、式W=D−Lによって与えられる非利用領域(アンダーシュート プラス オーバーシュート)は、ゼロである。このように、第2の実施形態において、スキャンの開始点は、スキャンされる関心領域の先頭として選択される。
【0036】
ステップS913において、nスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間は、決定されたスキャン数n、及び、決定されたオーバーラップの割合αに基づいて設定される。一般に、PET収集は、関心領域全域について、あるカウントの総数、又は、あるカウントの密度を蓄積するように、定義される。マルチステップPET収集に含まれるシングルステップのスキャン時間は、この要求を満たすように選択される。仮に、新しいステップサイズ、及び、新しいオーバーラップの割合の両方又は一方が用いられる場合、画像化リソースを利用する全体的な効率は、ステップあたりのスキャン時間の調整に利用できる。例えば、図7に示す2つのケースを説明する。所望の定格カウント密度は、ステップあたり1分のスキャン時間で達成されるとする。所望の長さを正確に網羅する上図のケースにおいては、オーバーラップがより大きいため、3つのステップは、それぞれ50秒のスキャン時間を要するであろう。一方、下図のケースにおいては、オーバーラップがより小さいため、2つのステップは、それぞれ75秒のスキャン時間を要するであろう。一般に、オーバーラップが小さいほど、ステップあたりのスキャン時間は長くなる。
【0037】
第3の実施形態において、ステップサイズ及びスキャン方法は、上述した第1及び第2の実施形態の組合せである。ステップ間のオーバーラップ、並びに、画像の軸方向のアンダーシュート及びオーバーシュートの量を計算するために、アルゴリズムが用いられる。まず、定格ケースの場合、各ステップには固定のオーバーラップαS(α<1)が存在し、及び、各端部には非利用領域βS(β<1)が存在する。これらは、PETスキャナの軸方向のFOV長であるSの比で表現される。Lが関心領域の軸方向の範囲であり、nステップでスキャンされる場合、次の関係式が成立する。
L+2βS=S+(n−1)(1−α)S ・・・(1)
【0038】
L及びSが与えられれば、nは、適切な制約の下のα及びβに従って計算される。例えば、βについては、一定の初期値から減少することのみが許容され、αについては、0.4<α<0.6が許容されるという制約の下、この問題は、様々な最適化のアルゴリズムを用いて解かれることが可能である。
【0039】
図9Cは、第3の実施形態に係るスキャン方法のステップを示す。
【0040】
非利用領域β(β=0)及びαの最小許容値(すなわちαmin)を除き、n及びαを探索する最適化は、以下に示すように、単純である。
【0041】
ステップS921において、αがオーバーラップの割合の最小許容値αminであると仮定すると(α=αmin)、ステップの数nは、(1)式に基づき、次の整数に切り上げるround関数を用いた割り算を伴う次の方程式で導き出される。
n=round{(L−αminS)/(S−αminS)} ・・・(2)
【0042】
ステップS922において、最小許容値のオーバーラップの割合によりnステップを実行した場合の超過分の長さ(以下、超過長)であるEは、再び(1)式に基づき、次のように計算される。
E(αmin)=S+(n−1)(1−αmin)S−L ・・・(3)
【0043】
ステップS923において、(3)式で、α´=αmin+Δαとして、E(α´)=0を設定し、余分なスペースが無くなるように、結果的に最適なオーバーラップの割合α´となるΔαを解く。
α´=αmin+E(αmin)/(n−1)S ・・・(4)
【0044】
例えば、オーバーラップの割合を最小50%とし、軸方向のFOV長が20cmのPETスキャナを用いて、55cmの関心領域について検討した場合、(2)式によって計算されるステップ数は、次の通りである。
n=round{(55−(0.5)(20))/(20−(0.5)(20))}=5
しかしながら、(3)式によれば、n=5ステップによる超過長Eは、次の通りである。
E=20+(5−1)(1−0.5)(20)−55=5cm
ちょうど55cmのスキャンとなる新たなオーバーラップの割合は、(4)式によれば、次の通りである。
α´=0.5+5/(5−1)(20)=0.5625 or 56.25%
【0045】
したがって、画像化リソースの約9%(5/55)が所望の関心領域に直接対応するために用いられる。画像化リソースの約9%は、画像品質の向上に寄与すること(関心領域において9%分のカウント増)、又は、ユーザが望むように1ステップあたりのスキャン時間を9%短縮することのいずれかに使用可能である。
【0046】
32cmのPETスキャナを用いた同様の場合、n=3、E=9cm、α´=64%という結果になり、全体で16%のより良好な画像化リソースの利用がもたらされる。
【0047】
同様に、始め及び終わりの非利用領域についてもまた、更なる制約を設定することができる。実際には、ユーザは、例えば、軸方向の均一性の許容可能な変動や、最小のスライス感度など、全体的なイメージング選択を行う。場合によっては、設定された選択に従って、ステップとオーバーラップの割合との多数の組合せが存在し得る。
【0048】
図8を参照すると、総合的な感度特性が示されている(太線)。感度特性のどの所与の点も、全スキャンステップから得られた全てのデータの総和から構成されている。完全な3D収集モードでは、FOV長Sのリングが、S/2にピークがある三角形の感度特性を生成する。オーバーラップの割合αに従い、どの所与のスキャン位置における総合的感度も、1つ以上の三角形の感度特性の合計である。すなわち、C(x)=T(x)+T(x−S+αS)+...であり、この式中、T(x)は、第1の三角形であり、T(x−S+αS)は、αSの分だけ第1の三角形に一部重複している第2の(シフトした)三角形である。
【0049】
上述したように、イメージングプロトコルで目標とされる特徴は、カウントの総数(又はカウント密度)である。したがって、臨床ユーザは、最小の初期感度(スキャンの始め及び終わりの)と最大(定格)の変動値(スキャンの中央部の)を指定する。ユーザが垂直軸方向の感度により関心を持つ一方で、システムは、ユーザの感度要求を水平軸方向の動きに変換する必要がある。明らかに、最小の初期感度は、以前言及したβに正比例する。すなわち、β=0.5*(初期感度/定格感度)。同様に、オーバーラップの割合αは、定格感度に直接影響を及ぼす。上述の第2の実施形態では、オーバーラップの割合αは、ユーザが設定した定格感度に等しい最大値を有する関数C(x)をもたらす、オーバーラップの割合αを決定することによって決定されるものである。
【0050】
L=55cmとS=32cmのPETスキャナのFOV長とを有する前述の例では、1つの結果は、ステップ数n=3及びオーバーラップの割合α´=64%である。しかし、別の解は、ステップ数n=2及びオーバーラップの割合α´=22%であり、ステップ数n=4ステップ及びオーバーラップの割合α´=76%である。通常、より少ないステップ数が好ましく、且つ、均一性の制約が最高の選択肢を定義するはずである。例えば、オーバーラップの割合α´=22%のみを有する場合、一般に、PETスキャナの中央部に容認できない感度低減が生じるであろう。総合的な許容パラメータ次第では、より複雑な最適化アルゴリズムを使用することになる。
【0051】
上述の各種方法は、価値の高い画像化リソースの利用を最適化して、選ばれた関心領域に関する最高の情報を提供する。より大きな軸方向のFOV長のPETスキャナが生産され、且つ、ますます多くの応用分野でより少ないステップが要求されているので、固定のステップアンドシュートの従来の技術は、ますます不都合なものとなるであろう。
【0052】
したがって、上述した各種実施形態は、要求された撮影範囲の外側の空費される領域を最小限にするとともに、画像品質及びスキャナ感度の限度を考慮することにより、価値の高い画像化リソースの最適利用を実現する。
【0053】
図10は、ガンマ線又はPETのイベント情報を得るために利用可能な、実施形態に係るガンマ線検出システムの概略図である。なお、上述した各実施形態に係るPETスキャナは、例えば、図10に示すガンマ線検出システムを含む。図10に示すように、光電子増倍管(PMT(photomultiplier tube))135及び光電子増倍管140がライトガイド130の上方に配置され、シンチレーション結晶105のアレイがライトガイド130の下方に配置される。また、シンチレーション結晶125の第2のアレイがシンチレーション結晶105に対向して配置され、ライトガイド115と、光電子増倍管195及び光電子増倍管110とが第2のアレイの上方に配置される。光電子増倍管、ライトガイド、及びシンチレーション結晶が検出器モジュールを形成し、ガンマ線検出システムは、リング状に配置された複数の検出器モジュールを含む。
【0054】
図10に示すガンマ線検出システムにおいて試験下の被検体(不図示)からガンマ線が放射される場合、2つのガンマ線が約180°反対方向に放射される。シンチレーション結晶105及びシンチレーション結晶125において、ガンマ線が同時に、所定の制限時間内に検出された場合、シンチレーションイベントが決定される。このように、ガンマ線検出システムは、シンチレーション結晶105及びシンチレーション結晶125において同時にガンマ線を検出する。単に分かり易くするためにシンチレーション結晶105についてガンマ線検出を説明するが、当業者には自明であるように、シンチレーション結晶105に関する説明は、シンチレーション結晶125におけるガンマ線検出に同様に適用できる。
【0055】
光電子増倍管110、光電子増倍管135、光電子増倍管140、及び光電子増倍管195は、それぞれデータ収集装置150に接続されている。データ収集装置150は、各光電子増倍管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを含む。データ収集装置150は、ガンマ線の到達時間を測定する。データ収集装置150は、システムクロック(不図示)に対して識別器パルスの時間をコード化する2つの出力(光電子増倍管135及び光電子増倍管140の組合せのための出力、並びに、光電子増倍管110及び光電子増倍管195の組合せのための出力)を生成する。TOF型のPETスキャナの場合、データ収集装置150は、一般的に、15〜25ピコ秒の精度でタイムスタンプを生成する。データ収集装置150は、各光電子増倍管の信号(データ収集装置150からの4つの出力)の振幅を測定する。
【0056】
データ収集装置150の出力は、CPU170に供給され、処理される。処理ステップは、各イベントに対して、データ収集装置150の出力からのエネルギー及び検出位置、並びに、タイムスタンプ出力からの到達時間を推定するステップから成る。CPU170は、多くの修正ステップを適用することで、エネルギー、検出位置、及び到達時間の推定値の精度を向上させることができる。当業者には自明であるように、CPU170は、不連続論理ゲートとして、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、他のCPLD(Complex Programmable Logic Device)により実装可能である。FPGA又はCPLDの実装は、VHDL(Very High speed integrated circuit hardware Description Language)、Verilog、又は、他の任意のハードウェア記述言語にコード化してもよい。コードは、直接FPGA又はCPLD内の電子メモリに格納してもよい。又は、コードは、別個の電子メモリとして格納してもよい。更に、電子メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、又はフラッシュメモリなどの不揮発性であってもよい。また、電子メモリは、スタティックRAM(Random Access Memory)又はダイナミックRAMなどの揮発性であってもよい。FPGA又はCPLDと電子メモリとの間の相互作用だけでなく電子メモリも管理するために、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサなどのプロセッサを設けてもよい。
【0057】
あるいは、CPU170は、本明細書に記載の機能を実行する一組のコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムを実行できる。ここで、プログラムは、任意の上記の一時的でない電子メモリ及びハードディスク装置、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュドライブ(FLASH drive)、又は他の任意の既知の記憶媒体の両方又は一方に格納されるものである。更に、コンピュータ可読命令は、アメリカのインテル社からのキセノンプロセッサ(登録商標)、又はアメリカのアドバンストマイクロデバイセス社(AMD(Advanced Micro Devices,Inc.)からのオプテロンプロセッサ(登録商標)などのプロセッサ、及びマイクロソフトVISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple(登録商標)、Mac−OS(登録商標)などのオペレーティングシステム、及び当業者には周知の他のオペレーティングシステムとともに動作する実用向けアプリケーション、バックグラウンドデーモン、又はオペレーティングシステムの構成要素、又はそれらの組合せとして提供されてもよい。
【0058】
一旦CPU170で処理されたならば、CPU170は、処理された信号を、電子記憶装置180に保存、及び、表示部145に表示、の両方又は一方を行う。当業者には自明であるように、電子記憶装置180は、ハードディスク、CD−ROM、DVD、FLASH、RAM、ROM、又は、当業界で周知の任意の他の電子記憶装置であってもよい。表示部145は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、プラズマ表示装置、有機発光ダイオード(OLED(Organic Light Emitting Diode))、発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))、又は、当業界で周知の任意の他の表示装置により実装してもよい。このように、本明細書に提供した電子記憶装置180及び表示部145の記載は、単なる具体例であり、本提案の範囲を限定するものではない。
【0059】
図10に示すガンマ線検出システムは、また、他の外部デバイス及びユーザの両方又は一方と接続して機能するインタフェース175を含む。例えば、インタフェース175は、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、又は、当業界で周知の任意の他のインタフェースであってもよい。また、インタフェース175は、有線又は無線であってもよく、ユーザとの対話のために、キーボード及びマウスの両方又は一方、又は、当業界で周知の他のヒューマンインタフェイスデバイスを含むことができる。
【0060】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置、陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法及びプログラムによれば、撮影を効率的に行うことが可能になる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
105 シンチレーション結晶
125 シンチレーション結晶
145 表示部
150 データ収集装置
170 CPU
175 インタフェース
180 電子記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出部と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV(Field Of View)長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出部と、
前記超過長が前記関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する開始点導出部と
を備えたことを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記最小数のスキャンを前記開始点から開始することによって被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える、請求項1に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行い、複数のスキャン全体の長さを関心領域の軸方向の範囲と一致させる場合に、スキャンの数と、各スキャンが隣接するスキャンとオーバーラップする割合との組合せを導出する組合せ導出部と
を備えたことを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記組合せ導出部は、前記割合が所定の最小値より大きくなるように、スキャンの数と割合との組合せを導出する、請求項3に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記組合せに基づいて、前記複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備える、請求項3又は4に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記複数のスキャンに含まれる各スキャンを前記スキャン時間にて行うことによって、前記関心領域のスキャンを行うスキャン部を更に備える、請求項5に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出部と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出部と、
前記超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、前記最小の割合とは異なる新しい割合を導出する割合導出部と
を備えたことを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記新しい割合から求められる効率性の利得E/Lに基づいて、前記複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備え、
Eは、前記超過長であり、
Lは、前記関心領域の軸方向の範囲である、請求項7に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記最小数導出部は、前記スキャンの最小数nを、
n=round{(L−αminS)/(S−αminS)}
によって導出し、
Lは、関心領域の軸方向の範囲であり、
Sは、軸方向のFOV長であり、
αminは、隣接するスキャンとオーバーラップさせる最小の割合であり、
round{}は、次の整数に切り上げる関数である、請求項7又は8に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記超過長導出部は、前記超過長Eを、
E=S+(n−1)(1−αmin)S−L
によって導出する、請求項9に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記割合導出部は、前記新しい割合α´を、
α´=αmin+E/(n−1)S
によって導出する、請求項10に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記最小数のスキャンを前記新しい割合でオーバーラップさせながら行うことによって、被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える、請求項7〜11のいずれか一つに記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法であって、
許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出工程と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出工程と、
前記超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、前記最小の割合とは異なる新しい割合を導出する割合導出工程と
を含んだことを特徴とする方法。
【請求項14】
許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出手順と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出手順と、
前記超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、前記最小の割合とは異なる新しい割合を導出する割合導出手順と
を陽電子放出コンピュータ断層撮影装置に実行させるためのプログラム。
【請求項1】
隣接するスキャンと所定の割合でオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出部と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV(Field Of View)長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出部と、
前記超過長が前記関心領域の軸方向の各端部に等しく割り当てられるように、複数のスキャンに含まれる最初のスキャンの開始点を導出する開始点導出部と
を備えたことを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記最小数のスキャンを前記開始点から開始することによって被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える、請求項1に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行い、複数のスキャン全体の長さを関心領域の軸方向の範囲と一致させる場合に、スキャンの数と、各スキャンが隣接するスキャンとオーバーラップする割合との組合せを導出する組合せ導出部と
を備えたことを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記組合せ導出部は、前記割合が所定の最小値より大きくなるように、スキャンの数と割合との組合せを導出する、請求項3に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記組合せに基づいて、前記複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備える、請求項3又は4に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記複数のスキャンに含まれる各スキャンを前記スキャン時間にて行うことによって、前記関心領域のスキャンを行うスキャン部を更に備える、請求項5に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出部と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出部と、
前記超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、前記最小の割合とは異なる新しい割合を導出する割合導出部と
を備えたことを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記新しい割合から求められる効率性の利得E/Lに基づいて、前記複数のスキャンに含まれる各スキャンのスキャン時間を設定する設定部を更に備え、
Eは、前記超過長であり、
Lは、前記関心領域の軸方向の範囲である、請求項7に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記最小数導出部は、前記スキャンの最小数nを、
n=round{(L−αminS)/(S−αminS)}
によって導出し、
Lは、関心領域の軸方向の範囲であり、
Sは、軸方向のFOV長であり、
αminは、隣接するスキャンとオーバーラップさせる最小の割合であり、
round{}は、次の整数に切り上げる関数である、請求項7又は8に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記超過長導出部は、前記超過長Eを、
E=S+(n−1)(1−αmin)S−L
によって導出する、請求項9に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記割合導出部は、前記新しい割合α´を、
α´=αmin+E/(n−1)S
によって導出する、請求項10に記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記最小数のスキャンを前記新しい割合でオーバーラップさせながら行うことによって、被検体のスキャンを行うスキャン部を更に備える、請求項7〜11のいずれか一つに記載の陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
陽電子放出コンピュータ断層撮影装置で実行される方法であって、
許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出工程と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出工程と、
前記超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、前記最小の割合とは異なる新しい割合を導出する割合導出工程と
を含んだことを特徴とする方法。
【請求項14】
許容される最小の割合で隣接するスキャンとオーバーラップさせながら複数のスキャンを連続的に行う場合のスキャンの数であって、少なくとも関心領域の軸方向の範囲を画像化することに必要な最小数を導出する最小数導出手順と、
前記スキャンの最小数と、前記関心領域の軸方向の範囲と、軸方向のFOV長とに基づいて、前記複数のスキャンによって軸方向に超過してスキャンされる超過長を導出する超過長導出手順と、
前記超過長が0になるように、隣接するスキャンとオーバーラップさせる割合として、前記最小の割合とは異なる新しい割合を導出する割合導出手順と
を陽電子放出コンピュータ断層撮影装置に実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公開番号】特開2012−150114(P2012−150114A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10233(P2012−10233)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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