説明

陽電子放射断層撮像装置

【課題】被検体のポジショニングを容易にすることが可能な陽電子放射断層撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】PET1において、TOFデータ収集部13は、多層検出器リング11の2つの検出器9で同時計数されたγ線の検出時間差から算出されたγ線の発生地点を示すTOFデータを収集し、位置ズレ量検出部27は、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リング11の中心軸位置と被検体Mの垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。位置ズレ量に基づいて、機構制御部6は、被検体Mの垂直断面の中心位置を多層検出器リング11の中心軸位置に移動させる。すなわち、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リング11の中心位置への被検体Mのポジショニングを操作者の主観に頼らずに容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性薬剤が投与された被検体から対消滅光子を検出して、被検体内の放射性薬剤の分布を画像化する陽電子放射断層撮像装置に係り、特に、被検体のポジショニングの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放射断層撮像装置(PET(Positron Emission Tomography)装置ともいう:以下適宜「PET装置」と称する)は、放射性薬剤を投与された被検体から180°反対方向に放射される511keVの対消滅光子(例えばγ線、以下適宜「γ線」と称する)をPETガントリ内に設けられた複数個の検出器がリング状に配置された検出器リングで検出する。このγ線の検出した時刻を測定し、2つの検出器での検出時間差が一定時間以内の場合にそれを一対のγ線として計数(同時計数)する。そして、γ線の発生地点を、その2つの検出器の直線上に存在するものとして特定する。このように2つのγ線が検出された検出器を結ぶ線のデータ、すなわち、LOR(Line of Response)データを収集・蓄積して再構成処理を行い、断層画像を取得する。
【0003】
また、γ線の速度が約30cm/nsであることが知られていることから、2つの検出器で同時計数されたγ線の検出時間の差からγ線の発生地点を特定する方法がある。この方法により取得したγ線の発生地点のデータ、すなわち、TOF(time of flight:飛行時間)データを収集・蓄積して画像再構成処理を行い、断層画像を取得する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/102422号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。すなわち、従来のPET装置は、検出器リング内のどの位置に被検体が存在していても画像化が可能である。しかしながら、リング状に配置された複数個の検出器の中心、すなわち、ガントリの中心と端とを比べたときに、図13に示すように、空間分解能が大きく変化する。これは、端に位置するほどγ線が斜め方向から入射して隣接する検出器で検出されるなどにより、空間分解能が劣化するからである(すなわち、隣接する検出器での同時計数のカウントを除いた真の同時計数のカウントが減少する)。例えば、検出器リングの半径方向に2cm離れた二点の空間分解能をガントリの中心と端とで比べたときに、中心では、二点とも空間分解能は高く、その差(変化量)が小さい。これに対し、端では、いずれも分解能が低く、その差も大きくなる。そのため、空間分解能が高く、空間分解能の差も小さいガントリの中心に被検体を配置することが好ましい。また、ファントムを用いたノーマライズやクロスキャリブレーションなどの補正用収集の場合、ファントムがカントリの中心に配置されることを前提に収集が行われる。正確な補正値を得るためには、高い精度でファントムをガントリの中心に配置することが好ましい。
【0006】
しかしながら、従来のPET装置は、操作者がレーザマーカなどを頼りに手動操作することで被検体の断面内および体軸方向の位置決めを行っている。すなわち、操作者は、ファントムを含む被検体が載置された天板などを垂直および水平方向に目視で移動させて被検体の位置決めを行っている。そのため、最終的には操作者の主観で位置が決定され、操作者等により、その位置にばらつきを生じることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、被検体のポジショニングを容易にすることが可能な陽電子放射断層撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、複数の検出器がリング状に配置された検出器リングが多層に構成された、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する多層検出器リングと、前記多層検出器リングの2つの検出器で同時計数された対消滅光子の検出時間差から算出された対消滅光子の発生地点を示すTOFデータを収集するTOFデータ収集部と、収集されたTOFデータを用いて、前記多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出部と、前記位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を前記多層検出器リングの中心軸位置に移動させる機構制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、TOFデータ収集部は、多層検出器リングの2つの検出器で同時計数された対消滅光子の検出時間差から算出された対消滅光子の発生地点を示すTOFデータを収集し、位置ズレ量検出部は、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。機構制御部は、位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を多層検出器リングの中心軸位置に移動させる。すなわち、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リングの中心位置への被検体のポジショニングを容易に行うことができる。それにより、操作者の主観に頼らずに被検体を多層検出器リングの中心軸位置へ移動させることができる。
【0010】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、前記位置ズレ量検出部は、リング状に配置された複数の検出器の中心軸を通る同時計数線上のTOFデータから被検体両端の境界を検出する被検体境界検出部と、被検体両端の境界からその中心位置を算出するとともに、前記多層検出器リングの中心軸位置と被検体両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する位置ズレ量算出部と、前記位置ズレ量からその最大値を抽出する最大値抽出部と、前記位置ズレ量の最大値を座標に変換する座標変換部と、を備えていることが好ましい。すなわち、位置ズレ量検出部は、まず、収集されたTOFデータのうち、リング状に配置された複数の検出器の中心を通る同時計数線上のTOFデータから被検体両端の境界を検出する。そして、被検体両端の境界からその中心位置を算出するとともに、多層検出器リングの中心軸位置と被検体両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する。算出された位置ズレ量からその最大値を抽出し、その位置ズレ量の最大値を座標に変換する。それにより、TOFデータを用いて被検体の位置ズレ量を容易に検出することができる。
【0011】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置は、複数の検出器がリング状に配置された検出器リングが多層に構成された、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する多層検出器リングと、前記多層検出器リングで同時計数された2つの検出器を結ぶ線を示すLORデータを収集するLORデータ収集部と、収集された前記LORデータの投影データを作成する投影データ作成部と、前記投影データを用いて、前記多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出部と、前記位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を前記多層検出器リングの中心軸位置に移動させる機構制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、LORデータ収集部は、多層検出器リングで同時計数された2つの検出器を結ぶ線を示すLORデータを収集し、投影データ作成部は、収集されたLORデータの投影データを作成する。位置ズレ量検出部は、作成された投影データを用いて、多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。機構制御部は、位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を多層検出器リングの中心軸位置に移動させている。すなわち、収集されたTOFデータから断層画像を得るために作成される投影データを用いて、多層検出器リング内での被検体のポジショニングを容易に行うことができる。それにより、操作者の主観に頼らずに被検体を多層検出器リングの中心軸位置へ移動させることができる。
【0013】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、前記位置ズレ量検出部は、前記投影データから被検体の両端の境界を検出する被検体境界検出部と、被検体両端の境界からその中心位置を算出するとともに、多層検出器リングの中心軸位置と被検体両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する位置ズレ量算出部と、前記位置ズレ量からその最大値を抽出する最大値抽出部と、前記位置ズレ量の最大値を座標に変換する座標変換部と、を備えていることが好ましい。すなわち、位置ズレ量検出部は、LORデータを収集して作成された投影データを用いて、被検体両端の境界を検出し、被検体の両端の境界からその中心位置を算出するとともに、多層検出器リングの中心軸位置と被検体両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する。そして、算出された位置ズレ量からその最大値を抽出し、その位置ズレ量の最大値を座標に変換する。それにより、投影データを用いて被検体の位置ズレ量を容易に検出することができる。
【0014】
また、本発明に係る陽電子放射断層撮像装置において、位置ズレ量検出部は、被検体の体軸方向の位置ズレ量を検出し、機構制御部は、被検体の体軸方向の位置ズレ量に基づいて、被検体を前記多層検出器リングの層方向の中心位置に移動させることが好ましい。多層検出器リングの層方向では、多層に配置された検出器リングの中心ほど空間分解能が高い。そのため、例えば、被検体の体軸方向の長さが多層検出器リングの層方向の長さ(有効視野)よりも小さい場合、位置ズレ量検出部は、被検体の両端の境界を検出し、被検体の体軸方向の中心位置と多層検出器リングの層方向の中心位置とから、被検体の体軸方向の位置ズレ量を検出する。そして、被検体の体軸方向の中心位置を多層検出器リングの層方向の中心位置に移動させる。それにより、多層検出器リング内での被検体の体軸方向のポジショニングを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、TOFデータ収集部は、多層検出器リングの2つの検出器で同時計数された対消滅光子の検出時間差から算出された対消滅光子の発生地点を示すTOFデータを収集し、位置ズレ量検出部は、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。機構制御部は、位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を多層検出器リングの中心軸位置に移動させる。すなわち、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リングの中心位置への被検体のポジショニングを容易に行うことができる。それにより、操作者の主観に頼らずに被検体を多層検出器リングの中心軸位置へ移動させることができる。
【0016】
本発明の第2発明に係る陽電子放射断層撮像装置によれば、LORデータ収集部は、多層検出器リングで同時計数された2つの検出器を結ぶ線を示すLORデータを収集し、投影データ作成部は、収集されたLORデータの投影データを作成する。位置ズレ量検出部は、作成された投影データを用いて、多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。機構制御部は、位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を多層検出器リングの中心軸位置に移動させている。すなわち、収集されたTOFデータから断層画像を得るために作成される投影データを用いて、多層検出器リング内での被検体のポジショニングを容易に行うことができる。それにより、操作者の主観に頼らずに被検体を多層検出器リングの中心軸位置へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図2】図1のA方向から見た検出器の配置の一例を示す図である。
【図3】TOFデータを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図である。
【図4】TOFデータを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図であり、(a)〜(d)は各角度における検出器対を結ぶ同時計数線上における位置ズレ量を示す。
【図5】実施例1に係る被検体の自動ポジショニングの説明に供するフローチャートである。
【図6】実施例2に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。
【図7】サイノグラムを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図であり、(a)〜(d)は各角度における投影データを示す。
【図8】サイノグラムを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図であり、サイノグラムの一例を示す図である。
【図9】位置ズレを有しないサイノグラムの一例を示す図である。
【図10】実施例2に係る被検体の自動ポジショニングの説明に供するフローチャートである。
【図11】変形例に係る被検体の体軸方向の自動ポジショニングの説明に供する図である。
【図12】変形例に係る被検体の体軸方向の自動ポジショニングの説明に供する図である。
【図13】ガントリの中心と端とで空間分解能が異なることの説明に供する図であり、縦軸は真の同時計数のカウントを示し、横軸はガントリの半径方向を示す。
【実施例1】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図であり、図2は、図1のA方向から見た検出器の配置の一例を示す図である。図3は、TOFデータを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図であり、図4は、TOFデータを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図であり、(a)〜(d)は各角度における検出器対を結ぶ同時計数線上における位置ズレ量を示す。
【0019】
図1を参照する。PET装置1は、被検体Mを載置する天板2を有するベッド装置3と、開口部4を有するガントリ5とを備えている。ベッド装置3は、上下方向(Y方向)および水平方向(XZ方向)に天板2を移動させるように構成されている。ベッド装置3は、機構制御部6により制御されるようになっており、天板2に載置された被検体Mをガントリ5の開口部4の内側または外側へ移動させるようになっている。ガントリ5の開口部4の外周には、被検体Mから発生したγ線を検出する検出器リング7が設けられている。
【0020】
検出器リング7は、図2に示すように、複数個の検出器9が多角形状を含むリング状に配置して構成されている。また、図1に示すように、検出器リング7は、層方向(中心軸方向または被検体Mの体軸方向)に多層に重ねて構成されている。この多層に重ねられた検出器リング7を多層検出器リング11とする。なお、本実施例において、検出器リング7は、多層に構成された多層検出器リング11であるとして説明するが、単層で構成されていてもよい。
【0021】
検出器9は、例えば、シンチレータブロックとライトガイドと光電子増倍管とを備えた検出器ブロック(図示しない)で構成される。シンチレータブロックは、複数個のシンチレータから構成される。放射性薬剤が投与された被検体Mから発生されたγ線をシンチレータブロックが光に変換し、変換された光をライトガイドが案内して、光電子増倍管が光電変換して電気信号を出力する。
【0022】
TOFデータ収集部13は、多層検出器リング11の2つの検出器9で同時計数された対消滅γ線の検出時間差から算出された対消滅γ線の発生地点を示すTOFデータを収集する。画像再構成部15は、補正処理が行われたTOFデータを用いて画像再構成を行う。これにより、断層画像を取得することができる。
【0023】
補正テーブル17は、検出器9ごとにばらつきを補正する感度補正のための補正値やクロスキャリブレーションで求められた校正係数が記憶されている。校正係数は、同時計数されたカウントを放射能濃度(Bq/ml)に変換する。感度補正のデータ収集は、ノーマライズ収集で得られる。一方、クロスキャリブレーションは、まず円筒ファントムに放射性薬剤を溶かした水を入れて、円筒ファントムを多層検出器リング11内に収容してデータ収集する。データ収集後、円筒ファントム内の水を一部抜き取り、ドーズキャリブレータで放射能濃度を測定する。そして、多層検出器リング11で収集したカウントとドーズキャリブレータで測定された放射線濃度などから校正係数が求められる。画像再構成部15は、補正テーブルを参照して画像再構成を行う。
【0024】
また、PET装置1は、主制御部19、表示部21、メモリ部23および入力部25を備えている。主制御部19は、各構成を統括的に制御する。表示部21は、液晶表示パネルなどで構成され、画像再構成されて取得した断層画像等を表示する。メモリ部23は、断層画像等を記憶し、ROM(Read-only Memory)、RAM(Random-Access Memory)またはハードディスク等の記憶媒体で構成される。入力部25は、入力設定や各種操作が行われ、キーボードやマウス等で構成される。
【0025】
また、PET装置1は、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リング11の中心軸位置と被検体Mの垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出部27を備えている。図3に示すように、リング状に配置された複数個の検出器9(検出器リング7)の内側に被検体Mが配置されているときに、位置ズレ量検出部27は、被検体Mの体軸と垂直の断面内の中心とリング状に配置された複数個の検出器9の中心軸位置との位置ズレ量を検出する。この位置ズレ量検出部27は、被検体境界検出部29、位置ズレ量算出部31、最大値抽出部33および座標変換部35を有している。
【0026】
被検体境界検出部29は、リング状に配置された複数個の検出器9の中心を通る同時計数線上のTOFデータから被検体M両端の境界を検出する。すなわち、まず、被検体境界検出部29は、図3に示すように、TOFデータ収集部13で収集されたTOFデータのうち、複数個の検出器9の中心を通る同時計数線上のTOFデータを各角度で抽出する。例えばθ=0°の場合は、図4(a)のように、横軸を半径方向、縦軸をγ線の発生位置のカウントとするTOFデータを抽出する。なお、θ=60°,90°,150°の場合は、それぞれ図4(b)〜(d)に示すTOFデータを抽出する。そして、被検体境界検出部29は、抽出した各角度のTOFデータのカウントからそれぞれに被検体M両端の境界を検出する。
【0027】
抽出されたTOFデータは、被検体Mの両端では、カウントがなだらかな傾斜となっている。境界の検出は、例えば半値幅が用いられる。半値幅は、図4(a)に示すようにTOFデータのカウントの最大値がhであるとき、プロファイルの曲線のh/2の半径方向の位置を境界とし、それらの境界で挟まれた範囲rで表される。半値幅の境界(h/2)を被検体Mの両端の境界として検出する。また、被検体境界検出部29は、図3または図4に示すように、水平の同時計数線を0°とするとき、例えば0°から180°の範囲で順次境界を検出する。
【0028】
なお、被検体境界検出部29は、半値幅を用いて被検体Mの両端の境界を検出することに限定されず、カウントが予め設定された所定値以上であれば境界として検出するようにしてもよい。
【0029】
位置ズレ量算出部31は、被検体Mの両端の境界から被検体Mの境界の中心位置を算出するとともに、検出器リング7の中心軸位置と被検体Mの境界の中心位置との位置ズレ量を算出する。被検体Mの境界の中心位置は、半値幅の中心、すなわち、半値幅より与えられた境界により求められる。検出器リング7の中心軸位置は、被検体Mの境界の中心位置が求められた同時計数線の中心位置により求められる。そして、被検体Mの境界の中心位置と同時計数線の中心位置の差により位置ズレ量が求められる(図4(a)〜(d))。なお、この位置ズレ量の検出は、境界が検出された0°から180°の範囲で順次行われる。
【0030】
最大値抽出部33は、位置ズレ量からその最大値を抽出する。すなわち、位置ズレ量算出部31により0°から180°の範囲で順次に算出された各角度の位置ズレ量からその最大値を抽出する。同時計数線上の最大の位置ズレ量が被検体Mの中心と多層検出器リング11の中心軸位置との位置ズレ量に対応する。
【0031】
座標変換部35は、位置ズレ量の最大値を座標に変換する。すなわち、座標変換部35は、最大値抽出部33で抽出された位置ズレ量と、この位置ズレ量を有する同時計数線の角度とから、X方向およびY方向の座標に分解する。
【0032】
座標変換部35でX方向およびY方向の座標に変換された位置ズレ量は、機構制御部6に送信される。機構制御部6は、位置ズレ量に基づいて、被検体Mの垂直断面の中心位置を検出器リング7の中心軸位置に移動させる。機構制御部6は、ベッド装置3を操作して、被検体Mが載置された天板2を移動させることで、被検体Mの垂直断面の中心位置を多層検出器リング11の中心軸位置に一致させる。
【0033】
<PET装置1の動作>
次に、PET装置1の動作について、特に、被検体Mの垂直断面の中心位置を多層検出器リング11の中心軸位置に位置合わせする動作、すなわち、自動ポジショニングを説明する。図5は、実施例1に係る被検体の自動ポジショニングの説明に供するフローチャートである。
【0034】
被検体Mには、ポジトロン放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)で標識した放射性薬剤が投与される。そして、機構制御部6によって制御されたベッド装置3により、被検体Mが載置された天板2を駆動させて、ガントリ5の開口部4内の任意の位置に被検体Mを移動させる。
【0035】
〔ステップS01〕TOFデータの収集
被検体Mから180°反対方向に放射する2つのγ線は、多層検出器リング11の各検出器9で検出される。各検出器9から出力された電気信号(検出信号)に基づいて、TOFデータ収集部13は、多層検出器リング11の2つの検出器9で同時計数された対消滅光子の検出時間差から算出された対消滅光子の発生地点を示すTOFデータを収集する。
【0036】
〔ステップS02〕被検体の境界の検出
収集されたTOFデータのうち、リング状に配置された複数の検出器9の中心を通る同時計数線上のTOFデータから、被検体境界検出部29は、被検体M両端の境界を検出する。境界の検出は、例えば、半値幅を求めることにより行われ、0°〜180°の角度の同時計数線上でのTOFデータから行われる。
【0037】
〔ステップS03〕位置ズレ量の算出
位置ズレ量算出部31は、検出された各角度の同時計数線上の被検体Mの両端の境界から被検体Mの中心位置を算出するとともに、多層検出器リング11の中心軸位置と被検体M境界の中心位置との位置ズレ量を算出する。
【0038】
〔ステップS04〕最大値の抽出
最大値抽出部33は、算出された各角度の同時計数線上の被検体Mの位置ズレ量からその最大値を抽出する。検出器リング7の中心軸を通る同時計数線上の最大の位置ズレ量が、被検体Mの垂直断面の中心位置と検出器リング7の中心軸位置との実際の位置ズレ量に対応する。
【0039】
〔ステップS05〕座標変換
座標変換部35は、抽出された位置ズレ量の最大値をX方向およびY方向の座標に変換する。
【0040】
〔ステップS06〕位置合わせ
X方向およびY方向の座標に変換されて検出された被検体Mの位置ズレ量は、機構制御部6に送信される。機構制御部6は、ベッド装置3の天板2を制御して、被検体Mの垂直断面の中心位置を検出器リング7の中心軸位置に一致させる位置合わせを行う。すなわち、位置ズレ量が0(ゼロ)になるように位置合わせが行われる。以上のように、被検体Mの自動ポジショニングが行われる。
【0041】
なお、この後、ファントム(被検体M)を用いてノーマライズ収集やクロスキャリブレーション等の補正テーブル17に記憶させる補正用のデータ収集を行う。また、実際のデータ収集を行って被検体Mの断層画像などのRI分布画像を取得する。
【0042】
本実施例に係るPET装置1によれば、TOFデータ収集部13は、多層検出器リング11の2つの検出器9で同時計数されたγ線の検出時間差から算出されたγ線の発生地点を示すTOFデータを収集し、位置ズレ量検出部27は、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リング11の中心軸位置と被検体Mの垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。機構制御部6は、位置ズレ量に基づいて、被検体Mの垂直断面の中心位置を多層検出器リング11の中心軸位置に移動させる。すなわち、収集されたTOFデータを用いて、多層検出器リング11の中心位置への被検体Mのポジショニングを容易に行うことができる。それにより、操作者の主観に頼らずに被検体Mを多層検出器リング11の中心軸位置へ移動させることができる。
【0043】
それにより、多層検出器リング11の中心軸位置に、被検体Mの垂直断面の中心位置を合わせた状態で撮影することができる。そのため、ファントムを用いたノーマライズやクロスキャリブレーションなどの補正用収集の場合、正確な補正値を得ることができ、また、空間分解能の高い断層画像を取得することができる。
【実施例2】
【0044】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。図6は、実施例2に係る陽電子放射断層撮像装置(PET装置)の概略構成図である。図7は、サイノグラムを用いた位置ズレ量検出部の説明に供する図であり、(a)〜(d)は各角度における投影データを示す。なお、上述した実施例と重複する構成については、その説明を省略する。
【0045】
実施例1は、TOFデータを用いた自動ポジショニングを行うPET装置1について説明したが、実施例2では、サイノグラムを用いた自動ポジショニングを行うPET装置41について説明する。
【0046】
図6を参照する。PET装置41は、多層検出器リング11で同時計数された2つの検出器9を結ぶ線を示すLOR(Line of Response)データを収集するLORデータ収集部43と、収集されたLORデータの投影データを作成する投影データ作成部45とを備えている。
【0047】
図7(a)に示すように、リング状に配置された複数個の検出器9(検出器リング7)の内側に被検体Mが配置されているとする。投影データ作成部45は、各角度ごとに投影データを作成し、各角度の投影データを順番に並べてサイノグラムを作成する。投影データ作成部45は、図7(a)〜(d)に示すように、例えば、0°〜180°の投影データを作成し、図8のように各角度の投影データを順番に並べることでサイノグラムを作成する。なお、図8は、サイノグラムの一例を示す図である。
【0048】
位置ズレ量検出部47は、投影データ作成部45で作成されたサイノグラムを用いて、検出器リング7の中心軸位置と被検体Mの垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。位置ズレ量検出部47は、図6に示すように、被検体境界検出部51、位置ズレ量算出部53、最大値抽出部55および座標変換部57を備えている。
【0049】
被検体境界検出部51は、サイノグラムから被検体Mの両端の境界を検出する。すなわち、被検体境界検出部51は、投影データ作成部45で作成されたサイノグラム(図8)の各角度の投影データからそれぞれ被検体Mの両端の境界位置を検出する。まず、被検体境界検出部51は、図7(a)〜(d)に示すような各角度の投影データを抽出する。各角度の投影データは、例えば、図7(a)に示すθ=0°のように、横軸を半径方向、縦軸をLORのカウントとしたものが与えられる。被検体Mの両端では、カウントがなだらかな傾斜となっている。そして、被検体境界検出部51は、抽出した各角度の投影データのカウントから、それぞれに例えば半値幅を用いて最大カウントの1/2値の半径方向の位置を境界として検出する。また、カウントが予め設定された所定値以上であれば被検体Mの境界として検出してもよい。
【0050】
位置ズレ量算出部53は、被検体M両端の境界からその中心位置を算出するとともに、多層検出器リング11の中心軸位置と被検体M両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する。位置ズレ量算出部53は、サイノグラムの各角度の投影データから検出した被検体Mの両端の境界位置を用いて、その中心位置を求める。そして、位置ズレ量算出部53は、被検体M両端の境界の中心位置と検出器リング7の中心軸位置との位置ズレ量を算出する。このとき、リング状に配置された複数個の検出器9の中心軸位置は、サイノグラムの図8に示す横軸方向の中心位置に対応する。すなわち、サイノグラムの横軸は、リング状に配置された複数個の検出器9の半径方向を示しており、その中心位置が検出器リング7の中心軸位置となる。
【0051】
最大値抽出部55は、位置ズレ量算出部53で算出された位置ズレ量からその最大値を抽出する。最大値抽出部55は、サイノグラムの各角度の投影データの位置ズレ量からその最大値を抽出する。位置ズレ量の最大値、すなわち、最大の位置ズレ量を有する角度の投影データの位置ズレ量が実際の位置ズレ量に対応する。
【0052】
座標変換部57は、位置ズレ量の最大値を座標に変換する。すなわち、座標変換部57は、最大値抽出部55で抽出された位置ズレ量と、この位置ズレ量を有する投影データの角度とから、X方向およびY方向の座標に分解する。
【0053】
座標変換部57でX方向およびY方向の座標に変換された位置ズレ量、すなわち位置ズレ量検出部47から出力された位置ズレ量は、機構制御部6に送信される。機構制御部6は、送信された位置ズレ量に基づいて、被検体Mの垂直断面の中心位置を検出器リング7の中心軸位置に移動させる。すなわち、機構制御部6は、ベッド装置3を制御して、天板2に載置された被検体Mの垂直断面の中心位置を検出器リング7の中心位置に移動させ一致させる。なお、図9は、位置ズレを有しないサイノグラムを示す。
【0054】
<PET装置41の動作>
次に、PET装置41の動作について、特に、被検体Mの自動ポジショニングを説明する。図10は、実施例2に係る被検体の自動ポジショニングの説明に供するフローチャートである。
【0055】
被検体Mには放射性薬剤が投与される。そして、機構制御部6は、ベッド装置3を制御して被検体Mが載置された天板2を駆動させ、被検体Mをガントリ5の開口部4内の任意の位置に移動させる。
【0056】
〔ステップS11〕LORデータの収集
被検体Mから180°反対方向に放射する2つのγ線は、多層検出器リング11の各検出器9で検出される。各検出器9から出力された電気信号(検出信号)に基づいて、LORデータ収集部43は、検出器リング9で同時計数された2つの検出器9を結ぶ線を示すLORデータを収集する。
【0057】
〔ステップS12〕サイノグラムの作成
投影データ作成部45は、図7に示すように、LORデータ収集部43で収集されたLORデータから、各角度(例えば0°〜180°)で投影データを作成し、各角度の投影データを順番に並べてサイノグラムを作成する。
【0058】
〔ステップS13〕被検体の境界の検出
被検体境界検出部51は、サイノグラムの各角度の投影データからそれぞれ被検体Mの両端の境界位置を検出する。被検体境界検出部51は、例えば半値幅を用いて境界を検出する。
【0059】
〔ステップS14〕位置ズレ量の算出
位置ズレ量算出部53は、被検体M両端の境界からその中心位置を算出するとともに、検出器リング7の中心軸位置と被検体M両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する。
【0060】
〔ステップS15〕最大値の抽出
最大値抽出部55は、位置ズレ量算出部53で算出された位置ズレ量からその最大値を抽出する。
【0061】
〔ステップS16〕座標変換
座標変換部57は、抽出された位置ズレ量の最大値をX方向およびY方向の座標に変換する。
【0062】
〔ステップS17〕位置合わせ
X方向およびY方向の座標に変換されて検出された被検体Mの中心の位置ズレ量は、機構制御部6に送信される。機構制御部6によりベッド装置3の天板2が制御されて、被検体Mの垂直断面の中心位置を多層検出器リング11の中心軸位置に一致させる位置合わせが行われる。
【0063】
本実施例に係るPET装置41によれば、LORデータ収集部43は、多層検出器リング11で同時計数された2つの検出器9を結ぶ線を示すLORデータを収集し、投影データ作成部45は、収集されたLORデータの投影データを作成する。位置ズレ量検出部47は、作成された投影データを用いて、多層検出器リング11の中心軸位置と被検体Mの垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する。機構制御部6は、位置ズレ量に基づいて、被検体Mの垂直断面の中心位置を多層検出器リング11の中心軸位置に移動させている。すなわち、収集されたTOFデータから断層画像を得るために作成される投影データを用いて、多層検出器リング11内での被検体Mのポジショニングを容易に行うことができる。それにより、操作者の主観に頼らずに被検体Mを多層検出器リング11の中心軸位置へ移動させることができる。
【0064】
それにより、多層検出器リング11の中心軸位置に、被検体Mの垂直断面の中心位置を合わせた状態で撮影することができる。そのため、ファントムを用いたノーマライズやクロスキャリブレーションなどの補正用収集の場合、正確な補正値を得ることができ、また、空間分解能の高い断層画像を取得することができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0066】
(1)上述した各実施例では、被検体Mの体軸に対してほぼ垂直方向の断面内の位置ズレ量を検出して、被検体Mの中心位置をリング状に配置された複数個の検出器9の中心位置に一致するように移動させていた。しかしながら、多層検出器リング11の被検体Mの体軸方向の位置ズレ量を検出して、多層検出器リング11の層方向の中心に一致するように移動させてもよい。多層に重ねて構成された検出器リング7の層方向では、中心位置の検出器リング7の感度が高く、外側ほど感度が低下する。
【0067】
位置ズレ量検出部27,47は、被検体Mの体軸方向の位置ズレ量を検出する。機構制御部6は、被検体Mの体軸方向の位置ズレ量に基づいて、被検体Mの体軸方向の中心位置を多層に構成された検出器リング9の層方向の中心位置に移動させる。
【0068】
位置ズレ量検出部27,47は、被検体Mが多層検出器リング11内に全て収まるファントムなどの場合(図11)には、ファントム(被検体M)の体軸方向の両端の境界を検出してその中心位置を算出する。そして、機構制御部6は、多層検出器リング11の層方向の中心位置に一致させるように被検体Mを移動させる。
【0069】
また、被検体Mの頭部の位置合わせを行うときなど、被検体Mの体軸方向の長さが多層検出器リング11より大きい場合(図12)は、例えば頭部の一端を基準位置として頭部(被検体M)の体軸方向の境界を検出し、多層検出器リング11の層方向の中心位置と頭部の一端とが、予め設定された所定距離になるように、機構制御部6により頭部(被検体M)を移動させる。それにより、頭部(被検体M)を多層検出器リング11の層方向の中心位置に移動させるようになっている。
【0070】
なお、被検体Mの体軸方向の境界の検出は、例えば、被検体Mの体軸方向と垂直断面で収集されたTOFデータやサイノグラム(投影データ)に基づき、被検体Mの幅が予め設定された所定値以上であれば、被検体Mの体軸方向の境界として判定するようにしてもよい。
【0071】
このように構成することにより、例えば、被検体の体軸方向の長さが多層検出器リング11の層方向の長さ(有効視野)よりも小さい場合、位置ズレ量検出部は、被検体の両端の境界を検出し、被検体の体軸方向の中心位置と多層検出器リングの層方向の中心位置とから、被検体の体軸方向の位置ズレ量を検出する。そして、被検体の体軸方向の中心位置を多層検出器リングの層方向の中心位置に移動させる。それにより、多層検出器リング内での被検体の体軸方向のポジショニングを容易に行うことができる。また、操作者の主観に頼ることなく被検体Mを位置合わせさせることができる。
【0072】
(2)上述した各実施例では、機構制御部6は、ベッド装置3を制御して天板2を上下方向および水平方向に移動させていたが、この構成に限定されない。例えば、多層検出器リング11(ガントリ5)を上下方向および水平方向に移動させてもよい。
【0073】
(3)上述した各実施例では、検出器9は、検出器ブロックで構成されたが、この構成に限定されない。例えば、検出素子が半導体であるテルル化カドミウム(CdTe)等で構成され、γ線の入射によって生成される電荷を検出する半導体カメラであってもよい。
【0074】
(4)上述した各実施例において、多層検出器リング11の多層に構成される検出器リング7のうち、例えば、中心に配置された検出器リング7で被検体Mの自動ポジショニングを行うようにしてもよい。また、2層以上の検出器リング7で検出された位置ズレ量の平均位置により自動ポジショニングを行うようにしてもよい。
【0075】
(5)上述した各実施例において、例えば、外部線源を備えてトランスミッションデータを収集し、トランスミッションデータに基づいて位置合わせを行ってもよい。また、その他の補正を必要に応じて行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,41 … PET装置
6 … 機構制御部
7 … 検出器リング
9 … 検出器
11 … 多層検出器リング
13 … TOFデータ収集部
17 … 補正テーブル
19 … 主制御部
27,47 … 位置ズレ量検出部
29,51 … 被検体境界検出部
31,53 … 位置ズレ量算出部
33,55 … 最大値抽出部
35,57 … 座標変換部
43 … LORデータ収集部
45 … 投影データ作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出器がリング状に配置された検出器リングが多層に構成された、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する多層検出器リングと、
前記多層検出器リングの2つの検出器で同時計数された対消滅光子の検出時間差から算出された対消滅光子の発生地点を示すTOFデータを収集するTOFデータ収集部と、
収集されたTOFデータを用いて、前記多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出部と、
前記位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を前記多層検出器リングの中心軸位置に移動させる機構制御部と、
を備えていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記位置ズレ量検出部は、
リング状に配置された複数の検出器の中心軸を通る同時計数線上のTOFデータから被検体両端の境界を検出する被検体境界検出部と、
被検体両端の境界からその中心位置を算出するとともに、前記多層検出器リングの中心軸位置と被検体両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する位置ズレ量算出部と、
前記位置ズレ量からその最大値を抽出する最大値抽出部と、
前記位置ズレ量の最大値を座標に変換する座標変換部と、
を備えていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項3】
複数の検出器がリング状に配置された検出器リングが多層に構成された、放射性薬剤が投与された被検体から放射される対消滅光子を検出する多層検出器リングと、
前記多層検出器リングで同時計数された2つの検出器を結ぶ線を示すLORデータを収集するLORデータ収集部と、
収集された前記LORデータの投影データを作成する投影データ作成部と、
前記投影データを用いて、前記多層検出器リングの中心軸位置と被検体の垂直断面の中心位置との位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出部と、
前記位置ズレ量に基づいて、被検体の垂直断面の中心位置を前記多層検出器リングの中心軸位置に移動させる機構制御部と、
を備えていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の陽電子放射断層撮像装置において、
前記位置ズレ量検出部は、
前記投影データから被検体の両端の境界を検出する被検体境界検出部と、
被検体両端の境界からその中心位置を算出するとともに、多層検出器リングの中心軸位置と被検体両端の境界の中心位置との位置ズレ量を算出する位置ズレ量算出部と、
前記位置ズレ量からその最大値を抽出する最大値抽出部と、
前記位置ズレ量の最大値を座標に変換する座標変換部と、
を備えていることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の陽電子放射断層撮像装置において、
位置ズレ量検出部は、被検体の体軸方向の位置ズレ量を検出し、
機構制御部は、被検体の体軸方向の位置ズレ量に基づいて、被検体を前記多層検出器リングの層方向の中心位置に移動させることを特徴とする陽電子放射断層撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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